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釣りバカ日誌5

人気シリーズの第5弾。

今回は、九州宮崎から、ハマちゃんの母親たきが上京して来るエピソード、会社に連れて来た鯉太郎が巻き起こす大騒動、そすて丹後半島に左遷されたハマちゃんが家族を呼び寄せるも意外な結末が…と言った3つの話から成り立っている。

この回のエピソードで、ハマちゃんの出身地が九州宮崎だったことが明らかになるが、母親たきとして登場した乙羽信子は、ハマちゃんそっくりな破天荒な性格という紹介はあるものの、余り活躍の場もなく、中途半端な状態で本編から姿を消す。

あくまでも、今後に繋がる紹介エピソードと解釈すべきなのかもしれない。

鯉太郎の会社内での騒動が一番ドタバタ風に面白く作ってあるが、その分、今回は釣りの話が希薄になっている。

後半、丹後の海で「かったくり」をやるくらい。

それでも、鯉太郎のお守りをするスーさんの好々爺振りなど、心温まるシーンもあり、全体としてはまずまずの出来と言った所だろうか。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1992年、やまさき十三+北見けんいち原作、山田洋次+高橋正圀+関根俊夫脚本、栗山富夫監督作品。

太田丸で東京湾にはぜ釣りに出かけていたスーさんこと鈴木一之助(三國連太郎)は、携帯電話で鈴木建設から電話を受けており、そんなもんは秋山くんにでも任せなさい!わしは帰れん!と癇癪を起こしていた。

ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)の隣に戻って来たスーさんは、ハゼ釣りは飽きたなどと言い出し、今度は泊まりでどこかに釣りに行こうよと誘うが、ハマちゃんは、鯉太郎の顔を見ないのはダメなので、釣りと子供のどっちを取るか?と言われたら子供を取るなどと返事する。

釣りバカよりも親バカになっていたのだった。

その時、当たりがあったスーさんが竿を引揚げてみると、赤ん坊ハゼだったので、ハマちゃんは勝手にそれを取って海に帰してしまう。

その直後、もう辛抱できないと言い出したハマちゃんは、船長の八こと太田八郎(中本賢)に、家に帰りたくなったから船を戻せと言い出す。

八は、他のお客さんもいるんだから無理だと断り、近くにいた客も勝手なことを言うなと怒り出し、とうとう無理を言い続けるハマちゃんの顔を殴りつけてしまう。

鼻血を出したハマちゃんは、一応、スーさんや八に止められ喧嘩相手と握手をするが、不機嫌な顔のまま埠頭に戻って来る。

そんな堤防の上に亀を追って近づいていたのが、まだ幼い鯉太郎だった。

埠頭に着いて降り立ったハマちゃんに近づいて来たのは、泣きそうな表情の妻みち子(石田えり)で、鯉太郎が、洗濯している間にいなくなったという。

驚いて狼狽するハマちゃんだったが、その時、一緒に降りていたスーさんが、堤防の上に座っている鯉太郎を発見する。

その声で気づいたハマちゃんは、八や、先ほど喧嘩した客などと協力して、堤防の上の鯉太郎に近づこうとする。

手を伸ばそうとしたとき、亀が転がり落ちてひやっとさせるが、ハマちゃんは鯉太郎を何とか捕まえてだっこすることに成功する。

しかし、次の瞬間、下で支えていた八たちが力尽き、ハマちゃんは鯉太郎を抱いたまま堤防を滑り落ちたので、下にいた他の釣り客たちを蹴飛ばすことになり、中にはその表紙に海に落ちる客までいた。

自宅に帰って来たハマちゃんは、鯉太郎を抱きながら、将来何にさせるかなどと、みち子と言い合いをしていたが、一緒について来たスーさんは、又してもケイタイで、会社の連中をしかり飛ばしていた。

その後、鯉太郎をだっこしたスーさんに、将来鯉太郎がお相撲さんになったら化粧回しを贈ってなどとハマちゃんはねだるが、スーさんはそれまで会社があるかどうか…と暗い表情になり、次の瞬間、鯉太郎がおしめを汚していると気づいてみち子に手渡すが、その際、指先にウンチが着いていることに気づく。

ハマちゃんはそのウンチの色と匂いと味を確認して健康だと安心するが、スーさんの方は汚がる。

そんなスーさんに対し、鯉太郎のウンチは柔らかいチーズでしょうが!と不機嫌そうに告げる。

しかし、そんな大甘なハマちゃんに対し、スーさんは子供との距離をとった方が良いとアドバイする。

それに対し、ハマちゃんは、だから、スーさんの子供は2人とも家に寄り付かないんだと皮肉で返したので、スーさんはむっとしてしまう。

ハマちゃんは、自分の教育方針にガチガチ口を挟むと文句を言うと、スーさんは、君のはベタベタ甘やかしているだけと反論し、二人の仲は険悪な状態になる。

見かねたみち子が止めに入るが、面白くないスーさんは帰ると言い出し、いつものようにみち子が途中まで送って行く。

スーさんは、うちの会社がバブルの影響を受けるのは3年後くらいだろうが、今は6000人の社員とその家族を守らなければいけないので…と苦悩の一端を打ち明けて帰って行く。

家に戻って来たみち子は、スーさんがいつもうちに来るのは、孫がいないと寂しいからなのかな?等と鯉太郎を寝かしつけていたハマちゃんに話しかけるが、ハマちゃんはもうそんなことよりもみち子と合体することしか興味が内容だったので、突然襲いかかって来るが、寝入ったと思っていた鯉太郎が起きてしまったので、ハマちゃんはしらけてしまい、その夜の合体はなしになってしまう。

翌朝、いつものように鈴木建設に出社したスーさんは、草森秘書室長(園田裕久)や堀田常務(前田武彦)から、あれこれ報告を受けながらエレベーターに乗り込む。

草森秘書室長が、森川建設の新社長就任パーティのスケジュールを知らせると、森川さん辞めたかと驚いたスーサンだったが、あそこは優秀な幹部社員がいるので安心だろうと言うと、一緒に乗り込んでいた堀田常務が、うちの社も優秀な社員ばかりですと反論する。

すると、エレベーターがある階に停まり、ワイシャツがズボンからはみ出ただらしのない格好をしたハマちゃんが驚いたように、あれ?上?下かと思ちゃったなどと言ってバツが悪そうに立っていたので、扉が閉まった後、中には1人や2人のクズはおりますが…と堀田常務は言い訳をする。

その頃、家事をこなしていたみち子の元に電話がかかり、相手は宮崎に住むハマちゃんの母たき(乙羽信子)からだったので驚くが、何ともう穴守稲荷という所に来ているが、あなたのうちが良く分からないなどというので、焦ってしまう。

その時、縁側から鯉太郎が庭に転がり落ちたので、みち子は電話を放り投げて助けに行く。

その頃、ハマちゃんが勤める営業三課では、佐々木課長(谷啓)が、「プロジェクトA」の資料を探しておりハマちゃんに知らないかと聞くが、ハマちゃんはそのプロジェクトのこと自体忘れていた。

リゾート用に買った土地の再利用に関する計画だと佐々木課長から聞いても思い出せなかったハマちゃんだったが、恵(戸川純)ら女子社員から、計画のことと、ハマちゃんがキャビネットに入れるのを観たわよと言われ、あれが「プロジェクトA」だったのかとようやく思い出したハマちゃんは、佐々木課長にここにあると言いながらキャビネットのふたを開けるが、中から資料類が佐々木課長の頭の上に降り注ぐ。

その時、ハマちゃんにみち子から電話が入り、宮崎のお母さんが上京したらしいけど、鯉太郎がちょっと怪我をした隙に電話が切れてしまい、今駅に着いてもいないのだと知らされる。

ハマちゃんは、母ちゃんのことは心配いらないが、鯉太郎の怪我は大丈夫なのかと案じ、これから晴海の物件を観た後直帰していいかと尋ねる。

佐々木課長は忙しい部署を見回しながら、この状況を観てみろ!と嫌みを言うが、ハマちゃんが、だから僕は帰った方が良いかなな?と…と言い出すと、確かにそれも一理あるので黙認するしかなかった。

昼食の蕎麦をすすっていた社長のスーさんの元にやって来た佐々木課長は、「プロジェクトA」の中で、しめじは全部腐らせてしまったので失敗、養鶏場は、何とか10円だけ黒字になったというので、一緒に聞いていた秋山専務(加藤武)は、それじゃあ、完全に失敗しているのと同じだ!と怒り出す。

しかし、スーさんは、10円黒字にするのだって大変なんだよと秋山専務をなだめる。

その時、秋山専務は佐々木課長に、何かジェスチャーをしてみせ、それを理解した佐々木課長は、丹後の天橋立の側でやっているスッポンの養殖は成功しており、来月出荷の見通しですと報告すると、スーさんはそんなことまでやっていたのかと感心する。

2人が社長室を出ると、スーさんは、下手な芝居を打ちよって…、それくらい見破れんでどうすると呟くが、まんまと社長のご機嫌を取り結ぶことに成功したと思い込んでいた佐々木課長と秋山専務は、廊下に出ると喜んで手を叩き合う。

帰宅したハマちゃんを出迎えたみち子は、まだ、お母さんは来ていないという。

鯉太郎は額に絆創膏を貼っただけの警鐘ですやすや寝ていたので、それを見たハマちゃんは一安心する。

ハマちゃんは、母ちゃんは俺とそっくりだから心配ないというが、その時、八が訪ねて来て、母さんを送って来たと言う。

聞けば、途中で楽しそうなカラオケを見つけたので、3時間も歌っていたので、咽がかれてしまった。のど飴のようなものはないかなどという始末。

たきは、鯉太郎を抱き、ようやく上京した本来の目的を達成する。

その夜、皆で一緒に夕食をとることにしたみち子だったが、たきもハマちゃんも浮かれて踊りまくっていたので、八と共に呆れたように見つめていた。

その後、スーさんが鯉太郎に絵本を読んでやっている時、たきが風呂から上がって来たので、両者は互いに紹介されて挨拶するが、スーさんをハマちゃんの会社の社長と知らないたきは、定年過ぎても働いている哀れなハマちゃんの同僚と思い込んだようで、自分の息子などに給料を出しているような社長なんて…と悪口を言い出す。

さらに、スーさんがハマちゃんの釣りの弟子ですと自己紹介すると、釣りなんてろくなもんじゃない!悪魔のような道楽だなどとけなし始める。

その時、みち子が鯉太郎のおむつを替え始め、それがたきが勧めた紙おむつだと知ったスーさんとハマちゃんは猛然と反対し始める。

スーさんが、紙おむつを作る紙は木から作られており、熱帯雨林を犠牲にしていると言い出すと。みちこが、紙おむつと言っても紙で出来ている訳ではなく、石油から出来ているのよと口を挟む。

さらに、どっかの大学の人が、紙おむつは赤ちゃんに地獄の苦しみを与えると言ってたと怪しげな情報を口にすると、赤ん坊がそう言ったのか?自分で両方のおしめを試してみたら?どうせ近いうちに必要になるんだしと嫌みを言う。

怒ったスーさんは、君たちの母さんは嫌いと言いながら帰り、たきの方も、うちもあんな人は好かん!と憎まれ口を聞く。

翌日、社長室からハマちゃんに電話を入れたスーさんだったが、出たのがたきだったのでそのまま切り、あのくそったれ、まだいるのか!と不機嫌になり、切られたたちの方も、無言電話だった。この頃変態ばかりいるとみち子にぼやくのだった。

スーさんの方も、5日も泊まっているんだよと、事情を知らない草森室長に当たり散らすが、その草森室長から、ポリープの検査のスケジュールを聞かされると、近頃は縁起の悪いことばかり…と愚痴る。

みち子が同窓会に出かけた後、鯉太郎を任されたたきが1人留守番をすることになる。

その頃、ハマちゃんは会社のパソコンで、鯉太郎の成長記録など観ていたが、八から電話がかかって来て、おふくろさんがぎっくり腰で倒れていると言うではないか。

みち子さんは同窓会に言っていて不在だし、自分は1時に船を出さなくてはならないと言う八の言葉を聞いたハマちゃんは、急いで佐々木部長の席に向かうと、母が危篤で…と申告する。

しかし、今の電話をずっと聞いていた佐々木課長は、ぎっくり腰だろ?と冷めた口調で答え、来客があるので、1時半までには戻って来いよと釘を刺す。

ハマちゃんは、課長の電話をかり総務課に連絡すると、送迎者に手配を頼みかかるが、すぐに佐々木課長に取り消されてしまう。

結局、ハマちゃんは「久里浜行き」電車で自宅へと急ぐ。

自宅に着いたハマちゃんは、鯉太郎が1人で泣いていたので、慌ててかけようろうとして転び、鼻血を出してしまう。

そこに八がやって来て、病院は昼休みなので診ないと言うので、お母さんは看護婦に預けて来たと言い、慌てて「太田屋」に帰って行く。

ハマちゃんは、鯉太郎をおぶったままタクシーで会社に戻って来ると、そこで社長の車の埃を払っていた前原運転手(笹野高史)に、タクシー代120円を借りる。

そのまま、応接室に向かったハマちゃんは、佐々木課長が先に応対していた客の竹下に対し、九州から出て来た母親がぎっくり腰になってしまったものですからと言い訳をしながら、おぶっていた鯉太郎を佐々木課長に預けると、話に参加しようとするが、要領を得なかった。

その後、営業三課に鯉太郎を連れて来たハマちゃんは、恵たち女子社員に面倒を見てもらい、自分は再び応接室へと向かう。

恵がおむつを替え始めると、かおりらがさすが経験者!とかプロやもんなどとはやしたので、急に機嫌を悪くした恵は、私は、姉ちゃんの子供を面倒観たことがあるだけなのに、経験者とか誤解されるようなこと言わないで!とかおりに食って掛かる。

その間、鯉太郎は、イスから床におり、おむつ姿のまま廊下へ出て行ってしまうが、女子社員たちは誰も気づかなかった。

たまたま廊下を歩いていた出前持ちは、鯉太郎が1人で歩いているのを観て驚き、よそ見をしている所に、別の課の女子社員が出て来たので、岡持をひっくり返してしまう。

鯉太郎は、その後、1人で非常階段の所へやって来る。

出前持ちが岡持の片付けをしている所にやって来たのがかおりたちで、赤ん坊を観なかったかと聞き、皆で手分けして鯉太郎を探すことにする。

その内、おむつが階段に落ちていることを発見する。

客を送り出し、茶菓子など持って営業三課に戻って来た佐々木課長とハマちゃんは、そこに鯉太郎も社員たちも誰もいなくなっていることに気づく。

ハマちゃんは、心当たりがあると言って社員食堂にやって来るが、そこにいた社員たちは赤ん坊など観ていないと言う。

そこに、三課の連中がやって来て、鯉太郎がいなくなったというではないか。

階段を上ったらしいと聞いて仰天したハマちゃんは、急いで屋上に登り、必死で鯉太郎の姿を探すが、いつしかズボンのベルトのバックルが外れ、ズボンがずり落ちると、派手なパンツ姿になっていた。

そんな格好になっていることもおかまいなしで屋上から地上を見下ろしたハマちゃんは、最悪の想像をして泣きそうになる。

その頃、不眠症に悩んでおり、最近幻覚を良く観るんだなどと話す内山と言う男子社員と同僚が、乗っていたエレベーターから下りようとすると、そこには下半身むき出しの鯉太郎が立っており、降りた自分たちの代わりにエレベーターに乗り込んだので、2人ともあっけにとられてしまう。

その直後、派手なパンツ姿で廊下をやって来たハマちゃんの姿も目撃した2人は呆然と見送ってしまう。

社長室から出て、エレベーターに乗り込もうとしていたスーさんは、開いたドアの中に鯉太郎が立っていたので、びっくりして抱き上げると、お知り合いですか?と不思議そうに聞く草森室長は無視して、同行して来た女性秘書に赤ん坊用品を買って来てくれ。ただし、紙おむつはダメだよと命じる。

鯉太郎を社長室に連れて来たスーさんは、含み綿をして営業三課の佐々木部長に電話を入れると、福島から来た鈴木というものだが…とハマちゃんを呼んでもらおうとするが、いつも電話をして来る変なジジイと知った佐々木課長はバカ!と言って電話を切ってしまう。

仕方がないので、秘書課を通じ、もう一度、佐々木課長を呼び出したスーさんは、浜崎という男はいるかと聞く。

社長直々の電話に緊張しながらも、佐々木課長は、浜崎なら今席を外しているので、戻り次第うかがわせますと答える。

気がつくと、上半身はスーツ、下半身はパンツ姿のハマちゃんが、呆然と下様子で三課に戻って来ていた。

なれないベビー用品の買い物を終えた女性秘書が不機嫌そうに会社に戻って来ると、エレベーターから降りて来た秋山専務が、社長の代わりで急遽告別式のでなくては行けなくなったと、こちらもぶつぶつ言いながらすれ違う。

社長室に戻って来た女性秘書が、慣れない手つきで鯉太郎のおむつを替えようとしていると、鯉太郎からおしっこを顔面にかけられてしまう。

スーさんから手際の悪さを指摘された女性秘書は、私は結婚する気はございません!ときっぱり言い切る。

そんな秘書たちを部屋の外に追い出したスーさんは、今、パパちゃんを捜してやるからねと鯉太郎に話しかけるのだった。

三課の連中は部屋に戻って来ると、パソコンを使い、まだ探していない場所がないかチェックをし始める。

その時、男子社員の1人が、もしかしたら誘拐?等と言い出したものだから、それを聞いていたハマちゃんは、パンツ姿のまま、呆然としながら廊下に出て行くと、何故か非常ベルを押してしまう。

すると、エレベーターは停まってしまうし、火災かと思い込んだ会社内は大混乱。

非常ベルを押したのがハマちゃんだと知った佐々木課長は、社長に電話をするように命じる。

社長室に向かうハマちゃんが、パンツ姿であることに気づいた三課の連中は一緒に後を追いかける。

階段を上り、社長室にやって来たハマちゃんは、鯉太郎をおんぶし、ヘルメットをかぶり、火災から脱出しようとしていたスーさんと出くわす。

ハマちゃんは鯉太郎が無事だったことを知ると喜んでだっこしてやるのだった。

佐々木課長は、鯉太郎が見つかってすっかり喜び、社長室であることを忘れてソファにくつろいでいた恵たち部下たちを、慌てて全員追い出すと、自分はハマちゃんのズボンを持って来て渡す。

スーさんは、今の非常ベルが間違いだったことを知り安心すると共に、ハマちゃんだけはその場に残るように命じる。

その夜、自宅で、風呂上がりの鯉太郎の世話をしていたハマちゃんに、今日の会社での出来事を聞いたたきは、まさか、首やなかろうか?と心配する。

ハマちゃんは淡々と、1時間くらい会社の仕事を止めてしまったので、丹後半島に転勤になった。天橋立の近くでスッポンの養殖をしているんだって。明後日出発なんだわと打ち明ける。

それを聞いたたきは、みんなうちのせいやがと悔やみ始めたので、みち子は皆に責任があるんですと慰めるが、たきはただ泣くだけだった。

一方、ハマちゃんはと言えば、今日の騒動ですっかり疲れきっていたので、もう鯉太郎の横で寝ていた。

丹後半島

海岸の眺めの素晴らしさに感激していたハマちゃんは、車を運転していた前任者の洲本(神戸浩)に、どうしてこんな所が嫌になったんですか?東京本社より良いじゃないですかと不思議そうに聞く。

それに対し、力なく笑った洲本は、ハマちゃんをスッポンの養殖場に連れて来ると、スッポンは今甲羅星をしている最中だが、臆病なので、人影が見えただけで水の中に潜ってしまうので注意して下さいと言いながら、温室の扉に案内する。

用心しながら扉を開けたハマちゃんだったが、その途端くしゃみをしてしまったので、姿を見せていたスッポンたちは一斉に水に飛び込み姿を隠してしまう。

それを観ていた洲本は、バカと一言呟く。

その後、洲本に案内され、鳴き砂温泉露天風呂に入ったハマちゃんは、スッポンと3日暮らせば、ここがどんな所か分かりますと苦々しげにいう洲本に対し、あなたの名前って「スッポン」とも読めない?と無邪気に聞く。

丹後支社である二階家に連れて来た洲本は、ハマちゃんの夕食として、弁当を用意しすると、自分はさっさと帰ってしまう。

鯉太郎とみち子の写真を取り出し、釣り新聞を読もうとしたハマちゃんだったが、夕暮れ迫る海を眺めていると、なんか寂しいな〜…と呟くしかなかった。

翌日から「鈴木シーファーム」と書かれたスッポン養殖場に1人来たハマちゃんは、餌など用意しながら、スッポンの様子を眺めるが、手に取ったスッポンの腹の部分に、スーさんの顔がだぶって見えるのだった。

その頃、本社の社長室で企画を練っていた秋山専務は、坂本の提出した企画が全部やり直しだと社長から突き返されたことを教える。

昼時になったので、草森室長が、蕎麦でも取りましょうか?と重役たちに声をかけるが、重役たちは遠慮もなくウナギ!と全員言い出す。

ある日、岩場で、鯉太郎とみち子の写真を観ながら寂しさの余り泣いていたハマちゃんは、こっそり近づいて来たみち子から、その写真を奪われたのでビックリして振り返る。

観ると、鯉太郎をおんぶしているスーさんも一緒ではないか!

支社にやって来たスーさんは、近頃海に行ってる?とハマちゃんに聞くが、いくら釣りバカでも、竿を持っているだけで嬉しいもんじゃない!毎日独り言ばっかで、出るのはおならとため息ばかりとハマちゃんは愚痴り出す。

この辺では、3年後と呼ばれるブリの3年経ったものが釣れるとハマちゃんが言うと、スーさんはこれからどうかねと誘う。

すると、ハマちゃんは、隠し持っていたバッグを開け、中におさめた釣り道具類を披露しながらも、3年後をやるなら竿では無理で、「かったくり」と言うやり方をしないとダメだと教える。

「かったくり」とは、釣り糸の先に泥鰌を2匹付け、かかったら、ひたすらかったくるのだと言う。

その後、船で沖へ出た2人は、ブリをひたすら「かったくる(釣り糸を素手で引揚げる)」のだった。

スーさんはハマちゃんに、もう少しここで辛抱してくれる?と耳打ちして来たので、ハマちゃんは、ルール違反だよ。俺たちは釣り仲間なんだから、ここに会社の話は持ち込まない約束だよと注意する。

それでも気の毒がったスーさんは、良い年なのに寂しくない?と聞くと、みち子と鯉太郎をこっちに呼ぶもんとハマちゃんは言い出す。

スッポンそのものは余り興味ないけど、ボートの手付金2万は払ったので、そのボートで将来は釣りをやりたいという。

それを聞いていたスーさんは、それが本当の人間らしい生き方かもしれませんわと感心する。

夜、支店の1階にある風呂を湧かしてやっていたハマちゃんは、先に入っていたみち子と一緒に自分も入りたくなり、みち子がダメと断るのも無視して、外に服を脱ぎ捨てると、無理矢理風呂の中に入り込む。

その頃、2人に気を使って、鯉太郎をおんぶして外に散歩に出ていたスーさんが戻って来るが、まだ早すぎるかと判断し、鯉ちゃんがこっちに来ると、じいじはちょこちょこ来れなくなるんだよと寂しげに鯉太郎に語りかける。

やがて、浜崎家では引っ越しの準備が終わろうとしていた。

会社で会議中だったスーさんの元にみち子から電話が入り、別れの挨拶を言うので、他の重役たちに聞こえないように、秘密の釣り部屋の扉を開いたスーさんは電話を持ってその中に入り、電話を代わったらしき鯉太郎に向かい、向こうに行ったら、パパとママの言うことを聞いてねと優しく語りかけ、思わず涙するのだった。

引っ越し業者に荷物を渡し終えたみち子は、八の運転するワゴン車に乗り込み出発する。

ところが、途中、道の反対側からふらふらと近づいて来たハマちゃんと出会ってしまう。

ハマちゃんは、呆然とした様子で、「スッポンが!!」と叫ぶだけ…

会社では、スッポンが、ストレスのあまり共食いをして全滅をしてしまったらしいと、ハマちゃんからの連絡をスーさんや秋山専務に説明する。

ハマちゃんはショックの余り、自宅に戻って来ていると聞いたスーさんは、この際「プロジェクトA」から手を引くと宣言し、どこかに浜崎を引き受けてくれる所はないかと言い出す。

佐々木課長は即座にありませんと答えるが、スーさんはその場から人事課の坂本の意見を聞く電話をし、なさそうだと知ると、だとすると、君が引き取りなさい。勝手に出向させたんだからと佐々木課長に命じる。

それを聞いた佐々木課長は立ちくらみ起こしそうになる。

秋山専務や佐々木課長らが部屋を出て行くと、1人になったスーさんは、これで一件落着か…と呟くのだった。

その後、上機嫌になったスーさんは、前原運転手の車の中で「黒猫の丹後♬」と歌い出す始末。

ハマちゃんの自宅にやって来たスーさんは、気落ちしているハマちゃんと再会すると、親子3人水入らずで暮らしたかったんだろうけど…と同情の言葉をかける。

それに対し、ハマちゃんは、可愛がっていたスッポンを全部殺しちゃった。特に可愛いやつにはスーと名付けて可愛がっていたのに…と微妙な発言をする。

生きる気力すら失ったようなハマちゃんを前にしたスーさんは、もう車を返しちゃったけど。今夜どうしようなどと言いながら、突然思い出したように、土産として持って来た「富翁」と言う名酒を取り出してハマちゃんに見せつける。

それでも、ハマちゃんの関心が惹けないと分かったスーさんは、今度は鯉太郎に用意して来た釣りの玩具を取り出して遊び始める。

しかし、それを観ていたハマちゃんは、スーさん、今日はありがとう。でもまだそんな気持ちになれないんだと断ろうとするが、スーさんがたどたどしい手つきで釣りの玩具をいじっているのを観ているうちに、徐々に我慢が出来なくなり、とうとう自分もその玩具で勝負し始めるようになる。

後日、太田丸で、又以前と同じように釣りに出たスーさんは、すっかり元気を取り戻したハマちゃんの頬にキスをするのだった。