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女死刑囚の脱獄

一時期、新東宝の看板女優だったらしい高倉みゆき主演の「女囚もの」

1960年代に、既にこうした素材が映画になっていたことに驚く。

女囚房の中の同性愛関係なども描かれている。

通俗と言えば通俗の極みのような内容だが、前半部分は無実の罪で投獄されたヒロインが脱獄し、東京に舞い戻るまでのサスペンス仕立て、後半は通俗ミステリ仕立てになっている。

悪役イメージが強い沼田曜一が、珍しく刑事役を演じているのが興味深い。

登場人物が限られているので、そう意外な犯人像は描けないと思うのだが、そうした制約の中では良く考え抜かれていると思う。

何故、裁判で無実が証明されなかったのか?とか、グラスに付いた京子の指紋のトリックはどうやったのか?とか、京子たちが鉄格子を切るのに気づいた弓子が、何故もっと早くそのことを看守に教えなかったのか?とか、宇都宮駅に着いた時、京子の方はどうやって列車から脱出したのか?など、あれこれ考えると疑問点も多いのだが、通俗ものなので仕方ない所かもしれない。

もっと退屈な内容を想像していたのだが、意外にもそんなに退屈はしなかった。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1960年、新東宝、石川義寛脚本、中川信夫監督作品。

湖畔

猟銃を撃った今井有道(林寛)は、お供をして来た島明夫(和田桂之助)に、恭子と結婚するまでに、銃の撃ち方をみっちり教えてやるよと話しかける。

今、有道が撃ったカモを拾い上げた明夫は、心臓を一撃ですねと感心しながらも、人間にもこんな風に当たったら死んじゃうんでしょうね。自分は時々誤って人間を撃ちそうで怖いんですなどと臆病な所を見せる。

同じ湖畔に来ていた有道の後妻美鳥(宮田文子)に娘の美奈子(三田泰子)は、京子さん、フィアンセが来ているのに荘一さんと歩いているのねなどと嫌みを言う。

有道の前妻の子京子(高倉みゆき)は、赤尾荘一(寺島達夫)と仲睦まじく歩きながら、明夫のことを気にする荘一に、あの人はパパが勝手に決めた人だからと関心がないことを打ち明け、さらにあなたの子供が出来たのと教え、君のお父さんは頑固で古風な人だから苦手だと会うことを渋る荘一にその場で口づけをかわす。

そんな2人に近くから猟銃を向けていた美奈子に気づいた美鳥は、危ない!と銃を跳ね上げるが、美奈子は、本当に撃つはずがないじゃないのとふてくされる。

猟を終えた5人を迎えたのは、それまで、木にナイフを刺して暇つぶしをしていた運転手の武藤(渡辺高光)で、5人は2台の自動車に分乗して帰途につく。

自宅で京子から、荘一と結婚したいと聞かされた有り道は、予想通り激怒して反対する。

明夫くんの父親に顔が立たないし、明夫くんは将来、うちの社長になってもらおうと思っていたのだという。

京子は、荘一との間に子供が出来たのだと打ち明けるが、すぐ始末するんだ。出て行け!と怒鳴りつけて来たので、京子は、私にだって考えがありますと大声を上げて出て行く。

その後、興奮を鎮めるため、戸棚のウィスキーを取り出してグラスに注ぎ、飲み干した今井有道は、その直後急に苦しみ出すとその場に昏倒してしまう。

警視庁の宮田警部(沼田曜一)は、赤坂のいまい産業社長が殺されたとの電話を受ける。

屋敷で宮田警部から事件当時のことを聞かれた美鳥は、何故、夫が自殺したか分からないと答えたので、まだ自殺と決めつけない方が良いですよと宮田警部は釘を刺す。

その時間は下の娘の美奈子とお茶を飲んでいた。京子は父親の死体に抱きついて泣いていた。京子は自分の実の娘ではありませんと答える。

そんな事情聴取の様子を部屋の外からうかがっていた武藤に、女中の加代(津路清子)が近寄って来て、あんた大丈夫なの?前科者だし、ちょいちょい酒を盗み飲みしていたでしょう?と囁きかけて来るが、武藤は大丈夫さ、俺はいつも手袋をして触っていたからとうそぶく。

宮田警部に呼ばれて事情を聞かれた加代は、京子と有道は、その時間言い争いをしていたと証言し、武藤の方は、今日まで働かせてもらったのは、旦那のお陰であり、自分が旦那を恨む理由がない。事件のあった時刻にはガレージにいたと答える。

警視庁に戻って来た宮田警部の元に、京子のバッグから見つかった香水瓶の中に青酸カリが入っていたという報告が届く。

再び警視庁に呼び出された美鳥は、そのことを知らされると、あの子は実子ではないが、そんなことが出来る子ではないと弁護する。

次いで呼ばれた美奈子は、お父さんと義姉の京子の関係に付いて聞かれると、義姉はいつも父を死んでしまえば良いと言ってましたと答える。

京子は、グラスに付着していた指紋があなたのものと一致したという鑑識結果を突きつけられるが、きっと誰かが仕組んだんですと否定する。

新聞紙上でも、京子が白か黒か?と興味本位でかき立てられる。

裁判にかけられた京子は、尊属殺人で死刑を言い渡される。

その判決文を聞いた京子は、必死に、違います!私は殺していません!と叫ぶのだった。

ハイヒール姿のまま乗せられ走り出した護送車の後を、荘一が追って来る。

しかし、最終判決も死刑だった。

盛岡刑務所

4人房に入れられた京子は、同じ房の女囚人君江(若杉嘉津子)から身体を探られ、胸が張っていることから事情を聞かれたので、生まれて7ヶ月の坊やがいるのだと打ち明ける。

そんな京子に同情した君江は、その内良いことがあるかも知れないよなどと無責任な慰め方をする。

そこに看守に伴われ入って来たのは、同性愛のため独房に入れられていた弓子(浜野桂子)とよし子(美谷早百合)だった。

弓子は女性看守に悪態をつきながら房に入るが、新入りの京子を見つけると興味を持ったらしく抱き着いたので、よし子が嫉妬する。

ある日、京子に面会の知らせが来ると、弓子は、男だろ?と悔しがる。

面会に来ていたのは赤尾荘一だった。

坊やの写真は持って来てくれた?とせがむ京子に、荘一は、思い出すと思って持って来なかったという。

女中の加代が言っていたが、事件当日の昼間、美鳥らが銀座に出ていた日、島明夫が屋敷に来て、君の部屋にも入ったそうだ。そして今彼は、この盛岡に来ているそうだと教える。

それを聞いた京子は、ここにも2、3度会いに来たけど会わなかったと言う。

荘一は、彼の盛岡寮に行ってみると言い残して帰って行く。

房に戻って来た京子に、弓子が男のことをしつこく聞いて絡んで来たので、それを見かねたよし子が、悔しいと言いながら京子に襲いかかる。

面会の様子を聞いた君江は、子供の写真を忘れるような男は当てにならない。今に見てなよ、がっかりするよと忠告する。

中庭での運動の途中、耐えきれなくなった京子は散歩の列を勝手に離れ、金網にすがりつくと、こんな所にいるのは嫌!早く出して!と叫び出し、看守になだめられる。

君江は京子に、あれからもう3ヶ月も経ったけど、男は来ないじゃないか。思い切ってここから逃げてみよう。1人じゃダメなんだと誘って来たので、京子はやると決心する。

君江は、縄梯子は大分出来ている。鉄格子を切る奴はまだ受け取っていないというので、相手は誰?と京子が聞くと、模範囚のマリだという。

後日、運動のとき外に出た京子と君江は、マリ(朝倉彩子)が金網越しにヤスリを投げてくれたのを確認するが、間が悪いことに、女看守がその側に立ってしまい近づけない。

やがて、運動時間が終わりそうになったので、思い切って君江が女看守に話しかけ、皆の元に一緒に連れて行った隙を狙い、京子が落ちていたヤスリを拾い上げる。

夜中、弓子とよし子が寝入っている間、京子はヤスリで窓枠にはまった鉄格子を斬り始める。

看守が部屋の前を通る時はベッドに横になり寝た振りをするが、足音が通り過ぎると又鉄格子を斬り始める。

しかし、その男に気づいた弓子が京子と君江の側に寄って来て、バラされたくなかったら向う行ってろ!と君江を押しのけると、京子に抱きついて来る。

それに気づいたよし子が起きて来て、弓子にしがみつくと首を絞めたので弓子が倒れてしまう。

それに気づいた看守が男の医者を呼んで来たので、どこの房も起きて来て刑務所内は騒然となる。

医者が弓子を介抱すると、ようやく気づいた弓子は男が目の前にいるので喜び、医者に抱きつこうと暴れ出したので、弓子とよし子は独房に連れて行かれることになる。

2人きりになった京子は、鉄格子を切り取り、そこから最初に抜け出た君江が屋上へ上り、京子も引き上げてやる。

さらに、板を隣の建物に渡し、それを2人は四つん這いで渡る。

そして、塀の外側の支えの部分を滑り降りて何とか地上に降り立った2人だったが、その時、脱走がバレたらしくサイレン音が響いて来る。

近くの小屋に隠れた君江は、目印は教会だよと教えて2人は別れることにする。

島製菓盛岡寮

島明夫の部屋にやって来た京子は、ノックをする。

ドアを開けた明夫は、そこに京子がいたので驚いた様子だったが、とりあえず部屋の中に匿ってくれる。

京子は、父を殺したのはあなたでしょう?隠してもダメよ!あの日、あなた、うちに来て、私の部屋にも入ったでしょう?

私はこの1年、あなたを殺すか自殺するか悩んだわとヤスリの尖った柄の部分を突き出して迫ると、明夫も、この1年考えて来たが、あなたは無実だと思う。僕を信じられないのなら、今ここで突き刺して下さい。それでも満足ですという。

すると、ヤスリを落とした京子は、あなたを信じませんが、私には殺せないという。

明夫はそんな京子に、自分の親類の家に離れがあるのでそこに隠れていて下さいと勧める。

その頃、君江の方は既に捕まっており、地元署の渡辺刑事(菊地双三郎)に事情を聞かれていたが、その時、警視庁の宮田警部から電話が入る。

宮田警部は今井京子が逃げたと聞き驚くが、ただちに、上杉刑事(高村洋三)には、京子が立ち寄りそうな赤尾荘一の家を、石井刑事(由木城太郎)には育児所を、加藤刑事(池月正)には島明夫の家を、それぞれ監視するよう命じる。

赤尾荘一は、車で今井の屋敷に来る所が目撃される。

島明夫は盛岡に行っていると上杉刑事が宮田警部に報告する。

その知らせを警視庁から受けた渡辺刑事らは島の寮にやって来て、京子が来なかったか?と聞くが、知らないというので、来たら知らせてくれと言い残して一旦帰る。

その直後、明夫は寮を出ようとするが、刑事が外で張っていることに気づき、窓から脱出する。

離れに匿われていた京子に会った明夫は、自分1人で東京に戻ってみるというと、京子も連れて行ってくれ。こんな所に閉じ込められているんは刑務所と同じで耐えきれないという。

そんな京子に、昨日の新聞にもう1人の脱獄囚が捕まったことが載っていたけど、焦ったからだって書いてあったと教えてなだめようとするが、どうしても子供に会いたいとすがる京子をそれ以上説得できないと踏んだ明夫は、冒険だがやってみましょうと決意する。

島製菓の寮で明夫に逃げられたことに気づいた刑事たちは、ただちに盛岡駅に向かう。

京子はメガネをかけ、雰囲気を変えて改札の列に並ぶが、その周囲には刑事たちの目が光っていた。

いよいよ改札を抜けようとした時、刑事が声をかけて来たので京子は驚くが、刑事が顔を確認したのは、京子の後ろの女性だった。

ホームで張っていた渡辺刑事たちは、何とか明夫を発見しようとしていたが、東北線廻り上野行きの列車が動き出したとき、いきなり列車に飛び乗った男がいたので、渡辺刑事たちも後に続いてデッキに飛び乗る。

二等車に入ろうとした刑事は、ちょうどトイレに入ろうとしていた婦人と目が合い、失礼ねと言われてしまう。

その後、二等車の車内を念入りに見回った刑事だったが、メガネをかけた京子が赤ん坊を抱いていたので、その赤ん坊は?と聞くと、私の子ですと京子が答え、そこに先ほどトイレに入っていた婦人が戻って来て、トイレ空きましたよと刑事に告げたので、刑事は仕方なくその場を離れることにする。

しかし、その婦人は京子の隣に座ると、ありがとうございましたと言って赤ん坊を受け取るのだった。

デッキにいた明夫に刑事が隠れてこの列車に乗り込んだ理由を聞くが、明夫は適当にごまかす。

その直後、明夫に京子が会いに来るが、刑事がやって来る危険性を感じた明夫は、京子をデッキのドアから外へと押し出し、自分も列車の外に出ると、京子の身体をかばうように失踪する列車の壁に張り付いて来る。

そのデッキにやって来た刑事はタバコを吸い出すが、その間、非力な京子は何度か手すりから手が離れかけ、それを必死に明夫が自分の身体で押さえていた。

やがて刑事が立ち去ったようなので、2人は何とかデッキへと戻る。

宇都宮駅

刑事たちは客席からホームを行き交う乗客に目を光らせていたが、列車が出発した瞬間、明夫はデッキからホームに飛び降り、先に駅の外に出ていた京子と合流すると、タクシーを拾って東京へ向かう。

宮田警部は部下たちに、赤尾荘一と美奈子の関係を探らせていた。

一匹の魚を追っているうちに他の魚が大きく見えるようになったんだと宮田刑事は上杉刑事らに言う。

そんな宮田警部の元に、盛岡県警の渡辺刑事らがやって来て、明夫と京子を取り逃がしたと報告する。

その頃、今井美奈子と赤尾荘一はキスをしていた。

車の掃除をしていた運転手の武藤は、音もせずに近づいて来た宮田警部を発見して、旦那の幽霊かと思って驚いたと言う。

この車は誰のかね?と聞くと、赤尾…と言いかけた武藤は、美奈子お嬢様のものですと答える。

エンジン部分に手を当てた宮田警部は、屋敷の中にいた今井美鳥に話を聞くことにする。

表にあった車を赤尾が乗っている所を目撃されているが?と聞くと、美奈子が貸しているのだという。

赤尾君と美奈子さんはどこかで会ってますね?と聞くが、美鳥は答えなかったので、その日は帰りかけるが、表で逃げ出した男を発見したので追いかけてみる。

捕まえたその男は島明夫だった。

近くの喫茶店に誘い話を聞くことにした宮田警部だったが、自分のことを信用しないと読んだのか、俺の魂を預けようと言い、警察手帳を明夫に手渡す。

それで心を許したのか、明夫は京子さんから聞いたのだがと前置きし、荘一という男はいい加減なようだ。貧しいのに車を買ったと聞いたと話すと、帰りかけた宮田刑事に手帳を返す。

宮田は明夫に、泳がせているだけだと打ち明ける。

警視庁に帰った宮田警部だったが、部下の上杉刑事が、すでに死刑囚が決まっている事件を掘り起こすと、我々のメンツが潰れますと抗議してくる。

しかし宮田警部は、今調べているのは真実を見つけ出すためだ。法は正義のためにあるんだ。我々のメンツなんて問題じゃないと答える。

東京の明夫の準備してくれた部屋に隠れていた京子は、窓から外を眺め、母親が抱いている赤ん坊を見かけると、たまらなくなって、赤尾のアパートに電話をしてみる。

すると管理人が出たので、明夫さんを呼んで欲しいと言うと、少し声が違う男が明夫を名乗って電話に出たので怪しむ。

そこに帰って来た明夫が驚いて、京子の手から受話器を降ろし、荘一の所へ電話したのですか?彼はもうアパートにはいませんよと教える。

アパートで電話に出たのは、張っていた上杉刑事だったのだ。

明夫は、約束を守って下さい。あなたは荘一くんを疑いながら、まだ愛しているのですね?あなたは今、自分の無実を証明するのです。そうすれば晴れて坊やにも会えるじゃないですかと説得する。

翌日、京子の赤ん坊が預けてある育児所へ出向いた明夫は、赤ん坊が、麻疹にかかった後、肺炎になり、一週間前に死んだと聞かされる。

育児所から出て来る明夫に気づいた石井刑事は尾行を開始する。

アパートに帰って来た明夫は、赤ん坊の写真を京子に渡し、元気でしたか?と喜ぶ京子に、一週間前に亡くなったそうだと教える。

それを聞かされた京子は、私は今日まで無実の証しを立てることと、坊やに会えるのを楽しみにしていたのです。それが亡くなったなんて、私はこれから何を楽しみに生きれば良いの?と泣き崩れる。

明夫はそんな京子を、あなたがここでくじけたら、悪い奴がのさばるだけじゃないですか!と励まそうとするが、その時、ドアをノックする音が聞こえる。

警察だと気づいた明夫は、非常口の方へ京子を連れ出そうとするが、そこにも刑事の影が映っていた。

警視庁で、京子と会った宮田警部は、君が刑務所なんかから逃げ出すからこうなるんだ。法はあくまでも法だと告げ、同行して来た明夫にも、君も逃亡幇助罪だと伝える。

2人が連れて行かれると、渡辺刑事らが宮田警部に、明日の朝10時に出発しますと挨拶する。

宮田警部は、10時にお渡ししますと約束する。

そして、上杉刑事には言われた通りにやってくれと命じるが、職権乱用にはなりませんか?と反論される。

その時電話が鳴り、逢い引きしていると聞いた宮田警部は、すぐに美奈子を連行して来てくれと命じる。

赤尾荘一が旅館でキスを交わしていたのは、美奈子ではなく、母親の今井美鳥の方だった。

その時、刑事が入って来て、2人を連行する。

その連絡を受けた宮田警部は美奈子の方の動静を聞くが、美奈子は箱根に行っているというではないか。

明日の10時までに連れて来てくれと宮田刑事は頼む。

翌朝9時、今井邸には石井刑事が張りこんでいた。

警視庁の宮田刑事の前に渡辺刑事らが来て、京子の身柄受け渡しを待ち受けるが、宮田警部は落ち着き鳴く室内を歩き回る。

9時半を過ぎると、さすがの宮田警部の顔に焦りが見えて来た。

その時、美奈子が屋敷に戻って来たので、車に駆けつけた石井刑事は本庁への出頭を願い出る。

その連絡を受けた宮田警部は、良し!大至急連行して来てくれと頼む。

10時3分前、美奈子が宮田警部の部屋に連れて来られる。

箱根では赤尾くんに待ちぼうけを食わされたね?と宮田が聞くと、青酸カリで夫の有道を殺したのは、あの2人です。私は財産が欲しかったんですと答える。

そこに、彼女の母の美鳥と赤尾荘一が連れて来られる。

美奈子が全部自白したことを知らされた2人は、がっくりうなだれて連行されて行く。

翌日の新聞には、今井殺しは、養母、妹、愛人の3人による犯行だったと発表される。

後日、晴れて無実の身になった京子は、明夫の運転する車でドライブに出ていたが、カミナリ族のバイクに前方を邪魔され、蛇行運転気味になっていた。

京子は、あの時のデッキの外のことを思い出すわと笑い、明夫も、しっかり捕まってないと、振り落とされますよと冗談で返し、車を走らせるのだった。