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阿修羅三剣士

「三銃士」を連想させる通俗時代劇。

おそらく、その単純明快で明る目の内容から、子供向けに作られたのではないかと想像する。

一心太助と大久保彦左衛門が話に絡んでいるのが興味深いが、個人的には、やたらと威勢が良い太助を演じているのが、その後もテレビドラマなどに良く出ている御木本伸介だったので驚いた。

今では脇役専門と言った印象だが、若い頃には、こんな美味しい役を演じていたこともあったとは…

かえって、主役の3剣士を演じている役者の方が今となっては馴染みのない人ばかりである。

正直、ぱっと顔と名前が一致するのは、左卜全と高田稔くらいしかいない。

この作品での左卜全は、長ゼリフを良く覚えているな…と妙な感心もする。

話は単純過ぎて、後半ちょっと飽きて来る部分がある。

仏像を京から持ち帰ろうとする3剣士を次々に賊が待ち受けており、その一難さって又一難と言った見せ方が、ちょっと単調すぎる気がするのだ。

蝙蝠組のちょっとコミカルな出で立ちなども、昔良く観た、子供向けテレビ時代劇を連想させるイメージである。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1956年、新東宝、藤島一虎原作、喜多川喜久雄脚色、中川信夫監督作品。

将軍家光の時代、京都

最近、幕府の朝廷への圧力には目に余るものがある。全ては老中松平伊豆守の計略…と公家同士の集まりで発言していたのは三条実広(若柳敏三郎)であった。

かくなる上は、帝のためにも御上に進言したいので、自ら江戸に向かおう。千代田城には綾子姫がおられるので、書状を渡したいと実広は言い出す。

しかし、他の公家たちは、京を一歩でも出たら伊豆守の手のものに命を狙われる危険性があると止めようとするが、実広は、朝廷のためなら自分の命などどうなっても良いと言い切る。

そんな密談を、天井裏で隠密が盗み聞きしていた。

早速江戸の松平伊豆守の屋敷に虚無僧姿で戻った隠密卯木文之進(西一樹)は、三条実広が、伊豆守様のご政道を非難した書状を持参し、御用商人大丸屋嘉平(林寛)の列に紛れ込み江戸に発ったと報告する。

それを聞いた松平伊豆守信綱(高田稔)は、家臣、田毎平馬(広瀬康治)に、その書状、上様に絶対渡してはならんと命じる。

その後、箱根では、伊豆守の息がかかった「蝙蝠組」の一党が、大丸屋の一行を襲撃し、書状を奪い取ろうと画策してたが、その道の脇の草むらで、深編み笠を顔に乗せて居眠りをしている浪人がいた。

一方、駕篭の列が通過するのを横目で観ながら、わらじの紐を結び直す振りをしていた鳥追姿の女は、やはり伊豆守の息がかかったお甲(阿部寿美子)だった。

駕篭の前に立ちはだかった蝙蝠組の一党は、その方たちを改めるといきなり言うと、駕篭の中を覗き始めるが、最初の駕篭には大丸屋嘉平、2つ目の駕篭には、その娘雪乃(宇治みさ子)が乗っていたが、3つ目の駕篭の中はもぬけの殻だった。

それでも、密書を持っているかもしれんと言い出した一党は、強引に嘉平や雪乃の身体を改めようとし出す。

その騒ぎを聞きつけ立ち上がった浪人に銃を突きつけ立ちふさがったのはお甲だったが、浪人は一瞬ひるんだと見せかけ深編み笠で銃を振り払うと、お甲をはねのけ道に出ると蝙蝠組に対峙する。

立派な武士が追いはぎの真似とは…とその浪人ものが言い、余計な真似をするなと威嚇して来た蝙蝠組に対し、斬れるものなら斬ってみろと見栄を張り、たちまち斬り合いが始まるが、その腕前が確かなのを見抜いたヒゲの蝙蝠組の頭は、奴は俺が引き受けたというと、槍を手に戦い始める。

その時、浪人の懐から堕ちた手紙を拾ったのがお甲だった。

手強いと察したヒゲの頭は、この場は引け!と一党に命じる。

蝙蝠組が退散したので、礼を言った大丸屋と雪乃は、これから江戸へ向かうと教えると、関口弥太郎(小笠原竜三郎)と名乗ったその浪人も、自分も江戸に向かうのでご一緒しようと言い、感謝される。

江戸に無事着いた弥太郎は、「呉服御用 大丸」の店の奥で、雪乃から新しい着物を着せられていた。

これから、弥太郎が御前様に会いに行くと聞いて、その成功を祈る雪乃だったが、当の弥太郎は、手紙を落としてしまったと悔しがっていた。

「大丸」の店を出た弥太郎を、外で、飴売り姿の隠密と張っていたお甲が尾行する。

弥太郎がやって来たのは、大久保彦左衛門の屋敷だったが、門番は、御前はお忙しいと言い、添え状を持たない弥太郎を頑として中に入れようとはしない。

座敷でが、その当の大久保彦左衛門(左卜全)が柳生又十郎(草間長十郎)相手に酒を飲みながら、なんか退屈じゃのぅなどとぼやいていた。

又十郎は、又、蝙蝠組に襲われましたなどと報告していた。

門番と話していてもらちがあかないと考えた弥太郎は、腕づくで門番を投げ飛ばすと、門の中に入って行くが、その時、門から出ようとしていた魚屋の一心太助(御木本伸介)とぶつかり、魚桶が落ちてしまう。

助けは怒り出し謝れというが、弥太郎は刀に手を抜くと、太助の髷を斬り落としてしまう。

驚いた太助は、天下の一大事だ!と叫びながら、大久保彦左衛門の元へ向かう。

彦左衛門は、浪人者が屋敷内に暴れ込んだと聞き、蝙蝠組か?豊臣の残党か?と槍を持ち出して来て、馬を引け!と張り切るが、相手はたった1人と聞き、飽きれて槍を放り投げてしまう。

玄関口で弥太郎に会ったのは柳生又十郎だったが、相手に田舎者呼ばわりされた弥太郎は、今日はもう大久保彦左衛門に会うのは止めた。お前とはこれで勝負だと自分の刀を触って言うので、果たし合いの申し込みと察した又十郎は、では時は馬の刻、場所はこの屋敷の裏手にある妙願寺でと約束する。

帰りかけた弥太郎は、左手を包帯で吊った侍と肩がぶつかっても謝らなかったので、この田舎者が!と又言われたので、果たし合いを申し込むが、相手が又、馬の刻、妙願寺でと言い出したので、その時刻は都合が悪い。馬の下刻ではどうだと提案して帰って行く。

門から出て帰って行く弥太郎の姿を、隠れて監視していたお甲が目で追う。

妙願寺に誘い出したお甲は、箱根では悪かったわね。これを拾ったわと手紙を見せながら、江戸で士官をお望みなんですって?老中松平伊豆守に推挙して上げましょうか?などと言い出したので、弥太郎は、拙者には頼る人がいると断る。

さっき、大久保様には邪険にされたじゃないの。又追い出されるだけだと思うわよと説得するお甲だったが、弥太郎が頑として言うことを聞きそうにもないと知ると、何て気の利かない田舎者かしら、勝手にするが良いさ。その代わり、これは渡さないよと手紙をちらつかせながら門を出ようとする。

そのとき、やって来た又十郎にその手紙を奪い取られてしまう。

又十郎は、その手紙を弥太郎に返すと、果たし合いに必要な立会人がまだ来ていないので待ってくれと言い出す。

弥太郎は、後がつかえているのでと少し困っている風だったので、では拙者も立会人はいらぬと又十郎も承知し、互いに剣を抜き合って身構えるが、そこに笑いながらやって来たのが、先ほど弥太郎がぶつかった左手を包帯で吊った浪人だった。

柳生、俺の相手もこの田舎者だとその浪人は言い、俺と先に勝負させてくれないかなどと言い出したのは、又十郎の親友、伊藤典膳(中村又三郎)だった。

そんな言い合いをしている所にやって来たのが蝙蝠組だった。

彼らは又十郎と天膳をいたぶりに来たのだが、その中のひげ面の頭を観た弥太郎は、おいヒゲ!御主は俺が相手だ!と声をかける。

それを聞いていた又十郎は、貴公にはまだ先口があったのかと苦笑する。

ヒゲの頭は、箱根は箱根、ここは別だと言いながら斬り掛かって来る。

弥太郎、又十郎、天膳の3人は蝙蝠組を相手に一暴れするのだった。

その後、大久保彦左衛門は、又十郎と天膳と共に戻って来た弥太郎の書状を読み、弥太郎が、自分が昔から良く知っていた関口矢吾左の孫と知る。

何しに江戸に参ったと彦左衛門が聞くと、弥太郎は悪びれもせず、出世しに参りましたと答える。

爺は、自分は戦場で受けた傷が元で出世できなかったが、彦左は昔平助と言っていた頃から知っていると言っていたと、本人を前にして、彦左、彦左と呼び捨てるので、一緒に聞いていた又十郎たちは焦ってたしなめる。

しかし、彦左衛門本人は面白がり、矢吾左の孫なら、関口流柔術が出来るであろう。ここで勝負だと言い出し、隣の部屋で勝手に戦おうとし始める。

ご老体相手では…と遠慮する弥太郎に対し、ここを戦場だと思って真剣勝負で来い!と言いながら彦左衛門は組み付いて来るが、あっという間に弥太郎に投げ飛ばされ、障子を突き破って、廊下で気絶してしまう。

その後、又右衛門が歌う黒田節に合わせ天膳が舞を披露し、弥太郎は愉快に酒を飲んでいた。

そこに大きな鯛を持ってやって来た一心太助が、弥太郎に先ほどの無礼を詫び、これから何でも言いつけて下さいと言うので、ブリとか鰹が足らんなどと弥太郎に言われたのでがっかりしてしまう。

ところで親分(大久保彦左衛門)はどうしたんで?と太助が聞くので、天膳が、ある人物と戦って、瀕死の重症だと言ったらどうする?などと言うので、誰です相手は?と太助がいきり立つと、それはこの男と弥太郎を指したので、片肌脱いだ太助は、又弥太郎につかみ掛かろうとする。

そこに槍を杖代わりにやって来た彦左衛門が、又庭先に降り、今度は真剣勝負だと言い出したので、仕方なく弥太郎も剣を抜いて構えるが、今日の所は貴様に負けてやったが、次は返り討ちじゃぞと言いながら、自分の方から槍を納めた彦左衛門は、蝙蝠組をとことん叩きのめすのだと弥太郎に命じる。

又十郎が、蝙蝠組とは牢中松平伊豆守が捨て扶持を与えている連中のことだと説明し、朝廷を押さえつけようとする松平のやり方に怒鳴りつけた所、伊豆守はことあるごとに楯突くようになったと彦左衛門が補足する。

その頃、隠密の卯木文之進は、伊豆守に、どうやら三条実広が江戸に入ったらしいと報告していた。

伊豆守は、田毎平馬に、くれぐれも大丸屋の動静に目配りを怠るなよと言いつける。

その夜、大丸屋の外を歩いていた弥太郎は、屋敷に忍び入る黒装束の姿を目撃し、自分も庭先に侵入する。

離れでは、大丸屋嘉平と雪乃が三条実広の相手をしていた。

箱根で襲われたと嘉平から聞いた実広は、では伊豆守は麻呂の出奔に気づいているのだなと驚く。

そんな会話を庭先で盗み聞いていた黒装束の相手に襲いかかった弥太郎だったが、覆面が取れた相手はお甲で、この仇はきっと討つからねと捨て台詞を残して去って行く。

その騒ぎを聞きつけた嘉平が誰何しながら障子を開け、そこに弥太郎がいるのに気づく。

雪乃は、今の争いでほつれた弥太郎の袖口を縫ってやりながら、さっき部屋の中にいらしたのが三条実広様で、御用が済ませたら京へ戻られるので、守って下さいと頼む。

弥太郎は、雪乃殿のお願いなら、必ず守ってみせようと約束するのだった。

その頃、大丸屋嘉平の方は、このように警戒が厳重では、綾子の方様にお会いするのも難しいと三条実広と思案していた。

三条実広は、何とか城中に入り込みたいものだと苦悩する。

翌日、雪乃が、二ノ丸(綾子の方)様のお誂えものをお持ちしましたと、従者たちに大きな長持ちを持たせて千代田城にやって来る。

綾子の方に対面した雪乃は、お誂えものを取り揃えて参りましたと長持ちの蓋を開けてみせると、中から三条実広が立ち上がったので綾子の方は驚く。

雪乃や侍女たちが引き下がり、2人きりになると、実広は綾子の方に、帝から家光殿に宛てた手紙をあなたの手で届けて下さらぬかと頼む。

それを受け取った綾子の方は、命に代えても…と約束する。

あなたはお小さい頃から気の強いお方で、いつもいじめられておりましたと幼なじみだった昔を綾子の方が懐かしがると、実広の方も、綾子殿が大きな声で泣かれるのでいつもそなたの父君から叱られていたと応じる。

綾子は次女の楓に、床の間に置いてある仏像を持って来させると、もう二度とお会いすることもないでしょう。この像は、将軍様から頂いた観世音菩薩ですが、これをこの綾とおぼしめしてお受け取りくださいと差し出す。

実広は、それを受け取りながら、麻呂はいまだに妻を娶っていない。今でもただあなただけを…と恋慕の情を打ち明けたので、綾子の方は、綾は哀しゅうございますと応じり、互いに手を取り合うのだった。

外で待機していたもう1人の侍女萩野(田熊節子)は、何者!と怪しい人影を見つけていた。

伊豆守は平馬から、隠密が得て来たこの事態を聞かされていた。

伊豆守には方策があったので、翌日、登城して、将軍家光(杉山弘太郎)に相見えると、よからぬ噂があります。綾子の方が京の公家と手を組んで、仏像に徳川家の滅亡を願っているとか…と言い出す。

それを聞いた家光が、何か思案があるか?と問いただすと、来月10日、将軍家代々の法要が執り行われるので、その時に綾子の方様に仏像を持参させるのです。持ってくれば噂は嘘、持って来なければ誠だったということになりますと伊豆守は提案する。

その後、綾子の方の元に上意が届き、翡翠の仏像を法要の日に持参すべしと言い渡す。

窮地に陥った綾子の方を見かねた楓は、実広様に早速仏像を戻していただきましょう。二の丸様には、早速お手紙をしたためて下さいませと進言する。

その頃、伊豆守はお甲を呼び寄せ、実広の館から仏像を盗んで来い。3剣士らもやってしまえと命じていた。

雪乃は楓から、来月10日まで後12日しかないと事情を聞かされ、綾子の方が実広宛にかいた手紙を託されていた。

雪乃は、弥太郎様ならきっと出来ると思いますと手紙を受け取るが、その帰り、待ち伏せしていた蝙蝠組に捉えられ、駕篭で連れ去られてしまうが、それを偶然目撃していたのが、出前の帰りだった一心太助だった。

太助は桶をその場に置いて駕篭の後をつけると、連れ込まれた屋敷を見届け、こいつは天下の一大事だ!と言いながら戻って行く。

雪乃は屋敷の中で縛られていたが、そこに駆けつけて来たのが太助から話を聞いた弥太郎だった。

弥太郎は、雪乃を救出し蝙蝠組と戦うが、そこに加勢に来たのが又十郎と天膳の2人。

戻って来た雪乃から話を聞いた大久保彦左衛門は、まさしく天下の一大事だ!と興奮し、弥太郎に行ってもらいたいと頼む。

雪乃も一生のお願いです。お投げイを聞いていただければ、弥太郎様の願うものは何でも差し上げますと言う。

当てつけられた又十郎と天膳だったが、自分たちも一緒に行くと言ってくれる。

一緒に話を聞いていた太助も連れて行ってくれと頼むが、彦左衛門から、お前は祝の席用の酒の肴の準備でもしておれと言われると、クソ面白くもない!とふてくされるのだった。

翌日、3剣士は馬に乗って京に出立する。

その馬の前に立ちふさがったのは蝙蝠組、3人は馬を降り戦い始めるが、又十郎が、ぐずぐずしていたら日が暮れてしまう。ここは俺に任せて先を急げと弥太郎に言ってくれたので、天膳と2人で馬を急がせる。

早駕篭に乗って先行していたお甲は、川人足たちに金を渡して、後から来る侍の邪魔をするように頼む。

その後、そこに近づいて来た弥太郎と天膳の馬目がけて、彼らは投石して来たので、たまらず2人は道を変える。

さらにお甲は、村興行を巡る相撲取り(佐賀錦を始めとする二所ノ関部屋の関取)の一向に出くわす。

彼らはもう3日も飯を食っていなかったので、お甲から金をもらって、後から来る悪い侍をやっつけてくれと頼まれると、すぐに承知する。

そこにやって来た弥太郎と天膳は、立ちふさがった関取たちと戦い始める。

お甲は、早駕篭でさらに先行する。

相撲取りたちをなぎ倒して馬を走らせて来た弥太郎と天膳は、今度は山中で鉄砲で狙撃されたので、又馬を降り、山賊たちと戦う羽目になる。

その後も、海岸で襲撃を受けたりするが、天膳が相手をし、弥太郎は馬を急がせる。

京に先に着いたお甲は、三条実広の寝所に忍び込むと、床の間に置いてあった仏像を盗み出す。

その後、京の三条実広に対面した弥太郎は、綾子の方から預かって来た手紙を渡す。

それを読んで仏像が必要と知った実広は、松平伊豆…、計りおったかと悔しがるのだった。

その頃すでに、お甲は仏像を持ち、早駕篭で江戸へ戻っていた。

気が気ではなく、大久保彦左衛門の元にやって来た一心太助だったが、笹尾喜内(築地博)からのんびりお灸など据えてもらっているのを見るといら立ってしまう。

さらに彦左衛門が、これまで何度も話して聞かせた、自分が16歳の頃の武勲を又始めたので、太助はすっかり暗記していたその話を自分自身で話して聞かせるのだった。

あげくの果てに一心太助は、いつも酒ばかり飲んでいる3剣士の悪口を言い出したので、彦左衛門はあの3人なら大丈夫だと太鼓判を押す。

それでも心配な太助は、あの3人は力は強いが知恵がない。相手は、松平知恵守の異名を取るくらい頭の良い人なんだと言うので、彦左衛門は、もし仏像が間に合わなかったら、この白髪頭を御主にくれてやるとまで言い切る。

太助は、そんな首をもらっても一文にもならないよと嘆くのだった。

その後、お甲から仏像を受け取った伊豆守だったが、一緒に観ていた平馬に、これは翡翠だと思うか?と聞き、わしはどうも翡翠ではないような気がすると言うと、念のため、目利きの壷屋宗兵衛(山川朔太郎)を呼び寄せて真贋を鑑定させてみる。

壺屋は、これは見事な京焼きで、匠剣山の作品であろうと判定する。

翡翠ではなく焼き物と知った伊豆守は、まんまと計られたか…と悔しがり、その仏像を庭先に叩き付けて壊してしまう。

偽物を掴まされたと知ったお甲も面目を潰し、蝙蝠組の所へ来ると、酒を飲みながら、こうなったら絶対仏像をお城の中に入れなければ良いのよと愚痴る。

いよいよ法要の日となるが、まだ3剣士が戻らないことに苛ついていた彦左衛門だったが、雪乃が訪ねて来ると、鷹揚に寝ていた振りをする。

二ノ丸様も心配していると雪乃は伝えに来たのだった。

法要が始まるまで、後、半刻しか残されていなかったので、彦左衛門も登城するため、着替えるしかなかった。

そこに太助が飛び込んで来て、伊豆守がもう登城したと知らせる。

それを聞いた彦左衛門は、仏像が来んのに登城できるか!と動揺を隠せなかった。

すると、太助が、時間がないんだったら、いつもの長ったらしい功名話でもして伸ばせば良いんじゃないかと言い出したので、それを聞いた彦左衛門は、それは妙案だと気づく。

伊藤天膳と弥太郎の2人は関所にさしかかるが、役人たちは2人を中に入れまいと妨害して来る。

やむなく2人は門をよじ上ると役人たちと戦いながら先を急ぐ。

彦左衛門は、お馴染みの盥駕篭に乗って城にかけ参じる。

城内で出会った伊豆守は彦左衛門 の姿を見ると、からかうように、何か心配事がおありなら、何でも相談されたいと言って来るが、何の心配もないわい!と言い捨てて、彦左衛門は奥へと急ぐ。

いつしか合流した3剣士だったが、まだまだ関所は多かった。

その頃、楓は綾子の方に、上様がお出ででございますと伝えていた、

綾子の方は思わず、実広様…と呟いていた。

彦左衛門邸の門前で待ち受けていた一心太助は、ようやく駆けつけて来た3剣士を見ると、城へと案内する。

そんな3剣士と太助の前に、又もや蝙蝠組が立ちふさがったので、3剣士とこん棒を持った太助は必死に戦い始める。

綾子の方は、もはやこれまでと、自らの懐剣を抜いていた。

家光の前にやって来た彦左衛門は、代々ご先祖様のご法要で思いついたことがあると言い出し、お経ばかりでは能がないので、先君の軍談なども一緒に披露すれば供養になるのではないかと提案する。

それを聞いた家光は面白がり、おじいさまの話とは懐かしいと身を乗り出す。

彦左衛門はこの機を逃すまいと、天正3年長篠の戦い、自分が16の時初陣でござった…と始めるが、さすがに家光も、その話はもう聞いたと止めさせ、おじいさまの話をとねだる。

彦左衛門は、天正3年5月21日、長篠の戦いで…と話しを続ける。

3剣士と一心太助は、ラグビーのように仏像の包みを互いに投げ合いながら、蝙蝠組をすり抜けて城へと近づいていた。

綾子の方は自害を覚悟し、懐剣を抜いていた。

城門前で待っていた楓に仏像を手渡す弥太郎。

楓が、仏像が!と叫びながら駆けつけたとき、綾子の方は懐剣を咽に突き立てる直前だった。

その直後、綾子の方は仏像を持って上様の元へ向かう。

無事務めを果たし終えた3剣士は、お堀で釣りを楽しんでいた。

弥太郎は綾子の方から褒美として頂いた小袖を着て雪乃と隣り合って釣っていたが、欲しいものの願いを今言っても良いか?と良い出す。

雪乃は喜んで、何が欲しいの?言って!言って!とせがむが、それをはぐらかせた弥太郎は、天膳と又十郎が釣り糸の先に吊るして冷やしていたヒョウタンの酒を一緒に飲まんかと勧めて来たので、そっちの方に近づく。

その時、竿を任されていた雪乃に当たりがあったので、慌てて、弥太郎様!と呼びかけたので、又、弥太郎は嬉しそうに雪乃の元へ戻って行くのだった。