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ウルトラマンサーガ

劇場版ウルトラマンシリーズの最新版

今回は、テレビタレントとして人気が出た、つるの剛士と杉浦太陽をゲストに向かえ、ウルトラマンダイナとウルトラマンコスモスが劇場版で独自に活躍するウルトラマンゼロと共に戦うエピソードになっている。

ウルトラ兄弟のふるさとであるウルトラの星がある設定のゼロと、ウルトラの星とは無関係な設定となった平成シリーズのダイナとコスモスを共演させるため、ここでは「平行宇宙」と言う概念を使っている。

似たような宇宙が、この世の中には無数に平行して存在するというSF発想であり、この種の「何でもあり」のご都合主義な設定の理屈付けとしてはぴったりなアイデアである。

とは言え、基本的にはこのシリーズ、大人向けのSFとしてではなく、あくまでも幼児対象のおとぎ話として楽しむべき作品だろう。

ダイナやコスモスで育った世代には格別にうれしい展開になっていると思うが、ウルトラファンと言っても別世代の目から観ると、ちょっと物足りなさを感じないではない。

そもそもウルトラマンの劇場版シリーズは、東映のライダーやスーパー戦隊もの同様、当初から予算がなく、着ぐるみやミニチュアセットなどの特撮部分に予算の大半を取られてしまうため、キャスト部分はテレビのレギュラーを中心にまとめるしかなく、スケールの大きな物語を組み立てにくい宿命を持っている。

CGなどを併用し、絵柄的にスケール感を出そうとしても、レギュラー陣以外のキャストがあまりそろえられないため、肝心の人間ドラマの部分が弱くなってしまうということだ。

この作品にしてもその制約から逃れることが出来ず、何故か、10数人と女子供たちだけしか残っていない地球のような世界と言うきわめて不自然な設定になっている。

もちろん、SFとしては、そう言う生き残った人類がサバイバルするようなテーマの作品ジャンルはある。

考えてみれば、「十五少年漂流記」の島に3人ものウルトラマンが乗り込んで来て、少年のために戦っているということだ。

発想は悪くないが、そのアイデアが巧く生きているかどうかは微妙。

前回「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」(2010)では、全く別の宇宙と言う特殊な世界観で描かれただけに、今回は、地球との接点を取り戻すための苦肉のアイデアだったのだろう。

劇中で、人間が次々にゼットンの繭に捕らえられ、神隠しのように消えて行き、世界中の防衛軍が攻撃に向かったが全滅してしまったという過程が、アンナの口から語られている。

予算がある映画であれば、正にその過程こそが、映画として描くべき最大のサスペンスとスペクタクルだったに違いないと思う。

そこを描かず、ゼットンの食料としては「最後の一口」くらいの数の人間しか残っていない、言わば「ゼットン誕生直前」を描くしかなかったのは、ひとえに予算がなかったためだろう。

大人として、その辺の事情が分かるだけに、逆にもどかしさも残るのだ。

何となくつじつま合わせはしていると分かるものの、幼児向けとしても、決定的なスケール感やサスペンス感の欠如は隠しようがない。

昔からの怪獣映画の伝統なのかもしれないが、ラストのミニチュア都市での戦いも、最初から人がいないと分かっているので、サスペンスに繋がりようがない。

敵怪獣もウルトラマンも、戦うごとにご都合主義に強くなって行くというパターンや、諦めるな!等と言う相変わらずの応援メッセージもさすがに食傷気味で、良く言えば、幼児路線への回帰、悪く言えば、ややアイデアの行き詰まりを感じる。

完全なファンタジー路線だった前作の方が、アイデアが豊富で面白かった気がする。

とは言え、この作品でも、全長10mくらいの中途半端な大きさのゼロなど面白いアイデアも観られ、全体的にもそれなりにまとまっていることは確かで、アンナ役の秋元才加などは良く健闘している。

敵怪獣ハイパーゼットンの最終形態が人間体に近いと言うのは、ちょっと異色かもしれない。

このシリーズでラスボスの最終形態は、キメラのようなごちゃごちゃモンスターになるケースが多かったような気がするからだ。

異色ではあるが、バット星人同様、敵キャラとしては今ひとつ迫力不足。(劇中でゼロもそう発言しているくらい)

個人的にはやや物足りなさを感じないではないが、シリーズの中ではほぼ水準作と言った所ではないかと思う。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2012年、「ウルトラマンサーガ」製作委員会、長谷川圭一脚本、岡秀樹監督作品。

誰かいませんか〜?

東京の町に女性の声が響く。

この通信聞いている人、誰かいませんか〜?

東京の町には人っ子一人いなくなっていた。

誰からの返事もなかった…

聞こえるのは、あいつの高笑い…

地球に残されたのは、もう私たちだけなのかもしれない…

メカに乗り込むアンナ(秋元才加)、「フォースゲートオープン!」格納庫が開き、飛行メカが発進して行く。

6地区に侵入した飛行メカ3機は、ロボットに変型してスーパーマーケットの前に着地する。

メカから降りた女の子たちは、急いで無人のスーパーの店内に入ると、大量に買い物を始める。

その間、外で待っていた女の子が、携帯レーダーで危険が迫ってないか計っていたが、数値を入れ間違えていたことに気づき、急いで修正すると、スーパーの真下にエネルギー反応が迫っていることに気づき、マーケットの中の仲間に連絡する。

買い物中だった彼女たちは慌てて入口から逃げ出すが、泥棒ではないことを示すために、自分たちの組織名を書いた紙を壁に貼って残しておくことを忘れなかった。

スーパーマーケットの前を突き破るように、突如、地底から怪獣アーストロンが出現する。

ロボメカに乗り込み応戦するが、飛び立ったアンナが一番近い場所を聞くと、7番という答えが帰って来る。

飛行メカは7番地区へ飛行し、アーストロンを誘導する。

アーストロンは、地下街を踏み抜き体勢を崩すが、口から吐いた炎で、アンナの飛行目かもやられてしまう。

その時、突如、ビルの谷間から巨人が出現し、アーストロンと戦い始める。

巨人は、アーストロンを空中へ投げ飛ばすと、光線で破壊する。

それを、あの巨人は…と唖然と見つめていた女の子たちは、自分たちの方に向かって親指を突き出す巨人を観て、味方だ!と喜ぶ。

世界が終わりに向かっていた時、3人の勇者がやって来た。

タイトル

ゼロ、聞こえるか?

ウルトラマンゼロは、別の宇宙の隕石の上に立ってその呼び声を聞くが、誰だか知らないが、俺は今取り込み中なんだと答える。

今正に、大勢の敵と戦っている最中だったからだ。

ある世界の地球という星が滅亡しかかっている。邪悪なものに支配されかかっているんだ…声は続く。

別の宇宙から俺を呼んでいる…。行ってみるか、地球とやらに…、そう決心したゼロは、別空間に突入する。

ウルトラの星では、息子が別空間へ飛び込んだことを、父親のセブンことモロボシ・ダン(森次晃嗣)が察知する。

何故、そんなことを?とレオことおおとりゲン(真夏竜)が聞く。

今、出現しているなぞの円盤に関係あるのではないかと、ウルトラマンことハヤタ(黒部進)が推測する。
恐ろしい計画が確実に進んでいるとウルトラマンジャックこと郷秀樹(団時朗)が指摘するが、ウルトラマンA こと北斗星司(高峰圭二)は、平行宇宙全てを監視することは無理ですと悲観するのだった。

とある宇宙のTPC火星基地では、長官になったヒビキ・ゴウスケ(木之元亮)が、ホログラフィーで、15回目のアスカ記念日の挨拶を始めていた。

スフィアの攻撃に立ち向かい、宇宙の果てに消えて行ったアスカ元隊員を偲ぶものだった。

スーパーGUTSのユミムラ・リョウ隊長(斉藤りさ)とコウダ・トシユキ参謀(布川敏和)も、テーブルに座ってアスカを思い出していたが、そんな会話に水を差すような言葉が聞こえる。

側のテーブルに座っていたタイガ・ノゾム隊員(DAIGO)だった。

思い出ばかり追っていたら、進化できない!と言い捨てて、タイガは席を立って行く。

その直後、謎の円盤の飛来をキャッチ、基地では、スフィアの生き残りか?と騒然となる。

そんな中、無許可で7番ハンガーから出撃したアルファ号があった。

その無茶振りは、まるでアスカのようだと、モニターで観ていたリョウ隊長は感じていた。

乗っていたのはタイガだったが、小型円盤と戦っているうちに、突如出現した巨大な円盤中心部のシールドで捕獲されてしまう。

そのまま円盤に捕獲されたタイガのアルファ号は、別の宇宙へ消え去ってしまう。

月がある地球

別宇宙から到着していたウルトラマンゼロは、無人の都会の様子を上空から眺めながら、何故どこにも人間がいないか?と不思議がっていた。

円盤のシールドに捕獲されたタイガも、同じ地球で目覚めていた。

タイガはゼロの姿を発見すると、ウルトラマン?とりあえず、お手並み拝見、ウルトラマンと、高みの見物を決め込むことにする。

ゼロは円盤軍と戦い始めるが、その時、地上に、自転車に乗った子供がいることに気づいたタイガは、その子供を守るために、アルファ号を発進させ、円盤とぶつかって落下してしまう。

それを観たゼロは、バカな!なんて無茶な奴だ!と呆れる。

タイガは、不思議な空間をさまよっていた。

俺、ひょっとして死んじゃった?

そんなタイガの身体に、光のゼロが手を伸ばしながら接近して来る。

地上で気がついたタイガに、あの自転車の子供が駆け寄って来る。

それを観たタイガは、子供が助かったことを知り喜ぶが、気がつくと、自分の左手に妙なブレスレッドが付いているではないか。

その時、どこからともなく、俺とお前が一緒になった。俺はウルトラマンゼロだと声が聞けた来たのでタイガは戸惑う。

どうやら、ブレスレッドから聞こえているようだった。

子供を助けたお前に感動したんだと続けるゼロの声に、タイガはいら立ったように、出て行け!今すぐ、俺の身体から出て行け!と怒鳴る。

これを装着して、俺になれ!と、ブレスレッドから、ウルトラゼロアイが浮かび上がるが、タイガはそれを拒否するかのように、手のひらで押しつぶす。

その時、突如、ビルの谷間からグビラが出現する。

子供を連れ逃げ出したタイガは、俺は絶対にウルトラマンなんかにならない!と叫ぶ。

しかし、グビラの回転角の上にバランスを保ちながら乗ったり、自分でも不思議な能力が身に付いていた。

お前の中に俺がいるんだ。これくらい当然!と又、ゼロの声が聞こえて来る。

そこに、青いウルトラマンが出現する。

ウルトラマンコスモスだった。

奴も又、あの声に呼ばれたのだろうか?ゼロの声がする。

コスモスは、グビラに光線を当て、和ませてしまう。

グビラがおとなしく帰って行った後、人間体に戻ったコスモスに会ったタイガは、春野ムサシ(杉浦太陽)と言う名前を教えられる。

何故、怪獣を倒さなかったのかとタイガが聞くと、興奮していただけなので倒す必要ないよと言うムサシ。

それを聞いたゼロは、慈愛の戦士コスモス、噂通りだなと感心すると、その声は、タイガだけではなく、ムサシにも聞こえるようだった。

その時、「タケル!」と呼びながら、3人の女の子たちが駆け寄って来る。

タケル(高村 竜馬)と言うのは、先ほどタイガが助けた自転車に乗っていた子供のことのようだった。

女の子たちは、どっちがさっきの青いウルトラマン?と聞いて来たので、タイガはすぐにムサシを指差す。

アンナら女の子たちは、自分たちのことを「地球防衛隊 チームU」と名乗る。

アンナたちは、タイガとムサシを自分たちの基地に連れて来る。

そこには、大勢の子供たちがいた。

アンナは、子供たちを守っていると教える。

子供たちと一緒にタイガたちを迎えたマオミ(小林香菜)が、あんた、どこから来たの?と聞いたので、タイガは、別の宇宙?と答える。

別の女の子は、タイガのユニフォームを観て、「アスカ?」と見間違えてしまう。

女の子たちに、どこに行ってたのよと囲まれたタケルは、言葉が出ないようだった。

彼女たちは、この世界に残されたのは私たちだけかも知れない。バット星人の実験場になってしまった。最初は鳥や動物が消え始め、次は人間が消えて行った…、正に神隠し…とアンナが、地球が無人になってしまった経緯を説明する。

原因は、ゼットンと呼ばれる何かの仕業らしい。世界中の防衛隊が出動したけど、誰も帰って来なかった…と続けるアンナに、でも君たちは生きてるとタイガは勇気づける。

しかし、その時、不気味なバット星人の笑い声が響き渡り、ゼットンの食事は、お前たちの怯えと絶望だ!と言う言葉と共に、ゴメスがグビラと共に出現し、基地に接近して来る。

ただちにムサシがコスモスに変身し戦い始めるが、相手が2体だし慈愛モードなので苦戦する。

その時、心の目で敵を察知するんだ!と言うゼロの声が聞こえ、ブレスレッドから飛び出したウルトラゼロアイが勝手にタイガの目に装着する。

ウルトラマンゼロが出現するが、何故かその大きさは、10mくらいの中途半端なものだった。

お前が拒否しているからだ!と苛立たしそうにゼロが文句を言いながらも、戦うことから逃げていると明日はない!と言いながら、グビラと戦い始める。

それでも、怪獣とはあまりにも大きさの違いがあるので、何でお前みたいな奴と合体したんだろう?一生の不覚だとゼロはぼやく。

地上で観ていたアンナが、ゼロの戦い振りをバカにしたので、ますますゼロはがっくりしてしまう。

コスモスは、ゴメスとグビラをおとなしく去らせることに成功するが、新しいウルトラマンに警告だ。私の実験場から立ち去れ!というバット星人の声が響き渡る。

人間体に戻ったタイガは、その夜、子供たちと一緒に基地内でカレーを食べ、大人のくせに人参を残したと突っ込まれたり、チビトラマンだとからかわれたりする。

バット星人が、新しいウルトラマンと言っていたけど、自分たちより前にウルトラマンがいたんだろうか?とムサシと話していたタイガに、ウルトラマンダイナがいたと子供たちが教えてくれる。

ダイナなら、俺の世界で教科書に載っている伝説のヒーローだとタイガは驚くが、アンナは不機嫌そうに、もういなくなったと呟く。

その夜、またもや、タケルが自転車で基地を抜け出そうとしていたが、外で女の子がギターを弾いていたので、アスカがその歌を歌っていた頃のことを思い出す。

タケルは、かつてアスカに勇気づけられたことを忘れていなかった。

その時、歌っていた女の子の元に近づいて来たタイガが、良い歌だねと褒める。

アスカが教えてくれたんですと答えた女の子は、タイガはアスカのこと嫌いなの?と聞く。

ガキの頃、俺の住んでいた町が怪獣に襲われた…とタイガは語り出す。

両親とはぐれて逃げていた時、ダイナが来て怪獣を倒してくれた。ありがとう、ウルトラマン…。ダイナのこと別に恨んじゃいないよ。でも、ずっと1人で生きて来て…

もしかして、運命かも知れないな…と話に割り込んで来たのはムサシだった。

君がゼロに会ったり、僕等がこの世界にやって来たのも…とムサシは続ける。

僕は子供と一緒に、怪獣やカオスヘッダーや人間が共存する惑星ジュランという所にいた。

そんな話を聞いていたマオミは、私も結婚したいと夢を語る。

同じく夢を聞かれたヒナ(島田晴香)は、この子たちをパパとママに会わせたあげることかなと答える。

翌朝、バッド星人の声が響き渡る。

今日は記念すべき日、ゼットンの目覚めの日だ!と。

巨大な繭のような中からゼットンが出現するが、その角には、石化したダイナが挟まれていたので、それを観た女の子や子供たちは驚愕する。

どうしてダイナが?!

ゼットンは、石化したダイナの身体を地上へ放り出す。

ゼットンの誕生を阻止するため、自ら繭の中に飛び込んだのだ。しかし全ては無駄に終わった。これはその祝砲だ!とバット星人の声が響く。

基地の上空に巨大な火の玉がいくつも落下して来る。

ムサシは直ちにコスモスに変身し、一人で隕石を破壊し始める。

タイガは、子供たちを必至に逃がすが、逃げ遅れたケン(安藤 健悟)が怯えて踞っていたので、その場に駆けつける。

ケンは泣きながら、パパ、どこ?と呼んでいた。

それを聞いたタイガは、自分が子供の頃、怪獣に襲われ、怯えながら両親を捜していた自分を思い出す。

助けて、ウルトラマン!

タイガ、しっかりしろ!今はお前がウルトラマンじゃないか!ゼロの声が響く。

女の子のクーちゃん(森くれあ)が落とした、泥にまみれたクマの人形を見つけたアンナは、何のためにこんな…と絶望に顔を歪める。

タイガ、お前情けなくないか?こんなことになって…、お前、悔しくないのか?とゼロの声が責める。

これが本当の俺だ!と、基地の中に入ったタイガは、目の前にあったメカを叩きながら泣き出す。

そんなタイガは、目の前のメカに書かれていた地球防衛軍のマークを書いた表面が剥がれ、「山田工業」と書かれた本来の表面が露出したのに気づく。

そうよ、全部噓。うちら、地球防衛軍なんかと違う…。真っ赤な偽物なんだ…、そう言いながら女の子たちが近づいて来る。

(回想)ある土砂降りの夜、工場内で、女暴走族だったサワ(宮澤佐江)らが内輪もめをしていた時、元頭だったアンナが会いに来る。

その時、入口を叩き、そこに立っていたのが幼い子供たちで、彼らが、お姉ちゃんたち、地球防衛軍の人たち?皆を守ってくれる?と聞いて来たので、思わず、アンナが、そうよ、私たちは地球防衛軍!と答えてしまう。

(回想あけ)頭(かしら)の噓が、やがて、皆の噓になって…

私たちは、ただの整備工やOL、看護士に過ぎない…、それでも頑張った。でも、ニセモノはニセモノ…、何も守れなかった…、女の子たちは悔しがる。

いつしか、その告白を、扉の影からムサシも聞いていた。

違うよ!あんたら立派だ!そうタイガは言う。

ムサシと目が合ったタイガは、互いに頷き合う。

タイガはムサシと共に、ゼットンに戦いを挑みに出かける。

アンナは、行かないで!ゼットンは誰にも敵わない…。ダイナだって負けたのよ、私の目の前で…と止める。

(回想)まだ声がでいた頃のタケルと共に、ダイナとゼットン繭との戦いを観ていたアンナは、ダイナが繭に飛び込んで吸収される瞬間を目撃する。

その時、ダイナの身体から、何か光るものが飛び出して地上に落ちる。

タケルは、それを拾おうと近づいた所で爆発が起き…

(回想あけ)私はみんな観てたの。でも言わなかった…とアンナが告白する。

言うのが怖かった。タケルがショックで声が出なくなったのも、全部私のせいなのよ!とアンナは自分を責める。

それを聞いたタイガは、ダイナは伝説だからね。ウルトラマンを信じろ!と声をかけると、ウルトラゼロアイを空中に発射し、飛び上がって目に装着、ウルトラマンゼロに変身する。

今度は、巨大な本来の大きさのゼロだった。

ゼロはコスモスに、さあ、勝ちに行こうぜ!と声をかけ、一緒にゼットンの元へ飛び去って行く。

気がつくと、又タケルも出かけようとしていたので、それを止めようとした女の子たちは、タケルが何度も家出をしようとしていたのには理由があることに気づく。

出現した2人のウルトラマンに、最強になったゼットンの餌食となれ!とバット星人が叫ぶ。

この星の未来を取り戻すんだ!ゼロが叫びながら、ゼットンに挑んで行く。

タケルは、女の子たちが運転するジープで駆けつけて来る。

ゼットンは強く、コスモスは苦戦していた。

ジープから降りたタケルは、スコップを持って特定の場所に向かうと、必至に土を掘り始める。

その様子を見守るリーサ(佐藤すみれ)

そんな2人に、ゼットンが弾き飛ばした巨大な岩が飛んで来る。

その岩を空中で破壊したのは、飛行メカで飛んで来たアンナだった。

応援のメカもそろい、3対のロボットに変型する。

しかし、なかなか目的のものは見つからず、タケルは泣き出してしまう。

その時、タケル!諦めるな!と言う声が聞こえて来る。

その声に励まされるように、タケルは土を再び掘り始め、やがて、光る物体を見つけ出す。

その小さな石像のようなものを手にして、ゼットンの方へ向かおうとしたタケルに、ロボットに乗っていたアンナが声をかける。

お姉ちゃん、あの時、怖くなって逃げ出したけど、今度は逃げない。これをお姉ちゃんに届けさせて!

その言葉を信じたタケルは、石像をアンナに手渡す。

アンナは直ちに、ロボットを飛行メカに変型させ、ゼットンに向かって飛び立つ。

リーサも、私もアスカが生きているって信じていると言う。

人間が目障りだ!とバット星人が叫び、巨大な昆虫のような形態をしたゼットンは、不気味な触手を伸ばしてアンナの飛行メカを弾き飛ばす。

墜落しながら、操縦室を開いたアンナは、アスカ〜!みんな、あなたを待っている!目覚めて!と叫びながら、持って来た石像を、地上に横たわるダイナの石像に向かって投げる。

その直後、飛行メカは地上に激突してしまう。

リーサたちは、「姉さん!」と叫ぶ。

コスモスとゼロを攻撃して来る。

ゼロはゼットンに苦しめられていた。

その時、もう1人の巨人が助けてくれる。

復活したウルトラマンダイナだった。

戻って来たか!ゼロが喜ぶ。

ダイナは、倒れていたコスモスにエネルギー光線を当て、コスモスもよみがえらせる。

力が!コスモスも喜ぶ。

ウルトラマン、何故邪魔をする?人間などというつまらない生物を助ける?バット星人が問いかける。

別に理由なんかねえよ。ずっと昔からそうやって来た。ただそれだけのことだ!とゼロが答えながら、弓状のファイナルウルティメイトゼロを引く。

そこに、ダイナとコスモスもエネルギーを注入する。

お前が人間を語るなんて、2万年早いんだよ!と言いながら、ゼロは矢を放ち、ゼットンを射抜き破壊する。

その時、上空に静止していたバット星人の円盤が分解し始める。

これで勝ったつもりか?バット星人の言葉が響いて来る。

お前らが倒したのは、ゼットンの幼態に過ぎん。今こそ、完全態のゼットン、ハイパーゼットンが目覚めた。

俺様は、全ての宇宙に死をもたらす神になったんだ!とバット星人が叫ぶ。

出現したハイパーゼットンを観たゼロは、迫力不足だぜとバカにする。

しかし、戦い始めると、ハイパーゼットンは瞬間移動のような不思議な能力を発揮し、ウルトラマンが3人そろっても、まるで歯が立たないことが分かる。

一方、墜落した飛行メカから気絶したアンナを外に出したリーサは、目を開けて!死なないで、姉さん!と叫びながら、必死に蘇生措置を始めていた。

3人のウルトラマンは、ハイパーゼットンに苦しめられ、ピンチを迎えていた。

結局、ウルトラマンたちもアンナも息が絶えてしまう。

サワ(宮澤佐江)は、もう終わりだよ!と叫び逃げ出そうとする。

命は誕生したときから消滅へと向かう…とバット星人がうれしげに語る。

リーサは、そんなサワに、あの子は私たちを信じている!とタケルのことを観ながら告げる。

ゼットンこそが全宇宙を征服する。私が神として、君臨してやる。さぁ、恐怖と絶望の前にひれ伏せ!と嘲笑するバット星人。

結局、俺は、何も守れないのかよ〜?!タイガが絶望のうめきをあげる。

まだ終わりじゃない!人間体に戻ったアスカ(つるの剛士)がそう告げる。

限界を超えた時、はじめて見えるものがある!

諦めないで〜!いつの間にか声を失っていたはずのタケルが叫んでいた。

アスカ、タイガ、ムサシの三人は、ヒカリになって合体する。

その時、停まっていたはずのアンナの心臓も鼓動を始める。

巨大な光のウェーブが、ハイパーゼットンを弾き飛ばす。

光はやがて、今まで誰も知らなかったウルトラマンの形態になっていた。

ウルトラマンサーガの誕生だった。

起き上がったアンナは、その姿を観て、あのウルトラマンは絶対負けないと呟く。

サワは、基地にこの新しいウルトラマンが誕生したことを連絡していた。

ハイパーゼットンとウルトラマンサーガは、都市部に移動する。

女の子たちは、もう私たちに出来ることなんてない…と、その凄い戦いを目撃しながら呟くが、アンナだけは、まだ出来るはずよ私たちにもと呟く。

私たち、ウルトラマンを信じている!今度は私たちを信じて!

ミサト(梅田彩佳)が操縦する飛行メカに乗ってサーガの近くにやって来たアンナの叫びは、サーガの中のアスカ、タイガ、ムサシにもちゃんと届いていた。

信じているよ!ずっと昔から!アスカが答える。

左へ走れ!ウルトラマン!アンナが指示する通りに、サーガは移動を始める。

そのサーガの動きに釣られ移動していたハイパーゼットンは、地下街の上に来た時、足を踏み抜きバランスを崩す。

その隙を逃さず、サーガは、ブレスレッドから伸びた光の刃で、ハイパーゼットンを叩き斬る。

聞こえるかムサシ、タイガ、聞こえるか皆の声が?

行こうぜ!皆で生き抜いて行こうぜ!とアスカが叫ぶ。

宇宙へハイパーゼットンを運び上げたサーガは、ゼットンが発した巨大な火の玉を跳ね返し、満身の力を込めたパンチを叩き込む。

ハイパーゼットンは爆発し、光の粒子が地球に降り注ぐ。

勝ったんだ!地上でその光を見上げたアンナが喜ぶ。

これで、全ての命が帰って来る…、宇宙空間から地球を見下ろしながらタイガが呟く。

地上に付いた光は、それぞれ人間の姿を取り戻し、タケルの母(中丸シオン)もよみがえって、我が子を捜し始める。

タケルたち子供は、皆、無事、親と再会できた。

やっと終わったな…と言うアスカに対し、これから始まるんすよ、先輩!と声をかけたのはタイガだった。

クーちゃんにも、きれいに洗ったクマの人形が戻って来る。

別の宇宙のTPC火星基地

タイガは生きている…そう信じていたリョウ隊長は、宇宙空間にアスカの姿を観る。

あいつも、未来に向かって進んでいる。皆、又この空を飛ぼう!と言うアスカのメッセージを聞いたリョウ隊長は、私たちもいつか、あなたに追いつく!と約束する。

待ってるぜ!とアスカのメッセージが遠ざかって行く。

タイガは、この世界の未来が観たいんだ!と、タケルやアンナがいる地球に留まる決心をしていた。

海辺を一人歩くタイガに、アンナたちがジープで近寄って来る。

タイガはそれに乗って、走り出す。

さらばタイガ、さらば素晴らしき人間たち…、そう呟きながら、ウルトラマンゼロは宇宙に向かって去って行く。

地球の日本の夜景には、又、希望の光のように、よみがえった都市が光り輝いていた。