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釣りバカ日誌2

「釣りバカ日誌」シリーズの第2弾だが、前回、間違って転勤した東京本社を去り、故郷の四国へ戻ったはずだったハマちゃん夫婦だが、今回は、最初からずっと東京本社にいるかのような設定に変更されている。

シリーズ化を見据え、1作目の設定は忘れることにしたのだろう。

話はシンプルで、取り立てて複雑な展開がある訳でもなく、他愛無い内容と言ってしまえばそれまでで、いかにも低予算の添え物映画と言う感じなのだが、不思議とダレ場がなく、96分と言う上映時間を感じさせない出来になっている。

観客を飽きさせずに1時間半の時間つぶしをさせる、プログラムピクチャーの見本というべきなのかもしれない。

今回の舞台は伊良湖で、そこにある「羽衣伝説」を絡め、スーさんが謎の美女と出会うという、どちらかと言うとスーさんのロマンスの方にスポットを当てた内容になっている。

謎の美女を演じる原田美枝子以外に特に目新しいゲストがいる訳でもなく、内藤武敏、久米明、庄司永建と言った渋い脇役がちらり姿を見せている代わりに、前作にいた前田武彦や江戸家猫八などの姿は消えている。

戸川純以外は、社員たちも全員見慣れない人たちばかりで、いかにも予算をかけていない雰囲気がぷんぷんする。

女性たちの大きな肩パッドが入ったスーツや太眉メーク、机に置かれた当時の最先端だったであろうパッソコン類などが、今観るとさすがに時代を感じさせる。

当然ながら、主役の西田敏行も若々しく、三國連太郎も、まだそれなりに身体が動いている時代である。

今回、印象深いのは、谷啓演ずる佐々木課長の人柄が浮き出るエピソードがいくつか入っていることだろう。

口やかましい反面、部下思いの所がある好人物として、好ましいキャラクターになっており、作品全体も、地味ながらも、客の心をつかむテクニックがそれなりにきちんと詰まっている作品と言う感じがする。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1989年、やまさき十三+北見けんいち原作、山田洋次+堀本卓脚本、栗山富夫監督作品。

とある日曜日、寝ていたスーさんこと鈴木建設社長鈴木一之助(三國連太郎)を優しく起こしたのは、鈴木建設社員ハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)の妻みち子(石田えり)だった。

早起きして釣りの準備を始めていたハマちゃんは、スーさんに、早く朝支度をすませるように指示を出す。

握り飯を作りながら、真面目な顔でトイレの話をするハマちゃんで、横にいたみち子は噴き出してしまう。

船で沖に出たスーさんは、こういうのを「高人(こうじん)の別天地」と言うんだな…と嬉しそうにつぶやき、横で聞いていたハマちゃんは意味が分からずきょとんとなる。

ハマちゃんがまず鯛を吊り上げ、どうだいと自慢げにその獲物を持ち上げる。

タイトル

スーさんが、その戦果を使い慣れない使い捨てカメラで写真に収め、ハマちゃん手作りの握り飯を食っている最中、スーさんにも当たりがある。(キャストロール)

翌月曜日朝、鈴木家の玄関前に停まった社長専用車の運転手前原(笹野高史)は、スーさんを乗せると、妻の久江(丹阿弥谷津子)に見送られ、いつものように会社に出発する。

一方、ハマちゃんも、自宅の前でみち子とキスを交わして出社する。

道を掃除をしていた隣の主婦は、そんな朝っぱらから浮かれたハマちゃんを呆れて見送る。

鈴木建設の前で車を降りたスーさんは、草森秘書(園田裕久)が車椅子を差し出したので、反射的にそれに乗ろうとするが、すぐに気づいて立ち上がり、これは何だ?と聞く。

すると草森秘書は、主治医の木村先生がこれを擁した方が…と言い訳したので、そんなものはいらん!と断って、徒歩でエレベーターに乗り込む。

仕方がないので、草森秘書も車椅子を持って同じエレベーターに乗り込むが、そこにやって来たのがハマちゃんで、乗り込もうとしたエレベーターには車椅子に座るしかスペースが残されていなかったので、そこに勝手に座ると、釣りニュース新聞に載った「伊良湖」の情報ページを開いて読み始める。

それを背後に立って覗き込んだスーさんも、さっそく伊良湖に興味を持ったようだった。

営業第三課では、すでに社員たちが社歌を歌っていた所だったが、遅れて部屋に入ってきたハマちゃんは、こそりメンバーの中に潜り込むと、社歌の最後のフレーズだけをハモるのだった。

佐々木課長は、そんなハマちゃんのいい加減さを睨みつけ、だから君は10年経っても平社員なんだ。僕が君の年には課長だったんだぞ!と叱りつけるが、ハマちゃんは、その後がかなり長いんだよね〜と人ごとみたいに言う。

それは佐々木課長も常々感じていたことだったので、確かに…とつい同調してしまう。

その時、係長の山本が電話を受け、佐々木課長に電話だという。

電話を終えた佐々木課長は、常務に呼ばれていそいそと部屋を出て行く。

社員たちは、何しに行ったか分かる?次長昇進ですか?などと噂し合う。

その後、無人の洗面所にやって来た佐々木課長は、鏡に向かってがっくり肩を落とし、顔を洗い始める。

女子社員の恵(戸川純)は、もし課長が歌いながら帰って来たら、おめでとうございますって言わなくちゃ!でもダメだったら、相当しょんぼりしているだろうから傷つけないようにしないとね…などと話し始める。

それを鯛キャラが登場するパソコンゲームをしながら聞いていたハマちゃんは、それは逆だよと口を挟む。

あの人、見栄っ張りだろう?だから、昇進が決まったら、わざと不機嫌そうに戻って来て、ダメだったら、むしろ、得意の「昴」なんか歌いながら帰って来て…とその予想行動を自演し始める。

机の前でちょっとつまずき、本当は傷ついているんだけど、笑顔でハマちゃん、打ち合わせでも行かない?…な〜んて言うんだよ。さあ、どっちかな?とハマちゃんは興味津々。

すると、廊下から聞こえて来たのは「わ〜れは行く〜」と言う「昴」の歌声、部屋に戻って来た佐々木課長は、満面の笑顔で自分の机に戻るが、本当に途中で躓いてしまい、さらに、笑顔でハマちゃんに、打ち合わせでも行かない?と誘って来たので、ハマちゃんの予言が適中したことを知った社員たちは哀れそうな目つきで佐々木課長を見つめる。

ハマちゃんや恵も、そんな佐々木課長を慰めるが、涙目の佐々木課長は、俺は何も君らに同情されることなんてないんだよ!仕事も家庭も全て順調なんだよ!と必死に反論する。

そんな佐々木課長に、今度は社長から電話が入り、すぐに資料を持った佐々木課長は部屋を飛び出して行く。

スーさんの用事は、三和町に建設予定の郷土美術館の透視図に書かれた「鈴木一之助」の文字だった。

美術館の玄関口に大きくアーチ型に設計されたその文字はどう言うことかとスーさんは呼び寄せた社員たちに詰め寄る。

小野部長は佐々木課長に説明責任を任せる。

佐々木課長は、この美術館は我が社が建設料を前が負担しているので、このくらいの見返りはありませんと…と説明するが、それを聞いたスーさんは、君たちは社会観念をどう考えている?私は、会社や売名のためにやっているんじゃないんだ!こんなことをするから、土地を提供していただいた綿貫さんは断りにいらしたんだと、同席した三和町の代表を紹介する。

社長に剣幕に押され、仕方なく、佐々木課長は撤回しますと、設計のやり直しを明言し、上役たちと共に部屋を辞する。

綿貫に詫びて部屋を送り出したスーさんは、どいつもこいつも頼りにならん奴ばっかり…と一人嘆くのだった。

スーさんは、友人で医者の竹田医師(久米明)に心電図を観てもらっていた。

武田医師は、いつ死んでもおかしくないと友人だけにはっきりした診断をする。

社長なんか辞めちまえと言う武田医師に、後を任せられる奴がいないんだ。社員6000人とその家族のことを思うと…とスーさんは本音をぶちまける。

それを聞いた武田医師は、同じようなことを言っていた森田もぽっくり逝ったと、共通の知人の名を出して警告するのだった。

社長室に戻ったスーさんは、釣り用の隠し部屋に置いてある帽子をかぶって考えにふけっていたが、ノックがしたので、その帽子を隠し部屋に投げ入れ、扉を閉じる。

その日は、スカイタウンの視察があると、草森秘書が呼びに来たのだった。

その日、ハマちゃんが帰宅すると、スーさんが来ていたので、ちょっと驚く。

スーさんは何か心に屈託があるようで、一体いつになったら釣り三昧の暮らしが出来るのか…とぼやくので、社長辞めたら、暮らせなくなるの?と素朴な疑問をハマちゃんがぶつけてみると、そんなことはないと言う。

だったら、何を悩んでいるの?と聞くと、後継者だよとぼやくスーさん。

自分はこれまで、後継者を育てることをして来なかったためだと無念がりながら、スーさんは、今いる重役たちの顔を次々を思い浮かべて行く。

秋山(庄司永建)は人望がなさ過ぎる。中沢は英語が出来るだけ。久米は自分の意見を言ったことがない…と、次々に浮かぶうちに、佐々木課長の顔も思い出すが、これは問題外だと斬り捨てる。

そんなスーさんの想像の中に、ハマちゃんの顔も出て来る。

こいつには周りを明るくする癖がある…と一瞬思いつくが、すぐに我に帰って、こんなことを考えるようになったら、うちの会社は潰れる…と冷静に判断するのだった。

今度の日曜日はゴルフでダメなんだと、ハマちゃんの誘いを断ったスーさんは、君は人をあっと言わせてみせるような仕事をしてみたいとかの夢はないのかね?と聞いてみるが、ハマちゃんは、それはない!と即答したので、スーさんはずっこける。

スーさんをタクシーに乗せ、送り出したみち子は、なんだか、スーさん疲れているみたいね。気の毒だわ…と部屋に戻って来てつぶやく。

そんなみち子に、もし俺が社長になったら嬉しい?とハマちゃんは聞いてみると、社長さんなんて、毎晩、帰るの遅いんでしょう?そんなの嫌とすぐにみち子が答えたので、満足したハマちゃんは、さっそく寝室で合体をするのだった。

翌日、午後から仕事がないのでお身体を休めて下さいと勧める草森秘書に、明日から4日間休む。半日くらいでは休暇にならんと一方的に命じたスーさんは、前原の運転する車で東京駅まで来ると、財布を持って来なかったことに気づき、前原から所持金を貸せと言って取り上げると、1人で駅に入って行く。

その夜、みち子さんとの合体を前に、じゃれ合っていたハマちゃんに無粋にも電話をかけて来たのは、スーさんの妻の久江だった。

そちらにうちの人が来ていないかと言うのだった。

来ていないと知ると、どこ行っちゃったんでしょう?と久江は困惑している様子だった。

スーさんは、1人で、愛知県知多郡南知多町の師崎港に来ていた。

朝、一泊した角上旅館を出ようとしたスーさんに、女将がおせっかいにも、自分の麦わら帽足を持たせながら、あまり沖に行くな。堤防で釣りなさいなどとスーさんを素人と判断しアドバイスして来る。

船に乗ったスーさんは、同乗していたカップルから写真を撮ってくれないかとカメラを渡されたので、ファインダーをのぞくが、その時、ポーズを決めたカップルの横で、1人海を眺めている美人(原田美枝子)に目を留めたので、ちゃっかりそちらを画面に納めてシャッターを押すと、知らんぷりをしてカメラをカップルへと返す。

伊良湖岬に到着したスーさんは、島崎藤村の石碑を読んだ後、釣り場所を探すが、自分には無理な難所が多かったので、無理せず、女将に言われた通り、堤防で釣り竿を降ろすことにする。

その時、一枚の羽衣のような布が空を飛んでいるのを発見、その布は海に落ちるが、それを残念がっているのは、船の中で観たあの美女だった。

スーさんは、持っていた釣り竿で、その白布を取ってやろうとするがなかなか難しい。

ようやくすくいあげて、釣り竿にかけ、干している間、その美女と恋路ヶ浜で戯れていたスーさんは、突然、胸の痛みを覚え、砂浜に倒れ込む。

驚いて駆け寄る美女に、スーさんは息も絶え絶えに、上着の内ポケットに薬が入っていると告げるが、美女はなかなか分からないようだった。

もう、いかんか…?

ようやく薬を見つけて持って来た美女は、それをスーさんに飲ませた後、ホテルの人を呼んで来ると言い残して立ち去って行く。

1人砂浜に取り残されたスーさんは、海を見ながら釣りをして死ぬのか…、まあ良いや…とつぶやくのだった。

その頃ハマちゃんは、久江と町の茶店で会い、スーさんの居場所に付いて話し合っていた。

ハマちゃんはすぐに伊良湖で間違いないと推理するが、久江は、狭心症の薬を持ち歩いているスーさん意味を案じていた。

見つけに行きますと席を立ったハマちゃんに、久江はもう一つ聞きたいことがあると言い、あの人に女の人の噂はないかと尋ねる。

すると、ハマちゃんは、それはありえませんわと断言し、うちの女子社員たちも、社長のことは歩く鬼瓦と言っているくらいで、女に嫌われるタイプですと言ってしまう。

それを聞いていた久江は、私も女なんですけど?と反論すると、だから変なんです。前から物好きだな〜と思ってなどと、調子づいたハマちゃんが答えたので、機嫌を損ねた久江はそのまま帰ってしまう。

取り残されたハマちゃんは、ひょっとして怒っちゃった?とつぶやく。

スーさんは、夕方、美女のホテルの部屋のベッドの中で目覚めていた。

美女は、かなり疲れているって、お医者様が言ってましたよとスーさんに告げ、今夜はここに泊まって行くんですよと命じる。

その頃、ハマちゃんは、自宅を出て、釣宿の太田屋へ向かおうとしていたが、見送るみち子と、会社への休暇届の言い訳として、今度は誰を殺そうかと悩んでいた。

横浜の姉ちゃんや、川崎のおばちゃんは、もう既に殺しているので使えないと2人は悩んでいた。

伊良湖まで車で送らされるはめになり、店で待っていた太田屋の八郎(中本賢)は、鹿児島の兄貴を殺そうと話しながらやって来たハマちゃん夫婦の会話を聞いて、それ、何の話だ?と肝をつぶす。

その頃、スーさんは、謎の美女と夕食をとっていた。

美女は、海って、色んなことを思い出すでしょう?と、窓から夜の海を眺めながら呟き、学生時代、海でパーティをしたときの楽しい思い出などを語り始める。

あの頃は、世の中は楽しいことばかりで、会う人は皆良い人ばかりと思い込んでいたなどと語る美女に、スーさんはどう言う仕事をなさっているんですか?と聞いてみる。

こんな豪勢なホテルに泊まり、贅沢な夕食をとっている彼女がOLですと答えたので、スーさんは信じかねたのだが、思い切り贅沢をしてみたくなっちゃって…と美女は言う。

ここで好きにして下さいねと言いながら、寝室に引き揚げた彼女のことばに、スーさんは夢を見ているような心持ちで彼女に本当ですか?と確認しようとするが、パジャマに着替えている最中だったので、失礼!と慌ててしまう。

しかし、美女は気にしない様子で、ベッドの中から、おじさん、あの時、何て言ったの?と、恋路ヶ浜で倒れていたときのことを聞く。

スーさんは、海を観ながら釣りして死ぬんだと思ったので、それで本望だと言ったのです。きっと寂しかったんでしょう。一人ぽっちになったという…。釣りをするときは時々独り言を言うんですと答えるが、もう彼女は眠っていた。

夜中、そんな彼女がうめき声を上げたので、驚いたスーさんが寝室に入ってみると、彼女は悪夢でうなされているようだった。

何か辛いことがあったのでは?と言いながら、手をさすってやると、その手を握り返して来た彼女は、もう少しここにいて下さいと頼み、目を閉じる。

そんな彼女の顔の近くに身を寄せたスーさんだったが、こりゃ、心臓に悪いと呟いて、急いで寝室から出て来る。

翌朝、ハマちゃんは、一晩中、小さな車にゆられて、ようやく恋路ヶ浜に到着していた。

浜では既に釣りを楽しんでいる人が何人もおり、それらをうらやましそうに見ているうちに、すぐ、スーさんらしき人物を見つける。

ハマちゃんは、その人物に近づき、その男がかけていたサングラスを外して声をかけるが、怒って振り向いたその早川という男は全くの別人だったので、ハマちゃんは唖然としてしまう。

一方、泊まったガーデンホテルの一室のベランダから、パジャマ姿の美女と並んで、ヤシの実でも流れ着いていないかなどと言いながら双眼鏡で外を見ていたスーさんは、車の所にいたハマちゃんの後ろ姿を発見してしまう。

ハマちゃんの方も、望遠鏡で周囲を見渡しているうちに、ホテルのベランダでパジャマ姿の美女と一緒にこちらを双眼鏡で覗いているスーさんを発見、呆れてホテルに向かう。

フロントで、2人が泊まっている部屋を聞き出そうとするが、係員はそう言うお答えは出来ないというので、つい、懐から黒い手帳を取り出して、こういうものですが…と言うと、刑事と勘違いしたフロント係員はあっさり部屋番号を教えてくれる。

1102号室に向かい、ノックをすると、スーさん自らあっさりドアを開け、ハマちゃんを中に入れてくれる。

そして、謎の美女のことを娘だよと紹介したので、ハマちゃんは唖然として、そんなこと、奥さん何も言ってなかったと言い返すが、スーさんは、アメリカから帰って来て、事情があって、わしの方に先に会いに来たんだという。

美女の方も娘のように受け答えし、先に帰ると言い出し、それをにこやかに見送ったスーさんは、すっかり上機嫌な様子で、ハマちゃんに何しに来たの?などとしらっと質問する始末。

心配していただけに、スーさんの態度にむかついたハマちゃんだったが、窓から見える浜辺を前に、やる?と言われると、もう流行る気持ちは押さえきれなかった。

その日、角上旅館では、ハマちゃんの腹踊りが披露される。

その後、スーさんは会社に戻り、通常の生活が始まる。

ハマちゃんも久々に出勤し、佐々木課長に、兄の葬儀のことなど白々しく報告するが、それを睨みながら聞いていた佐々木課長は、ずいぶん日に焼けたね?などと嫌味で返して来る。

外で受付をやっていたものですからと言い訳をしたハマちゃんだったが、立ち上がった佐々木課長は、これから懲罰委員会に行こうといい出す。

鹿児島に電話をしたら、死んだはずの君の兄さんが出たんだと佐々木課長が言うので、噓の休暇申請がバレたと分かるが、ちゃんとした理由があるので、ハマちゃんは堂々としていた。

廊下でスーさんとすれ違ったときも、ハマちゃんは目でスーさんと合図し合うが、スーさんの方は、ハマちゃんが、自分のために懲罰委員会にかけられることをその時はじめて知る。

一方、事情を知った恵たちは、社内でハマちゃんの減刑嘆願運動を始めていた。

営業三課に戻って来たハマちゃんは、もう免職だと覚悟して、机の中の整理を始める。

それを観ていた佐々木課長は、まだ免職と決まった訳ではないよと優しい言葉をかける。

それを聞いたハマちゃんは、なんだか俺、いままで憎まれ口ばかり聞いていたような…と殊勝なことを言い出したので、佐々木課長の方も、わしの方もいつも怒鳴ったりし過ぎだったと反省し、ハマちゃんは、課長とは別れたくないですと感情が高ぶり、2人はひしと抱き合うのだった。

その日、吉田建設の社長(内藤武敏)と落ち合ったスーさんは、秘書の間宮弥生と紹介された吉田社長のの連れを見て驚愕する。

伊良湖で会った、あの「羽衣の美女」だったからだ。

吉田社長は君も驚いたのか?彼女と会ったものはみんな驚くんだ。美女だし、英語とフランス語が出来るんだと説明した後、ちょっと用事があるので失礼すると部屋を出て行く。

弥生の方も驚いたようで、部屋で2人きりになると、鈴木建設の社長さんと知っていたら助けませんでしたわと、くだけた様子で冗談を言う。

スーさんも奇遇を喜び、あの時は無性に釣りをしたかった。あなたに会えなかったら、どうなっていたことか…と打ち明ける。

やがて、吉田社長が戻って来て、漢方の精力剤の話などをするので、スーさんは慌てて吉田社長を止める。

会社に戻って来たスーさんは、ハマちゃんを懲戒免職するしかないが、嘆願書がこれだけ集まったと言う報告を受ける。

この男は他人に迷惑をかけるが、何故か人望があると言う中沢に、彼の首を斬らない余裕のようなものはないのかね?と問いかける。

それを聞いた中沢は、スーさんの意図する所を察し、では、今回は特別に罪はなしといたしましょうと答える。

部下が退出した後、スーさんは、ちょいと電話をしといてやろうと呟く。

次の日曜日、太田屋でハマちゃんは、来ると約束したスーさんの到着が遅いので苛ついていた。

船が出発する間際に、ようやくタクシーが到着し、スーさんが連れて来たのは、弥生とその息子のまさとだった。

すっかり弥生のことをスーさんの娘と思い込んでいたハマちゃんは、2人も歓迎し、一緒に船で釣りに出発する。

弥生もまさとも、すっかり釣りの魅力に取り憑かれたように大喜びだった。

そんな船に近づいて来たのが、毎朝新聞の取材班で、まさとや弥生と一緒に釣っていたハマちゃんのことを仲睦まじい親子連れと思ったらしく写真に撮り始める。

隣にいたスーさんは、まずいと思い背中を向けるが、そのスーさんの後ろ姿も映り込んだ写真が、その日の夕刊に載ってしまう。

それを見たのが、スーさんの妻の久江で、何も知らないスーさんが釣りから帰って来ると、さっそく、その写真に写った女性は誰かと聞いて来る。

妻にとっては、後ろを向いていても、着ている服で自分の主人とすぐに見分けがついたのだ。

しかし、スーさんはごまかそうとして、それはハマちゃんの彼女だととっさに噓を言ってしまう。

久江は、あの愛妻家のハマちゃんが?と信じられない様子だったが、赴任先で知り合ったら行く、注意したんだが深みにハマっちゃってなどとスーさんが熱心に説明するのでその気になり、許せないわと言い出すと、ハマちゃんの家に電話をすると言い出す。

みち子と2人で、刺身を肴に晩酌をしていたハマちゃんは、久江からの電話を受け、今日、同行した女性のことに付いて聞かれたので、娘さん、お母さん似ですねなどとお愛想を言う。

すると、久江が、うちの娘はサンフランシスコにおり、父親似で鬼瓦みたいな顔なのと言うので、ハマちゃんは「What?」と聞き返してしまう。

すると、久江から電話を取ったスーさんが、一方的に怒鳴りつけて電話を切ってしまう。

しかし、久江はスーさんの態度に不信感を募らせ、まだお隠しになっているの?と言いながら、救命胴衣の紐をつい引っ張ってしまったので、服が膨張し始めてしまい、スーさんは慌てる。

一方、ハマちゃんは、あれが娘じゃないと言うことは…と1人悩み、スーさんが浮気をしている所見ちゃったんだよな…とみち子に、伊良湖のホテルで弥生と一緒にいたスーさんのことを説明していた。

翌朝、出社したハマちゃんは、受付嬢を始め、会う女子社員たちが全員自分を避けているのに気づく。

訳が分からないまま営業三課に来ると、やはり、恵たちも自分を避けており、佐々木課長が行こうと促して来る。

今度は、社長室で査問委員会だと言うではないか。

社長室には、ひげを剃っていたスーさんを前に、重役連中が顔を揃えていた。

秋山が代表して、毎朝新聞を取り出すと、写真に写っている吉田建設の社長秘書と、鈴木建設のネーム入りジャンパーを着たハマちゃんが一緒に写っていると言うことは、密かに談合していると思われてしまうと説明する。

それを聞いたハマちゃんは、その女性は、ここに背中が映っているじっちゃんのこれなんですと、小指をあげてみせる。

隣の社長専用洗面所でひげを剃っていたスーさんは、そのハマちゃんお説明をヒヤヒヤしながら聞いていた。

部屋に戻って来たスーさんは、ハマちゃんに君は俺を裏切る気?と小声で耳打ちすると、彼女がこの紳士の彼女だとすると、彼は無関係だと、ハマちゃんをかばおうとする。

しかし、その紳士の素性が分からなければ立証しようがなく、名を明かしなさいと秋山から責められるが、ハマちゃんはスーさんを睨みながらも、きっぱり、言えません!と答え、偉い!とスーさんから声をかけられる。

このままでは君は処分を受けるよと言われ、ハマちゃんは一旦退出する。

今回は寛大な処分にできないと発言する専務たちに、スーさんは、釧路の視点辺りに行かせたらどうだろうと提案するが、それを聞いていた佐々木は、それでは何の処分にもなりません。あいつは、釧路支店が出来た時、鮭の投げ釣りをしてみたいと言っていましたからと発言する。

では、海がない信州の松本辺りならどうだろう?とスーさんが言うと、渓流釣りにハマられてもしたら大変ですと佐々木が答える。

専務が、それでは首にしましょうと言い出すと、それが一番喜びます。かねがね、千葉辺りで船宿をやりたいなどと言っていますからと佐々木課長が付け加える。

ではどうすれば一番奴を懲らしめられるんだとスーさんが言うと、佐々木課長は、本社に残して出世コースに乗せ、係長辺りにするしかないと言い出したので、黙って聞いていた秋山は、そんな懲罰があるか!とたまらず切れてしまう。

後日、再び、弥生を連れて、商談でスーさんに会いに来た吉田社長は、近々弥生が結婚するので、今日は早めに彼女は帰るのだと言い出す。

唖然としたスーさんだったが、色々お世話になりましたと頭を下げる弥生に、それは良かったですね、おめでとうと祝辞を送る。

彼女が退出する時、スーさんは手を差し伸べ、彼女と握手する。

「さようなら」「お元気で…」

彼女が先に帰った後、スーさんは弥生の結婚は良縁なんだろうな?と心配するが、吉田社長は、7日に博多でするそうだ。自分もつい最近まで気づかなかったが、遼遠らしいと太鼓判を押す。

それを聞いたスーさんは、窓際で思わず微笑むのだった。

その後、ハマちゃんの所にやって来たスーさんだったが、ハマちゃんは、噓をつかれたことに怒っており、えっと、どなたさんでしたっけ?と、浮子をはちまきに2本突き立て、鬼のような扮装で嫌みを言って迎える。

みち子は、自分はスーさんを信じていた。もうダメなんでしょう?と聞いて来たので、スーさんはむっとして、私はそんなに枯れてませんよと答え、みち子に、あれこれ持参して来た豪華な土産を手渡す。

そうした物で釣ろうというスーさんのやり方を面白く思えないハマちゃんだったが、スーさんは、直接謝罪しようとはせず、ハマちゃんがかねてより欲しがっていた最新式の電動リールや高級釣り竿をプレゼントされると、さすがに満面の笑みを浮かべるしかなかった。

スーさんは、そんなハマちゃんに明日の釣りを誘う。

ハマちゃんはすぐに乗り気になるが、スーさんが、ハリスの0.5号で1kgの黒鯛を5枚もあげたことがあると言い出すと、そんな力があるはずがない。俺だって無理なんだから、そんな嘘をつくなら、自分の目の前で釣ってみてくれ!などと2人は楽しい口喧嘩を始めるのだった。


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