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三大怪獣 地球最大の決戦

この作品も又、公開時から何度も観て来た作品なので、改めて書くこともあまりないのだが、今の目で見返して気づいたことなど書き記してみたい。

まず、この映画も又、怪獣出現までの時間が長い。

ゴジラが、逃げる鯨の後から出現するという素晴らしいアイデアのシーンまで39分、横浜港に上陸するシーンは46分もかかっている。

さらに、この作品の目玉となる新怪獣キングギドラが出現するのは、始まって53分も経ってからである。

そこまでは人間ドラマが話を進展させて行く訳だが、この話自体がファンタジーそのもので現実味がほとんどない。

では、つまらないのかと言うとそうではなく、「キングコング対ゴジラ」同様、アイデアが詰め込まれており、奇想天外なストーリー展開にどんどん引き込まれてしまう所がすごい。

まず、サルノ王女のセルジナ国なる架空の国の描写が楽しい。

首の周囲にフリルを付けた、まるで時代劇のキリシタンバテレンかアラビアンナイトに出て来る衣装である。

さらに、特別機に乗ったサルノ王女に接近して声をかけて来たように見える光の正体も良く分からない。

あれが金星人だったのか?

それとも、あの光は特別機を破壊した何か兵器で、女の声はサルノ王女の心の中に眠っていた本能が語りかけたということなのか?

この辺が、最後まで観て来ても今ひとつ理解しにくい。

塚本研究所で催眠状態にかけられたサルノ王女が語った、5000年前に滅ぼされた金星から地球にやって来た1人の末孫だとすると、キングギドラは金星を滅ぼした後、5000年間どこにいたのだろう?という疑問がわいて来る。

地球の文明が発展するまでどこかで監視していたということか?

それとも、5000年は別の銀河系かどこかに行っていたということなのか?

さらに、北アルプス山中に落下した隕石がキングギドラだったということは、冒頭でたくさん降っていた流星は、同じキングギドラの卵だったということなのか?

それとも、たまたま5000年振りに金星近くの地球に降り立ったキングギドラと、他の流星は関係なかったということなのか?

ただ、そうした不可解さは、観終わった後に気づくことであって、観ている途中は、直子、進藤、村井、マルネスらの行動が交差的に描かれていることもあり、あまり気にならない所が巧い所なのかもしれない。

直子が所属している東洋テレビの「20世紀の神話」取材班という設定は、「キングコング対ゴジラ」のテレビ番組「世界驚異シリーズ」に似ている。

SFというよりも、オカルトも含め、不可思議なものをおもしろおかしくテレビで紹介するという一種のゲテモノ発想であり、そのうさんくささが、怪獣と言うSFで説明してしまったのではつまらない独特の空想の産物を、いかにももっともらしく成立させる鍵なのだと思う。

この作品ではさらに、サスペンス性を加えるために、サルノ王女暗殺を企むマルネスらの暗躍とそれを防ごうとする警視庁の刑事進藤という設定。

さらに、キングギドラの誕生を、観客と共に目の当たりにする役目を担っている村井助教授。

そして、最後に、金星人に憑依されたようなサルノ王女の謎を解く役目として登場する精神科の権威塚本教授…と、なかなか物語を形作る設定に抜かりはない。

通俗ながらも、こうした周到な人間ドラマが用意されているために、ゴジラやキングギドラの出現が遅くても、あまり退屈しないで物語の展開に身をゆだねることが出来るようになっている。

はっきり言って、大人としては、後半の怪獣プロレスシーンはあってもなくても関係ないとさえ思える。

ゴジラとラドンをモスラが説得するシーンは、大人が聞くと愉快というしかない。

今までの行きがかりはさっぱり捨てようではないかとか、地球は人間だけのものではないなどと大人びた言葉を吐くのは「まだ赤ん坊のモスラの幼虫」である。(小美人が、テレビ番組でそう解説している)

随分、ませた口をきく赤ん坊である。

小美人の通訳の方に問題があるとするならば、小美人の方が大人びた日本語表現を良く知っていることだろう。

全体的に観ると明らかに子供向け映画なのだが、大人が観ても、あれこれ面白い所が見つかる作品である。

上野公園とか富士山麓で集まっている群衆シーンや、松本市内で逃げ惑う民衆たちはやはりすごい。

役者部屋俳優+事務所エキストラなんだろうが、皆ちゃんと演技している。(2、3人、笑って逃げているように見える人物も見受けられはするが)

マニアに取っては言わずもがなのことだろうが、村井助教授の調査隊に参加している中に、ウルトラQの「変身」でお馴染みの野村浩三と、ウルトラマンの着ぐるみ役者や、ウルトラ警備隊のアマギ隊員として知られている古谷敏がいる。

マルネスの配下にも、ハヤタ隊員こと黒部進も登場しており、テレビ特撮ブーム前夜の雰囲気が見て取れる。

キングギドラも、改めて観ると、ちょっと弱すぎるかな?と言う気もしないではないが、その勇姿は今観ても魅力的である。

ゴジラ、ラドン、モスラの三大怪獣は、かなり子供を意識した可愛らしい造形になっているような気がする。

だだをこねるゴジラというのも可愛らしいが、モスラが赤ん坊という設定なので、この作品でのゴジラとラドンは、さしずめ小学生くらいの年齢のイメージなのかもしれない。

なかなか印象的なシーンも多く、ロケもあちこちバリエーションに飛んでおり、シリーズの中ではまずまずの出来と言って良い作品ではないだろうか。

ラストの羽田での王女と進藤との別れのシーンは、おそらく、有名な「ローマの休日」を意識したものだろう。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1964年、東宝、関沢新一脚本、本多猪四郎監督作品。

キングギドラの鱗をバックにタイトル

戦うゴジラたちの勇姿を背景にスタッフ、キャストロール

深夜2時の銀座

宇宙円盤クラブ特別集会がビルの屋上で行われていたが、円盤が現れないので、会長(松本染升)は今日は失敗だと諦める。

会員の一人が、やはり雑音があるとダメだということだろうと発言したので、取材に来ていた東洋テレビ「20世紀の神話」取材班進藤直子(星由里子)は、その雑音って私のことですか?とむっとしたように聞く。

発言した会員は、あなたは円盤を信じていますかと直子に問いかけ、直子が口ごもると、円盤を信じていないその脳波が円盤に伝わるんですと、完全に新興宗教のようなことを言う。

会長は、今は1月、真冬だというのにこの暑さはどうですか?と最近の異常気象のことを指摘し、その異変は地球だけではなく、銀河系以外でも起こっているのですと、まるで観て来たように直子に伝える。

その時、望遠鏡をのぞいていた女性会員が円盤ですと声を上げたので、会長は望遠鏡でのぞいてみるが、それは円盤ではなく流星だと言う。

しかし、その流星が次ぎから次ぎへと舞い落ちる姿を会員たちは見つける。

警視庁では、直子の兄で刑事の進藤(夏木陽介)が、課長から指示を受け、1人部屋に残されていたので、新聞記者の小牧記者(加藤春哉)が何かあるのかと探りを入れて来るが、事件とは無関係らしいと知ると窓の外から聞こえて来る救急車のサイレン音の方に気を取られ、何かあったんですかね?と記者らしからぬことを言う。

日本脳炎が発生したという進藤の言葉に真冬の今頃?と驚いた小牧記者だったが、空から古流星群の多さに目を止め、世界中で起きている異常気象や流星群の異常増加のことを例に出し、地球のタガでも緩んじゃったんですかね?とぼやいて帰る。

その言葉を証明するかのように、新聞には、異常気象、正月なのに28度で、海水浴をするものもなどという記事が載っていた。

部屋にやって来た沖田課長(平田昭彦)は進藤に、セルジナ国のサルノ王女が来日するので、君にその護衛役をやってもらいたいと指示すると、王位継承者であるその王女の暗殺計画があるらしいと教える。

いつ来るんです?と聞いた進藤に、サルノ王女はすでに特別機で出発していると言いながら、沖田課長は王女の写真を取り出して見せる。

その頃、セルジナ国では、国王暗殺を指示した男(大友伸)に部下のマルネス(伊藤久哉)が、王女は再び帰られることはないでしょうと告げていた。

特別機の中で、窓から外を眺めていたサルノ王女(若林映子)の側に来た老臣(天本英)がそろそろ就寝するように勧めるが、王女は星がきれいなので、何か飲み物を持って来てくれと頼む。

その直後、光が特別機に近づき、王女の眼に光が当たると、女性の声で「ここから直ちに立ち退くのです」と聞こえて来る。

すると王女はまるで夢遊病者にでもなったかのように、立ち上がると、部屋を出、非常扉を開けると、飲み物を持って来た老臣の目の前で空へと飛び降りる。

次の瞬間、特別機は空中爆発を起こし、機体は飛散してしまうのだった。

一方、流星の一つが日本アルプスに落下する。

その調査に黒部ダムにやって来たのは、帝都工大の村井助教授(小泉博)率いる学生調査団だった。

電力会社社員(岡豊)から、隕石は黒岳の向う側のかすみ沢に落下したと教えられる。

さっそく、かすみ沢に向かった調査団だったが、村井を始め、全員のコンパスが狂っていることに気づく。

やがて、隕石らしきものを発見した一行だったが、持っていたピッケルなどがその隕石に吸い寄せられて行く。

刑事部屋にやって来た進藤は、沖田課長から、もう王女の護衛の必要はなくなった。特別機が爆破されたよ。こちらには出先機関がないので、外務省もお手上げだと教えられる。

一方、妹の直子の方は、宇宙円盤クラブの取材テープを編集中だったが、そこにやって来た金巻班長(佐原健二)が、予言者が現れた!上野だ!と言うので、さっそく、直子は上野公園に向かう。

西郷隆盛の銅像の側にはすごい野次馬が集まっていた。

地球は今、滅亡の危機にさらされていますと叫んでいたのは、サルノ王女に良く似た女性だった。

何故か、男物の服と帽子をかぶっており、一件浮浪者風の出で立ちだったので、野次馬たちは、誇大妄想ってやつだねなどと冷やかし半分だった。

そこに到着した直子がマイクを向け、あなたは誰ですかと聞くと、私は金星人と女性は答える。

それを聞いた野次馬の一人は、キンセイってアフリカか?などと聞くので、他の野次馬が空の星だよと教える。

直子と一緒に来ていた小牧記者が、地球の危機って何ですか?と問いかけると、九州の阿蘇で異変が起こりますとその金星人と名乗る女性は告げる。

阿蘇山研究所員は、そのことでやって来た取材陣に、今のところ火山には別に異変はなく、いちいちそんな予言を気にしていられないと相手にしなかった。

その夜、帰宅した進藤は、家の前で車から降りて来た妹の直子を観かける。

どうやら男から送ってもらったらしいと気づいた進藤は、さっそく直子をからかう。

あの方は、村井さんという今取材して来た人よと答えた直子に、母親サト(英百合子)が、その村井さんというのがボーイフレンドかい?と聞いて来たので、呆れて、あの方、大学の助教授で、今回の落下した隕石の調査隊長よと直子が答えると、良いじゃないかとサトは気に入ったようだった。

進藤がテレビをつけると、サトは7チャンネルにしてくれと言うので、仕方なくバラエティ番組「あの方はどうしているのでしょう」に回す。

公開放送らしく、司会者の青空千夜、一夜が登場し、かつて話題となった人に会いたいと投書をくれた人が面会する番組だと説明すると、その日の投書をしてくれた子供2人(中島孝平、鏑木滝義)を舞台に招く。

会いたいのは誰かと聞くと、モスラ!と言い出したので、司会者たちは困惑し、観客席にも笑いが広がるが。ダメなの?と言われた司会者は、私は噓は申しません!などと池田勇人首相の言葉を真似、カーテンを開くと、セットが登場し、魔法の絨毯のようなものに乗った小美人(ザ・ピーナッツ伊藤エミ、ユミ)が降り立って来る。

モスラは2人とも元気?と聞く子供に、1人は死んじゃったけど、もう1人は元気よ。まだ赤ん坊だけどと小美人は答え、子供たちに眼をつぶらせると、「幸せを呼ぼう♬」を歌い始める。

すると、インファント島にいるモスラの姿が子供たちに見えて来る。

その番組を観ていた直子は、これも行ける!と叫ぶが、進藤の方は興味ないよと立ち上がり、隣の部屋で新聞を開くが、そこに載っていた上野に現れた予言者の写真を見るなり、サルノ王女と生き写しだったので驚いてしまうのだった。

セルジナ国では、日本から届いたサルノ王女そっくりの予言者が乗った新聞を見せられたマルネスが、特別機は確かに爆破したので、王女が生存しているなど信じられない。それにこの写真では、王位継承の印である腕輪が確認できないと答えるが、すぐに日本に発って確かめ、もし王女だったら消せ。やり損じたら、お前の命はないと男から命じられていた。

「20世紀の神話」の製作班では、次に予言者が現れるのは盛り場だろうと直子に指示を出していた。

一方、警視庁の沖田課長は、進藤から新聞の写真の予言者がサルノ王女ではないかと指摘され、王女なら腕輪を外すはずがないと外務省は言っていると伝える。

渋谷で、予言者の出現を待っていた直子が、社に電話をかけていると、進藤が肩を叩いて来る。

一緒に茶でも飲もうということになり、近くの喫茶店「ローハイム」に入る。

そこに村井がヤッケ姿で現れ、進藤は直子に紹介される。

村井は、これから北アルプスへ入ると言い、落下した隕石はただの岩石なんだが、磁力とも引力とも言えない力を持っているのだと説明する。

その時、バーテンがテレビを見て予言者だと言うので直子たちもテレビに注目すると、阿蘇山に現れた予言者の姿が映し出される。

予言者は、ラドンが復活するのですと見物客たちに伝え、カップルの女の方が帰ろうと言い出すが、あんなキ○ガイの言うことなんか気にしないと強がっていた彼氏の帽子が飛ばされ、火口に転がって行ってしまう。

女は、心からのプレゼントよと彼氏の方を恨めしげに睨むが、彼氏はとても降りて拾いに行く気はないようだった。

すると、1人の男(大村千吉)が、あの帽子を拾って来ましょうか?700円でどうです?と彼氏に話しかけて来る。

彼氏が当惑していたので、500円、200円!と値を下げた所で、ようやく商談が成立し、男は火口に降りて行く。

帽子を拾って嬉しそうに上に振ってみせた男だったが、その横の崖が突然崩れ、その中からラドンが出現したので、悲鳴を上げる。

観光客たちは急いで「産交バス」に乗り込むと、阿蘇山から離れようと出発するが、ラドンは悠々と大空に飛び立って行く。

羽田には、マルネスが3人の配下(黒部進、伊吹徹、鈴木和夫)を引き連れて来日していた。

彼らは、自分たちの行動のカモフラージュとして異変続きの日本の状況を喜んでいた。

彼らが乗って移動する車のカーラジオからは、かすみ沢に落下した隕石を考慮し、登山入山の全面禁止を伝えていた。

隕石の側にテントを張り、調査を始めた村井たちは、隕石の磁力が消えていることに気づくが、一方、隕石が前の時より大きくなっているような印象を受けていた。

それを仲間から聞いた隊員(古谷敏)は、隕石が風船玉みたいに膨らむかい!とバカにする。

その頃、直子は、横浜埠頭からインファント島へ帰る小美人の乗る寿山号で見送りをしていた。

同行していた小牧記者が、ラドンについて何か分かりませんか?と聞くと、小美人たちはテレパシーは予言ではありません。でもラドンは必ず来ますと言う。

そんな寿山号の甲板に現れたのはあの予言者だった。

彼女は、この船は出港してはいけませんと言い出すが、追い出そうとやって来た船員(坪野鎌之)や船長(田島義文)に、直子が責任を持って連れて行くと言い、謝罪する。

その様子を観ていた小美人たちもどこかへ姿を消すのだった。

警視庁では、古物商に売りに来た奴がいると、サルノ王女のものらしき黄金の腕輪を沖田課長に見せた進藤が、それを売りに来た男(沢村いき雄)を呼び入れて事情を聞く。

漁師だというその男は、海の上に浮かんでいた女と、自分のシャッポと洋服とズボンとで、その腕輪を交換したのだと言い、差し出された写真の中からサルノ王女と予言者の写真をこの女だったと指出す。

進藤はその男を参考人として泊まらせることにする。

それでも沖田課長は、サルノ王女が生存しているという進藤の説を信じきれないようだったので、進藤は、色々な説があるがと断り、宇宙円盤クラブの会長が唱えた、サルノ王女は、爆発のショックで裂け目が出来た空間に落ちたので助かったのではないかという説を紹介する。

馴染みのミスミホテルにやって来た直子は、834号室を用意させると、予言者を連れて上がろうとするが、それを観ていた受付係は、今日は浮浪者の取材ですか?と言いながら顔をしかめていた。

834号室の前に来た予言者は、直子が部屋のドアを開けて先に入った後、廊下の奥に立っていたマルネスたちの方を観るが、特にその表情に変化はなかった。

一緒にいた部下たちは、サルノ王女で間違いないと確信するが、マルネスは判断に迷っていた。

部屋に入った直子は、本社の金巻班長に電話を入れると、予言者を確保したので着替えを用意してくれと頼む。

その直後、予言者が他に誰かいますと言い出したので、誰もいないわよ?と直子が不思議がるが、予言者がソファの上に置かれていたハンドバッグをどけると、その下から小美人が現れる。

あなたたち帰ったんじゃないの?と直子が驚くと、小美人たちは、この人の言うこと分かる気がしますと言い、予言者は、あの船に乗っては行けない。でも、もう遅過ぎますと呟く。

航行中だった寿山号の後ろから鯨の群れが近づいており、さらにその背後の海中からゴジラが出現する。

かすみ沢のキャンプでは、計測の結果、隕石が前回より、0.8%も大きくなっているという結果を得ていた。

その時、又隕石の磁力が復活し、調査団のピッケルが吸い付けられて行く。

ホテルの部屋では、着替えさせられた予言者が、1人でも多くの地球人に危機を話しかけたいと言い出し、部屋を出ようとしたので、それを止めた直子は、ここでもたくさんの人に話しかけられるのよと説得する。

そこに電話がかかって来たので、それを受けた直子は予言者に、ちょっと待っててね。ここにいるのよと頼み1人で部屋に鍵をかけると出て行く。

その直後、マルネスの子分の1人(鈴木和夫)が、部屋の鍵を金庫破りの要領で開け始める。

今の電話で直子をロビーに呼び出したのは兄の進藤だった。

王女を缶詰にしたな?横浜埠頭から連れ出したことは分かっていると進藤は責める。

その頃、834号室に侵入したマルネスたちは、サルノ王女と思われる予言者に迫っていた。

予言者は、あなたたちは、ここを立ち去らねばなりませんと言うだけだったので、短刀を抜いたマルネスは、これは父を倒した短剣ですと告げる。

そんな様子を、鏡台の後ろから小美人が観ていた。

腕輪はどうした?と聞いたマルネスに、予言者は私は金星人、しかし、腕輪はしていたかもしれない。あんなものは役に立たないので、哀れな男にくれてやったと答える。

マルネスがナイフを予言者の咽に突き刺そうとしたとき、小美人が部屋の電気のスイッチを切る。

その時、部屋のドアを開けた進藤に、小美人が、危ない!殺し屋がいますと声をかけたので、子分たちはドアに向かって発砲し、進藤もとっさに銃を抜くと応戦し始める。

直子は、ハイヒールを脱いで非常ベルを鳴らそうとするが、それに気づいたのか、部屋の伝気がつくと、もうマルネスたちは姿を消していた。

どうやらベランダから逃げ去ったらしい。

気がつくと、暖炉の中に座り込んでいた予言者は、「突発性記憶傷害」などの症例が書かれていた、直子の外国の資料を言語で読んでいた。

進藤は、治療の手配はすんでいると直子に伝え、一緒に予言者を外に連れ出そうとするが、その時、港に停泊中だった船舶が大爆発を起こす。

ゴジラが出現したのだった。

上陸したゴジラは、飛来したラドンのシルエットを見上げていた。

避難する民衆たちに混じり、マルネスたちも車で逃亡していた。

進藤と直子は、予言者を車に乗せ、精神科の大家塚本博士(志村喬)の研究所にやって来る。

予言者の診察をした塚本博士は、直りますか?と聞いて来た進藤に、直る?この人は正常人と同じだと答え、一種の催眠剤のような薬があると教える。

その時立ち上がった予言者は、このままでは地球が滅亡です。キングギドラのために死の星となります。金星の文化も科学も根こそぎ破壊してしまった怪獣です。金星はかつて、地球よりはるかに栄えた高度な星でしたが、キングギドラのために、死の星になってしまったのです。地球にも終わりが来るのです…と告げるが、その様子を唖然と観ていた塚本博士や進藤を観ると、信じませんね?皆さんの目を見れば分かりますと言い出したので、こっちが診察されているみたいだと塚本博士は苦笑する。

その時、外から、ゴジラとラドンが箱根から富士山麓に向かう公算が強くなりましたというアナウンスが聞こえて来る。

かすみ沢でテントを張っていた調査隊は、突然雷鳴のような音が響いたので驚いて外に飛び出すと、隕石が割れ、火の粉がその周囲に噴出すると、突然巨大な炎が天に立ち上り、空中で何かの形に変化して行く。

それは、三本首と2本の尻尾を持ち、巨大な翼を背負った宇宙怪獣キングギドラだった。

松本市広報課は、アナウンスカーを市内に走らせ、かすみ沢に出現した怪獣はキングギドラと判明したので、直ちに避難するよう警告して廻る。

それを聞いた民衆が避難を始める。

国会では、出現した3怪獣への対応について防衛大臣が査問委員会から詰め寄られていた。

その国会中継を喫茶店で観ていたのがマルネス一味だった。

防衛大臣(富田仲次郎)は、国際合同会と協力し…などと当たり障りのない答弁を繰り返していたが、査問委員会から突っ込まれると、諸君は、富士山麓で核兵器を使用しろと言うのですか?と逆ギレする。

その会議に隊員代表(野村浩三)と共に招かれていた村井助教授の元に、大きなケースを持った直子が合流する。

それを喫茶店で観ていたマルネスの子分(伊吹徹)は、あの女だ!と叫ぶ。

ホテルで会った直子だと気づいたのだ。

直子は、東洋放送の進藤直子と名乗り、あの予言者は富士山麓の塚本研究所にいますと挨拶する。

それを聞いたマルネスは、塚本研究所に向かうことにする。

村井は、モスラの協力を得られたら思うと議員たちに切り出し、直子が持って来たケースを開く。

そこには小美人が入っていたので、自治大臣(高田稔)は、あなた方は帰られたのではなかったのですか?と驚く。

小美人たちはモスラだけではキングギドラには勝てないでしょうと言いながらも、でも1つだけ希望があります。ゴジラとラドンとモスラが力を合わせるのですと提案する。

国務大臣が、誰がゴジラとラドンを説得するんです?と呆れたように質問した時、外がにわかに騒々しくなる。

キングギドラが接近して来たのだった。

横浜から東京上空へ飛来したキングギドラは半重力光線を吐き、次々と町を破壊し尽くして行き、とうとう東京タワーもネジ曲がって倒壊してしまう。

自治大臣は、ことの緊急性に気づき、すぐに読んで下さいと小美人たちに依頼する。

小美人は直ちに「幸せを呼ぼう♬」を歌い始める。

塚本研究所では、薬を投与した予言者の頭に電極を付け、昏睡状態にしていた。

しかし、精神は起きている状態らしく、予言者はうっすら目を開いていた。

塚本博士があなたは誰ですか?と呼びかけると、私は金星人。滅亡の日に地球にやって来た1人ですと答えたので、いつ来たのです?と聞くと5000年前だと言う。

どうしてそんなに生きられたのかと問うと、生きられるはずがない。祖先が地球人と同化するうち、優れた才能はむしろ退化し、本能の一部だけが受け継がれて来たのですと言う。

本能とは?と聞くと、未来を予感する本王ですと予言者は答える。

薬が効かなかったことを悟った塚本博士は、ショック療法を試すと言い出し、500ボルトに電圧を上げてくれ。それ以上は危険だよと進藤に頼む。

外からは、下落合の鉄橋が踏みつぶされたとの実況アナウンスが響いていたが、そんな中、マルネスたちは塚本研究所に到着し、こっそり部屋の中に侵入していた。

進藤は隣の部屋にある電力調整装置の目盛りを500に合わせて戻るが、その部屋に侵入していたマルネスは、こっちがやらなくても向うがやってくれると笑い、電力調整装置の目盛りを最大の3000ボルトまで上げる。

その頃、富士山麓に近づきつつあったラドンは、ゴジラの身体を掴んで空中に持ち上げると、上空から鉄塔に落下させる。

その途端、付近一帯が停電し、塚本研究所の治療台も電源が消えてしまったので、装置の確認に隣の部屋へ向かおうとした進藤は、マルネスたちに気づき銃撃戦が始まる。

そんな塚本研究所に小美人の入ったケースを持ち車で到着したのが直子と村井だった。

銃撃戦の音に気づいた村井は、スパナを手に取ると、それで子分の1人(伊吹徹)を殴り倒し、そいつが持っていた拳銃を取り上げると、進藤の援護射撃を始める。

形勢不利と悟ったマルネスたちは、研究所から外へと逃げ出したので、進藤も後を追おうと入口に出て来るが、それを見かけた直子は、兄さん!モスラが来るのよ!と声をかける。

塚本博士の方は助手たちを呼び寄せると、予言者を外に運び出し、車に乗せて避難することにする。

ゴジラとラドンの壮絶な戦いは続いており、逃げる避難民と共に博士の車は一緒に逃げていた。

そんな車の中で目覚めた予言者は、早く逃げないと、ここは死の都市になりますと告げる。

その時、ケースに入っていた小美人が車を停めて下さい。モスラが来ますと叫んだので、塚本博士らは車を降り、見晴らしの良い丘へと登る。

モスラの幼虫が、岩の投げ合いをしていたゴジラとラドンに近づくと、何やら語り始めるが、一向に言うことを聞かないんで、ゴジラに糸を吐きかけ、次いで、ラドンにも糸を吹きかける。

ゴジラはすねたようにその場にしゃがみ込む。

直子が、モスラが何か言っているわと気づき、兄に聞こうとするが、進藤はモンスター語なんて習ったことないよとふてくされる。

村井が小美人に聞くと、ゴジラとラドンは、俺たちの知ったことか?勝手にしやがれと言っていますと小美人は通訳を始める。

ゴジラは、我々が人間を助ける理由がない。いつも人間は我々をいじめているではないかと言っており、ラドンもそうだ、そうだと同調しているらしい。

そんな富士山麓にキングギドラが飛来する。

マルネスたちが逃げていた車は、崖が崩落し、岩の下敷きになって、車と共に子分たちは全滅するが、マルネスだけは何とか傷を負いながらも潰された車から脱出していた。

モスラの幼虫は、今までの行きがかりはさっぱり捨てようではないかと説得を続けていたが、ゴジラもラドンも、お前が謝れと言って聞かない様子。

そんな塚本博士らの行こうのすぐ下にやって来た村人たちは、道が塞がれたと戻って来た一行だった。

モスラは、この地球は人間だけのものではない。みんなで守ろうではないかと説得を続けていたが、どうしても説得が功を奏しないと判断すると、自分だけでキングギドラと戦うことにしたという。

それを小美人から聞いた直子は、無理だわ!と絶望する。

その言葉通り、モスラは、キングギドラの半重力光線に何度も弾き飛ばされてしまう。

それを見かねたのか、ゴジラとラドンがキングギドラに迫って来る。

小美人は、ゴジラとラドンも戦います!と嬉しそうに叫ぶ。

その時、塚本博士は、予言者がいなくなったことに気づく。

村人たちが逃げ惑う中、三大怪獣とキングギドラの死闘が始まり、モスラはキングギドラの尻尾に噛み付いて離さなかった。

崖の所に1人やって来ていた予言者は空に向かい、大宇宙の創造の神よ!この星をお守りください!と祈りを捧げ始めるが、反対側の崖に身を潜めていたマルネスが銃で予言者を狙撃する。

そこに駆けつけたのが進藤で、左手を撃たれ倒れた予言者を守りながら銃で応戦し始める。

予言者は立ち上がりかけ、崖から下へ滑り落ちてしまう。

進藤は蔦を伝って下へと降りると、途中で引っかかって気絶していた予言者を助け起こすが、彼女は額から流血していた。

目を開けた予言者は、向うの崖の人物を発見すると、マルネス、不忠もの!と叫んだので、気がつきましたか?と嬉しそうに進藤が話しかけると、そなたは誰じゃ?と、サルノ王女は不思議そうに聞いて来る。

あなたのボディガードですと答えた進藤だったが、次の瞬間、マルネスから腕を撃ち抜かれ、銃を落としてしまう。

勝利を確信したマルネスが、銃を構えて向こう側の崖に立ち上がった時、その上の崖が急に爆発崩落して来て、岩もろとも崖下に落下してしまう。

そこに駆けつけて来た塚本博士や村井たちの下ろしたロープを使い、進藤とサルノ王女は無事引き上げられる。

三大怪獣とキングギドラはまだ戦っていた。

モスラはラドンの背中に乗り、飛び上がった位置からキングギドラに糸を吐きかけ、ゴジラはキングギドラが逃げないように、2本の尻尾をしっかり握りしめていた。

塚本博士らは、他の村人たちが大勢避難していた高台に合流する。

村人たちは、これで村は全滅だと嘆いていた。

しかし、キングギドラは空へと飛び去っていた。

モスラ、ゴジラ、ラドンが勝利したのだ。

数日後、羽田空港では、国に帰るサルノ王女の見送りが行われていた。

塚本博士や村井助教授も参加しており、遅れて駆けつけて来た進藤も一緒に観ていた。

塚本博士は、額を撃たれたショックで元に戻ったのだろうとサルノ王女の回復を説明する。

進藤に近づいたサルノ王女は、ありがとう進藤、あなたには3度助けられましたと言い出したので、覚えておられるのですか?と進藤が驚くと、ホテルと研究所と撃たれた所でと答えた王女は、他のことは思い出せませんが、これだけは覚えています。一生忘れないでしょうと言うので、感激した進藤は、王女様もいつまでもお元気でと挨拶する。

往生を乗せた特別機が飛び立つが、進藤はいつまでも見送っていた。

小美人はモスラに乗って、インファント島へ帰ることになる。

それを見送るゴジラとラドン。

さようなら皆さん、さようなら…小美人の声が響く。


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