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紙兎ロペ つか、夏休みラスイチってマジっすか!?

TOHOシネマズの本編上映前に流れていた短編アニメを映画化したもの。

写真加工したような精密な背景を前に、平面的な動物キャラたちが、ぬる〜い会話を交わす独特の世界観が面白い作品だが、今回の映画版もその雰囲気は残っている。

が、映画として見応えがあるかというとやや疑問が残る。

「怪盗 デビルキャッツ」の登場という、これまでにはないサスペンス要素が物語の骨格に絡んで来るが、これが意外と平凡な発想で、かつ、この作品の緩い雰囲気に合っているかと言うと何とも言えない所がある。

サンバチームのエピソードも、面白いのかつまらないのか微妙な感じ。

この2つのエピソードは、あまり「笑い」に繋がっていないような印象を受ける。

一方で、アキラ先輩の姉ちゃんやノリユキと言った面白いキャラが登場するので、もうちょっと下町中心に話を絞り込んで、2人を活躍させた方が面白かったのでは?と言う気がしないでもない。

もう一つ気になるのは、せっかく「夏休みネタ」映画なのに、何故、5月公開という中途半端な戦略なのだろう?と言うこと。

夏休みは話題作が多いので、それらとの競争を避ける興行戦略的な意味合いなのか?

それとも、5月なのに夏休みネタをあえてやるという、これも一種の狙いなのか?

昔風の2本立て興行の添え物としてなら、この映画で十分な内容だと思うのだが、1本立てだとすると、通常料金を払ってまで観るほどのものなのか?と言う素朴な疑問が残らないではない。

アキラ先輩やロペの実家の様子が分かったり、従来、平面的な止め絵だけだった背景画が、動画を同じように加工したものなのか、ズーム効果のように動いたりする新規さもあり、マニア受けはすると思うが、一般受けはどうだろう?

東宝映像配給ということで、従来の劇映画とはひと味違った展開を狙っているのかもしれないが、作品内容的にはやや弱いような気がする。

最後に出て来る「つづく」は、本当に実現するのだろうか?

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2012年、「紙兎ロペ」プロジェクト、内山勇士+青池良輔脚本、 内山勇士+青池良輔監督作品。

東京スカイツリーが見えるとある下町の高校のプール。

無人と思われたプールから浮かび上がって来たのは、ロペ(声-ウチヤマユウジ)とアキラ先輩(声-ウチヤマユウジ)。

アキラ先輩は、もう1人潜っていた川口に声をかけるが、一向に浮かび上がって来ないので、ロペは自己記録の更新でも狙っているんすかね?と呆れる。

さらにロペはアキラ先輩に、ほっぺに空気を溜めて潜れば、もう少し潜れていたんじゃないっすか?と指摘すると、アキラ先輩もそうかと気づき、思いきりほっぺを膨らませて潜ろうとするが、膨らんだほっぺが浮き袋のようになってしまい潜れないことに気づく。

無理だわと苦笑いして立ち上がったアキラ先輩の背後の水面が盛り上がり、今までずっと水の中に潜りっぱなしだった巨大なカバの川口が立ち上がる。

そんな川口とロペ相手に、今日は夏休み最終日だというのに、アキラ先輩はまだ自由研究をやっていないと打ち明けたので、2人は、なんで一番厄介なもの残したんですか?と呆れる。

そこに、大崎のおっさんがやって来て、そろそろ水泳部の朝練が始まると教えて帰って行く。

プールを出たアキラ先輩に、川口は、簡単に自由研究が終わる秘策があると言い出す。

それは何かと聞くと、美術館に行けば良いというのだった。

チケットの半券みたいなものを貼付けて、感動した系のことを適当に書いとけば終わりっすよと言う川口の言葉を聞いていたアキラ先輩は、チケットということは金がかかるんじゃね?と聞き返す。

川口は当然のように入場料1800円というので、アキラ先輩は高!そりゃ無理だわと速攻断る。

そして今の時間を確認し、6時25分と知ったアキラ先輩は、間に合わねえよ!と焦りながら駆け出して行く。

タイトル

アキラ先輩とロペは、町内の早朝ラジオ体操に参加していた。

やっぱ、からだ動かすのって気持ちいいなと呟くアキラ先輩に、さっきまでさんざん動かしていたじゃないっすかと呆れるロペ。

体操が終わり、出席カードにハンコを押してもらっていたアキラ先輩は、皆勤賞をもらっていたので、ロペは、毎日来てたんですか?どんだけ元気なんですか?と驚愕するロペ。

コンビニの前にしゃがみ込んで、朝からデラックス塩カルビ弁当を買って食うアキラ先輩に呆れるロペだったが、アキラ先輩の方も、紀州梅入りおにぎりとカリカリ梅を食べようとしていたロペをどっちか一つで良くね?と突っ込む。

しかし、ロペは、主食とデザートですから別ですと否定する。

そんなロペがアキラ先輩の工場で作っているものを聞くと、ファミレスなんかのレジの所にあるレシートを入れる透明な筒のようなもので、全国のシェアが93%なのだと意外なことをアキラ先輩は教えてくれる。

セミ捕りなどにチャレンジした後、アキラ先輩の自宅に付いていったロペは、姉ちゃんが切れているので静かにしていてくれと頼まれ家の前で待つことに。

家の中に入ったアキラ先輩は、そっと二階に上がると、又降りて来る。

玄関を出たアキラ先輩はほっとするが、その直後、玄関が開いて登場した姉ちゃん(篠田麻里子)が、田辺くんとデートあるんだから、イヤリング直して来いと、アキラ先輩が踏みつけて壊したイヤリングを手渡される。

どこで?とアキラ先輩が聞くと、スーパーの修理屋でもどこでもあるだろ!と姉ちゃんは言う。

まだこんな時間には開いてないだけど?とアキラ先輩は抵抗するが、じゃあ、開くまで待ってろ!と命じて姉ちゃんは玄関の扉をぴしゃりと閉める。

その頃、「クレオパトラの秘宝展」を開催中だった美術館には、ガードマン2人とレーザーなどでガードされた「王妃の涙」と言う豪華な宝石のイヤリングが展示してあった。

その「王妃の涙」が飾られていたケースの上に降りて来た怪しげな影。

怪しげな影は両手の先から鋭い爪を出し、ガラスケースを円形に切るが、そのキーッという音を聞いていたガードマン2人は振り向こうともしなかった。

ガードマンのライオンの方がくしゃみをしたので、「王妃の涙」を持ち上げていた怪しい影は、思わず1個を落としてしまい、それがレーザーに触れ、警報が鳴り響く。

驚いたガードマン2人の元に別のガードマンたちも駆けつけて来る。

すでにケースの中の「王妃の涙」は消え失せており、「怪盗 デビルキャッツ」と書かれたカードだけが残されていた。

アキラ先輩とロペは近所の小川で釣りをしていたが、アキラ先輩は、携帯で寿司屋の柿本に自由研究をもうやったか?などと聞いていたが、おいしい寿司の作り方と言うのをやったというので、家の仕事のまんまじゃねえかと突っ込むが、上空を3機のヘリコプターが飛び、その轟音で携帯の会話が邪魔されることにいら立つ。

ロペは、アキラ先輩も、ファミレスのレシート入れの作り方でやったらどうすか?と提案するが、それは去年やったし…と答えるアキラ先輩。

すぐ横の道をパトカーが何台も通り過ぎるので、アキラ先輩は何かあったのか?と不思議がるが、ロペは、明日、防災の日なんで、その練習では?と解説する。

しゃがみかけたアキラ先輩は、尻に違和感を感じ、何かと取り出すと、さっきラジオ体操の皆勤賞としてもらったボールペンのケースだった。

アキラ先輩は、ここは暑いからどっか涼しい所へ行こうといい出す。

ロペは、まだ竿すら握っていないアキラ先輩の飽きやすさに呆れる。

途中、「スター・ジョーンズ3D」のポスターを見つけたロペは、今日が最終日なので、これ観に行きましょうよと誘う。

そこにやって来た牛の山田先輩が、商店街歩いていたら、新しいラーメン屋が出来てたんだけど、急に意識がなくなって、気がついたらちょうちん破れてるし、提灯弁償しろと店の主人に怒鳴られるし、訳分かんなかったと言うので、ロペは、それは先輩が闘牛だから…と突っ込みかけるが、その時、山田先輩は、まるで「スタージョーンズ3D」のラストみたいだったとオチをしゃべってしまったので、ロペは固まってしまう。

それに気づいた山田先輩は、あれ?お前、観たって言ってなかったっけ?ととぼけるのだった。

葛飾西図書館にやって来たアキラ先輩は、飛び出す本を探して来て、先に雑誌を呼んでいたロペの机に来ると、それを開いてみる。

すると、ビックリするほどでかい東京タワーが飛び出して来たので2人とも唖然とする。

続いてアキラ先輩が持って来たのは、飛び出す「恐竜」の本だったので、2人は緊張して身構えるが、本を開くと信じられないほど小さな恐竜が出て来ただけだった。

続いてアキラ先輩は「ミステリー百科」と言う本を持って来て、自由研究が決まったとページを開いてロペに見せる。

そこには、「つちのこ」を見つけたら賞金500万もらえると書かれていた。

図書館を出たロペは、つちのこってどこにいるんすか?と聞くが、アキラ先輩は、富士山には5、6匹いるべ?などと適当な答えをする。

その頃、「王妃の涙」を盗んだ「怪盗 デビルキャッツ」の乗ったライトバンはパトカーに追跡されていた。

二手に分かれようと提案したキャッツ(声-バカリズム)に応じ、子分のフラミンゴ(声-ふかわりょう)が、宝石を入れたアタッシュケースを持って空に飛び立ち、同じく子分のモグラは、後部ドアを開いて、近づいて来るパトカー目がけた嫌を投げつける。

林商店の前でアイスキャンデーを食べながら小休止していたアキラ先輩は、ロペから500万もらったらスーパーボール何個買えるんだ?などと小ちぇ話をした後、ロペから、先輩、この夏だけでガチャガチャに3000円は使ったでしょう?と突っ込まれる。

アキラ先輩は、通常のボールの30倍はねるスーパーボールの、さらに30倍はね、大きさは10倍もあるジャンボスーパーボールが出るらしいと噂を教え、又、ガチャガチャを回すが、出て来たボールケースを割ってみると、中には何も入っていなかったので、切れて店の親爺に文句を言う。

すると、林商店のおっさんが出て来て、大当りじゃよと言い、そこを観ろと言うので、ボールケースをひっくり返してみると、底に「タイムカプセル」と手描きで書いてあるではないか。

ふざけんなよと切れたアキラ先輩だったが、おっさんは、そこにメッセージを入れて10年後の自分にエールを送るんじゃと使い方を教えて店の中に消える。

何年も放置されているマンション予定地に来たアキラ先輩が、バカ正直にタイムカプセルにメッセージを入れて埋めようと言い出したのでロペは呆れるが、紙がないと言うので、ラジオ体操のハンコカードの裏に書けば?と勧め、書くもんがねえと言うので、皆勤賞でもらったボールペンがあるでしょうと教える。

アキラ先輩は、10年後の自分はチョーゼツ金持ちになっているに違いないので、調子のんな的なメッセージを書いてみる。

そんな2人の間に、突然上空から何かが落下して来る。

2人は唖然とするが、それは、上空を通過中だったデビルキャッツの子分フラミンゴが落としてしまったバッグだった。

何だ?と開けてみたアキラ先輩は、中におさめられていた「王妃の涙」を観ると、姉ちゃんのピアス、これで良いじゃんと言い出す。

そんなアキラ先輩を記念撮影するため、ロペは携帯を取り出すが、アキラ先輩が対抗して取り出したのは、懐かしの「カメラ付きフィルム」だった。

シャッターを押し、巻き上げを行ったアキラ先輩はフィルムを全部使い切ったことに気づくが、そんなアキラ先輩に声をかけて来たのは、近くに車に停め、様子をうかがっていたライオンの外国人ロナウド(声-ジョージ・ウィリアムズ)だった。

ロナウドは何故か、アキラ先輩に感動したので自分のバンドに入って下さいと言い出す。

何かヤバい勧誘だと感じたロペは断るように勧め、アキラ先輩は「ノー ウィ キャン」と答えるが、ロナウドはそれを快諾と受け取ったらしく、サンキューと感謝して来る。

いつの間にか、ロペとアキラ先輩はロナウドのオープンカーに乗っていた。

運転するロナウドが、その楽器は何ですか?と聞いて来たので、それが「カメラ付きフィルム」だと気づいたアキラ先輩は、適当に「ギーギーボックス」と教える。

その頃、路地に停車し、パトカーの目をくらませていたワゴン車の運転席に乗っていたデビルキャッツのボス猫は、バッグを落として戻って来たフラミンゴとモグラの2人に、今日の犯行の手際の悪さを叱りつけていた。

とにかく、バッグにGPS装置を付けておいたので、バッグの在処は車の受信装置ですぐに判明する。

アキラ先輩とロペは、ロナウドのスタジオに到着していた。

マンション建設予定地に来ていたデビルキャッツたちは、そこに残されていた空のバッグと、アキラ先輩がタイムカプセルに入れようとして残していたラジオ体操出欠カードを見つけていた。

裏に書かれたメッセージを自分らあての挑戦状と勘違いしたキャッツは、カードに記されていたアキラ先輩の本名「クマガイ アキラ」と自宅住所をしっかり読んでいた。

ロナウドのスタジオには大勢のサンバ仲間が集まっており、一斉にサンバを踊り始める。

その時、ギロを演奏していたホセ(声-チャド・マレーン)が、かぶってませんか?とロナウドに質問する。

つまり、自分が奏でているギロと、アキラ先輩の「カメラ付きフィルム」の巻き上げ音が似ていないかと指摘しているのだった。

その頃、アキラ先輩の自宅にやって来たボス猫は、俺らから盗品を盗むということは、相手もプロだから、この際、正面から話し合った方が良いと子分2人に説明し、普通にチャイムを押してみる。

すると、突然開いた玄関から顔を出した姉ちゃんが、うちはシロアリと共存する道を選びましたからと一言言って、ぴしゃりと玄関扉を閉める。

俺たちのことを何と勘違いしたんだろう?とフラミンゴは不思議がり、ボス猫がもう一度チャイムを鳴らすと、又、いきなり玄関が開いて姉ちゃんが顔を出したので、ボス猫はお宅のボスと話し合いたいと申し出る。

すると姉ちゃんは、お母さん〜んと呼ぶので、そうじゃなくて、アキラという人に会いたいんだが?と告げると、あんたら、バカアキラの友達?と言う姉ちゃんは、自分も探しているので会ったら教えてくれと頼む。

連絡先が分からないとボス猫が言うと、姉ちゃんはボス猫とフラミンゴの携帯に赤外線でアキラの携帯番号を送信してやる。

モグラはピッチ(PHS)しか持ってなかったので、姉ちゃんは赤外線が使えないから早く買い替えなよと忠告する。

ロペと、バンドを首になったホセは、亀山公演のブランコに乗っていた。

ホセは実力がなかっただけと自分を責めていたが、理不尽な馘首に明らかにがっかりしているようすだった。

その時、ロペにアキラ先輩から電話が入り、今、カメラ屋にフィルムを出しているという。

バンドは?と聞くと、あっさり辞めて来たと言うではないか。

つちのこを見つめる時間がないじゃないかと言うアキラ先輩は、捕虫網と虫かご持っているかと聞き、さらに、つちのこの餌って何だと聞いて来る。

「ミステリー百科」を呼んだロペは、色んな情報を総合した結果、スルメみたいなものなんですと答える。

アキラ先輩は、今からロペの家に行くのでそこで合流しようということになり、ホセは公園でロペと別れる。

そのアキラ先輩の携帯で居場所を突き止めたボス猫たちは、カメラ屋に来るが、すでにアキラ先輩はおらず、店のおばちゃんは、友達と勘違いしたのか、アキラ先輩が向かったロペの家を教え、ついでにこれを持って行ってくれと酒の一升瓶を3人に託す。

以前、ロペの親爺さんからもらったものの礼だそうだ。

先に、ロペの家である果物屋「ラビッツフルーツ」に到着していたアキラ先輩は、ロペの親爺さんからスイカをごちそうになっていた。

そこに帰って来たロペは、従兄弟のちび兎ノリユキがいることに気づく。

親爺さんが言うには、たか子おばさんに、たまには羽を伸ばして来いと言ってやったので、預かることになったと言い、テレビの携帯を持って来ているノリユキを注意する。

なぜか、ノリユキは、何でも取って来てしまう癖の持ち主のようだった。

捕虫網と親爺さんの酒のつまみ用のスルメと虫かごを用意したアキラ先輩とロペは、いよいよつちのこ探しんでかけようとするが、親爺さんが、すまないが、ノリユキも連れて行ってくれないか?うちでうろちょろされると仕事にならないんでと頼んで来る。

仕方なく、ノリユキを連れて出発したアキラ先輩が、今何時だ?と聞いたので、ロペは携帯を取り出そうとするとない。

気がつくと、いつの間にかノリユキが取っていたので、取り返して時間を確認、1時半だと教える。

すると、アキラ先輩は焦ったように、もう時間がないと言い出したので、ロペはまだ結構あると思いますけど?と呟く。

その頃、「ラビッツフルーツ」に着いたボス猫ら「デビルキャッツ」一行は、親爺さんから、アキラならつちのこ捕りに出かけたと聞き、もはやこれまでか?と追跡を諦めかけていた。

フラミンゴは、カメラ屋で預かって来た一升瓶を親爺に渡し感謝される。

アキラ先輩とロペは、何故か、怪しげな占いの館「ソバージュ」と言う店に入って「つちのこ」の居場所を占ってもらっていた。

占いのおばさん(声-LiLiCo)は、あなたはその方に既に出会っていますとアキラ先輩に告げ、目を閉じるように命じる。

訳も分からず目を閉じたアキラ先輩は、自分が5〜6才の頃、親爺に連れられ出かけた「ジョイフルランド」と言うわびしい遊園地のことを思い出していた。

ざるそば的なもんはないの?と聞いた子供時代のアキラ先輩に、親爺は、んなもんねえよ!と答えていた。

目を開いたアキラ先輩は騙されたような気分になり外に出るが、ジョイフルランドのことを聞いたロペは、トーテムポールみたいなものがありましたよね?と自分も行ったことがあるので面白がるが、その言葉を聞いたアキラ先輩は、何かを思い出す。

トーテムポールの下で「ざるそば的なもんはないの?」の聞いていたアキラ先輩の座ったテーブルの近くに、確かに「つちのこ」らしきものがいた記憶がよみがえって来たのだ。

ロペは、いつの間にかノリユキがいなくなっていることに気づき焦る。

「ラビッツフルーツ」では、「デビルキャッツ」の3人が、親爺さんの行為でスイカをごちそうになっていたが、そこにノリユキが帰って来たので、親爺さんは、あんたら、アキラの所に行くんだったら、この子も連れて行ってくれと頼む。

近くを探しまわっていたロペは、家に戻っているかもしれないから電話してみますと言って携帯をかけると、やっぱりノリユキは店に戻っていることが分かり一安心する。

ところが、そのノリユキは、アキラ先輩に会いに行く友達に預けたからと言う親爺さんの言葉を聞いたロペは、それをアキラ先輩に伝えるが、アキラ先輩には何のことかさっぱり分からなかった。

「デビルキャッツ」一行は、ノリユキを乗せたワゴン車で移動していた。

一方、アキラ先輩とロペは、2人以外誰も乗っていない勝戸バスで「ジョイフルランド」へ向かっていたが、途中、アキラ先輩が早口言葉が全く出来ないことを確認したり、通り過ぎる家の何番目がお前の将来の家などと決めつける遊びで時間つぶしをしていたが、その時、アキラ先輩は何かを窓の外に発見し、いきなりバスを降りる。

何ですか?とロペは不思議がるが、アキラ先輩は「ジャンボスーパーボール」だと言いながら、丘の下の住宅街から跳ね上がって来た巨大なスーパーボールの位置をほぼ特定する。

そのジャンボスーパーボールは、金持ちの家のブタ坊やが発売前のものを与えられていたのだったが、すぐに飽きてしまっていた。

その家を、アキラ先輩は必死に探しまわっていた。

探してどうするのですかと聞くロペに、発売前にどうやって手に入れたか聞くのだという。

その時、アキラ先輩は通りかかったキリン先生にぶつかってしまい、又、こんこんと説教される。

「デビルキャッツ」たちは、ノリユキがワゴン車の冷房で腹を壊したみたいだったので、コンビニのトイレにモグラが連れて行ってやっていた。

ボス猫は、あれ以来、一向にアキラが携帯を使用しないので、居場所を特定できないと焦っていたが、その時フラミンゴが、直接、アキラの携帯に電話すれば良いんじゃないか?と言い出す。

ようやく、キリン先生から逃れたアキラ先輩とロペは、目的地である「ジョイフルランド」に到着し、すでに閉鎖され廃墟のようになった園内で「つちのこ」を探し始める。

ロペに、「つちのこ」ってどのくらいの大きさなんだと聞いたアキラ先輩は、大体縦15cm、横25cmくらいらしいと聞くと、漢字ドリルくらいか?と言い出したのでロペは混乱する。

500万もらったら何を買うか?と言い出したアキラ先輩に、ロペは笑いながらカリカリ梅っすかね?と答えるが、それをバカにしたアキラ先輩の口から出て来た自分の買いたい物は「デパ地下の…」だったので、言った自分自身があまりの小ささに恥ずかしがる。

そもそもその500万って誰が出すんだ?というので、国じゃないっすか?と適当にロペが応じると、ってことは税金か?だったら、受け取る時に、もっと有効に使えと1度突っ返したいななどと冗談を言っていたアキラ先輩だったが、急に腹痛を起こす。

思い出すと、その日は朝から水物ばかり口にして来ていたのだった。

トイレに駆け込んだアキラ先輩だったが、気がつくとトイレットペーパーがないではないか!

がっかりしたアキラ先輩は、携帯でロペに、ティッシュペーパー的なもんを持ってないかと聞く。

その携帯発信に反応した「デビルキャッツ」の車の受信装置を観たフラミンゴは、アキラの居場所が分かったとボス猫に告げる。

トイレを出たアキラ先輩とロペは、どこからか聞こえて来る不思議な音の方へ向かってみる。

そこには巨大な滑り台があり、その頂上にいたのはホセだった。

あのホセがギロを奏でていたのだ。

ホセの方も2人に気づくと、滑り台を滑って降りて来ると、ここは自分が日本に来てはじめてギロを演奏した場所だったので、帰国する前にもう一度演奏していたのだという。

その時、ホセは、丘を駆け上ってこちらに近づいて来るロナウドとサンバ仲間たちの姿を目撃する。

ホセに駆け寄ったロナウドは、自分が間違っていた。車も家電も女房も、すぐに新しいものを欲しがる自分が悪かった。五月雨を集めて早し最上川…、私にとっての最上川はホセしかいません。又一緒にやってくれますか?と言うので、感激したホセはロナウドとしっかり抱き合う。

サンバ仲間も2人を祝福するように踊り出し、何となく観ていたアキラ先輩とロペも、少し楽しくなっていた。

そこにやって来たのが、「デビルキャッツ」のワゴン車だった。

出てきたボス猫は、アキラってのはどいつだ?と聞き、その場でアキラの携帯番号を打つと、アキラ先輩の携帯が鳴り出したので、すぐに見つかってしまう。

何か、アキラ先輩がヤバいことになりそうだと気づいたロナウドは、この人は世界的なギーギーボックスの演奏者だと言い、ホセもアキラ先輩を守ろうと身を乗り出すが、空から舞い降りて来たフラミンゴがアキラ先輩を掴んで空に飛び立ってしまう。

ボス猫たちのワゴン車も逃げ出したので、ロナウドたちは自分たちの車に乗り込んで追跡を始める。

フラミンゴにワゴン車の中に落とされたアキラ先輩は、そこにノリユキも乗っていることに気づく。

「デビルキャッツ」の車は、検問を突破したので、パトカーに追尾されることになる。

車の中で、フラミンゴがイヤリングはどこだと迫ると、アキラ先輩は持っていた「王妃の涙」をポケットから取り出しあっさり手渡す。

パトカーやロナウドの車などが接近したことを知ったボス猫は、ワゴン車のロケットスターターを押す。

車の後部からロケット噴射が出て、「デビルキャッツ」のワゴン車は猛スピードでパトカーたちをぶっちぎる。

その時、その「デビルキャッツ」の車に追いついて来た一人の影があった。

単車に乗ったアキラ先輩の姉ちゃんだった。

姉ちゃんは、「ブラックキャッツ」の車に並走しながら、私のピアスどうなったのよ?とアキラ先輩に怒鳴る。

そんな中、ノリユキはチョコチョコ、ワゴン車の天窓から逃げ出すと、ひょいと姉ちゃんの単車に飛び乗る。

次の瞬間、姉ちゃんは切れてライトバンの側面を蹴飛ばし、車は横転してしまう。

姉ちゃんは単車を停め、その時はじめて乗っていたノリユキに気づき、あんた誰?と聞く。

ノリユキはいつの間にか取っていた「王妃の涙」を姉ちゃんに差し出したので、気に入った姉ちゃんは、ありがとうね、ボクとノリユキに感謝し、それを持って遅刻しそうなデートに向かう。

横転したワゴン車にはパトカーが到着し、「デビルキャッツ」一味はあっけなく逮捕され、アキラ先輩は、顔にかすり傷を負っただけで無事救出される。

その後、町に戻って来たアキラ先輩とロペを見かけた林商店のおっさんが、夏休みは楽しかったか?と聞いて来たので、色々あって結構楽しかったとアキラ先輩が答えると、大いに遊び、大いに楽しむのが夏休みじゃなどと言い、目を閉じなさいと言うので、素直に応じると、何かを手渡してくれる。

期待して目を開けたアキラ先輩だったが、手に乗っていたのは、又しても「タイムカプセル」と手描きで書かれた空のガチャガチャのボールケースだった。

夏休みの思い出を書いて、10年後の自分にエールを送るんじゃと言い残し、おっさんは店の中に入って行く。

ロペは、又、ノリユキの姿が見えなくなったので周囲を探すが、近づいて来たノリユキは、しっかり「つちのこ」を捕まえていた。

つづく…の文字