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ゴジラ('84)

何度観ても、ハラハラもドキドキもしない「'84ゴジラ」なのだが、今回、どうして気持ちが弾まないのか少し詳細に分析してみたい。

まず、ゴジラの登場が遅すぎる。

アバンタイトルでは鳴き声だけ。

実際にゴジラが姿を現すのは、始まってから約33分後の井浜原発のシーンになってから。

もちろん、怪奇映画などでモンスターの出現をわざと遅らせ、観客をじらす手法はある。

「ジョーズ」等もそういった好例である。

今回もその手法を意図しているということは分かるのだが、得体の知れない謎の生き物とかならともかく、ゴジラという既に観客が予測している物の出現を待たせるにしては、30分は長すぎる。

作り物バレバレのミイラやショッキラス(巨大フナムシ)のシーンは、あまりにチャチ過ぎて、サスペンスどころではない。

それ以外は、セット芝居がだらだら続いている印象で、ゴジラ出現前の緊張感や不安感、恐怖感のようなものが全くない。

なぜ緊張感が出ないのかというと、ゴジラは30年前に既に東京を襲撃しているという続編設定なので、ゴジラの何たるかを知っている観客と登場人物は気持ちにゆとりがある訳で、未知への恐怖心が最初からないためだ。

さて、井浜原発に出現したゴジラは、放射能を吸い取って(?)さっさと海に戻ってしまう。

そんな破壊されている原発に走りよっている林田や牧たちの危機感の無さもすごいが、この最初の出現シーンも大して盛り上がらないまま、又ゴジラは姿を消してしまう。

何故、林田たちは、この政府さえ発見が遅れた井浜原発にヘリでやって来れたのか?とか、何故、自衛隊は、出現したゴジラをこの後追尾しないのか?など素朴な疑問も多い箇所である。

その後も、林田研究所と政府とのセット芝居がだらだら続き、何だか、「日本沈没」の丹波哲郎みたいに正義感溢れる小林桂樹の生真面目な政治家芝居を見せられるだけ。

その次ぎにゴジラが東京湾に姿を現すのは、始まって約50分も過ぎた頃。

ここからいよいよ怒濤の破壊シーンが描かれるのかと期待すると、埠頭と銀座でちょっと暴れただけで、後は何故だか永田町経由で西新宿へ向かうだけ。

この作品では、林田教授が、ここには餌があるから必ず来ると言っており、その餌とはどうやら放射能のことらしいのに、その放射能とは何の関係もなさそうな新宿目がけてゴジラが来るというのもさっぱり分からない。

ゴジラは巨大な物を敵だと認識して、高層ビルを動物的本能で倒しに来たのか?と想定してみたとしても、西新宿に来たゴジラは、別に高層ビルに挑みかかっている風でもない。

核ミサイルが新宿上空で爆発するかもしれないので地下に逃げるようにとアナウンスされている最中、西新宿のゴジラの廻りには一向に逃げようとしていない見物客のような群衆がいるのもさっぱり解せない。

地震とかなら、中央公園当たりに集合し…と言う設定でも分からないではないが、光線を吐いて暴れ回るゴジラが新宿に来ているのに、焼き払われるのを待っているように公園に集まっているということはないだろう。

ここに集まっている群衆は、核ミサイルの意味もゴジラの怖さも理解できないゴジラオタクだらけと言うことなのだろうか?(画面を見る限り、やけになった群衆と言った風でもない)

そもそも、この映画の中で、本気で群衆がゴジラから避難しているような描写と言えば、東京湾にゴジラが出現した後、画面が分割マルチスクリーン風になった一瞬だけで、一般庶民のゴジラに対する反応描写がほとんどない。

後は、新聞社の輪転機が廻り、そこに新聞タイトル文字が重なる、いかにも古くさい表現があるだけ。

こんな陳腐な表現で緊迫感や恐怖感を感じろという方が無理だと思う。

別に、この手の映画のあら探しをしようと思って、意地悪な目で観ているつもりはないにもかかわらず、自然と気になる箇所が目につくということは、やはり根本的に「噓」をつき切れていない部分が多すぎるためだろう。

政治家の描写が多い所などを観ていると、単なる幼児向けとも思えない作りなのに、大人が観るにはずさんすぎる部分が多すぎるのだ。

出現したゴジラもロボット方式の頭部造形を強調したいのか、やたら顔のアップが多く、実景との合成も単調で、歩いている様も何やら内股気味に見え、全体的に迫力不足。

そもそも、この映画のゴジラは、最初の方から「弱点(帰巣本能)」を林田たちが見つけてしまっているので、とんでもないことになるのではないか?と言うパニック感が最初から希薄なのだ。

クライマックスの三原山内部でも、ゴジラは既に催眠術にでもかかってしまったかのようにおとなしいし、眠るがごとく火口に落ちて行くだけでは何の興奮もない。

それをモニター画面で観ている三田村首相が涙ぐんでいるというのも、良く分からないし…

結局、この映画の中に登場している日本人キャラは、全員、ゴジラに(人間のエゴが生んだ怪物として)同情しているだけなのではないか?

おそらくそれは、田中友幸プロデューサーの気持ちの代弁なのであり、それはそれでゴジラの悲劇性の一面ではあるのだが、この映画に関しては、別に感傷的になるほどゴジラの魅力が出ているとはとても思えないのである。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1984年、東宝、田中友幸原案、永原秀一脚本、橋本幸治監督作品。

伊豆諸島南端 大黒島

大黒島が噴火して3ヶ月後

付近を航行していた第五八幡丸は、荒れた海の中、舵がきれなくなるという不思議な現象に遭遇していた。

船長(江幡高志)は、船が明らかに大黒島に吸い寄せられているのに気づく。

乗り込んでいた奥村宏(宅麻伸)は、操縦室の後ろで怯え切っていた。

無線係は遭難の無電を打つが、次の瞬間、大黒島が爆発し、ゴジラの鳴き声が響き渡る。

タイトル

嵐の後、ヨットで遭難海域に近づいていたのは、東都日報の記者牧吾郎(田中健)だった。

牧は、海を漂流している第五八幡丸を発見、それに乗り込んで生存者を捜すことにする。

最初の部屋を開けると、すごい腐臭がし、人影らしき物が椅子に腰掛けていたので、肩に手をかけ振り向かせ、懐中電灯の光を当ててみると、それはミイラ化した船員の遺骸だった。

別の部屋に入ってみた牧は思わず転んでしまうが、そこにもミイラ化した死体が転がっていた。

棒のような物を握りしめたまま死んでいる所を観ると、何かと戦って殺されたようにも見えた。

ロッカーの扉を開けてみた牧は、そこにナイフを握りしめて踞っていた青年を発見、服の中から学生証と女生徒一緒に写った写真を見つけたので、その青年が奥村宏だと知る。

奥村の息はまだあった。生きていたのだ。

何かの気配を感じて振り向いた牧は、そこに巨大なフナムシのような怪物を発見する。

巨大フナムシは牧に飛びついて来たので、奥村の手から抜き取っていたナイフで応戦しようとするが、怪物に押さえつけられ、今にものど笛に食いつかれそうになる。

次の瞬間、巨大フナムシは動かなくなったので、それを払いのけて見上げて観ると、巨大な鉈のような物を持った奥村が立っていたので、彼が巨大フナムシをやっつけてくれたのだと分かる。

あれは化物だ…。いきなり島が爆発し、岩が盛り上がって…、奴は生きていた…と遭難当時を説明する奥村の言葉を聞いていた牧は、それはさっきの巨大なフナムシのことか?と聞くが、あれとは全然別の、青白い光を放つものだったと言う。

甲板にいた2人は、海上保安庁のレスキューヘリが接近して来たので、牧が手を振って合図をする。

伊豆大島にある東都日報支局から本社に、船には9体もミイラ化した死体があり、巨大なフナムシがいたなどと報告した牧だったが、全く信用されなかったので、これから証拠となるネガを持って行くと伝える。

関東第二警察病院

入院していた奥村に会いに来たのは、大学の教授の林田信(夏木陽介)と辺見内調室長(村井国夫)だった。

林田が奥村に見せた写真にはゴジラが写っており、奥村の反応を観た林田教授は、彼が観たのはゴジラですと辺見に伝える。

ミイラ化した死体は、巨大フナムシから全身の血を吸われたのであり、その巨大フナムシは、ゴジラの身体に吸着していたに違いないという。

武上弘隆官房長官(内藤武敏)から連絡を受けた三田村清輝首相(小林桂樹)は、ゴジラか…、何とか、任期を無事に終えたかった…と呟きつつも、この事実は当分伏せようと竹上に伝える。

銀座にある東都日報本社に戻っていた牧は、書き上げた記事が拒否された理由を聞きに喜多川デスク(江本孟紀)と共に伍堂局長(佐藤慶)の元へ行くが、政府から全マスコミに箝口令が敷かれた。奥村が観たという巨大生物はゴジラだ。これを発表すると国民はパニックになり、政変すら起きるかも知れんと言われたので、あっさり尻尾を巻いたってことですかと皮肉る。

伍堂局長は、武上官房長官は、生物物理学者林田と接触しても良いと言って来たと呟く。

新宿にある高層ビルの20階にある林田の研究室を訪れた牧は、ショウジョウバエの遺伝子の組み換えをやっている最中の林田教授に面会する。

林田教授は、30年前に両親をゴジラの襲撃で失ったという。

ゴジラは言わば核兵器。生きた核兵器なのだ。さらに、生命は不滅であると共に、動物でもあると林田教授は言う。

その時、コーヒーを持って来た女性の顔を見た牧は、奥村から借りていた写真を林田教授に見せて、そこに奥村と一緒に写っていた今の人は?と聞く。

妹だよと林田教授は答えるが、政府の命令で、まだ彼女は兄の奥村とは会っていないし、救助されたことも聞かされていないのだという。

研究所を辞去した牧は、廊下で奥村の妹、尚子(沢口靖子)に会うと、林田教授との関係を聞く。

大学で林田のゼミを受けているという。

兄さんのことは心配でしょうねと話を向けると、漁船に乗っているのは、私の学費や生活費を稼ぐためでもあるんですという。

それを聞いた牧は、生存しているのを知らせないとは…、兄さんは今隔離しているとか…と訳知り顔で教える。

なぜ?と聞いて来た尚子に、ゴジラを観てしまったんですと答えた牧は、親切めかして、第二警察病院にいますよと教える。

尚子は警察病院に行くと、止めようとするガードマンたちを振り払い、病室に入り込む。

妹の姿を観た奥村は思わず抱きしめるが、その時、フラッシュがたかれ、2人を写真に写すカメラマン上条(林家しん平)と、官房長官から許可を得ているんだとガードマンたちに説明する牧が入って来る。

すぐには記事にはしないよと言う牧を観た尚子は、自分にこの場所を教えたのは、親切ではなく、単に特ダネを取るためだったのだと気づく。

八丈島の南、青ヶ島の北西50kmの海域を航行中のソ連の原子力潜水艦は、接近して来る敵艦らしき反応に緊張していた。

声紋照合では味方艦ではなく、相手はアクチブソナーを発信したことから、鯨などではなさそうだった。

衝突の危険を回避するため、艦長は魚雷を発射し命中させるが、敵は魚雷を撃ち返して来なかった。

この艦を沈めるつもりなら、全面核戦争の覚悟が必要だと船長は呟く。

レーダー反応を待っていた彼らは、潜水艦の真下に出現した謎の敵が、さらに真上に移動したことを知る。

次の瞬間、原潜は大爆発を起こす。

江守外務大臣(鈴木瑞穂)が三田村首相に、今、ソ連の原潜が撃沈され、敵はアメリカの原潜らしい。これに対しアメリカとNATOは、第一級の臨戦態勢に入ったと知らせて来る。

この事件は、テレビでもニュースキャスター(森本毅郎)が報道していた。

しかしその後、P3Cが問題海域で撮影した写真を見せられた三田村首相は、ただちにアメリカとソ連の大使を呼ぶことと、ゴジラ報道を全面解禁するよう武上弘隆官房長官に命じる。

手にした写真には、くっきりゴジラの姿が写っていたからだった。

マスコミ各社を前に、政府は、ゴジラは正に生存しておりますと発表する。

続いて、最初の発見者として、奥村もテレビ画面に登場し、インタビューに答えることになる。

新聞の輪転機が廻り、「ゴジラ日本を襲うか」「ゴジラ復活」等の文字が踊る。

病院で再会した自分らに写真が載った東都日報の紙面を林田教授と尚子と観ていた奥村は、みんな、ゴジラのために頭がおかしくなったんだ!と漏らす。

そこに牧がやって来ると、尚子は、記者としては立派なんでしょうけど…と哀しげな顔になり、牧を無視して部屋を出て行く。

そんな尚子の態度を観た牧は、自分がやったことを考え直していた。

ゴジラ非常緊急対策本部

加倉井統幕議長(御木本伸介)は、ゴジラ防衛にため、スーパーXという秘密兵器を用意しており、今、カドミウム弾を装填している所だと明かす。

毛利防衛庁長官(織本順吉)は、言わば「空飛ぶ要塞」だと誇らしげに言う。

林田研究所では、ゴジラが最初に出現した大黒島と次に出現した青ヶ島の北東の位置関係を観ながら、一旦離れていると指摘した牧に、林田教授が、しかし、ここにくるよ。ここにはゴジラの餌があると答えていた。

朝方、草むらの鳥たちが飛び立つ。

静岡井浜原子力発電所

濃霧の中、建物の外に出たSRIの警備員(石坂浩二)は、突然、地割れが起きたので、目の前を観ると、そこには巨大なゴジラが立っていたので腰を抜かしてしまう。

ゴジラ上陸の知らせを受けた三田村首相は、濃霧のため発見が遅れたと毛利防衛庁長官から謝罪される。

いち早くヘリで井浜原発の近くに着陸した林田教授と牧、奥村の3人は、原発に接近し放射能感知器の数値を観ながら、原発の建物から炉心を引きづり出したゴジラが、放射能を全部吸収してしまったことを知る。

その時、ゴジラは、海に向かって飛んでいく渡り鳥に注意をそらされた様子で、やがて自らも海の方へ引き返して行く。

新聞社の輪転機が廻り、ゴジラ日本への再上陸の危険の文字が踊る。

新宿の研究所に戻って来た林田教授は、太鼓の恐竜にも帰巣本能があると話していた。

その時、奥村は、突然!鳥だ!と叫び、どうしてあの時ゴジラは海に戻ったんだろう?と考えていたんですと説明する。

それを聞いた林田教授は、渡り鳥か…、ゴジラの体内の磁性体が渡り鳥に反応した…と仮説を呟くと、古い友人で地質学者の南という教授が伊豆大島にいるので手伝って来てくれと奥村に頼む。

伊豆大島の三原山に飛んだ奥村は、南(小泉博)を手伝って、火口付近のデータを収集する。

一方、林田教授の方は尚子と共に、研究所内で、渡り鳥の鳴き声を分析していた。

そこにやって来た牧は、かかって来た電話を取ると、林田に手渡す。

それは、三原山に行っていた奥村からの連絡だった。

林田教授は、南先生は何と?と聞き、そうか!可能か!と目を輝かす。

ゴジラ非常緊急対策本部に招かれた南博士は、炭酸飲料の栓を抜いて、中の飲料が噴き出す様を首相を始めとする大臣たちに披露すると、このように、三原山を人工的に噴火させることは可能ですと説明する。

しかし、神崎大蔵大臣(小沢栄太郎)などはピンと来ないと感想をいい、ゴジラは自衛隊に任せた方がいいんじゃないかと提案する。

日高環境庁長官(田島義文)も、大島の島民の避難はどうします?と心配する。

三田村首相は、自衛隊と三原山作戦の両面で行こうと決意する。

研究所に戻って来た林田教授は、ゴジラを葬るなんて出来ないよ。ゴジラは30年前、伝説の怪獣と同一視されたこともある。今はただ、故郷に帰してやりたいだけなんだと奥村たちに説明する。

三田村首相を訪ねて来たソ連特使チェフスキー(アレキサンドル・カイリス)とアメリカ特使ローゼンバーグ(ウォルター・ニコルス)は、それぞれ、今度ゴジラが日本近海に現れたら、戦術核を使用させてくれと迫る。

特に、チェフスキーの方は、次に狙われるのは、ウラジオストックなど太平洋艦隊基地であり、撃沈させられた自国原潜の復讐をさせてくれと意気込んでいた。

ゴジラ非常緊急対策本部で、戦術核の説明を受けた三田村首相は、毛利防衛庁長官や梶田科学技術庁長官(山本清)らから、戦術核の威力は広島型原爆の約半分で、3平方km以内は完全に破壊されると聞く。

しかし、笠岡通産大臣(加藤武)などは、核がゴジラに対して有力だという保証は?と懐疑的な様子。

加倉井統幕議長は、米ソ両国とも、今まで実戦で戦術核を使用したことがないので、今回を絶好の機会と捉えているのではないか?と首相に進言する。

こうした会議の末、三田村首相は、日本には非核三原則があるので、今回もこれを遵守する。一度核を使用してしまうと、その後、抑止力が失われてしまう恐れがあると発表する。

この決定に不満そうな、両国特使に三田村首相は、非核三原則が日本のエゴイズムだと言うなら、核を使用使用とする両国もエゴイズムなのではないですかと切り返すのだった。

しかし、軌道上には、米ソの地上攻撃用核ミサイルが浮かんでいた。

米ソ両国首脳に直接電話連絡した三田村首相は、もし自分の国にゴジラが現れたら、モスクワやワシントンであなたはためらわずに核を使えますかと言ったら、両者とも納得してくれたよと武上弘隆官房長官に報告する。

東京湾に停泊中のソ連船「バラシューボ号」にやって来たソ連の工作員カシリン大佐(ルーク・ジョンストン)は、船内の一室にあるミサイルコントロール装置をオフにしていた。

通りかかった船員から理由を聞かれた大佐は、本国が核ミサイルの発射を中止したからだと答える。

その後、東京湾でゴジラが発見される。

それを知った東京都民は避難を開始する。

埠頭には、移動指揮車を始め、自衛隊がゴジラ迎撃の準備を始めていた。

やがて戦闘機部隊が海上のゴジラを攻撃開始する。

「バラシューボ号」の中では、カシリン大佐が核ミサイルのコントロール装置を運び出すため、避難する船員たちとは反対方向に走っていた。

しかし、ゴジラが起こした大波が「バラシューボ号」を埠頭に叩き付け、カシリン大佐は通路に転倒する。

埠頭に設置されていたミサイルも、ゴジラ目がけて発射される。

しかし、ゴジラの発した白熱光線で、あっという間に埠頭の自衛隊員や攻撃兵器は焼き尽くされてしまう。

核ミサイルコントロール装置がある部屋に何とか到着したカシリン大佐は、コントロール装置が動き始めているのに気づき、慌てて開きかけた状態のドアから何とか中に入るが、その途端、感電死してしまう。

その頃、ゴジラ非常緊急対策本部では、加倉井統幕議長がスーパーXが間もなく発進すると報告していた。

東京に上陸したゴジラは、銀座マリオン前を通過、飛んでいたヘリコプターを光線で焼き落とす。

炎上して高速道路に落下したヘリの火が引火し、次々に渋滞していた車が爆発して行く。

マリオンを破壊し、通過中の新幹線を持ち上げたゴジラを、列車に乗っていた牧師(ムッシュかまやつ)は笑いながら見つめていた。

ゴジラは、新幹線を叩き付けた後、霞ヶ関方面に向かう。

牧は、ヘリコプターで林田研究室のビルへ飛んで来る。

地下室にあるゴジラ非常緊急対策本部の真上をゴジラは通過し、下にいた三田村首相は緊張する。

ゴジラは永田町から新宿方面に向かう。

新宿東口に到着したゴジラに対し、移動指揮車は「誘導作戦」を始める。

無人になったレストランの冷蔵庫から食料を取り出していたホームレス(武田鉄矢)は、豪華な食料と酒をテーブルに並べた直後、窓の外に巨大なゴジラの顔がのぞいていることに気づき、でっかい顔して歩くんじゃないよ!この田舎もんが!新宿歩きゃ都会もん、そう思ってるんだろ!と尻餅をつきながらも悪態をつく。

研究室の窓から、牧は、林田教授が鳥の声から抽出した音波をゴジラに向けて発射していた。

すると、それに反応したようにゴジラが振り向く。

林田教授は、自衛隊のヘリが屋上に迎えに来るので逃げようと皆を誘う。

その時、自衛隊のレーザー車がゴジラに向けて発射した光線が、林田たちがいるビルの一角を破壊してしまう。

そのショックでエレベーターが故障してしまったので、全員階段で屋上へ向かう羽目になる。

さらに、屋上へと出る扉に非常シャッターが下りてしまっていることに気づく。

さっきの衝撃で自動ロックされたのだろうと林田教授は言う。

首都防衛戦闘機スーパーXが出動する。

その間、牧は、どこから見つけて来たバールを使って何とかシャッターをこじ開けようとしていた。

ゴジラに接近したスーパーXは、照明弾を焚いてゴジラに咆哮させ、その開いた口目がけてカドミウム弾を打込む作戦を何度か繰り返す。

ゴジラは、カドミウム弾が利いて来たのか動きを停めるが、その時、軌道上のソ連のミサイル衛星から、核ミサイルが新宿目がけて発射していた。

武上弘隆官房長官がそのことを三田村首相に報告し、30分後に新宿で核弾頭が爆発すると伝える。

ソ連の自国ミサイルでは破壊できないと聞いた三田村首相は、アメリカに撃墜してもらおうと指示する。

ゴジラは白熱苦戦を吐くが、チタニウム合金で出来たスーパーXは焼けなかった。

ゴジラはついに、高層ビルにもたれかかるように倒れ込む。

スーパーXの操縦士(橋本功)たちは成功したと喜び合う。

倒れたゴジラを観ようと、多数の都民が西新宿に集結して来ていた。

しかし、それを窓から観ていた林田教授は、死んでない。死ぬはずがないと呟いていた。

そんな新宿の町に、アナウンスカーが「間もなく新宿上空で核弾頭が爆発する恐れがあります。地下などに避難して下さい」と呼びかけて走り回っていた。

三田村首相の要請を受け、米軍の嘉手納基地から迎撃ミサイルが発射する。

その頃、閉じ込められた高層ビルの屋上付近では、牧が電動ドリルでシャッターに穴を開けようとしていたが、ドリルが折れてはねとび、左手を傷つけてしまう。

尚子は、すぐにその手当をしてやる。

その時、奥村が自衛隊のヘリに乗り込み高層ビルに接近していた。

奥村は、ビルの最上階で閉じ込められている3人を発見、自衛隊員が窓ガラスを爆破破壊すると、奥村が救援ロープにつかまって降りて来る。

ソ連の核ミサイルはアメリカが迎撃すると林田教授に報告すると、まずはその林田教授からヘリへ収容することにする。

尚子が鳥の音声が入った装置を手渡そうとしたとき、強風に煽られ、林田教授の身体はビルから離れてしまう。

ビル周辺は乱気流が起きており、ヘリは安定できなかった。

続いて、奥村が装置を持ってヘリへ上がった後、これ以上の救援は無理と判断、やむなくヘリは三原山に向かうことにする。

西新宿では、ゴジラの近くにまだ無数の群衆が集まっていた。

尚子は、改めて牧の腕を治療しながら、鬼たちが無地大島にたどり着くかどうか心配していた。

君らしくないぞと牧が慰めると、怖いのと呟いた尚子は牧にしがみついて来る。

牧は、死なせるもんか!と言いながら、尚子を抱きしめてやる。

ソ連の核ミサイルは、成層圏でアメリカの迎撃ミサイルに爆破される。

しかし、電磁衝撃波が発生したため、新宿では電気が消えたり、電子機器に影響が出る一方、空は赤いオーロラのような怪しげな光に包まれてしまう。

スーパーXも機体を安定できなくなり、一旦地上へ着地する。

その直後、落雷がゴジラに当たり、その衝撃でゴジラは再び目を覚ます。

すでにカドミウム弾を撃ち尽くし、通常兵器しか残ってないスーパーXだったが、操縦士は離陸すると、京王プラザビルの背後に回り込む。

起き上がったゴジラは、その京王プラザビルに白熱光を浴びせ、風穴を開ける。

そのビルの穴を通して対峙するゴジラとスーパーX。

その頃、牧と尚子は、何とか階段を伝い、下に降りようとしていたが、途中で階段が壊れてなくなっているのに気づくと、消防用ホースを持って来て下に垂らそうとする。

その時、牧は下を通りかかったホームレスを見つけ、先を持ってくれと声をかける。

ホームレスは承知し、足れたホースを伝って尚子を下に降ろす。

三原山では、ヘリで到着した林田教授が、鳥の鳴き声から抽出した音波発生装置を、パラボラで増幅する装置に取り付けてスイッチを入れていた。

ゴジラの白熱光に、さしものスーパーXも後退を余儀なくされる。

何とか地上に降り立った牧と尚子に、ホームレスは、災難と思うな、チャンスと思えと言葉を残し去って行くが、やがてゴジラに追いかけられ、大男、総身に知恵が回りかねか?この馬鹿野郎とゴジラに向かって罵声を浴びせた後、その場に転倒、気絶してしまう。

その後、ゴジラは牧と尚子に迫って来るが、もはやこれまでと思った時、ゴジラは振り返って帰って行く。

それを観た尚子は、先生は成功したんだわ!と感激する。

三原山外輪山基地

自衛隊員が林田教授に、ゴジラが接近して来たことを告げる。

ゴジラは、パラブラアンテナから発信される音波に惹かれるようにそのまま火山の中に足を踏み入れる。

次の瞬間、奥山がスイッチを入れると、あらかじめ、火山内部に埋め込んであった爆薬が大爆発を起こし、足下が崩れたゴジラは、火口内の溶岩の中に落ちて行く。

その様子をゴジラ非常緊急対策本部のモニター映像で観ていた三田村首相は、何故か哀しそうに涙ぐむのだった。

大爆発を続けている三原山には、ヘリに乗った牧と尚子が近づいていた。


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