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漫画横丁 アトミックのおぼん スリますわヨの巻

「漫画サンデー」に掲載されていた杉浦幸雄の人気漫画を映画化したもの。

当時22才くらいで、いかにも若々しい水谷良重がヒロインおぼんを演じている。

色々、当時の若手人気者たちがたくさん登場しているが、今観ると、渥美清の若い頃が観られるのが貴重。

足が速い「マッハのズラ公」なるスリのリーダー役で登場しているのだが、どう観ても足は速そうではないし、劇中で「角は一流デパ-トの赤木屋黒木屋白木屋さんで…」などと、すでに啖呵売のさわりを披露していたりする。

「新聞記者」のガンさん役でも知られる山田吾一も学生役を演じているだけあって、いかにも若々しいし、中島そのみ、春川ますみ、横山道代たちダイナミック組もいかにも娘っ子と言った印象。

ヒロインおぼんは、団子のように髪をアップし、縞模様の着物姿と言う一見古風ないで立ちながら、実は合気道の名人と言うスティーブン・セガールみたいな設定。

つまり、お色気がありながら、めっぽう強いという漫画ならではの無敵の設定なのだ。

そのヒロインの相手を勤める好青年役が中谷一郎と言うのもちょっと珍しい。

その中谷一郎の叔父の社長役を演じている有島一郎は、相変わらず愉快なオーバーアクションで楽しませてくれるし、鬼ヶ島親分を演じている中村是好もベテランらしいとぼけたおかしさがある。

その子分役の平凡太郎なども愉快。

話自体はたわいのないドタバタと言った感じで、軽い添え物映画風だが、クライマックスの大混乱シーンは、スローモーションやコマ落としなどの技法を多用し、スラップスティックな面白さを出そうとしている。

大爆発後の黒塗りぼろぼろシーンなども、コントのお約束通りでバカバカしい。

マツダクーペがおぼんの愛用車のように頻繁に画面に登場するのはタイアップということだろう。

車の側面に、ご丁寧に「マツダクーペ」と、しっかり商品名が入っていたりする。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1961年、東京映画、杉浦幸雄原作、柳沢類寿脚本、佐伯幸三監督作品。

神田駅で、乗降客の様子をうかがっていたのは、スリ仲間「ヌーベルグループ」の、マッハのズラ公(渥美清)スタミナの鉄(稲吉靖)学割の半太(山田吾一)の3人。

そこに声をかけて来たのは、鬼ヶ島組の乾分青田(平凡太郎)赤沢(水島真也)らだった。

まだ学生の学割の半太は、雑誌売り場でハンドバッグの口を開いたまま雑誌に読みふけっている縦縞の着物に髪を束ねた粋な姉さんを見つけ、そのバッグの中味を掏ろうと手を伸ばすが、その姉さん、実はもとスリのアトミックおぼん(水谷良重)から手を押さえられてしまう。

スリを見つけるため、わざとハンドバッグの口を開いていたのだと言い、どこの組の者だい?と聞いたおぼんに、半太はヌーベルグループを名乗るが、知らないと言われると、つい鬼ヶ島組は知っているか?と脅すために嘘をついてしまう。

その後、おぼんは、横断歩道上で立ち止まり、2丁拳銃を撃つ真似をしているカウボーイスタイルの子供を発見、お節介で歩道へ連れて行くが、それに気づいた子供の付き添いらしい青年が、せっかく今逆方向へ渡った所なんだと慌てて駆け寄って来て、子供を連れて行く。

自分の店であるおでん屋「おぼん」に戻って来たおぼんは、向かいの洋食屋イケダ亭の親父三吉(木田三千雄)から、鬼ヶ島組のことで町内の連中が集まっていると教えられる。

鬼ヶ島組に払う協力会費が2倍になると知った町内会の面々は、とても払えないと困りきっていたので、話を聞いたおぼんは、この際、協力会費を全部断ってしまおう。道理を通して無理を引っ込めるのさと提案する。

三吉とカムカム軒のおたま(月野道代)を連れ鬼ヶ島組に出向いたおぼんは、親分(中村是好)と対面、協力会費を今後払わないと告げる。

すると、親分は、そんなことをしたら、今後、町内でどんな騒動が起きようと知らねえぜと、やんわり脅して来る。

さらに青田と赤沢が話を聞いて親分の部屋に乗り込んで来たので三吉とおたまはビビるが、彼らを先に帰したおぼんは、親分と2人きりで話がしたいといい出す。

親分の方も承知し、青田らを下がらせると、おぼんと部屋に2人きりになる。

おぼんは親分に、ヌーベルグループって知っているかと聞き、知らないと知ると、そうでしょうねぇ、スリの頭を引いたりしていたら鬼ヶ島組の名が泣きますからねと1人納得し、協力費のことは何とかして…と甘えてみせる。

すると、鼻の下を伸ばした親分はあっさり承知してくれる。

おぼんは、お暇があったら、お店の方にいらしてよと色目を使い帰って行く。

その直後、どうなったのか?と気になっては行って来た青田に親分は、あの女の店はどこだ?と聞く。

その時、ボスがちょっと…と別の子分が呼びに来たので、鬼ヶ島親分は別室にいた大親分の横車押三 (藤山竜一)に会いに行く。

横車大親分は、今度香港から麻薬が大量に手に入ったので、準備しているようにと他の親分衆にも伝える。

その場にいたマダムおつや(関千恵子)は、話がすむと、扉一枚隔てた自分のバーに戻り、常連客のダテノモータース社長伊達野(有島一郎)に愛想を振りまくのだった。

そんな伊達野をおじさんと呼びながら子供連れでやって来たのが、先ほど、横断歩道でおぼんと会った青年正木章太郎(中谷一郎)だった。

日曜日になると、いつも子供連れでしか外出を許してくれない伊達野の女房をごまかすため、いつも代理で子守りを引き受けていたのが、甥に当たる正木だったのだ。

一方、メトロ0番地の「おぼん」に、アトミック組のインスタントのおちか(中島そのみ)デラックスのお富(春川ますみ)ズージャのおはね(水町千代子)シイチョウのお芳(横山道代)らがやって来て、姉ちゃんは、きれいにスリから足を洗って、こんな店を持っているから良いかもしれないけど、自分たちは食うためにやらされている堅気の商売はもう飽きたと言い出す。

おぼんは、その内、バーの一件でも持って、あんたらに働いてもらうつもりだからとなだめるが、インスタントおちかは、自分にアトミックおぼんの名を継がせてくれと迫る。

しかしおぼんは、明治大正と、ここら一帯でスリをしていたのはうちのおじいちゃんやお父ちゃんだと啖呵を切り、得意の合気道でおちかを投げ飛ばしてしまう。

そして他の娘たちには、以前、横山町の店員が店の金をスリに掏られてしまい、この上の線路で身投げしたのを知っているだろう?あれ以来、私はこの辺一帯を守るつもりでスリを辞めたんだと伝え説得すると、お芳にはこの店の手伝いをするようにと命じる。

その頃、イケダ亭の三吉の娘町子(田村まゆみ=田村奈巳)は、悪い人とは思わず、つい2、3通手紙を出していた青田から、手紙を返して欲しかったら10万円持って来いと脅されていた。

青田が去った後、バーを出てぶつかってきた伊達野から謝罪されるが、その伊達野が去っていった後、財布が落ちているのを発見し、思わず足で隠して拾うと、イケダ亭に戻って来る。

しかし、その一部始終を目撃していたおぼんは、まだ準備中だったイケダ亭に来て三吉おじさんはいるかと聞き、出かけていると町子から聞くと、あんな不心得をするもんじゃないと注意する。

町子は出来心だったのだと泣き出すが、さっきの人の車のナンバーは覚えているから私が返して来てやると財布を受け取り、中を改めたおぼんは、持ち主の名刺が入っていることに気づく。

ダテノモータースの社長室にいた伊達野の元にやって来た正木は、やんちゃ坊主の子守り代をおばさんへの口止め料として要求して来る。

伊達野は、ズボンの後ろポケットから財布を取り出そうとするが、なくなっていることに気づき、スーツの内ポケットなどを探し始めるが、女物のコンパクトなどが出て来ただけだった。

その頃、おぼんは町子から、10万円がすぐにでも必要な事情を聞いていた。

そこに帰って来た三吉は、来月1日に町子の結婚が決まったのだとおぼんに教える。

青田は、それを知って町子を脅して来たに違いなかった。

店に戻ったおぼんは、鬼ヶ島がお芳相手に1人飲んでいることに気づく。

どこに行っていた?と聞かれたので、金策に行っていたのだと打ち明けたおぼんは、そんなことなら俺が話を聞いてやると言い出した鬼ヶ島親分に、急に、安くて恥ずかしいんだけど、10万ばかりかして欲しいと甘えかかる。

そのお色気作戦を目の当たりにしたお芳はびっくりして、おちょうしに注いでいた酒がこぼれているのにも気づかないほどだった。

その後、喫茶店に青田を呼び出した町子は、その場で鬼ヶ島親分から借りた10万円を手紙と交換に手渡すが、その様子を店の隅に座っていたおぼんもこっそり監視していた。

店を出て組に戻った青田に声をかけたおぼんは、鬼ヶ島親分に会いたいと頼みながら、こっそり青田の内ポケットから10万円の札束を抜き取っていた。

鬼ヶ島親分の部屋に入ったおぼんは、さっそく、今掏り取ったばかりの10万円を親分に返すが、青田の方は、赤沢におごってやると言いながら札束を取り出してみせるが、それは新聞紙で作ったニセモノだったので驚いていた。

鬼ヶ島親分は、すっかりおぼんの魅力に参ったらしく、手を出しかけるが、あっという間におぼんの合気道で投げ飛ばされてしまい、何事かと部屋に入ってきた青田らに、バツが悪い鬼ヶ島親分は滑ったんだと言いながら立たせてもらう。

おぼんは既に帰ったあとだったが、テーブルの上に10万円の札束が置いてあったので、青田は自分の物だと思い取り上げようとするが、それを横から奪い取った親分は、これは俺の物でお前らには関係ない金だと言い渡す。

組の外で待っていた町子と落ち合ったおぼんは問題が解決したと知らせ安心させる。

そこへ車で戻って来たのが横車大親分だった。

その横車大親分を知らず、財布を掏ったのがマッハのズラ公だった。

ズラ公は、すぐに駅構内で牛乳を飲んでいた鉄に財布を渡すと、自分は追って来た連中から逃げ去る。

追っ手から気取られた鉄はすぐに、靴磨きをやってもらっていた半太に財布を渡し、自分も逃げるのだった。

追っ手に捕まったズラ公は、「角は一流デパ-トの赤木屋黒木屋白木屋さんで…」などと啖呵売の口調を真似ながら服を脱ぎ、何も持ってないと開き直っていた。

鉄も同様に、路上でパンツ一丁になりシラを切っていた。

まんまと財布をせしめたと喜んだ半太だったが、目の前に新聞を買っている男が立っていたので、ついでにその尻ポケットから財布を掏り取る。

そっと逃げかけた半太だったが、その前に立ちふさがったのがおぼんで、このアーケードでスリはさせないよと凄まれ、今掏った財布を取り上げられ、名前を聞かれる。

おぼんは、今掏り取られた青年に近づき声をかけるが、振り向いたのは正木章太郎で、おぼんの顔を見るなり、どこかで会ったことがありますね?と言って考え出す。

おぼんの方も、正木の顔をどこかで観たと考えていたが、分からずじまいだった。

半太は、鉄から預かった財布をズラ公に渡すが、中にはたった3000円しか入っていなかったのでがっくりする。

喫茶店で向かい合った正木とおぼんは、ようやく、子供連れの時、横断歩道で会ったと思い出していた。

ダテノモータースに勤めている正木章太郎と名乗られたおぼんは、私もそこに行くんですと答え、一緒に会社の伊達野に会いに行く。

その頃、財布を掏られた横車大親分は鬼ヶ島親分に、あの中には10万以上もの金と組織の電話番号を書いた紙が入っているので、すぐに探して来いと命じていた。

伊達野に会ったおぼんは、落ちていた財布を届けに来たと言って無事、町子が拾った財布を返していた。

そして、正木の財布も返そうとチャンスをうかがっていたがなかなかチャンスがなかったのだが、その時、自社の車でドライブを誘って来た伊達野あてに電話がかかって来たので、いつものように社長代理として正木が同行することにする。

鬼ヶ島親分に集合させられた近隣のスリたちの中、ヌーベルグループのズラ公は、自分が掏った相手が目の間に立っている横車大親分と気づき、慌てて掏った財布を返却するが、中には1万円札が10枚以上入っているはずが3000円しか入っていないと知った大親分からどやしつけられる。

青ざめ、鉄に財布のことを聞いたズラ公だったが、最終的に財布を持っていた半太が責められることになる。

半太は、掏った財布はアトミックのおぼん姉さんに取り返されたと打ち明ける。

その頃おぼんは、正木を助手席に同乗させ、マツダクーペを運転させてもらっていた。

途中、整備のためガソリンスタンドに立ち寄った際、車から降りた正木の足下に、おぼんは持っていた財布をそっと落とし、それに気づかせて無事返すのだった。

ところが、財布の中味を確認した正木は、3000円しか入れていなかったはずの財布に、10万以上の札束と、数字を書いた紙切れが入っていたので、これは自分のではなく、叔父の財布だろうと言い出す。

その頃、おでん屋「おぼん」に来ていたズラ公たちヌーベルグループは、おちからアトミック組の女の子たちに10万円入りの財布の話をし、今後一緒に稼がないかと持ちかける。

話に乗ったおちかは、明日駅の前で待っているとズラ公と指切りげんまんするのだった。

店を出たズラ公は、クーペに乗っておぼんが帰って来たので、財布はどうした?と聞くと、今返して来た所だというので、鬼ヶ島親分の上の親分に返したのか…と安心して帰って行く。

しかし、その言葉を聞いたおぼんは「鬼ヶ島親分の上の親分?これはきっと何かある…」と考え出すのだった。

一方、ダテノモータースの本社に戻って来た正木は、社長の伊達野に、おじさんのへそくりと浮気相手の電話番号だろうと言いながら10万円入り財布を見せていたが、伊達野は自分の財布はさっきおぼんから返してもらった奴だし、へそくりならちゃんと持っていると言いながら、ワイシャツの背中に吊って隠していたがま口を取り出してみせる。

しかし、自分の物でもないことを知っている正木は、電話番号らしき数字が書かれた紙を取り出し、ここに今からかけてみても良いか?とからかう。

伊達野が構わんと言うので、いたずら心でかけてみると、出たのはマダムおつやだったので、やっぱりそうだったと正木は苦笑する。

電話を代わった伊達野の声を聞いたマダムも普通に客からの電話だと思って普通に対応し電話を切るが、それを横で聞いていた横車大親分は、この電話は着信専用で電話帳にも載せてないのに、何でお前の彼氏はこの番号を知っていたんだ?と問いかける。

それを聞いたマダムもはじめておかしいと気づいたので、横車大親分は、すぐに彼氏を捕まえて来いと命じるのだった。

おでん屋「おぼん」にやって来た鬼ヶ島親分は、アトミックのおぼん!ヌーベルグループから盗んだ財布を返せと迫る。

自分が元スリだということに気づかれたと知ったおぼんは、秘密の電話番号が書いてある紙の入った奴ね?それを知った私を消す?それとも仲間にする?と鬼ヶ島親分に逆に迫る。

その時、半太が呼びにやって来たので、鬼ヶ島親分がとりあえず組に帰ることにするが、そのまま店に残っていた半太は、自分を姐さんの子分にしてくれ。一人前のスリに仕立てておくんなさいと土下座してくる。

伊達野が気づくと、そこはマダムおつやの寝室のベッドの中だった。

バーで泥酔した後気を失っていたらしい。

マダムが、ここの電話番号を書いたメモはどうして手に入れたの?アトミックのおぼんと言う女スリが持ってたんでしょう?と聞いて来たので、伊達野ははじめておぼんの正体を知ることになる。

一方、店の二階のベッドで目覚めたおぼんの方は、下からコーヒーを入れて半太が上がって来たので、最初は身を固くするが、すぐにリラックスして、コーヒーの煎れ方が巧いねなどと感心する。

半太は、昔、ホテルの護衛をやっていたので…と恥ずかしがる。

おぼんは、私はもうスリから足を洗ったのだと諦めさせようとするが、おちかたちはヌーベルグループと組んで稼ぐって言ってましたよと半太は怪訝そうに教える。

その頃、スタミナの鉄は駅で掏った直後に通行人から捕まっていた。

おちかと組んだズラ公は、あっという間におちかが掏って来た財布を手渡され、まごまごしている所に警官隊(小山勝正、林家珍平ら)が駆けつけて来たので逃げる。

マッハのズラ公の名前通り、足に自信があるズラ公は、ぐんぐん警官隊を突き放すと、駅構内をぐるりと廻って、お芳たちの間を通り抜け、又外に出た所で、追っていた警官隊に追いついてしまい、自分から警官隊の中に入り、捕まってしまうのだった。

その頃、青田と赤沢は、車の客を装いダテノモータースに来ると社長室を物色するが、そこに外から正木が戻って来たので、急いで物色の後を消し、社長がいないのだったら又出直して来ますと正木に言い残して帰って行く。

正木は事務員(木元章介)に伊達野のことを聞くが、社長は夕べから帰ってないと聞かされる。

正木は、例の紙に書いてあったマダムの電話を思い出す。

マダムは、横車大親分から電話を受けていたが、どうやら伊達野が電話をかけて来たのは間違いだったらしく、まだ殺すのは早いと答えていたが、ベッドで寝ていた伊達野はその話を聞いて目が覚めてしまうが、怖くて寝ている振りを続けることにする。

マダムが浴室には行ってシャワーを浴び出したので、その間に逃げようとした伊達野だったが、タンスの中から衣服を引っ張り出すが、扉に施錠してあることに気づき焦る。

その時、電話がかかって来たので出ると、相手は正木だったので、その紙に書かれた他の電話番号にはかけるな。何か恐ろしい組織の電話番号らしいと注意する。

まだ、浮気相手の家にいると思い込んでいた正木は、半笑いしながら聞いていたが、伊達野の真剣そうな声を聞いているうちにことの重大さに気づき始める。

伊達野は、今自分は監禁されており命が危ない。アトミックおぼんが関係しているらしいと告げ、マダムが出て来る気配に気づくと、又ベッドの中に潜り込むのだった。

マダムは、まだ寝てるの?と伊達野を起こそうとするが、ベッドからブラジャーが出て来たので驚く。それはさっき伊達野が洋服ダンスから自分の服と間違って引っ張り出した物だった。

おでん屋「おぼん」にやって来た正木を出迎えたのは留守番をしていた半太で、今姐さんは出かけているという。

半太に自分の名刺を渡し帰りかけた正木は、そっと背後から近づきポケットに手を入れて来た半太を捕まえる。

そこに、クーペでおぼんが戻って来たのを観た正木は、失礼しますと言って帰って行く。

驚いたおぼんは、走って逃げる正木をクーペで狭い道に追いつめると、スリや泥棒に用はないと言うの?と哀しそうに問いかける。

正木が、あの財布は掏り取った物なのか?叔父の命が危険にさらされているんだと責めるので、おぼんは、私、そんな悪い女じゃないのと抗弁するが、では、おでん屋に何故スリがいるんだ?と半太のことを問いつめて帰って行く。

おぼんは後を追おうとするが、開いた車の扉と積んであったドラム缶の間に挟まれ、容易に抜け出すことが出来なかった。

伊達野は、マダムからアンプル剤を渡されていたが、毒が入っているのではないかと怯え手に取ろうとしなかった。

マダムが自分から飲んでみせると、ようやく安心したのか受け取って飲み始める。

その時、マダムに横車大親分から電話が入り、これ以上その男を閉じ込めておいても厄介なので帰してしまえと指示される。

もうすぐ仕事のことで人が来るので帰ってくれと言われた伊達野は呆然としながらもほっとするが、ベッドに横たわったマダムから、まだ1時間くらいだったら大丈夫だからと誘われると、ちょっと考え込むのだった。

店に帰って来たおぼんは、待ち構えていた青田から親分が話があると呼んでいると言われ、一緒に付いて行くことにする。

それに気づいた町内の仲間たちは心配そうにおぼんを見送るのだった。

やってきたおぼんに鬼ヶ島親分は、仲間に入ってもらうことにしたと告げる。

おぼんが、何かぼろい話でも?と聞くと、鬼ヶ島親分は金庫の中から何かを取り出して来る。

麻薬ですね?とおぼんが眉をひそめると。5000万分ほどあると言う。

これで、鬼ヶ島組の婦人部が出来たと言いながら、おぼんに触ろうとして来た親分は、又しても合気道で手をひねられてしまう。

そこにマダムが入って来て怪しんだので、今度婦人部長になってもらうことにしたとおぼんを紹介する鬼ヶ島親分。

そこに、捕まえられた伊達野と正木が連れて来られたので、鬼ヶ島親分はマダムに、ボスに電話するように頼む。

正木はそこにおぼんがいるのを発見、やっぱり!こいつらの…と睨みつける。

やがて、おちかやお芳たちダイナミック組も鬼ヶ島組にやって来る。

横車大親分はマダムに2人を始末するよう命じる。

それを聞いた鬼ヶ島親分が部屋を出て行きかけると、おぼんが引き止め、甘えて抱きつく振りをしながら、鬼ヶ島親分の服から拳銃を取り出し、弾だけを抜き取って返す。

一方、鬼ヶ島組の倉庫のマンホールから、半太が侵入していた。

倉庫横の部屋に閉じ込められていた正木と伊達野に銃を向けた鬼ヶ島親分だったが、次の瞬間2発銃声が響き、2人が倒れたので、戻って行く。

しかし、その銃声と思ったのは、半太がならした爆竹の音だったので、撃たれたと思って倒れた2人が起き上がると、2人とも口にタバコをくわえていた。

おぼんが弾の代わりに銃の弾倉にタバコを詰めていたのだった。

鬼ヶ島組の婦人部として合流したおぼんとダイナミック組は、歌など歌って陽気に騒いでいた。

その間、おぼんから目で合図されたおちかたちは、組員の持っていた拳銃の弾を次々に抜き取り、からりにコショウなど詰めて廻っていた。

抜き取った弾は麻袋に入れ、それを最後に受け取ったお芳がストーブの後ろに隠す。

その直後、倉庫の方から銃声らしき音が聞こえて来たので、すわ討ち入りかと飛び出していった組員たちは応戦し始めるが、銃から飛び出したのはコショウだったので、くしゃみを始める。

倉庫で銃声のような爆竹を鳴らしていた半太は、すぐに組の殺し屋に見つかって捕まってしまう。

その間、金庫から麻薬を取り出したおぼんは、それに気づいた鬼ヶ島親分と奪い合いを始めるが、スリから足を洗った私に麻薬商売の仲間に入れようとはドジもドジ…、動くとこれを暖炉に入れるよ!と脅す。

そこに半太が捕まって来るが、麻薬を手にしているおぼんは動じず、殺し屋さんが持っている物騒な物を渡さないとこれを燃やしてしまうよと脅し、拳銃を奪うと、半太もダイナミック組の方へ引き寄せる。

そこに、地下倉庫の部屋から伊達野と正木を助けて来たおちかが合流する。

ところが、隙をついて青田が部屋の灯りを消したので、大混乱が始まる。

灯りが点くと、おぼんは得意の合気道で戦い始め、伊達野は悲鳴を上げながら逃げようとする。

その乱闘の最中電話がかかって来たので、いら立った殺し屋は、受話器を取り上げると、その送話口に銃弾をぶち込む。

電話をかけて来た横車大親分は、耳から煙を上げて倒れるのだった。

やがて、鬼ヶ島組に町内の仲間たちも乱入して来て一緒に戦い始める。

伊達野はマンホールの中を行き来し、敵の子分をモグラたたきゲームよろしく叩き、やっつけるが、自分も、ダイナミック組に敵と間違われて頭を殴られ、他の子分たちと一緒に部屋の隅に並べられてしまう。

マダムの寝室では、お富とおはねがマダムと取っ組み合いをやっていた。

正木はおぼんに近寄ると、今まで誤解していたことを詫びるのだった。

その時、ストーブの後ろに隠していた銃弾を詰めた麻袋が燃え出し、大爆発が起きる。

全員、コントのように真っ黒けになっている中、おちかがおぼんを探すと、ちゃっかり正木と2人でビルの屋上へ無事逃げていたので、姐ちゃん、ちゃっこいぞ!と文句を言うと、おぼんは申し訳ないと笑って、正木と共に、ビルから見える東京の夜景を眺めるのだった。