TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

実写と見まごうばかりの水準になったCGIを使った人気コミックの映画化作品。

一言で言えば、CGアニメで再構築した「インディー・ジョーンズ」シリーズのような印象で、謎とユーモアとアクションの連続でラストまで引っ張るスピルバーグらしい作品になっている。

随所に、過去のスピルバーグ作品を連想するようなアイテムやシーンが登場するので、スピルバーグ世代にとっては、懐かしさも感じるかもしれない。

ただ、元々、子供向けのコミックなので、複雑な心理描写のようなものは何もない。

ただ、次々に遅い来るピンチをタンタンがどう脱出するか?と言うハラハラ感を楽しむものなのだが、大人にとっては最初から「アニメ」であり、タンタンやスノーウィーがどんなに危機的状況に陥ろうと、現実の描写ではないと分かっているので、さほどサスペンス感はない。

さらに残念なのは、主役のタンタンにイマイチ魅力がないこと。

原作の2次元キャラにあった、あの独特の愛らしさが見事になくなっており、本当に、無名の若者が演じている感じ。

アンディ・サーキスがモーション・キャプチャー俳優を演じているハドック船長などや子犬の相棒スノーウィーなどは、なかなか愛すべきキャラクターになっているだけに、主役が弱いのは残念と言うしかない。

前編、ヒロインが登場しないのも珍しい。

多少、CGIの知識がある人にとっては、この作品のレベルの高さに驚かされるのではないかと思うが、一般の観客にとっては、ごく普通の「冒険活劇」以上のものではないのではないか?

技術は新しいが、内容は古風と言うか、あまり斬新さがない平凡な印象を受けた。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2011年、アメリカ映画、エルジェ原作、 スティーヴン・モファット+エドガー・ライト+ジョー・コーニッシュ脚本、スティーヴン・スピルバーグ監督作品。

町の市場で似顔絵書きがモデルを前に描いている。

愛犬スノーウィーは、雑踏の中で次々と懐中のものを抜き取って行くスリを発見、後を追いかけて行く。

似顔絵書きは、完成した絵をモデルになっていたタンタンに見せる。

その絵は、原作の2次元キャラであった。

一方、その雑踏の中で異常はないなと言いながらのんきに歩いていたのは、双子の刑事デュポンとデュボン。

タンタンは、スノーウィーの姿が見えないので探していたが、やがて戻って来たので安心する。

鏡を売る店の前を通っていたタンタンは、鏡の中に映った素晴らしいカラベル船の模型を発見し、それを売っていた主人と値段の交渉をし、100で買い取る。

その直後、太った男が駆け寄って来て、倍の値段を出すのでその帆船を売ってくれと言うが、タンタンは断る。

その男は、危険が迫っているので、その船を手放せと意味不明な事を言って離れて行く。

さらに、ヒゲの男が、好きな値を言ってくれとタンタンに近づいて来る。

そのヒゲ男は、自分は不運に見舞われたその船の持ち主であるフランシス・ド・アドック卿のムーランサール城を買ったもので、その船も自分が持つべきだとタンタンに説明する。

しかし、古道具屋の店主は、今のアメリカ人も断られたと言い、タンタンもこの船は売れないと断って立ち去る。

ヒゲの男は、あの若造は誰だと聞き、古道具屋の主人は、知らないのかい?あれが有名なタンタンさと教える。

自宅に戻って来たタンタンは、あんなに人が欲しがっていると言うのは、この帆船模型に何か秘密が隠されているからではないかと感じ、それが何なのか考え始める。

その時、部屋の中で猫と追いかけっこを始めたスノーウィーが、帆船模型にぶつかって床に落としてしまう。

その時、中央マストが根本から折れ、その穴から細い金属棒が床に転がって、机の下に入り込んだのをタンタンは気づかなかった。

スノーウィーは気づいて、机の下に鼻を突っ込むが、タンタンはそんなスノーウィーを呼んで、とりあえず図書館に出かける事にする。

図書館で本を読むと、1698年、西インド諸島のサント・ドミンゴ港を出航したフランシス・ド・アドック卿が船長を務めたユニコーン号は、ラム酒など以外に秘密の荷物も積んでいたと言われていたが、途中、海賊に襲撃され沈没した。

アドック卿は、死ぬ間際、アドックの血を引くものだけが秘密を解く事が出来ると言い残した事が分かる。

その後、帰宅したタンタンは、自宅の中からユニコーン号の模型が消え失せている事に気づき、予想しておくべきだった!と悔しがる。

夜、ムーランサール城に向かったタンタンは、スノーウィーが入口横の塀の穴から中に侵入した事に気づくと、自分もそこから何に入り込む。

誰も人気はないようだったが、玄関の所にあった「タラを描いたアドック家の紋章」を観る。

その時、どこからともなく現れた黒犬に襲われ、タンタンは必死に逃げるが、スノーウィーが吼えると、急に黒犬はおとなしくなり、スノーウィーとじゃれ始める。

城の中に入り込むと、想像通り、そこにユニコーン号が置いてあったので、近づこうとするが、何者かにスパナで後頭部を殴られてしまう。

気がつくと、あのヒゲの男が立っていた。

船を返せとタンタンが迫ると、その船は君の船かね?と言うので、当たり前だと言いながら、帆船模型を手にしたタンタンだが、良く見ると、マストは折れておらず、似ているが自分が購入したものとは別物だと気づく。

ハドック卿は、どうして2つの模型を作ったのか?とヒゲの男に聞いたタンタンだったが、何故そんな事を知りたがるのかね?とヒゲ男から問われると、答えを知りたいからです、サッカリンさんと、あらかじめ調べておいた相手の名前を言う。

先ほどスパナで殴った執事のネストルは、気の毒がりながらも、そんなタンタンを入口に案内し、部屋を早くお探しなさいと忠告して送り出すのだった。

自宅アパートに戻って来たタンタンは、部屋の中が無惨にも荒らされているのを発見する。

そんな中、スノーウィーが泣くので、机を寄せてみたタンタンは、床に落ちていた金属棒に気づき、拾い上げる。

金属棒はねじ式になっており、中から羊皮紙が出て来る。

そこには、アドック卿が書いたと思われる謎めいた文章と、読めない記号のようなものが書かれてあった。

タンタンは、部屋を荒らした奴は、これを取るために又やって来るに違いないと推理する。

その時、下から、管理人のフィンチさんが、誰か自分への訪問客を断っている声が聞こえて来る。

タンタンがフィンチさんに礼を言って玄関に降りて行くと、そこにいたのは昼間、ユニコーン号の模型を最初に欲しがったあのアメリカ人だった。

タンタンは油断なく、銃を向けて応対するが、次の瞬間、外から銃声がして倒れたのはアメリカ人だった。

タンタンはフィンチさんを呼んで、警察に連絡してもらうと、自分は外に飛び出す。

その間、倒れたアメリカ人は、最後の力を振り絞って、床に落ちていた新聞紙からいくつかの文字を選ぶと、血のついた指で押さえて行く。

現場にやって来たデュポンとデュボンは、死んだアメリカ人はバーナビー・ドーズと言うインターポールの刑事だとタンタンに教える。

タンタンは、新聞紙に遺された血文字のダイイング・メッセイージを「カラブジャン」と読む。

双子刑事の1人は、その大事な新聞を持って部屋を後にしようとするが、入口の前にうずくまっていた猫に躓き、階段を転げ落ちてしまう。

双子刑事は、今世間を騒がしているスリを捕まえるために罠を仕掛けているとタンタンに教えると、自らのゴム付き財布を見せる。

アパートを出た双子だったが、そこにスリが近づいて来た。

スノーウィーだけが、先日の市場以来匂いを知っているので後を追い始める。

スリは、大胆にも、双子刑事の懐中から財布を抜き取るが、ゴムが付いていたので、慌てて捨てて逃げ出す。

タンタンはそのスリを追おうとするが、ちょうど近づいていたサッカリンとぶつかってしまう。

その時、タンタンは、さっきの羊皮紙を入れていた財布をすられている事に気づく。

そんなタンタンのアパートの前にトラックが止まり、タンタン当ての荷物だと言って、大きな木箱が届くが、その荷物には「カラブジャン」と書かれていたが、運んで来た男は、荷物はお前だよと言うと、タンタンを蹴って、その木箱の中に入れると、そのままトラックに積み込んでは知り始めてしまう。

スノーウィーは、そのトラックを追い始め、走って来たはしご車に飛び乗るが、やがて、梯子から自転車にひかれた荷車に飛び乗ると、牛を集めた場所を走り抜け、大きな汽船が停泊していた港にやって来る。

やがて出航したその汽船こそ「カラブジャン号」だった。

その船の荷物室の檻の中に捕らえられていたタンタンは、男たちに身体検査をされていた。

側にはサッカリンも立っていたが、タンタンが目的のものを持っていない事を知るといら立つ。

彼らが荷物室から去った後、忍び込んでいたスノーウィーが檻の中に入り込み、タンタンの手を縛っていた綱を噛み切る。

一方、サッカリンの元へは、船長が目を覚まし、反乱だと騒ぎ出したと部下が報告していた。

その間、折から出たタンタンは、扉につっかい棒を挟み、扉を開かないようにすると、船窓から首を出し、上の階の船窓におもりを結わえたロープを投げようとしていた。

タンタンの様子を見に荷物室に戻って来た部下は、扉が開かない事に気づくと、タンタンが中で細工をした事に気づき、扉にダイナマイトを仕掛けて開けようとする。

ダイナマイトが爆発し、扉が開くが、その途端、中から発砲音が聞こえたので、タンタンが銃を持っていると思った部下たちは思わず銃で反撃するが、良く見ると、それは、荷物室の中に置いてあった積み荷のシャンパンの栓が飛んで中味が吹き出しているだけだと分かったので、荷物室の中に入り込むが、タンタンの姿は消えてなくなっていた。

タンタンは上の階の船室に入り込んでいたが、そこにいたひげ面の男と格闘になる。

タンタンは、こんなポンコツ船と言って、部屋から出ようとするが、それを聞いたひげ面の男は怒ったのか、タンタンを殴りつけようとする。

しかし、ちょうど、タンタンに気づき飛びかかろうとした船員を殴ってしまう。

ひげ面の男は、この「カラブジャン号」の船長ハドックだった。

それを知ったタンタンが、サント・ドミンゴ沖で遭難したユニコーン号の事を調べているのだと説明すると、ハドック船長は、じい様から教えられた話だとして、アドック卿には3人の息子がいた事を教える。

それを聞いたタンタンは、模型の船も3つあり、サッカリンの目的はその3つめの船を探している事に気づく。

船長は、ある船室に向かうが、そこは鍵がかかっていた。

鍵を持っているのはジャガーマンと言う、賭けトランプ中、斬られてまぶたを失った男が持っていると言うので、そっと寝室を覗きに行くと、確かに、目を見開いたまま眠っているジャガーマンや、カミソリ使いの名人ホブスなど、荒くれ船員たちがそろってハンモックに寝ていた。

タンタンは、そっとジャガーマンに近づこうとするが、スノーウィーはテーブルの上に置いてあったサンドイッチの方に気を取られている。

船員たちの乗ったハンモックが次々と落下するが、幸いな事に寝ていた船員たちは床に積み重なっても誰も目を覚まさなかったので、タンタンは何とか目的の部屋の鍵を手に入れる事が出来る。

ところが、ハドック船長がその鍵で開けた部屋の中にあったのは酒瓶だった。

そこは単なる酒蔵で、アル中のハドック船長は単に酒を飲みたかっただけだったのだ。

救命ボートを2人で降ろそうとするが、その中に1人の船員が寝ていたので、そいつを殴りつけて、ボートを海面に降ろそうとする。

しかし、サッカリンの部下のアランたちも、懸命に逃げ出した2人を捜していた。

タンタンは、1人、無線室の近くに来ると「ミラノのナイチンゲール」と打電し終わった無線士が部屋を出た後忍び込み、通信文を発見する。

バガール、ヌルタン国、サラード国王シークと読めた。

部屋の壁に貼ってあった地図で確認してみたタンタンは、「バガールの滝」と言う表示を発見、モロッコか!と気づく。

タンタンは、急いで救援の無電を打つが、その途中で気づかれてしまう。

一方、1人で救命ボートを降ろそうとしていたハドック船長は、船員に見つかり、手を挙げろと言われたので、ボートの綱を手放してしまい、救命ボートは海面に落ちてしまう。

タンタンも見つかり、機銃掃射を受ける。

その間、船長は、別のボートを海面に降ろし、タンタンと船長、スノーウィーは、何とかそのボートに乗り込む。

しかし、彼らに気づいた「カラブジャン号」も方向を変え、ボートに接近して来る。

その直後、ボートは「カラブジャン号」に押しつぶされてしまう。

しかし、それは、船長が先に海に落としてしまったもう一隻のボートだった。

その頃、船上にいたサッカリンは、「バグハルの…」と書きかけたタンタンが残したメモを発見していた。

何とか助かったタンタンは、ボートの中で、サッカリンがモロッコに向かっているのは3隻目の模型があるからだとハドック船長に説明していた。

シークは、模型コレクターであり、3隻目のユニコーン号は模型は、防弾ガラスケースの中に安置されていた。

タンタンは、アドック家の財宝は、真の血を継いだものだけが秘密を解けるのだとハドック船長に説明する。

それを聞いたハドック船長は、船乗りの意地を見せると言い、ボートのオールを取ると漕ごうとするが、オールがスノーウィーとタンタンの頭にぶつかり、相当とも気絶してしまったのに気づかず、のんきな奴らだと呆れて漕ぎ出す。

その頃、双子兄弟刑事はスリと出会っていたが、それはシルクと言う馴染みの人物だったため、全く気づかず、いつものように挨拶をする。

一方、シルクの方はスリがばれたと観念し、双子刑事を自宅に招き入れるが、そこには、これまで盗んだ大量の財布類が部屋一杯に陳列してあった。

しかし、間抜けな双子刑事は、それをシルクのコレクションと思い込んでいるようで、シルクが、これは私の癖なんですと告白してもなお、疑いもせず眺め始める。

やがて、自分たちの財布を見つけ、さらにタンタンの財布まで発見する。

その頃、ハドックは、ボートの切っ先部分に置いてあった酒瓶を発見していた。

タンタンが目覚めると、何と、酔ったハドック船長が、ボートの中でオールを燃やしているではないか!

驚いたタンタンは何をしているんです!と止めようとするが、少し正気付いたハドックが、そのたき火の事に気づき、あわてて消そうと酒瓶の中の酒を注いだのでボートの中で爆発が起こり、タンタンたちはひっくり返ったボートにしがみつく事になる。

それでも、ハドック船長は、アドック卿のせいだなどと責任転嫁のような事を言い始め、どうあがいてみても奴にはなれん。死んだ方がマシだ!などと自暴自棄になって行く。

その時、船底に乗っていたスノーウィーが、接近して来るセスナ機に気づく。

ハドック船長も気づき、機体にポルトガル語が書かれている事に気づき喜ぶが、水上機はタンタンと船長らに機銃掃射して来る。

タンタンは持っていた拳銃の弾倉を確認するが、もう残りの弾は1発しか残っていなかった。

それでも、狙いすまし、間近に迫った水上機のエンジン部分を撃ってみると、見事命中したのか、水上機は煙を吐いて水上に着水する。

タンタンは、泳いで水上機に近づくと、すでに弾のない拳銃を向けてパイロットたちを脅し付ける。

やがて、ハドック船長とスノーウィーも乗せ、タンタンが操縦マニュアルを観ながら水上機を発進させると、目指すモロッコへと向かう。

眼下には、同じくモロッコに向かう「カラブジャン号」が見えた。

タンタンが操縦する水上機は、やがて積乱雲に飲み込まれ、大揺れに揺れ始める。

ハドック船長は、機内に薬用アルコールを見つけたので、それを飲もうと取り上げるが、それに気づいたタンタンは、それは薬用なので飲んではいけないと注意する。

しかし、ハドック船長はその忠告を無視して、アルコールを飲んでしまう。

その内水上機の燃料が切れてしまったので、タンタンは、ハドック船長にアルコールを機種部分の燃料入れから入れてくれと頼む。

ハドックは恐る恐る、ドアを開くと外に出るが、何とか燃料入れの部分に到着すると、そこに自らの口を近づけ、さっき飲んでしまったアルコールを吐き出すが、その時、付けていたパラシュートが開いてしまい、そのまま後方に飛ばされたので、必死に尾翼にしがみつく。

その間、荷物室に縛られて閉じ込められていたパイロットの2人は、縛めを解いて、自分たちだけ外へ飛び降りると、パラシュートで脱出する。

水上機はそのまま落下を続け、砂漠に不時着するが、その衝撃で風貌を突き破って前に飛び出したタンタンは、気絶したまま、回り続けているプロペラに近づいて行く。

それを阻止しようとスノーウィーがタンタンの身体を噛んで引っ張るが、さすがに力が足りない。

その時、ようやく前方にたどり着いたハドック船長がタンタンの身体を抱えて、砂漠に落とす。

次の瞬間、ハドックのパラシュートがプロペラに巻き込まれ、ハドックは振り回されるが、プロペラの方もパラシュートが絡まってしまい、やがて回転を止める。

何とか、砂漠の中を歩き始めたタンタンとハドック船長だったが、ハドック船長は熱にやられたのか、奇妙な事を言い始める。

うちに帰らにゃあ…、海に帰らにゃあ…、3本マスト、ダブルデッキ…、素晴らしい船だ!

風が追い風になった!サントドミンゴを出航してまだ1日、船倉にはラム酒とタバコ…などとつぶやいていたハドック船長は、水があったなどと叫び走り出そうとするが、それは蜃気楼だとタンタンが止める。

しかし、まだ、ハドックの幻想は続いていた。

公開中のユニコーン号は、「レッドラッカム」の海賊船に遭遇する。

互いに砲撃し合い、炎上し傾いた両船がマストで絡まってしまったので、アドック卿はマストを伝って接合部に到着すると、ロープを切って両船を分離する。

海賊船は沈没して行くが、アドック卿は「死の国からよみがえった幽霊だ…」とつぶやく。

いつの間にか正気付いたハドック船長は、船は消えた…と続ける。

そんなハドック船長にタンタンは、ここはアフリカのサハラ砂漠だと教える。

そんな2人の前に、見知らぬ軍人たちが取り囲み、彼らを自分たちの部隊に連れて帰る。

外人部隊のアフラル・デルクール中尉がタンタンを医務テントにいたハドック船長の元に連れて来る。

タンタンは、ハドック船長が無事だったので安心して挨拶するが、何故か、ハドックの方はタンタンの事を全く忘れているようだった。

その時、スノーウィーが、水のコップの代わりに薬用アルコールの瓶を追いたので、ハドック船長は、それを水だと思って飲んでしまう。

すると、又、酔ったハドック船長は錯乱状態に陥り、外人部隊の兵隊たちに襲いかかる。

地獄に堕ちろ!レッドラッカム!

そう叫ぶハドック船長の心は、海賊レッドラッカムと対峙したアドック卿の心と共鳴し合っていた。

ユニコーン号は海賊船に奪われた。

ユニコーン号には、ラム酒やタバコ以外に、200kgもの金塊を積んでいたのだった。

それを狙ってユニコーン号に乗り込んで来たラッカムは、乗組員を殺せ!と部下たちに命じる。

海賊は、縛ったユニコーンの船員たちを、サメが待ち構える海に投じる。

アドック卿は、マストの上でロープを切ると、船倉の火薬庫に向かう。

火薬樽を1つ抱えたアドック卿は、その栓を抜き、中の火薬を火薬庫から甲板に向け撒いて行き、導火線代わりにする。

それに気づいたレッドラッカムがアドック卿に立ち向かって来る中、アドック卿は、火薬に火をつける。

しかし、レッドラッカムは、火のついた火薬を靴裏で踏み消しながら剣劇を始める。

アドック卿は火薬庫に後ずさりながら、又、柱に付いたランプを斬り、その火を導火線部分に落として再着火するが、ラッカムが又踏み消すと言った行為を数度繰り返す。

アドック卿は、レッドラッカムが顔に付けていたマスクを斬り落とすと、中から素顔が出て来た。

そこまで先祖の記憶とリンクしていたハドック船長は、はっと現実に戻ると、奴の目的が分かった!と叫ぶ。

レッドラッカムの顔は、サッカリンそっくりだったのだ。

奴の目的は復讐だ!

最終的に、ユニコーン号の火薬庫は大爆発を起こし、船倉に取り残されたレッドラッカムは、ハドック一族を未来永劫呪ってやる!ベンツの人生、別の世界で!と言う呪詛の言葉を残して船と共に海に沈んで行く。

船に積んであった金塊は爆発で飛散し、間一髪、海に落ちて浮いていたアドック卿は、自ら数って板大きな帽子を裏返して、雨のように降り注いで来る金貨の一部を受け止めるのだった。

ハドック船長は、サッカリンがレッドラッカムの子孫で、ユニコーン号の沈没位置を探しているのだと言う。

早速、らくだにゆられてモロッコに向かったタンタンとハドック船長は、すでに、港に「カラブジャン号」が寄港しているのを発見する。

サッカリンに先を越されたのだった。

市場にやって来たタンタンは、怪しい2人組みに付けられている事に気づき、隠れて捕まえると、それはあの双子刑事デュポンとデュボンだった。

彼らは、ユニコーン号からタンタンが打った無線が届いたので、すられていたタンタンの財布を持ってやって来たのだと言う。

タンタンは、その財布の中に入っていた羊皮紙も無事だった事を知り大喜びする。

その時、タンタンは、「ミラノのナイチンゲール」と書かれた巨大なポスターを目にする。

それは、当地のサルタンに招かれた世界的オペラ歌手ビアンカ・カスタフィオーレの事だった。

そのビアンカ・カスタフィオーレと共に、サルタンに挨拶していたのがサッカリンだった。

サッカリンは、防弾ガラスに入れられ庭に飾られていた、ユニコーン号の模型をちら観する。

その頃、タンタンはハドック船長に羊皮紙を託すが、受け取ったハドック船長は緊張しまくりながらも任せておけと言う。

2人は、屋外で開催されたオペラ歌手のコンサートに参加するが、ビアンカ・カスタフィオーレがソプラノで歌い始めると、ハドッック船長とスノーウィーは、あまりの高音に耐えきれなくなり、とうとうハドック船長は表に逃げ出す。

ハドック船長は、そこにあった酒瓶を見つけると、それを飲もうとする。

一方、タンタンは、宮殿の二階の窓からじっとコンサート会場を観ていたサッカリンと彼のペットのハヤブサを注意深く観ていた。

その直後、ユニコーン号が入れられていた防弾ガラスが、ビアンカ・カスタフィオーレの高音の衝撃で割れてしまう。

次の瞬間、サッカリンの肩から飛び出したハヤブサが、ユニコーン号の模型から金属棒を取り出し、それを持って飛び去って行く。

その頃、外にいたハドック船長は、サッカリンの部下のアランたちから襲われ、タンタンから預かっていた羊皮紙を奪われていた。

タンタンは、会場の外にあったサイドカーにまたがると、ハドック船長も置いてあったバズーカを拾ってサイドカーに乗り込む。

タンタンは、飛び去って行くハヤブサを追ってサイドカーを飛ばす。

ハドック船長は、バズーカ砲を発射するが、それは逆向きだったので、弾はダムを直撃し、大量の水が放出し始めてしまう。

スノーウィーは、羊皮紙を奪って逃げていたアランたちの車を襲撃しようとするが、戦車が迫って来る。

壮絶なチェイスが続くが、とうとうタンタンはハヤブサから金属棒を奪うと、中から出て来た羊皮紙が、2枚重ねると、謎の文字の部分が正しく読める仕掛けになっている事に気づく。

しかし、そんなタンタンに、サッカリンは、羊皮紙をこちらに渡すよう要求して来る。

いつの間にか、ハドック船長とスノーウィーが彼らに捕まっていたのだった。

いつの間にか、海辺にまで移動していたバグハルホテルの入口部分に引っかかっていた戦車が海に落ちる。

それを2階のベランダから観る双子刑事。

ホテルが海辺に来た事で、ホテルの支配人は、これでこのホテルも2つ星から3つ星になると喜んでいた。

そのホテルの側では、羊皮紙をサッカリンに奪われてしまったタンタンが落胆していた。

しかし、ハドック船長は、失敗から学ぶべき事はたくさんある。何よりも、くじけない事だとタンタンを慰める。

その時、タンタンは、何かを思いついたように、良し、いける!と叫ぶ。

「カラブジャン号」からの無電を受信したってことは、その位置が今も分かると気づいたのだった。

そう言いながら、タンタンは港に浮いていた水上機を指差す。

サッカリンは、出航した港に又、戻って来ていた。

タンタンとハドック船長、そして、双子刑事たちもその場に戻って来ており、サッカリンたちの動きを監視していた。

タンタンは、なぜ、サッカリンは元の港に戻って来たのだろう?と不思議がっていた。

ハドックは、サッカリンの車を港に降ろそうとしていたクレーン操縦室に入ると、アランを殴りつける。

それに気づいたサッカリンは、もう1台のクレーン機に乗り込み、ハドック船長とクレーンを使って対決する。

ハドック船長は、近づいて来たもう1台のクラーンの操縦席にいたサッカリンに、レッドラッカム!と呼びかける。

操縦室を降りた2人は、落ちていた剣を使い、祖先たちがやったようにチャンバラを始める。

やがて、ハドック船長は、網に絡めとられ身動きできなくなるが、近くに酒瓶が転がっている事に気づく。

その隙に、サッカリンは、持っていた羊皮紙をライターで焼こうとするが、それをタンタンが横から奪い取ると、網から脱出して来たハドック船長が、天地がひっくり返っても、俺の船は渡さん!と言いながら、サッカリンを船から蹴り落とす。

海に落ちたサッカリンは、這い上がって来た所を待ちかねていた双子刑事が逮捕する。

タンタンが、奪い取った3枚の羊皮紙を重ねて観ると、謎の文字の部分に、緯度と経度の座標を示した数字が現れる。

財宝が眠る場所が判明したのだ。

思わず、タンタンとハドック船長は抱き合って喜ぶ。

車で向かったその場所は、何とムーランサール城だった。

入口に現れた執事のネストルが、お待ちしておりましたと2人を中に招き入れる。

ハドックは、屋敷の中に見覚えがあるようで、地下室に向かうが、そこは、彼の記憶にある地下室よりずっと狭いような気がすると言い出す。

その時、黒犬のヘクトが乱入して来たので執事のヘストルは叱りつけるが、タンタンは何かを思いついたように、奥に部屋があるんだ!壁にぶつかったら、ぶっ壊して進め!と言うと、奥の壁を壊してみる。

すると、案の定、地下室の奥にさらに広い部屋が現れる。

行く手を照らす鷲の十字と言う暗号文も、聖パトモスの事だと気づいたタンタンは、その像がそこにある事を確認する。

すると、ハドック船長が、その前に置かれていた大きな地球儀を観ながら、見覚えのない島があると言い出す。

タンタンは、アドック卿は、自分と同じ船乗りにしか分からない暗号を残したのだと気づき、ハドックに押すように伝える。

すると、地球儀の上の部分が開き、中に、アドック卿がかぶっていたつば広の帽子の中に入った大量の金貨があった。

ハドック船長は、その帽子を自分でかぶってみる。

その時、ネストルが、祝杯用のシャンパンを持ってやって来る。

タンタンは喜ぶハドック船長に、まだ200kgの金が海底に眠っている。その場所を記した暗号を今、地球儀の底から見つけたが、探しに行くかい?と聞く。

それを聞いたハドック船長は、むずむずして来たぞ、タンタン!と笑顔になるのだった。