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人間の條件 第5部 死の脱出

大長編映画の第5部に当たる。

本作では、戦車戦で部隊が全滅した後、延々と敗走する梶や、途中で合流した日本人達の無惨な姿と、憧れていた共産主義の軍隊も汚いマネをすることを知った梶の絶望感が描かれている。

この辺になると、登場人物も限られて来ることから、あまりスペクタクル的な見せ場は減って来て、やや地味な印象になっている。

坊屋三郎、上田吉二郎、岸田今日子、菅井きん、中村玉緒など、新たなキャラクターが登場するが、岸田今日子以外は出番も少なく、印象もあまり残らない。

そんな中、強烈な印象を残すのは、下品な日本兵で登場する金子信雄だろう。

ひょっとすると、金子信雄が悪役としてのイメージを定着させることになる初期の作品ではないかと思う。

主人公である梶も、この辺になると、殺人を犯したことへの罪意識や、赤軍に対する猜疑心などがふくれあがり、もはや精神のバランスが取れなくなっている危うい状態になっている。

戦争と軍隊と言う強烈な現実が、元々労務管理と言う仕事の中で理論派だった彼を徐々に狂わせ始めたのだ。

そこにはもはや、理屈や正論が通じるものはなかった。

あったのは、極限状態に追い込まれた人間のむき出しの欲望だけ。

梶は、今までの自分の理論武装が、他国の犠牲から得ていた薄っぺらな平和と自由の上に成り立っていたことに気づく。

今の彼に残されていたのは、ただ、愛する妻の元に戻りたいと言う本能だけだった。

観客はもう、そんな梶に感情移入すると言う域を超えており、哀れな敗者の末路を予感するのみである。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1961年、五味川純平原作、松山善三脚色、小林正樹監督作品。

※劇中、今では差別用語と言われている表現も出てきますが、できるだけ映画の雰囲気を再現するため、言い換えないで使用しております。ご理解ください。

夜、県道を走るソ連のトラック部隊。

丘の上には、ソ連兵の見張りが一人立って、時々懐中電灯でトラック部隊に合図を送っている。

その近くの草むらに身を潜めて善後策を考えていたのは、生き残った弘中伍長(諸角啓二郎)、寺田二等兵(川津祐介)、そして、梶上等兵(仲代達矢)だった。

梶は、ここを切り抜けるには2つの方法しかなく、1つは、このまま突っ走ること、もう1つは、あの見張りが30秒でも目を離してくれたら…と言う選択肢で悩んでいた。

どうするのかと聞く寺田に、俺が捕まったら、構わず走れと命じた梶は、短剣を抜いて見張りのソ連兵に近づいて行く。

ソ連兵が後ろを向いていた時、その肩を軽く叩き、振り向かせた梶は、短剣で相手の身体を突き刺す。

その直後、3人はトラックが走る県道を突っ切っていた。

寺田から右手に血が付いていることを指摘された梶は、それが今のソ連へ命であることに気づきぞっとする。

手を洗ったその後も、梶は、人を殺めた右手のことが気になって仕方なかった。

戦車戦でソ連兵を射殺した時は、まだ戦闘中だったから仕方なかったとは言え、今朝の見張り殺しは確信犯である。

梶は、情熱もなく人を殺した自分を責める。

たった50m先の道路を渡る為だけに人を殺してしまった自分を、妻の美千子が許してくれるのかどうか…

そんな時、寺田が、あの時はどうやったんですか?などと、見張り殺しの詳細を聞いて来たので、梶は、下らんことを聞くな!県道を越えたんだ。これからのことを考えろと叱りつける。

やがて、3人は、壊れた建物を見つけ、その中に大量の米が残されていたので、必死に雑納の中に詰め込めるだけ詰め込む。

外に出た3人は、近づいて来た日本兵(高原駿雄)と出会う。

どこへ行く?と聞かれた梶は牡丹江の方へ行こうと思っていると言うと、その日本兵は朝鮮に行こうと思っていると言う。

金日成の地盤だから気をつけた方が良いと注意した梶は、朝鮮語で同志は何と言う?と聞かれたので、中国語だとトンジだから、ドンムだろうか?と自信なげに教えるが、聞いた日本兵はその言葉を何度も繰り返しながら別れる。

3人はその後、どこへ向かうか議論し合い、弘中伍長が、自分の方が下士官だと優位性を主張するが、梶は、もう関東軍は崩壊したんだ。今後は友軍と合流するすることは考えず、元の生活に戻るんだ。自分が向かうのは南満だ。それが嫌なら別れてくれ。今必要なのは、敗残兵の心得だよと言って、弘中の階級章をはぎ取ると一人で歩き始める。

寺田がそれについて行ったので、弘中も仕方なく、梶の後を追うことになる。

やがて3人は、森の中で道に迷ってしまう。

そんな彼らは、女の悲鳴を聞き、一瞬緊張するが、声をあげたのは、ソ連の侵攻から逃れて森の中に潜んでいた、女子供も交えた日本人一行だった。

雑貨屋(坊屋三郎)が、もう5日もろくに食べていないと言うので、とりあえず、梶達は、持っていた米を炊いて彼らに食わせることにする。

その一行の中に、竜子(岸田今日子)、梅子(瞳麗子)と言う売春婦が混ざっており、他の日本人から差別を受けていた。

梶は、喧嘩をするなら追いて行くぞと、全員を叱りつける。

あまりの空腹故に、木の表面を張っていたカタツムリを見つけ、一行は、嫌々それを焼いてみることにする。

石炭屋(上田吉二郎)は、関東軍がしっかりしてくれてたらな…と愚痴を言う。

子供を連れた雑貨屋の妻(中村美代子)は、木に生えていたキノコを採ろうとするが、それは毒キノコだった。

日本人の中に混じっていた敗残兵は、梶の雑納の中にはまだ米が入っていることを知っていたので、それをその後食べようとしないことを恨み始める。

一行は、雨の降る中、森を歩き続ける。

梶は、この米は密林を突破したときか、枕を並べて死ぬ時のしか食わないと、他の日本人達に告げる。

そんな梶も、肩寄せ合いながら、歩き続ける1組みの老教師父婦をじっと見つめていた。

老教師(御橋公)が妻(南美江)に、お前1人を死なせはしない。歩いて力尽きても良いじゃないか。私はお前の側にいると語りかけていたからだ。

数日後、寝ていた梶の枕元に置いていた雑納を取ろうとする雑貨屋の妻がいた。

梶が目ざとく起きると、妻は、子供と夫に食べさせたいと言う。

梶は心を鬼にして、ひもじければ草でもかじりなさいと叱り、この米は死んで行くものには食わさないと言い切る。

雑貨屋の妻は、子供の元に戻るが、すでに子供が餓死しているのを発見し、号泣する。

その様子を観ていた竜子は、泣きたいだけ泣かしておけば良いのよと冷静に答える。

しかし、妻は狂ったように、こんな所にいたら死んでしまうよ!とわめき出したので、梶はいい加減にしろ!と怒鳴り、銃を空に向ける。

翌日も食べ物にはありつけなかった。

雑貨屋の妻の姿が見えないので、どうしたのか聞くと、血みたいなのを吐いて死んだと言うので、キノコを食ったなと梶は想像する。

雑貨屋は、あんたが殺したんじゃないかと責める。

石炭屋も、妻(石本倫子)を連れていないので訳を聞くと、楽にしてやったと言うので、驚いた梶が少し道を戻ると、首を吊った妻の遺体を発見する。

その後、梶は、別の兵隊の遺体も発見し、森の中に迷い込んだ敗残兵は自分たちだけではないことを知る。

そんな中、蛇を捕まえた兵隊と、みんなで食おうと言う梶は言い争いになり、又、米を出せと迫られるが、そんな言い争いを竜子が諌める。

梶は竜子の気性にシンパシーを感じ、何となく会話を交わすようになる。

竜子は、南満には妹が唯一の身内としているので、梶にどこまでもついて行くと言う。

そんな竜子の顔が、妻の美千子(新珠三千代)に重なって見えるときもあった。

梶は、南満は大丈夫さと力づけ、とうとう取っておいた最後の米を取り出す。

今日、森を抜け出すと決意を固めたのだった。

そして、死にたくなければ付いて来てくれと、その場に生き残っていた全員に伝える。

先頭を黙々と歩き続ける梶の後ろ姿を追いながら、寺田二等兵は、あんたは俺をアホと言ったが、戦争から救ってくれもした、一体、あんたって人は…糞っ!と心の中でつぶやいていた。

弘中伍長は、これで連帯にぶつかったら、俺は恥さらしだと考えながら歩いていた。

別の兵隊は、名誉の戦士をすれば、桐の箱で九段坂だと考えていた。

そうした中、途中で付いて行けず、倒れ込む者も出て来る。

竜子は、売春婦仲間だった梅子を立たせようとするが、梅子は堪忍してよと言いながら、静かに目を閉じるのだった。

梶の信念が天に通じたのか、ようやく森を抜け、草原に出るが、そこにはいくつもの日本兵の腐乱死体が転がっており、その死体をついばんだカラスの群れが飛び立って行く。

梶も心の中で考え続けていた。

まだ歩けるか?俺はどこまで歩いているのか?まるで無駄なことじゃないか?

美千子が何者かに連行される妄想や、中国人の高が憲兵に惨殺された日のことが次々に浮かんで来る。

美千子、君はまだ、俺が君に向かって歩いていることを知っているだろうか?

そんな梶は、追いついて来た寺田に、あれはなんだと思うと、前方に見えている煙を指して聞く。

遅れている連中を待ち、その場所に向かってみると、そこは日本の部隊だった。

そこで梶達から事情を聞いた永田大尉(須賀不二男)は、牛島隊、土肥隊が全滅したと言うなら、お前らは何故生き残った?貴様らのような臆病者にやるような食料はないと言って来る。

それを聞いた梶は、いきなり大尉に銃を突きつけると、お前らが食料惜しさに逃げている間に、俺たちは全滅したんだと迫り、相手の足下に銃弾を撃ち込んでみせる。

部隊から離れた梶は弘中伍長に、あんたが合流したがっていた部隊なんてあんなものだと告げる。

それでも、あそこで我慢して、食料をもらっておけば良かったと悔やむ兵隊もいた。

そんな梶の所に「やったな、梶」と言いながら近づいて来たのは、いつか病院で出会った丹下一等兵(内藤武敏)だった。

丹下は、持っていた乾パンを全員に渡してくれながら、梶の風貌が以前とは変わったと指摘する。

梶が、日本はどういう風に負けるだろうか?と聞くと、丹下は、ドイツと同じく無条件降伏だろうと言う。

それを聞いていた寺田は、負けたら、国は滅びるんですねと悔しがるが、お前が教えられたような国は滅びるんだ。そんなもの滅びて良いんだと梶は言いながらも、民主勢力なんて、今の日本にあるのか?と疑問も口にする。

丹下は、そんなに腐るな。勝負はこれからだと励ます。

それでも梶が、敗戦の収集だってどれだけできるか…などと愚痴っているので、お前、観念まで飢え始めたなと丹下は憂える。

丹下も加えた一行は、やがて、農作物の植わった畑を見つけ、そこで野宿することにする。

たき火の番をしていた梶と竜子は又少し話をする。

翌朝、梶は自分たちの姿を観て逃げ出そうとした中国人農夫を捕まえ、シンボホウはどっちだ?と中国語で聞く。

農民の教えた方角へ向かった梶達だったが、どうやら騙されたと気づいたのは、中国人の民兵に囲まれたからだった。

しかし梶は、どうして民兵が銃を持っているのだろうと不思議がる。

しばらく進んでいると、隠れていた日本兵3人と合流する。

その日本兵の中心人物らしき桐原伍長(金子信雄)が言うには、偵察がへまをやってこうした事態になったらしい。

どうやら、この桐原たちが騒ぎの大元らしかった。

梶は、瞬時に、桐原に人間的な不信感を抱き、先に進むものと、ここで援護する人材は、両方のチームから出そうと提案する。

中国の民兵が包囲する中、竜子を伴い、先に走って抜け出そうとした丹下は、左足を撃たれ負傷する。

後方で援護していた梶や桐原達も合流するが、中国側に民兵が出来ていると言うことは、日本が負けたんだなと悟る。

丹下は、投降しろと言われたらするかね?と梶に問いかけ、我々日本人は、下らん自由を高い金を出して買っているのかもしれんぞとつぶやく。

その後、桐原達も加えて歩き始めた一行は、雨に祟られる。

桐原は、先ほどの梶の判断に関して、ぶつくさ文句を言っている。

びしょぬれで歩き続ける梶には、雨風凌ぐ家があるのって幸せだわ…と言う美千子の言葉が思い浮かんでいた。

中国人の犠牲の上に過ごしたあでやかな生活は、高い支払いをしていたと言うことかもしれない。

今は、盗みをしないと、君に近づけない。

俺たちはもう一度やり直すことが出来るだろうか?梶はそう考えていた。

やがて、無人らしき中国人の民家を見つけたので、そこで一行は大休止することにする。

庭にいた豚を潰して、全員、腹一杯食うことが出来た久々の満足感故か、桐原は、白系ロシア人の女を犯した話を自慢げにし始める。

梶は、そんな桐原を嫌うが、その気配に気づいた丹下は、梶を家の外に連れ出すと、たまには、たがを緩めてやれよと注意する。

梶はそれには答えず、出発しようと言い出すが、その民家の近くに潜んでいた中国人は、じっと日本へイタチの様子をうかがっていた。

一方、川で身体を洗っていた寺田と竜子の元に、桐原の仲間の男がふんどし姿で現れ、露骨に竜子に誘いをかけ始める。

竜子は迷惑がるが、寺田が一足先に民家に戻ると、男は竜子に迫ろうとする。

そこにやって来た梶は、竜子の方に、男をからかうのは止めたまえ。ちょっと安全だと君たちは…と声をかけたので、竜子は、君たちはって何よ!と憮然とし、もう、足手まといにならないから、何さ!と梶を睨みつける。

先に民家に戻った梶は、残っていたものが、この家の主らしき中国人を捕らえているのに気づく。

すでに、家の周囲は、彼の仲間が呼び集められていたのだが、まだそれに気づかない梶は、捕まっていた中国人に、豚を食べてしまったことなどを謝罪していた。

その頃、川から一人戻って来る途中だった竜子は、家の周囲に身を伏せている中国人達の姿を発見してしまう。

その竜子の悲鳴を来た梶達は、敵に囲まれたと察し、戦闘準備に入るが、ここでは不利と考え、裏の壁を崩して外に逃げ出せと命じる。

梶の指示通り、外へ逃げ出した寺田は、家に残った梶のことを案じていた。

家の外では、撃たれた竜子が倒れて、息を引き取ろうとしていた。

その死体を前に、俺はこれから、逃げるより戦って殺すぞと憤る梶に、丹下は、お互い、気が立っているんだとなだめる。

その時、近くで桐原が、自爆してもなお息があった中国人にとどめを刺していた。

丹下は、君は女を葬るなら、俺は満人の死体だって葬るはずだと、梶に言い聞かすのだった。

その後、前方に見えるトウモロコシ畑を目指し、麦畑の中を進んでいた梶達だったが、中国人の民兵達が、バラバラと出て来て、他の敗残兵らしきもの達を追い始めたので、ひどい連中が通って行ったようだなと話し合う。

とりあえず、トウモロコシ畑には到達した一行だったが、気がつくと、背後から煙が迫っていた。

どうやら自分たちをあぶり出す作戦らしい。

丹下は、この辺が年貢の納め時らしい。投降しようと提案するが、梶は、煙を突破すると言い出す。

火の方角なら、中国人も手薄に違いないと言う考えだった。

全員、一斉に火がついた麦畑に突進し、何とか川縁まで到達するが、途中、弘中伍長が敵弾に倒れてしまう。

何とか成功したものの、そんな梶の乱暴な作戦に、丹下は賛成しないと抗議する。

それを聞いた梶は、では、ここで解散しようか?と睨みつける。

その後、梶達は、大勢の日本人女性が歩いている所に遭遇する。

しばらく身を隠して様子をうかがっていると、道を走って来たトラックが、彼女らを蹴散らすように通り過ぎた後、一人の女性を荷台から道に落として行く。

梶達が近づき、どうしたんだ?と声をかけると、周囲にいた女(菅井きん)は、観ちゃいけないよ!と怒鳴り、他の女性達と共に道に捨てられた女を隠すように取り囲む。

赤軍に強姦されて捨てられた避難民の女性達の群れだった。

夜、彼女らと共に野宿することにした梶は、負けた国の女ほど惨めなものはないとこぼす女の言葉を聞き、ショックを受けていた。

労働者の軍が、そんな卑劣なことをすると言うことが信じられなかったのだ。

丹下は、そんな梶に、赤軍の中だってろくでなしはいるだろうとなだめるが、共産主義を信じていた梶は、必ず訂正させる。誤りだよとつぶやく。

赤軍は、ナチスや日本やアメリカの軍隊とは違っているはずだ。こうした傷は、やがて人から人に伝わり、不信感が生まれる。傷の一つ一つから憎しみの血が吹き出て来るんだ!と梶は憤慨しながら、たき火の煙にむせ返る。

丹下は、梶、南満に行った部隊もそうなんだろうな。俺は信じるよと話しかけるが、それを聞いていた一人の若い娘(中村玉緒)が、兵隊さん達、南満へ行くんですか?と声をかけて来る。

18だと言うその娘は、北湖東へ帰りたいので連れて行って下さいと言う。

寺田は、途中で何ともなかった?とその娘に聞くと、さきほどの女が、芸子さんが身代わりになってくれたと言う。

その人は?と聞くと、連れて行かれたのだと言う。

その娘は、ふさぎ込んでいる弟と二人連れらしかった。

翌朝、川で顔を洗った娘は、驚くほど美しく、それを桐原は、ニヤ付いて観ていた。

その娘と弟を伴い出発した梶らは、途中、朝鮮に帰る家族に遭遇したので、その主人(成瀬昌彦)に湖東への道を尋ねると、後10里くらいだと言う。

翌日、梶は娘に、昨日の朝鮮人の話を聞くと、もう、お父さん達はいないのではないか。僕の所へ来ないかと誘うが、娘は、やっぱり帰りますと言う。

すると、桐原が、俺が連れて行ってやると言い出す。

桐原は、もし日本人がそこにいなかったら、自分たちは馬賊にでもなるかなどと笑って、梶達と別れる。

やがて、梶、丹下、寺田の3人は、敗残兵の集落に到着する。

落ち着いた丹下は、ソ連は土地を取らなくても良いんだとか、中共は動くよなどと梶と話し始める。

すると、そこにいた兵隊の一人が、お前達アカか?だったら、聞きたいことがあるのだが…と話しかけて来るが、そこに、先ほど別れた桐原達3人がやって来る。

梶は不審に思い、あの娘と弟とはどこで別れた?と聞くと、俺が、ロスケの汚れを清めてやったと自慢げに桐原が言うではないか。

犯して、捨てて来たらしいことを知った梶は激怒し、彼らを殴りつけ、銃を突きつけると、ここから出て行け!と命じる。

お前達、今夜から、四つ足で歩け!と梶は怒鳴っていた。