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キングコング対ゴジラ

初代の「ゴジラ」(1954)が、怪獣部分以外の本編だけ観ても面白いと書いたが、この「キングコング対ゴジラ」も、本編だけ観ていても十分面白い作品である事に気づく。

と言うか、特撮部分は、今の感覚で観てしまうと、さすがに驚いたり興奮するような部分は少ないように思う。

都市破壊は少ないし、ゴジラもキングコングも人形感丸出しである。

子供の頃は、それでも特撮部分だけに注目し、喜んでいたような気がするが、今観ると、冒頭部分からの畳み掛けるようなサラリーマン喜劇風展開が面白くて仕方がない。

特に、多胡部長を演じている有島一郎の芝居は絶品である。

博士役として登場している平田昭彦も、本作でのセリフだけを聞いていると、科学者というより、むしろ、まるでオカルト研究家と言うか、世界の怪奇現象解説者になっているのもおかしい。

日本の広範囲を移動しているにもかかわらず、「偶然」というには出来過ぎるくらい、キングコングとゴジラと言う2大怪獣に遭遇し、どちらもピンチに陥ってしまう「超不運な女」であるふみ子を演じている浜美枝の存在も、よく考えると笑える。

このように、本作に登場するどの役も、それなりにおいしい要素が用意してあるように思えるのに、ただ1人、あまりきちんとした性格付けをされておらず、何となく印象が弱い若林映子だけがちょっと可哀想に思えるくらい。

ファロ島でのエピソードには、子供のチキロがしっかり絡んでおり、正に子供からサラリーマン層まで幅広くターゲットにしている作戦が透けて見える作品である。

1作目で渋い文芸風の演出をこなした本多監督が、ここでは全く違った明るい演出を見せてくれるという事は、本多監督が、いかに職人監督として基礎的技量を持っていたかが分かる。

一方、円谷特撮は、正直な所、この辺りから「チャチさ」が目立ち始めているように感じる。

カラーになり、すっかり子供向けになった事により、「玩具感全開」と言った印象なのだ。

「ファンタジー性」を前面に押し出していた前年の「モスラ」(1961)の方が、まだ細部にわたり丁寧に作り込まれている感じが見えるのに、本作は何となくチープに見えてしまう部分がある。

リアルさよりも、多少強引であっても、画面的な楽しさを優先しているのかもしれない。

それは良いとしても、肝心のゴジラとキングコングの対決シーンが意外と見応えがないのは、若干物足りない気がしないでもない。

コングが雷の力を借りて強くなると言うのは、元々の「キング・コング」(1933)にはない設定だが、ひょっとすると、この前に企画が出ていたと言う「フランケンシュタイン対ゴジラ」や、本作の元ネタと言われる「キングコング対プロメテウス」の「フランケンシュタイン」からの発想ではないか?…など、いつ観ても、色々想像が膨らむ作品ではある。

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1962年、東宝、関沢新一脚本、本多猪四郎監督作品。

回る地球の模型

皆さん、地球は生きています…と独特な音声のナレーションが始まる。

毎時1670kmと言うスピードで回転を続けているのです。

この回転が一瞬のうちに停まったら、我々は一体どうなるでしょう?

阿鼻叫喚のSE.

失礼いたしましたと司会者(田武謙三)が画面に登場し、万が一にもそう言う事態は起こらないと思います。が、地球にはまだまだ我々が知らない事が非常~に多いのです。

皆さんも既にご存知でしょう…と言うと、番組タイトルの「世界驚異シリーズ」が出る。

さて、最近、著しく海水の水位が高くなったと言われています。北極の氷が溶け始めたからです…と司会者が解説する。

それをテレビでつまらなそうに観ていたのは、番組スポンサー「パシフィック製薬」宣伝部長多胡(有島一郎)だった。

君!と多胡部長が呼ぶと、経理の女子社員が「5万8千6百とんで5円なり…」と答えたので、君じゃない!勝手に飛んでろ!と叱り、昼食のざるそばをすすっていた宣伝部員の大林(堺左千夫)を名指しすると、大林は、今日の蕎麦はダメです。伸びてますと答えたので、君の方がよっぽど伸びとると多胡は呆れる。

「世界驚異シリーズ」の聴取率が5%と言うのはどういう事だ!と叱りつけていると、卓上の電話が鳴り始めたので、それを取った大林が部長に渡す。

電話は、社長からのもので、やはり「世界驚異シリーズ」がつまらんという叱責だった。

その頃、溶ける北極海の氷山の原因調査しに向かっていた原子力潜水艦「シーホーク号」は、光る氷山を見つける。

同乗していた外国人科学者は、チェレンコフ光ですと指摘し、ガイガーカウンターに反応があったの乗務員が報告する。

「シーホーク号」は、その光る氷山に接近してみる。

TTVのスタジオ内で、パシフィック製薬の「パシン錠」の生CM撮影中、ドラムを叩いていた桜井修(高島忠夫)に近づいて来たアシスタントディレクターの古江金三郎(藤木悠)は、カメラマン廃業か?と不思議がるが、桜井は、ドラム叩く奴を頼んだら、お祭り用の太鼓を叩く奴が来てしまったので、ピンチヒッターをやっているんだと答える。

そんな桜井に、パシフィック製薬の社長からの命令で、「世界驚異シリーズ」の聴取率を上げろと言っている。

牧岡博士って知っているか?と聞いた古江は、その牧岡博士が南方に薬草調査に行く途中、でかい話を聞いて来たらしいと言う。

その後、多胡部長に付いて牧岡博士(松村達雄)と会う事になった桜井と古江に、牧岡博士は南方から持ち帰った、マタタビなどのように動物が強い嗜好性を示すと言う赤い実を紹介するが、多胡部長から促されて、話を変える。

自分が最後に立ち寄ったのは、ソロモン群島ブーゲンビル、さらに南に100kmの所にあるファロ島という小島に大異変が起きつつあると島民達が言っていたと言うのだ。

世界中異変ブームですなと感心する古江だったが、桜井がその大異変とは?と聞くと、この海域に伝わる巨大なる魔神が目を覚ましたと言う…と牧岡博士は説明する。

桜井は、えらい風説ですなと苦笑するが、多胡部長は風説じゃない。新説だと否定し、「世界驚異シリーズ」の聴取率を上げる決定打だ。ライバル会社のセントラル製薬は、QTVを通じてシーホーク号海底探検シリーズを企画しているという情報がある。

我がパシフィック製薬は、君らTTVの応援を得て、海外大取材班派遣を考えると言い出す。

自宅の団地に帰った桜井は、妹のふみ子(浜美枝)の姿が見えず、晩飯の準備もしていなかったのでいら立つが、妹のバッグが置いてあるのを観て、又、恋人の藤田一雄(佐原健二)の部屋に行っていると気づき、自分も藤田の部屋に出向く。

案の定、ふみ子はそこで夕食の支度をしており、急には言って来た兄に、ノックくらいするものよと抗議する。

ノックもトスバッティングもあるかいと不機嫌な桜井を笑顔で出迎えた藤田の唇に口紅が付いていたので、桜井は呆れながらハンカチで拭いてやるのだった。

今日は、送別会よとふみ子が料理を運びながら言うので、自分のかと一瞬喜んだ桜井だったが、藤田がようやく新製品が出来たと言い出す。

東京製鋼に勤める彼が取り出したのはミシン糸のようだったが、「鋼よりも強く、絹糸よりもしなやかに」、原始力時代の新製品ですよと言いながら、ベランダの外に身を乗り出し、糸の強さを示した藤田は、この試作品テストで明日から船に乗るのだと言う。

自分の送別会ではなかったと知った桜井は、がっかりしながらも、自分もソロモン群島に行く事になったと報告する。

するとふみ子は、ロマンチックじゃないなどとのんきな事を言い、ビフテキの大きさが藤田より小さいと文句を言う兄に、すぐ現実的になるんだからと眉をひそめ、藤田も食事中、新聞を読むのなんかやめなさいと、早くも女房気取りで注意する。

藤田が読んでいたのは、北極海に光る氷山が見つかったと言うシーホーク号からの報告記事だった。

そのシーホーク号は、水中に落下して来る氷に行く手を阻まれていた。

桜井と古江は探検服に着替えて、海外取材班の大掛かりな送迎会に参加していたが、ソロモン群島へ向かうのは自分たち2人だけと知り気落ちしていた。

多胡部長はそんな二人をおだてるが、そこに、和服を着たふみ子と友人のたみ江(若林映子)が来る。

桜井は、藤田はどうなっている?もう出発して5日になると聞くと、ふみ子も、乗っている第二新盛丸と言う船名だけは分かっているようだったが、顔を曇らせる。

大林に新聞記者達はどうした?と聞きに行った多胡部長だったが、記者達は、何か重大な発表があるとかでいなくなったと教えられると、重大なのはここだ!と怒り出す。

その頃、北極海の光る氷山は崩れ始め、水中に落下したその氷塊に巻き込まれたシーホーク号は、スクリューもエンジンも大破状態に陥っていた。

船長(ダグラス・フェーン)は、SOS標識液を流すよう指示を出す。

ガイガー反応があり、その直後、レーダーも故障、原子燃料庫も破損、何かが見えるとの報告が入り、司令室に水漏れが始まったので、脱出用意させた船長だったが、脱出口も破損、船長は全員を司令室に集めようとするが、その時、何かの鳴き声と共に天上が突然燃え始める。

同乗してた科学者(ハロルド・コンウェイ)は、ゴジラ!と叫ぶ。

数日後、通訳のコンノ(大村千吉)を伴いファロ島に上陸する桜井と古江を、原住民達がじっと監視していた。

やがて、彼らを取り囲んだ原住民達は、自分たちの集落の所にいた酋長(小杉義男)の元に連れて来る。

巨大な柵があるその場所で、多くの原住民達は何かに祈りを捧げている最中だった。

何人かの島民達は、赤い汁のようなものを大量に作っている最中だった。

酋長は、桜井達に、悪い事は言わない。すぐに帰れと命じる。

それでも、どうしても上陸許可が欲しい桜井は、持って来たトランジスタラジオを酋長に渡し、スイッチを入れると、明るい日本語の歌が聞こえて来る。

さらに、古江に命じ、タバコを分け与える。

すると、子供の現住民チキロ(平野治男)もタバコを欲しがったので、桜井は、あめ玉を持って来なかった事を後悔しながらも、タバコを手渡してやる。

しかし、チキロの母親(根岸明美)がそのタバコを奪い取り、自分が吸い始める。

酋長は、そうした贈り物を気に入ってくれたのか、上陸の許可をくれるが、魔神に食われても責任は持たないと釘を刺す。

その時、雷が鳴り、住民達は祈り始めたので、その様子を観ていた桜井は、魔神の正体は雷の事じゃないかとがっかりする。

次の瞬間、何かの鳴き声が聞こえて来たので、古江は、ウォーって言ったよと怯える。

その頃、テレビでライオンの映像を観ていたふみ子があんまりしょんぼりしていたので、遊びに来たたみ江が、こういうときはもりもり食べるのよと言いながら、買って来たパンを手渡していた。

一方、北海を進んでいた第二新盛丸では、予定を変更したと言う船長(田島義文)に、藤田が、根室に寄るならそこで自分を降ろしてくれと頼んでいた。

そこに、海難信号を受信したという連絡が入る。

シーホーク号救出に向かっていたアメリカの救難ヘリは、黄色いSOS標識液を海面に発見するが、その側の氷山が突然崩れ出したので目を見張る。

その中から出現したのはゴジラだった。

アメリカの基地からは戦車が出動するが、島に上陸したゴジラはあっさり焼き尽くして行く。

ゴジラ復活のニュースが新聞の紙面に踊る。

防衛庁に招かれた重沢博士(平田昭彦)は、帰る時、記者達からの質問攻めに会い、ゴジラは冷凍冬眠状態で生きていた。古代の蓮の実が花を咲かせた例もあるじゃないかと答えて車に乗り込む。

ゴジラは日本に来るでしょうか?との問いかけには、来るね。動物の帰巣本能だよと重沢博士は答える。

ゴジラ出現を報じる「週刊時事」などを前にした多胡部長は、どれもこれも、セントラル製薬の宣伝じゃないかと不機嫌になっていた。

宣伝部社員(加藤春哉)も、食堂でもゴジラ焼きってのが出ていますと混ぜっ返す。

テレビニュースを消させた多胡は、巨大な魔神はまだかと、大林に電報を打たせるのだった。

その頃、奥地に向かっていた桜井に、古江が、ゴジラが出たよとニュースを教えていた。

その時、又雷が鳴り、怯えた古江は崖道から落ちかけ、大きなトカゲを掴んで焦る。

桜井は、古江が投げ捨てたそのトカゲを猟銃で撃つが、その時、大きなうなり声と共に、崖が崩れ始めたので、全員村に逃げ帰る事にする。

村に戻った古江は、熱を出し寝込んでしまい、早く帰ろうと桜井に頼む。

そんな古江の弱気に同乗したコンノは、そこに遊びに来ていたチキロに、良く眠れると言う赤い汁を持って来るように頼む。

チキロは1人で、赤い汁が置いてある小屋に取りに行くが、戸が閉まっていた。

一方、息子のチキロの姿が見えなくなった母親は、必死で探しまわっていた。

赤い汁の貯蔵小屋にやって来た母親は、中から物音が聞こえて来たので中に入ると、案の定、チキロが赤い汁を持って行こうとしていたので近づいて叱ろうとすると、いきなり小屋の屋根がきしみ出す。

いつの間にか近づいていた巨大なタコが、小屋を押しつぶそうとしていたのだった。

母親の悲鳴を聞いた桜井は、猟銃を取りに古江が寝ていた小屋にやって来ると、タコだ!と教える。

古江は、宣伝部長の多胡さんが来たのか?と勘違いして起き上がる。

巨大タコは、槍を投げて来る現住民の1人を足に絡めていた。

桜井は猟銃を撃つが、効かないと分かると、コンノが持って来た発煙筒を投げ始める。

そこにやって来た古江は、タコって、本物じゃないかと驚く。

ようやく、足の隙間からチキロを抱いた母親が脱出して来る。

その直後、うなり声と共に巨大な柵を壊して出現したのは、魔神キングコングだった。

キングコングは巨大タコと戦うと、地面に投げつける。

タコは逃げ去り、キングコングは、原住民達がその場に置いていた壺を取ると、中の赤い汁を飲み始める。

その時、酋長が島民達に太鼓を叩かせる。

そのリズムに合わせ、チキロの母親を始め、島の女達は一斉に踊り始める。

そのメロディーを聴いているうちに、キングコングのまぶたが重くなり、その場に横になると、やがて寝入ってしまう。

それを観た桜井は、筏を作って連れて帰ろうと言い出す。

魔神確保の知らせを日本で聞いた多胡部長は、万歳を叫び、すぐにヘリのチャーターを命じる。

もうすぐ定年だと言う多胡部長の異常な張り切り用を観ていた女子社員は、呆れながらも、どっちが勝つかしらとつぶやくが、それを聞いた多胡部長は、買った!そのアイデア!キングコング対ゴジラ!と女子社員を褒める。

桜井と古江は、巨大な筏に積んだキングコングを運んでいる所だった。

そこに接近して来たヘリコプターから降りて来た多胡部長は、桜井達に大ヒットだ!と褒めると、筏のキングコングを満足げに眺めながら、そこに置いてあった起爆装置のスイッチに手を置く。

桜井はあわてて、万一の時の為に、筏にTNT火薬がしかけてあり、それはその起爆スイッチだと教えると、多胡部長は驚いて、恐る恐る手を離すが、又、ついスイッチに触ろうとしたりして桜井達をヒヤヒヤさせる。

多胡部長は、キングコングに我が社の薬を飲んで笑ってもらいましょうとアイデアを口にするが、それを聞いた桜井が、キングコングが笑いますか?と呆れると、笑って頂くんだねと当然のように言い、ゴジラなんか一ひねり、パシフィック製薬の薬を飲んでいるからね…、からよ?からさ?などと、その場でキャッチコピーを考案し出す。

その頃、ふみ子の部屋に新聞を持って来たたみ江は、第二新盛丸が大波で遭難して乗組員達が全員行方不明になっていると知らせる。

一方、多胡達の船に近づいて来た船から降り立った係官が、キングコングの引受人は誰かと聞いて来る。

多胡がパシフィック製薬だと答えると、係官は、国家公安委員会、警視庁、通産省貿易局通達として、キングコングは治安維持、及び密輸品の疑いがあるので、国内持ち込みを禁止すると言い出す。

それを聞いた多胡部長は、「密輸品?」と当惑する。

ドルの枠は取ってあるのかね?などと係官が聞いて来たので、混乱した多胡部長は、それはキングコングに対する人権侵害ですよと反論するが、さらに係官は、防衛庁要望として、今後何らかの適切なる処置がなされるまで、関係者はキングコングの行動に関し、全責任を負うものとすると付け加えたので、それを聞いた多胡はその場に気絶してしまう。

ふみ子の団地では、帰って来てふみ子の部屋を訪ねて来た藤田の姿を観かけたたみ江が、驚愕のあまり、持っていた酢豚の入った皿を廊下に落としてしまう。

藤田に足があるかと聞いたたみ江は、ふみ子なら、第二新盛丸が遭難したと知って北海道に行ったと教える。

根室で船を降りた藤田も、第二新盛丸が遭難した事を、その時初めて知ったようだった。

そんな2人の近くにやって来たのは、子供連れの母親(東郷晴子)だった。

ゴジラが松島湾に上陸したので里に疎開するのだと言う。

無邪気な子供(金子吉延)は、ゴジラを観に行こうよなどとねだるが、バカね、動物園に行くんじゃありませんと母親は叱りつける。

たみ江は藤田に、ふみ子が乗ったのは、青森行きの「急行つがる」だと教える。

藤田は、ジープで「急行つがる」を追いかける事にする。

ゴジラ対策本部東部方面隊総監(田崎潤)は、攻撃を中止し、避難民の生命を優先するよう命じる。

東北本線を走行中の「つがる」に接近して来た自衛隊のヘリは、列車に警告を発したので、「つがる」は急停車する。

乗客は一斉に車両から降り、用意されたバスやトラックの荷台に乗り込むが、ふみ子は、最後のトラックに積み残されてしまう。

藤田の乗ったジープは、警官の制止を振り切るように避難して来る人たちとは逆方向に進み、まだ「つがる」の乗客で逃げ遅れている人がいる事を知る。

接近して来たゴジラから逃げようと、川に入り込んだふみ子に気づいた藤田は、ようやく駆け寄って抱き上げると、彼女をジープの中に避難させる。

どうやらゴジラは通り過ぎたようなので、藤田は、このあわてんぼさんとからかうが、ふみ子は、バカバカと藤田に抱きつくのだった。

対策本部では、国連から世界平和のため、ゴジラに水爆攻撃するように要望があったと総監が報告していたが、隊員の一人が、100万ボルト作戦と埋没作戦と落とし穴作戦をやらせてくれと進言していた。

重沢博士と共に同席していた大貫博士(松本染升)は、100万ボルト作戦の効果は何とも言えないと言う。

そのゴジラは、那須付近まで接近していた。

ゴジラ対策に頭を悩ましていた対策本部に、キングコングが暴れ出したとの一報が入る。

筏上で目を覚ましたキングコングが暴れ出したので、甲板上で観ていた多胡部長は、降り掛かる水しぶきを避ける為に、パシフィックの宣伝文句が入った黄色い傘をさす。

船員達は、筏を繋ぐ綱を切断し始め、多胡をあわてさせるが、このままではこの船も危ないと息巻く古江は、猟銃を多胡部長に向けて脅かす。

桜井は、TNT火薬の起爆装置を押そうとするが、そこによろけて来た多胡部長自らがスイッチを押してしまう。

しかし、爆発は起きなかったので、桜井は猟銃で火薬を撃てと古江にも命じる。

何発か撃っているうちに、火薬は大爆発を起こすが、やがて。海面から、無傷のキングコングが出現する。

その頃、日本では、防衛隊による埋没作戦の準備が着々と進行していた。

両側の河川にガソリンを巻き、火をつけてゴジラを巨大な落とし穴に誘導し、毒ガスバクダンを爆発して、ガス室のような状態を作り、ゴジラを殺そうという作戦だった。

作戦責任者(山本廉)が総監に説明している所へ、東部軍陸上二部長(桐野洋雄)が駆けつけて来て、キングコングが千葉東海岸に上陸し、第3師団は利根川右岸に転回、静観中だとの報告を伝える。

キングコングは北北西に向かっており、間もなく那須高原に到着する。重沢博士の話によると、キングコングは動物の本能でゴジラの存在を知ったのだろうと言うニュース解説をラジオで聞きながら、多胡、桜井、古江の3人は、車で那須高原にやって来る。

制止する防衛隊員達に、キングコングのスポンサーですと多胡は笑顔で挨拶し、検問を突破した多胡たちは、ゴジラとの遭遇場所に潜入すると、桜井は、手持ちの16mmで決戦の様子を撮影し始めるのだった。

戦いはゴジラの方が有利で、キングコングは、ヘリをも落としたゴジラの白熱光放射にたじろいだ様子だったので、やっぱりゴジラの方が強いのかな?と桜井が漏らすと、そんなはずはないと言いながら、多胡はコインを投げてみる。

手の甲の上のコインは裏だった。

キングコングは、それ以上戦う気をなくしたのか、すごすごと去って行く。

一方、100万ボルト作戦も準備が進められており、埋没作戦も残っていると話し合い現地取材をしていた記者達は、第2回戦がありますかね?と重沢博士に訪ねるが、博士は、キングコングに聞いてみるんだねと笑って答える。

新聞記者達は、半分嫌になりながら、家族達を疎開させたかなどと噂し合っていた。

ガソリン車から川にガソリンが投じられ、そこに松明が投げ込まれたので、川は火の海と化す。

2本の川の火に誘われるように、ゴジラは巨大な落とし穴に近づいて行き、落下した直後、毒ガス弾が爆発するが、ゴジラは何事もなかったかのように、穴から這い上がって来る。

東京の団地に戻っていたふみ子は、桜井から疎開を説得されていたが、台風なんかと違って、ゴジラやキングコングはどこに来るのか分からないのだからと拒絶していた。

桜井は呆れて、藤谷も勧めるよう頼むが、藤田は、自分の側にいて欲しいと言い出し、ふみ子もその言葉を喜んだようだったので、諦めるしかなかった。

8時30分、ゴジラが高崎を通過したとのニュースが聞こえて来る。

鉄塔に100万ボルトの放電が開始され、それに触れたゴジラが方向をかけたので、観ていた警官が、どうやら食い止めましたなと笑顔を見せるが、重沢博士は、まだ分からんよとつぶやく。

一方、同じく鉄塔に接近していたコングを遠くから見学していた男2人(小川安三、鈴木和夫)が、ゴジラでさえ電流には勝てなかったんだからと言うのを聞いていた多胡が、1人異議を唱え、口論になりかけたので、あわてて桜井が止めに入る。

高圧電流に触れたキングコングは、ひるむどころか、電線をかじり出したので、観ていた多胡は、凄いと感心する。

記者から訳を聞かれた大貫博士は、高圧感電のショックで帯電体質になったのだろうと解説する。

東京では、藤田と共に避難する事にしたふみ子が、満員の電車に乗ろうとして藤田とはぐれてしまう。

東京に入り込んだキングコングはビルを破壊していた。

そんなコングの側に接近していた電車を掴むコング。

乗客の大半は振り落とされるが、ふみ子だけが、必死に入口のバーに捕まってぶら下がっていた。

そんなふみ子に気づいたコングは、彼女を掴んで、そのまま国会議事堂へ向かう。

防衛隊員は、ゴジラには通用しない砲撃もコングには効くかもしれないので攻撃しましょうと、総監に進言するが、防衛隊の前線テントやって来た桜井が、妹が捕まっていると知らせると、総監はただちに攻撃準備を待たせ、サーチライトをコングに当てる。

コングは議事堂の上に登る。

藤田もテント内から、返せ!ふみ子~!!と叫ぶ。

その時、何かを思いついた桜井は古江に、局へ行って放送車を持って来いと命じる。

ファロ島での歌を再現するんだと言う桜井のアイデアを聞いた多胡部長は、牧岡博士が持ち帰った赤い実があると言い出す。

直ちに拡声器が用意され、赤い実の粉をミサイルの先端に詰めて撃つ準備も完了する。

桜井は、拡声器に通じたマイクの前で、ファロ島の原住民達のように太鼓を叩き始める。

ミサイルも発射され、国会議事堂上空で爆発したミサイルから、赤い実のエキスがコングの上に舞い降りて来る。

桜井の太鼓のリズムと、赤い実のエキスを吸ったコングは、徐々に眠気を覚えたのか、議事堂を降りると、正面玄関前で横になり、寝息を立て始める。

そのコングに近づいた藤田は、眠ったコングが手を開いて落としたふみ子を救出する。

藤田がテントに戻って来ると、重沢博士が、もう一度コングをゴジラとぶつけてみたらどうだろう?双方共倒れですと言い出す。

そのアイデアを聞いた総監は、どうやって運ぼう?と頭をひねるが、話を聞いていた桜井は、吊るんです!と言い出し、藤田の顔を見る。

藤田も気づく。

彼の会社が作ったあの糸でキングコングを吊るそうというのだった。

ただちに、準備が進められ、眠っているコングの周辺には巨大なアドバルーンがいくつも用意される。

すぐにアドバルーンが膨らみ、コングの身体は、糸で空中に浮かび上がって行く。

「鋼より強く、絹糸よりしなやか」作戦大成功だ!と、藤田と共に、防衛隊のヘリに乗り込んだ桜井は喜ぶ。

一方、多胡や古江、博士達は車でコングの行方を追う。

やがて、夜明けと共に、眠っていたコングが目を覚ます。

その時、富士山麓を進行していたゴジラを発見したヘリの操縦士は、ロープを切断、落下したコングは山の斜面を滑り落ちて、ゴジラに体当たりする。

起き上がったコングは、大きな岩の陰に身を隠し、近づいて来たゴジラの尻尾をつかむと、岩を蹴飛ばしてぶつけ始める。

一方、ゴジラの方も白熱光を吐き応戦する。

ヘリから、2匹の決戦を見下ろしていた藤田は、旗色悪いぞと嘆く。

コングはさらに、岩を投げる時、体全体が回転してしまい、自ら転んで岩に頭を強打、気絶してしまう。

そんなコングの身体に近づいて来たゴジラは、尻尾でコングを殴り始める。

さらにゴジラは、目覚めて立ち上がったコングを岩場の下に蹴落とす。

樹海に倒れたコングの周辺を、ゴジラの白熱光が焼き始める。

その時、雲行きが怪しくなって来たので、ヘリの操縦士は避難しようと提案するが、雷が鳴り始めた事に気づいた桜井は、雷が来ると、コングは元気になるんだと言い出す。

それを聞いた藤田は、ポパイのほうれん草みたいにですか?と聞く。

雷が鳴り、コングの顔が青白く発光したかと思うと、急に起き上がったコングは別人のように強くなりゴジラにつかみかかって行く。

その手からは、電流を放電していた。

さらに、引っこ抜いた大木を、ゴジラの口の中に詰め込もうとする。

ゴジラは、白熱光で木を焼き吐き出す。

コングは、そんなゴジラを背負い投げにする。

そんな決戦の場に、多胡部長や古江の車が近くに到着するが、防衛隊員が通行止めだと制止する。

藤田は、ヘリの中から、熱海城が危ないぞと叫ぶ。

重沢博士らも駆けつけて来る。

ゴジラとキングコングは、熱海城を挟む形で対峙し、手を出し合っているうちに熱海城を破壊してしまう。

その後、両者はがっぷり組み合ったまま海へと落下して行く。

すると、地震が起き、岩場が崩れ始めたので、多胡部長は驚く。

やがて、海面にコングが現れ、そのまま南の島の方角に進んで行くのをヘリに乗った桜井は目撃する。

それを観ていた重沢博士は、行かせてやろうと言う。

藤田は、ゴジラは死んだのかな?生きていると思うか?と桜井に聞く。

コングが遠ざかって行く姿を見送りながら、重沢博士は、人間は改めて、動植物の自然に適応する姿を学ぶべきだとつぶやく。

海を進んで行くコングの姿を背景にゴジラとコングの鳴き声が重なる。


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