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ギャルバサラ 戦国時代は圏外です

キャストなどから判断して、ティーン向けのタイムスリップもの。

どう観ても低予算なので、それを逆手に取ったおバカ系のドタバタ劇を予想していたが、意外とまじめな展開になっていたのでちょっと肩すかしを食った感じだった。

もちろん、まじめな路線がいけないというのではなく、まじめな展開にすると、大人には大体先が見えてしまい、意外性があまりない上に、絵作り的なチープさがどうしても気になってしまうと言う恨みが出てしまう。

この手のドラマをあまり観たことがない初心者にはあまり気にならないかもしれないが、現在のコスプレおじさん達の「お出迎え武将隊」と、実際の戦国時代の武将達の姿にあまり差がないと言うのは、やはり「まじめな話」として観るには抵抗がある。

いかにも化学染料で染めましたという風にしか見えないド派手な旗指物や、いかにも小道具ですと言った雰囲気の鎧兜の類いなどでは、戦国時代に見えないのだ。

当然ながら、こちらも実際の当時を知っている訳ではないが、現在との差をもっと表現してくれないと、映画として「過去へタイムスリップした感」が弱いということ。

農民の子だと言う利吉、与平、吾作の3人組も、現在風のロンゲに、ちょっと曲げを加えているだけと言った様子で、全然農民に見えないし…

ロケ場所なども限定している感じで、スケール感などもないし、チャンバラアクションも迫力不足…

とは言え、それはあくまでも、「作品のターゲットではない大人の見方」であって、ヤングアダルト向けのコミック感覚の作品と考えれば、これはこれでオーケーなのかもしれない。

ただ、クライマックスのタイムホールで帰還するシーンは、いくら何でももたつき過ぎだと思う。

卓也が「この空間は閉じかけている!」と時間がないことを教えているのに、あさみと優が、のんきに利吉達の元に近づいて来て、最後の別れをしみじみと演ずるなどと言うのは、どう考えても不自然だろう。

タイムホールの次のチャンスは10年後だと説明されているのに…である。

ゆっくり別れを惜しんだ後、あさみと優がタイムホールの場所に戻って来た途端にタイムホールが消え去って取り残されてしまったらギャグである。

予算がないので、登場人物も少なく、見せ場も作りにくいという事情は分かるものの、もうちょっと緊迫感を出す工夫はなかったものか?

「忍たま乱太郎」でも、まじめにギャグ演技を披露してくれた松方弘樹が、又、気さくな信長として登場しているが、こちらも出演シーンが少な過ぎて物足りなさが残る。

はたして、本来のターゲットだと思われる若者層には、この内容で楽しめたのだろうか?

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2011年、金子二郎+竹内清人脚本、佐藤太監督作品。

岐阜城の展望台から川が流れる市内の風景を見つめるあさみ(有村架純)

昨日から見れば、今日は未来かもしれないけど、ただ時間が過ぎ去れば、未来が待っているとは限らない。

プールに足をちょっと付けて遊んでいた奈緒(木崎ゆりあ)が、校舎内にいるあさみに、たまにはバックレちゃうとか考えない?そこには私たちの知らない未来があり、ワクワクすると語りかけていた。

3時間目の次は4時間目、4時間目の次は?と奈緒が聞くと、あさみは「昼休み?」と答えたので、奈緒は、どこまでも続く大空、どこまでも広がる大空と答えたので、昼休みの後は?とあさみは答えを聞き返す。

バックレちゃおう!と奈緒が答える。

どこか、地蔵の横で寝ているあさみ。

太田あさみの携帯のドラえもんの着信音が鳴り始めたので、引率の女性教師が怒り出す。

ここは、名古屋市内の歴史博物館の中だったからだ。

バックレたばかりに、日本史のテストで赤点を取った同級生、優(竹富聖花)、ヒロ子(荒井萌)、公平(賀来賢人)と共に、あさみも、その場に課外授業として連れて来られていた。

先生は、館内で普通に携帯をかけていた優(竹富聖花)にも注意する。

公平も、嘗められちゃいけないからなどと言い、他校の男子学生とメンチを切り合っていたので、あわてて止める先生。

その頃、博物館の外では、奇妙な装置を持った二人の男達が、何かを計測していた。

あさみは、高橋麻由(小木曽汐莉)と言う、メガネッ子の女子高生から、太田さん、来てたんですか?戦国時代って面白いですよねと声をかけられる。

そこに、お出迎え武将隊ってのが外にいて、イケメンがいるらしいよとヒロ子(荒井萌)が呼びに来たので、あさみ、優、公平の3人は博物館の外に出てみる。

それに気づいた先生は、来週、レポート提出よと声をかけるが、もう4人はいなくなっていた。

そんな先生に、太田さんが日本史赤点って本当ですか?と聞いた麻由は、自分は太田さんと同じ中学だったんですと自己紹介する。

先生は、彼女はテストを欠席したのよ。これまでこんなことなかったのに…と教える。

奇妙な装置を持ち、携帯をかけていた井川卓也(森廉)に近づいて来た公平は、何をやっているんだと声をかける。

一方、あさみ、優、ヒロ子の3人は、公園内に集まっていたお出迎え武将隊の前に来てみて、それがただのおじさんばかりであり、イケメンなど1人もいないことに気づきがっかりする。

公平に気づいた卓也は、半田君か、父さんの研究の邪魔をするなと注意するが、公平は卓也に絡み付いて来る。

そこに近づいて来たあさみ、優、ヒロ子たちは、いつも自分より弱い奴には威張るよなと公平に指摘する。

その時、卓也が持っていた装置のメーターが急に動く。

空間に亀裂のようなものが生じ、あさみたちは、昔の足軽のような連中が通り過ぎるイメージと重なる。

女の子達は、お出迎え武将隊?と不思議がり、写メを採ろうとする。

その時、卓也だけは、空間の裂け目が閉じかけているのに気づき慌てる。

やがて優は、目の前にいた歩兵らしき人物に、「おつかれ〜!」と言いながら近づくが、その途端、「臭っ!ちゃんと、風呂入った方が良いっすよ」と話しかける。

卓也は、リアルなんだ…とつぶやくと、放屁する。

その近くには累々と、兵士達の死体が連なっていた。

タイトル

その頃、現在の歴史博物館にいた先生と高橋麻由は、あさみ達の姿が見えなくなったので探しまわっていた。

周囲の公園にある地蔵の近くにやって来た二人は、そこに落ちていた井川卓也の携帯を拾い上げる父、井川と出会う。

井川は、消えてしまった息子のことを案じ、まさか…と、時空を超えてしまった可能性を考え始める。

その頃、戦国時代にタイムスリップしたことに気づかないあさみ、優たちは、携帯をかけようとして「圏外」だと文句を言っていた。

それを聞いた卓也は、当たり前だ…とつぶやく。

公平も、腹が減ったからコンビニで何か買って来ようなどとのんきなことを言うが、卓也は一人呆れながらも、自分の携帯が紛失していることに気づく。

そんな卓也は、周囲が暗くなる中、リュックの中から不思議な装置を取り出してみせたので、公平は無邪気にそれをいじって喜ぶが、それは手動式の懐中電灯だった。

その光を向けた中に浮かび上がったのは、3人の見知らぬ青年達だった。

現在からタイムスリップした女子高生と男子2名は、その3人に捕らえられ、木に縛られてしまう。

3人の青年は、利吉(鈴木勝吾)、吾作(相馬圭祐)、与平(浜尾京介)と言う近くの農民たちだった。

吾作は、縛られた女子高生たちの生足を観て、きれいな足してないか?と他の2人に聞く。

お前達、どっから来たんだと聞かれた卓也は、自分たちはタイムスリップして来たのだと打ち明けるが、それを聞いていた女子達は、みんな、言わないようにしてたのに!と怒る。

それでも、観念したあさみは、未来から来たんじゃないかと…と打ち明ける。

3人の農民青年達は、そんなに悪い人間ではないようで、紐をほどいて、食い物を食べさせてくれる。

女子達は、横になると、夜空の星がきれいに見えることに感動する。

自分たちの時代にもあったんだけど、空気が汚れていて気づかなかったのだ。

ここには、道路もコンビニもない。

そして、誰も、自分たちがここにいることを知らないのだった。

あさみは、奈緒や優と一緒に、日本史のテストをさぼり、バックれた時のことを思い出していた。

岐阜城の天守閣にやって来たあさみは、常日頃から、頭が固いだの、一本気とからかわれていた奈緒たちから、これで一皮むけたねと褒められる。

奈緒は、天下を取るってどんなんかなって言い出し、自分で作ったストラップをあさみと優に手渡し、お守りってことかな。どこにいてもずっと繋がっているってことと説明すると、一緒に天下を取ろうと言う。

翌朝、3人の青年に連れられ出発した現代の高校生達。

途中、公平は、石を野球のボールの要領で投げる方法を、青年達に教える。

女子達は、この3人の青年達は一体いくつくらいなんだろう?ひょっとしたらタメくらいじゃない?と噂し合い、先を歩いていた利吉に年を聞くと、中村久三郎と、侍になった時用に作った名を名乗った利吉は、自分の年など分からないと言う。

自分たちは、藤吉郎と同じ村の出身で、将来は侍になりたいのだと打ち明ける。

3人は、戦の犠牲者らしき死体を発見すると、刀や巻物などを奪い取ると、川津って所で侍を集めているらしいと言う。

途中、川で採った魚を焼いた昼食をとるが、現代っ子達は、死体を観た直後と言うこともあり、食欲を失っていた。

利吉と吾作が、小便に行った後、ここで死んだら、もうおいしいもの食べられなくなると言い出した優が、自ら焼き魚を手にすると、無理に食べ始める。

その時、女子達の足下に矢が突き刺さる。

賊達が襲いかかって来たので、素手の公平が相手をするが、与平は斬られてしまう。

そこに、利吉と吾作が戻って来て応戦、やられた与平を抱きかかえてその場を何とか逃げ出す.

あさみ、優、卓也も、後に続くが、気がつくと、公平とヒロ子の姿が見えないことに気づく。

あさみは2人を探しに戻ろうとするが、敵にやられたいのか?と、利吉と吾作に止められる。

やがて、血反吐を吐いた与平は、俺、やっぱり、侍に向いてねえ。帰って、百姓やる…と言い残して息絶える。

利吉と吾作は、与平を埋める穴を掘り始めるが、近くでその様子を観ていた、あさみ、優、卓也も、いつの間にか、素手で土を掘る手伝いをしていた。

その後、5人はようやく岐阜城に到達する。

城に通され、木下藤吉郎から、同郷の者たちだと紹介された利吉と吾作の目の前に控えていたのは織田信長(松方弘樹)だった。

信長は、未来から来たと言う若者らを興味深そうに、今度、作る予定の安土城の設計図を見せるが、意見を聞かれた優は、地味なので、デコんないとと指摘しながら、自分が持っていた派手なデコレーションを施した携帯を見せる。

よく意味は分からない様子ながら、信長は安土城をデコるようにと配下の石毛に命じる。

その時、ドラえもんの着信音が鳴り響いたので、あさみも信長達もびっくりする。

空間に光が発生し、時空の歪みが少し開いたようで、通じるはずがない携帯が通じたのだった。

あさみが携帯を耳に当てると、相手は、現在に残っていた高橋麻由だった。

麻由は、どこにいるんですか?誰かと一緒なんですか?と聞いて来たので、あさみは、織田信長と一緒にいると教えるが、当然ながら、麻由は信じない。

それで、その場で、信長に頼み、顔の近くでピースポーズを取ってもらうと、写メに撮って送信しようとするが、その時、空間の歪みが閉じてしまったため、送信することは出来なかったが、現在の教科書に載っている信長の肖像画は、いつの間にか、ピースサインをしている絵になっていた。

その時、どこかからかドラえもんの歌が聞こえて来たので、あさみ達は驚いて廊下に出て見ると、そこにいたのは、飛行機のポーズを飛んで近づいて来る着物姿の女の子だった。

その女の子は、あんあたたち、ひょっとしてハケトメ高校?と聞いて来たので、驚いたあさみ達に、自分はオンタニ中学3年生だったけど、こっちに来て16年になる藤吉郎の妻、寧々(篠田麻里子)だと言うではないか!

寧々が言うには、今は1572年10月で、毎日が戦のような状況らしい。

自分が出会った藤吉郎に、自分が知っている歴史の知識を教えたことが縁となり結婚したのだとか。

その後も、自分と同じように、未来人が来ているのではないかと、未来人の服装などを巻物にしてみんなに渡し、探していたのだと言う。

もう、自分があの時代に戻ることはないと思うので、この時代で生き抜く決心をしたらしい。

その頃、卓也は、持参していたアイパッド上のデータを熱心に見つめていたが、何かに気づいたようだった。

信長の元を訪れて来た徳川家康は、武田信玄が攻めて来ると説明する。

その戦はどうなるか知りたがった信長達は、あさみら未来人に歴史を聞くが、日本史が苦手な彼女達に分かるはずがない。

しかし、それを聞いていた卓也は、夕方くらいに、携帯が繋がるかもしれないと言う。

その言葉通り、その後携帯が繋がったので、麻由に事情を話し、説明を聞くと、それは三方ヶ原の戦いだと思うと、歴女の麻由は言う。

家康は無事だが、ウンコを漏らすとあさみは家康に教える。

その時、行方不明になっていた公平とヒロ子から優に携帯がかかり、今、侍達に捕まり、どこかに閉じ込められていると連絡して来る。

麻由はあさみに、中学時代、先輩は、歴女だった自分に、そのままで良いと言ってくれたと、あさみ自身が忘れていたエピソードを打ち明ける。

その時、携帯が切れるが、麻由は、あさみ達が戻って来ることを信じていますとつぶやく。

牢に入れられていた公平とヒロ子に近づいて来た山賊風の男は、ヒロ子がかけていた携帯を興味深そうに観ながら、それは話す以外にも使えるのか?と聞いて来て、しばらく、この城に留まるが良いと親切なことを言ってくれる。

幸平達は、その侍に名前を聞くと、川津信幸、後の天下人になるものじゃと言う。

夜、着物に着替えて、横になったあさみは、とりあえず、公平とヒロ子が無事だったことが分かったし、信長も探してくれると言ってくれたので、一安心することになる。

信長は、自分たちみたいな未来人を必要としているらしいと優と話し合う。

あさみは優に、未来のこと信じている?と聞き、奈緒はどんな未来を考えていたんだろうと沈み込むが、優は、これが私たちの修学旅行、もう帰れない修学旅行とつぶやく。

(回想)奈緒は、アメリカで本格的なダンスの練習をしたいので、退学届を出して来たと打ち明けるが、それを初めて聞いたあさみは、ひどくない?そんな大事なこと、相談してくれたって良いじゃん。なおは自分のことしか考えてないでしょう?と怒る。

その後、教室の窓から、空を見上げていた奈緒の姿を、少し離れた所から観ていたあさみだったが、奈緒は、一人でちょっと踊ってみてから、泣き出すのだった。

翌日、優は吾平とチャンバラの練習を庭先で始める。

私、決めたの。強くなるって。生き抜くのよ、ここでは強くないと生き残れないの!寧々さんだって帰れないって言ってだしょう?諦めるの!と優はあさみに告げる。

優はさらに、又、逃げるつもりなんでしょう?あさみは奈緒のことからも逃げようとしているんでしょう?と責めてきたので、あさみは優の頬をビンタし、優もビンタし返す。

優は、私はどんなことしてでも生き抜いてみせるから!と宣言する。

(回想)休み時間、教室でふざけ合っていた優とあさみに、級友が奈緒のことを知らせに来る。

医務室に向かった二人は、顔に白い布をかけたベッドを観る。

しかし、その布は、寝ていた奈緒が自分でかけたものらしく、2人が入って来たことに気づくと外して、ノックくらいしてよねと言う。

訳を聞くと、バックレタんだよ。ちょっとシクッてねと奈緒は言う。

そして、あさみ、これ持っててくれる?と言いながら、自分用のストラップを手渡すと、天下取ってと頼む。

そんなの無理!とあさみは困惑するが、奈緒は、あさみなら出来る!と言うので、天下って何?私は奈緒とは違う。私は奈緒にはなれないよと断ろうとするあさみ。

ベッドの中の奈緒は、ちょっと笑うだけだった。

(過去)優と喧嘩をし、一人、落ち込んでいたあさみの側に来た利吉は、自分も良く、吾作や与平と殴り合ったなぁ。死んでしまった与平は、小さな頃から一緒だった。生きるってことは死ぬことと対になっているんだって。裏と表みたいに、会いそうで会わないけど、ちょびっと繋がっている。与平とは、奴が死んでも繋がっているような気がすると話す。

それを黙って聞いていたあさみが、でも、もう一度会いたいよね、何て言う?もう一度会えたら?と聞くと、利吉は、ありがとう…かなと答える。

そんな利吉の背中に顔を押し付けながら、あさみは泣き始めるのだった。

夜、庭で卓也は、アイパッドを使い、何かを計算していた。

その側の庭石に腰掛けていたあさみは、奈緒が言っていた。あんた、あきらめが悪いっていうか…、天下取って!…と言う奈緒の言葉を思い浮かべていた。

卓也の側に来たあさみは、タイムホールの法則性を見つけたけど、穴はいつも空に出現して、なかなか地上に現れないと言う卓也の説明を聞く。

その頃、別の城の中にいた公平は、はっきり言って、俺のことかっこ悪いって思ってるだろう?とヒロ子に聞く。

隣にいたヒロ子は、何で、あれから誘ってくれないのよ?かっこ悪くて誘えないんでしょう?と答えながら、一緒に食事を取っていた。

一方、岐阜城の中では、寧々が優に、赤い着物を似合いそうだからと渡していた。

卓也はあさみに、地図上でこれまで空間の歪みが発生場所の移動方向を示しながら、今夜、携帯が繋がるはずだと説明していた。

その頃、現在の博物館周辺にいた卓也の父親井川も、卓也、分かっているなとつぶやいていた。

卓也は、現代に繋がるタイムホールが出現するのは明日だと確信する。

その機会を逃してしまうと、次にタイムホールが地上に出現するのは10年後になってしまうと言う。

可能性ゼロじゃなければ諦めない!と決意したあさみは、公平達に携帯電話し、明日、集合することを伝える。

現代に帰れる可能性を知り喜んだ公平とヒロ子の前にやって来た川津は、「バック トゥ ザ フューチャー」とはいかんのじゃと告げるが、それを聞いた公平達は、意味が分からなかった。

その直後、あさみの携帯も、卓也のアイパッドもバッテリーが切れてしまう。

連絡手段を失ったあさみ達は絶望するが、その場で一緒に話を聞いていた利吉と吾作は、自分たちも携帯は持っていると言い出す。

その頃、別の城の中にいた川津は、実は自分も未来から来た人間だと、公平とヒロ子に明かしていた。

あちらではしょぼい人生だったが、自分と同じように未来からやって来る人間を待ち、こちらの時代で天下を取ってみせると野心を見せる。

その頃、現代にいた麻由は、日本史の教科書を読み直し、川津信幸という名前が載っているので、誰?と不思議がっていた。

翌朝、あさみと卓也は、利吉と吾作を護衛に伴い、岐阜城を後にして、公平達の待つ城へと向かっていた。

優にも一緒に来るように連絡したあさみだったが、優からの返事はなかった。

それでも、あさみは、大丈夫、気持ちは繋がっているはずと言う。

利吉たちは、あさみと卓也に、万一の時の為にと刀を手渡す。

やがて、彼らは、公平やヒロ子のいる、洞窟のような城の前に到着する。

公平とヒロ子は出て来るが、その背後から、川津率いる賊達も姿を現し、気がつくと、あさみ達の背後も敵に固められていた。

利吉と吾作は刀を抜き、あさみと卓也も覚悟を決め、刀を抜いて構える。

川津は、1人くらい殺っても構わんと、部下達にけしかける。

その時、どこからともなく矢が飛んで来て、敵の部下達に刺さる。

見ると、崖の上に、鎧を来た優が、配下を連れて来てくれたではないか。

その隙をつき、公平も暴れ始める。

倒して敵から奪った刀を、公平とヒロ子も構え、あさみ達と合流する。

利吉と吾作も、戦い始める。

形勢不利になったと悟った川津は、その場から逃げ出す。

優と合流したあさみは、信じていたよと伝え、優も、相変わらず諦め悪いなとからかい、メール、サンキューねともらった巻物を広げてみせる。

そこには、筆書きであさみが優に書いた文章が書かれてあった。

これって、この時代のメールだもんねとあさみは微笑む。

それを観ていた利吉たちは、この時代だって、携帯はちゃんと届くんだと笑う。

優は、ウォー!と配下の者達と共に雄叫びをあげる。

その頃、岐阜城にいた寧々は、優に渡した赤い着物がたたんで置いてあることに気づく。

そんな寧々のどこか寂しげな様子を、背後から秀吉も覗いていた。

一方、現在の博物館公園に車で乗り付けたのは、卓也の父親井川と、日本史の先生と高橋麻由だった。

過去に行った連中がここに戻って来る可能性があったからだ。

井川は、その場所に到着した時、当時とは地形が違うので、ここの出現した連中は地面に叩き付けられる恐れがある。何か、敷くものを!と慌てる。

卓也やあさみ達一行も、時空の切れ目タイムホールの光が出現した場所に到着していた。

卓也は、早くしないと、この切れ目は閉じ始めていると言うので、公平、ヒロ子、卓也の3人は、すぐに光の中に身を投じる。

残ったあさみと優は、ここまで送ってくれた利吉と吾作に近づくと礼を言う。

優は、吾作にキスをする。

あさみは利吉に、奈緒からもらったストラップを手渡す。

その時、行かせるかという声が聞こえたので振り向くと、タイムホールの前に、あの川津が立ちふさがっていた。

吾作は、持っていた金束を、公平から習った野球の投球フォームで投げつけ、それが刺さった川津はそのままタイムホールに墜落してしまう。

その時、利吉達の背後から、川津のは以下の追ってが迫って来るのが見えた。

あさみたちは驚いて立ちすくむが、利吉達は、行け!心配するなとあさみ達に叫びながら、刀を抜く。

あさみは、何があっても生き抜いて!と叫びながらタイムホールの前に立つ。

利吉は、百姓はしぶといんだ。何があっても生き抜いてみせる!おめえも生きろ!と返事をし、戦い始める。

あさみと優は、消え始めたタイムホールの中に身を投じる。

二人は、公園に段ボールを積んだ場所に落下する。

その側では、先に現代に戻って来ていた川津を、先生と井川の父が、子供達に何をしたんだ!と言いながら詰め寄っていた。

あさみは、麻由が待っていてくれたことに気づくと、麻由と繋がっていて良かったと喜び、麻由もお帰り!とあさみとの再会を喜ぶ。

優は、先に到着していた公平達に、私たちの修学旅行、なかなかだったんじゃない?とおどけてみせる。

ただ時間が過ぎ去れば、未来が待っているとは限らない。

おかしな話だけど、過去に行って分かったのが、未来のことなんだ。

岐阜城の天守閣に1人登っていたあさみは、奈緒 ありがとう。渡しは私の天下を取ると言いながら、市内の眺望を眺める。

その後、「武将の決断」という研究テーマを発表する麻由の姿があった。

いつの間にか、織田信長の肖像画は、ピースサインしている姿になっていた。

それを嬉しそうに眺めるあさみと優。

人と人って、昔からずっと繋がっていて、これからも繋がっているって分かったなと公平がつぶやくと、デートしていたヒロ子は、何、かっこ付けてんの?とからかう。

久々に歴史博物館内の展示を観ていたあさみと優は、徳川家康の重臣中村大三郎という武将の刀の展示を観て驚く。

その刀には、あさみが利吉に渡した、あのストラップが付いていたからだ。

利吉は生き延びていたことが分かり、あさみは大喜びする。

エンドロール

久々に、公園で再会した卓也は、あの10年後にタイムホールが出現する場所が分かったと言う。

天正10年、1582年の本能寺!

それを聞いた優とあさみは、思わず、優の携帯に残っていた織田信長の写真を見つめていた。

この人、来ちゃう?

デコっている安土城が映る。