雁屋哲原作、池上遼一画による人気漫画の映画化作品
元々、池上遼一の絵がリアルなので、現実の人間でもイメージを近づけやすいと言うこともあると思うが、流と神竜の見た目的には原作に近いような印象である。
前半は、流と神竜のそれぞれの人物紹介や特殊な状況説明に費やされているが、それをアクション的見せ場と平行して見せて行かなければいけない為、やや説明不足の感は否めない。
100%原作に忠実にする必要はないと思うが、独房と青雲学園との往復に行動範囲が限定されているように見える流が、急に、にしきのあきら扮する中条とどこかで二人きりで会っていたり、しょっちゅう五家宝連と共に学校以外の場所にも出ている所など、この映画だけを観ている観客からすると解せない部分が多い。
誰かが許可を出していて、昼間は、流と五家宝連の連中は自由に行動して良いと言うことなのだろうか?
それでは、わざわざ毎日、流を護送車で青雲学園と少年刑務所の送り迎えをしている意味がないような気がする。
五家宝連は、勝手に脱走してやっていると言うことなのか?
ひょっとしたら、映画として学園内だけの話にしてしまうとスケールが小さくなり、見せ場のバリエーションも限られてしまうので、独自に設定を変えているのだろうか?
又、本作だけでは、神竜の野望の最終目的も分からないので、高校を支配する意味が今ひとつ伝わって来ない。
高校の一室にふんぞり返って一日を過ごす、影の校長のようなやり方の、どこが楽しいのだろう?
セーラー姿のズベ公みたいな女生徒たち数名が、ブランデーグラスを持って、神竜の横に座っていると言う絵柄も笑わせる。
神竜は、涼子の茶の作法もきっちり応じることが出来るくらい行儀作法は身に付いている風なのに、自分の部屋でやっていることの趣味が悪すぎる。
そこが漫画と言えば漫画なのだが…
校舎や教師を新しくするだけでは名門高校として維持は出来ないはずで、授業をちゃんとやっていないと進学率はがた落ちになり、ただの荒廃した不良学園になってしまう。
それでは、親衛隊も何も出来るはずがなく、学校を去る人間は多くても、入学を希望する学生や親はほとんどいなくなるだろう。
元々、名門校と言うのは、自ら勉学に勤しむタイプの優秀な生徒が集まる所なので、大体どこも厳格な校風だし、生徒達もそれを承知で入っているのだから、むしろ、授業の邪魔になるような神竜のような存在こそ排除されるはずだと思う。
生徒は暴力で屈したとしても親が黙っていないだろう。
そこは漫画なので、神竜親子の権力で全部ねじ伏せているとしても、優秀な生徒達は学校に来なくなると思うのだが…?
原作も熱心に読んでいた訳ではないので、そちらではもっと、この辺の設定をきっちりやっているのかもしれないが、この映画を観ているだけだと、納得できないことが多すぎる。
山際涼子事件の後、神竜が新たな刑を考えると言う面白くなりそうな伏線を張っているのに、何故かその後、その話はなくなったかのように、一騎打ちのシーンになってしまう。
前半部分は、何となく原作に沿って、テレビドラマの第一回風に始まったのが、後半は急に最終回になってしまったような唐突さである。
二本立ての添え物映画風なので、あまり細かく突っ込むのはヤボだろうが、何か消化不良感は残ってしまう。
主役、流を舘ひろしに代え、続編(?)の「男組 少年刑務所」なる作品があるが、そちらではきちんと本作の説明不足の部分を補っているのだろうか?気になる所である。
アクションは、時代が時代だけに、どことなく仮面ライダー風である。
ラストの流の決め技も「ライダーキック」のようにしか見えない。
チョウのヌンチャクさばきなどはかなり巧いと思うが、戦い自体は特に迫力があるとも思えない。
全体的に、子供向けの暇つぶし映画と言う印象である。
ちなみに、この当時のにしきのあきらは、それなりにかっこ良く描かれている。
▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼ |
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1975年、東映東京、雁屋哲+池上遼一原作、波多雅史+田口勝彦脚本、内藤誠監督作品。 少年刑務所の独房 タイトル 看守から声をかけられた流全次郎(星正人)は、独房を出、外に出た所で、看守から学生服を渡され、それをその場で着る。 手錠をはめられ、護送車に乗り込む時、周囲に並んで見送っていた受刑者の中のスキンヘッドの男が、Zの文字が入ったアメラグのボールを流れに投げて渡す。 護送車は少年刑務所を出発する。 青雲学園高等学校では、生徒会長の阿部(岡崎徹)が、神竜組に逆らったと言うことで、廊下を運動部の連中に引きずられていた。 神竜組の部屋に連れ込まれた阿部だが、部屋の中にはドーベルマン犬や昼日中からブランデーグラスで酒を飲んでいるズベ公連中がいる中、神竜剛次(南条弘二)がイスにふんぞり返っていた。 阿部に、生徒会で神竜組を潰せと言ったそうだが?と神竜が問うと、君たちヤクザに聞く口は持たないと阿部は抵抗する。 すると、彼の前に、神竜組の四天王が立ちふさがる。 ボクシング部主将木崎秀男(光本大介)、空手部主将田丸栄吉(大谷朗)、柔道部主将熊沢重吾(横山繁)、相撲部主将大田原源蔵(日の下金太郎)の四天王は、それぞれの得意技で阿部を痛めつける。 神竜剛次が引っ越してきて半年で、青雲学園は彼の手中に納められた。 学園は荒廃し、教師達は無力な存在と化した。 校長室にやって来た大谷先生(南条竜也)は、白井隆二校長(室田日出男)に辞表を提出するが、それを制した白井校長は、私の手で必ず神竜剛次を追放するので、私を信じてついてきて欲しいと言う。 その時、護送車が青雲学園の校門から入って来たので、何事かと生徒達が集まって来る。 流が降りて来ると、タバコを吸い、ガンを飛ばしてきた生徒は、流の迫力にビビってしまう。 相撲部の生徒が流につかみかかるが、流は、持っていたZボールを、相手の急所にぶつけ、痛さに耐えかねたその生徒はその場でピョンピョン飛び跳ねる。 白井校長がやって来て、特待生として迎えたと流を紹介する。 すると、流は、俺の罪状が気に入ったからか?尾根の罪は父親殺し。俺が勝てば万々歳、倒されても面倒起こらない…と指摘する。 白井校長は、君の言う通りだと認める。 そこに神竜と四天王もやって来て、興味深げに流を睨みつける。 流は、四馬鹿大将か?と聞くと、神竜は、傷だらけになった阿部を突き出し、無駄口が多いと、その生徒会長のようになるぞ、覚えておけと命じる。 流は、周囲でただ観ているだけの生徒達に、お前達、生徒会長を見殺しにするつもりか?と問いかけ、医務室へ連れて行けと命じる。 しばしためらっていた生徒達だったが、生徒会の数人の男子学生が、四天王の脅しにビビりかけながらも前に出て、阿部を医務室に連れて行く。 相撲部の大田原が前に出て、俺が一人でやると言いながら、流に近づいて来る。 流は、持っていたZボールを空高く蹴り上げた後、手錠の鎖で大田原の首を絞めると、落ちて来たZボールが大田原の頭の天辺に落ちるようにする。 大田原は気絶し、その場に昏倒する。 神竜は持っていた日本刀を抜き、倒れた大田原に近づくと、その額に「犬」と刻む。 痛みで気づいた大田原に、神竜は、命が惜しければ流をやれ!と命じると同時に、流れ、首を洗って登校して来るが良いと伝える。 少年刑務所内では、バンド演奏で、受刑者達が全員踊り狂っていた。 背後でそれを監視していた看守(野口圭介)も、リズムに釣られ、こういう時「ジュリー!」ちゅうんでしょうねなど言いながら、一緒に踊り出してしまう。 それを見て「年を考えたまえ!」と叱りつけたもう一人の看守も、足でリズムを取っていた。 第7官房では、流は一人正座していた。 その独房に、どこからともなく、五人の仲間達が集まって来る。 高柳秀次郎(津森正夫)、大杉五郎(高月忠)、岩瀬大介(千田孝之)、長浜昇一(藤江喜幸)、伊庭彦造(白石譲)、通称「五家宝連(ごかぼうれん)」だった。 彼らは、5人の命、兄貴に預けますと約束する。 IQ180の元天才詐欺師でスキンヘッドの伊庭は、兄貴が青雲学園で神竜と戦うと、90%命を失いますと言い出す。 その理由を聞かれた伊庭は、神竜がこれまで、次々に支配して行った3つの名門高校を挙げ、これらの生徒達は、神竜の財力により新しい校舎と教師を与えられたので、すっかり神竜に陶酔し親衛隊と化していると説明する。 3つの神竜組に支配された名門校は東京を囲むような位置にあり、やがては都内の高校を締め付ける狙いのようですと言う。 さらに、皇華・菊水・桜花の3つの名門高校で行方不明になっている生徒が18名もいる。おそらく消されたんでしょうねと言う。 流は、伊庭に、所長から預かった手錠を自分の両手にかけるよう頼み、生徒達の自治を無視する神竜を倒すため戦う。 俺は虐げるも、虐げられるのも嫌だ。俺自身と戦い、男になる為、俺自身を縛るのだと説明する。 伊庭はそんな流に、とことん戦って下さいと励ます。 手錠をかけたまま、どこまで戦えるか、試させてもらいますと言い出した高柳と岩瀬が、五寸釘と、クルミを次々に流に対し投げつけて来る。 流は、それを見事に手錠で全部弾き返してみせる。 伊庭は、Zボールを流に投げる。 Zボールとは、中には砂鉄、先端には鋼が組み込まれた凄まじい凶器だった。 ハツカネズミの「百恵」をいつも連れている長浜と、メガネをかけた元泥棒大杉は、学生服を着て高校生に化けると、翌日、マンホールを通って青雲学泉の敷地内に侵入する。 そこに少し遅れて、護送車がやって来て、流が登校して来る。 そんな流に近づいてきた阿部と生徒会数名は昨日の礼を言い、みんな命が惜しいんだと、他の生徒達のことを弁解する。 流は、阿部らに、自分自身を武器にして戦うんだと教える。 その後、自動販売機の前で、流と阿部がコーラを飲んでいる時、校舎の屋上から、生徒会副会長の井口(大泉公孝)と初期の中山(幸英二)が突き落とされかけていた。 流は、周囲に集まってきた生徒達に、俺が叩き出したいのはこいつだと神竜を指差す。 次の瞬間、井口の中山は屋上から突き落とされたので、観ていた生徒達は目を伏せる。 しかし、二人の足にはヒモが結びつけられており、地面すれすれで激突を免れる。 屋上でヒモを一人で持っていたのは、相撲部の大田原だった。 言わば、バンジージャンプだったのだ。 流は、Zボールを蹴り、ヒモを切断すると、つり下げられた二人を地面に降ろし救い出す。 神竜は生徒達に、流に協力するものは、井口や中山のようになる。恐ろしかったら、自分たちの手で流を追い出すんだと命じる。 生徒達は流を睨みつける。 神竜は愉快そうに、もう誰も戦うものはいない。自分を犠牲にしてまでな…と嘲る。 その時、生徒の中にいた女生徒山際涼子(山口智子)が、私を吊るしてと言い出す。 神竜さんのやり方では、流さんが戦うのも当然ですと言う。 神竜は流に、お前は全校生徒の身辺を守ると言ったな?あの娘を守れるか?と挑戦する。 阿部は、神竜の言いなりになってばかりの生徒達に、恥を知れ!脅しに会うと逆上する。いつから神竜の親衛隊になったんだ?山際くんを救うため戦うぞと言い放つ。 流も、俺が頼れると思ったら、俺について来いと生徒たちに告げる。 神竜は放課後、山際の家にやって来る。 涼子は、茶室でお茶を立てていたが、神竜が来ると、茶を勧める。 神竜は礼儀通り茶を飲むと、今日のお前の振る舞いについて説明してもらおう。俺とお前は許嫁同士、問いただすのは当然だろうと迫る。 その頃、流は、近くの広場に阿部ら、数名の同志を連れて来ると、武器を見せると言い、伊庭が用意していた木箱を開けてみせる。 すると、その中に入っていたのは、Zボールやアメラグの防具が詰まっていたので、阿部達は意外な顔をする。 流は、アメラグこそが集団格闘技だと説明すると、阿倍野人望の厚さに感動していると言う。 何のことかと思うと、4人の男子学生が近づいてきていたのだった。 彼らは悔しいのだと、流に協力する理由を述べる。 その時、その一人の男子学生の背中に、どこからともなく飛来したブーメランが突き刺さる。 流は、狼狽する学生達に、救急車を呼ぶんだと命じる。 山際家の茶室では、涼子が神竜に、剛次さんをお諌めしようと…と、今日の振る舞いの説明をしていた。 皇華・菊水・桜花学園のことは、噂では聞きましたが、良く理解できませんでした。 許嫁であることに不満があるのか?と神竜が睨むと、あんな哀しいことはお止めくださいと涼子は頼む。 よほどの心構えがあってのことだろうな?自分の愚かさを知るが良い。これまでの行為は全て、この神竜の大事業の布石なのだ。お前への教育だ!と説明していた神竜は、突然、庭先に向かって小柄を投げつける。 長浜と大杉が忍び込んで聞き耳を立てていたのだった。 二人は一目散に逃げ去る。 広場には四天王が来ていた。 その時、神竜組の親衛隊たちが広場に乱入してきて火炎瓶を投げつけて来る。 長浜は、ダイナマイトを投げて応戦する。 流と五家宝連は、アメラグのユニフォーム姿になっていた。 ムショのものが、シャバのものより悪くないと、この世は闇よ言いながら、五家宝連は戦い始める。 そんな中、バイクに乗った一人の男が広場に乗り込んで来て、親衛隊を蹴散らせて行く。 メットの中から、流に、久しぶりだなと声をかけてきたバイク男は、中条浩介(にしきのあきら)だった。 中条は、ブーメランが刺さった生徒を後ろに乗せると、広場から走り去る。 高柳と岩瀬は、得意の五寸釘とくるみ投げで敵を倒して行く。 さらに、最強の凶器、Zボールを蹴り付け親衛隊を壊滅させて行く。 流は、蹴ったZボールで大田原の右腕をへし折る。 広場での戦いの後、流と二人きりで会った中条は、流を逮捕した元警官だった。 お前は本当に親父さんを殺したのか?と中条は問いかける。 あまりにも当時、お前に不利な証拠ばかり見つかったので、逆に逮捕後、自分は疑問を持ったのだと言う。 お前の目も、あまりに澄み切っていたと言う。 しかし、流は、父を葬った影の総理大臣、神竜壮一郎を倒すまで、俺は口を割らないと言い切る。 俺の非力さ故に、父は殺されたのだとも流は付け加える。 中条も、色々調べ始めたら、観に覚えのない収賄の罪を着せられ警察を辞めさせられたと言う。 流は中条に、あんたに感謝しているのは、おれを小刑に入れてくれたことだ。仲間も出来たし、あそこを出たら、父を殺した奴を叩き潰すと言う。 その夜、第7官房で一人寝ていた流は、天上の電球が点滅するのに気づく。 次の瞬間、その電球が我、ボウガンの矢がどこからともなく打込まれて来る。 とっさに身を避けた流だったが、次々に打込まれて来るボウガンの撃ち手は見当たらない。 ただ、廊下を歩いて行く足音が聞こえて来ただけだった。 翌日、ハーケンクロイツの旗を飾った神竜組の部屋の中に来ていた神竜は、逆さ吊りは必ず実行するんだと四天王達に命じていた。 登校して来る山際涼子を、校門の所で待っていたのは流と阿部達数名の有志連中だった。 涼子が構内に入ると、門が閉ざされる。 涼子の周囲を固める流や阿部達を観ていた他の生徒達は、突然流れに飛んで来たZボールを流が受け取るのを観る。 五家宝連が投げたものだった。 流は、阿部達に涼子を教室へ連れて行くよう頼む。 阿部達は、流くんは凄いななどと感心しながら教室まで、涼子を連れて来るが、教室で待っていたのは大田原だけだった。 大田原は、昨日負傷した右手を三角巾で吊っていた。 大田原は左手一本で、阿部達に机を投げつけて来る。 その机に押しつぶされ、全員が気絶すると、大田原は涼子を担いで教室を出ると、階段を上って屋上へ行く。 一足遅れて教室へやって来た流は、倒れている阿部達を発見、助け起こして事情を聞くと、涼子は屋上に連れて行かれたと言う。 屋上へ向かった流は、涼子を連れて待っていた大田原と対峙する。 流は大田原に、お前をそんな風に狂わせたものは何だ?額の犬の字が、恐怖を与えたのか?と聞き、Zボールを投げつけるが、大田原は、包帯を巻いた右手ではじき返す。 そして、そのZボールを拾うと、鉄柵にあてがい、何度も右手で打ち据える。 その内、Zボールの皮が破れ、中から砂鉄がこぼれ落ちて来る。 大田原は、三角巾を取った右腕を差し出しながら、プラチナで固定した上に石膏で固め、鋼鉄のギブスで固めたのよと教える。 その凶器と化した右腕で、大田原は流に挑んで来る。 それを観ていた涼子は、止めて!二人とも、止めて下さい。私の為にこれ以上の犠牲が出るのは耐えきれないと頼む。 流は、山際くん、君を助ける為に命も惜しくないと言うが、涼子は、私が吊るされるのは、神竜さんを諌める為です。これは私の義務です。私は許嫁なんですと言う。 向かい側の校舎の通路からこちらの様子を監視していた神竜は、大田原、早く突き落とせ!と命じる。 流は、大田原、お前、その額の文字通り、犬になるのか?手を引くんだ!と説得するが、涼子は早くして下さいと言いながら、自らのスカートの裾を縛る。 そこに、他の四天王3人がやって来る。 大田原は、俺は、できねえ…と拒否する。 しかし、涼子は自ら飛び降りる。 校長室では、白井校長が泣きながら薬を飲もうとしていた。 それを止めに来た滝沢教頭(河合絃司)に、白井校長は、自らの無力振りを知ったと嘆き、滝沢教頭も、神竜は人間の皮をかぶった化物だ!と吐き出す。 流は、ぶら下がった涼子をすぐに助けるが、向かいの廊下から観ていた神竜は、その女に免じて、お前の吊るし柿は止めよう。新しい刑を考える。対象は全校生徒!お前の手で学校から流を追放しない限り恐怖は続くと宣言する。 涼子は流れに、私のしたことが裏目に出てごめんなさいと謝る。 生徒達は、流に罵倒を浴びせ始める。 神竜が、雨にも関わらず、自宅庭先で巻藁相手に日本刀の試し切りをしていると、父、神竜壮一郎(内田朝雄)が近づいてきて、国務大臣の山際が娘のことで謝りに来ているが、お前は何が狙いなんだ?と聞く。 神竜は、自分のことは自分で始末しますと答えるが、父親は、見えないありの一穴がダムを崩壊させることもある。流と言う男、よっぽど注意するんだなと忠告して自宅に戻る。 その後、神竜が巻藁を斬ると、弾けとんだその巻藁を、自ら持った釵(さい)に突き刺した男がいた。 留学生のチョウ(斎藤一之)です。私がお役に立てることでしたら…と、その男は神竜に挨拶する。 神竜は、俺に野望を阻む奴がいる。だからお前を呼んだとつぶやく。 第7官房にいた流に、面会者がいると知らせが来る。 面会室に行くと、そこにいたのは神竜剛次だった。 檻の中がよく似合うな…と皮肉から入った神竜は、俺が勝者だ、青雲から出て行けと言う。 多くの青春を、お前の思い通りにはさせないと言う流に、俺は豚どもに秩序を与えてやっているだけだと神竜は答える。 お前も親父も、権力の上に巣食うウジ虫だろうと流れは侮蔑する。 神竜は、2人で勝負して、負けた方が青雲から手を引く、良いな?と一方的に条件を提示する。 流は、ようやくお前自ら戦う気になったかと睨みつける。 翌日、流は五家宝連を従えて、指定された海岸にやって来る。 流は、待っていた神竜にZボールを蹴ると、神竜は日本刀で切断する。 その横でヌンチャクを回していたのはチョウだった。 神竜は「やれ!」とチョウに命じる。 流は、チョウのヌンチャクを、自らの手錠の鎖に絡めとり、奪い取ってしまう。 チョウは、二本の釵(さい)を取り出し戦う。 四天王も来ており、勝負の行方を見守っていた。 流は崖っぷちに追い込まれるが、チョウの釵(さい)も防ぐ。 チョウは棒を取り出すが、神竜が「待て!」と制し、お前には無理だと言うと、自らに本当を突き出し流に迫る。 神竜の日本刀は、流の手錠の鎖を断ち切る。 二人は海の中に膝まで入り戦う。 流は、空中回転した後、キックを神竜に浴びせる。 その流の胸には、神竜の日本刀が背中まで突き通っていた。 しかし、倒れたのは神竜の方だった。 神竜の日本刀は流の急所を外していたのだ。 流は自ら胸に刺さった日本刀を抜くと、それを倒れた神竜の顔の横に突き立て、お前の野望もこれまでだ!と突きつける。 悲しむ涼子の姿 五家宝連は、よろめきながら歩く流を支えようと近づくが、それをよけ、流は一人で歩き続けるのだった。 |
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