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劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21の コアメダル

2011年、 劇場版「オーズ・ゴーカイジャー」製作委員会、石ノ森章太郎原作、小林靖子脚本、柴崎貴行監督作品。

※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。

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800年前、欲望が生み出したコアメダル…

ドイツ、チューリンゲン州、2011年6月

マンホールより一回り大きいくらいのメダル型石碑発掘に立ち会っていた鴻上ファウンデーション会長鴻上光生(宇梶剛士)と里中エリカ(有末麻祐子)は、突然、石碑が爆発し、中から無数の物体が飛び出して来たのを目撃する。

その途端、東京の都心部の円盤状一区画の周囲が光り出し、その光に包まれた円盤状の一区画が空中に飛び出すと、ひっくり返って、又元の区域に収まる。

ひっくり返った円盤状のその区域は、森林地帯であった。

その中央部に、不思議な西洋城が立っていた。

城から出て来た兵士たちは、鴻上ら調査隊メンバーたちを襲撃する。

この森林は、ドイツの石碑があった一角だった。

その近くにいた火野映司(渡部秀)は、アンクからメダルを投げられると、それを使ってオーズに変身!

伊達明(岩永洋昭)もやって来てバースに変身!

オーズと一緒に戦い始める。

その時、足の長い錬金術師ガラ(酒井美紀)が森に出現、800年経っても欲望はここまで腐っていたとは…と嘆くと、お前たちにはメダルは渡さん!と告げる。

そのガラ、木の陰に隠れて自分の方を観ていた一人の子供を発見、お前もかつての王のように邪魔だ!と怒鳴りつける。

この世界は終わらせる。新しい世界の王に我がなる!とガラが叫ぶと、大量のコインが彼女に奪われ、円盤状の森はドーム型のバリアーに包まれて行く。

鴻上と里中は、城の中のガラが座る部屋の真ん中に、四角く開いた底なしの空間の上に浮かんだ畳一畳くらいの床の上で目を覚ます。

鴻上は、ハッピーバースディ、ガラ!と、自ら復活させることに成功した錬金術師を祝福する。

ガラは、我々を滅ぼしたものの末裔が、我を祝福するとは…と呆れたようにつぶやく。

泉比奈(高田里穂)は森の中にいた若葉駿(根岸泰樹)と言う子供の足の傷を手当てしてやっていたが、駿が胸に抱きしめている女物のバッグのことが気になっていた。

城の中では、ガラがコインを使い3人のクラウン姿の女の子を作り出していた。

東京のとある巨大モニターには、ベルをならすクラウン姿の少女が写り、欲望を満たすチャンスタイムになります。

500万受け取るか、ちょんまげになるか、イエスかノーか!と群衆に問いかける。

その時、ガラと同じ気配がする。

クラウン姿の少女ベル(荻野可鈴)が、群衆の中に移動人形劇の車のようなものを引いてやって来たのだ。

人形劇の幕が開き、荷台に積んであったのは大量の札束と分かる。

一人のロッカー青年(唐橋充)が進みでて、イエスと答えると、クラウン少女はその青年にその場で500万を渡し、その代わり、その青年の頭はちょんまげになる。

青年は、頭は帽子で隠せば良いからと、帽子をかぶろうとするが、一生その髪型と言うことであり、帽子やかつらはダメだとクラウン少女は教える。

それでも、500万を欲しがる人間が増え続け、ガラのイスの横に置いてあるフラスコの中には、どんどんコインが溢れて行く。

伊達までも、ちょっとちょんまげになりたがったりする始末。

その時、都内の新宿の一角が又円盤状に浮かび上がり、ひっくり返って元の場所に収まると、そこは江戸時代の世界だった。

それを見た鴻上は、場所だけではなく、時間までも操れるのか!と、ガラの力に驚嘆する。

出現した江戸の町では、現代人と江戸時代の町民たちが互いにいがみ合っていた。

城の中では、ガラが鵺ヤミーを作り上げていた。

江戸時代に紛れ込んだ映司に、鵺ヤミーが襲いかかる。

比奈から受け取ったメダルでオーズに変身した映司は、鵺ヤミーと戦い始めるが、その様子を町民たちに紛れじっと観ていたのが徳田新之助(松平健)だった。

伊達もバースに変身、一緒に戦い始める。

オーズは、鵺ヤミーの炎攻撃が江戸の町民に被害を及ぼしそうなことに気づき、自ら盾となって町民を助ける。

アンクは比奈と駿を突き飛ばし、ガメルと戦い始める。

鵺ヤミーは鳥メダルがそろったと唸る。

戦いを観ていた町民たちは、現代人たちを、人間じゃないと敵対視する。

それを制したのが新之助だった。

この人たちは悪者ではない。今、身を呈して、相手の攻撃をかわさず、お前たちを守ったではないかと言うのだ。

駿は、怖くて泣いていた江戸時代の少女に、持っていたキャンディーを渡す。

新之助は、映司に自分の名を名乗る。

アンクはその場を去り、映司もその後を追う。

新之助は、地面に落ちていた一枚のメダルを拾い上げ、これは?とつぶやいていた。

比奈、アンク、映司 、駿は、江戸の時代に「クスクシェ」があるのを発見、中に入ってみると、お姫様衣装になり、すっかりこの時代に馴染んだ白石知世子(甲斐まり恵)が、中の様子に興味津々な江戸町民の来客たちを摂待していた。

その頃、別の場所も円盤状にひっくり返り、そこから恐竜や翼竜が出現していた。

江戸時代の着物姿になった駿は比奈に、アンクって、あの右手だけなの?と聞いていた。

比奈は、身体は私のお兄ちゃんで、ずっと眠っている。お兄ちゃんなのに、お兄ちゃんじゃないと寂しそうに教え、お兄ちゃんとはずっと繋がっていたい…と言う。

伊達は、後藤慎太郎(君嶋麻耶)に、この特殊な空間のデータを送り、分析させる。

夜、神社の境内で駿と二人きりになった映司は、誰かのこと考えているんだろう?と聞いてみる。

駿は、お母さんと言い、いつも仕事なのだと言う。

今度の誕生日、そのお母さんと遊びに行くと約束していたのに、又仕事で行けなくなったと言うので、怒った駿は、公園にお弁当持って行きましょうとなだめる母親に、僕より仕事の方が好きなんだろう!と叫んで家を飛び出してしまったらしい。

でも、その後気になって、公園に行ったら、ガラになった母親に会ったのだと言う。

僕がお母さんなんていなくて良いと言ったので、お母さん怒っているんだと駿は落ち込んでいるので、映司は、お母さんは、ガラに乗っ取られているんだと説明し、駿が抱きしめている女物のバッグに、おにぎりが入っていることを指摘する。

怒っていたら、こんなの作るはずないよと言う映司の言葉に納得した駿は、映司にもおにぎりを渡し、その場で一緒に食べ始める。

映司は、お母さんと繋がっているって感じしない?と駿に囁く。

その頃、ガラの城の中では、鴻上がカンフル剤を注入しよう!と言い出していた。

火野映司の欲望を利用しようと言うのだった。

江戸時代にいるアンク、映司、比奈 、駿たちは、何となく互いに手をつないで帰っていた。

映司は、絶対元の世界に戻るぞ!お母さん助けるからと駿に約束する。

城の中のガラは、鴻上の提案に興味を示す。

鴻上は、これは滅亡ではなく、始まりです!と興奮したように叫ぶ。

その頃、江戸時代の区域のバリアの外にいた伊達と後藤は、何とか、中に入れないか検討していた。

アンクは、二枚のメダルと自分用のメダルを映司に渡すと、その場に倒れてしまう。

鵺ヤミーと兵士たちが又近づいて来たことを知った映司は、比奈にお兄ちゃんのことを頼むぞと告げると、オーズに変身し戦い始める。

伊達と後藤は、バリアを壊すべく、外から撃ち始める。

オーズは、かなり劣勢だった。

比奈は、思わず、落ちていた木の棒を持って助けようとする。

その時、突然、暴れん坊将軍こと江戸幕府第八代将軍徳川吉宗が登場する。

江戸町民たちも、オーズを助けようと駆けつけて来る。

その中には、駿がキャンディーを与えたあの女の子の母親も混ざっていた。

みんな味方だ!存分に戦え!と吉宗が叫ぶと、町民たちは一斉に、兵士と戦い始める。

バイクに乗ったオーズと、白馬にまたがった吉宗が並走する。

さらに吉宗は、オーズに3枚のメダルを投げ、幕府に献上された品物で、これを観て、もしやと思ったと言いながら、昨日町で拾ったメダルを取り出してみせる。

オーズは、コブラ、ワニ、カメのメダルを使い、ブラカワニコンボに変身する。

ブラカワニコンボになったオーズは、蛇笛でコブラを出現させ、鵺ヤミーの蛇と戦わせ始める。

吉宗は「成敗!」と叫び、鵺ヤミーが爆発すると、アンクの手が元に戻る。

オーズは、徳田に礼を言う。

吉宗は、これからも戦いが待っているのであろう、さらばじゃ!と言い残すと、白馬に乗って去って行く。

クラウン姿の少女ベルが現れ、火野映司、あなただけ元の世界に帰れます。他の人はこの世界に残ります。イエスか?ノーか?と言い出す。

城の中では、イエスを選べば、世界は滅ぼす…とガラはほくそ笑んでいた。

お客様のご決断をお願いします!とベルは映司に迫る。

彼女たちだけでも戻れるなら…と映司は、比奈と駿を示す。

ご家族ですか?とベルは問いかけ、家族は同行を許されますと返事をする。

駿は、みんな助けてくれたのに…と、取り残される現代人や江戸町民たちのことを忘れたような映司の決断に納得がいかないようだった。

しかし、映司は「イエス!」と答える。

承知いたしましたとベルは嬉しそうに答えながら、手に持ったベルを鳴らす。

その様子を城の中で観ていたガラは笑い出し、ベルは、世界は終了させていただきます!と宣言する。

ところが、次の瞬間、ガラのイスの横にあったコインのフラスコが故障してしまう。

映司は微笑み、言ったろう?家族だけは戻れるって。彼女たちはみんな家族だよと、後ろに控えていた現代人や江戸町民たちのことを指す。

そんなきれいごとが通ると思うか!とガラは激怒するが、映司は、俺の欲望はこれくらいじゃないと満たされないと笑う。

映司は、その場にいた全員と手をつなぐ。

クラウンのベルは、信じられないような表情のまま消滅して行く。

鴻上は、これが欲望だ!正に欲望が世界を救うと感心する。

世界は元に戻った。

アンクは、全部家族とか、上手くいくと思ってたのか?と映司に聞くが、映司は、お前だけは微妙だと思っていたと笑う。

その時、駿は赤いメダルを見つける。

伊達と後藤は、まだ、バリア攻撃を外からしていた。

オーズは城の中に入る。

ガラは怪人態に変身する。

その時、それまで眠っていた里中エリカが目覚め、会長、残業代いただきますと、ちゃっかり要求すると、落とし穴の上から外の床に飛び移り、兵士たちを蹴り上げる。

鴻上は、火野くん、後は頼んだよと言い残し、里中と共に城の中からさっさと退散する。

オーズは、元の公園の中でガラと戦う。

その時、近くにいた駿を観たガラは苦しみ出す。

駿は、お母さん!と叫びかけよろうとするが、それを制したオーズは、ガラ怪人態の身体から、駿の母親若葉五月(酒井美紀)の身体を引っ張り出す。

人間の姿に戻った母親と駿は抱き合う。

その時、突如、巨大な火の玉が近くに落下して来る。

そこから、見慣れぬライダーが出現し、あの化物を倒せば良いんだな?とオーズに問いかけて来る。

それは、新仮面ライダーフォーゼだった。

フォーゼは、ライダーロケットパンチ!と叫ぶ。

人間の姿如月弦太朗(福士蒼汰)に戻ったフォーゼは、俺は全てのライダーと友達になる男、フォーゼ!と自己紹介し、オーズと握手すると、オーズの身体を振り回し始める。

そのまま投げ飛ばされたオーズはガラ怪人態にぶつかり、ガラ怪人態は爆発消滅する。

ライダーは助け合いだねと言う人間の姿如月弦太朗(福士蒼汰)に戻ったフォーゼを観たオーズは、高校生?と唖然とする。

如月弦太朗は、先ほど携帯に電話があった女子高生との約束を思い出したのか、遅刻する!とあわててその場を去って行く。

そこに、伊達がやって来る。

その時、倒したと思ったガラ怪人態がオーズを捕まえ、これで全部そろったとコインを奪う。

我こそが真のオーズだ!と叫んだガラ怪人態は、さらなる怪獣に変身する。

伊達はバースに変身し、怪獣が移動した工場地区に向かう。

オーズもそこに駆けつけるが、その時、緑のコインが振って来る。

俺たちも後がないんだよと言うのは、真木清人(神尾佑)たちだった。

オーズは、緑のコインの力で8人のコンボに変身して、怪獣と戦う。

伊達が怪獣を撃つと、爆発した怪獣の身体から大量のコインが降って来た。

欲望の雨だった。

母親の姿に戻った 若葉五月は駿に、誕生日のプレゼントは、歴史の本と恐竜の本とどっちが良い?と聞き、駿は、両方ともと嬉しそうに答える。

戦いが終わった映司は、今回は比奈ちゃんのお陰で助かったんだから、手をつないでやれよとアンクに頼む。

アンクは、不承不承比奈の手を取り、比奈は映司の手を握ったので、思わず、映司は喜ぶのだった。

みんな家族だ、帰ろう!と言う映司たちは、町の方へ戻って行くのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

仮面ライダーシリーズ生誕40周年記念作品の一本。

近年、テレビシリーズを観なくなっているので、設定やキャラクターなど分からない部分も多いが、基本的に子供向けであり、良いものと悪いものの区別くらいはつくので、特に観ていて付いて行けないと言うことはない。

この劇場版、正直、絵作り的にはテレビ世界と大差なく、スケール感もありそうでそうでもないと言った恨みはあるが、テンポの速さとアイデアの連発で、最後まで飽きずに観られる快作になっている。

母親と子供の行き違いと言うテーマもシンプルで、子供には親しみやすい内容ではないかと思う。

暴れん坊将軍の登場は、あくまでもゲスト的扱いで、時代劇的な見せ場を期待した大人には、かなり物足りなかったのではないだろうか?

前作に続き、日本一の斬られ役、福本清三さんが又登場して健在振りを見せてくれるのは嬉しい。

あくまでも低予算の子供向け、ないしは子供番組ファン向け映画であり、映画的な幻想を抱かないで観れば、併映の「ゴーカイジャー」と合わせ技で、それなりに十分な満足感は与えてくれる楽しい作品だと思う。