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電人ザボーガー

往年のテレビ特撮ヒーロー番組の映画化で、テレビ版同様、映画版もピープロが企画している。

ピープロ作品と言うのは、元社長の鷺巣富雄さんが、昔は人気漫画家「うしおそうじ」だったこともあり、ご本人が新企画のデザインもしていたらしく、善くも悪くも、ややアナクロ調の泥臭さが特長だったように思うし、この作品は、ブルース・リーブームが全盛だった70年代後半くらいの「熱い空手ブーム」を背景にしていた為か、今となっては、かなり違和感を感じる「暑苦しさ」が特長のようだが、この映画でもその辺の感覚はパロディ風に誇張されて表現されている。

テレビ版は観ていなかったが、どうやら全編を通して登場キャラクターなど、テレビ版の再現度は高いらしい。

低予算のおバカ映画としてみれば、それなりに良くできていると思う。

着ぐるみ怪人やトラックを利用したブルガンダーなども再現してあり、着ぐるみアクションファンにとっても満足度は高かったのではないだろうか。

今風のCG処理が増えているため、その辺の感覚に違和感を感じたオールドファンもいるかもしれない。

後半、ザボーガーにミニブルガンダーが群がったり、AKIKOが巨大ロボと合体して怪獣化するシーンなどは、ひょっとすると、監督は「平成ガメラ」を意識しているのかもしれない。

低予算であるため、俳優なども、主要人物以外は見慣れぬ人が多いのだが、若杉首相とAKIKO役は、もうちょっとどうにかならなかったものかと思う。

若杉議員を演じている木下ほうかは、議員時代も首相になってからも、全く政治家に見えない。

エキストラでも良いから、もうちょっと議員に見える人物を配してもらいたかった。

AKIKO役は、せっかく巨大化して、男性観客の妄想を刺激する設定になっているのだから、もうちょっと「萌える女優」を選んで欲しかった。

ミスボーグもそうだが、全体的に女性キャストのイメージが安すぎる。

予算のせいではなく、監督の趣味なのかもしれないが…

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

2011年、2011「電人ザボーガー」フィルム・パートナーズ、ピー・プロダクション企画+原作、井口昇脚本+監督作品。

ヘルメットをかぶる男

バイクにまたがる男

君には信じるものがあるか?守るべきものがあるか?

国会議事堂

松江刑事()と合流したのは、厳戒態勢が敷かれたのでやって来た新田警部(渡辺裕之)ら警視庁から派遣された刑事達だった。

そんな刑事達を不愉快そうに怒鳴りつけたのは、次期総裁候補と言われる 若杉議員 (木下ほうか)ら政治家一行だった。

その時突然、廊下の隅に置いてあった大きなツボから出現したのは、首からジェット噴射し、笑いながら空中を飛ぶ女の首だった。

その女の首は、驚く刑事の一人とキスをすると、別の場所から現れた身体と合体する。

サイボーグ組織Σ(シグマ)の改造人間ミスボーグ(山崎真実)だった。

ミスボーグが、「ヨロイデス!」と呼ぶと、物陰から突然、全身鎧武者の姿をしたサイボーグヨロイデスが出現し、その顔面が巨大な唇に変身すると、米倉議員に抱きつき、無理矢理キスをするよう顔を近づけると、その唇から吸い込んでしまう。

ミスボーグは、権力欲が強い人間のDNAが欲しいのだと言う。

拳銃を発射した新田警部らだったが、全くヨロイデスには通用せず、次々と警官達がやられて行く。

そして、若杉議員が襲われそうになった時、到着したのが、秘密警察の大門豊(古原靖久)とそのバイク、ザボーガーだった。

ミスボーグは、お前一人で勝てるか?と嘲笑するが、大門は、一人じゃない!と応える。

バイクの前の顔があることに気づいたミスボーグは驚くが、これは俺の相棒であり、兄弟、ザボーガーだと説明した大門は、ヘルメットに付いたマイクに「チャンジ!ザボーガー!ゴー!」と指令を出すと、バイクは変型し、人間型サイボーグ電人ザボーガーになる。

タイトル

第1部「たたかえ! 電人ザボーガー」

「ブーメランカッター!」と大門がマイクに叫ぶと、ザボーガーの耳のような部分が飛び出し、ヨロイデスの首を切断する。

大門が「やったぞ!ザボーガー!」と喜ぶと、ヨロイデスの身体は大爆発して消え去る。

その時、上空の雲間から、巨大な「シグマ城」が出現し、ミスボーグは、米倉議員のDNAはもらったと言いながら、シグマ城から発射された光線に吸引され、上空に飛び去ってしまう。

それを見上げながら、大門は「許せん!」と力んでいた。

そんな大門の様子を観ていた新田警部は、この男、何かある…とつぶやく。

シグマ城の中では、5人のサイボーグが、建造中のジャンボメカを見上げていた。

このジャンボメカを完成させるには、1000人分の人間のDNAが必要だった。

帰還したミスボーグは、奪還した米倉議員のDNAをダルモニュームで合成させると、ジャンボメカの肉になれ!と叫びながら合体させるが、米倉議員のDNAは、ジャンボメカの小指に変化しただけだった。

これには車椅子に乗った悪ノ宮博士(柄本明)も失望し、ミスボーグは恥じ入るが、それを横で観ていた他のサイボーグ達が、幽いつの女性サイボーグであるミスボーグをいたぶり始める。

どうやら男のサイボーグ連中は全員女嫌いらしい。

しかし、そんな内輪もめに呆れた悪ノ宮は、女に裏切られ死んだお前達をよみがえらせた恩を忘れてか!と叱りつけ、早く人間の細胞を採取して来いと命じるが、それには邪魔者が目障りだ…とつぶやく。

その頃大門は、近所の神社にやって来ると、空手着に着替え、ザボーガーと一緒に空手の練習を始める。

最後には、飛び蹴りで地蔵を破戒してしまった大門だったが、その時、突然銃撃を受ける。

しかし、大門は、全ての銃弾を指の間で受け止めていた。

そこに銃を持って現れたのは新田警部だった。

なぜ、自分を付け回すのかと迷惑がる大門に、新田警部は、君が個人的な怒りで戦っているように見えるからだ。若さ故の暴走に走ってしまいそうで怖いのだと言う。

自宅研究所に戻り、ザボーガーの身体を拭いてやりながら、大門は、確かに自分は、父を殺したシグマへの復讐心を持っていることを認めていた。

大門の父、大門勇博士(竹中直人)は、ロボット研究でノーベル賞をもらったほどの科学者だったが、妻は双子を生んだ後、死亡。

博士は、男手一つで赤ん坊を育てていたが、自ら母乳を与えたことなどが影響してか、弟はすぐに死んでしまった。

成長するにつれ、父親を喜ばそうと空手に励み、選手権に優勝したと研究中の博士に報告に言った大門だったが、父は、研究を邪魔されたことへの腹立ちなのか、大門を殴りつける。

常日頃から、自分に対する父親の愛情の薄さを感じていた大門は、俺をひとりぼっちにしやがって!科学者なら、死んだ弟を作ってみろ!と暴言を吐き、家を飛び出してしまう。

その後10年間、大門は空手の練習に明け暮れていたが、空手の師匠からも、お前は甘すぎると、つばを吐きかけられるほど大門は幼かった。

父、大門博士が、悪ノ宮博士に捕まっていたことに気づかなかったからだ。

シグマ城に捕まった大門博士は、悪ノ宮博士に協力するくらいなら、大男に辱めを受けた方がましだと言ったばかりに、では、お望み通りしてやろうと悪ノ宮博士に返されてしまい、出現した大男に服を脱がされると本気で辱めを受ける。

その後、いつものように空手の練習中だった大門は、仲間の一人が上空に飛来してきたシグマ城に、父、大門博士が捕まっていると驚いたので、自分も見上げて、入口の所に、大男二人に抱きかかえられている裸の父を目撃する。

大門博士は、これ以上の辱めを受けるくらいなら…と言うと、自ら入口から空中に飛び出してしまう。

それに気づいた悪ノ宮博士は、シグマ城の光線平気で、落下していた博士を攻撃し、大爆発を起こすと飛散させてしまう。

それを目撃してしまった大門は、シグマへの復讐心に燃えながら、久々に自宅の研究所に戻ってみるが、そこには、今は亡き父が遺した8mm映像が写されており、豊よ、シグマの計画を阻止するんだと映像の中から呼びかけていた。

その時、スクリーンの下の扉が開くと、そこから電人ザボーガーが出現する。

スクリーンの中の大門博士は、このロボットは、お前の弟の遺伝子が、電動力に入っている。これはお前の弟なのだと教える。

お前が思った正義を貫くのだ!ザボーガーと共に!…、スクリーンの中の大門博士は最後にそう叫んでいた。

追憶から冷めたある日、大門は、若杉議員が誘拐されたと言うニュースを聞き立ち上がる。

ザボーガーの頭が割れてその中から発信する小型ヘリ「ヘリキャット」で、議員の車を尾行すると、車に乗っていたのは、ミスボーグだった。

ザボーガーの尾行に気づいたミスボーグは、手下達を使い、大門を止めようとするが、大門は次々とシグマの手下を轢き殺して行く。

ミスボーグによって、とある廃墟に連れて来られたのは、若杉議員と密会中だったその愛人だった。

愛人は、何をされるのかと怯えていたが、そこにアリザイラーが出現する。

すると、若杉議員は、この女は元ミスユニバースで大学院を出ている才媛だから、こいつの遺伝子を使えと自分の身代わりとして差し出そうとする。

そのあまりにも卑怯な態度を観かねたミスボーグは、電磁鞭で若杉議員を打ちながら、あんたの細胞なんか欲しくない。殺してやりたくなったと怒りながら迫る。

その時、大門とザボーガーが到着し、変身したザボーガーは的の一味と戦おうとするが、大門は、人間を殺すなと命じながら、自分は外に出て、手下達と戦い始める。

大門はザボーガーに「タイキックだ!」と命じると、ザボーガーは、タイボクシング独特のメロディーをバックに、敵と戦い始める。

しかし、大門は敵のサイボーグに捕まり、ミスボーグまでもが味方のサイボーグに捕まってしまう。

大門は、ピンポン球のような眼を持つサイボーグから、眼からゆっくり螺旋状に出て来る攻撃を眼に受けかける。

そこに、新田警部らも駆けつけるが、その時、トラック型サイボーグブルガンダーが出現する。

ブルガンダーが口を開けながら迫って来ると、若杉議員は、愛人をその口目がけて突き飛ばしてしまう。

愛人は、ブルガンガーに食べられてしまう。

それを観たミスボーグは、男はみんな卑怯だ!と叫び、銃撃して来るが、そんなミスボーグを右手がドリルになったサイボーグが、ブルガンガーの舌に捕獲させてしまう。

大門は、ザボーガーに、マウスカーだ!と叫ぶ。

ザボーガーの足の甲から、半分に割れた二つの車が飛ぶ出すと、合体してミニカーに変型する。

アリザイラーは、尻から腐食液をサイボーグ達に吹きかける。

大門は目つぶしチェーンパンチ、ブーメランカッター!と次々とザボーガーに武器を繰り出させ、アリザイラーを倒す。

大門自身は、ブルガンダーの舌に絡まれ、飲み込まれようとしていたミスボーグを助ける。

そんな大門に海賊風のサイボーグと、右手がドリル男が襲いかかって来る。

ザボーガーの方は、ブルガンダーと戦っていた。

大門は、ブルガンダーの頭部で回っている赤色灯を狙えと命じる。

ミスボーグは、ドリル男と戦っていた。

その時、赤色灯を破戒されたブルガンダーが大爆発を起こす。

新田警部は、良し!やったな!と喜ぶ。

しかし、怪我をし入院した若杉議員は、病室に、このような事態を招いた責任を取るため、新田警部や大門が来ていたが、自分一人が責任を取ると申し出た新田警部を止め、処分されなければならぬのは、多額の予算を費やして作った秘密警察の大門であると指摘する。

それを聞いた大門は逆上し、あの時、女を突き飛ばして殺したのはあんたじゃないのか?そんな人間が議員なんかなってて良いのかなどといきなり追求し始め、止めようとする新田警部を無視して、ベッドに飛び乗ると、若杉議員の頭部に空手チョップを御見舞いしたりしてしまう。

さすがに怒った新田警部は、大門の頬を殴りつける。

その頃、シグマ城の中では、ミスボーグも悪ノ宮博士から拷問を受けていた。

ミスボーグは、男に捨てられた女をよみがえらせたものだった。

ミスボーグは、敵と戦うには、この身体は辛過ぎますと吐露する。

結局、大門は一ヶ月の謹慎処分を受けてしまう。

屋台で、そんな大門を慰めようと、新田刑事らが一緒に飲んでいた。

新田は、あんな若杉のような奴に頭を下げるんですか?と疑問を口にしていた、まだ22歳だと言う大門に、こんこんと大人として意見していた。

そんな落ち込んでいる大門を観察してほくそ笑んでいたのは、屋台屋の女将に化けたミスボーグだった。

研究室に戻った大門は、ザボーガーに対し、俺を本気で殴ってみろ!お前との絆を確認したいんだと命令し、互いに殴り合いの喧嘩をした後、最後には、こいつとなら、地獄行き特急に乗っても良いと思った…と泣いていた。

父の墓参りをしに行った大門は、そこで待ち受けていたミスボーグと対決することになる。

ミスボーグは、ザボーガー同様、バイクに変型するサイボーグ「ブラックホーク」にザボーガーを襲撃させる。

ザボーガーは、ブラックホールと戦っていたが、スカート状のブラックホールの腰巻きがめくれ、パンツが見えたので、眉をぴくぴくさせて見つめてしまう。

興奮しているのか?

ミスボーグは大門と戦いながら、指を錐状に尖らせると、「刺されて!」と叫びながら大門の眉間を狙おうとするが、大門は、相手の言葉通り、眉間に錐状の指を受け止めたので、ミスボーグは驚く。

次の瞬間、何故か、ザボーガーが大門を押し付け、ミスボーグとキスをすることになってしまう。

ミスボーグは羞恥心からか、バイクに変型したブラックホークに乗って逃げ出すが、大門もザボーガーに乗って追って行き、さっきのは事故みたいなものだ、すまなかったと謝る。

それを聞いたミスボーグは、なぜお前が謝る?と戸惑い、大門は、お前はどこか俺と似ていると思う。自分の居場所が見つけられない。

それを聞いたミスボーグも、同じ気持ちだったと応える。

大門は、ジュースでも飲んで乾杯しようと走りながら誘い、ミスボーグは、乾杯とはなんだ?と聞き、人間的に言うとこういうことか?と言いながら、並走している大門とキスをしながら走り続ける。

とある海岸の洞窟

二人きりで向かい合った大門とミスボーグは、二人きりの恍惚の世界に入って行く。

ミスボーグの口から出てきたナメクジ状の舌が大門の頬を叩き、ミスボーグの胸から出てきたイソギンチャクの触手のようなものが大門の身体を絡めて行く。

大門はそれを受け止めていた。

人間とサイボーグが一体化した瞬間だった。

むしろの上に並んで横になったミスボーグは、明日、衆議院議員たちを自分は襲撃するので、来て欲しいと大門に頼む。

そんな二人の様子を、側に立っていたザボーガーが無言で見つめていることに気づいた大門は「何だ?その目は!軽蔑しているのか?」と問いかけるのだった。

シグマ城に戻ったミスボーグの腹部は、何故か輝いていた。

そんなミスボーグを待っていたのは、悪ノ宮博士が新たに作った「ミスラガーズ」3人娘だった。

アメフトのヘルメットをかぶった赤青黄色の3人娘達は、お姉様が逃げ出そうとしたら、処刑しますわよ!と言いながら、弱気になったミスボーグの身体を押しつぶそうとしながらプレッシャーをかけるのだった。

大門は、謹慎中の身であるにもかかわらず、独自に若杉議員を尾行し、ヘリキャットで若杉意義員の行動を監視する。

すると、どこかの外国人から、ジュラルミンケースに入った大量の札束を受け取る現場を発見する。

そんな大門の側にやって来た新田警部は、今、大門が見つけた贈賄の事実を聞いても、上からのお達しで、若杉は確実に総裁になる…と言いながら、大門に手錠をかける。

大門は、あまりの理不尽さに耐えかね、手錠の鎖を空手チョップで斬ると、ザボーガーに乗って逃走する。

ザボーガーのモニターにミスボーグからの連絡が入り、今から約束通り計画を実行すると言うので、大門は必死に悪事は止めろ!と引き止めるが、ミスボーグは悪事じゃない!ライフワークよと反論する。

国会にやってきた若杉議員は、ライバルのハゲ議員と通路で出会い、国会にも水着美女でもいたらな〜などと言う悪趣味な冗談を聞かされる。

するとどうだろう。その言葉通り、水着の美女が駆け寄ってきたではないか!

次の瞬間、その水着美女はミスラガーズに変身し、胸から恐竜の首が出現し、ハゲ議員に襲いかかる。

ハゲ議員は思わず「恐竜軍団だ!」と叫ぶ。

3人の女サイボーグは、議員達の腰にタックルすると、自らの腰から舌はジェット噴射装置になり、議員達を抱きかかえたまま空へと飛び立つ。

彼女達は、他の議員たちも集めていた場所に降り立つ。

そこにザボーガーに乗った大門が駆けつける。

ミスラガーズは、そんなザボーガー目がけて、アメフトのボール型バクダンを次々に投げ爆発させる。

それを観ていたミスボーグは「大門!」と思わず叫んでしまう。

こんな下劣な議員達を助けるのが正義だと言うのか?と、大門は自問自答してしまう。

捕まっていた若杉議員は、必死に自分たちを救おうとする大門に対し、又罵倒して来るが、大門は、俺を謹慎させたのはお前じゃないか!と叫び返す。

その時、巨大なシグマ城が天空に出現し、悪ノ宮博士のホログラフィーが大門の前に出現すると、大門、お前は今、正義に付いてジレンマに陥っているはずだ。俺も10年前、国の命令で秘密兵器を作らされたが、実験に失敗し、秘密保持のため、殺されそうになったんだと言いながら、右目部分を覆っていたマスクを外し、その下に隠れていた焼けただれた顔の反面を見せる。

今のお前は俺に近い。今こそ、シグマに入るときだ。どっちに付く?と大門に迫る。

ミスボーグも手招いている。

そこに駆けつけてきた新田警部ら。

大門は、ザボーガー!悪い奴を叩きのめせ!と命じるが、そんな大門にミスボーグが、あなたにとって何が一番大事なの?私?正義?ザボーガー?と叫ぶ。

選択を迫られた大門は、思わず、ザボーガー!機動隊員達を倒せ!と命じる。

しかし、ザボーガーは動かなかった。

どうした?ザボーガー!殴れ!戦うんだ!と叫びながら、大門自ら機動隊員達と戦い始める。

その間、捕まえられていた議員達は、シグマ城に吸い上げられて行く。

ザボーガーは、暴れ回る大門を殴る。

大門は、そのザボーガーの目から涙がほとばしり出ているのを観て、ザボーガー!自分の意志で動かなかったのか!と驚く。

ザボーガーはヘリキャット攻撃で、ミスラガーズをやっつける。

そんな中、1人助かり、大門に近づいてきたミスボーグは、あなたを信じて良かった。私あなたに隠していることがあるのと打ち明けかけるが、そんなミスボーグに抱きついたザボーガーは、速射砲を連射し、大門が観ている目の前でミスボーグを殺し、自らも一緒に倒れて大爆発を起こしてしまう。

その時、爆発の中から、卵のようなものが外に放出される。

自分の心が揺らいで、全てを失ってしまった。

しかし、それが終わりではなく、ここからが本当の始まりだったとは、その時は思いもしなかった…

つづく

第2部「耐えろ大門! 人生の海に! 」

25年後…

横断歩道を渡ろうとしていた老婆が、急停車した車に驚く。

ブレーキをかけたのは、今や、若杉の御付き運転手になっていた大門(板尾創路)だった。

すでに首相になっていた若杉は、秘密警察を解雇された大門が、またもや命令を無視して、急ブレーキをかけたので叱りつけるが、ジーンズにヘルメットをかぶった昔のままの出で立ちの大門が、おばあさんが横切っていたので、止めるのが正義かなと…と言い訳してしまったので、もう我慢の限界だと言いながらその場で解雇を言い渡す。

車を降りた大門は、道路に土下座をして謝罪するが、今頃ジーンズを履いているなんてとバカにされただけだった。

仕事を失った大門は、一人居酒屋で飲んでいた。

ニュースでは、原発のことなど流れている。

そんな大門に声をかけてきたのは、昔懐かしい新田警部や松江刑事だった。

一人の刑事は車椅子に乗っており、全員様変わりしていた。

彼らは、久々に再会した大門が、まるで別人のように様変わりしたことに驚きながらも、彼ら自身も、あの議員誘拐事件の後、全員刑事を首になり、新田警部は妻や娘とも別れ、今では「ニコニコ同盟」と言うグループを作っているので一緒に参加しないかと言う。

何事もプラス思考に考え、毎日ニコニコしながら生きるんだと言う。

その時、上空から轟音が聞こえて来たので、外に出たニコニコ同盟の3人と大門は、あのシグマ城が、今でも人間を吸い上げ、誘拐し続けている所を目撃する。

新田達は、ニコニコしながら、それを見上げるしかなかった。

大門は、今の俺には関係ないことだとつぶやくと、一人その場を立ち去って行く。

シグマ城の中野悪ノ宮博士は、今やぜんそくに苦しんでいた。

その悪ノ宮の側に控えていたのは、ミスボーグの後任者、秋月玄(宮下雄也)だった。

悪ノ宮博士は、鎖にしばられたセーラー服姿のAKIKO(佐津川愛美)を観ながら、いよいよ世界壊滅計画が始まるのだとつぶやくが、その時、AKIKO が暴れ出し、鎖を引きちぎるとシグマ城入口から外へ飛び出してしまう。

しかし、悪ノ宮博士は、逃げる所の察しは付いていると秋月に教える。

大門は、職安で仕事はないと職員から説明され当惑していた。

そもそも、室内でもヘルメットをかぶっているのは問題ですなどと指摘され、憤慨した大門はつい机の上に乗ってしまう。

そこに出現したのが、ブラックホークにまたがった秋月だった。

秋月は大門に、お前をおとりとして捕らえに来たと言うので、大門は飛竜三段蹴りを繰り出してみるが、相手まで届かないまま、机から落ちて床にしたたか腰を打ち付けてしまう。

もはや、昔のように飛べなかったのだ。

秋月は、そんな大門に、サンダーパンチを打込んで来る。

それはまばゆい光に包まれ、とても大門には受け止めきれなかったが、その時、待ったをかけた大門は、自分はシュークリームの食べ過ぎで糖尿病になっている。インシュリンを打たせてくれと頼み、その場でインシュリン注射を自分の腹に打つ。

その時、AKIKOが出現、大門を抱くと、足のジェットで飛び出して行く。

AKIKOが大門を連れてきたのは、ミスボーグと愛を確かめ合ったあの洞窟の中だった。

大門が見覚えがある場所だと言うと、AKIKOは眼から、あの時、ミスボーグの眼から観た愛の映像を投射し始める。

AKIKOが言うには、母の記憶がそのまま自分の脳にインプットされているのだと言う。

AKIKOから、いきなりお父さん!と呼ばれた大門は唖然とする。

AKIKOは、シグマ城で育てられて来たが、彼女は自分の合成樹脂製の肌が嫌だったと言いながら、大門に抱きついて来る。

大門は、先ほど痛めた腰の筋が又痛んだが、あのミスボーグにそんな機能があったとは…とつぶやく。

AKIKOは、急に顔が不気味なロボットに変身すると大門に頭突きを食らわし、すぐに元の少女顔に戻ると、自分は間もなく破壊兵器になり、破壊衝動だけが残って、自分の意志は全て失われるのだと告白する。

そこへ、秋月がやってくる。

秋月が連れてきたのは、あのザボーガーだった。

爆発したザボーガーのパーツを集めて、秋月の指令に従うよう改造したものだと言う。

昔、お前はこいつを裏切ったそうじゃないかと、嘲笑した秋月は、ザボーガーに大門を襲わせる。

ザボーガーはめっちゃ怒ってるらしく、大門の首を締め付けて来る。

その時、飛竜かつら落としと叫びながら、AKIKOがザボーガーの頭部に蹴りを入れ、頭部が落ちてしまう。

秋月は、ブラックホークの機銃掃射をして来るが、それもAKIKOが身をもって大門をかばう。

AKIKOは、あの秋月とは、自分と双子で生まれた兄であり、大門の息子だと言う。

ザボーガーとミスボーグが爆発した時、飛び出した卵のようなものの中には、二人の赤ん坊が入っていたのだった。

それを聞いた秋月は初耳だったらしく、俺は人間だ!と反論するが、兄さんは、父さんの細胞だけで出来ているのとAKIKOは教える。

秋月はヤケになり、信じるもんか!と叫びながら去って行く。

国会の首相室にやって来た悪ノ宮博士は、南部に巣くっている外国基地を襲撃すると若杉首相に伝える。

若杉は、今後起きるあらゆるテロは、お前達のせいにすると頷く。

両者はなれ合っていたのだった。

それを一緒に聞いていた秋月は、あまりに汚い行為なので、逆上し、若杉首相を襲おうとするが、突如、頭に付けたわから熱い電流が流れ出し苦しみ出す。

悪ノ宮博士は、お前にはそう言う装置が付けてあるのだと説明する。

その頃、大門とAKIKOは、首が取れたザボーガーを、新田達が住んでいる安アパートの一室を借り修理していた。

大門は、修理なんか止めろと嫌がるが、AKIKOは、自分も母親もお父さんを恨んでなんかいない。もう一度、立ち直って欲しいし、ザボーガーには私を壊して欲しい。もう正気でいられる時間が残り少なくなってきたからと言う。

そんなAKIKOは、又しても、頭部がロボット顔に変化し、大門の首を絞め始める。

その二人の会話を隣の部屋でニコニコしながら聞いていた新田達は、好奇心に釣られ、ふすまを開けると、変身したAKIKOが大門の首を絞めていたので驚く。

しかし、すぐにAKIKOは元の少女顔に戻り正気付く。

私は、町を破戒する殺人兵器なんかになりたくないと訴えるAKIKOだったが、大門は、俺にはお前を壊せない。お前に情が移ったからだと苦悩する。

AKIKOは部屋を飛び出すが、シグマ城の巨大メカと合体してしまう。

悪ノ宮博士は、覚醒するときがやって来た。お前の妹は殺人兵器だ。わしはAKIKOの中に入ると秋月に言い残すと、車椅子後と飛び上がり、巨大化したAKIKOのへその穴から体内に入り込む。

国会近くに出現した巨大AKIKOの中から、悪ノ宮博士が呼びかける。

若杉、良く聞け!わしはどんな国友癒着はしない。平等に破壊してやる…

巨大AKIKOは国会議事堂の上に腰掛け、議事堂を破壊する。

騒ぎを知った新田達3人は、こういうときの為にかねてより用意していたらしきそろいのユニフォームを着ていた。

そして互いにニコニコしながら、頬を殴り合いファイトを注入すると、外に出て巨大AKIKOに立ち向かう。

巨大AKIKOは、母親譲りのおっぱいミサイルを発射し、松江刑事は吹き飛ばされてしまう。

巨大松江刑事は、携帯を取り出すと、女子高生らしく長話を始める。

すると、周囲にいた人間達の頭が次々と破裂して行く。

アパートの部屋では、大門がザボーガーの首を修理していた。

外では、新田が別れた娘に携帯をかけ、逃げるよう勧めていたが、最後までおせっかいと拒否されてしまう。

車椅子に座っていた元刑事は、事故で足が動かなくなって以来、自分は何も出来ない人間だと思っていたが、今こそ、最後の力を見せますと言いながら、ライターの火を自分の尻に近づける。

次の瞬間、尻から炎が噴射し、車椅子を支える新田と共に、車椅子は飛び出し、巨大AKIKOの携帯に特攻して破壊する。

その時、アパートでは、ザボーガーがよみがえっていた。

大門は、ヘルメットのマイクに向かい叫ぶ。

行くぞ、新生ザボーガー!チェンジ、ストロングザボーガー、ゴー!

バイク型ザボーガーに乗り、巨大AKIKOに接近する大門に、ブラックホークに乗った秋月が近づいてきて、お前を先には行かせないと勝負を挑んで来る。

二人の接近に気づいた悪ノ宮博士は面白がり、巨大AKIKOはおっぱいミサイルを発射して来る。

それを避けながら、大門と秋月は、巨大AKIKOの足をバイクで上って行く。

巨大AKIKOのへその周囲で、大門と秋月は旋回し合っていたが、一瞬正気を取り戻したAKIKOが、大門とザボーガーバイクをブラジャーの上の縁に持ち上げる。

秋月も昇ってきて、父と息子、変型したザボーガーとブラックホークはそれぞれ、AKIKOのブラジャーの上の縁で戦い始める。

しかし、足を滑らせた大門は、かろうじて片手で、ブラの縁を掴む。

秋月は、その大門の片手を踏みつけて来る。

大門は、巨大AKIKOに、AKIKOは自分に勝てると自制を呼びかける。

しかし、巨大AKIKOの鼻から炎が噴射し、ザボーガーは墜落して行く。

大門は、例の奴使え!とザボーガーに命ずる。

地上へ落下していたザボーガーは途中で浮かび上がる。

ジェットエンジンを搭載していたのを大門が思い出したのだった。

ジェット噴射で空を飛べるようになったザボーガーは同じく空を飛べるブラックホークと戦い始める。

ザボーガー!痛みに耐えろ!と大門が命ずる。

その時、ダイモニウムキャノンよと言い出した巨大AKIKOは、鉄塔に近づき、そこに手をかざして高圧電流を体内に取り入れると、秋月も足を滑らせブラの縁につかまる。

ザボーガーは、ブラックホークを破壊する。

AKIKOは、内部への入口は首の裏よ、早く悪ノ宮を倒して!と大門に教える。ザボーガーに助けられた大門は、秋月に手を差し伸べ助けようとするが、これ以上、俺に負けを認めさせないでくれと言うので、お前の意思を尊重しよう。これが遅々としてできる唯一のことだと言い残し、ザボーガーと共に上に昇って行く。

巨大AKIKOの内部に入った大門とザボーガーだったが、ザボーガーの方は、無数の小さなブルガンダーに襲われる。

それに気づかず、先を進んでいた大門は悪ノ宮博士と対峙する。

悪ノ宮博士は、ザボーガーを襲っているミニブルガンガーは、ロボットの中枢部を食い尽くしているはずだと教え、この25年間、お前に何が出来た?自分の無力さを知っただけだろうと大門を嘲る。

大門は、ブルース・リーのような怪鳥音を出すと、敢然と悪ノ宮博士に向かって行くが、悪ノ宮博士の左手からは電流が走り、車椅子に座った左足を貧乏揺すりすると、膝からナイフが飛び出し、大門を苦しめる。

大門は、確かに俺は、自分の無力さを知ったが、愛も厳しい現実も学んだ。お前は愛を得られないことを破壊することでごまかしているだけではないのか?と悪ノ宮に突っ込む。

その言葉が図星だったのか、悪ノ宮の表情が変わる。

大門は、ザボーガーに戦うよう命じる。

体全体にミニブルガンダーがたかっていたザボーガーは、腰から炎を噴射し、ミニブルガンダーを全て焼き尽くしてしまう。

その頃、車イスに座っていた悪ノ宮が立ち上がっていた。

そんな悪ノ宮に抱きついたのは、秋月だった。

俺も考えてみた。自分に何が出来るのか。さあオヤジ、決めるんだ!ぽんこつロボットと2人で1人なんだろう?と叫ぶ。

大門とザボーガーは、二人一緒に飛竜三段蹴りを悪ノ宮にぶつける。

弾き飛ばされた悪ノ宮博士は、巨大AKIKOのへそから外へ放り出されてしまい、腰の所で大爆発を起こす。

巨大AKIKOは、お父さん、倒したのね、嬉しいわと喜ぶ。

大門は、そんな巨大AKIKOに、俺はお前の父親として、愛するが故に破壊すると告げると、秋月と共にザボーガーに捕まり、速射砲を連射しながら、ゆっくり巨大AKIKOの首から下に向かって降り始める。

その時、AKIKOは、不思議な空間で、母であるミスボーグと出会っていた。

ミスボーグは、ここはジャンボロボの頭脳ファイルの中、あなたは間もなく、完全な人間として現実に戻るの。現実に傷つきながらも懸命に生きるのよと告げる。

お母さん!とAKIKOは叫んでいた。

そのAKIKOは、いつしか地面に倒れていた。

それを秋月と共に発見した大門は抱え起こす。

すると、AKIKOの頭に付いていたアンテナや鉄甲部分がぽろりと外れる。

今こそ、AKIKOは人間としてよみがえったのだった。

ザボーガーにまたがる大門と、これから別の道に旅立とうとする秋月とAKIKOが最後の別れをしていた。

あんたと同じ道は行かない。でも、心の向きは一緒かも…と秋月がキザなセリフを吐く。

大門は、そうか…、達者でなと言葉をかけ、俺は、神様がタイムオーバーを告げるまで平和を守るさ、ザボーガーと一緒にな…と言い残してバイクザボーガーを発進させる。

俺にタイムリミットはない…、そう大門は考えていた。

俺は90歳になろうと…

いつしか老いた大門(きくち英一)は、老人用三輪車に改造したザボーガーにまたがっていた。

パラリンザボーガー、ゴー!

パラリンザボーガーはジェット噴射で浮上して行く。