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青い街の狼

二谷英明主演の通俗アクションミステリだが、一応原作は山村正夫なので、それなりにひねりは利いている。

旅客機爆破と言うショッキングなシーンはなかなか魅力的な導入部で、沖縄からヘリ、モーターボート、車を乗り継ぎ、横浜のバー「リド」まで主役を移動させる展開も巧い。

ただ、横浜、キャバレー、バー、歌手、ヘロインと言った道具立て、警察が独自の潜入捜査官を使っているなどと言う辺りは、今の感覚からすると、かなり通俗と言うか、マンガっぽい設定ような気もするが、当時としては新鮮だったのかもしれない。

二本柳寛の秀はなかなかの存在感で、魅力的な悪役になっている。

ヒロイン役の芦川いづみは、歌を歌う(声は吹き替えか?)シーンがある以外は、大体いつものきりっとして清楚なイメージである。

この作品で注目すべきは、その芦川いづみを守るナイト的役割を演じているチコ・ローランドだろう。

松竹作品「昆虫大戦争」(1968)などでも有名な黒人俳優だが、この作品でも重要な役柄を演じている。

同様に、一時期の邦画に良く出ていたベン役のマイク・ダニンも、不気味な殺し屋の役で登場している。

意外だったのは、その後、テレビなどの悪役でお馴染みとなる上野山功一が、この頃は痩せていて、なかなかのイケメンであること。

藤村有弘や高品格などは、いつも通りの悪役を演じている印象である。

当時のプログラムピクチャーとしては平均的な出来と言った所だろうか?

▼▼▼▼▼ストーリーをラストまで詳細に書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

1962年、日活、山村正夫原作、小川英脚本、古川卓巳監督作品。

羽田空港の外

車の後部座席で抱き合う男女

運転席の三沢(高階格)が、女サリー(楠侑子)の肩を叩き時間を知らせると、男はカメラとバッグを持ち、車から降りて空港の中に入って行く。

カウンターで係員に見せた航空券に記された名前は「ニホン タロー」と言う、いかにも怪しげな名前だった。

羽田を飛び立った飛行機の中で、男はカメラを取り出すと、窓から見えてきた富士山を撮ろうとしてシャッターを切る。

次の瞬間、飛行機は大爆発を起こす。

タイトル

相模湾上空で爆発墜落した飛行機の乗客34名は全員死亡

その中に、アメリカの麻薬シンジケートに関係があるチャーリー根本と言う不正入国者が混じっていた。

「旅客機爆破事件捜査本部」から出てきた高梨警部(宮崎準)に、外で待ち構えていた新聞記者たちがあれこれ質問攻めにするが、警部は上司(垂水悟郎)の部屋に入り、根本は末端価格で2億のヘロインを日本に持ち込んだ可能性があると聞かされる。

されに、上司は、今回の事件は彼に頼んだ。彼は沖縄に飛んだ。彼を使い、逃がし屋のルートを探るしかないと告げる。

沖縄近海で小舟に乗り込んでいた東海林(二谷英明)は、近づいて来るヘリに乗り換えると、さらに別の地点でモーターボートに乗り移らされる。

逃がし屋のボスは誰だ?そいつがチャーリーを密入国させた張本人だと、東海林は考えていた。

ようやく上陸すると、三沢と共に車の外で待ち構えていた男松井(上野山功一)から、拳銃を預かると言われる。

東海林は持っていた拳銃を松井に預けると、松井の車で横浜のバー「リド」に連れてこられる。

地下室に案内された東海林は、パスポートを用意するには1週間かかり、値段は200万、ここの泊まり賃も一泊10万だと松井から言われたので、自分は今一文無しだと言いながら、相手の隙をついて銃を奪い取った東海林は、自分の銃も取り返し、店の支配人の所へ案内させる。

その途中、ステージで歌っていた女性歌手を観た東海林は驚いたように立ち止まる。

緑川弓子(芦川いづみ)と言うその歌手は、右手を失い左手一本でトランペットを吹く黒人ミュージシャン、ダニー(チコ・ローランド)の演奏と一緒のステージだった。

曲の途中で前のテーブルにいた外国人の酔客が、由美子に一緒に踊ろうと絡んできたので、それを観たダニーはその客に飛びかかって行く。

その喧嘩を観ながら支配人室にやって来た東海林は、連れて来た松井が、支配人の矢代大作(藤村有弘)から殴りつけられるのを観る。

松井は殴られた弾みに、八代の机の上の社内通話機のスイッチを誤って入れてしまう。

その通話機は、店のカウンターのバーテンの後ろの棚に繋がっていたが、支配人室から声が漏れてきたのに気づいたバーテンがスイッチを切ろうとすると、その前で飲んでいた客の秀南白(二本柳寛)が、それを止める。

八代は東海林に、その腕を見込んで仕事をやってもらおうか、料金の代わりになと持ちかける。

東海林は、自分は3年前二本で人を殺し、逃げた向うでも又殺したと自慢げに話すが、八代はそんな自慢話には興味がなさそうだった。

松井と三沢と共に店のカウンターにやって来た東海林の元に、酒が一本丸ごと置かれたので、八代のおごりか?と喜んだ東海林だったが、バーテンはあちらのお客様からだと秀を指す。

秀は、目の前の棚に置かれた社内通話機を指しながら、面白いものを聞かせてもらったと言い、連れのサリーと共に帰って行く。

三沢が言うには、シンガポールの華僑で、うちの常連客の一人だと言う。

その三沢が、おごってもらった酒を注いでやろうとすると、東海林は興味なさそうに先に帰ってしまう。

慌てて三沢が追いかけるが、入口の所ですでに東海林の姿を見失ってしまう。

ホテルに着いた秀は、自分は用があるからとサリーを先に帰そうとする。

するとサリーは、あの歌い手に会いに行くのでは?と嫉妬心を見せたので、秀は笑って否定する。

ホテルのベンチには東海林が座っていたので、八代の命令か?何故つけた?と秀が聞くと、東海林は八代は関係ないと言ったので、今夜からこのホテルの泊まれ、部屋は用意させる。仕事は私の秘書だと伝える。

東海林は、10億のヘロインを持っているのは、この秀ではないかと眼をつけ、秀の方に付くことにする。

外に出た東海林は、店の仕事を終え帰る弓子とダニーに出会う。

ダニーが弓子に近づいた東海林を警戒したので、東海林はダニーに、その腕はどこで怪我したと聞くと、戦争だと言うので、それなら恥ではないと答え別れる。

ダニーは弓子に、昔の友達か?と東海林のことを聞く。

死んだ父の助手のようなことをしていた人で、人の良さを利用されて暴力団の顧問弁護士だった父親が捕まった途端、逃げ出してしまったと、弓子は説明する。

父は1年で刑務所を出たと聞いたダニーが、病気で死んだ?と聞くが、父の死んだときのことは聞かないでと弓子は口をつぐみ、そのままダニーと別れてアパートの自室に戻るが、そこに残しておいた東海林と一緒に写った写真を弓子は見つめるのだった。

そんな弓子の部屋の窓明かりを密かに確認した東海林は、そっと帰って行く。

翌朝ホテルににいたサリーは、自分はまだ仕事があるので、君一人だけシンガポールへ帰れと秀に言われ驚く。

金はハンドバッグに入れてあると言うので開けてみると、1万ドル入っており、連中が送って行くと秀は告げ、サリーを抱こうとする。

その会話をドアの所で盗み聞きしていた東海林は、今来たかのようにノックをすると、車の用意ができたと二人に教える。

東海林は、車に積んだサリーの旅行鞄に、密かに通信機を忍ばせておく。

その後、「リド」に秀を送ってきて外で待機していた東海林に、自分と結婚の約束をした秀と言う人がいるはずだけどと聞いてきた女(千代侑子)がいた。

カウンターで飲んでいた秀にその女のことを告げると、秀は外に出てくるが、女はこの男は秀ではないと言う。

秀は笑って、あなたが誰かに騙されただけだと言うが、納得できない様子の女は、警察に届けると言って立ち去ろうとしたので、松井は思わず女を掴もうとするが、秀が制する。

その後、秀は東海林に女を付けさせる。

同時に、松井も車で尾行してきてあいつに車をぶつけると東海林に打ち明ける。

東海林は女に接近すると、名前を聞こうとするが、女は言わないので、仕方なく道路脇へ寄せようとするが、そこに松井が運転する車が突っ込んでくる。

間一髪、東海林の腕を振りほどき逃げ出した女は、表道路に出た所でタクシーに乗り、どこかへ立ち去ってしまったので、東海林は悔しがる。

もう一人の秀とは?東海林は新たな謎が増えたと感じていた。

「リド」に戻ってくると、秀と八代と子分たちが、サリーのお別れ会をやっていた。

東海林は公衆電話から上司に電話を入れると、横浜の「リド」と言う店に連れて来られたこと、秀南白と言う怪しい男と出会ったこと、サリーのバッグに通信機を仕込んだので追尾して欲しい。おそらく、伊豆の須崎海岸辺りに向かうはずだと報告するが、その時、外を通りかかった弓子を見かけたので、急いで電話を切り、弓子と一緒に歩き始める。

東海林は、今の自分はハワイ生まれの東海林であって、あなたが言う風間ではないと話しかけ、お父さん、亡くなられたそうですねと尋ねる。

弓子は、父が何で死んだか教えましょうか?この間の爆発した飛行機に乗っていたのです。資金を借りに大阪に行く途中でしたと言い捨てて足早に去って行く。

その夜、サリーを送る車の発信器からの電波を傍受したパトカー51号車が本部に該当車は藤沢方面に向かっていると連絡を入れ、尾行するよう命じられる。

サリーの車は、丹羽(杉江弘)が運転しており、隣には秀が乗り込んでいた。

51号車は、途中、電波が弱まって行くことに気づき、該当車は旧道に入ったことを知る。

サリーも、来た時と道が違うことに気づき怯えはじめる。

51号車も旧道に入り、電波が近づいてきたことに気づくが、前方を見ると、崖下に落ちて炎上していた車を発見する。

やがて、発信器からの電波も途切れる。

秀と丹羽は、三沢の運転する別の車で帰路についていた。

秀が、弓子って娘、俺のことをどう思っているかな?と聞くと、丹羽は苦笑しながら、あの子にはダニーが付いていますよと答える。

その時、背後にパトカーのサイレン音が聞こえたので、秀たちは怪しむ。

翌日、「リド」に来た東海林に、カウンターに座っていた丹羽が、俺たちを売る気か?と聞いてくる。

東海林が何の話か?と不思議がると、八代が、サリーは死んだ。追っかけてきたパトカーには気の毒だったがなと、意味ありげに言い出す。

その時、店に、上司がいきなり入ってきてカウンターに座ったので、焦った東海林は、隣に座っていた丹羽に喧嘩をふっかけ暴れ始める。

丹羽に殴られた東海林は、上司の席に倒れ込むように接近し、その時、上司が、東海林の上着のポケットに何かを滑り込ませる。

八代が東海林と丹羽をなだめ、その場は収まるが、トイレに入った東海林は、今受け取った紙に、電停で待つ。無理をするなと書かれてあったのを読むが、そこに三沢が入ってきたので、慌ててポケットに戻すと、髪を整えて出て行く。

電停で出会った上司は、やって来た路面電車に乗るように眼で合図をする。

電車の中で接近した上司は、君は大分疑われているようだから、捜査を中止すると言い出す。

しかし、秀南白は、香港の代わりに日本を麻薬の暗黒市場にしようと企んでいる。続けさせて下さい。途中で投げ出すことはできないと必死に頼む。

その後、横浜では、次々に麻薬の大物売人たちが検挙され始める。

その様子を車の中から観ていた秀は笑いながら、これで、日本のヘロインの値も上がるだろうとつぶやく。警察に売人の居場所を密告したのは彼自身だったのだ。

その時、近くに見知らぬ外国人二人がいることに気づいた秀は、何故か慌てたように車を発進させる。

その後、八代とゴルフに興じる秀だったが、そこにも例の外国人二人組がやって来たので、急用を思い出したと言って早々に立ち去るのだった。

その姿を見送った八代と部下たちは笑っていた。

翌日、「リド」で秀は弓子に、内々のバースディパーティをやるので、そこで歌って欲しい。明日の朝10時に来て欲しいと頼んでいた。

弓子は、私の歌なんかと謙遜しながらも承知する。

その時、例の外国人二人がカウンターに座ったので、秀は東海林に、あの二人を突っついてくれと頼む。

東海林は、外国人の隣に座ると、わざと水をこぼし、外国人が気色ばんでスーツの脇に手を入れたので、自分も同じポーズをとり笑いかけると、八代にいくらで手を打った?と聞く。

外国人二人がそのまま立ち去ろうとした時、ステージ状で弓子が歌い始める。

その頃、支配人室では、八代が入口を固めろと命じていた。

三沢が、支配人室のドアの影に立ち銃を取り出すと、みんなハジキを捨てろと外から東海林が呼びかける。

仕方なく全員銃を捨てる。

三沢も隠れていることがバレていたので、銃を捨てる。

中に入ってきた東海林は、この際腹を割って話そう。俺が日本に帰って来たのはあんたと同じ目的だ。根本が残した10億円のヘロインだと打ち明ける。

八代は、あの外国人二人が来たのは三日前で、シカゴのシンジケートにいる奴らしい。今日のはちょっとなぶってやっただけ。

ヘロインは貸金庫に入っているらしいことまでは掴んでいるが鍵の在処が分からないと言う。

例の若い女は誰だと東海林が聞くと、あれは組織とは関係ない素人らしいと言う。

東海林は、俺は俺で好きにやらせてもらう。下手に秀に手を出したら、俺が全部サツに売るぜと脅して、その場を立ち去って行く。

その後、弓子に会った東海林は、秀は悪党だ。あいつの所に行くんじゃないと言い残して帰る。

そこに近づいてきたダニーは、弓子さん、あの男愛しているね?私も秀の所へは行かない方が良いと思うと説得する。

繁華街を歩いていた東海林は、以前、女の身元を聞いたぽん引き(井東柳晴)に呼び止められ、女の身元が分かった。あいつはザキのズベ公で藤井友子と言い、第一旅館に泊まっていると、金を渡して教えてもらう。

宿を訪ねた東海林だったが、友子は東海林の姿を観ると怯え、あの人の秘密なんて知らない。一晩付き合っただけと言いながら追い返そうとする。

どうしたんだ?と東海林が聞くと、週刊誌に麻薬王の秀と言う男が載っていたが、自分が知っているのはこの男で、この前の男ではなかったと言うのだ。

翌朝、港で現場に向かうトラックに乗り損ねた労務者の風太郎(中台祥浩)に「仕事ならあるぜ」と声をかけて来たのは、車で近づいてきた三沢だった。

飛行機で大阪まで行ってくれれば良いと言うので、風太郎は思いがけない幸福を喜び、一緒に車に乗り込む。

翌朝、秀のホテルの部屋に来た弓子は、お断りに来ましたと伝えるが、中に一緒にいた松井にいきなり部屋の中に引き込まれると、松井はさっさと帰ってしまう。

弓子は銃を取り出した秀から、おとなしく私の奥さんになってくれ。午後1時の飛行機で大阪に行こうと航空券を見せられる。

その時、東海林から秀に電話が入り、アメリカ人は八代と組んでおり、弓子も怪しいので追い出すんですと言う。

その時、ダニーが部屋に入ってきて、秀に飛びかかろうとするが、秀はサングラスを外して、俺が誰だか分からないのか?とダニーに迫る。

すると、ダニーは急に黙り込む。

秀は、アメリカにいた頃の仲間なんだと弓子にダニーのことを説明し、俺は借りのある男は殺さん。お前にはたくさん借りがある。俺の代わりに大阪に行ってくれと言いながら、自分用の航空券を手渡す。

ダニーは黙ってそれを受け取ると部屋を出て行ってしまう。

その直後、ホテルに東海林がやってくるが、ロビーのイスにはあのアメリカ人二人ベン(マイク・ダニン)とスティーヴ(ジェームス・ロビンス)が密かに座って監視していた。

秀の部屋にやって来た東海林は合鍵でドアを開けると、弓子を救い出し、自分の部屋に連れてくる。

弓子は、ダニーも連中の仲間だったようですと教え、あなたは、私たち親子を捨て、自分だけ逃げ出した人ではないのですか?と東海林に聞く。

東海林は、俺は悪党だよ。君たち親子を裏切って逃げた男さと自嘲し、秀の部屋にあると言う航空券を取ってくる。

弓子は、お父様は最後まであなたのことを信じていた。私も、お父さんの言うことを信じていたんだわとつぶやく。

そこに、弓子を探しに来た秀とベン、スティーヴの3人が入ってきてあっさり捕まってしまった東海林と弓子だったが、ホテルの前で車に乗せられそうになった時、東海林だけは抵抗して逃げ延びるのだった。

その時、ダニーと風太郎は、羽田空港のロビー内にいた。

一方、秀と弓子は「リド」の地下室に連れて来られ、ベンから徹底的に痛めつけられていた。

八代は、鍵の在処を教えろと迫る。

ベンは、どうせあんたはこの前の飛行機で殺されたんだと嘲笑し、丹羽は、今日は止めておいた方が良いのでは?と八代に進言する。

それを横で聞いていた弓子は驚き、飛行機事故はあなた方がやったのか?と聞くと、八代は笑いながら、あの男のご依頼でねと秀を指差す。

弓子は驚きと怒りで震える。

その頃、出発間際の飛行機に乗り込んで来た東海林は、ダニーの席のとなりに座ると、この飛行機には罠が仕掛けてある。何もかも話してくれと頼むが、ダニーは何かを恐れているように口を開こうとしなかった。

仕方がないので、東海林は自分の推理を話し始める。

秀はチャーリー根本だ。飛行機事故で殺されたのはチャーリーのそっくりさんで、根本自身は整形手術をして顔を変えたんだ。

それを聞いていたダニーは、秀が俺の左手をダメにしたと打ち明ける。

4年前、楽団にいたあんたはペイ中毒になった。それを利用され、麻薬の仲買人にされそうになったが、逃げ出そうとしたので左手を潰されたんだな?と東海林が補足する。

「リド」の地下室では、まだベンの根本への虐待は続いていたが、なかなか根本は口を割ろうとしない。

その時、ベンが殴った弾みで、弓子のハンドバッグが弾き飛ばされてしまい、中から、弓子と東海林が一緒に写った写真がこぼれ出る。

それを観た八代と丹羽は驚き、どういうことか説明を求め、彼の名前は風間竜と言うと弓子は教え、自分と東海林との昔の関係を教える。

なぜ、お前の父親はムショにいたんだ?と聞かれた弓子は、書類が漏れて…と答えたので、それを聞いていた八代や丹羽は、奴はサツの犬だ!と感づく。

それを聞いた弓子は、刑事?あの人が刑事?と驚愕してしまう。

秀こと根本は、諦めたようで、靴のかかとの中に潜ませていた鍵を八代に教える。

スティーヴも付いて行き、八代は貸金庫へ向かう。

その直後、弓子は逃げ出そうとするがすぐに連れ戻されてしまう。

弓子は天井からぶら下がっていた目覚まし時計を観て、飛行機の爆破時間が迫っていることに気づく。

飛行機の中では、トイレに行っていた風太郎が席に戻ってくると、子供が自分のカメラをいじって言えることに気づきあわてて取り戻していた。

地下室に残っていた根本は、目の前にいたベンに、あの鍵は役に立たない。ヤクは昨日全部取り出しておいた。役はお前と山分けにする。あいつを殺れと丹羽を指す。

それを聞いていた丹羽が、何を言ってる?と近づいてくるが、その丹羽を殴り倒したベンは、その場で射殺してしまう。

その隙に再び部屋を抜け出した弓子だったが、店の入口には見張りがおり、外に出られそうもないと悟ると、近くにあった電話から110番して、1時の大阪行き旅客機の爆破のことを通告しかけるが、そこにベンがやって来てしまう。

地下室には八代たちが戻って来ていた。

八代は根本に、逃がし賃として100万ドル分のヘロインを頂くと告げる。

大阪行き旅客機の操縦士は管制塔から連絡を受け、その内容をスチュワーデスに教える。

スチューワーデスは客席の東海林を名指しで呼び寄せると、今警察から連絡があり、この飛行機が爆発すると言う連絡がありましたと言う。

それ以外に何か言っていなかったか?と聞くと、通告の電話は途中で切れたそうですが、カメラと言っていたと聞いた東海林は、客席に向かい、カメラを写すのは止めて下さいと頼む。

しかし、俺は、富士山を撮らないと金にならないんだと言いながら、風太郎が今にもシャッターを切りそうだったので、東海林は駆けつけそのカメラを取り上げてしまう。

近くの空港に着陸した旅客機から降りた東海林とダニーは、迎えに来ていたパトカーに乗り込むが、助手席に座っていた警官(野呂圭介)が、ハジキをもらおうかと東海林に迫り、運転していたもう一人(柴田新三)が、こいつは二丁持っているらしいから気をつけろと注意されたので、仕方なく二丁持っていた拳銃を東海林は助手席の警官に渡す。

運転席に乗っていた二人の警官は八代の手下の変装だったのだ。

東海林は、又、例の海岸から連中は逃げるのか?とかまをかけると、そんなへまはしない。ハマのヘリポートから飛び立つのさと助手席の偽警官が話し、話して大丈夫かと案ずる運転者に、どうせこいつらはすぐ死ぬのだからと笑う。

人気のない廃棄場にやっていたパトカーから降りた偽警官は、パトカーを炎上させようとピストルを構えるが、ダニーがパトカーから飛び出し背後に隠れると、東海林は上着の袖口に隠し持っていた小型拳銃を取り出し、二人の偽警官に発砲する。

やがて、二人の偽警官とダニー、東海林の取っ組み合いが始まる。

東海林は運転していた偽警官を殴り倒して、助手席の偽警官と戦っていたダニーの応援に駆けつけるが、その時、起き上がった運転者がダニーを背後から撃つ。

東海林はダニーを抱え起こすが、ダニーは、頼む…弓子さん、あなたを愛している…と言い残し息絶えてしまう。

東海林は、近くに停めてあった偽警官が逃亡用に用意していた車を見つける。

ヘリポートでは、ヘロインが詰まったバッグを乗った八代が、ヘリコプターに最初に乗り、飛び立とうとしていた。

次の瞬間、根本は八代の手下たちを射殺し、弓子を連れ崖の隙間に身を隠す。

車で駆けつけた東海林は、浮かび上がったヘリのエンジン部を撃ち、ヘリはすぐに不時着してしまう。

八代はヘリから降りて逃げ出すが、根本は弓子を崖の下に隠すと、その後を追い始める。

根本は八代に追いつき、格闘の末、八代は崖から落ちてしまう。

そこに近づいてきた東海林を観た根本は、本当にお前は刑事だったのか?とつぶやいたまま、地面に倒れていた。

弓子に近づいてきた東海林は、もう隠しても無駄だろうと話しかける。

止めて!とその言葉を制した弓子は、あなたは自分のことを悪党だとおっしゃったわ。私はその方が良いのです。その方が、ずっとあなたを責めることができたから…。あの時はさよならと言えなかったけど、今度は言えますと告げる。

その言葉を背中に聞きながら、東海林は修理を終えたらしきヘリコプターに乗り込むと、その場から飛び立って行く。

弓子は「さようなら」とつぶやいていた。