TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

新宿アウトロー ぶっ飛ばせ

1970年、日活、永田秀一+蘇我道夫脚本、藤田敏八脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

刑務所らしき所から出て来る一人の青年、西神勇次(渡哲也)

タイトル

その勇次が、ムショの前でタクシーを止めようとすると、近くでジープに乗って待っていた青年、松方直(原田芳雄)が「おい!」と声をかけるが、勇次は気づかずそのままタクシーを出発させたので、ジープの青年はあわててそのタクシーの後を追いかける。

運転手が行く先を聞くと、東京と答え、とりあえず新宿にやってくれと勇次は答える。

新宿に到着したタクシーの運転手が、寝ていた勇次を起こすと、勇次は料金メーターの6030円と言う数字を確認し、横浜までやってくれと頼む。

又タクシーが走り出したので、ジープから降りようとしていた直は、又あわてて後を追跡する。

横浜に着いたタクシーの運転手が8500円の料金を請求すると、勇次は足りない、困ったなと悪びれた風もなく言い出す。

その時、俺が払うと声をかけ、1万円札を運転手に差し出したのが直だった。

港で、「夢は夜ひらく」を口ずさみながら海を見ていた勇次は、ずっと付いて来る直に名前を聞くと、あんたの友達の松方直で、あんたは「死神の勇次さん」だろう?と聞いて来たので、勇次は睨みつける。

その後、勇次は屋台や飲み屋で酒を飲み始めるが、付き合う直の方は、運転しなければ行けないので、酒に手をつけなかった。

直は、新宿の俺の所にこないか?酒も女もあると説得するが、勇次は興味がないように、その後もはしごを続ける。

とうとう直も酒を付き合うことになり、気がつくと、店の中で眠り込んでいた。

気がつくと勇次の姿が見えないので、慌てて店の外に飛び出し、周囲を探しまわる直だったが、その時、クラクションが聞こえたので、自分のジープの方に目をやると、そこにちゃんと勇次が乗っていたので、直は安心して微笑む。

直が勇次を連れて来たのは、線路の真下に位置する新宿の安アパートの一室だった。

直はどこかに出かけており、勇次は、部屋の中に置いてあった小さな鏡台の引き出しの中から、ちり紙に包んだカプセルを一つ見つけ、その中身をちょっと嘗めてみる。

その向かいにある「大久保荘」と言うアパートの窓からは、若者ら数名が、勇次のいる部屋を監視していた。

やがて、勇次は部屋の主らしい女、神子(原田千枝子)がやって来たのに気づく。

その頃、直は、「松方卯之輔」と表札がかかった豪邸から出て来ていた。

その後を妹らしき女が追って来るが、直は止める妹の言葉を無視してジープを発車させる。

その後を、バイクに乗った若者が付け始める。

暴走族のリーダー力哉(沖雅也)だった。

力哉は直のジープと並走すると、いつまでじらすつもりだ!と声をかけて来るが、直は俺を信用しないのか?と無視する。

力哉のバイクがジープの前に出て道をふさごうとしたので、直はかまわず、そのままジープをバイクにぶつけ、力哉は転倒する。

その頃、狭いアパートに飽きた勇次は、女に別れを告げ部屋を出るが、少し歩いただけで、暴走族のバイクに囲まれてしまう。

しかし、そこに、バイクと気絶した力哉をジープに乗せた直がやって来て、勇次に手伝わせて、バイクを降ろす。

暴走族連中は力哉の身体を受け取り、勇次はそのまま直のジープに乗って出かける。

勇次が連れて来られたのは「BAR 笑子」と言う店だった。

「しょうこ」と読み、いつも笑っている女が最近笑わなくなった。弟があるブツと一緒にいなくなったんだと直は説明しながら店の中に招き入れる。

勇次は、ブツってLSDのことだろうと言いながら、アパートから持って来たカプセルを見せると、直は驚く。

しかし、店の女将らしい笑子が姿を見せると、勇次は唖然とする。

笑子の方も、勇次の顔を見て固まってしまう。

直は、俺は縁結びの神みてえなものだと微笑むが、直は、悪ふざけだぜ!人の気持ちの中に土足でずかずかと入ってきやがって!と言いながら、直に殴りかかる。

しかし、直は、いくらでも殴って良いし、これは自分の独断で決めたことだ。俺にはどうしてもあんたが必要なんだと言う。

少し落ち着いた勇次がこの店のことを聞くと、ここは直自身の店で、笑子には店をまかなってもらっている。今日から、ここの二階に移ってくれ。あのアパートはヤバいんだと頼み、勇次もすぐに承知する。

勇次は直が去った後、笑子に、弟とは修平のことか?おそらく死んでいるなと話しかけ、今の俺には、直もお前も修平も赤の他人だとつぶやく。

4年と8ヶ月…、笑子、なぜ俺から逃げたんだ?と聞く勇次に、きっと、まだ子供だったのよ。あなたが怖くなったのと笑子は答える。

直に拾われたのか?お前…と笑子に聞く頃になると、勇二はかなり泥酔していた。

翌朝、二階のベッドで目覚めた勇次は、側のソファで寝ている笑子を発見する。

その頃、直は、銀行で30万降ろしていた。

その後、ビリヤード場で男が一人でいる所を確認した勇次は、「笑子」に戻って来て、手を貸してくれ、今すぐだと頼む。

勇次と一緒に店を出かけた直は、笑子にこれで、勇次の世話をしてくれと言いながら、金を手渡す。

ビリヤード場の前にやって来た直は、男を連れ出して来てくれ。俺は顔を知られているので不味いんだと頼む。

ビリヤードをしていた男の邪魔をし、勇次が外に連れて来ると、人気のない路地に連れ込み、直は殴り始める。

それを観ていた勇次は、観ていられないので俺に代われと良い、男の指を折るなど、徹底的に痛めつけながら、こいつは何者だと聞く。

取引の晩、こいつともう一人が来て、3000万の麻薬と修平を持ち去られたんだと直は説明する。

依頼人の名を聞き出すと、尾形組だと言い、尾形は今、人間ドックのセントラル病院の1号館305号室にいると吐く。

直は、怪我の治療代だと言い、20000円を投げ捨てると、勇次と共にその場を立ち去る。

果物籠を持ち、見舞客の振りをして、305号室に入った勇次と直は、ちょうど看護婦から尻に注射をされかけていた女性の部屋だと知り慌てる。

尾形の部屋を確認すると、看護婦は2号館の305号室だと言う。

その部屋に向かって中に入ると、尾形(深江章喜)が看護婦といちゃついている最中だった。

尾形を捕まえた勇次が、一体どこが悪いんだ?と聞くと、肝臓だと言うので、わざと肝臓を殴りつけ、さあ退院だと言いながら、直と二人で外に連れ出す。

二人は尾形を、解体中のビルの一室に連れて来て壁際のイスに縛り付ける。

壊れた壁の隙間から、今も、壁面を破壊し続けている鉄球が見せる場所だった。

尾形はびびり、自分たちに命令した相手を教える。

そこは「友愛ビル」と言う建物にある右翼組織らしかった。

そのビルの前にジープでやって来た勇次は、上階の窓から一瞬外を観ていた男の顔を見て驚くと、ビルの中を駆け上がり、その階を探しまわるが、目的の男には出会えなかった。

ジープに戻って来ると、直がどうした?と聞くので、刑事上がりのサソリ(成田三樹夫)だと思ったんだが、奴だとしたらことだと勇次はつぶやく。

その時、ビルの屋上に近づくヘリコプターに気づいたので、その場を離れることにした二人だったが、間もなく、暴走族連中に取り囲まれ、建設中の京王プラザホテルが見える空き地にジープを停めることにする。

暴走族連中は、金はどうした?ブツは渡したはずだぞと直に迫り、直は勇次に、これで事情は分かっただろう?とつぶやくと、いきなりジープを発進させ、バイクをケチらせながら逃亡する。

後日、笑子と直、勇次は新宿に買い物に出かける。

その時、直は、背後にいた小柄な男に気づき、店の中にいた勇次に知らせると、笑子には先に帰らせ、後を追いかける。

小男は公衆電話のボックス内に潜んでいたがすぐに発見し、この男は取引現場に来たもう一人の男だと説明し、勇次にここで殺せと直は命じる。

勇次は、からかい半分に電話のコードで小男の首を締め付けると、すぐに小男は言うことを聞き、今かけていた所へもう一度かけろと言われるとその通りにする。

しかし、相手は用心深く、何も言わずに切ってしまったので、そのまま小男に相手のいる場所へ案内させることにする。

小男が連れて来たのは、とあるヤクザの事務所だった。

勇次と直は中になだれ込むと、そこにいた数名のチンピラを叩きのめす。

その時、電話が鳴ったので、直が受話器を取ると、サソリだ。妙な奴がうろついているから気をつけろと言うので、馬鹿野郎!俺がお前の言う妙な奴らだ!と言い返し電話を切る。

サソリだ、気をつけろと直が言いかけた時、背後に潜んでいたチンピラの一人が発砲して来たので、勇次は、そのチンピラから銃を奪い取ってしまう。

その事務所を出た直は、いよいよ戦争だ!と顔を引き締める。

友愛ビルを見張るため、向かいのビルの喫茶店で張っていた勇次に、ウエイトレスがお電話ですと告げに来る。

不思議に思って電話に出ると、あんた、そこで何をしているんだ?遊んであげようか?と言う男の声が聞こえたので、勇次はすぐに切って元の席に戻る。

その電話をしていたのは力哉で、喫茶店の二階からかけていたのだった。

席に戻った勇次は、ガラスの壁に写った力哉を見つけ、入口付近で捕まえる。

その時、会長らしき人物を伴って友愛ビルから出て来たのはサソリだった。

サソリの方も、勇次に気づいたのか、一瞬立ち止まるが、先に車に乗り込んだ会長の湯浅(今井健二)から声をかけられ、運転席に乗り込むと、車を発車させる。

勇次は、だれなんだ今の?と聞いて来た力哉に、坊や、戦争が始まっているんだ。うろちょろしてると鉄砲玉が飛んで来るぞと脅す。

店に帰った勇次は、二階のイスの中に隠した銃器を直から見せられる。

その時、下の店から笑子が上がって来て、変な男が来ていると言う。

直と勇次が降りてみると、カウンターに居座っていたのはサソリだった。

サソリは、勇次の顔を見ると、大事な友達だ、昔のな…と直たちに説明し、手を引け、諦めろと勇次に忠告する。

直はいきり立つが、勇次は、サソリに酒を勧め、飲んだら帰れと伝える。

するとサソリはいきなり勇次を殴りつけ、俺のたっての頼みを聞かないんだな?だったらやめた!と怒鳴り帰って行く。

店の中には、日吉ミミの「男と女の話」が流れていた。

直、勇次、笑子の3人だけがじっと聞いていた。

玄関口に人の気配がしたので、笑子が扉を開けると、人が倒れ込んで来たように見えた。

それを見た笑子は、修平!と叫ぶが、良く観察すると、それは、血まみれの修平の服を着たマネキン人形だった。

笑子は、思わず泣き始める。

その後、笑子は勇次と抱き合い、直は一人町をさまよい歩く。新宿の高架線路下にある神子のアパートへ戻って来た直は、寝ていた神子にマリファナを出させ、それを一人で吸い始める。

神子は、もう吸わないって言ってたのに…、抱いて!と迫るが、直は、俺がダメなことは分かっているだろう?とつぶやき相手にしなかった。

それでも女は、良いの!と言いながら、直にむしゃぶりつくと、家に帰れば財閥の息子なのに、どうしてこんなこと続けているの?と不思議がる。

その直の実家の屋敷を出かけようとしていた妹のかほる(中島葵)が、外で待ち受けていた暴走族に拉致される。

そして、外を歩いていた直にバイクで近づいた力哉が、「妹を預かった。今日中に金を持って来い」と書かれた紙を手渡す。

すぐに、「BAR 笑子」に向かった直は、笑子に、店の権利書を出せと命じ、このことは死神には内緒だぞと口止めする。

直は一人で、指定された廃工場に向かう。

かほるを連れた暴走族が、やって来た直の足下に火炎瓶を転がして来たので、それを拾った直は投げ返し炎上させる。

かおるの無事を確かめた直は、こいつとは血のつながりはないんだと暴走族たちに教え、今は現金はない。現金を作るまでの証文として店の権利書を持って来たと告げる。

力哉は、かおるの両手を繋いでいた紐をライターで焼き切ると、権利書と交換に返す。

直は、かおるのミニスカートをめくり、「やられたのか?」と聞くと、ビンタして、その場を去らせる。

その後、直は暴走族と殴り合いを始めるが、そこに勇次もやって来て暴走族を痛めつける。

直は、金儲けしたかったら、俺たちを手伝えと力哉たちに勧める。

いくらになるんだ?と聞く力哉に、3000万かな?3億かな?と意味ありげに答えた直は、やるなら命賭けられるか?と聞くが、紙飛行機にして権利書を直の側に飛ばして来た力哉は、俺たちは自分たちのやり方でやると言うことを聞かなかった。

友愛ビルの友愛互助会会長室では、湯浅会長がサソリに、勇次と直のことを聞いていた。

サソリが、女のバーに閉じこもっている。何を考えているのか分からないと報告すると、相手の出方次第では、分かっているな?と会長は伝える。

サソリは、壁に貼ってあったヌード写真を撃ちながら、分かっていますよと言いながら部屋を出る。

そのサソリがエレベーターに向かうと、廊下ですれ違った女が、窓から下に帽子を落とす。

サソリがエレベーターに乗り込むと、途中の階から暴走族が2、3人ずつ乗り込んで来て、ナイフを突きつけて来たので、サソリは仕方なさそうに、分かったよ。どこへでも付いて行ってやると返事をする。

廃工場のイスに縛られたサソリに、力哉は、お前を人質に取ったから身代金を持ってこさせるために、湯浅会長の電話番号を教えろと命じる。

しかし、サソリは、会長が単なる用心棒にしか過ぎない俺なんかに身代金など支払うはずがないと苦笑するが、力哉がしつこく電話番号を聞くので、仕方なく教える。

近くの公衆電話にかけに行った力哉だったが、すぐに、断られたと報告に帰って来る。

その間、縛られていた紐から巧みに手を引き抜いていたサソリは、あっという間に力哉を捕まえると、銃を奪い返し、死神を呼んで来いと命じる。

力哉は断るが、サソリが力哉を痛めつけ始めると、観ていられなくなった暴走族仲間の華子(高樹蓉子)が走り去ってしまう。

「BAR 笑子」にやって来た華子は、サソリが呼んでいると伝える。

それを知った直は、二階で笑子と一緒にいた勇次に声をかける。

工場に二人で向かうと、捕まえた力哉を盾にするようにサソリが撃って来ながら、死神!お前とは、こんな風になりたくなかったと言う。

やがて、銃の弾が切れると、サソリはその場を逃げ出す。

その場に取り残された力哉に近づいた勇次は、勝手な行動は取るなと言ったろう!と言いながら殴りつける。

その後、店の二階に戻った二人だったが、笑子の姿が見えない。

一階のバーに向かうと、カウンターに肩肘を付いて後ろ姿を見せていたので近づくと、笑子は胸を撃たれて死んでいた。

唖然とする二人の横にあった電話が鳴り始め、最初は受話器を持ち上げてすぐに切るが、又しつこくなり始めたので勇次が取って誰だと聞くと、相手はサソリだった。

言ったはずだぞ。お互い、容赦しないと…と告げて、電話を切る。

勇次は、サソリと言う男は、誰も信用しない男だと直に教える。

それを聞いた直は、一緒に仕事したことがあるんだな?と聞き、命からがら逃げ出したことがあると勇次も打ち明ける。

笑子の死体を二階のベッドに横たえた後、その長い髪を解いてやる直の様子を観ていた勇次は、お前、惚れてたな!と聞く。

しかし、直は、とんでもない。あんたの女じゃないか!と否定する。

勇次は、笑子の胸の銃痕の血を拭こうとするが消えないので、そこに赤いカーネーションの花を一つ置いて隠す。

その後、イスの下に隠していた銃器を取り出し、弾を込める二人。

勇次と直が乗ったジープと、力哉が率いる暴走族が、友愛ビルに近づいて行く。

お前たちは陽動作戦だ。ビルの下で騒いで、連中の気を引いたて、10分経ったら遠くへ消えるんだと勇次が力哉に言い聞かす。

前回の失敗に懲りた力哉は、言われた通り、友愛ビルの下に到着すると、バイクの騒音を立てながら道を回転し始める。

サソリがビルの下の騒音に気づき、窓から下を覗く。

湯浅会長は、すぐにカモメを呼べ!店の上がりをカモメに積み込むんだとサソリに命じる。

子分たちの一部は1階にエレベーターで降りる。

ビルの裏側から非常口の窓ガラスを破り、ビルの中に入った勇次と直は、降りて来て暴走族の方を監視する子分たちの隙を観ながら、階段を駆け上る。

踊り場でちょっと直がふらつく。

二手に別れ、まず勇次が、部屋に銃を撃ちながら飛び込む。

手下たちも撃ち返して来るが、直が別方向から援護する。

湯浅会長とサソリの姿がないことに気づいた二人は、子分の一人を痛めつけて吐かそうとするが、その時、棚の裏側にある秘密の通路を見つける。

螺旋階段があり、どちらに逃げたか分からず勇次と直は迷っていたが、その時、上の方からヘリコプターの音が聞こえて来たので、二人は屋上だと気づく。

屋上に上がると、ヘリコプターの「カモメ号」が着陸しており、それに、湯浅会長とサソリが、店の売上の詰まった袋を積み込もうとしていた。

勇次は、消化器を見つけると、それを噴射、煙にまぎれて前進する。

二人に気づいて、ドラム缶の背後に隠れて待っていたサソリが発砲してくる。

勇次も応戦しながら前進する。

直は、ヘリに乗り込もうとしていた湯浅会長の尻を撃つ。

倒れた会長に駆け寄った勇次が、湯浅会長の身体を盾にしてサソリに立ち向かうが、サソリはためらうことなく、湯浅会長を射殺してしまう。

勇次と直は、ヘリコプターに飛び乗ると、操縦士(地井武男)に飛び立つように命じるが、その操縦士がサソリから撃たれて倒れる。

勇次は直に操縦しろと命じ、直は無理だと断るが、早くやれとせかされると、仕方なく操縦席に移り、操縦士の死体を外に放り出すと、何とか見よう見まねで操縦し始める。

友愛ビルの屋上を観ると、すでに撃たれて瀕死の状態だったサソリが倒れる瞬間が見えた。

ふらふらと東京上空を飛ぶヘリコプターを、力哉たち暴走族が追って来る。

そんな暴走族の上に、勇次は、金の入った袋を落としてやる。

土手に落ちて口が開いた包みから、大量の札束が覗いた。

その様子を操縦席から見下ろした直は、これで奴らへの借りがなくなったとうれしそうにつぶやくが、俺は降り方を知らないと言う。

それでも勇次は慌てず、海にでも降りたらどうかと勧めるが、直は、自分は泳げないのだと言う。

そんな二人が言い合う中、ヘリコプターは、団地上空をふらふらと飛び去って行く。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

渡哲也主演の一作ながら、次世代を担うことになる原田芳雄とのダブル主演作のような形になっている。

一種の不良映画、アウトロー映画のような印象があるが、その根底は青春ものだと思う。

沖雅也や梶芽衣子など、当時の若手たちも登場しているが、この作品の一番の見所は、やはり、不気味な敵サソリを演じている成田三樹夫の悪の魅力に尽きるだろう。

湯浅会長役の今井健二の強面ぶりと合わせ技で、敵としては申し分ない。

この頃の渡哲也は、かなり童顔で可愛らしく、ムショ帰りの不良を演じるにはあまり似合ってないイメージがある。

原田芳雄の方が野性味はあるものの、この頃はまだ若々し過ぎて若干迫力不足のようにも思えるだけに、二人でダブルヒーローと言う形にした方が良いと言う判断だったのかもしれない。

まだ幼さが残る沖雅也らの暴走族も協力させ、日活が、単独ヒーローものからグループアクションのような方向性を探り始めた頃の作品だろう。

当時の反応は知らないが、今観ると、なかなか面白い作品に仕上がっている。

にこやかなボンボン風の渡がムショ帰りの札付きのワルで、ロンゲにジージャンスタイルの原田の方が、富豪のボンボンと言うイメージと役柄のギャップが面白い上に、さらにクールビューティー梶芽衣子が加わり、その三角関係も又、興味深い。

見た目的には、原田芳雄と梶芽衣子の組み合わせの方がしっくりするような気がするが、まだこの当時は、渡哲也の方が格上だったので、このような形になったのだろう。

青春ものとしては、それなりに爽やかで楽しい活劇に仕上がっているのだが、当時全盛だった東映の高倉健などに匹敵する存在感のある男優が、当時の日活にはあまり見当たらないのが、日活アクションの衰退の一因だったのかもしれない。

原田芳雄の存在感はこの当時から既に光っているが、すでに衰退気味だった当時の日活では、あまり活躍の場は得られなかったのだろう。