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日輪の遺産

2011年、「日輪の遺産」製作委員会、浅田次郎原作、青島武脚本、佐々部清監督作品。

※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意下さい。コメントはページ下です。

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日系新聞記者ダニエル・ニシオカ(中野裕太)が、今は年老いているが、終戦後、あのマッカーサー元帥に通訳として付いた元在日アメリカ軍人であった日系アメリカ人マイケル・エツオ・イガラシ(ミッキー・カーチス)を訪ね、終戦直後のインタビューをしていた。

イガラシは「幽窓無暦日」(ゆうそうれきじつなし)とメモ用紙に書いてみせる。

1945年8月30日、私はダグラス・マッカーサー(ジョン・サヴェージ)に会った。厚木飛行場で…と、イガラシは語り始めた。

そのとき私は確かに聞いた、マッカーサーがつぶやいた「私の遺産はどこだ?父の遺産はどこだ?…」と言う言葉を…

タイトル

2011年3月

森脇女子学園中等部の卒業式

そこにやって来た老夫婦の妻の方が、今年も又梅が咲きましたねと、車椅子の夫に話しかける。

車椅子に乗った老人は、毎年、多額の寄付金をこの女子学園中等部に寄付している金原庄造(八名信夫)、妻は金原久枝(八千草薫)、車椅子を押しているのは、この学園で教師をしている娘金原涼子(麻生久美子)の父金原荘一郎(北見敏之)であった。

二人は、戦時中亡くなった19名の女子中学生の名前が刻まれた追悼の碑の前に来る。

久枝は、私だけが取り残されたみたいな気がする…と石碑を見ながらつぶやく。

そこに、涼子が、同じ中学教師で婚約者の後藤俊太郎(塩谷瞬)を連れて来て、祖父の庄造に紹介する。

庄造は、まさかお前たち、でき婚なんかじゃないだろうな?と睨みつけるが、涼子は、私たち教師よと否定する。

卒業式の壇上に列席した庄造は、卒業生たちが歌う「仰げば尊し」を聞きながら、何かを思い出しているようで、一人笑ったりするので、隣に座っていた久枝は怪訝に感じ、どうしました?と小声で聞く。

すると、庄造は、今、真柴さんに会った。命令は守らなくて良いそうだ…と奇妙なことを言い出し、その直後、意識を失ったので、立ち上がって、義父の異変に気づいた荘一郎は、教師の列に立っていた涼子の名を呼ぶ。

庄造は急死だった。

自宅に庄造の遺体を安置した荘一郎は、市議会議員までやって人が密葬では、世間体が悪いのでは…と、久枝の意見に異を唱えていた。

一緒について来た後藤俊太郎に荘一郎は、金原家は女系家族で、自分も婿養子だと打ち明ける。

そこへ、荘一郎の携帯や、自宅の電話が鳴り出したので、荘一郎と後藤は手分けして、庄造の訃報を聞いて連絡して来た人々への応対に当たる。

その間、久枝と涼子は、庄造の遺影にふさわしい写真をアルバムの中から探していたが、どれも厳つい表情ばかりで、なかなか良い写真が見つからなかった。

久枝は、赤鬼さんだから…と言い、昔、女学生が付けたあだ名なのだと言う。

久枝は、本当なら私の名もあの石碑に刻まれていたの…とつぶやく。

昭和20年8月

私は、軍需工場で飛行機の部品を作っていたの…と久枝は語り始める。

担任は、野口孝吉(ユースケ・サンタマリア)と言う人だったんだけど、ある日、憲兵が来て工場から連れて行ってしまった。

当時、級長をしていた久枝(森迫永依)は、工場の外に呼び出され、野口は軍国主義を避難するような思想を話したんじゃないか?と問いつめて来る。

本を貸してもらったことがありますと久枝が答えると、何の本だと聞かれたので、ヘルマン・ヘッセと答えると、敵国の本ではないかと憲兵はいきり立つ。

久枝が、ヘッセはドイツですけど…と教えても無駄だった。

その野口先生がおじいさんだったの?と涼子が聞くと、まさか…と否定した久枝は、おじいさんは悪者よと笑う。

そこに、荘一郎がやって来て、今、弁護士の木村先生から電話で聞いたけど、おじいさんの遺産は全て市に寄贈するんですって?と久枝に聞く。

おじいさんが、もう命令を聞かなくても良いと言ってましたから…と久枝は答える。

後藤先生もその場に呼ばれ、さらに久枝の昔話を聞くことになる。

まずは、真柴さんの話からしましょう。

昔、離れを借りて剣道の道場を開いていた方覚えている?と、久枝が涼子に聞くが、涼子は全く記憶にないらしく、かろうじて荘一郎が、あの物静かだった人かな?と覚えていた。

久枝は一冊の古びた手帳を持ち出すと、これは真柴さんの日記だと皆に教え、隊長さん、お話しさせていただきますと、手帳を押し頂く。

昭和20年8月10日

野口先生が御帰りになった日だった…と久枝は話し出す。

久枝たち女子中学生は、その日停電のため、作業は休みで、庭の草むしりをさせられていた。

そこに、野口先生が戻って来たので、全員、喜んで先生を囲む。

野口先生は殴られたらしく、口の端が腫れており、シャツも破れ、そこに口から出たらしい血痕が付着していた。

女学生たちが今日作業を休んでいると知った野口先生は、俺は本当は、あんな作業はさせたくないんだと言う。

それを聞いた女学生は、そんなことを言うと、又、憲兵さんに連れて行かれますと心配する。

喜びで一杯の日だったけど、私たちは、あらがうことができない流れの中にいたのと久枝は話す。

近衛師団司令部の中では、青年将校たちによって、ポツダム宣言についての空疎な議論が繰り広げられていた。

そんな討論に興味が持てず、部屋の隅で一人静観していた真柴司郎少佐(堺雅人)は、いきなり、仲間の一人から意見を求められて当惑していたが、好都合なことに、近くの電話が鳴り出したのでそれを取ってごまかした。

電話の相手は森赳近衛師団長だった。

そこにいる師団の奴には気づかれないように、東部指令本部からの命令として、直ちに陸軍省へ来てくれと言う。

真柴少佐は、自転車で陸軍省へ向かう。

部屋の中に入ると、そこには若い男が先に来ており、それ以外は重鎮ばかりだった。

阿南惟幾陸軍大臣(柴俊夫)が、若い男を、東部軍経理部主計の小泉重雄中尉(福士誠治)と紹介する。

末は大臣クラスになるエリート中のエリートらしい。

しかし、小泉はこの場の雰囲気に飲まれ震えており、その手にした軍刀はカチャカチャ音を立てていた。

その場にいたのは、阿南陸軍大臣の他に、梅津美治郎参謀総長(串田和美)、杉山元第一総軍司令官(麿赤兒)、田中静壱東部軍司令官(山田明郷)、そして森近衛師団長(野添義弘)。

真柴少佐と大泉中尉は、大元帥陛下は、昨夜、ポツダム宣言を受諾なさることを申し述べられたと聞かされショックを受ける。

これは、この場にいる5人しか知らない重大な秘密だと言う。

小泉中尉に、昭和21年度分としての臨時国家予算を900億内外と予測させた重鎮たちは、その予算は国庫からすぐに払わせると言う。

日本は早晩負けると聞かされた真柴は、祖国日本は不滅だと信念を述べるが、日本を存続させる為に必要な金なのだと言う。

機密費と言うわけですか?それは金やプラチナではないですか?と小泉が、聞き及んだ噂からの推測を言うと、900億は山下将軍が運んだ、マッカーサーがフィリピンに貯めていた資産であり、アメリカ軍が日本に上陸する前に、お前たちにそれを隠匿、管理して欲しいと言う。

国家的秘密を教えられた二人に、生きて断る道はなかった。

陸軍省の外に出た二人を待ち受けていたのは、二人の手伝いをするように指示されたと言う片足が悪い望月庄造曹長(中村獅童)だった。

真柴少佐はトラックを運転するらしき曹長に、ただちに、自分たちを東部軍司令本部へ連れて行くように命じる。

東部軍司令本部に到着した二人は、すでに命令が行き届いているらしく、素直にある部屋へ通される。

小泉中尉には、夜、広瀬蔵相と会談するよう命じられていた。

部屋で待っていた真柴少佐は、愛用のモーゼルを手入れしている望月曹長から、この銃は、中国北部の歩兵91連帯時代から使っている物ですと説明され、その後、足を負傷し、座間に転属されたとも聞く。

その時、何者かが、ドアの下の隙間から手紙を差し込んだのに気づいた真柴は、誰何してドアを開けてみるが、そこに見たのは、廊下の角を曲がって行く、コートを着た古い軍服姿の男の後ろ姿だけだった。

その話を聞いた小泉中尉は、226の亡霊か?と不思議がる。

封筒の中には指示書が入っており、横浜のニューグランドホテルに行けと書かれてあり、小泉中尉には着替え用の服が、洋服棚に入っていると言うので、すぐに扉を開けてみると、中に入っていたのは、小泉中尉の私服だった。

小泉中尉は、横浜で落ち合うことを約束し、他に適当な日本語が見つからなかったので、「グッドジョブ!」と敵性語を使って握手すると、別行動を取ることにする。

別れ際、真柴中尉は、先ほどの陸軍省で、田中司令官(山田明郷)が英語で話した内容が分からなくて気になっていたので小泉に尋ねると、「この世はすべて舞台。男も女も役者に過ぎない」と言うシャークスピアの言葉だと教える。

望月曹長と二人で、東部指令本部から辞去しかけた真柴少佐の前に立ちふさがったのは、仲間の近衛兵たちだった。

師団長はどこにいる?と聞いて来た彼らは、真柴の不審な行動を「裏切り」と考えているようで、その場で斬り掛かろうとするが、背後に控えていた望月曹長がモーゼルを使い全員を射殺、真柴を外に連れ出す。

横浜は、茫々たる廃墟になっていた。

グランドホテルで落ち合った小泉中尉は、財宝は今、東京駅の貨車の中に「血號榴弾」と言う架空の対戦車砲と言う名目で保管してあると報告する。

その時、支配人が食事と称して持って来た握り飯と指示書を受け取る。

誰がこの指示書を持って来たのか?と聞くと、想像通り、側車に乗って来たマントと旧式の軍服を来た軍人だったと言う。

指示書には、軍臨列車で南部鉄道の武蔵児玉に物資を運ぶので、三鷹電気から派遣された作業員を使えと意味不明なことが書いてある。

真柴は、この指示書では先が読めぬと悩むが、望月曹長は、ここは戦場であります。先のことは分からぬものですと実戦経験者らしい言葉を吐き、自ら、腹ごしらえしましょうと言いながら握り飯を口に運ぶ。

翌日、軍臨列車は武蔵児玉の駅に到着する。

その頃、トラックの荷台に乗って移動している一団があった。

野口先生と、久枝たち女子中学生たちだった。

彼女たちは、そっと外を覗き、多摩川を通過していることを知ると喜ぶ。

やがて、一人の少女が「決戦輝く亜細亜の曙~♩」と歌い始め、やがては全員が「出て来いニミッツ、マッカーサー~♩」と「比島決戦の歌」を唱和して行く。

真柴少佐らは、三の谷にある「南多摩火工廠」内の壕に到着する。

それは、工場近くに掘削されたばかりの洞窟で、すぐ脇には小さな祠が作られていた。

そこに、トラックが到着し、中から降り立った森脇女子学園中等部の女の子の姿を見た真柴や小泉たちは唖然とする。

少女たちは全員、自ら手作りの「七生報国」と書かれた鉢巻きをしめていたからだ。

上層部の狙いが、彼女らの疑うことを知らない純情さに賭けていると言うことを知る。

真柴少佐は、彼女たちを整列させると、「決號榴弾」と言う砲弾を、武蔵児玉駅の貨車から、ここの壕の中に運んでもらうと指示を出す。

そんな中、女子生徒の一人鈴木(土屋太鳳)が貧血を起こしたと言うので、兵舎で寝ているように指示を出す。

級長の久枝は鈴木を心配しながら、以前、肋膜を患ったのだと真柴に説明する。

休憩後、女学生たちはトラックに乗り、駅に停まった貨車から、「決號榴弾」と書かれた木箱をトラックに積み込む作業を始める。

「南多摩火薬工場」に戻って来ると、トラックの荷台から降ろした木箱を、壕の中に運び込むのだ。

そんな作業の中、トッラクに乗せようとしていた4人組の一人が手を滑らせ、箱を落としてしまう。

落とした少女は泣きながら謝罪し、他の3人も泣き出したので、見守っていた小泉中尉は、もう泣くなとなだめる。

随行していた野口先生も、小泉に今の不始末を詫びる。

「南多摩火工廠」に戻って来て、その日の作業を終えた久枝は、兵舎に寝かされていた鈴木を見舞う。

久枝は、野口先生から借りていたヘルマン・ヘッセの「車輪の下」の文庫本を、鈴木に与える。

その夜、兵舎に戻って、白米の握り飯を出された少女たちは喜ぶ。

久しく、米の飯など食べていなかったからだった。

そんな中、望月曹長は、今日よく働いたご褒美だといい、松本(遠藤恵里奈)に、おにぎりを渡すが、喜んで寝床部分に立ち上がった松本は、三角屋根に頭をぶつけてしまう。

翌日、祠の近くで、野口先生は久枝に、ヘッセ読んだか?今回は珍しく遅いじゃないかと聞いて来る。

久枝は、先生が帰って来なかったらと思ったら、読むのがもったいなくて…と言い訳する。

野口先生は、お前は小説家目指せ。良く見ておいて、この時代のことを書くんだ。

この石も今を見ているが、字を書くことはできない。

久枝、お前には、それができるんだ。今度はサマセット・モームを貸してやろう。短編だから、書き写すのが良いだろうと教えてくれる。

その夜、兵舎の中を見守っていた真柴少佐は、寝ていた一人の少女が「お母さん!」と寝言を言うのを聞き、その少女に思わず敬礼するのだった。

翌日、真柴少佐は、整列した少女たちに、貨車の荷物は残り一両分だけになったと教えていたが、その時、爆音が近づいて来たので、全員警戒する。

野口先生は退避するよう女生徒たちに指示を出すが、その時、彼らの頭上を米軍機が飛び去って行き、その後から何やら紙片が多数舞い降りて来る。

そのチラシには「ポツダム宣言受諾」裏には「降伏」と書かれていたので、真柴少佐は全員整列させると、これは敵の謀略である。これを信じて士気を失ってはならぬ。すぐに、拾ったチラシは回収すると命じる。

その時、手を挙げた松本が、米国の女学生たちも家を焼かれているのでしょうか?と質問して来る。

今度は、日本軍が攻めて行くのですか?そうすると、米国の女学生が、私たちと同じような辛い目に会います。その後に平和が来るのでしょうか?

戦争をやめるのは恥ずかしいことではない。それで、大勢の人を助けることができるなら、立派なことだと思います。と問いかける松本の言葉に返事ができない真柴。

久枝は級長として、最後まで頑張ろうと全員に声をかけるしかなかった。

その後、野口先生は真柴少佐に、叱らないで下さいと頭を下げる。

その頃、兵舎から一人外に出て来た鈴木は、落ちていたビラを読んでしまう。

最後の車両の木箱も全て運び終わった駅ホームで、真柴は手ぬぐいを一つ拾う。

「南多摩火工廠」に戻って来た真柴は、既に暮れかかった門の前でこちらにヘッドライトを向けて停まっている側車から、あのマント男が近づいて来るのに気づく。

男は真柴に新たな指示書の封筒を渡すと、遺漏なきようにとのお言葉でしたと伝えて去って行く。

封筒には、15日、玉音放送を拝聴した後、秘密保持の為の3名以外には毒を飲ませろ。その際、嘔吐したり、苦しむものがいた場合は、銃や軍刀を使えと書いてある指示書と、毒薬と思しき薬瓶が入っていた。

この指示を読んだ真柴は愕然とし、中で出迎えた小泉中尉にも部屋の中で読ませる。

生徒の数は20名…、否、21名、野口先生も加えねばならないと二人は苦悩する。

小泉は、自分は指揮官として生きるわけにはいかない。後はお前に任せたと言う真柴に、少佐殿は腰抜けですか?と問いかける。

それが軍人としての本分だと答える真柴に、軍人の本分とは腰抜けのことなのか!死んですむほどことは簡単ではありません。この財宝で、我が国を再興させねばなりません。新たな日本を作るには300億ないと民間企業は立ち直れません。このままでは14万人が餓死します。我々3人でこれから本土決戦するのです!と小泉は力説する。

封印を開けたとき、神風が吹くと言うのだな?と、真柴もようやく納得する。

その時、外から、女学生たちが歌う声が聞こえて来たので、小泉は、あの娘たちは最初から、平和主義者としてにらまれていたのではないか?との推測を口にする。

その時、兵舎の中でもの音がしたので、驚いた二人が中をのぞくと、鈴木が起きていた。

父の夢を見ていたと言う鈴木に、お父様はご健在なのか?と真柴が聞くと、海軍大佐であり、父と一緒に大きなおにぎりを食べている夢でしたと答える鈴木。

真柴は、きっと大きなおにぎりを持って帰って来られるよと鈴木に優しく伝える。

その後、今回の命令を撤回してもらうため、真柴は、望月曹長の運転するトラックで東京へ向かうことにする。

走り去ったトラックに頭を下げる小泉中尉。

東京では、徹底抗戦を叫ぶ近衛兵団が反乱を起こしており、軍の重鎮たちは暗殺されていた。

道を封鎖している近衛兵たちの様子を見た真柴は、明日戦争が終われば、あの女の子たちは死ぬ!と緊張する。

それを聞いた望月曹長は、戦争が終わって学生たちも生きるとは考えられないのか?と問いかけ、女子供を殺せなどと言うようでは、これはもはや戦ではありませんと嘆く。

陸省官邸の阿南閣下にお会いすると真柴は言い出し、望月はトラックを向かわせる。

15日早朝、真柴少佐が駆けつけたとき、正に、阿南陸軍大臣は割腹自決している最中だった。

背後の真柴の気配を感じた阿南陸相は、貴様、何にしに来た?と、刀を腹に突き刺しながら問いかける。

自分はあの命令は…と口にする真柴に、任務に戻れ!と気丈に命ずる阿南。

民間人を犠牲にすることはできません!と真柴が言うと、そのような命令はしておらん。貴様、人間として生きろ!と真柴は答える。

真柴が軍刀に手をかけ、「介錯を!」と申し出るが、阿南陸相は「無用!」と言い、そのまま真一文字に腹を切り裂いて果てる。

ありがとうございます!と言いながら、真柴は、阿南陸相の亡骸に敬礼をする。

真柴は、トラックで、「南多摩火工廠」に戻ろうとするが、途中でトラックが故障してしまい、望月もお手上げ状態になる。

真柴は慌てず、これまで五日間寝なかった。夜が明けるまで少し寝ることにしないかと言いながら、自ら助手席に乗り込む留をつむる。

昭和20年8月15日

「南多摩火工廠」に真柴たちが戻って来たとき、小泉は、ズボンをたくし上げた身軽な格好をしていたので、何をしていると聞くと、三助をやっていた。

女学生たちを風呂に入れて背中を洗ってやっていたのだと言う。

身体だけはきれいにしといてやらなきゃ…と言う小泉の背後を、風呂上がりで、全員新しい制服に着替えた女学生たちが嬉しそうにやって来て、全員整列をして真柴たちを迎える。

みな、笑顔だった。

野口先生も出て来て、頭を下げる。

小泉は、真柴から、命令は撤回されたと聞き、無事に終わって本当に良かったと安心する。

その時、望月兵長は、自分は風呂掃除でもして来ます、放送を聞く気にはなれませんと言い、風呂場に向かう。

風呂場には、級長の久枝だけが残って掃除をしていた。

お前の家はどこだ?と望月兵長が掃除をしながら聞くと、今は、柏木の親類の家にいるのだが、実家はこのすぐ近くですと久枝は答える。

そして、今度は久枝の方が、曹長さんは、この先どうさせるのですか?と聞くと、家は小作農だし、兄弟が7人もいる。自分は軍隊しか知らないからな…と口ごもってしまう。

久枝は、戦争が終わったんですね…、そろそろ放送の時間ですと久枝はつぶやく。

祠の前に整列した女学生たちは、持ち込まれたラジオで、「玉音放送」を聞かされる。

その頃、久枝は、掃除を終えた浴槽に腰掛け、隣に並んで腰を下ろした望月曹長に、持っていた二つのコンペイ糖の一つ渡し、一緒に口に入れる。

真柴少佐は、女学生たちを前に、あの砲弾は、断じて敵に渡してはいけないものだ。ここで見聞きしたものは、決して親兄弟といえども語ってはいけないと伝えた後、トラックに乗る13時頃まで待機せよと命じる。

それを聞いていた鈴木は、隊長殿、私たちは本当に帰っていいんでしょうか?と真柴に聞く。

もちろんだ、任務は終わったんだと、小泉が代わって答える。

真柴と共に兵舎に戻って来た小泉は、軍人の子は怖い。不自然だと感づいたんだとつぶやく。

それから、真柴と小泉、野口先生は、兵舎の拭き掃除など始めるが、その時、小泉は、自分の鞄の蓋が開いているのに気づき、あわてて中を確認するが、ここに入れていたものがないと言い出す。

真柴は驚き、一緒に兵舎内の布団の中などを探すが、そこにはない。

慌てふためく二人の様子を怪訝そうに見ていた野口先生は、何をなくされたのですか?と聞くと、真柴は、薬…、栄養剤のようなものだと答えたので、野口先生も薄々察し、栄養剤ですよね?と確認する。

その直後、三人は兵舎を飛び出して行く。

祠の下に、女学生たちの荷物がきれいに並べてあった。

最悪の事態を想像した小泉と野口が、洞窟の中に走り込み、残った真柴は、その場で嘔吐をしようとする。

そこへ、望月と久枝がやって来るが、その時、洞窟の中から、3発、銃声が聞こえて来る。

やがて、洞窟の中から、呆然として銃を手にした小泉と野口が出て来る。

野口先生は、仕方なかった。中尉のせいじゃないとつぶやき、小泉も、あれは青酸カリでした。苦しんでいるものがいたので…とつぶやくと、もう、命令通りするしかありませんと、銃を久枝に向ける。

すると、望月曹長が久枝の前に立ちふさがり、「何もしゃべらせはしません!」と言いながら両手を広げてかばおうとする。

どけ!曹長と銃を突きつける小泉に、中尉殿は狂っている…と言う望月。

俺は狂っていない!この手で撃ったんだ!嗚呼!罪もないあいつらを!と言いながら、祠の前に崩れる小泉。

横に立っていた野口先生は、楽にしてやって欲しいと私が頼んだんです。久枝は頭の良い子ですから、ちゃんと分かっているはずですからと真柴らに言うと、大丈夫だよ、久枝、お前ならちゃんとやって行けると励ましながら、小泉が地面に落とした拳銃を拾い上げる。

どうなさるおつもりです?と問いかける真柴に、私は生徒たちを引率せねばなりませんから…と言いながら、洞窟の中には入って行く野口先生に対し、真柴は敬礼をしかけるが、相手が民間人であり、もう戦争が終わっていることに気づくと、帽子を取り、深々と頭を下げる。

洞窟の中に入りかけていた野口先生は、久枝に、モームをちゃんと書き写すんだぞと伝え、久枝がええと頷くと、久枝…と言う言葉を最後に、洞窟の奥に消えた先生は、その直後、一発の銃声の音と共に消える。

望月は、思わず、洞窟に向かって敬礼をする。

昭和20年8月15日、命令は遂行されたか?日輪の遺産のみ遺れり…と、真柴の手帳は締めくくられていた。

祠の前に遺っていた女学生たちの荷物を焼きながら、久枝は、何もしゃべりません。野口先生がそうおっしゃったから…、今分かるのは、皆さんが大変なことをしていらっしゃったと言うことですとつぶやき、それを聞いていた小泉は、この先10年20年、あなたがおばあちゃんになるまで、自分を偽り続けられますか?と問いかけるが、できますと久枝は答える。

3人を乗せ、しばらくトラックを走らせていた望月だったが、途中で止まってしまい、もうダメでしょうと言う。

そこに、あのマント男(金児憲史)がやって来て、その娘を渡してもらいましょうと、銃を突きつけながら詰め寄って来る。

阿南閣下は、あのような命令は出していないと言っておられたと真柴は言い返すが、マント男の態度が変わらなかったので、望月はモーゼルを抜こうとし、マント男がひるんだ隙に、真柴は軍刀を抜きざま、マント男の首を斬る。

あの娘には生きてもらわねばならない。ならんのだ!と真柴は叫ぶ。

本当に暑い夏だった…と、現在の久枝が語り終える。

聞いていた3人は涙ぐんでいた。

後藤が、あの石碑には熊谷で空襲に会ったと書いてありましたよね?と聞くと、勤労奉仕で行った熊谷で死んだことになっているのと久枝が答える。

曹長さんがおじいちゃんだったのねと涼子が聞く。

あの後、私は、児玉村の実家に連れて帰って、そのまま居着いてしまい、婿に入ってもらったのと、久枝は答え、一人で秘密を抱えて生きるの大変だもの…と微笑む。

小泉とは、その後会っていないと言う久枝は、昭和23年の秋、実家にやって来た真柴と再会した時のことを話し出す。

雨の中、庭で作業を終えようとしていた久枝と望月は、傘をさして現れた真柴の姿を見て驚く。

真柴は、連絡しようにも命令が出なかったが、今日は、命令解除しようと思って来たと言う。

梅津閣下も終身刑で、もう末期の直腸がんを患っておられるそうだと教える真柴に、それじゃあ、あいつら、何の為に…と悔やむ望月。

せめて、焼いて来てやれば良かったと言う真柴に、そんなことじゃない!わしらがやらねばならんのは。待ちましょう。奴らが帰って行くまで。金を稼いで、山を手に入れてやる。世の中、どう変わるか分かりません。頑張りましょうと望月は意見する。

真柴が帰りかけたとき、わし、久枝を嫁にもらいます。軍人ですから、戦に負けたんですから、生き残ったものが守ってやらんと…。少佐殿一人の食い扶持などどうにでもなりますから、あの山、守りましょうと説得する。

それを聞いた真柴は、曹長、あなたは本当に良い人だと感心する。

その時、奥にいた久枝が、干し大根を二本、新聞紙に来るんで土産にと渡す。

真柴は、又、雨の中、傘をさして帰って行く。

話を聞き終わった涼子は、おじいさん、悪い人じゃなかったとつぶやき、久枝は疲れたから休ませてもらうと言うので、涼子は、おばあちゃん、ありがとうと声をかける。

その後、地図を広げて、金原家が所有している山の場所を確認しながら、当時の900億と言えば今の200兆ですよと興奮気味に話す後藤を交え、涼子と荘一郎は想像を膨らませていたが、とんでもない遺産を残してくれたものだ。私たちの手に負えないわと呆れていた。

庄造を焼き場に連れて来た家族は、最後の別れをするが、久枝は持って来た真柴の手帳を、棺の中に入れてやると、守ってくれてありがとうと感謝の言葉をかける。

その後、煙突から立ち上る煙を見上げた家族だったが、久枝は持って来たコンペイ糖を涼子に渡し、涼子は後藤に、後藤は荘一郎に一つずつ渡し、全員一緒にコンペイ糖を口に入れながら煙を見上げるのだった。

イガラシも、まだニシオカに話し続けていた。

3人の日本人の話をしようとイガラシは、突然、君は沢庵を食べたことがあるか?と聞く。

昭和23年

門番のMPが臭いものを持っている男が来て怪しいと言うので、米軍361病院の入口に来た通訳時代のイガラシ(三船力也)は、そこにいた一人の日本人真柴と会う。

真柴が手にしていたのは、二本の干したくあんだった。

ここに入院しているはずの梅津美治郎に会うために、土産を持って大分から来たと真柴が言うので、特別の計らいとして許可をしたイガラシだったが、病院に入った所で、さっきのは噓で、あなたを日本人と信じて御願いしますと、廊下に真柴が土下座をしたので、世界を相手にして戦った軍人がそんな真似は御止めなさいと立たせたイガラシは、ベッドに寝ていた梅津に会わせることにする。

梅津は、真柴の顔を見ると、長生きせい…、それがお前の任務だと言い、枕元から一枚の髪を取り出し手渡そうとする。

同行していたイガラシは、それは規則違反だ!と叫び紙片を奪い取る。

真柴は、呼ばれたMPに部屋の外に連れ出されるが、差し入れ禁止の規則の為、ずっとイガラシが持っていたたくあんは、よろしければ差し上げますと言い残して、出て来い、ニミッツ、マッカーサー♩と歌いながら一人で去って行く。

その時、真柴は、イガラシが没収した梅津の紙片に書かれていた言葉が「幽窓無暦日」だった。

もう一人の日本人は、たった一人で、日本を立て直した男だとイガラシは話し続ける。

マッカーサーに面会を求め、自ら計画した戦後日本の経済戦略を説明していたのは、小泉だった。

為替レートをしばらく、1ドル300円~400円くらいに保ち、一種の経済的鎖国状態にしておけば、日本はやがて世界市場に出て行ける。

一応、興味深く聞いていたマッカーサーだったが、次の瞬間驚かされたのは、小泉が、マッカーサーが探しているものを知っていると言い出したからだった。

あれは元々我々のものだったと怒るマッカーサーに、運用は19人の少女たちに託されたのです。答えを聞きたい、イエスかノーか?と小泉は突きつける。

マッカッサーの答えはノーだった。

イエスと言えば負けを認めたことになると言うマッカーサーの答えを聞いた小泉は、今にも気がに苦しんでいるものがいるのに、まだ、勝負のことを…。あいつらには生きる権利があった!と言いながら、通訳として同席していたイガラシを襲い、銃を奪い取った小泉は、出て来いニミッツ、マッカーサー♩こんな醜い歌をまるで国歌を歌うように歌っていたあいつらは、未来を信じて歌っていたんだ!

やがて、日本製品がアメリカを占領する日が来るかもしれないと言った小泉は、拳銃を自らの側頭部に押し付けると、その場で発砲して倒れる。

その自決の様を見たマッカーサーは、こいつらの心は鉄でできているのか?と呆れたようにつぶやくと、小泉が提出した計画書をワシントンへ送ってくれ。発案者はダグラス・マッカーサーだと言って、イガラシに渡す。

3人目は少女だ。たった一人でマッカーサーに立ち向かった少女だ。

だが、彼女のことは知らないんだ…とイガラシは語り続ける。

戦後処理をしている連中が大量の隠匿品を見つけたと言う知らせを受けたマッカーサーは、イガラシの運転するジープに乗って、三の谷の「南多摩火工廠」の門前にやって来る。

そのジープの前に立ちふさがり、手を広げて中に入れまいとする一人の少女がいた。

「出て来い ニミッツ マッカーサ~♩出てくりゃ 地獄へ逆落とし~♩」と歌う久枝だった。

何と言ってるんだ?と聞くマッカーサーに、イガラシは、訛がひどくて…、閣下のことを讃えているようですと噓を教える。

久枝を無視し、洞窟の中に入ったマッカーサーが目にしたものは、大量の木箱を囲むようにいくつもの白骨が遺っていたことだった。

白骨は、全員木箱を守っているかのようだった。

「七生報国」と書かれた鉢巻きを見つけたマッカーサーが、その意味をイガラシに聞くと、七回生まれ変わっても国の為に尽くしますと言う意味だと言う。

木箱からのぞく金塊を見たマッカーサーだったが、父の金塊などなかった。ここはコンクリートで固めろ。彼らは後でやって来るはずだ。

周りには草花を植えろと、マッカーサーは命じる。

落ちていたヘルマン・ヘッセの「車輪の下」の文庫本を見つけたマッカーサーは、おそらく少女たちは、強制されたのではあるまいと想像する。

2011年初夏

三の谷の元南多摩火工廠跡にやって来た金原一家は、今やアメリカの土地になっている場所に入れないことを知る。

受付で、ゴルフカート10台寄付した荘一郎が交渉した結果、石一つ持ち出さないと約束するならと言う条件付きで中に入ることを許される。

今はすっかり草むした祠の前に来た久枝は、手を合わせる。

荘一郎は、土地の寄贈は止めて、学校の名で、ここはこのままにしましょうと提案する。

久枝は、好きにしなさい。もう私は級長ではないんですから…と微笑む。

ずっと覚えておきましょうねと、涼子が自分のお腹を押さえながら言うので、久枝は驚くが、子供ができたと告白した涼子の言葉を聞いた荘一郎は慌て、動くな!ゴルフカートを借りて来ると言いながら入口の方へ走って行く。

その時、祠に置いてあった黒い石が転げ落ちる。

あの時、野口先生が手に取り。この石も時代を見ているが、石には文は書けないと言っていた石だった。

驚いた久枝が目を上げると、そこには、野口先生と19人のかつての級友たちが笑顔で立っていた。

野口先生は、久枝、ありがとうと言ってくれた。

久枝は、先生との約束を破ってしまいました。それに、先生から御借りした本もなくしてしまったんですと詫びる。

すると、鈴木が、あの本なくしたの私なの。ごめんなさいと笑う。

級長が泣くやつがあるか!久枝、お前、仲間外れじゃなかったと言ってくれる野口先生。

久枝ちゃん、基準!と片手を上げ、整列の号令をかける少女。

久枝の背後に立っていた涼子と後藤にも、彼女らの姿は見えていた。

あれがサッちゃん、あの子がマツさんねきっと…と話し合う二人。

みんな泣かないで!国は残るの。この箱さえあれば、弟や妹たちが飢えずにすむの。みんな、鬼になって、この宝を守ろう!と言う少女たちに、久枝は、ありがとうみんな、分かってくれて…と感謝するのだった。

※文中に登場する「比島決戦の歌」は、作詞:西条八十、作曲:古関裕而の曲です。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

戦争秘話とでも言った感じの作品で、泣ける作品になっている。

「山下財宝」「日本のいちばん長い日」そして「ひめゆり部隊」を連想する少女たちの悲劇がミックスした展開になっており、泣かせるのはもちろん、この悲劇の少女たちの姿である。

子供と死を扱えば、通常の大人なら涙腺を刺激されるものであり、あざといと言えばあざといのだが、この作品は、それ以外の部分にも面白さがあるのでまだ救われている。

純真無垢で、軍国少女として育てられて来た一方、担当教師から平和思想も学んだ女学生と言う設定になっている。

この軍国思想と平和思想の両面が、彼女たちを、財宝の守護神として死に向かわせることになるのだが、フィクションと分かっていてもやり切れなさがある。

国を守ると言う気持ちの前には、戦中も戦後もないのだ。

原作は未読だが、着想が面白いので、かなり読み応えのある作品なのではないかと想像するが、この映画に関しては、少女たちの泣かせるエピソードに絞って描かれているのではないかと言う気がする。

やや他の部分が急ぎ足気味と言うか、せっかく面白くなりそうな設定なのに、「泣かせ」以外の部分は、あまり巧く描ききっていない感じがするのだ。(逆に、現在のイガラシへのインタビューシーンなどは、あまり必要ないようにも思えてしまう)

そう言うこともあってか、8月15日前後と言う時代設定にも関わらず、緊迫感はほとんどない。

ほとんどの舞台が人里離れた田舎であると言うせいもあるのだが、冒頭部に、現在の姿を描いているため、亡くなったものと、生き残ったものの知識を、観客がほぼ把握していると言うこともあると思う。

まるで「帝都物語」の魔人加藤保憲を彷彿とさせるマント姿の伝令や、「日本のいちばん長い日」でもお馴染みの阿南陸相の割腹シーンなど、興味深い要素はたくさんちりばめられているのに、サスペンス色が見事なくらいにないのが、ある意味凄いと言えば凄い。

もちろん、戦争ものだからと言って刺激的なアクションやサスペンスがある必要はないのだが、国家を揺るがす機密を扱っているにしては、あまりにも牧歌的な展開とのんびりした語り口調はどうか?と言う気持ちもないではない。

基本的に良い話なので、もう少し短く編集した方が、感動も大きくなったのではないかとも思う。(将来テレビ放映されることがあり、20〜30分編集されたバージョンで放映されたなら、この作品はかなり傑作になるような気がしないでもない)

後、個人的に気になったのは、戦時中と現在の両方に登場するキャラクターのこと。

一番自然だったのは、庄造の青年時代と老後を演じた中村獅童と八名信夫。

この二人は確かに雰囲気が似ている。

気になるのは、通訳のイガラシ役ミッキー・カーチスと、久枝を演じた八千草薫である。

この二人は若い頃から映画にたくさん出ており、その若い頃の顔を知っている人が多いと思う。

そうした知識がある人や世代にとっては、若い頃を演じた三船力也と森迫永依は、正直、違和感がある。

もちろん、演じた二人が悪いのではなく、あまりにも老後の役者とイメージが違いすぎるのだ。

八千草薫の若い頃がチビまる子ちゃんはないのではないか?と気になって仕方なかった。

八千草薫と言えば、若い頃は細面の美少女だった人だ。

可愛いが丸顔の森迫永依は、どう考えても、今の八千草薫にはならないと思う。

繰り返すが、この辺は、あくまでも個人的な印象に過ぎない。

森迫永依は良く演じていたと思う。

もう一つ気になったのは、真柴少佐を演じている堺雅人が、絶えず「微笑んでいるような顔」をしている所だ。

優しそうで良い俳優だが、このキャラクターに合っていたのかどうか?

一応、緊張した場面では、口をきちんと真一文字に結び、真剣な表情を作っていることは分かるのだが、やはり、その顔は終止微笑んでいるように見えてしまう。

女性客には受けそうな人ではあるが…

軍の重鎮を演じている役者たちも、昔だったら、全員、スター級の人が並んでいたポジションだと思うが、残念ながら、名前を知っている人は少ない。

知名度と役者の力量は別だが、全体的に華がないのも確か。

内容的に悪くはないが、興行的には厳しいのではないかと想像してしまう作品である。


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