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モスラ

1961年、東宝、中村真一郎+福永武彦+堀田善衛 「発光妖精とモスラ」原作、関沢新一脚本、本多猪四郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

カロリン群島に発生した台風に、松菱開運の第二玄洋丸5600トンが巻き込まれたので、第七管区から救援指令が出る。

インファント島東方1.4マイルの位置にいることを知った第二玄洋丸は、放射能と台風の板挟みになる。

インファント島とは、ロリシカ国の原水爆実験場になっている島だったからだ。

やがて第二玄洋丸は座礁、船長(小杉義男)は船員全員に退避を命じる。

インファント島上空を飛ぶ海上保安庁ヘリの操縦士(佐原健二)は、放射能の上を飛ぶのは気持ちいい物じゃないなとつぶやきながら、第二玄洋丸の生存者を捜査していたが、間もなく、帰還用の燃料しか残っていないことが分かり引き返そうとしたその時、インファント島の海岸に4人の生存者を発見、巡視船「さつま」に連絡する。

放射能で危険区域のはずのインファント島で生存者が見つかったと言うのは大ニュースとなり、詰めかけた記者たちを一切シャットアウトして行った原爆症の検査が日本で行われたが、不思議なことに、全員なんの症状も検出されなかった。

核総合センター院長(平田昭彦)から診察結果を受けた原田博士(上原謙)は首を傾げる。

診察を終えた四人に問診をしてみるが、全員健康そのもので、船員の一人村田(加藤春哉)などは、出される食事が少ないので改善して欲しいなどと言い出す始末。

その時、フラッシュが光り、研究部員に化けた女性がカメラで撮影したことを知った院長は、カメラを取り上げる。

彼女花村ミチ(香川京子)は善ちゃんに助けを求め、同じく研究員に化けて侵入していた日東新聞社会部記者福田善一郎(フランキー堺)も、正体を現す。

花村女史は、「すっぽんの善ちゃん」だと、居並ぶ研究者たちに紹介する。

福田はすかさず、300万読者が知りたがっていますと原田博士に売り込む。

そんな福田の強引さに苦笑しながらも、福田博士は船員たちに、放射能の墓場からどうして生き残られたのか、何か心当たりはありませんかと聞く。

すると、船員の一人並木(山本廉)が、現住民から飲ませてもらった赤いジュースのせいかもと言い出したので、聞いていた福田たちは驚く。

原水爆実験が行われた島に現住民などいるはずがなかったからだ。

日東新聞社会部で、花村女史と福田の報告を受けた部長(志村喬)は、トップ記事だ!と喜ぶ。

しかし、記者会見で、ロリシカ大使(ハロルド・コンウェイ)は、インファント島は無人島だったと発表する。

インファント島の周辺に詳しい学者はおらんのかね?と部長に聞かれた福田は、今、花村女史が 中條信一(小泉博)と言う言語学者に所へ行っていると教えるが、そこに現像から戻って来た花村が見せた写真は、皆、開いた本などで顔を隠した中條の写真ばかりだった。

花村女史が言うには、 中條信一は、センブリと写真が大嫌いらしい。

仕方がないので、福田も一緒について行き、どうしてこれまでインファント島には無関心だったロリシカ国が急に合同調査隊を出そうとしたのか質問するが、広げた新聞で顔を描くしたままの 中條は、花村女史に写真のチャンスを与えない。

その時、花村女史がソファから飛び上がり何かいると指を指すので、福田がクッションをずらしてみると、そこには小さなハツカネズミが一匹紛れ込んでいた。

それに気づいた中條は、友達と一緒に二階から降りて来た弟の信次(田山雅充)を叱る。

どうやら、ペットが逃げ出したらしい。

福田は、自分が捕まえてやると手を伸ばすが、次の瞬間、立ち上がると身体をもぞもぞし出す。

ネズミが、服の中に入り込んだようで、ようやく、ズボンの裾から出て来たハツカネズミを信次に返してやる。

場が和んだのを見計らった花村女史がライターを取り出したので、すぐにその意図に気づいた福田は、タバコを取り出し、花村は火をつける振りをしてライター型カメラのスイッチを押す。

中條は、インファント島周辺のポリネシア地方は、昔、大西洋に沈んだと言われるアトランティス同様、地続きだったことはご存知ですか?と話し始め、私はシャッター音聞くと、ギロチンを連想するんですよと、写真嫌いの理由を打ち明けるが、最近のは音がしませんのよと花村女史が得意そうにライター型カメラを見せたので、中條はあっけにとられる。

やがて、ロリシカ国から調査団一行が来日し、空港で原田博士らは出迎えるが、その中に混じっていた クラーク・ネルソン(ジェリー伊藤)なる謎の人物が、新聞社は一切同行させないと言い出したので、社会部長などは憤慨する。

表面上は単なる事務責任者と言うことになっているネルソンの招待をめぐり、空港ロビーでは、花村女史と福田が怪しんでいた。

日本の港から、インファント島調査団が出航する時が訪れ、花村女史も福田と共に見送りに来ていたが、花村女史は、群衆の中に福田を見失ってしまう。

出航した船のデッキチェアに寝そべっていた中條の元にやって来た原田博士が不機嫌だったので、理由を尋ねると、ネルソンの態度が不愉快だと言う。調査資料は一喝して処理すると言うのを聞いた中條も、それはおかしいと言い始め、ひょっとすると秘密機関の者かも知れませんね?と推理する。

そのネルソンは、部屋で怪しいボーイが潜んでいるのを発見し、銃で脅していた。

ボーイに化けて密航していた福田は、部屋で見つけた布で掃除をしていたとごまかすが、その布を取り上げ、ボーイの身分証明署を服の中から見つけたネルソンは、日東新聞社からボーイを雇った覚えはないと睨みつけながら銃を差し出す。

その時、部屋に中條が入って来て、僕の資料もあなたの元へ提出するのですか?と尋ねる。

ネルソンは調査団の希望ですと答えるが、僕は嫌ですと拒絶した中條は、福田を連れて部屋から出て行く。

インファント島に接近し、放射能危険地域に入るので、調査団全員、放射能遮断服の着用を命じられる。

その席で、原田博士は、記者活動は一切しないと言う一札を入れることを条件に、福田を同行することになったと全員に発表する。

福田は、臨時の警備員ですと、全員に挨拶する。

なぜいちいち、ネルソンにお伺いを立てなければ行けないんです?と隊員の一人が聞くと、ラーフ博士が頭が上がらないらしいんだと原田博士は苦々しそうに説明する。

原田博士は、調査中、異常があった場合は、トランジスタサイレンを鳴らすこと。その音を聞いたら全員その音のする場所に集まることなどを確認する。

インファント島に上陸した調査団は、崖を登るが、その向こうに広大な緑のジャングルが広がっていることを発見する。

ジャングルの中に入った一行だったが、ネルソンは、例の怪しげな布に書かれた地図のような者を観ながら何かを探し求めていた。

そのときネルソンは、近くに福田の姿を発見、何をしている!と怒鳴りつけるが、中條さんにはぐれて迷子ですと福田は説明する。

その頃、中條は、巨大な植物が生い茂る不思議な洞窟を発見していた。

その植物は、カビが巨大化したもので、第二玄洋丸の船員が飲まされたと言う赤い汁とは、このカビから作ったものに違いないと推理する。

さらに、中條は、その洞窟の中で不思議な碑文を見つける。

原田博士の元に戻って来た福田は、中條がいなくなったと報告する。

洞窟を出た中條は、絡み付いて来る吸血植物に捉えられていた。

思わず、トランジスタサイレンを鳴らすが、意識がもうろうとなる中、中條は、小さな二人の女性が不思議な音楽のような言葉を発しているのをかすかに観たと思った後気絶する。

サイレン音で福田たち調査団は、すぐに中條を発見し、テントに連れて帰ると治療を施す。

すぐに気がついた中條は、吸血植物に襲われた事情を話し、助けてくれたのは、身長30cmくらいのひどく小さな小人だったと言い出したので、聞いていた原田博士や福田は驚く。

一緒に聞いていたネルソンは、特に興味をそそられたようだった。

錯覚じゃないか?と原田博士は確認するが、中條は確かだと言う。

すぐに、福田は「小美人」なる言葉を使い始め、どうやって助けられたんです?と中條に聞くが、中條は何かに気づいたらしく、はっ、分かった!うん、そうだ…と一人でつぶやくが、福田が話を聞こうとすると、お休みと言って話をはぐらせてしまったので、こっちはちっとも分かりませんよと福田はふくれる。

翌日、再びジャングルへ調査に出かけた一行は、又、トランジスタサイレン音が響いたのでそこに駆けつけると、鳴らしていたのは中條だったので、いたずらは止めたまえ!と原田博士は注意するが、中條はいたずらではないと言う。

観ると、中條の足ものに小美人が二人現れたので、全員驚く。

彼女たちは音に敏感だと気づいたんですと中條は説明する。

小美人が話している言葉は、歌のようでもあり暗号のようでもあった。

中條は言語学者として、島を荒らさないでって言っていますねと全員に教え、もう絶対に核実験はしませんと小美人に約束するが、その時、ネルソンが部下のダニー(ジョニイ・ユセフ)に目配せして、ダニーは小美人を捕まえてしまう。

驚いた中條たちが抗議すると、ネルソンは得難い資料だから持って行くと言い、銃を突きつけて来る。

しかし、その時、調査隊の側に現住民が現れ、石を打ち鳴らしながら迫って来たので、中條はネルソンの手から小美人を奪い返す。

すると、原住民たちも遠ざかって行く。

福田は、ロマンかぶれじゃないですけど、こういう島はそっとしておきたい気がしますと、原田博士に打ち明ける。

調査団は無事帰国するが、ネルソン一行はさっさとロリシカ国に帰ってしまう。

日東新聞の社会部長は、福田が戻って来ないのでいら立っていた。

帰国後、中條家に来ていた福田は、怪しげなネルソンの身分調査をした結果、かつて、アマゾンで有尾人探検をして失敗したなどと言う経歴を披露し、国際古美術ブローカーじゃないかと推理を披露する。

世界中の遺跡などから財宝を盗み出す連中で結構儲かるらしい。あいつ、怪しい布切れを持っていたんですと教える。

中條は、洞窟の中で見つけたと言う謎の碑文の写しを見せ、「モスラ」と書いてあるようだと教える。

その頃、夜のインファント島に密かに再上陸していたネルソン一行は、ジャングル内でトランジスタサイレン音を鳴らし、再び姿を現した小美人を捕獲していた。

現住民が姿を見せるが、ネルソンは部下たちに撃って逃げるんだと命じ、自らも機関銃を発砲し、現住民を撃ち殺して行く。

撃たれた長老は、神殿の部分に這って来ると、「モスラ…」と最後の声を出す。

すると神殿の上部の崖が崩れ、巨大な卵が姿を現す。

日東新聞社の中で、ネルソンが小美人と写った写真を社会部長から突きつけられ、お前は知っていたんだろう?何年記者をやっているんだ!と怒鳴られた福田は、5年と3ヶ月…と答え、探検隊の皆も誰も口を割らなかったのは、人間としてそっとしといた方が良いと思ったからですと説明するが、俺だって人間だ!と社会部長は怒鳴り返す。

ネルソン主催の「小美人ショー」が行われる会場は、長蛇の列ができていた。

舞台に登場したネルソンは、今は原子力の時代に鳴りました。でも、奇跡は昔のことでしょうか?そして、神秘は言葉だけのものでしょうか?いいえ、奇跡は今でもあります。神秘も夢ではありません。現代の奇跡、現代の神秘、私が南海の孤島で発見しました。可愛い妖精をご紹介しましょう!と挨拶をすると、舞台後方から、小さな馬車がピアノ線にそって滑って舞台上に降りて来る。

馬車から降り立った小美人は、「モスラ〜や モスラ〜♩」と歌い始める。

観客席に来ていた福田は、信次から、兄も後ろの方に来ていると教えられたので、中條と顔を合わせる。

中條は、当初乗り気ではなかったロリシカ国が合同調査に加わったのは、あのネルソンが費用を全部出すと言ったそうだからだと情報を教える。

そして、小美人が歌う曲を聴きながら、あのメロディ?と何かを思い出す。

同じ頃、インファント島でも、島民たちがモスラの卵が安置してある神殿内で踊っていた。

楽屋裏のネルソンの所には花村女史がインタビューを申し込みに来ていたが、ネルソンはPRは必要ないと追い返そうとしていた。

そこに、福田と中條兄弟が入って来て、非人道的行為は止めて、今すぐあの二人を島に返してやれと説得するが、ネルソンは、あれは資料だと抵抗し、3分間だけ会わせてやろう。妖精たちが、どんなに幸福か聞いてみるがいいと譲歩してみせる。

ただし、花村女史のカメラは、その場で没収されてしまう。

福田と花村、中條兄弟が奥の部屋に行くと、そこには、鳥かごの中に入れられている小美人を発見する。

中條は、僕のことを覚えているかい?吸血植物から助けてもらったものだと話しかけると、最初は戸惑っていた小美人もすぐに思い出したように顔を輝かせる。

福田は、希望は捨てないでね。世界中にはあんたたちに同情している人がたくさんいるんだと話しかけるが、小美人は「ありがとう」と、急に日本語を話したので、皆は唖然とする。

私たちの言葉が分かるんですか!?と中條は聞くが、小美人は言葉だけではなく、私たちの気持ちを遠い所へ伝えることもできるのだと言うので、中條はテレパシーですねと納得する。

私たちは必ず島に帰ります。でも…と小美人が言うので、でも?と福田が聞き返すと、私たちが助かる代わりに、この国の罪のない人たちに大きな不幸が起こりますと言うではないか。

どういうことなの確認すると、小美人は、モスラが来ます。モスラが来るんです、私たちを助けに…と告げる。

花村女史は、ライター型カメラで小美人の姿をこっそり撮る。

インファント島では、島民たちが踊っていた。

モスラよ、永遠の命モスラよ!哀しき僕に応え、今こそよみがえれ!

巨大な卵にひびが入り、モスラの幼虫が誕生する。

翌日、鳥かごの中に入れられた小美人の写真と共に「檻の中の自由」と題された小美人の記事が乗った日東新聞を持ち込んだネルソンと部下(中村哲)は、社会部長に怒鳴り込む。

そこへ、福田が、南太平洋に正体不明の大漂流物を発見したと言う速報テープを持ってやって来る。

これはモスラじゃないかと社会部長に言う福田に、君は新聞記者より宣伝マンになった方が良いねとネルソンはからかうが、花村女史も、小美人は、モスラが来るとはっきり言っていましたと福田を援護する。

小美人ショーはその日も相変わらず続いていた。

小美人が歌う歌声は、ラジオ放送を通じて、太平洋上を進んでいた豪華客船オリオン号にも届いていた。

そのオリオン号の前に、巨大なモスラの幼虫が姿を現し、オリオン号が避ける間もなく、側面から衝突し、沈没してしまう。

この事故の報を受け記者会見を開いたネルソンだったが、全く無関係と言うだけだった。

部下も、言いがかりだ、迷惑だと繰り返し、ロリシカ国のために告発するとまで言い出す。

その場にいた中條は福田に、彼女たちに話してみようとつぶやき、こっそり、二階に上がって行くが、見張りの部下たちに阻まれてしまう。

福田は、ここは自分に任せて行ってくれと中條を小美人の部屋に向かわせると、単身、ネルソンの子分たちを戦い始める。

中條からモスラを止めることはできないのかと聞かれた小美人だったが、モスラには善悪の区別はありません。私たちを島に戻す本能しかないんです。私たちも哀しい。でも、相しようもないんですと答える。

福田に会い、万事休すかと思われたとき、中條はもう一つのアイデアを思いつく。

すぐに、原田博士の元を訪れた中條は、テレパシーを遮断できないか相談する。

話を聞いた原田博士は、全ての電波を遮断する合成物質を見せる。

太平洋上を監視飛行していたジェット機が、会場を泳いでいるモスラの幼虫を発見する。

東経137度10分、北緯23度50分、東京方面に向かっていると、相重視は通信を送る。

この報を受けた防衛長官(河津清三郎)は、第一次攻撃隊を発進させる。

日東新聞の社会部長は「洋上のモスラ殲滅作戦」をトップにしようと提案していた。

そこに福田が、ロリシカ国は、海外にいる自国民を擁護すると言う声明を出してネルソンを守るようですと、緊急伝を持ってやって来る。

第一次攻撃隊の戦闘機は、洋上のモスラにナパーム攻撃を仕掛け、海上は炎に包まれる。

このニュースを聞いたネルソンは、テレパシーを遮断する物質で作ったカバーを持ち、楽屋に来ていた福田や中條にもう心配ないと説明していた。

福田は、君の欲望の為に、大勢の人が不幸になろうとしているんだと詰め寄るが、ネルソンは、このカバーも必要ないと思うと冷笑する。

その頃、第3ダムでは、係員二人が、大福餅をもらって来たなどと談笑していたが、ダムの湖面が盛り上がり、異常な状態になったことに気づき、腰を抜かしながら通報する。

ネルソンは、とりあえずカバーは御預かりしておきましょうと言いながら、福田や中條たちを劇場の外に送り出していた。

その時電話がかかり、その場にいたネルソンが取ると、公演中止を告げられたようで激怒する。

そこに、花村女史がやって来て、第3ダムが大変なのよと帰りかけた福田と中條に告げる。

ダムは決壊しかかっていた。

小美人はまだ歌っており、いら立ったネルソンは、うるさい!と怒鳴りつけと、電波遮断カバーをかけ、小美人のカゴをバッグに詰め込む。

一方、第3ダムに到着した福田は、ダム湖にいるらしいモスラのことを、どうしてこんな所に?と不思議がるが、今正に溢れようとするダムの上をリヤカーを牽いて避難して来る家族を発見、中條と共に引っ張ってやるが、その時、リヤカーを牽いていた母親が、積んでいた赤ん坊の入ったかごがないことに気づく。

かごはダムの上に落ちており、その中で赤ん坊が泣いていた。

福田はためらうことなく、崩壊しかけていたダムの上をかけ戻り、赤ん坊の入ったかごを持って戻って来るが、次の瞬間、ダムは崩壊する。

モスラが都下に出現したことは、大きく新聞でも報道される。

中條は、弟の信次の日記に、憎むべきネルソンと書かれているのを読む。

その信次は、一人でこっそり、ネルソンの楽屋に忍び込んでた。

電波遮蔽カバーを取ってやった信次を観た小美人は感謝するが、でもモスラが来るのと哀しそうに告げる。

信次は、僕んちへおいでよと誘うが、その時、楽屋にネルソンらが大使館から戻って来たので、信次は見つかる。

信次は、小美人のかごを持って逃げようとするが、子分たちに捕まってしまう。

その頃、福田は、日東新聞社で、とうとうロリシカ国はネルソンの小美人の所有権は放棄するのが望ましいと言う声明を出したと社会部長に報告していた。

劇場にやって来た福田は、弟が来たらしいんだと言う中條とかち合い、二人して楽屋へ向かうが、そこはもうもぬけの殻で、縛られてイスの下に詰め込まれていた信次を発見する。

信次は、逃げちゃったよ、ネルソン…と悔しがるが、そこに花村女史も駆けつけて来て、モスラが、横田基地から東京へ向かっているのと教える。

戦車隊や戦闘機が出撃し応戦するが、モスラの進撃は食い止められなかった。

第一次攻撃隊は国立競技場に集結するよう指示が出る。

モスラは、渋谷道玄坂から渋谷駅の上に建つ東急百貨店東横店を破壊し、東京タワー方向に進撃を続ける。

ネルソンたちが乗って逃亡を図っていた車は、渋滞に巻き込まれ身動きできなくなっていた。

東京タワーは照明が消える。

東京タワーによじ上りかけたモスラだったが、途中で、タワーはまっぷたつに折れ、モスラはひっくり返ってしまう。

この事態を観た攻撃隊の攻撃は一時中止される。

その時、モスラの幼虫は空中に向かって糸を吐き始める。

上空を偵察していたヘリコプターが、この糸に絡まれ、落下炎上してしまう。

戦車隊から、モスラが繭を作っていると言う報告が作戦本部に届く。

本部にいた原田博士は、モスラが成虫になったら大変ですと防衛長官に進言する。

ネルソンは、部下から、ジョージ・ワーカーと言う偽名のパスポートを渡され、羽田にやって来る。

検問を受けるが、MPは、ロリシカ大使館員だと称するネルソンを、持っていたバッグの中身を調べることもなく、あっさり通してしまう。

社会部長は、東京タワー近くで取材していた福田や花村女史と合流するが、福田は羽田に行こうと言い出す。

ロリシカ国大使館は、日本への援助を惜しまないとの声明を出し、熱戦砲をすぐに提供する旨、防衛長官に約束する。

翌朝、大勢のマスコミ関係者が見守る中、ロリシカ国の熱戦砲を積んだ車両が東京タワー近くに到着する。

攻撃開始は10時と決まる。

全員、目を保護するためサングラスを着用する中、10時きっかり、パラボラ型の熱戦砲は光線を繭に浴びせ始める。

繭は、その光線で燃え上がり、ロリシカ軍と日本防衛隊員たちは成功の握手を交わす。

その頃、ロリシカ国の農場に到着していたネルソンたちは、ラジオ放送で、モスラが死滅したらしいとのニュースを聞き、子分たちと大喜びしていた。

小美人が歌っても、さあ、もっと歌え!いくら歌っても、もうモスラは来ないんだとネルソンは嘲笑する。

東京タワーに付いていた繭が突然割れ、中からモスラの成虫が姿を現す。

羽を広げたモスラは、大空に向かって飛び立って行く。

それを観ていた中條は、モスラはロリシカ国に向かって飛んで行くぞ!と指摘し、福田も、やっぱり奴らはロリシカに逃げ帰っていたんだと悔しがる。

ネルソンは飛来したモスラにロリシカ空軍が全滅したと報ずるラジオニュースを聞くと、逆上し、トランジスタラジオを投げつける。

これ以上抵抗しても追いつめられるだけだと忠告する子分を殴りつけたネルソンは、小美人を連れ、更なる逃避行を始める。

その頃、福田、花村女史、中條の3人は、ロリシカ国に向かう旅客機のラウンジで対面していた。

中條は、僕たちは、小美人と話ができる唯一の人間として、ロリシカ国からの要請によって行くんだと説明する。

モスラは、大都市ニューカークシティに飛来、破壊の限りを尽くしていた。

ネルソンと部下たちは、車で反対方向へ逃げようとしていたが、途中、群衆に阻まれ、ネルソンだと見破られてしまう。

ネルソンは銃を取り出すと、車の外に降り、近づいて来た警官を一人射殺する。

その後、老人を倒して逃げようとしたネルソンだったが、背後から警官たちに射殺されてしまう。

ニューカークシティーの政府関係者(ダン・ユマ)は、小美人の入ったかごを奪い返すことに成功する。

モスラは、ニューカークシティを破壊し尽くしていた。

小美人を取り戻したロリシカの群衆たちだったが、早く返さないとニューカークは全滅だと騒いでいた。

そこに、日本から到着した中條、福田、花村らがやって来るが、政府関係者は、もうニューカークシティはダメだと告げる。

それを聞いた神父(ヘンリコ・ロッシー)は、祈り始め、教会の鐘が鳴り始める。

その音を聞いた花村女史は何かを思い出す。

何かモスラを止める方法はないのかと焦る福田に、教会の屋根の上にある十字架の背後に輝く太陽を観ていた中條は、碑文に書かれた古代の文字を連想し、良し!やってみようと言い出す。

中條は、そのマークを政府関係者に示すと、空港の滑走路に、このマークを大きく描いてくれ、さらに、町中の教会の鐘を、3時になったら一斉に鳴らしてくれと依頼する。

その後、空港にやって来た中條たちは、トラックによって滑走路に描かれたマーク目がけ、モスラが着陸したのを確認する。

その時、町中の教会の鐘が打ち鳴らされる。

福田は、気のせいか、何だか静かになって来たとつぶやく。

小美人の入ったかごを持って、モスラに近づいて行く中條たち。

かごを滑走路に降ろし鍵を開けてやると、出て来た小美人たちは、ありがとう、みなさんと中條たちに感謝する。

私たちは、世界中の人たちが平和に暮らせる日が来ることを祈りますと小美人は告げる。

中條たちも、今後は、インファント島の平和を観出さないように約束する。

福田と花村も、小美人に別れを告げる。

小美人は、モスラの頭部に乗り込み、モスラは飛び立って行く。

それを見送る中條や福田たち。

福田は、デスクに電話しなきゃ、トップだよと喜ぶが、花村女史は、写真取るの忘れちゃったと謝る。

中條たちは大笑いする。

モスラは、インファント島に帰って行く。

小美人は、踊る島民たちの前で、再び歌い始める。

平和とは、永遠に続く繁栄への道である。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「ゴジラ」(1954)の後、数々の怪獣特撮映画を連発しながらも、今ひとつ決定打に欠けていた時期に生み出された新機軸の怪獣大作。

3人の文学者のアイデアをベースにしており、勇壮なファンタジーに仕上がっている。

当時としては、破格な値段で海外に売れた作品でもあるらしい。

ラストが、もう一つ撮影されていたと言うのは有名な話だが、ネルソンを九州に追いつめると言うバージョンも観てみたかった気はする。

改めて見直して感じるのは、志村喬、フランキー堺、香川京子、上原謙など、一般映画としても当時のトップクラスの俳優たちが出演していること。

内容は、中條の弟、信次が一人で活躍するシーンがあるなど、明らかに子供を意識した作りなのだが、当時評価が高まっていた海外市場も意識し、一般映画同様、本格的な撮影が行われていることが分かる。

群衆シーンの迫力も凄く、小美人を観る為に劇場の入口に並ぶ観客や、東京タワーに繭を作ったモスラの周囲に集まる群衆の多さは、まさしく大作と言うしかない迫力である。

福田の同僚の記者として、ウルトラマンこと古谷敏も登場している。

モンスター映画としては、モスラ出現までかなり時間がかかり、ややスローペースだが、それまでの話の展開の面白さ、特撮的見せ場も多いので、決してだれると言うことはない。

インファント島のジャングルセットの凄さは圧巻で、巨大なカビが生えている洞窟などは、美術班の努力の賜物のようだ。

むしろ、モスラが出現して街を壊すシーンになると、やや、見せ方が単調になっているようにも感じる。

特に、ニューカークシティの破壊は、急遽、追加されたシーンだったとは言え、大味な気がする。

幼虫モスラは、まっすぐ突き進むしかなく、成虫になると飛び回るしか動きのパターンがないので、どうしても都市破壊に変化が出にくいのだ。

太平洋を東京に向かっていたモスラが、急に第3ダムなどと言う内陸部に唐突に出現するのも、破壊シーンに変化が少ないモンスターとして苦肉の策だったのかも知れない。

自然の象徴のようなものを都会に持って来て見せ物にしたために、その報いを受ける…と言う構造は「キング・コング」(1933)を連想させる。

本作は、その「キング・コング」のスカル島を「核実験にさらされたインファント島」と言う、今風のショッキングな設定に置き換えている所が見所だろう。

現住民が、カビが巨大化した特殊な植物から抽出した赤い汁を飲んでいたので、放射能被害を受けずにすんだと言う説明はあるものの、核実験の場となった島に、なぜ緑の植物が生い茂っているかなど、いくらファンタジーとは言え説明不足の部分も多く、核への認識が甘いことは否めないが、その知識のなさが、逆に不可思議な空間を作り出す要因になっているような気がする。

奇妙なジャングルが、放射能の影響で生まれたのかどうかと言う説明も何もない所が凄いと言えば凄い。

核実験を繰り返していたアメリカ側からの指示があったのかもしれないが、こういう描写なら、核を持っている、いないに関わらず、どこの国でも歓迎だったに違いない。

善ちゃんこと福田を演じているフランキー堺の芸達者振りと、中條を演じている小泉博の誠実な生真面目さの対象も面白く、敵役ネルソンを演じているジェリー伊藤の独特のキャラクターと共に、作品の魅力を増している。

よく考えると、ネルソンのやっている古美術ブローカーと言うのは、インディ・ジョーンズと同じようなことだと気づかされる。

インディの本職が学者であるのに対し、ネルソンの本職は興行師と言う違いがあるだけだろう。

有尾人を探した過去もあるなどと説明されている所を観ると、小栗虫太郎の人外魔境シリーズに登場する折竹孫七など同様、探検家の側面もあったのかもしれない。

そういう風に考えてみると、この作品は「怪獣もの」と言うより、「秘境探検もの」に近いと考える方がふさわしいのかもしれない。


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