TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

怪獣島の決戦 ゴジラの息子

1967年、東宝、関沢新一 + 斯波一絵脚本、福田純監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

嵐の太平洋上を飛ぶ一機の気象観測機、無線係(大前亘)は、脳波に似た誘導電波がどこからか出ており、無電がダメだと叫ぶ。

その時、海上にゴジラが出現、機長(黒部進)は何とか飛行機の進路を変えそれをかわすが、妨害電波が消えたと無線係は言う。

では発信源はゴジラか?と操縦士が聞くと、7時の方向から出ていると言いながら、地図を探していた操縦助手(鈴木和夫)は「ゾルゲル島」と言う謎の島を発見する。

どうやらゴジラは、そのゾルゲル島に向かっているようだった。

隊長はつぶやく。何がゴジラを呼び寄せているんだ?一体、ゾルゲル島に何があるんだ?…

タイトル

ゾルゲル島のジャングルの中を進む二人の日本人。

森尾(佐原健二)と古川(土屋嘉男)だった。

二人は、島の2カ所に設置してあるカプセル塔の点検に来た国連食料計画機構の研究員たちだった。

しかし、先輩格の古川の方は、何故か、仕事に熱心ではなく、カプセルNo.2に来ても、作業は森尾に任せっきりだった。

森尾は、カプセル内の電話で本部と連絡し、変化なしと報告するが、慣れでやっちゃいかんと言う声が聞こえて来たので、あ!オヤジだと慌てる。

電話の向こうに、楠見博士がいたことを知ったからだ。

古川は、俺にはこの島の空気が体質に合わんと言いながら不機嫌そうだったが、その時、不気味な声が聞こえたので、思わずライフルを構える。

近くのジャングルの中を何か不気味なものが通り過ぎて行くのを確認した古川は。ここは人間の住む所じゃないと吐き捨てる。

島の実験隊本部には、発電質やゾンデ-工作室など、各種の施設が作られていた。

レーダー室にいた田代(久野征四郎)と藤崎(平田昭彦)は、妨害エネルギーの発生に気づくが、すぐに消えてしまう。

藤崎は、妨害エネルギーは何なのか頭をひねる。

その時、レーダーが捉えた島に接近して来る飛行機に気づく。

外に出てみると、近づいて来る飛行機を慰問の飛行機だなどと森尾が喜んで観ていたが、秘密裏に実験を行っているこの島のことを知っているものはいないはずだと藤崎は不思議がる。

その飛行機から二つパラシュートが落とされ、海岸に行ってみると、一つは荷物、一つは見知らぬ青年だった。

本部にやって来たその青年は、真城伍郎(久保明)と書かれた名刺を差し出し、フリーの記者だと自己紹介する。

楠見博士は、取材は受け付けない。すぐに帰りたまえと相手にしなかった。

夜、食事を出された伍郎は、それを我慢して意地を張っていたが、そこに楠見博士と共にやって来た藤崎が、雑用係として働いてもらったらどうでしょうと博士に助言する。

博士は、いつまでライフジャケットを着とるんだと伍郎に言うと、そのまま黙って帰って行く。

許可が降りたと知った伍郎は、安心して食事を取ろうとするが、その時、近くのジャングルから不気味な音が聞こえて来て、銃を持った古川たちが飛び出して来る。

ジャングルの中には、人間よりも巨大なカマキリが現れ、古川は怒りを込めて発砲する。

翌日、伍郎が料理の支度をしていると、藤崎や古川たちがジャングルから戻って来る。

伍郎は、昨日の巨大カマキリのことを藤崎に聞くが、藤崎は、君はトップ屋としてではなく雑用係として働きたまえと言われてしまう。

古川は相変わらず不機嫌だったので、伍郎が田代に訳を尋ねると、一ヶ月以上もこんな所に缶詰だからと教えてくれる。

その田代、伍郎が乾燥野菜を風呂で戻していることに気づくと、その風呂で古川がさっきパンツを洗っていたぞと教えてくれる。

そんなことは知らない古川本人もやって来て、乾燥野菜ばかりじゃなくて、たまには新鮮な野菜を食べさせてくれ。ここにはゾンゲルパセリを言う野菜がこの奥には一杯あるんだと教えてくれる。

早速、そのゾンゲルパセリを探しに、海岸近くにやって来た伍郎は、海で泳いでいる美女を発見し驚く。

持って来たコンパクトカメラで撮影しようとしたとき、足下の石が落ちてしまい、そのもの音に気づいた美女は、あっという間に姿を消してしまう。

その日の夕食時、藤崎から気象状況を聞いた楠見博士は、明日辺り、絶好の実験気圧配置になるねと話していた。

それを聞いていた伍郎は、それは島を凍らせる実験ですか?だったら、現住民の女はいつ収容するんですか?と言い出したので、藤崎たちは驚く。

島内調査はすでに行っていたからだ。

古川などは、君は実験の邪魔をする気か!俺は早く実験を終わらせて帰りたいんだ!と伍郎に怒鳴りつけると、早々に自室に戻って行ってしまう。

なぜ、そんな実験をしているのか?と伍郎が聞くと、後一世紀で世界の食料事情は限界を超える。今、使われていない不毛の地を、気象コントロールで農地に変えられれば、その問題も解決すると楠見博士は説明する。

そんなに意義がある実験なら、なぜ秘密にしているんです?と聞くと、悪用されると地球を凍らせることになるからだと博士は答える。

翌日、予定通り、実験準備が始まるが、楠見博士は、伍郎の姿が見えないことに気づく。

藤崎は周囲に警報を鳴らし、戻るようにアナウンスで呼びかけるが、伍郎は、あの美女を観た海辺にやって来て、出て来るように呼びかけていた。

冷凍ゾンデが打ち上げられ、高度800で爆破される。

上昇気流が発生し、島に設置されたカプセル塔上部からヨウ化銀が散布され始める。

太陽熱吸収合成放射能ゾンデが打ち上げられた時、突如、リモートコントロールが不能に陥る。

藤崎は、島の中央部から妨害エネルギーが発信されていると言う。

伍郎は何とか戻って来たものの、実験途中での失敗で、島の温度は摂氏70度に上昇し、その夜は、熱隗雷雨が襲い、熱い洪水が島を洗い流した。

四日後、何とか気温は37度までに下がった。

建物の中の冷房がなければ、全員死んでいた所だった。

何とか危機を乗り越えた研究員たちは、久しぶりに外に出てみる。

楠見博士は、機材の点検、被害状況の報告をするように全員に伝える。

伍郎は、一人観察に出かけた楠見博士に同行するが、その時、驚くべき巨大さに変化したカマキリを発見する。

博士は、高温と合成放射物質のせいで巨大化したのだろうと推測する。

近くにあったNo.1カプセルにたどり着いた博士は、そこから電話連絡を取ろうとするが、熱で電話線は焼けただれていた。

そのカプセルの背後を進んで行ったカマキラスを含め、3匹出現したカマキラスたちは、島の中央辺りにあった小山を崩し始める。

そこは、ちょうど、妨害エネルギーが発信されているらしき場所だった。

やがて、小山の中から巨大な卵が転がり出る。

その後、本部内でのミーティング。

楠見博士は、10日もあれば応急修理はできると発言し、実験続行の意思を見せるが、すぐに、古川と鈴木(西条康彦)が反対する。

その時、藤崎が、無線が壊れて動けない状況であると発言したので、結局、実験続行と言うことになり、古川は怒って出て行ってしまう。

藤崎と二人きりになった楠見博士は、君も役者だね。無線の一部を壊したのを観ていたよと笑う。

外に出た伍郎は、干していたはずの自分のシャツがなくなっていることに気づく。

楠見博士は、田代に、背後の木の上に何かいると教える。

観ると、あの美女が伍郎の赤いシャツを持ち、蔦をターザンのように使って逃げて行く。

伍郎は、観たでしょう?と全員に美女のことを確認する。

藤崎が、伍郎がカマキリの怪物の名をカマキラスと名付けたと博士に教えていた。

伍郎と森尾が、昨日の卵の所へ戻ってみると、3匹のカマキラスが、巨大な卵を巨大な爪で叩き割っていた。

中から出て来た生物を観た伍郎は、ゴジラの赤ん坊ではないかと言う。

その頃、本部では、銃を持ち出した古川が反乱を起こし、一人海岸に逃げて来ていた。

藤崎がそれを停めようと追って来るが、二人の目の前の海が徐々に盛り上がり、ゴジラが出現する。

ゴジラは、卵から生まれた赤ん坊ゴジラの場所に近づいて来たので、妨害エネルギーは、あの赤ん坊ゴジラが親を呼んでいたのだと分かる。

伍郎と森尾はその場を逃げ出すが、放射能火炎で吹っ飛んだカマキラスの片腕が、燃えながら彼らの側に落ちて来る。

2匹のカマキラスは、石をボールのように互いにパスし合い、間合いを観てゴジラの方へはね飛ばすが、その石は赤ん坊ゴジラの額を直撃する。

その後、さらに一匹のカマキラスを倒したゴジラは、最後の一匹が飛んで逃げたのでその場から離れて行くが、取り残された赤ん坊ゴジラは泣いていたので、近くにいた美女が不思議な口笛を吹くと、興味を惹かれて寄って来る。

美女は、赤ん坊ゴジラに、果物を切って投げ与えるが、そこにゴジラが戻って来て尻尾を差し出して来たので、赤ん坊ゴジラは、その尻尾に這い上がって一緒に去って行く。

その様子を見届けた美女は、住処である洞窟の中に入ろうとするが、そこに伍郎がいたので驚いてしまう。

伍郎は、その洞窟の中に古いノートなどが置いてある机があり、その机の上に、自分が盗まれた赤いアロハがあったので唖然とする。

美女は「泥棒!」と日本語で言い、この本を盗もうと下と伍郎に濡れ衣を着せようとしたので、伍郎も負けじと、君の方こそ泥棒じゃないか!このシャツは僕のだと主張する。

サエコ(前田美波里)と名乗ったその美女は、男がそんな赤いシャツなど着るはずがないなどと抵抗するが、君にやるよと伍郎から言われるとすぐに笑顔になる。

どうして、こんな所に一人でいるのかと伍郎が聞くと、サエコは一冊の古いノートを差し出す。

そのサエコを連れ本部に戻って来た伍郎は、研究員たちに彼女を松宮サエコと紹介し、1955年松宮正と書かれた日誌を楠見博士に手渡す。

父親は考古学者で、7年前に亡くなり、母もサエコを生んですぐに死んだのだと伍郎は説明する。

その時、間近にカマキラスが出現したので、このままでは本部がやられてしまうので、ジャングルの方へ誘導しろと博士は命じ、藤崎や古川たちは、銃を撃ちながらジャングルの方へ入り込む。

伍郎は博士に、実験室を彼女の洞窟に移動させてはどうか?彼女があの高温から助かったくらい涼しいんですと進言する。

その頃、赤ん坊ゴジラ、ミニラは、眠っていたゴジラの側で一人石蹴りなどしていたが、その内、ゴジラの尻尾が動いているのに気づくと、それを縄跳びのように飛び越えたりし始める。

一方、伍郎とサエコはかけっこをするくらい仲良くなっていたが、君みたいに早い女は東京にはいないよと伍郎が言うと、東京って何?とサエコが聞いて来たので、ここと同じくジャングルみたいな所だと教えると、伍郎さんはそこに帰るのね…とサエコは寂しがる。

君も一緒に連れて帰るよと伍郎が言うと、喜んだサエコは伍郎の首にしがみついて来る。

そんな二人の側にミニラが出現したので、伍郎は逃げ腰になるが、赤ん坊は大丈夫よと言うサエコは、又不思議な口笛を鳴らし、ミニラの注意を牽くと、果物を切って投げ与える。

そこに、パパゴジラが現れたので二人は逃げるが、ミニラはパパゴジラから叱られ、だだをこね始める。

洞窟に移動した実験室でサエコの父親の日誌を読んでいた楠見博士は、この中にクモンガと言う言葉が何度か出て来るが何のことだろう?と藤崎に尋ねていたが、藤崎にも分からなかった。

そこに、森尾が暑いと言い、ふらふらしながら入って来たので、額に手を当ててみると凄い高熱だった。

洞窟の外には、他のメンバーたちも高熱を出して倒れ込んでいた。

とりあえず洞窟の中に収容し、看病を始めた楠見博士らだったが、熱病らしいこの症状を治す方法が思いつかなかった。

その時、かいがいしくメンバーたちの看病の手伝いをしていたサエコが、熱を下げる良い薬がある。赤く暑い沼の水を飲ませれば良いので、自分が取って来ると言い出す。

ただ、その沼の側には今ゴジラがおり、途中にはクモンガの谷があるのだと言うので、博士は、サエコに同行する伍郎に、クモンガの糸は熱に弱いと日誌に書いてあったと教える。

サエコと伍郎は赤い沼目がけて出発するが、途中、クモンガの谷にさしかかる。

クモンガはどこにいるのか?と伍郎が聞くと、谷底の土の中だとサエコは教える。

伍郎は、何度か足元の石を崩してしまうが、石が谷底の方へ落ちるたびに、クモンガが起きて来ないかとヒヤヒヤしていた。

やがて、赤い沼の近くに来るが、そこにはゴジラがミニラを従えて吼えていたので、気づかれたんだ!と伍郎は焦るが、サエコは違うわと言いながらゴジラたちの様子を良く見るように促す。

ゴジラはミニラに鳴き方を教えていたのだった。

伍郎は、教育パパかと呆れる。

続いてゴジラは、放射能火炎の吐き方をミニラに伝授しようとするが、ミニラが吐く火炎は、タバコの環のように弱々しかったので、ゴジラは、ミニラの尻尾を踏んで、力強いか円の吹き方を学ばせる。

練習が終わった後、サエコと伍郎は無真の水を汲んでもって帰る。

洞窟内で、持って来た赤い水を病人たちに飲ませていた時、突然、古川が暴れ出し、銃を撃ち始めたので、流れ弾が楠見博士に左腕をかすってしまう。

サエコは、明日になったら、傷の良い薬を取って来ると博士の腕の応急手当をしながら約束するが、楠見博士は藤崎に無線の修理を頼み、こんな状況では実験を諦めるしかないと言い出す。

翌日、一人で薬を採りに出かけたサエコだったが、途中、カマキラスに遭遇し、口笛を吹いてミニラに知らせようとするが、途中で力尽きた折れてしまう。

カマキラスが倒れたサエコに近づこうとしたとき、ミニラが近づいて来る。

ミニラは、倒れているサエコを発見すると、放射能火炎を吐こうとするが、輪っかしか出ない。

さらに、カマキラスの爪で肩を殴られ尻餅をついてしまう有様。

その時、石がクモンガの谷底に落ち、土の下に隠れていたクモンガが出現する。

伍郎が駆けつけて来て、何とかサエコを助け出すが、ゴジラも出現して、カマキラスを放射能火炎で退治する。

伍郎とサエコは逃げていたが、谷を這い上がって来たクモンガが二人を追って来て糸を吹き付ける。

最初はナイフで糸を切ろうと焦っていた伍郎だったが、楠見博士に聞いた話を思い出し、ライターの炎で糸を溶かし逃げる。

二人は岩の隙間に逃げ込むが、追って来たクモンガが糸を吐きかけて来る。

伍郎はライターの火で糸を溶かしながら、サエコに崖を登るように命じ、自分も後に続く。

崖の上に登って下の様子を見ると、まだクモンガは、崖の間に糸を吹き付けていたので、そのままそっと逃げ帰ることにする。

カプセル塔の修理をしていた楠見博士と出会った二人は、博士が最後まで実験を諦め切れていないことを知る。

何とか洞窟に戻って来た三人だったが、入口の様子を見に行った森尾が、クモンガが巣を作っていると知らせに戻る。

入口からクモンガの触手が一本伸びて来て、鈴木に襲いかかる。

その時、藤崎が無線の修理が終わったことを知らせるが、アンテナを外に立てないとダメだと言う。

それを聞いたサエコは、洞窟の奥には海に出られる抜け穴があると言い出したので、伍郎は、いつか、泳いでいたサエコが消えたときの出口だと知る。

伍郎とサエコはアンテナを持って外に出ると、崖の上にアンテナを設置するが、そこに、ミニラが好奇心に駆られ、近づいて来たので、二人は必死に追い払う。

ミニラは、そこに出現したクモンガから糸を吹き付けられ、じたばたしたので、その真下のあった早苗たちの洞窟は崩壊を始める。

外の様子を探りに出た森尾は、クモンガとゴジラの息子が戦っていると言うので、楠見博士は、ここにゴジラでも来られたら、洞窟は完全に破壊されてしまう。凍結によって怪獣の動きを止めようと言い出す。

無線を担当していた藤崎は、連絡が取れ、すでに調査船がこちらに向かって出港したそうだと報告する。

博士は、全員にすぐに実験の準備にかかるよう命じる。

外では、すっかり糸に身体を包まれたミニラが倒れてしまう。

古川たちは張り切り、本部に向かうと、準備を始める。

サエコと伍郎は、海岸に向かい、救命ボートを膨らませて仲間たちを待つことにする。

クモンガの前に、新たなカマキラスが出現する。

クモンガとカマキラスとの戦いで崖が又崩れ始めた中、冷凍ゾンデが打ち上げられ、上空で爆破される。

その音で、それまで眠っていたゴジラが目覚め、ヨウ化銀を放射し始めたカプセル塔を横目にミニラのいる方向へ近づいて来る。

糸で動けなくしたカマキラスに近づいたクモンガが、強力な針で一突きし、カマキラスを殺す。

博士は、合成放射能ゾンデを揚げさせる。

その時、又、妨害エネルギーが発生し、レーダーが異常を来す。

クモンガが針を見せながらミニラに近づいた時、死を覚悟したミニラが諦めたのか、妨害エネルギーは消える。

その時、ゴジラが投げつけた大きな岩が当たり、クモンガはひっくり返る。

ゴジラがミニラを助け起こしている時、起き上がったクモンガが糸をゴジラに吹き付ける。

ゴジラは放射能火炎で応酬するが、クモンガは手強く、糸が絡まったゴジラは倒れてしまう。

合成放射能ゾンデが高度1000mに達した時爆破。

海岸で実験成功を知ったサエコと伍郎は、怪獣たちは草原の方に向かったと言いながら、洞窟内に博士たちを迎えに来る。

ミニラは倒れたゴジラを助けようと、弱いながらも、放射能火炎でクモンガの糸を空中で溶かしていた。

クモンガはさらにゴジラとミニラに迫って来る。

何とか立ち上がったゴジラはクモンガをひっくり返し近寄るが、クモンガが吐き出した針がゴジラの右目を潰す。

博士たちが救命ボートで沖に出かかった時、島に雪が降って来る。

クモンガはゴジラの身体に覆いかぶさって来る。

ミニラは弱い放射能火炎で抵抗するが、クモンガには全く通用しない。

ゴジラは、クモンガから離れ、放射能火炎を浴びせると、ミニラと目で合図し合い、同時に放射能火炎を発射する。

これには、さすがにクモンガも炎上してしまう。

雪が降る中、去るゴジラ。

それを追うミニラ。

やがて、島は凍結して行き、ミニラは途中で倒れてしまう。

ゴジラは、そんなミニラの元に戻って来ると、ミニラを抱きかかえてやる。

抱き合ったゴジラとミニラの身体を雪が覆い尽くして行く。

ボートでその様子を観ていたサエコは、可愛そうねと同情するが、伍郎は、雪が解けるまで冬眠するだけさと安心させる。

船を探していた研究員たちは、間近に盛り上がった水面に緊張するが、それは彼らを救いに来た潜水艦だった。

潜水艦に乗り込んだ伍郎は、雪が解けたら、ゴジラ親子はあの島で仲良く暮らすんだよと説明し、頷いたサエコはゾルゲル島とゴジラたちに、さようならを言うのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」(1966)に次ぐ、シリーズ8作目。

この作品も過去何度も観ているが、公開時にスクリーンで観た時から、「ミニラのマンガチックで不細工な造形」と「都市破壊などがない子供だまし的な内容」に否定的な印象を持ち続けていたのだが、今回、久しぶりに見直してみると、案外、南海ものとしては良くできている作品ではないかと感じた。

と言うのも、当初、キングコングを主役に作られるはずだった「ロビンソン・クルーソー作戦 キングコング対エビラ」の企画を、急遽ゴジラもの変更して作り直された前作「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」が、かなり面白みに欠ける出来だと感じたからだ。

モンスターものとして魅力を欠いた前作を観た後にこの作品を観ると、冒頭の気象観測機のアバンタイトル部分から、ラスト、潜水艦が出現し研究員たちを救出するまで、随所に、アイデアが盛り込まれており、実に飽きさせない展開になっている。

特に、南海モンスターものとしては良く考えられており、最初、等身大のカマキラスから、巨大化したカマキラスへの変貌振りを効果的に見せたり、後半出現するクモンガが、想像以上に強敵として描かれている点など、見応えがある。

前半の等身大カマキラスだけでも、巧く撮れば、大人向けモンスター映画にでもなりそうな雰囲気である。

もちろん、最初の実験が失敗し、島が高温の洪水で襲われた時、外に出ていて戻らなかったはずの伍郎がどうして助かったのか?とか、ゴジラがミニラに放射能火炎の練習をさせるとき、何度も赤い沼に向かって火炎を吹き付けているのだが、その水を病人に飲ませて放射能は大丈夫なのだろうか?とか、いくつか素朴な疑問点もあるのだが、子供向きとしては十分なアイデアが詰め込まれていると思う。

ミニラのおとぼけ振りも、大人になった今観てみると、結構、素直に笑えることが分かった。

顔の不細工さは相変わらず我慢できない部分もあるが、生まれてすぐは、時々、日本のあちこちに時折出現する人気者のアザラシのようでもあり、少し大きくなったミニラの鈍くささも、なぜか、子供に感心があるのかないのかはっきりしないゴジラのクールさと対比させると面白い。

人間ドラマとしては、冒頭から、島の環境に慣れず、苛ついている古川役の土屋嘉男が好演している。

無理矢理老け役に仕立てたような高島忠夫演ずる楠見博士以下、他のキャラクターが、皆一様に平板なキャラクターなだけに、余計に印象に残るのだろう。

マニア的な観点からすると、冒頭で、ウルトラマンのハヤタこと黒部進とゴジラの対面シーンがあることや、佐原健二と西条康彦と言う「ウルトラQ」コンビが、クモ男爵ならぬクモンガと戦うシーンがあるのが嬉しい。

あくまでも想像だが、ゾンゲル島に雪が降ると言うラストのイメージは、俳優加東大介の小説「南の島に雪が降る」からの発想ではないだろうか?

操演によるカマキラスとクモンガの歩き方が、やや弱々しい所をのぞけば、モンスター造形としてはなかなか良くできていると思うし、ラスト、ゾルゲル島が凍結して行く合成シーンは、今観てもなかなか巧い。

雪に埋もれて行くゴジラ親子の抱き合う姿も、いつまでも心に焼き付く名シーンだと思う。