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青銅の魔人

1954年、松竹、江戸川乱歩原作、小川正脚色、穂積利昌監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

第一部

和光の時計が深夜の2時を知らせている中、無人の銀座の大通りにこつ然と出現した不気味な青銅の魔人。

長い羽飾りの付いた帽子をかぶり、マントを翻していたが、その姿は全身鋼鉄の鎧で覆われ、顔も鋼鉄の銅像のようだった。

その魔人は、「銀美堂」と言う時計店のシャッターを爪で引き裂いて中に侵入すると、飾ってあった懐中時計を持ち去って逃げる。

タイトル

奥の部屋で寝ていた店のものが異常に気づき、警察に電話で知らせると、すぐにサイドカーに乗った警官が駆けつけ、事情を聞くと、大通りを歩き去ろうとしていた青銅の魔人を追跡し始める。

青銅の魔人は、近づいて来たサイドカーに手を上げると、そこから怪光線を浴びせ、サイドカーを転倒させる。

サイドカーから降りた警官二人は、ゆっくり歩いて逃げる青銅の魔人を追跡するが、途中、帽子を落とした魔人は、有楽町付近の角を曲がった辺りで、姿を消してしまう。

警視庁捜査一課の中村捜査課長(須賀不二男)は、この不可解な事件を報じた新聞を前に、刑事たちから盗品の報告を受けていた。

魔人に盗まれたのは懐中時計十個で、皆、骨董価値が高い舶来ものばかりだったと言う。

警戒体制のある夜、又しても、青銅の魔人が丸の内付近に出現したので、警官の一人が、同僚に追跡を頼み、自分は警視庁に連絡する。

連絡を受けた中村捜査課長ら警官隊は、すぐさま丸の内に出動する。

中村たちは、ゆっくり歩く魔人を全員で尾行、中村は銃で撃ってみるが、青銅の魔人はびくともせず、そのまま歩き続けるので、他の警官たちも銃撃を始めるが、魔人は何も感じないようだった。

魔人が角を曲がったので、中村たちも後をついて曲がるが、もうそこには魔人の姿はなかった。

その後、青銅の魔人は、とある時計塔の屋根の上に出現し、大きな時計盤を破壊すると言う謎の行動を取る。

中村捜査課長は、青銅の魔人が骨董価値のある時計だけを盗んでいることから、ひょっとすると、怪人二十面相ではないかと想像するようになる。

ラジオでは、古い時計を持っているものは注意するよう呼びかけ始める。

大磯の水野邸

昌一少年(中村俊介)は、兄水野元侯爵(片山明彦)の妻で義姉に当たるみち子(由美あづさ)が腕時計をしているので、青銅の魔人に狙われるかもしれないよとからかっていた。

しかし、魔人は、古い時計しか狙わないと知っていたみち子は平気のようだった。

むしろ、その話を一緒に聞いていた水野の方が、今日、ゴルフに出かける予定にも関わらず憂鬱そうな顔をしていたので、みち子は心配しながらも送り出す。

ゴルフ場で、二人の友人とプレイをしていた水野だったが、やはり様子がおかしいので、友人たちが訳を尋ねると、青銅の魔人が古い時計を狙っているらしいが、実は、家には「帝王の夜光」と言う古い時計を持っているので心配しているのだと打ち明ける。

それを聞いた友人たちは、金庫に入っているのなら大丈夫だよと力づけ、そんなことには気にせずゴルフを続行するよう勧める。

その後、ゴルフを終え帰宅して来た水野は、昌一や召使いたちが玄関口で待ち受けており、今しがた、青銅の魔人が現れ、みち子が誘拐されたと言うので仰天する。

執事たちは申し訳なさそうに、あまりに恐ろしかったので、どうしようもなかったと謝罪する。

そこに、連絡していた警官隊が到着したので、水野はただちに追跡を依頼する。

水野邸の中にある古井戸の底

そこには大きな部屋が作られており、そこに青銅の魔人が座っていた。

その横にはピエロ(桂小金治)が立っており、今さらって来たみち子を前に、水野家と言えば、佐賀の殿さまの家系だ。何か古い時計を持っているだろう?と尋問を行っていた。

青銅の魔人は、キリキリと不気味な機械音を立てているだけだが、それを聞いたピエロが人間の言葉に通訳しているのだった。

みち子は気丈にも、自分は知らない。直接、水野に聞けば良いだろうと返答していた。

その頃、水野は、書斎で、「佐賀藩秘史」と言う古い資料を読み、何とか、賊が狙っている「帝王の夜光」の由来を知ろうとしていたが、A国から渡来したと言うくらいしか分からなかった。

そんな昌一は、弟の昌一が裏を観て来ると言いに来たので、もう寝ろと注意するが、少年探偵団である昌一は勇敢さを示したので、注意するよう促して書斎へ戻る。

すると、今まで机の上に置いていたはずの「佐賀藩秘史」がなくなっており、代わりに「いただいた」と書かれた「青銅の魔人」の置き手紙が残っているだけだった。

その頃、裏山を観察していた昌一少年は、歩いて来る青銅の魔人を発見するが、その魔人は、昌一の存在を最初から知っていたとでも言うように近づいて来ると、一枚の手紙を手渡す。

勇気を奮って、昌一が手紙を受け取ると、青銅の魔人は、森の中に溶け込むように姿を消すのだった。

驚いた昌一は、すぐさま書斎の兄、水野に持って行く。

手紙には「人質の命が惜しくば 明日夜10時 帝王の夜光 以下」と書かれてあった。

ただちに、中村捜査課長らが駆けつけて来るが、昌一少年は、こんなとき、明智先生がいてくれたらなぁ…と残念がるのだった。

その名探偵明智小五郎(若杉英二)は、3、4日前から事務所を留守にしており、翌日飛行機で東京の事務所に戻って来た所だった。

事務所で出迎えた助手の高安玲子(藤乃高子)と小林少年(高山武男)は、少年探偵団の皆から、青銅の魔人事件を前に先生の不在を責められていたとぼやく。

しかし、明智は落ち着いて、青銅の魔人と会う時期を待っているんだが、そろそろお目にかかる時期のようだと意味ありげに説明する。

そこに、昌一と水野が訪ねて来て、みち子がさらわれたことを打ち明ける。

明智は、中村捜査課長には既に連絡を取ったかと確認する。

水野は、中村捜査課長にあなたのことを話したら、相談してみなさいと勧められたので来たのだと言う。

明智は、帝王の夜光には、あなたも知らない秘密が隠されているのですと謎めいた言葉を吐くと、すぐに水野、昌一兄弟と共に、大磯の水野邸へと向かう。

その明智たちが乗った車を、ずっと尾行するもう一台の車があった。

水野邸にある蔵の中に明智を案内した水野は、奥の部屋に置かれた金庫を見せる。

その番号は自分しか知らないと水野は言いながらダイヤルを回すが、その部屋の壁の隅の穴から、誰かのカメラのレンズが覗き込んでいた。

金庫の中から取り出された「帝王の夜光」と言う置き時計は、からくり時計のようだった。

その背面部分を調べていた明智は、一枚の古い地図を取り出してみせ、この半分が、水野家のどこかに隠されているはずであり、ここには、佐賀の金鉱の秘密が隠されているのだと説明する。

さらに明智は、自分がこれまでに調査した所では、先々代辺りの水野家の祖先が、もっと大切なものを遺され外国で亡くなったのだが、それは今話題のウラニウム鉱なのだと言う。

どうしてそんなことが分かったのかと水野が不思議がると、前の怪人二十面相事件の後、二十面相の巣窟を調べていたとき知ったのだが、二十面相は、この地図が誰かの時計の中にあるとだけしか知らなかったようなので、今回の青銅の魔人は手当り次第に時計を盗んでいるのだと明智は説明する。

この「帝王の夜光」はどうしましょう?と水野が聞くと、二十面相をここへおびき寄せて捕まえた方が良いので、元のまま金庫にしまっておいて下さいと明智は頼む。

かくして、水野邸は、警官隊によって厳重な警戒態勢の元に置かれることになる。

台所では、三人の女中たちが、蒸かし芋を食べながらも、不安がっていた。

そのとき、大きな物音がしたので彼女らはすくみ上がるが、それは表から忍び込んだ猫が立てた音だった。

それに気づいた女中の一人が、勝手口のドアを閉めようと、ちょっと外に目をやると、そこに青銅の魔人が立っていたので悲鳴を上げてしまう。

警官たちが駆けつけてみると、女中は倒れており、魔人が現れたと外を指差す。

一方、屋敷内を見回っていた昌一と小林少年は、とある部屋の中で物色中の青銅の魔人を発見、小林少年がドアノブを押さえている間、昌一が、明智や中村捜査課長らを呼びに行く。

明智らが駆けつけてドアを開けてみた所、もうそこには魔人の姿はなかった。

その場にいた皆が不思議がっていると、10時を知らせる時計の音が屋敷内に響き、次の瞬間、蔵の中の金庫の前で見張っていた水野の助けを呼ぶ声が聞こえて来る。

警官が駆けつけると、蔵の中にいた水野に、どこから侵入したのか青銅の魔人が襲いかかっていた。

明智も来て、はじめて青銅の魔人と対峙するが、青銅の魔人は室内の電気が消し、明智がスイッチを入れた時には、もう青銅の魔人も帝王の夜光も消え失せていた。

水野の説明によると、青銅の魔人は、金庫の中から出現し、突然自分の首を絞めて来たらしい。

中村捜査課長は、手口の不可思議さに首を傾げるが、明智は、本当の勝負はこれからなんだと意気込む。

その頃、裏山を歩いていた青銅の魔人は、とある場所に来ると立ち止まり、両手を曲げ、その手の間に光線を発生させる。

地下室で、テレビ受像機を付け、その青銅の魔人の光線を読み取ったピエロは、牢の中に閉じ込めていたみち子の所に来ると、魔人様が水野と明智にひどい目に遭わされたので、その罰として、お前を火あぶりの刑にしてやると言い、壁のスイッチを押す。

すると、みち子が閉じ込められていた部屋の両方の壁から炎が吹き出す。

一方、裏山で青銅の魔人に出会った明智は、青銅の魔人がその場に落として行った紙を拾い上げて読む。

「この事件から手を引け。さもないと、貴様もみち子夫人も命がないぞ」と書かれていた。

明智が手紙を読み終えると、青銅の魔人は森の中に消え去る。

驚いた明智だったが、次の瞬間、背後に出現した魔人によって、首を絞められる。

地下牢に閉じ込められていたみち子夫人も、火あぶりの刑の中、気を失うのだった。

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第二部「謎の夜光時計」

首を絞められ、絶体絶命の明智だったが、そこに中村捜査課長ら警官隊が到着したので、魔人は手を離し、森の中に消えて行く。

一方、独自に別の場所で待機していた小林少年と昌一は、突然、近くに青銅の魔人が出現したので驚くが、黙ってその後を尾行することにする。

魔人は、大きな煙突がある廃工場の方へとすすき野を歩いて向かう。

廃工場の中に入った魔人は、そこで腰を下ろすと動かなくなる。

小林少年は昌一に耳打ちし、自分は見張りとしてその場に残ることにする。

指示を受けた昌一は、その場を離れると、周囲にいた少年探偵団を呼び集め、小林団長の所へ集合するよう命ずると、明智や中村捜査課長の元に駆けつけ、魔人が休んでいる工場の場所を教える。

少年探偵団が集結し、中の様子をうかがっていると、突然動き出した魔人は、工場の外に出て来る。

それを見つけた中村課長は発砲を命じ、警官隊は一斉に銃を撃ち始める。

しかし、魔人は全く無傷のまま、煙突のはしごをよじ上ると、一番てっぺんで腰を下ろしてしまう。

やがて、消防車が駆けつけ、照明が魔人を照らすと、すぐに放水で魔人の場所を狙い撃ちする。

すると、水に滑ったのか、バランスを失った魔人が煙突から落下して来る。

バラバラになった魔人に近づいた明智が、その破片を調べている時、その様子を警官隊の後ろから覗き込んでいた小林少年は、突然何者かに拉致されてしまう。

明智は「復讐するぞ いいか」と書かれた紙を、魔人の破片の中から見つけると、すぐさま少年探偵団全員を集合させる。

すると、小林団長の姿が見えないことに気づき、全員で周囲を探し始める。

一緒に探していた明智は、今発見した魔人の手紙の内容を思い出し、嫌な予感を覚えていた。

その頃、気がついた小林少年は、起き上がって壁の鏡に映った自分の顔を観て、いつの間にか、自分の顔に青銅の魔人のマスクがはめられていることに気づく。

そこに、ピエロが入って来て、ここは、地下50mの青銅魔人国であり、周囲は全部石造りであり、お前たちは生意気にも魔人様を煙突に追い上げた罰だ。今に明智もここに来て、青銅の魔人になるのだなどと告げる。

そして、一方の壁を上げて隣にいたもう一人のマスクの少年と会わせる。

それは昌一だった。

二人は、もう一方の壁の向こうにいた青銅の魔人と対面する。

俺様は、煙突から落ちて死んだと思っていたかもしれないが、幾度でも、生まれ変われるのだ。お前たちは、一生ここに閉じ込められ、今日からは、俺様の子分になるのだと、ピエロの通訳で魔人は告げる。

ピエロは、別の壁を開くと、明智に会わせてやると言い、部屋の外に二人の少年を誘うと、みち子が閉じ込められていた牢を開いてみせる。

昌一は、みち子の姿に驚き牢の鉄格子に近づくが、みち子は気絶していた。

ピエロは嘲るように、会いたければ魔人国の優等生になるんだと、二人の子供に命ずる。

その頃、明智と助手の玲子は、銀座近辺のマンホールを一つ一つ調査していた。

いつも、姿を消していた青銅の魔人の謎を解く為だった。

そんな中、水の音が聞こえないマンホールに玲子が気づく、明智がふたを開けてみると、中は人一人が隠れられるくらいの空間になっているだけで、地下には通じていなかった。

明智は、東京中に、この手の偽装マンホールが10も20も作られているに違いないと推理すると、その場から、大磯の水野邸へ向かうことにする。

その頃、魔人国では、元の部屋に戻されていた昌一が、必死に壁越しに姉を呼びかけていた。

その声に気づいたみち子が目を覚ます。

小林少年は、ピエロが押していた部屋のスイッチを同じように押し、壁を開くと、昌一と共にみち子の牢の前まで来る。

しかし、みち子と対面したその瞬間、小林少年と昌一の立っていた床が落ち、二人はさらに地下に落ちてしまう。

二人の逃亡に気づいたピエロが、落とし穴のスイッチを入れたのだった。

ピエロは、落とし穴の覗き窓から顔を出すと、逃げようとした罰だと言い、コックをひねると、小林少年と昌一が落ちた部屋の一方の筒から多量の水が流れ始める。

その頃、水野邸の書斎にいた水野は、部屋に青銅の魔人が入って来たことに驚いていた。

魔人は、水野の首を絞め気絶させると、その身体を抱え森の中に向かう。

その様子を、東京から駆けつけ、森の中で身を潜めていた明智と玲子は、じっと監視していた。

古井戸の場所に来た魔人は、井戸についているスイッチを押すと、井戸の水は下がり始め、地下に通ずる空洞が出現する。

魔人は、水野を背負い、その中に姿を消す。

その後古井戸の所に来た明智は、すぐにスイッチを見つけ出し水面を下げると、やっぱり魔人は地下が好きらしいとつぶやくと、玲子には中村捜査課長への連絡を頼み、自分はロープを伝い中に降りてみることにする。

その頃、小林少年と昌一がいた落とし穴は、水が増え、二人とももう少しで溺れるような状態になっていた。

ピエロは、物音に気づき、古井戸から通じる廊下のドアを開けて外の様子をうかがった後、立ち去るが、そのとき、脇に身を潜めていた明智は、閉まったドラのかんぬきを名刺を使って明けると中に侵入する。

そして、水音に気づくと、落とし穴の覗き穴から、中にいた小林少年と昌一に気づくと、すぐさまコックをひねって水を止めると、ちょっと待っていなさいと声をかけ、さらに奥へと向かうのだった。

奥の部屋では、青銅の魔人がピエロの通訳で、帝王の夜光や「佐賀藩秘史」などを前に、地図の半分はどこだと、縛り上げた水野を尋問していた。

そのとき、カーテンの後ろから、もっとお前たちを脅かしてやると言う声が響き、ピエロがカーテンを開けてみると、そこには、マスクをした謎の男が立っていた。

何者だ?マスクを取れと言われたその男がマスクを取ると、その下には何もなかった。

スーツだけが空中に浮かぶ透明人間だったのだ。

突如出現したその透明人間は、俺もウラニウム鉱が眠る秘密の地図が欲しいのだと言うと、魔人が持っていた半分の地図を奪い立ち去って行く。

怒った魔人の顔の目や口が発光する。

ピエロは水野に、もう半分の地図を出さないと、みち子も昌一も命がないぞと脅し、みち子の牢の所へ連れて来る。

そして、落とし穴を開いて、中をのぞかせるが、そこにはもう水がなくなっており、小林少年と昌一が立っているだけだったのでピエロは仰天する。

すると、又出現した透明人間が銃をピエロに向けながら、二人の魔人の顔を取ってやれと命じる。

仕方なく、ピエロは、小林少年と昌一の顔にはめていた魔人のマスクを取ってやる。

水野と共に、子供たちが逃げようとした時、又落とし穴が開き、今度は水野が落下してしまう。

少年たちは助けようとするが、上から石が落ちて来て危険だったので、やむなく、水野を残し、二人だけ古井戸から外に脱出する。

その後から、透明人間も上がって来て、森の中に姿を消してしまう。

そこに、玲子に連れられ中村捜査課長がやって来ると、どこからか明智が現れ、彼らを古井戸の中の地下に案内する。

そのとき、明智と中村捜査課長は、突然、通路が開き、落とし穴に落ちてしまう。

すると、二人が落ちた部屋の両サイドの壁がどんどん迫って来て、二人を押しつぶそうとし始めたので、二人は必死になって、迫り来る壁を押さえようとする。

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第三部「恐怖の天守閣」

壁に押しつぶされそうになっていた明智は、中村君、どっかにボタンがあるはずだと言い、自らは四つん這いになって、中村捜査課長を背中に乗せる。

中村捜査課長はすぐにスイッチボタンを見つけ押すと、壁の接近はあっさり停まってしまう。

通路に上がった二人は、さらに奥の部屋の扉の前に来ると、鍵を開けようと銃で鍵穴を撃つが、そのとき、明智が中村の身体を突き飛ばす。

中から突然、子分たちが銃撃して来たのだった。

扉を開け中に侵入した中村捜査課長と明智は、子分たちと応戦するが、明智の目配せで作戦に気づいた中村捜査課長がかぶっていた帽子を取り、木の棒に乗せて、隠れていたドラム缶の上に落ち上げてみる。

すると、それを中村捜査課長の頭だと思った子分がマシンガンを発砲するが、その隙に、明智がドラム缶の横から撃つ。

子分3人は、その部屋から逃げ出すと、皆、床が開き、さらに地下へと落下して行く。

そこに、水野を発見したと警官が知らせに来る。

水野はイスに縛られていた。

その綱の縛り方を確認した明智は、警官に捕縛を解かせる。

立ち上がった水野は、青銅の魔人に連れて来られたのだと説明するが、それを聞いていた明智は、青銅の魔人なら目の前にいるよ。兜を脱ぐんだと不思議なことを言い出す。

水野が戸惑っていると、あなたの他に誰がいるんです?イスに縛られていたような芝居をしていましたが、紐の縛り方を見た所、あなたが自分で縛ったやり方だったと言う明智は、突然、水野の口元にあった大きなほくろをはぎ取ってしまう。

すると、正体がばれたことを悟った怪人二十面相が、本当の顔(諸角啓二郎)を表す。

二十面相は、こうなったら一蓮托生だと言いながら、手榴弾を見せるが、明智は落ち着いた様子で、とっくにその手榴弾の火薬は抜き取っておいたと言う。

悔しがった二十面相は、爆発しない手榴弾を投げ捨てると、部屋の電気のスイッチを切り姿をくらます。

電気を付け部屋が明るくなると、明智は、すぐさま隠し扉のスイッチを見つけ、それを押すと、部屋の中央の祭壇が横に移動し、その背後に抜け穴が出現する。

しかし、その中の通路にはもはや二十面相の姿はなかった。

そこに警官がやって来て、又、水野に化けてた二十面相を捕らえたと言う。

行ってみると、水野が捕まえられていたが、それを見た明智は、その方は本当の水野さんだと笑う。

警官は、不思議そうに、水野の顔のほくろを取ろうとして、出来ないと分かると、自分のミスに気づき、慌てて謝罪するのだった。

その頃、水野邸の門を警護していた警官は、明智がやって来て、咲きに失礼すると挨拶して来たので、そのまま送り出していた。

外に出た明智は、自分が乗って来た車に乗り込むと走り出す。

その後、水野とみち子を伴い、古井戸から外に出て来た中村捜査課長の元に、警官が、明智さんが先に帰られましたと報告にする。

中村捜査課長は、明智さんならここにいるじゃないかと怪訝がる。

昌一や玲子も待っていた中、古井戸から出て来たのは本物の明智だったからだ。

すぐさま明智と中村捜査課長は、明智に化けて外に出たのは、怪人二十面相だったことに気づく。

明智は玲子の表情を見ると頷き、中村君、心配いらない。二十面相の後はちゃんと付けさせているよと告げる。

明智に化けた二十面相が運転する車の後部座席には、毛布に隠れた小林少年が乗り込んでいた。

そっと首を出し、バックミラーを覗いた小林少年は、そこに怪人二十面相の顔が映っていたので驚く。

今、車を運転しているのは、どう観ても明智小五郎の顔をしていたからだ。

小林少年は、運転する二十面相に気づかれないように、積んでいた無線機からモールス信号を打ち始める。

追跡していた中村捜査課長は、すぐに、その信号に気づき、全警官隊を第一国道へ向かわせる。

しかし、運転していた二十面相は、とっくに、後部座席の小林少年に気づいていた。

とある倉庫脇に車を停めた二十面相は、降りるなり、後部座席の小林少年を引きづりだし、二十面相の素顔を見せると、エレベーターで倉庫の上階にある秘密のアジトに連れて行く。

そこには、情婦のサリー(草間百合子)や子分たちがたむろしていたが、二十面相は、もう東京ともおさらばだ。明智の他に透明人間と言う新たな奴まで現れ、地図の半分を取られてしまったと悔しがる。

その後、無線を使い、ボートを手配するように命じた二十面相は、子分の一人に、外に停めてある明智の車を処分するよう命じる。

その子分が下に降りた時、サイレンの音が近づき、警官隊が到着したのを発見したので、すぐさま二十面相に手が回ったことを知らせに戻る。

逃げる準備をしていた子分たちは、ドアが勝手にしまったり、バッグに詰めた荷物が動いて入れ替わったりするので、訳が分からず、互いに喧嘩を始めていた。

隣の部屋で縛られていた小林少年の綱もひとりでにほどけていた。

小林少年が逃げたことを知った二十面相は、透明人間が侵入したことに気づくが、そのとき、空中に銃が浮かんで自分を狙っており、地図の半分の在処を教えろと声がする。

二十面相は部屋を飛び出し、海にせり出したクレーン部分に逃げる。

中村捜査課長らが、じりじりと追いつめるが、そこにボートが接近して来て、下に来た所で、飛び降りた二十面相は、見事にボートに落ち、そのまま逃亡して行く。

その様子を、部屋の窓から、望遠鏡を使って明智が監視していた。

中村捜査課長は、直ちに水上署に連絡をさせる。

水上署のボートが追尾を始めるが、二十面相のボートはどこへともなく姿をくらましてしまう。

後日

警視庁から出て来た明智小五郎は、車で待っていた助手の安藤(大宮敏)に、水野さんを呼んでくれと頼む。

探偵事務所にやって来た水野に、明智は、残りの半分の地図を二十面相に奪われると、日本の危機になるので、その在処を解く心当たりはないかと質問する。

すると水野は、自分と一緒に佐賀まで行ってくれ。そこには、赤星と言う95歳になる家老がまだ生きているので、何か聞けるかもしれないと言う。

かくして、明智、水野、玲子、小林少年、昌一たちは、プロペラ機で九州の佐賀に向かうことになる。

佐賀の水野家で明智らを出迎えたのは、昭和30年だと言うのに、いまだにちょんまげを結っている赤星四郎右衛門(多々良純)と言う老人だった。

いまだに、殿さまと呼ばれることに戸惑いながらも、水野は、大磯の屋敷の古井戸の下にある地下室のことは知っていたかと聞くと、先代が購入したその土地は、元々、土地の豪農が所有していたもので、その豪族が敵の襲撃に供えて作っていたもので、自分は前々から知っていたと赤星は答える。

では、地図の半分のことは知っているかと尋ねると、先々代様が死ぬ間際、何か言いかけておられたが思い出せないと言うので、御遺言状はなかったか?と聞くと、お屋敷のご宝物蔵にあると言う。

すぐさま全員で、その蔵に行ってみるが、赤星は、床に落ちていた空の箱を見つけ、ございません!と驚く。

その後、屋敷の門前に突如出現した青銅の魔人は、門を魔法のように通り抜けると、赤星の部屋に現れ、老人の首を絞めて気絶させると、又、門を通り抜け、天守閣の部屋に連れて来る。

気がついた赤星に、魔人とピエロは、先に盗んでいた遺言状を突き出しながら、後半分の地図はどこだ?と迫る。

しかし、赤星四郎右衛門も武士の端くれと見栄を切った赤星は口を開くとしない。

この遺言状には謎があるといら立つ魔人だったが、そこに突如、明智が現れ、素早く、魔人が持っていた遺言状を奪い取る。

ピエロと赤星が逃げ出した後、地上100mの天守閣で二人きりになった魔人と明智。

明智は銃を発砲するが、魔人には効果がないと知ると銃を捨て、何か液体が入った瓶を取り出す。

これは、金属をも溶かす薬品だ。お前の鎧の隙間から中に入って、中身も溶かすだろうと言いながらぶつけるが、煙は立ち上ったものの、魔人は平気なようで、両手を曲げて手のひらを明智の方にかざすと、そこから怪光線を発射して来る。

明智は身体がしびれたようになるが、何とか、天守閣の屋根の上に逃げる。

しかし、そこまで追って来た魔人は、さらに怪光線を浴びせる。

明智は弱り、屋根の上に倒れるが、その身体を魔人が踏みつぶそうとする。

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第四部「決闘獅子が島」

天守閣の屋根の上で、青銅の魔人に踏みつぶされかけていた明智だったが、近くの屋根に上って来た小林少年が、明智のピンチに気づき、持っていた縄を投げ、魔人の足に巻き付けると、それを引っ張る。

下敷きになっていた明智も力を込め、魔人の足を払いのけると、魔人はバランスを崩し、天守閣の屋根から落下すると、堀に沈んでしまう。

遺言状を奪われていた責任を感じた赤星は、水野や明智の前で、切腹しようとしかけるが、呆れた水野が止めさせる。

そんな赤星に、明智は、水野家の旧領地内に獅子が島と言う所があるでしょう?と聞いて来る。

赤星が、それは波も荒い玄界灘の真ん中にあるが、獅子を守ってあり、先々代のさらに先代あたりから、誰も行ったものがいない島だと説明すると、明智はそこに行ってみたいと言い出す。

後日、明智、水野、玲子、小林少年、昌一らは小舟で獅子が島にやって来るが、送って来た船頭(竹田法一)は、こんな所に上陸したらどんなことが起きるか分からないから止めて行けと注意する。

しかし、明智は、どんなことかが起きないと、面白くないんだと笑いながら、他の連中と一緒に上陸する。

険しい岩場を登ると、その頂上に獅子の像が建っていたので、それを動かしてみると、その下の地面に「獅子の洞穴 母獅子」と書かれてあった。

その言葉をヒントに、近くの洞穴に到着した明智は、自分と水野だけが中に入るので、命綱をしっかり持っていてくれと、小林少年らにロープの端を託す。

洞穴の中は鍾乳洞のようだった。

突き当たりらしき場所に到着した明智は、そこの岩が動きそうだったので、水野と共に動かしてみると、入口が開く。

中には、母獅子らしき大きな獅子の像が安置してあったので、それを回転させて動かすと、やはり、その下の地面には、「半分は夜光に 半分は大磯の古井戸に」と文字が書かれていた。

地図の片方は、やはり大磯の屋敷内にあることが分かった明智は、その場から帰りかけるが、その後に続いて部屋を出ようとしていた水野は、何か大きな紐のようなものが身体にへばりついているのに気づく。

振り返ると、部屋の天井部分に巨大な蜘蛛が潜んでいた。

身体についていたのは、その蜘蛛が吐き出した蜘蛛の糸だったのだ。

次の瞬間、入口部分の岩が崩れ出し、塞がれてしまう。

岩の崩落に気づき、慌てて戻って来た明智だったが、入口を塞いだ岩はどうしようもないと分かったので、とりあえず外に出ることにする。

しかし、そのとき、洞窟内に出現した青銅の魔人は、明智の命綱を途中で切断していた。

持っていたロープの感触で異変に気づいた小林少年たちは、紐を引っ張り、切断されていることに気づく。

玲子は、自分の胴にロープを巻き付けると、今度は自分が洞窟の中に入り込み、明智を探すことにする。

一方、命綱が切れていることに気づいた明智は、懐中電灯を頼りに、洞窟内をさまよい始める。

小林少年は、自らのロープを繋いで、ロープを伸ばして行く。

玲子は、途中で切れた命綱や、岩で塞がれた場所に到着するが、その後も、明智の名前を呼び続けているうちに、声に気づいた明智と再開を果たす。

二人は急いで外に出るが、海岸に戻ろうとすると、船頭が待っていたはずの小舟に、二十面相の子分たちが水野を乗せており、明智たちにはマシンガンを撃って来る。

船頭は、明智に向かい、水野はもらって行くぞ。俺が分かるか?と言うと、突然、顔が二十面相に変化する。

船を奪われてしまい、島に取り残された明智たちは、たき火をして暖をとりながら、善後策を考えていたが、明智は何故か楽観的だった。

そのとき、昌一が島に近づいて来る船に気づく。

胸騒ぎがした赤星が助けに来たのだった。

殿さまは?と聞いて来た赤星に、明智は面目なさそうに、さらわれてしまいましたと答えるが、無事、佐賀の屋敷に戻ると、地図のもう半分の在処を教えた赤星に、このことは警察には知らせないように口止めをした後、又飛行機で東京に帰る。

その頃、青銅の魔人とピエロは、大磯の地下室に捕まえて来た水野に、地図の半分の在処を聞こうとしていた。

しかし、水野は、自分が知っていたら、今頃政府に教えて、原子力に役立てていると抵抗する。

それを聞いたピエロは、このままでは、他の者が手を入れるかもしれないので、ここを爆発させると言い出し、大きなダイナマイトを持って来ると、それを水野の前に置き、導火線に火をつける。

そんな大磯の水野邸に、明智らが車でやって来る。

ピエロは、魔人の言葉を通訳し、人質としてお前を使うかも知れないので助けてやると言い、ダイナマイトの前から水野を連れ出す。

古井戸に近づいた明智は、何かを感じ、とっさに玲子や小林少年らに身を伏せるように命じる。

次の瞬間、古井戸は、地下室の大爆発でくだけ散る。

その破片の中から、獅子の顔の部分を発見した昌一は明智に知らせる。

獅子が島の獅子と同じ顔だと気づいた明智は、その顔を良く観察し、目の奥にはめ込まれていた地図の半分を発見すると、昌一の手柄を褒める。

探偵事務所に戻り、中村捜査課長と会った明智は、二十面相をおびき出す為に、あえて、地図の半分を手に入れたことを新聞で発表してくれと言い出す。

ただちに、新聞各社の記者たちが集められ、中村捜査課長は、明智探偵が地図の半分を発見したと言う事実を発表する。

その報道を新聞で観た二十面相は激怒していた。

地図の半分は透明人間に、残りの半分は明智に奪われたと知ったからだ。

そんな二十面相に、新聞に広告を載せ、二人をおびき寄せたらどうか?とサリーが提案する。

そのアイデアに乗った二十面相は、ただちに新聞に「透明人間へ (99)0359」と言う広告文を掲載する。

さらに、明智探偵事務所に電話をして来た二十面相は、3時に来いと挑戦する。

明智はその申し出に応ずる。

その直後、電話がかかって来たので受け取ったサリーは、透明人間も3時に来ると言って来たと二十面相に教える。

外で、子分たちが待ち受けていると、そこに、誰も乗っていないオープンカーが近づいて来たので、子分たちはビビる。

隠れ家の部屋で縛られていた水野の紐が自然に解けて行く。

子分から車のことを聞かされた二十面相は、隣の部屋を覗き、透明人間に水野を奪われたことを知る。

透明人間と一緒に通路を逃げていた水野は、又、落とし穴に落ち、非常ブザーが鳴ったので、罠にかかったことを知った二十面相は喜ぶ。

落とし穴に落ちた透明人間は、近づいて来た二十面相に取引を持ちかけ、水野を逃がしてくれたら、地図の半分を渡すと言う。

承知した二十面相は、落とし穴の床を上げ、通路に二人を戻すと、水野は、子分に外に連れて行かせる。

その様子を、テレビ受像機で透明人間にも見せ、確認させる二十面相に、もうそろそろ3時よと教える。

それを聞いた二十面相は、明智が来るので、3人で取引をしようと、透明人間に持ちかける。

すると、透明人間が笑い出し、まだ気がつかないのか?と言うと、その顔の部分に明智の顔が出現する。

透明人間は、明智小五郎だったのだ。

明智は、驚いた二十面相の銃を弾き飛ばすと、それも拾い上げ、2丁拳銃になると、無益な抵抗は止めろ!あの音が聞こえないかと告げる。

サリーが耳をすますと、近づいて来るサイレンの音が聞こえたので、こっそり部屋を逃げ出して行く。

明智は、残った二十面相に対し、一騎打ちと行こうと提案すると、二十面相の銃を床に滑らせ戻すと、すぐさま部屋の電気を消す。

建物の外では、二十面相の子分たちが、駆けつけて来た警官隊を相手に銃撃をしていた。

警官隊は応戦する一方、催涙弾を投げてじりじりと接近して来る。

そのとき、二階の窓から、別の子分がマシンガンを乱射し始める。

近づけなくなった中村捜査課長は悔しがるが、その様子を近くから観ていた小林少年が、t杭の投げ縄を下から投じ、マシンガンを撃っていた子分の首に巻き付けると引っ張り降ろそうとする。

それに気づいた他の少年探偵団の子供たちも集まって来て、小林少年を手伝う。

子分は紐に引かれ、地上に落下して気絶したので、団員たちで縛り上げる。

逃げ出した子分たちも、他の団員たちが追いつめる。

車で逃亡しようとした子分二人は、後部座席に忍んでいた団員に棒で殴られ気絶する。

車の少年は笛を吹いて、仲間に知らせるのだった。

部屋に残っていた明智と二十面相は撃ち合っていたが、手のひらを撃ち抜かれた二十面相は部屋を飛び出すと、階段を伝い、屋上へと向かう。

それを追う明智。

屋上で二人はもみ合うが、さらに突端部分に登った二十面相は、もはや逃げられないと悟ったのか、手榴弾を取り出し、二十面相の最期を見せてやる!と叫ぶと、その場に手榴弾を投げつけ自爆してしまう。

事件が解決した後、探偵事務所に来ていた小林少年や昌一らに、青銅の魔人の鎧を見せ、中に人間が入っていたのだと教えていた。

どうやって、シャッターなどを破れたのですかと聞かれた明智は、鎧の中に電気装置がしかけられてあり、その動力が指先に伝わり、人間以上の力が出せたのだと説明する。

昌一が、透明人間の秘密を知りたがっていそうだと知った明智は、部屋を暗くして、部屋の片隅を見るように子供らに言う。

そこには、骸骨が浮かび上がり、突然踊り始める。

さらにその横には、ワンピースを来た透明少女が出現し、骸骨と一緒に踊り始める。

電気を付けた明智が、黒いかぶり物を取るように声をかけると、骸骨と透明少女は、安藤と玲子が、黒いかぶり物を着ていたことが分かる。

それを知った昌一は、ブラックマジックと言うんですねと明智に確認をし、世の中には不思議なことなんてないんですねと念を押す。

明智は頷き、科学が発達すると不思議なことは少し増えるけど、謎なんてないんだ。原子爆弾だってそうだよと教える。

その後、少年探偵団たちは、玲子らと一緒に、富士山の麓にドライブに出かけるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「怪人二十面相」(1954)に次ぐ、松竹版「少年探偵団」シリーズ第二弾で、一本が30分程度の短編の続き物スタイルになっている。

子供向けの連続活劇なので、ご都合主義の子供騙しと言ってしまえばそれまでだが、冒頭からラストシーンまで、特撮を交えた子供心をくすぐるシーンがてんこもり状態で飽きさせない。

人か魔か?ロボットなのか鎧なのか?正体不明の青銅の魔人と言うキャラクターがまず良い。

顔は、今の感覚からすると、かなり不細工で、決してかっこいいと言うデザインではないが、そのレトロ感は、当時の原作のイメージを良く再現しているように感じる。

地図の秘密がウラニウム鉱だったり、ロボットが手から光線を出すなどと言う趣向も、空想科学風で楽しい。

まだ、原子力が未来の象徴のように思われていた時代の話である。

特撮を担当しているのは、後に円谷プロで活躍する川上景司さんなので、透明人間や巨大蜘蛛のシーンなどは、どこか「ウルトラQ」風である。

白黒フィルムの二重露光を利用した透明人間が持つ拳銃も黒いので、シーンによっては、拳銃まで消えてしまっているミスもあるが、全体としては、まずまず良くできている特撮だと思う。

警官隊の拳銃の弾まで、アニメ合成している箇所があったりと、特撮好きの目から観ても楽しめるシーンがいくつもある。

明智を演じている若杉英二は、何だか、長谷川一夫風の古風で濃い二枚目顔だが、当時の子供にとっては、分かりやすいヒーロー顔だったのかもしれない。

後半登場する赤星四郎右衛門役の多々良純などは、大変面白いキャラクターだと感じた。

ちょんまげの爺やとロボット風の青銅の魔人との対面シーンなどは、ミスマッチで面白い。

明智自身が演じた透明人間の説明はご愛嬌としても、青銅の魔人が透明人間のように姿を消したり、門をすり抜けるあたりのトリックを、もう少しちゃんと明智に説明してもらいたかった気もする。