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男の怒りをぶちまけろ

1960年、日活、竹森竜馬+中西竜三脚本、松尾昭典監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

羽田空港を飛び立った日新航空大阪行きダグラス機

大島に近づいているとスチュワーデスがアナウンスし始めたとき、突然、席から立ち上がったサングラス姿の2人の男が銃を突きつけ、乗客たちに席を立つなと命じる。

二人のスチュワーデスをドアの奥に押しやったサングラスの男は、一人の乗客密田(伊丹慶治)の側に来ると、バッグを寄越しなと命ずる。

もう一人のサングラスの男有本(内田良平)は、操縦席に入り込むと、パイロットと副パイロットに銃を突きつける。

バッグを奪った男は、ついうっかりサングラスを落としてしまい、その顔を観た密田は「橋場!」と、見知った男だったようで驚く。

橋場(土方弘)は、操縦席に来ると、その事を有本に耳打ちし、有本は、二人のパイロットの頭を銃で殴り気絶させると、橋場と二人で、用意してあったパラシュートを装着すると、飛行中のダグラス機から飛び降りる。

タイトル

助手の坂口(木下雅弘)と小泉(木浦佑三)が運転するトラックが東京に向かって走っていると、路上に二人の男が立っているのに気づき車を停めると、銃を突きつけられ、車を発車させられる。

やがて、神奈川湘南国道の検問にさしかかったので、運転席に乗り込んだ有本から銃で脅かされた小泉は、警官(小泉郁之助)に免許証を見せながら、途中で便乗させたと有本を紹介する。

もう一人の警官は、荷台に乗り込んだ橋場も、同乗者として確認する。

運転席を覗いていた警官は、もう一人乗せて行ってくれないかと言い出す。

検問所から出て来たのは、車が故障して往生していたらしい毎朝新聞社の三沢十郎(赤木圭一郎)だった。

荷台に乗り込んだ三沢は、すぐに橋場から銃を突きつけられ愕然とするが、既にトラックは走り出しており、警官たちの姿はぐんぐん遠ざかって行った。

松林で止まったトラックから降ろされた小泉と坂口、三沢たち三人は、橋場から銃で殴られ気絶させられて荷台に放り込まれる。

日新航空大阪行きダグラス機が墜落したニュースを、トランジスタラジオで橋場が聞いていた。

荷台で気がついた三沢は、通過するトラックの外から聞こえて来る鉄道の音などに神経を集中させていた。

やがて、キャバレーにやって来た有本と橋場は、奪って来たバッグを、支配人の稲上勇二(金子信雄)に渡していた。

稲上は、バッグを切り裂くと、中に入っていた包みを、礼子(渡辺美佐子)に渡し、会長へ届けるように頼むと、有本らには何かトラブルはなかったかと聞く。

有本は、橋場が落下傘部隊の同年兵だったので顔がバレたが、飛行機は落ちたので心配いらないと報告する。

そんな話をしてた支配人室に、一人の男がやって来る。

支配人室から令子を送り出した稲上は、代わって入って来た、元殺し屋で今は事件屋の村西三次(二谷英明)を素知らぬ振りで迎える。

外に停めてあったトラックの荷台では、中田(野呂圭介)が外を監視している間、まだ気絶していた小泉たちに、橋場が無理矢理ウィスキーを飲ませていた。

店を出た村西は、橋田したトラックと、有本、橋場、中田(野呂圭介)が乗った車が出発したを見つけ、その後を追跡してみる。

トラックと車は東京埠頭三号岸壁に到着するが、運転席に気絶した三沢、小泉らを乗せた運転席のハンドルを操作しながら、橋場はゆっくり海に向けて走られ、途中で自分だけ飛び降りる。

トラックは、夜の海に墜落して行く。

有本たちが車で帰った後、岸壁に、気絶振りをしていた三沢が必死に這い上がって来て、そのまま気絶してしまう。

そこに近づいたのが村西だった。

その後、バーで、日新航空の犠牲者の名前が載った新聞を読んでいた村西は、「日香交易 密田」と言う名前にチェックを入れていた。

すぐに、日香交易公司に向かった村西は、社長の陳(嵯峨善兵)から、密田に持たせたバッグには、時価2億になるダイヤが入っていたのだと聞かされる。

その頃、バーの奥の部屋のベッドで目覚めた三沢は、東京埠頭の第三埠頭でトラックが引き上げられる現場にやって来る。

警視庁

三沢は、自分がトラックに乗ってからの一部始終を刑事に説明し、トラック事故も酔っぱらい運転を偽装した殺人だと訴えるが、飛行機事故で忙殺されていた警察では誰一人信じようとはしてくれなかった。

そこに、トラックの運転手らしき死体が上がったと言う報告があり、三沢は、大塚京成病院に向かうことにする。

看護婦が言うには、坂口にはまだ誰も知りあいは名乗り出て来ず、小泉の妹章子(浅丘ルリ子)だけが来ていた。

章子は、話しかけて来た三沢を新聞記者と知ると避けようとするが、お兄さんと最後まで一緒だった男だとの自己紹介を聞くと、外に出て話を聞くことにする。

三沢の話を聞き終えた章子は、あなたって残酷な人。まだ、泥酔運転の方が良かったと哀しむ。

毎朝新聞社会部に戻って来た三沢は、デスクにこのトラックの事件を追わせてくれと進言するが、デスクは、飛行機墜落事故の方に向かえと意見が分かれ、勝手なことをする奴は首だとまで言われたので、三沢はそのまま会社を後にする。

命を助けられた村西の妻が経営するバーにやって来た三沢は、帰って来た村西から銃を突きつけられ、この事件、どこまで突き止めている?と聞かれる。

次の瞬間、三沢は村西を殴りつけ、二人の乱闘が始まるが、いつの間にか、相手の銃を抜き取って構えた三沢が立ち上がる。

銃は村西に返した三沢だったが、カウンターの上でダイスを振って開けると、その中から、今の拳銃から抜き取った弾が、きれいに立って並んでいた。

この早業には、銃を構えていた村西も苦笑するしかなかった。

二人はバーに向かうと、ブンヤと、事件を金にする事件屋の組み合わせでうまくいくかも知れないぞなどと意気投合する。

その後、章子が踊りのレッスンをしていたビルの屋上に来た三沢は、トラックに乗ったあの晩の記憶を頼って歩いていたと説明する。

章子は、先日の無礼を詫び、明るい表情を取り戻していた。

その晩も、新聞社のトラック運転手ノブちゃんに頭を下げ、勝手にトラックに乗せてもらうと、歩き残した最後の場所へ向かってみる。

すると、あの晩、荷台の中で聞こえたチャイムの音と列車の音が聞こえて来る。

そのまま道路沿いを進むと、見覚えのあるホテルのネオンを見つけたので、目的地にたどり着いたことを三沢は気づく。

新宿のキャバレー「トレモロ」に入った三沢は、マダムの令子にマンハッタンを注文すると、わざと、踊っていた男に因縁をつけ喧嘩を始める。

バーテンが直ちに支配人室に通じるブザーを押したので、マジックミラーの窓を開いた稲上、有本、橋場たちは、フロアで暴れている三沢の姿を見て驚く。

死んだとばかり思っていた相手が生きていたからだ。

そこにやって来た村西は、三沢を捕まえると殴りつけ、出て行けと言いながら、目で合図をする。

そこに、稲上が来たので、村西は、以前ガセネタを掴まされた奴だと、三沢と面識があることを教える。

店を出、「トレモロ」の裏に回ろうとしていた三沢は、突然、店の用心棒たちに襲撃され、喧嘩になる。

そんな三沢を物陰から、橋場が銃で狙っていた。

そこへ村西が駆けつけ、橋場から銃を受け取ると三沢を撃ち、三沢はその場に倒れる。

村西は、橋場から車を借り受けると、三沢を乗せ、埠頭へと向かう。

後部座席から起き上がった三沢は、地面に銃弾が当たったので、とっさの判断で倒れたと笑うが、三沢を助けた村西は、お前さんもダイヤが目当てか?と睨みつける。

しかし、三沢は、そのときはじめて事件にダイヤが絡んでいることを知る。

翌日、喫茶店で章子に会った三沢は、自分が探していた場所は、新宿のキャバレー「トレモロ」だと分かったことを教える。

そこへ、毎朝新聞の同僚がやって来て、飛行機事故の犠牲者の中に「日香交易」と言う、陳と言う中国人が経営している会社があることを教える。

その「日香交易」では、陳が部下の黒木(川辺健三)にバッグを渡そうとしていたが、そこに村西がやって来て、ダイヤは海の中じゃない。稲上があっためているぜ。密田はバラされたと教える。

その密田の遺体が茅ヶ崎海岸で見つかり、捜査班の主任らも駆けつけるが、25名の搭乗者のうち、どうして密田だけが、ここに漂着したのか首を傾げていた。

その密田の遺体に近づき、花を添えたのは、密田の家内だった。

それを観ていた主任は、ヤクザなんて冷たいものだ。幹部が死んでも、迎えに来るのは女房だけだとつぶやく。

キャバレー「トレモロ」では、章子が踊っていた。

それをカウンターの中から観ていた礼子も、2、3年前まで踊っていたダンサーだった。

店の地下室では、中国人の范(藤村有弘)が橋場に拳銃を売りつけようとしていた。

橋場は、密田から奪ったバッグを的に試射をしていたが、そこに有本がやって来て、早くバッグを始末しろと叱る。

そのとき、橋場が撃ったバッグの穴から白い粉が床にこぼれ出す。

驚いた有本がバッグを開けてみると、二重底になっており、その下には麻薬の袋が入っていた。

范も驚いたようで、時価800万文はあるその麻薬を自分が売ってやると有本と橋場に伝える。

とりあえず、稲上に知らせに行こうと、話しながら階段を上っていた有本、橋場、范らの様子を、ちょうど踊り終えて裏の通路に出ていた章子が目撃する。

そんな章子に、後で飲みに来ない?と声をかけたのは礼子だった。

礼子は、その後、支配人室に来るが、ちょうど、有本らが、麻薬のことを稲上に報告している所だった。

有本たちは場を外したので、稲上は、昔付き合っていた礼子に言い寄ろうとするが、そこに、会長から電話が入り、礼子に後で来るように伝えられる。

カウンターに戻った礼子は、ジュースを飲みに来た章子に、あなた恋人あると話しかけて来る。

いるなら、なるべく早く結婚することよ。最上の幸せを掴むと、後は堕ちるばかり…、私も昔、三流のバンドマンと結婚したことがあったけど、あいては自殺したのよと身の上話をする。

店の外に出た章子は、外で待機していた三沢と落ち合い、今階段で聞いた、麻薬や銃の話を伝える。

その後、礼子が一人で車で店を出る。

運転していた礼子は、突然、後部座席から顔を見せた三沢に驚く。

なぜ、あんたに近づこうとすると狙われるんだ?と笑いながら、礼子のバッグから拳銃を取り出す。

礼子のマンションに付いてきた三沢は、トラックの運転手を殺した男の名前を教えろと迫るが、礼子は帰ってと言うばかり。

誰か来るのだと気づいた三沢は、その男が黒幕か?と聞く。

そのとき、ドアが開きかけるが、ベッドに三沢が置いた銃を取り上げた礼子が動かないで!と声を上げたので、異常に気づいたのか、ドアは急に閉まり、何者かは帰ってしまう。

范は、「日香交易」の陳に麻薬を売ろうとしていた。

ちょうど、村西もいて側で聞いていたが、陳から入手先を聞かれた范は、有本と橋場の名を出す。

それを聞いた陳は、これは俺が密田に渡した麻薬だ。皆殺しだと息巻く。

ダイヤを奪ったのも、稲上たちの仕業と気づいたのだ。

警視庁では、発見した二つのパラシュートが自衛隊のものと判明していた。

三沢と一緒に礼子の動静を見張っていた章子は、礼子が入った美容室に偶然を装い一緒に入ると話しかけるが、そこに会長からの呼び出しが礼子に入る。

迎えの車が来たので、礼子はそれで送ってやると章子を誘い外に出るが、突然、何者かが、二人に近づいて来ると、会長の車の運転手を脅し、女二人を無理矢理車に押し込むと発車させる。

交差点で、会長の運転手は外に放り出され、後続の車に轢かれてしまう。

その後、礼子と章子は、別の車に乗り換えさせられる。

トレモロにいた三沢は、店に帰って来た橋場や有本らが、トラックにいた連中だと気づくが、その橋場から銃を突きつけられてしまう。

三沢は、それでも暴れ始めるが、そのとき、支配人室のマジックミラーを割り、猟銃を突きつけた稲上が現れる。

フロアに出て来た稲上は、会長から電話があり、マダムが誘拐されたと有本らに伝え、三沢を撃とうとする。

そのとき、陳から電話が入り、礼子と章子を預かった。ダイヤは今夜持って来いと稲上は聞かされる。

「日香交易」の地下室に閉じ込められた章子は、自分の巻き添えにさせて済まないと謝る礼子に、ずっとあなたの行動を追っていたのだと打ち明ける。

「トレモロ」に残った橋場は、三沢を撃とうとするが、隙をついた三沢に逆襲される。

有本は、捕まえて来た范を締め上げるが、范は、ダイヤのことを陳に話したのは村西だと言い訳する。

「日香交易」で待ち受けていた陳は、女らを盾にして撃ちまくれと子分たちを鼓舞していた。

「トレモロ」から脱出した三沢は村西に会い、ダイヤに近づくにはマダムだと教える。

その夜、有本と稲上は、范と共に自動車で「日香交易公司」の前に乗り付けると、范に箱を持って入口に向かわせる。

会社に入って来た范が持っている箱を観た陳は、私のダイヤ!と叫びながら近づいて来るが、怯えた范はその箱を放り投げる。

その途端、箱は大爆発を起こす。ダイヤではなく、爆薬入りの箱だったのだ。

地下室に忍び込んでいた村西と三沢は、章子と礼子を救出するが、「日香交易」の社内は、乱入して来た「トレモロ」の一味と、陳の配下たちの銃撃戦が始まっていた。

橋場は陳を射殺する。

礼子を連れ出した村西は、確かにダイヤはボスが持っているんだな?と確認し、章子と三沢と共に「トレモロ」に戻って来る。

すると、曇りガラス戸の向こうに人影があり、ボスらしき声が聞こえたので、思わず村西は発砲するが、ガラスが割れ、倒れたのは人形で、その背後から会長こと筧順造(西村晃)が銃を持って姿を現す。

そこに、稲上らも帰って来る。三沢はカウンターにおいてあった灰皿でシャンデリアを破壊し、店内を暗くすると、有本に飛びかかって行く。

村西は橋場を射殺する。

その間に、礼子を連れた筧と稲上は店の奥から屋上に逃げる。

屋上の扉を閉めた筧は礼子を連れ、ここでお前は待ち伏せろと稲上に命じ、自分らだけ逃げ出そうとしたので、稲上は、俺を盾にする気かと反抗する。

筧はそんな稲上の右頬と腹を撃ち抜き、逃げようとするが、倒れた稲上は、最後の力を振り絞って、礼子を背後から撃つ。

そこに、三沢が駆けつけ、倒れた礼子に駆け寄ると、ダイヤはボス…と言い残して、礼子は息絶える。

隣のビルへ逃げた筧は、同じはしごを使って渡ろうとした村西を撃つ。

撃たれた村西は、執拗に筧に近づきダイヤを要求する。

筧は、血まみれになってなお迫って来る村西をさらに撃つ。

はしごを渡って近づこうとした三沢は、足を滑らせ落ちかける。

村西は、瀕死の状態だったが、筧にしがみつくとダイヤを奪い取る。

何とか三沢は隣のビルの屋上に到着するが、筧の銃にはもう弾が残っていなかったので、落ちていたレンガを投げて来る。

倒れた村西の手からダイヤが転がり落ち、ビルの端に引っかかったので、それを何とか取ろうと手を伸ばした筧は、バランスを崩して墜落死してしまう。

ビルを降りた三沢の元には、章子と同僚が警官たちと共に駆けつけて来る。

ダイヤを手にした三沢は、これが全ての原因でしたと言いながら、捜査主任に手渡す。

あのマダムは悪い人じゃなかっただろう。村西って男も、どこかで道を踏み外してしまったんだと、章子と帰路につきながらつぶやく三沢に、同僚が「特ダネ、ありがとう!」と声をかけ、車で通り過ぎて行く。

歩道を歩いて行く三沢と章子に、唄が重なる。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

赤木圭一郎主演の通俗アクションもの。

ハイジャックからカージャックと、小気味よく展開する冒頭部は快調。

浅丘ルリ子、二谷英明、渡辺美佐子ら日活常連や、まだ髪がふさふさした時代の金子信雄などが加わり、その後も飽きさせず物語は展開して行く。

金子信雄は、強面感を出すために、眉を短く刈り込んでいる。

今観ると、赤木圭一郎にすごい存在感があると言う感じではなく、脚本や脇役陣など、全体的なバランスで見せている感じがする。

典型的なプログラムピクチャーだが、それなりにまとまった佳作だと思う。

若き内田良平の格好良さも魅力的である。