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日本一のゴリガン男

1966年、東宝+渡辺プロ、笠原良三脚本、古沢憲吾監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

パチンコ屋から出て来た日本等(ひのもとひとし-植木等)は、両手一杯に景品を抱えて御満悦だった。

出張費を元手に儲けたからだ。

しかし、パチンコに夢中になっている間に、列車の時間に遅れそうになった事に気付き、急いで駆け始めるが、途中で駅とは反対方向に走っていた事に気付き、急いで戻るのが、その途中、婦人の二人連れにぶつかってしまい、景品を路上にばらまいてしまう。

起き上がって、謝った等だったが、その頭上の建築現場から落ちて来た鉄骨が、彼の頭を直撃してしまう。

彼の魂は、宇宙のどこかを彷徨っていた。

やがて、一年後、第一脳外科病院で前後三度もの手術に耐えた等は、無事退院を迎える事になった。

担当医から、その手術の度に、脳に付いていた垢の類いを皆綺麗に取ってやったから、君の頭は、元の百倍も良くなっているはずだと言う。

脳を守るヘルメットを冠って病院を出た等は、陽気に唄いながら、自分が勤めていた会社の7階に向うと、社長室のドアを開けて中に入るが、そこには見知らぬ美女が座っていた。

相手も、営業一課の日本等と名乗る身慣れぬ男の出現に面喰らっていた。

等は、社長秘書らしき相手に名刺を差し出すと、自分は1年間入院生活をしていたが、今日退院出来たので、社長に挨拶に来たと言う。

しかし、秘書が言うには、父は国会に泊まり込んでいて、まだ来ていないのだと言う。

意味が分からない等が訳を聞くと、自分の父の社長が大衆党の議員だと言う事を知らないのか?と秘書である娘の百合子(浜美枝)も驚く。

目の前にいたのが社長令嬢と知り、恐縮しながら等が部屋を出て行った後、百合子は、もらった名刺をその場で破り捨ててしまう。

営業課の部屋に行くと、かつて自分が使っていた机を他の人間が使っているので文句を言うと、それを聞いた近くにいた上役風の男が、それは課長の机だと言う。

等があんたは誰だと言うので、自分が統南商事の課長石亀(人見明)だと名乗ると、等は驚いて、今何と言ったと聞き返し、自分は西北商事の日本だと答えると、石亀は、その会社なら半年前に潰れて、その権利をわが社が買ってこのビルに入ったのだと説明する。

潰れたと聞いて愕然とした等だったが、では、自分をこの会社で雇ってくれと申込むと、今不況のあおりで、わが社は人員整理の真っ最中であり、社員の三分の一は自宅待機の状態なのに、君なんか雇えるはずがないだろうと言う。

その返事を聞いた等は、では、月給なしの社員と言う事ならどうかと聞く。

月給をもらわない社員なんていないだろうと半信半疑の石亀だったが、その時、部長の浅利(藤村有弘)から呼ばれ、スポンサーへの接待の仕事はどうなっていると聞かれたので、係長の多古が自宅待機になったのでと説明すると、ではお前がやれと命じられてしまう。

それを聞いていた等は、宴会屋の仕事を課長にやらすなんて、あの部長は人を見る目がないなと同情すると、熱海にスポンサーを招いてどんちゃん騒ぎをして、 しかも、経費は去年の半分にしろなんて土台無理な話だ…と石亀がぼやくので、それなら、その仕事、自分がやってやろうと言い出すのだった。

すぐに、舟橋ヘルスセンターにやって来た等は、二百人の客を連れて来て、そのマージンを渡すから、飲み食いは全部こちらの持ち込みと言う事にしてくれと支配人(沢村いき雄)に申込む。

さらに、大量に注文したビールやジュースの類いを運んで来たサントリーの従業員に、お宅の「共同主催」と書かれた看板や広告入り背広を着ているので、全部宣伝費としてただにしてくれと強引に申し入れる。

そうした等の手配を側で観ていた石亀は、予算をオーバーしても知らんぞと心配するが、等は平気な顔で、その石亀にも、広告入り背広を着せて、客の接待をさせ、自らもオバQの着ぐるみを来て客を応対するのだった。

さらに、芸能大会では、自分と石亀が全部、歌と踊りを披露し、芸能人に支払うギャラを浮かすのだった。

その後、スポンサーの家族たちを、ヘルスセンターが経営する遊園地に招き、大人50円子供30円の料金を徴集し、収入まで上げてしまうのだった。

この接待は大成功を納め、スポンサーから感謝の知らせを受けた部長は、御満悦で、呼出した石亀を誉める。

どうやって、予算を削減出来たのかと尋ねた部長に、しどろもどろの石亀の態度を見かねた等がシャシャリ出て来て、タイアップその他で浮かした予算のからくりを説明しはじめたので、部長は不思議そうな顔をする。

石亀から、ただで働いている社員だと聞かされた部長は、にわかには信じようとしない、

しかし、等は、今回の接待で得た利益の5分をリベートとして受取ったから大丈夫だと言うではないか。

それでも、正式な社員などには出来ぬと部長が怪んだので、そんな事だろうと思って、もうこう言うものを用意していると言い、等は「日本等課」と書かれた名札を見せる。

会社の名前さえ貸してもらえば、後は自分一人で、ゼロから商売をしてみせると言うのである。

返事を聞かず、部屋に戻っていった等の姿を見ながら、どうします?と問いかける石亀に対し、浅利は、君も利用したんだろう?と意味ありげな返事をするのだった。

さっそく、その名札を置いた机に座った等は、電話帳を取り出すと適当に開き、えいやとばかり、目をつぶって、手帳の鉛筆を電話帳の表面を差してみると、「マルキ玩具」と言う文字に当っていた。

さそくその玩具店に向った等は、出て来た二代目らしき男(ルーキー新一)に、お宅の玩具をうちで扱わせて欲しいと願い出ると、玩具の販売と言うのは、国外向け、国内向けと、すでにちゃんとしたルートが出来ているので、新奇に参入するのは無理と断わられてしまう。

すると、だったら、キャンセルされた売れ残りや在庫を全部引き受けると言うのではどうだと切り出すと、二代目は急に父親を呼びに行くのだった。

その玩具の戦車を二台携えた等は、制服姿になって国防隊の本部にやって来ると、科学兵器省の人間と偽り、作戦会議中の部屋に堂々と乗り込むと、司令官(佐 々木孝丸)に対し、こんな模擬訓練をしても効果はないが、これを使えば役に立つと、玩具の戦車を出してみせる。

最初はバカにしていた司令官だったが、走りながら、砲頭から煙を発射するが玩具の出来の良さを見せられると考えを改めるのだった。

国立競技場に来た等は、玩具のマーチを独り高らかに唄うのだった。

やがて、等の机の電話は鳴りっぱなしになる。

日本中の国防隊の司令部から、玩具の大量注文が寄せられるようになったのだ。

国防隊の司令部では、戦車や飛行機の玩具を動かして、さながら子供の遊びのような作戦会議が流行していたのだ。

等は、マルキ玩具に追加注文をガンガンだし、軍艦はないのか?普通の船しかないなら、それに大砲をつけて軍艦にしろ、今度は海上国防軍に売るからと注文をつけ、電話を受けていた二代目に「これは大変な事ですよ、これは…」と、嬉しい悲鳴を上げさせるのだった。

そうした等の仕事振りを観ていた浅利部長は、今月はあいつのおかげで、随分売上をカバーしてもらったと石亀課長に打ち明けるのだった。

そこへやって来た社長秘書の百合子は、国防隊に戦車を売ったのは誰だと社長が聞いていると伝えに来る。

呼ばれた等が社長室に行ってみると、左右山社長(進藤英太郎)は、国会での牛歩戦術の練習をしている最中だった。

等が来たのに気付いた社長は、秘密兵器を売るとは何事だと、急に叱り出す。

ただの玩具ですが?と驚く等に対し、我が大衆党は、戦争絶対反対をスローガンにしているのだから、そこの社員が、たとえ玩具とは言え、兵器を売るのはけしからん、すぐに販売を中止しろと言うのである。

党の幹部から睨まれるのは自分の命取りだと感じているらしいのだ。

そんな社長、一体、売った玩具でどのくらい儲かったのかと聞くので、等が、一カ月で5000台、売上が1200万だから、マージンは1割の120万と答えると、それでは利益率が低すぎる、玩具だとせめて2割の利益を上げねばと苦言を呈する。

すると、等、もちろん2割の利益は上げているのだが、そのうちの半分は給料をもらってない自分の報酬分として頂いたのだと言いながら、部屋を出て行くが、 それを聞いた社長は、給料をもらってない社員がいた事を知り驚くが、側で聞いていた百合子も知らなかったと呆れる。

自分の机に戻って来た等は、再び電話帳を開き、適当に鉛筆で差すと、今度は「富岳霊園」と言う会社名に当ったではないか。

早速その会社の代表者に会いに出かけると、現地で出迎えた社長(田武謙三)が言うには、富士の裾野に公園墓地を建設して売ろうとしているのだが、まだほとんど売れていないのだと知る。

値段を聞くと、二坪、墓石付きで10万円だと言う。

その後、道路建設公団に乗り込んだ等は、課長(石田茂樹)に、土地買収に応じないお寺はないかと聞きただす。

地上げ目的な何かで聞いていると早合点した課長は相手にしなかったが、等は、そちらの仕事を手伝ってやるのだと言い、勝手に応接室に課長を呼び込むと打合せを始める。

その後、「長慶寺」と言う寺で行われていた葬儀に現れた等は、統南商事の左右田社長代理で弔辞を読みに来た言い出席すると、その弔辞はわずか一行程度の簡 単な言葉で済ませ、その後、居並ぶ遺族や参加者たちに一言申し上げますと言いながら、この寺は高速10号線建設にぶつかっていながら動こうとしない。

しかし、公団側はコースを変更する予定はないので、このままでは、高速道路がこの寺の地下をくぐって通るか、高架橋で上を走るしかなくなる。

どちらになっても、今後、皆さんのお墓にとって幸せな事だろうか?

この際、このお寺ごと引っ越して、富士の裾野の広大な場所に移転すると言うのはいかがかとぶちまける。

その新しい墓代は10万円だが、皆さん、一件50万の移転費を公団から受取る事になるので、差引き40万も受かる事になると説明すると、聞いていた住職 (左卜全)が飛び出して来て、とんでもない事を言うなと叱りつけて来たので、等は取りあえず、その場を退散する事にする。

しかし、階段を降りかけていた等を追って来た檀家代表と言う男が、今の話に興味を持ったので詳しく聞かせてくれと言うではないか。

さっそく、檀家一行を引き連れ、等は、富士の霊園に見物旅行に出かけるのだった。

その後、会社の等の電話には、雑文家の墓を一か所に集めたいとの申込がある。

そんな等を社長が呼んでいると、百合子から連絡が入る。

その頃社長室では、営業部長の浅利が、社長から叱られている所だった。

儲かっているのは日本等だけだったからだ。

秘書室に入った等は、後で屋上に来てくれと、百合子から言われる。

社長に会うと、今すぐ、墓を売るのを止めろと言う。

何でも、富岳霊園の理事をやっているのは、吉井守と言う保守の幹部で、そいつから先日国会で礼を言われたので恥をかいたと言うのだ。

それを聞いた等は呆れて、社長こそ、そんな政治道楽なんか辞めたらどうですと言い返す。

しかし、それには耳を貸さなかった社長だが、この際、係長待遇にするから、月給5万で正社員にならんかと言うではないか。

あまりにバカにした条件だったが、社会の為に働くと思えば、社会も会社も文字を逆さに素レナ同じようなものだと言う言葉を聞いた等は、なるほどと頷き、その条件で社員になる事にする。

その後、屋上で待っていた百合子に会いに言った等だったが、彼女の用事とは、パパが代議士になって以来、この会社は火の車なので、あなたのような人物が必要だと言う暗い話題だった。

それを聞いた等は、そんな話には興味ない、自分は百合子さん、あなたのために働いているのだと告白する。

すると、百合子は、あなたのように独りよがりで図々しい人は大嫌いと怒って帰ってしまったので、残された等は、独りシェーをするのだった。

営業部では、浅利と石亀が、何とか、等を追い出す事が出来ないかと相談していたが、そこへ、今度、係長として正式な社員になったと等が報告に来る。

50人分くらいの仕事を言い付けてくれと豪語し机に戻った等をいまいましげに見つめていた浅利だったが、絶対成功する当てがない仕事をあてがってやろうと石亀に目配せする。

石亀は、等を呼出すと、オルガモン商会と言う所へ行けと命じる。

向った先で待っていたのは、のんきな営業係長(桜井センリ)で、等は将棋を差しながら、売っている商品を聞くと、イオン化学を使い、水をろ過する機械を見せられる。

水なんか売れる訳がなく、いかにも閑古鳥が鳴いている様子。

それでも、等はその機械を持つと早速街にくり出し、目に付いたウナギ屋に飛び込んで、自分は水質検査をしているものと称して調理場に入って行き、生け簀に 入っていたたくさんのウナギの中から、息の悪いウナギを別の水槽に移させると、持って来た機械を使って水をろ過してみると、たちどころにウナギは元気に なってしまう。

それを目の当たりにした調理人は、その機械を譲ってくれと頼み込んで来る。

次に、ホテルの調理場に向った等は、チーフコック(田中邦衛)に同じ機械を見せるが、どんな水でも綺麗にすると言うその機械の性能を試したいので隣の部屋で待っていてくれと言われる。

別室で待っていた等の元へ、チーフコックがコップに入った濁り水を持って来たので、さっそくろ過機に通したものを、自らその場で飲んでみせた等だったが、それを観ていたコック長は愉快そうに、今漉した水は、俺の小便だと笑うではないか。

さすがに怒った等が、お前も飲まないと、この花瓶を割るぞと息巻いたので、その勢いに飲まれたチーフコックは、自分の小便をろ過した水を飲み、その旨さにお代りまでする始末。

翌日、等を探しに営業部に来た百合子だったが、今日は休んでいると石亀が言う。

その頃、等は、昨日大量に飲んだ水やウナギで食あたりを起こし、アパートの布団の上でのたうちまわっていた。

そこにやって来た新聞の集金人(小川安三)が、何事かと、等を助け起こししたのがきっかけで、どうにか立ち直る事が出来た。

もう半年分もたまっている毎朝新聞の金を払ってくれと言う集金人に対しては、一年分まとめて払うから帰れ、いやなら、ここにおいてある古新聞を全部持って 帰れと、無茶な事を言って煙に巻いていた等だったが、そこに管理人のおばさんが、社長が呼んでいると知らせに来る。

早速出社し、社長秘書室の百合子に会った等は、実は、今月末までに、2、3000万用意できないと、皆の給料も払えない状態なのだと打ち明ける。

その予備知識を得て社長に会った等は、相手が頼み事をする前に、3000万必要なんでしょう?だったら、水の不便な土地を探してくれ。人口6万人クラスの都市でも、その下水道工事を請け負えば、1億は必要なので、数千万くらいの利益は上げられると言う。

それを聞いた社長は、いまだに上下水道がない、自分の出身地の海無市がうってつけで、市会議員で衛生委員長の黒原と言う清廉潔白な人物を紹介してやるから行けと命ずる。

さっそく海無市に向った等だったが、同じ衛生委員の黒山(宮田羊容)、黒川(柳谷寛)、大黒(田中淳一)と共に宴会の真っ最中だった黒原(藤田まこと)な る人物は、今、入札に参加したいと言う会社が三社もあるので、今日のここの払いも全部持ってくれるなら…と要求してくるような、およそ清廉潔白からは程遠 い腹黒い人間だった。

すぐに、その器に気付いた等だったが、今、市議会で、水道、廃水工事の着工が決まりそうになっていると聞いたので、全部、条件を飲むと答える。

すると、調子に乗った黒原は、東京見物もさせてくれと追加要求して来る始末。

その黒原を連れ、東京のオルガモンの浄水場にやって来た等だったが、面白くなさそうな黒原が要求したのは、夜の東京見物の事だった。

仕方ないので、その夜、銀座のバー「WATER」に黒原を連れて行った等は、そこの・1ホステスのりり子(野川由美子)を呼出して、黒原と一緒にホテルに 行ってくれ。ただし、その後は、あんたの手腕で逃げ出してくれても構わないと一万円札を握らせたので、相手は喜んで承知するのだった。

その頃、統南商事の営業部では、社員たちが、今の会社の状態では、信用しなくなったメーカー側が商品を出してくれなくなったが、どうすれば良いのかと、浅利部長を囲んで話し合っていた。

この会社には、社長の方針で、組合すらなかったのだ。

そんな所に「♪金のないやつぁ、俺んとこへ来い!」と、陽気に唄いながらやって来たのが日本等。

机に付いた彼は、黒原からの電話を受け、今晩8時又会いたいので、銀座の店に来て欲しいとの連絡を受ける。

すっかり、工事の契約の話と思い込んだ等は、その事を百合子に知らせて喜ばせるが、仮契約書を持って銀座の「WATER」に出向いてみると、待っていた黒原は、あの話は、保守党の反対にあってパーになったといけしゃあしゃあと言って帰ってしまう。

すっかり、はめられたと悟った等は悔しがるが、ホステスたちが、あのりり子が、アラジニア共和国のゴッド大統領に見初められ、ここを辞めて、赤坂のナイトクラブ「タンプローナ」に移ったと教えてくれたを聞くと、又アイデアが閃くのだった。

アラジニア共和国は砂漠の国なので、石油は出るが、水がないのだ。

表に出た等は、駆け付けて来た百合子と出会い、パパが困っているので成果はどうだったのかと聞いて来たので、海無市の件はダメになったが、今、それ以上の仕事にありつけそうなので向っている最中だと言って別れる。

「タンプローナ」に付いた等は、りり子に声をかけ、踊りながら、自分は、海水を真水に変える機械を持っているのだが、アラジニアのゴッド大統領に紹介してくれないかと頼むと、あの人は大の焼きもち焼きだから、自分が男を紹介すると、怒るに決まっていると言う。

ただし、毎日、自分のマンションに、午後1時きっかりに来る事を教えてくれる。

そんな二人の様子を、つけて来た百合子は遠くから観察していた。

さっそく、翌日のその時間、りり子のマンションに向った等だったが、ちょうど、車から降り立ったゴッド大統領(中村哲)は、待ち伏せしていたアラジニアの刺客二人(二瓶正也、)に襲撃される所だった。

思わず、身を呈して、その二人を倒した等は、後日、アラジニア共和国の大使館に呼出され、命を助けてもらったお礼に、何でも望みの物を差し上げると担当官から伝えられる。

さっそく、等は、持参して来た浄水施設の写真を広げてみせるのだった。

その帰り道、等は、陸橋の上で、又陽気に歌を唄うのだった。

社長室に入った等を出迎えた百合子は明らかに不機嫌だった。

海無市の方はダメだったと聞かされた社長は絶望するが、等が、その代わり、ゴッド大統領から50億の仕事の依頼状をもらって来たと聞かされると、手を返し たように喜び、その依頼状が間違いないものだと知ると、自分のポケットに納め、後は自分でやるから、君は手を引けと言うではないか。

そして、さすがにすまなそうな表情をしている百合子を連れて出かけて行く社長に、今度は何を売ったら良いかと尋ねると、君の自由に何でも売ってくれと言い残していくではないか。

その後、丸菱商事の社長中仏(北竜二)が使っている会員制クラブに乗り込んだ等は、碁をやっていた中仏に、統南商事を買ってくれないかといきなり申し出る。

それを聞いた中仏は、あんな借金だらけの会社を買うなどとんでもないと言う。

等は、今は、50億の付帯条件が付いてますよと教えるが、ちょうどその時、大日本銀行の頭取からの連絡を受取った中仏は、等の話を真面目に受取るようになる。

統南商事の左右田社長が、出資の相談に来たが断わったと言う連絡だったのだと言う。

統南商事の社長室では、金策が全てダメになった社長と百合子ががっくりして座り込んでいた。

そこに入って来た等が、輸出プラントが売れたので、その契約書に判子をくれと言う。

中身を良く確かめもせず、判子を押していた左右田社長から、一体何が売れたのだと確認された等は、統南商事が売れたのだと言うではないか。

驚いて、今判子を押した契約書を良く読むと、それは、丸菱商事に統南商事が吸収合併されると言う契約内容だった。

50億の付帯条件をつけての契約だったと話す等に呆れた社長は、何とゴリガンな…と呟くが、それを聞いた等は、「合理化案」と言ってくれと反論するのだった。

わしは身を引くしかあるまいと言う社長は、自分一人が甘い汁を吸って…と恨み言を言って来たので、等も、もう電話帳一冊あれば、何でも売れる自信が付いたので、これ以上、自分も丸菱ごときに残るつもりなどないときっぱり残留を否定するのだった。

その意気込みを聞いた左右田は、心底感心し、今後は君の後に付いて行かせてくれと言う。

すると、等は、好きなようにしてくれて良いが、どちらにしても、今後パパと呼ぶようになるのだからと言うデはないか。

その会話を隣で聞いていた百合子は、呆れて怒り出すのだった。

左右田から今後の身の振り方を聞かれた等は、君は当分、自宅待機だねと答える。

その後、豪邸住まいになった等は、妻になった百合子から、ダイヤの指輪やミンクのコート、キャデラックなど高級品の請求書を渡されて、女も結婚すると、こ んなゴリガンになるとは…と困惑しながら、そう言えば、自分は売るのは得意だが、買うのは苦手なんだと弱音を吐くのだった。

タイトル「日本一のゴリガン女」の『女』の文字を追い出すように『男』の文字が入り、終わる。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

植木等主演「日本一の~」シリーズ第三作。

「ゴリガン」とは聞き慣れない言葉だが、「筋の通らない事を強引に押し通す事や人」の意味だそうである。

この映画では、それを「合理化」にかけて使用しているようである。

冒頭、あの世に行きかける植木の姿を観て、これはいわゆる「夢落ち」の話ではないかと思わせるのだが、そうではない所がすごい。

脳を手術のついでに掃除して、ものすごく頭がきれるようになった男の痛快ホラ話なのだ。

一応、簡単ながら、そうした特殊能力の説明がしてある所が、このシリーズの中では珍しいように思う。

後はホラ話なので、そのアイデアの面白さに身を委ねて楽しめば良いだけである。

まだ、シリーズ三作目だけに、アイデアも面白く、歌もふんだんに登場するし、テンポも良く、最後まであっという間に観終えてしまう楽しさに満ちている。

この作品では、特に前半、人見明の歌や踊りが見れる所が貴重。

この人、シリーズの常連のように登場し、植木等が調子良くバカを連発していると、ぼそっと「バカ」と呟く貴重な役所である。

社長役を、新藤英太郎が演じているのも楽しい。

この人、東映で、東宝の森繁版に対抗するように「社長シリーズ」を演じていた人だから、うってつけ。

藤田まことや田中連衛と言った当時の人気者の登場も嬉しいが、何と言ってもこの作品で注目すべきは、ルーキー新一が出ている所だろう。

「いや~ん、いや~ん。いや~ん」「これは、大変ですよ、これは…」「あんた、バカね、ホホホ」などのギャグをか増してくれる。(最後のギャグは、アホの坂田の持ちネタだと思っていたが、この映画でルーキー新一が使っている所を見ると、パクリだった事が分かる)

植木等が、オバQの着ぐるみをかぶったり、シェーをしているのも、当時のマンガブームを反映していて興味深い。