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SP 革命篇

2011年、「SP 革命篇」製作委員会、金城一紀原案+脚本、波多野貴文監督作品。

※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

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警護課第四係機動警護班係長、 尾形総一郎(堤真一)は、その日の朝、緊張した面持ちで、机の上に置いていた一通の封書を机の上から取り上げるとマンションを出る。

警視庁

警護課第四係機動警護班隊員、山本隆文(松尾諭)、石田光男(神尾佑)が部屋で靴を磨きながら、昨日の休日のことを話題にしていると、笹本絵里(真木よう子)と、井上薫(岡田准一)そして、尾形係長が出社して来る。

井上は、尾形係長のことを少し意識する。

そこに、原川幸子(平田敦子)がお茶を運んで来て、山本から、又太った?と嫌みを言われたので喧嘩になる。

その様子を目にした尾形係長は、少し苦笑する。

その頃、与党幹事長伊達國雄(香川照之)は、その日に来て行くスーツをどれにするか迷っており、秘書の横溝雅治(堀部圭亮)にどれが良いか意見を求めるが、秘書は一番地味なスーツを選び、今日は地味すぎた方が良いのではないかと進言する。

最初は少しためらっていた伊達だったが、最後にはその言葉に納得する。

井上たちは、SPバッジを胸に付け、その日の任務に出かけるため、装備品室に向かう。

最後に残った尾形は、持って来た手紙を、井上の机の引き出しの中にそっと忍ばせた後、自分も装備品質へ向かい、そこに残っていた井上を見つけると、自分の銃を引き出しから取り出しながら、「井上、気を抜くなよ!」と声をかける。

同時刻、テロリストグループは、ライトバンを出発させようとしていた。

一方、とあるマンションに集合していた若手官僚のグループ「雄翔会」のメンバーたちは、早くも祝勝会気分でシャンパイなど開けて前祝いをしていたが、その中にいた防衛大臣・秘書官滝川英治(平岳大)は、梶山光彦理事官(伊達暁)から電話を受け、あまり騒ぎすぎないようにと注意を受ける。

その頃、岡山の尾形の実家で母親から事情を聞いた後、暴漢に襲撃され、病院で意識不明状態だった警視庁公安部公安第一課、田中一郎(野間口徹)が目覚め、病院を抜け出すと、近くの公衆電話から上司である室伏茂(春田純一)に連絡を入れ、尾形は身分詐称してSPになったと報告する。

警護のため、女性議員の車に同乗し国会に向かっていた井上は、又急激な頭痛に襲われ頭を抱えるが、その様子を後部座席から見ていた女性議員は、あんた、風邪ひいているんじゃないでしょうね?たるんでるわと嫌みを言われていた。

一方、伊達幹事長は、助手席で警護する笹本に、今日は、前のメンバーと違うんだねと話しかけ、そのメンバーとは後で合流すると聞かされる。

伊達は、尾形と二人きりで話し合っていた日のことを思い出していた。

伊達は、迷っているのか?麻田内閣は死にかかっている。俺たちは、復習するために生きて来た。安心しろ、お前が立てた計画は完璧だと太鼓判を押す。

お前と俺とは死ぬときは一緒だ…、昔、あんたが俺に言った言葉だと、伊達の顔を凝視した尾形は、あんたを信用して良いんだろうね?と念を押す。

永田町駅前の国会議事堂に、次々と国会議員たちが集結して来る。

車を降りた伊達は、秘書の横溝に、外の件のことは皆頼むぞと言い残して国会に入る。

同時刻、羽田空港には、テロリストの別グループ内藤(板垣雄亮)と東郷(谷田歩)が降り立っていた。

横溝は、今日の警護に井上は参加していないかと、警護課第四係に確認の電話を入れるが、配置担当者は、配置予定表を確認し、(改)と書かれた新しい予定表の中に井上の名前が加わっていることを発見、尾形がやったことかも知れないと伝える。

麻田首相(山本圭)が国会に到着し、記者たちに囲まれながら、衆議院本会議場へと入って行く。

女性議員を警護して来た井上が議事堂北廊下に到着し、先に到着していた伊達の姿を見かける。

東廊下には、尾形が到着する。

本会議場では、麻田首相が議員たちの拍手や歓声の中、演壇に向かい、その様子を観ていた伊達は、すぐに、その席から引きずり降ろしてやるからなとつぶやいていた。

第二議員会館

二台のライトバンでやって来たテロリストグループは、エアコンの定期クリーニングだと女性警備員に申告し、簡単に中に入ると、そのままあっさり地下3階出入り口についてしまう。

午後1時

本会議場では、議長が会議の開催を宣言していた。

集合した井上、山本、笹本、石田の4人は、同じく先に国会内に到着しており、無表情に固まっていた新四係のメンバーたち、木内教永(古山憲太郎)、青池由香莉(入山法子)、川尻伸一(三元雅芸)、澤村泰治(蓉崇)、片岡正和(光山文章)の様子になじめないものを感じていた。

エアコン業者に化けていたテロリストたちは、出迎えた衛視を急襲し、国会内に侵入していた。

尾形は石田に、3階の第一院長室の検索を4人でやるように命令する。

その頃、国会内の食堂にいたテロリストの別グループは、国会見学者のグループに混じっていた。

「雄翔会」メンバーたちは、国会議事堂占拠のシミュレーションをやってみないかと浮かれ気分で提案していた。

意見を聞かれた滝川は、議事堂内で警察関係なのは衛視だけだが、彼らは武器を携帯していないと語り出す。

武器を持っているのはSPだけだった。

国会内に侵入していたテロリストたちは、その滝川の説明通り、次々と丸腰の衛視を襲って倒していた。

見学者グループに混じっていた東郷は、ティディベアを持っていた女の子に、ティディベアのティディはアメリカ大統領の名前なんだと教えていた。

参議院の本会場前の説明を聞き終えた見学者のグループは帰りかけるが、東郷一人だけがその場に残っていたので、気づいた衛視の一人が近づいて来るが、一撃の下に東郷に倒されてしまう。

同時に銃を取り出した内藤は、別の衛視を倒し、見学者たちの動きを封じる。

近づいて来た東郷は、女の子のテェディベアを取り上げると、さっさと消えろ!と見学者たち全員を追い払うと、そのティディベアの人形を、参議院本会議場の前の台の一つの上にそっと置く。

「雄翔会」メンバーたちの中の財務省メンバーの一人が、まだ国会占拠のシミュレーションを説明していた。

参議院と衆議院を繋ぐ通路は東と西に2本、それが4階分あるので、計8本あるので、そこを封鎖すれば、両院を分断することは簡単だと言うのだ。

各階を警護していた衛視は、接近して来たテロリストから右足を上げるよう銃で脅かされ、その右足の下に置かれた、700発の鉄球が飛び出すと言う「クライモア」と言う地雷を踏みつけるよう命じられ、後からヒーロー気取りの奴がここを通り抜けようとしたら止めるんだと命じられていた。

新四係のメンバーたちも、2階以上の衛視たちを同じように拘束していた。

13時55分

国会内に侵入したテロリストたちは、尾形と合流し、衆議院本会議場入り口へと近づく。

3階の第一院長室の検索を続けていた井上は、急にめまいに襲われる。

その異変に気づいた笹本らが近づいて来て、大丈夫かと声をかけるが、大丈夫じゃないかも知れません。もしかして…と井上は弱気を見せる。

新四係のメンバーたちは、合流した尾形に、井上たちを確保して位置に付くと報告、尾形は巻き込んで済まなかったと詫びる。

そんな中、井上は一人で部屋を出て、国会内の様子を観に行く。

尾形たちテロリストグループは、衆議院本会議場の中に入り込む。

議長席にやって来たテロリストは、議長を立たせ去らせると、尾形は演説をしていた議員を追い払うと、自分が演壇に立つ。

その様子を観ていた議員たちは騒ぎ出すが、尾形は天井に向け、銃を一発発砲する。

本会議場すべての入り口が封鎖されていることを知った井上は、異変を察知し、共産党記者室のテレビの前に向かう。

その様子を見かけた笹本たち3人も、井上がスイッチを入れたテレビの前に集まり、中継されている国会中継の様子を観る。

演壇に立った尾形は、今を持って国会は我々の支配下に入り、無謀な親友をしようとした場合に備え、様々なトラップが仕掛けてあると演説をする。

その様子を、総理大臣室のテレビで観ていた内閣総理大臣・秘書官高島清(近江谷太朗)は、チャンスですよ、総理…とつぶやいていた。

羽田に到着していた田中に、緊急事態を知らせる電話が入る。

本会議場では、若い杉村なる新人議員が尾形の演説を制止しようと立ち上がったが、尾形から銃を突きつけられると、怯えながらしゃがみ込んでしまう。

危機管理センターでも、この国会中継をテレビで観ていたが、尾形の演説はコケ脅かしだと静観していた。

東郷から爆破スイッチを受け取った尾形は、そのスイッチを入れてみせる。

すると、第2議員会館が大爆発を起こす。

その爆発を窓から観た笹本は、理由は何?係長はどうしてこんなことを…?と、仲間たちに問いかけていた。

尾形は、諸君たちは何もせず、テレビを観ているのだ。これから国家権力がイカに腐敗しているかを見せ、諸君らを覚醒させると告げる。

ネットの掲示板には、尾形たちの行動を、国民的英雄と讃える書き込みが始まる。

新四係の木内は、井上たちを拘束して配置に付くと言い残して、四係の4人を捜しに出かける。

テロリストが最初に名指しした閣僚は、田辺晋一内閣官房長官(蛍雪次朗)だった。

演壇に立たされた田辺に銃を突きつけた東郷は、ナノメディックと言う会社を知っているかと質問する。

知らないと田辺が答えると、銃を発砲し、武田ちえ子知っているか?ナノメディックの個人株主だと続ける。

田辺は言いにくそうに、妻の義理の妹だと答える。

東郷は、未公開株を使っていくら儲けたと問いつめる。

その様子をテレビで観ていた「雄翔会」メンバーの一人が、これは僕があげた情報だとつぶやき、上層部ではみんな知っていることだと、仲間たちに教えられていた。

東郷は、片手に持っていた携帯を差し上げて、お前の汚職を全部大手マスコミに一斉送信すると告げ、送信スイッチを入れる。

尾形はテレビカメラに向かい、受け取った大手マスコミは、30分以内に今の記事を改編することなく、自社サイトのトップページに掲載しろ。第4権力者としての義務を果たさない会社は、後から国民からの制裁を受けるはずだと言い放つ。

次に名指しされたのは、吉原剛国土交通大臣(大林丈史)だったが、立ち上がりかねていた吉原に代わり「こんなことをして何になる!」と声を上げ立ち上がったのは麻田総理だった。

今こうしている間にも、どこかが攻めて来たらどうするんだと尾形に向かって叫ぶ。

しかし、それを黙って聞いていた尾形は、架空の敵を作って国民を惑わす気か?これまで猫の目のように総理がくるくる替わっても、この国が崩壊したことがあったか?この国を危うくしているのは貴様たちだ!と議員席に向かって叫ぶと、麻田総理は黙り込み、吉原国交大臣は諦めたように立ち上がるしかなかった。

テレビを観ていた「雄翔会」メンバーたちは、この国が潰れないのは優秀な官僚がいるからだと自慢していた。

その頃、井上に課長から電話が入り、お前たちはそこで連絡係に徹しろ、これ以上SPの名を汚すようなことはするなと言われるが、聞いていた井上は、携帯を床に落とすと、思い切り踏みつけて壊す。

集まって来た笹本、山本、石田に、係長は止めて欲しいんですよ、俺たちに…と井上は告げる。

そんな井上たちがいた部屋を新四係の青池が見つけ、仲間たちに連絡する。

井上たちは、他のSPたちはこの事態にどうしているんだと疑問を持ち、裏切ったのかも知れないと考えたとき、ドアが開いて新四係が乱入して来て4人に銃を向ける。

井上二重を突きつけて手を挙げさせた木内は、前からお前のことは気に入らなかったと言い、井上も俺もお前のことを気に入らなかったと挑発し、木内が起こった瞬間、相手の銃を持ち上げ、組み付いて行く。

その瞬間、他の三人も新四係に反撃し始める。

壮絶な戦いが始まるが、結果は四係の勝利で終わる。

井上は、憎々しげに木内に銃を突きつけるが、引き金を引くことはなく、殴って気絶させると拘束しようとして、又、手錠を忘れて来たことに気づく。

それを知った他の3人は呆れ、突っ込むこともしなかった。

石田は井上に、お前のマルタイはどこにいると聞く。

井上は、議場にいますと答え、今、マルタイは危険のただ中にいる。我々はマルタイを救出に向かう。全員、様子を探りに行けとメンバーたちに告げる。

笹本は衆議院棟の3階廊下、石田は2階廊下、山本は1階廊下の様子を探る。

地下通路を探っていた井上は、突如テロリストに襲撃される。

激しい格闘が続き、テロリストは、衛視が地雷を踏み動けない中、側に張った爆弾の線を引こうと走りよるが、井上は必死に追いつき、線の前で組み合い、相手を落とす。

警護課第四係本部では、伊勢崎武則部長(大出俊)が警察庁から呼び出しを受け、席を立ち上がりながら、我々の進退問題は後ほど話し合おうと他の3人に言い残して部屋を出て行く。

その直後、トイレに向かった梶山光彦理事官は、滝川から電話を受け、びっくりするくらいうまくいっていると報告された後、別の携帯を取り出すと、誰かに向かって「例の件、よろしくお願いします」と依頼した後、トイレに入る。

その後から、トイレに入って来た男がいた。

国会の近くまでタクシーで到着した田中は、停車中の車に乗り込むと、そこに乗っていた室伏係長と出会うと、滝川と安西を引っ張りましょうと提案する。

井上は、バッグに何かを詰めて他のメンバーたちと合流すると、厄介なのは1階の連中なので、これでトラップを仕掛けましょうと言いながら、バッグのチャックを開くと、中に入れてあったセロテープなどの備品を見せる。

「雄翔会」メンバーたちは、延々とテレビで続いている議員たちの告発に飽き始めていた。

そうした中、滝川は、このドラマは二部構成になっていると言い出す。

ここまでは尾形が考えたが、テロリストたちが意図的に特定の政治家への追求を避け、その人物がこの機会に立ち上がったらどうなる?と、同志たちに問いかける。

「雄翔会」メンバーたちは、権力がその人物に集まると声を上げる。

我々は、そいつを祭り上げて使う方が、本当の意味での「ビューロクラシー(官僚政治)」が実現する。支配する方がもっと楽しいからねと滝川は答える。

その頃、「LIVERPOOL cleaning」の4人が乗ったバンが都内を走っていた。

衆議院の一階通路で見はっていたテロリストは、セロテープの輪っかが転がって来たことに気づくと、銃を取り出し、油断なく、様子を見るために階段の方に近づいて来る。

二階に上る階段には、いつの間にか「KEEP OUT」のテープが張ってあったので、引きちぎって階段を上り始めたテロリストは、階段一杯に画鋲がまき散らしてあることに気づく。

それを避けながら、手すりにつかまって端の方を上がろうとしたテロリストだったが、手すりの裏に刃物が貼り付けてあったので、手のひらを切ってしまう。

腹を立てながらさらに階段を上ったテロリストは、階段一面に撒かれた紙を発見する。

その時、上階で人の動く気配がしたので、その紙を踏みつけながら階段を駆け上ろうとしたテロリストだったが、紙に靴が滑って転げ落ちてしまう。

そこに近づいた井上は、警棒でテロリストを叩きのめす。

1階通路を見張っていたSP新四課の一人は、テロリストの見張りの姿が消えたことに気づき、携帯で連絡を取ろうとするが通じない。

その直後、近づいて来た笹本に殴られ気絶する。

その頃、議場内では、女性議員がテロリストたちに汚職を追及され謝罪していた。

井上は、カーテンを繋いで窓から下に垂らすと、4階から2階へと移動して、民政党室の窓を外から叩く。

その民政党の部屋のドアが開いたので、外を警護していたSPが、不審に思い、中に入ろうとしたとき、中で待ち受けていた井上が、布で首を圧迫して落とす。

テレビを見ていた「雄翔会」メンバーたちは、なぜ尾形は、こっち側の人間なのに、実行犯に加わったんだ?と不思議がっていた。

その間、議場内で、じっとことの成り行きを見守っていた伊達幹事長は、尾形と二人きりで話し合っていたときのことを又思い出していた。

伊達は、お前が麻田に銃口を向けたら、俺は奴を追求する。この計画が果たせなかったら共に死のうと約束していた。

2階の本会議場の入り口の両脇に集まった笹本、山本、石田、井上は、入り口前を守っていた警護課第一係・警部補、霧島(二階堂智)ともう一人のSPを見ていた。

山本はそっと笹本に、もっと殴って欲しかったと打ち明け、笹本は、安心しろ、これからもっと殴ってやると約束していた。

そして、両側から4人のメンバーは、霧島のいる方向に向かって進み始める。

井上らに気づいた霧島は銃を向けて来て、防弾チョッキを着ているのかと問いかけて来る。

立ち止まった井上はワイシャツを広げて、中には何も着込んでいないことを霧島に見せると、どうしてSPの名を汚すようなことをするのかと問いかける。

霧島は、お前たち、本当にこの中にいる奴らは、守るに値する連中だと思っているのかと逆に聞く。

SPの仲間の家族に、薬害事件の犠牲者がいたらどうする?お前は助けられるか?と霧島はさらに言葉を続ける。

しかし、井上は、分かりませんと答え、さらに霧島に近づくと、耐えられなくなり泣き出した霧島から銃を取り上げる。

石田も、もう一人の銃を取り上げていた。

そして「まだ間に合います。仲間たちに武装解除させて下さい」と井上は霧島に頼みながらも、議場の入り口に駆け寄る。

議場内では、尾形が最後の麻田首相を名指ししていた。

演台に立った麻田首相は、尾形の方をじっくり見ながら、君は確か、僕の命を救ってくれたSPだったな?と問いかけて来る。

尾形は、あの時助けたのは、他のものにお前を殺させたくなかったからだと答え、お前は、成瀬英雄と言う男を覚えているか?お前と同じ手塚派にいた男だよと尾形は問いかける。

最初はとぼけていた麻田首相だったが、20年前、身に覚えのない朝日証券への不正献金の嫌疑をかけられ死んだ成瀬のことだと聞かされると、確か自殺だったはずだが?と知っていることを認める。

その成瀬に、架空の銀行口座を作らせ、それを使って闇の金を手に入れていたのは誰だと尾形は問いつめる。

それをマスコミに嗅ぎ付けられそうになったお前は架空のテロ事件をでっち上げ、マスコミを封殺したと尾形は続ける。

若い日の麻田が街頭演説をしている時、暴漢に襲われた井上の母親の回想シーン。

成瀬は、自殺に見せかけ、お前に殺されたんだ。

成瀬が殺されたのは、彼の誕生日の日で、その死体を発見したのは、誕生日を祝おうと集まった家族たちだった。

手首を切った父親のs型を見て泣き崩れる母親と高校生の息子。

そして、誕生ケーキを床に落とした弟の回想シーン。

ケーキを取り落とし涙を流していた弟の顔に、今、同じように涙を流す伊達幹事長の顔が重なる。

その後、成瀬の家族は離散し、二度と明るい未来を描くことはなかった。良心があるなら、その家族たちに詫びろと、尾形は麻田首相に銃を突きつける。

しかし、麻田首相は、あれはあくまでも成瀬が独断でやったことだと反論する。

その時、議員席にいた伊達が立ち上がり、「待て!」と制する。

それをテレビで観ていた滝川は、新しいリーダーの誕生だと笑う。

暴力で勝ち得た正義などはない。

君たちがやっていることは、爆弾の恐怖の上に成り立っているだけだ…と伊達は浪々とまくしたてる。

それを聞いた尾形は驚いたように、何を言ってるんだ?と言いながら、銃口を伊達の方に向ける。

お前が目指したのは、偽者たちの王様か?と、呆れたように尾形はつぶやく。

今からでも遅くない、私と向かい合うんだと伊達は続ける。

その時、今まで閣僚たちに銃を向けていた内藤や東郷が一斉に、銃口を尾形に向ける。

なぜ裏切る?と尾形が不思議そうに訪ねると、元々俺たちはあんたとは目的が違ったと東郷が答える。

俺たちはただ、世間を驚かせれば良かったんだ。老後はあの人に面倒を見てもらうと言いながら、東郷は伊達の方を見る。

その時、正面ドアが開き、井上たちSPがなだれ込んで来る。

尾形は、その隙を狙い、東郷ともう一人のテロリストの腕を掴んで交差させると、同士討ちにさせ、その後、内藤を射殺する。

笹本と井上は、机の上に立ち上がると、次々にテロリストたちを射殺して行く。

井上は、尾形の方に銃口を向けるが、次の瞬間、尾形は、最後のテロリストを射殺する。

尾形は、その後、伊達に銃口を向けていたが、いつの間にか演壇にいたはずの麻田首相が消えていることに気づく。

見ると、麻田首相は書記係の席に移動し、その出入り口から地下道へ逃げ込む所だった。

尾形はその後を追い、井上も、一足飛びに議員席の机を飛び越え書記係の出入り口に向かう。

その様子をテレビで観ていた滝川は、思わず持っていたグラスを落としていた。

地下通路の扉の前に来た麻田首相は、そこにいたSPに扉を開けてもらう。

そのSPは、追って来た尾形に射殺される。

麻田首相に追いついた尾形は、相手の右手を撃ち抜いた後、通路に倒れ込んだ相手の額に銃口を向けながら、そんなに死にたいのかと迫る。

その時、「尾形さん!」と叫びながら、井上が近づいて来る。

銃を捨てて下さいと井上は言いながら近づいて来るが、尾形は動じず、お前に俺が撃てるのか?と挑発し、戦いを挑んで来る。

尾形は容赦なく、井上に対して発砲して来る。

尾形が銃を落とし、井上が優勢になると、自分に向けた井上の銃を掴んで、自らの額に押し当ててみせる。

井上が絶対に撃てないことが分かっているんだ。

その隙に逃げ出した麻田首相に気づいた尾形は、井上を気絶させると、又後を追い始める。

逃げて来た麻田首相に気づいたSAT二人が尾形を迎え撃つが、尾形は相手の片足を撃ち抜き、もう一人も倒した後、麻田を捕まえる。

その時、井上は気がつき、二人の後を追う。

尾形は麻田を連れ、エレベーターに乗り込むと、屋上に上る。

そこで銃を突きつけた尾形は、最後のチャンスだ。罪を認めろ!と麻田に迫る。

麻田は、偽装テロ事件の時、自分をじっと睨みつけていた一人の高校生の顔を思い出し、その面影を目の前の尾形に重ねる。

思い出したよ。君だったのか…とつぶやいた麻田首相は、私の負けだ。罪を認めようとうなだれる。

その瞬間、呪縛から解き放たれたように、尾形は銃を降ろすが、そこに井上が駆けつけて来る。

その井上に対し、尾形は、俺の用事は済んだ。お前の用事を済ませろと命じる。

井上は銃を捨てて下さいと声を荒げる。

尾形は、そんな井上を哀れむように、お前に俺が撃てるのか?お前に俺が殺せるのか?と問いかけるが、その時、隣のビルの屋上にSAT舞台が駆け上がって来たことに気づいた尾形は、早く撃て!俺を止めろ!と叫ぶが、井上が撃たないことを知ると、全く…、期待はずれだなお前は…、だが、お前は正しいと言いながら、持っていた自分お重をこめかみに持って行こうとするが、その瞬間、銃声が轟く。

右腕を井上に撃ち抜かれた尾形は、銃を落とし、その場に倒れる。

そこに駆け寄って来た井上は、腕の止血をし始めるが、俺を逮捕しろ!他の奴には逮捕されたくないと頼む尾形に、無理ですよ、手錠を持ってないんで…と井上は断る。

その後、車に乗っていた室伏は、尾形が井上に捕まったらしいと田中に教えるが、田中は、自分に尾形を調べさせてくれ。身分詐称してSPになるには、警務部に仲間がいるに違いない。警察内部に深い闇があるのなら、早くあぶり出したいと申し出る。

しかし、その頃、梶山理事官は、トイレで首を吊って死亡していた。

室伏は、官僚の坊ちゃんたちを締め上げに行くかと言いながら、「雄翔会」メンバーたちが集まっていたマンションに向かうが、クリーニングのバンが立ち去るのを見かけた後、外に出ると、次の瞬間、轟音と共に、マンションの一室が大爆発を起こす。

日本はいつから、こんな物騒な国になったんだと室伏は呆れ、田中は、上から飛散して来たがれきの中から、「雄翔会」メンバーたちが写った写真を拾い上げる。

六ヶ月後

拘留中の尾形は、尋問のため、刑務官に呼ばれ、部屋の外に出ていた。

尾形に綱を結びつける刑務官は、「もうすぐだからな…」と尾形にささやき、一緒に歩き始める。

井上たち第四係の4人は、新しい任務のため、イベント会場へ向かっていた。

あの事件以来、井上の頭痛はすっかりなくなっていたのだが、靴ひもを結び直しため、少し立ち止まっていた井上は、スーツの内ポケットに忍ばせていた尾形からの手紙をちょっと取り出して見て元に戻していたが、その時急に又、猛烈な頭痛に襲われるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

アクションは多かった割に、ほとんどストーリーの展開が見られなかった「野望篇」と、テレビ放映された「革命前夜」の後半部分から繋がる後編で、尾形の野望が形となって現れる展開になっている。

物語は、静かに国会議事堂へ集結して行き、そこで国会占拠と言う大掛かりな見せ場の登場となる。

この一大事に実質的に立ち向かうのは、井上ら4人だけで、彼らの肉体アクションとアイデアが、本作の見どころになっている。

「野望篇」が、やや稚拙なエフェクトで、何となく安っぽさがあったのに対し、本作は、ポストプロ期間が十分あったためか、エフェクト部分も不自然さはほとんどなくなり、アクションシーン共々、かなり見応えのある作品に仕上がっている。

この作品だけでは分からない伏線も多いが、それほど複雑怪奇と言うほどの設定でもなく、野望篇や、ドラマ時代の総集編要素もあった「革命前夜」を観ていれば、それなりに付いて行ける内容になっている。


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