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松川事件

1961年、松川事件劇映画製作委員会、新藤兼人+ 山形雄策脚本、山本薩夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

全国から集まった会員券の結晶がこの映画です。(とテロップが出る)

タイトル

昭和24年(1949)8月17日未明、福島県を通過中だった青森発上野行き上り旅客列車が、金谷川駅から松川駅間で脱線転覆し、機関車の乗務員3人が死亡すると言う事件が起きた。

翌18日、増田甲子七内閣官房長官は、今回の事件は、三鷹事件等と同じ列車妨害事件の一環で、思想底流において同じものである、ホシは鉄道関係者と発言する。

昭和24年9月10日、福島駅近くのパン屋に、一人の男が訪れる。

本間刑事(井上昭文)だった。

「青い山脈」を口ずさみながらパン生地を準備していた職人赤間勝美(小沢弘治)に声をかけ、福島県警まで任意同行させる。

赤間は、何のやましい所もなかったので、のんきな顔で付いて行く。

取り調べに当たったのは、吉田部長(西村晃)だった。

最初はにこやかに赤間を迎えた吉田部長だったが、お前、仲間の斉藤と飯田に、16日の晩、列車がひっくり返ると言ったそうだな?と鋭い質問をして来る。

赤間はすぐに、そう言ったのは、17日の昼頃だったと答えるが、突然、吉田部長は、お前は人を殴ったことがあるな?と話を変え、赤間がないと答えると、嘘を言うな、17日と言うのも嘘だろうと決めつけると、赤間を別室の前に連れて行く。

ドアを開けると、中にいたのは斉藤貞男と飯田義夫で、二人は、赤間が来たのに気づくと驚いた風だった。

その二人に、その転覆の話、誰から聞いたと吉田部長が訪ねると、二人は声を揃えて「赤間!」と答える。

その時、黒い服を来た男と歩いていたはずだが、それは誰だ?と赤間に聞いた吉田部長は、お前は、権藤清子を強姦したな?本人が強姦されたと言っているぞと、赤間の身に覚えのないことを言うと、飯田から預かったドスを抜いてみせ、黒い服を来ていたのは誰だ?零下30度の網走刑務所に入れるぞ!と脅し付けたので、パニックになった赤間は泣き崩れる。

取り調べの主導は、玉田警視(永井智雄)に代わるが、彼も最初から赤間を犯人と決めつけているようで、共産党、嘗めるな!三鷹も松川も共産党がやったんだ!連中はみんな、お前がやったと言っているぞ!と、一方的に恫喝して来る。

もはや赤間は、寛大な処置をお願いしますと答えるしかなくなり、一人牢に入れられると、むせび泣くのだった。

赤間の父親は、かつて満鉄で働いていたが、戦後帰国、赤間は昭和20年から線路工夫として働き始めるが、その後、国鉄の第一次整理で退職させられ、今の村山製パン店で働くようになった。

母親は学校の給食婦として働いており、祖母ミナ(五月藤江)、農産試験場で働いている兄博、光恵、一恵、雪子と言った姉妹がいた。

福島労組のメンバーには、武田久(藤田啓二)、渡辺幾三、斎藤千(相川延夫)、阿部市次(高橋弘)がおり、赤間は、以前、駅長たちを紛糾する組合運動に参加して捕まった時、保釈金の1万円を労組から借りていた。

保釈後の8月15日、赤間は保釈金を出してもらった礼を言いに労組の事務所に顔を出すが、その際、6人いたメンバーたちは密談を行っていた。

赤間は、阿部市次から、虚空蔵様の祭りの日に脱線をやると言われた。

鈴木信(後藤陽吉)と二宮豊(弥富光雄)は、その日、アリバイを作っておくように赤間にアドバイスをした。

蛭川と高橋晴雄(林昭夫)は、秘密厳守を誓えと赤間に迫った。

本田昇(山科年男)が、金谷川駅か松川駅のカーブ付近は、人家がないので都合が良いと発言。

12時過ぎの夜行列車を狙うことに決定する。

虚空蔵様の祭りの日、赤間は、飯田がやっていたキャンデー売りの手伝いをした。

午後6時、親戚の南庄三が幻灯機を持って来た。

赤間は家族たちと自宅で夕食を食べた後、軍手を持ち出し、一旦、裏口の脇に隠しておき、又祭りに出かける。

祭りで権藤清子と出会い、再び、飯田のキャンデー売りを手伝うことにした赤間は、キャンデーを清子に渡し別れる。

その後、幻灯機の後片付けを手伝っていた赤間の元に、飯田義夫と斉藤貞男が来たので、赤間はうっかり、脱線のことを話してしまう。

その後、自宅に戻った赤間は、外に隠しておいた軍手を持つと、そのまま永井川信号所に行くことにする。

そこには、本田昇と高橋晴雄が待っており、金谷川駅から浅川踏切の方へ三人で向かっていると、松川駅の方から二人やって来た。

松川の方から来た一人はバールを持っており、一人は自在スパナを持っていたが、赤間の知らない男たちだった。

赤間は最初、松川方面の見張り役、高橋晴雄は金谷川方向の見張り役だったが、残りの面々は、線路の犬釘やチョックを抜いていた。

夜中の2時頃、4年以上線路工夫をやって仕事に慣れていた赤間が手伝ってやり、継ぎ目板を完全に外した。

松川から来た男は、仕事を終えると、持っていたバールを田んぼの中に捨てた。

赤間は、深夜4時半頃帰宅したが、その時、親戚の子の小野寺いつ子が来て寝ているのを発見、その横で寝ることにする。

翌朝、祖母のミナから、夕べは何時頃帰って来たのかと聞かれた赤間は、午前1時頃帰って来たが、その時、いつ子の髪をひっぱたが気づかなかったかと言い、アリバイ工作とした。

その後、出会った阿部市次から、組合から出した保釈金を返すように言われたので、赤間は組合に対し反感を抱くようになった…と、赤間の証言をまとめた調書を読み聞かせた検事は、赤間に署名させる。

昭和24年9月22日

この証言に基づき、第一次検挙が行われ、鈴木信、本田昇、二宮豊、阿部市次、高橋晴雄、松川駅から来たとされる佐藤一(寺島幹夫)、浜崎二雄(荘司肇)らが一斉に逮捕される。

10月4日、第二次検挙が行われ、杉浦三郎、太田省次、佐藤、大内、小林らが逮捕される。

捜査には、三鷹事件の捜査員も加わっていた。

10月17日、大三次検挙が行われ、二階堂園子(川村千鶴)が捕まり、司検事(多々良純)から取り調べを受ける。

事件前夜、組合の事務所に泊まったのは二階堂武夫(大竹淳五)だったはずだが、誰に頼まれてアリバイ作りのために泊まったのか?と聞かれたのだ。

戸惑うだけの園子を懐柔しながらも、別室に呼び出しておいた園子の母親にも、司検事は杉浦委員長の悪口を吹き込み、官選弁護人を雇うことを承知させる。

その間、園子の方は、原刑事(稲葉義男)が取り調べを引き継いでいた。

10月21日、第四次検挙が行われ、武田久(藤田啓二)が逮捕されるが、集まった記者陣に対し、武田はでっち上げだと叫ぶ。

原刑事が逮捕に向かった斎藤千は、心配げに見送る母親すみ(沢村貞子)を後に自宅を出る。

その後、加藤、岡田らも逮捕される。

新聞には、今回の事件と三鷹事件とのつながりも示唆されていた。

12月5日、第一回公判が始まる。

証人席に立った赤間は、調書に書かれた内容を全面否定する。

それを聞いている弁護団は、官選ではなく、岡林弁護人(宇野重吉)、大塚弁護人(宇津井健)、上村弁護人(千田是也)と言った「自由法曹団」のメンバーたちだった。

他の被告たちも全面否定をし、松川駅の方から来た男の一人とされる眼鏡の浜崎二雄も、バールと自在スパナを司検事から見せられたが、知らないと言うと脅されたと証言する。

桑田検事からは、俺は大陸で人間のすき焼きを食ったなどと暴言を吐かれたとも付け加える。

赤間証人を前に、岡林弁護人は、尋問中、捜査員からタバコをもらったかと聞くと、タバコだけではなく、丼も二回出されたし、守屋署長(殿山泰司)からは、渋茶だと言われ、湯のみに注がれた酒まで飲まされたと証言する。

他に、便宜を図られたことはないかと聞かれた赤間は、ピンポンをさせてもらったとも答える。

「自由法曹団」の悪口を言われたことがあるかと岡林弁護人が聞くと、共産党の仲間だと言われたと赤間は答える。

証言はどうやって言ったのかと聞くと、知らない写真を見せられて、そこに写っている人物の名前を捜査員に教えられ、その通りに答えたり、自分で考えたこともあると赤間は答える。

拘留中、被告人は人に会うのを嫌ったそうだが?と聞くと、赤間は、共産党が私がやったことにしていると聞かされ、人を信用できなくなったからだと言う。

牧師に会ったことがあるかと聞くと、働くよりも大きな仕事をすることが出来る。祈ることだ。人間は正直でなければならない。嘘をつくと、子々孫々まで迷惑がかかると面会した幸田牧師(織田政雄)が言うので、自分は神を信じて強くなりますと答えたと赤間は答える。

その後、絶対外部には出さないと約束した上で言ったはずの証言が、そのまま新聞に出ていたので、警察を信用できなくなった赤間は、「自由法曹団」の岡林弁護人に弁護を頼むことにするが、その後、再び会いに来た幸田牧師は、なぜ、「自由法曹団」に頼んだのかと聞いて来たと言う。

泉教会牧師、幸田太助と名乗ったその牧師が証言台に呼ばれる。

岡林弁護人が、どうして赤間被告人と会うことになったのかと聞くと、松川工場の人事課に勤めている井筒佳子の夫の方から頼まれたと幸田牧師は答える。

再び、証言台に立った赤間は、警察では本当のことを言うと信じてくれないで、嘘を言うと信じるので、つい嘘を言ってしまったと後悔するように漏らす。

次に証人として呼ばれた飯田は、虚空蔵菩薩の前で事件当夜赤間と会ったことは認めるが、転覆の話を赤間がしたのがいつだったかははっきり覚えていないと証言するが、質問をした山田検事が、その返事を聞こうとしないので、弁護団は、山田検事が自分の思い通りの証言を得られないと証言を封じるのはおかしいと抗議する。

弁護団から立ち上がった大塚弁護人は、飯田と、次に斉藤に、その夜のことを思い出させようとする。

斉藤は、その夜に赤間から列車の話はなかったと思ったが、刑事から夜聞いただろうとしつこく責められたので、そうだったかも知れないと答えると、帰り際に、タバコ銭として吉田部長から金をもらったと証言する。

証言台には、高橋晴雄の妻、高橋キイ(高友子)が立つ。

大塚弁護人は、事件前後の高橋晴雄の行動を確認する。

キイは、主人は自分と共に9日から14日まで佐倉に行っており、最終バスで14日に一旦帰宅し、列車で14日から16日まで米沢に行っていた。

16日の2時17分の汽車で3時過ぎに福島駅に戻り、その足でミシン屋に行き、新しいミシンをリヤカーに積んだものを、店の主人と息子、主人の三人で自宅まで押して来たと証言する。

ミシンは1万4000円のジューキミシン、夜は、8時から10時半頃まで主人が2歳の子供を連れて盆踊りを観に行き、帰宅後は、11時半頃休んだと言う。

お子さんが2歳と言うことは、夜中おむつを替えるために起きたはずだが、その時、ご主人は側で寝ていましたか?と大塚弁護人が聞くと、当夜は2、3回、おむつを替えるために起きたが、主人は横に寝ていたと答える。

続いて、高橋晴雄の隣の住民大原美枝子(大塚道子)が証言台に立つ。

昨年8月頃、警察から依頼され、晴雄さんから転覆の話を聞いたと言うキイさんの話を聞きに行ったことがある答えるが、それを聞いた大塚弁護人は、警察は、事件当日から既に、被告人を容疑者としてスパイしていたのだと解き明かし、転覆で死者が出たと言う事件のことは事件当日の朝7時からのラジオニュースで報道されたので、被告人がその時間自宅にいなかったと考えると、その内容を知っているはずがないとも付け加える。

昭和25年2月13日、他の被告人たちから、赤間だけ分離して証人とすると言う異例の事態を裁判所は認める。

これを知った上村弁護人は、被告なのに証人になるなどと言うのは異例のことで、これは裁判長に何か含む所があるに違いないので、撤回してもらいたいと申し出るが、なぜか聞き入れられなかった。

証人として証言台に立った、松川事件の関係者とは、留置所ではじめてあったこと、次妻農業組合に行ったことなどないと答える。

事件当夜、自宅に戻って来てから、親戚の小野寺いつ子の髪の毛を引っ張ったか?と聞かれると、帰宅した時、ちょうど、祖母のミナがいつ子を、外の便所に連れて行ったので、その後戻って来た時、いたずら心で引っ張ったと認める。

翌朝、朝食の席で、いつ子はそのことを赤間に問いかけるが、赤間は知らないととぼけたのだと言う。

バーナや自在スパナを見せられた赤間は知らないと答える。

岡林弁護人が、組合員たちの名前は知っていたのかと聞くと、みんな警察で教えられた。事件当日は、家で飼っていたウサギや鶏にえさをやっていた。

浜崎には、警察で警官の服を着せられ、吉田部長の同僚のような雰囲気で、取調室の外に立たされ会わせられたし、保釈金のことも、警察に誘導されて答えてしまったと言う。

吉田部長は、祖母のミナが、お前は事件当夜、夜中の2時まで自宅に帰って来なかったと証言していると調書を読みながら赤間に告げたと言うのだ。

おばあさんは字は読めますか?と聞くと、赤間は即座に読めませんと答える。

赤間は、自分は何の身に覚えもない罪で、もう6ヶ月も取り調べられている。私のいい加減な調書で、無実の20人の人たちを罪に落とすことなど出来ないと嘆く。

岡林弁護人は、この調書は信用できず、法を悪用していると申し立てるが、裁判長は、調書の任意性を認めると答える。

赤間からの申し出で証人として立った吉田部長は、祖母ミナの調書を見せた事実の確認を求められるが、吉田部長は全く知らないと否定、玉田警視も全く知らないと否定したので、それを聞いた赤間は怒りだす。

取調中、優しくされたことがあるかと弁護人が聞くと、守屋署長と一緒に風呂に入ったり、祭りの夜、警察署の窓から外の様子を見せられたり、酒を振る舞われたり、カツ丼をごちそうになったことがあると赤間は答える。

次いで、武田久の妹が証言台に立ち、8月16日は父親の命日だったので、兄弟たちが自宅に集まっていたと証言する。

その時、岡田十良、本田昇、鈴木信らも来ていて、兄と岡田が議論になったが、彼らは9時15分頃まで家にいたとも答える。

辰巳屋旅館の所まで本田を送って行ったが、本田はその時相当酔っていたので、ちえ子の所などこれから行ってはダメだと注意したと言う。

松村が証言した後、本田昇が証言台に立ち、事故前夜の8月17日、本田が事務所で寝ているのを観た。先に証言した松村は、松川事件で警察から優遇された言っていたと証言する。

次に証言台に立ったのは、赤間の兄博(名古屋章)だった。

斉藤と大塚と一緒に、赤間に面会に言った日のことを証言するが、何だか、しばらく会わないうちに傲慢になっていたと語る。

部屋で二人きりにしてもらった時、赤間は笑いながら、俺がやったと答えたと言うので、死刑になる覚悟は出来ているかと聞くと、署長が俺だけ助けてやると言っていると赤間は言っていたと言う。

昨日も東芝の人が引っ張られたと教えてやると、ヤケになったかのように、その人たちがやったんだ!俺が証言を否定すると、偽証罪になってしまうんだ!と赤間は泣き始め、ばあちゃんは俺のことを信じてくれるかな?とつぶやくと、ばあちゃんに言ってくれ、俺、本当はやってないんだと言ったと言う。

続いて、その赤間の祖母ミナが証言台に呼び出されるが、ミナは宣誓文が読めないと言う。

事件当夜、赤間は家に何時頃帰って来たかと聞かれたミナは、勝美が帰って来た後、時計が1時を鳴らしたと答える。

警察でも、夜の12時から1時までの間に帰って来たと言ったが、3時か4時頃だろうと一方的に言われたと言う。

続いて、赤間と付き合っていた権藤清子が証言台に立ち、自分は赤間から暴行など受けたことがないのに、無理矢理、吉田部長から、堤防の所で強姦されただろうと脅かされ、とうとう強姦されたと調書に書かされてしまったと答える。

再び証言台に立った赤間は、最初に嘘をついた自分が、この事件が嘘であることを知っている。私たち20人を無罪にして下さいと裁判長に訴える。

次いで証言台に立った高橋晴雄は、自分は事故で怪我をしており、事件現場に行くことなど出来ないので無罪だと申し述べる。

昭和25年12月6日、第一審判決が下された。

騒然とする裁判所で下された判決は、赤間など5人が無期懲役で、5人が死刑、他のものにも懲役刑が下された。

12月7日、全員の身柄は宮城刑務所へと送致された。

途中の護送車の中では、全員、団結の気持ちを固めていた。

その後、第二審の進行により、ますます事件の本質が明らかになる。

弁護団は、証拠の欺瞞性を次々に暴き立てて行く。

昭和28年12月22日、仙台高等裁判所での第二審判決。

裁判所の外はMPまで出動して警護する異様な雰囲気で始まる。

自民党員である弁護士は、この事件は政治信条とは別に、全員無罪だと確信していると記者たちに述べる。

藤木裁判長(加藤嘉)は、一審を破棄し、3人を無罪、残りのものは3名の死刑や懲役刑と言う判決を下したので、全員無罪を信じていた裁判所内は騒然となる。

判決に承服できない被告人たちが次々と抗議をするので、仕方なく、裁判長は、佐藤一だけに10分間発言を許す。

裁判所の外では、取材のヘリが飛び、被告の支援隊が歌を歌っていた。

そんな中、裁判長の隣に座っていた高倉裁判官が薄ら笑いを浮かべているのに気づいた弁護団は、猛烈な抗議をし、新聞に一部無罪、一部有罪と言う情報が載っていたのはどう言うことなのか?厳粛に裁判を出直してくれと抗議し、裁判長は一体誰の命令を受けているのかと問いただすが、藤木裁判長は命令など受けていないと答える。

しかし、あまりに理不尽な判決に怒った被告人たちが口々に抗議を繰り返したので、全員退廷を命じられると言う異常事態になる。

赤間は、被告人たち全員に、堪忍して下さいと謝罪するしかなかった。

佐藤一は、外で待ち受けていた支援団に向かい演説を行う。

支援団に参加していた国鉄職員や看護婦、学生らは、この明らかに理不尽な判決に抗議のコメントを寄せる。

武田の母シモ(北林谷栄)も、車の上に登り、自分の息子は無罪になったけど、後10数人の息子がいるので、ご支援よろしくお願いしますと支援団に挨拶をする。

支援団は、全員で歌を歌い始める。

その後、諏訪メモが発見され、昭和34年8月10日、最高裁は二審判決を破棄し、仙台高裁に差し戻した。

差し戻し審での判決の日は間近に迫っている…

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

下山事件、三鷹事件と並び、「戦後国鉄三大ミステリー事件」の1つと言われている「松川事件」の捜査から裁判までの経緯を描いた作品。

最終的に、被告人たちは全員無罪となったが、いまだにこの事件の真犯人は捕まっていない。

この映画では、捜査段階から、警察側の見込みと証拠のでっち上げによる冤罪の疑いが濃いと言う立場で描かれている。

なので、警察側の人物描写は、全員ふてぶてしい悪人風に描かれており、弁護側は、正義漢風に見える。

この裁判過程が、映画の内容通りだったのだとすると、司法が何者かの圧力を受けていたとしか見えないが、この辺は、映画だけを鵜呑みにするのも危険かも知れない。

とにかく、当時、世間の耳目を集めていたと言うことは、それだけ異常な裁判経過だったと言うことなのだろう。

月並みな表現だが、真実は闇の中と言うしかない。

ことの真偽はともかく、渋く達者な役者陣が、警察側、弁護側にそろっており、その人たちの演技を観ているだけでも価値がある作品である。