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コルドロン

1985年、アメリカ、ロイド・アレクサンダー原作、デイヴィッド・ジョナス +ヴァンス・ゲリー+ テッド・バーマン+リチャード・リッチ+アル・ウィルソン+ロイ・モリタ+ピーター・ヤング+アート・スティーヴンス +ジョー・ヘイル脚色、テッド・バーマン+リチャード・リッチ監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

伝説によると、プリディン王国と言うと言う所に、神をも犯す残虐で冷酷な王がおり、その魂は解けた鉄釜の中に封じ込まれ、「ブラック・コルドロン(邪悪な黒い鉄釜)」と呼ばれたと言う。

その「ブラック・コルドロン」を、長年、邪悪な人間どもは探しまわった。

手に入れた物は、不死身の軍隊を手に入れ、世界を支配できるからであった。

タイトル

老人ドルベンは、妖精たちが姿を消してしまったことに気づき、嫌な予感を感じていた。

ホーンド・キングの仕業かも知れなかった。

ドルベンは、かまどにかけた鉄鍋がたぎっていることに気づくと、窓際でぼーっとしていた若者ターランに注意する。

ターランは、鉄鍋から皿に料理を入れながら、戦争が終わったら戦いはなくなると新発見したかのようにドルベンに教える。

ドルベンの猫がそれを食べようとするが、それはヘン・ウェンのものだとドルベンから注意され、ターランも、夢ばかり観ていないで仕事だと注意される。

ドルベンはターランに、冒険心ばかりで先が見えておらんと嘆きながら、皿を持って外に行かせる。

ターランが皿の料理を持って行ったのは、庭で飼っていた豚のヘン・ウェンにだった。

ターランは、豚の世話をするのが仕事だったのだ。

しかし、ターランは、チャンスがあれば自分だって戦士になれると夢見ていた。

木の枝を拾い、それを剣に見立てたターランは、庭にいたヤギを相手に戦いを挑んで勝った気分でいたが、すぐに、尻をヤギの角で突かれ、どろんこの中に突き飛ばされてしまう。

そこに、ドルベンがやって来て、泥だらけになったターランに呆れながら、同じくその泥を浴びて汚れたヘン・ウェンをきれいにするように命じるのだった。

ヘン・ウェンは特別な豚だと言うのだ。

仕方なく、ヘン・ウェンの身体を洗ってやっていたターランだったが、その時、突然、ヘン・ウェンの様子がおかしくなり暴れ出したので、ドルベンに知らせると、すぐに家の中に入れろと命じられる。

ドルベンは、水を張った器をヘン・ウェンの前に置くと、その水を杖でかき回しながら、水に映して教えておくれとヘン・ウェンに頼む。

目が空ろな状態になった豚のヘン・ウェンは、その水に鼻先を近づけると、たちまち、水の中に不気味な姿をした何かが映り始める。

ドルベンはすぐに、ホーンド・キングだと見抜く。

水の中に写ったホーンド・キングは、ブラック・コルドロンを探しているようだった。

もし、ブラック・コルドロンをホーンド・キングが手に入れてしまったら、恐ろしい敵になり、誰も手向かえないことになるとドルベンは言う。

次の瞬間、水の中に写ったのは、ヘン・ウェン自身の姿だった。

ホーンド・キングがブラック・コルドロンの在処を知るには、ヘン・ウェンを使うことに気づいた証拠だった。

ドルベンはターランに食料としてパンとリンゴを持たせると、ただちにヘン・ウェンを連れて森へ逃げるように命じる。

それを見送りながら、ドルベンは、あの子は若い。この試練に耐えられるだろうか?と案ずるのだった。

不気味な城の周囲には、龍が飛んでいた。

その中にいたホーンド・キングは、我が兵士たちよ!間もなく、ブラック・コルドロンが我が手になる。

私をあがめるが良い。我が兵士たちよ!長い間待ちかねた時が来ると、累々とチバラル兵士の屍に向かって叫んでいた。

森の中の湖の場所に着いたターランは、又、湖に映る自分の姿を観ながら、兵士になった夢想にふけり始めるが、気がつくと、今まで側にいたはずのヘン・ウェンの姿が見えなくなっていたので、慌ててリンゴを取り出すと、それを餌にヘン・ウェンを呼び始める。

しかし、そのリンゴに飛びついて来たのは、ガーギと言う毛むくじゃらの不思議な動物だった。

ガーギは、リンゴ欲しさからなのか豚を観たと言うが、ターランは信用しなかった。

その時、ヘン・ウェンの鳴き声が聞こえて来たので、走って向かうと、恐ろしい竜にヘン・ウェンが捕まりそうになっている所だった。

急いでヘン・ウェンを助けようと、飛び去ろうとする龍の尻尾に飛びついたスーランだったが、すぐに振り落とされ、ヘン・ウェンは竜にさらわれて飛び去ってしまう。

その飛んで行った方向に追って行ったターランは、遠方に不気味な城影を発見する。

助けなきゃ…とターランは決意するが、そこまで一緒に着いて来たガーギは、友達があそこに行ったら、二度と帰って来ないとターランを止める。

ターランは、ガーギがもうそれ以上付いて来ないことが分かると、諦めて、持っていたリンゴをガーギに投げてよこすと、自分一人で城に向かうのだった。

一人取り残されたガーギは、せっかく友達になれると思っていたターランと別れることになったので寂しがる。

城の中に入り込んだターランは、番犬に吼えられるが、番犬番には気づかれず、そのまま奥へと番犬を連れて行ってくれたので、何とか、さらに奥の部屋へと進むことが出来た。

そこでは、多くの荒くれ者たちが、太った女の踊りを観ながら酒を飲んで騒いでいた。

そんな荒くれ者の中に混じった醜い小男クリーパーは、何とか肉にありつこうとしていたが、大男たちにはじき飛ばされ、嘲笑されていた。

その時、部屋の様子が一変する。

あれほど騒いでいた大きな荒くれ男たちが一点を見つめ、全員黙り込んだのだ。

そちらから、この城の主、ホーンド・キングがやって来たのだった。

クリーパーは、連れて来いと命じ、捕まえたヘン・ウェンをホーンド・キングの前に差し出すと、小尾様にお見せしろ!と水の入った器を豚の前に置いて威嚇するが、ヘン・ウェンが言うことを聞きそうにもないので、熱した石を豚に押し付けようとする。

それを、部屋の上から観ていたターランは、思わず「止めろ!」と叫び、その弾みで足を滑らせ、部屋の床に落下してしまう。

それを観たホーンド・キングは、飼い主のようだが、コルドロンの在処を教えるように伝えろと命じる。

一旦は、出来ませんと断ったターランだったが、ならば、その豚に用はないとホーンド・キングは言い、大きな斧で、ヘン・ウェンの首をはねようとさせたので、ターランは諦め、やらせますと言うしかなかった。

水を張った器に、ヘン・ウェンが鼻を近づけ、何かが映ったのに気づいたホーンド・キングは、「見せろ」と言いながら近づいて来るが、その瞬間、ターランはあわてて身を避けようとして、器の水をこぼしてしまい、その水はホーンド・キングの服にかかってしまう。

すると、ホーンド・キングは、聖水でも浴びたかのように苦しみ出す。

その隙に、ヘン・ウェンを連れ、ターランは部屋を逃げ出そうとする。

部屋の隅に繋いであった龍たちが紐を繋いだ横木をへし折って追跡して来るが、狭い入り口にその横木が引っかかってしまう。

窓際に来たターランは、ヘン・ウェンに堀の中に飛び込むように言い、身体を押し上げてやるが、次に自分も飛び込もうとしたとき、クリーパーに押さえられ捕まってしまう。

ホーンド・キングの命令により地下牢に入れられたターランだったが、利用されてはいかん!と言うドルベンの声が聞こえて来る。

それでも、ターランは、ヘン・ウェンを守る仕事を出来ると思っていた自分を恥じていた。

その時、床石の一つが持ち上がったかと思うと、その下から、空中を飛び回る光る珠と、少女が一人這い上がって来たので、ターランは驚愕する。

少女はエロウィ姫と名乗り、自分も魔法の珠と一緒に捕まっているのだと教え、助けに来てくれたのかと聞いて来るが、ターランは、自分はただの豚の世話係だと正直に打ち明ける。

エロウィ姫が言うには、ホーンド・キングは、コルドロンを探させるために魔法の珠を使うつもりらしい。

とにかく、下の部屋から逃げられるかも知れないと言うので、エロウィ姫と一緒に、床石の穴から下に降りたターランは、ネズミがうろつく地下道を伝って逃げ道を探し始める。

すると、巨大な埋葬室に出た。

エロウィ姫が言うには、この城を作った前の王の棺らしい。

立派な王だったらしく、棺の上には剣が置かれていたので、ターランは思わずそれを拝借してしまう。

さらに、地下道を進むと、クリーパーが、何かを城に運び込ませている所を目撃する。

荷車に乗せられたのは、どうやら鎧を着た兵士の死体のようだった。

さらに進んだエロウィ姫とターランは、城の近くをうろついている所をスパイとして捕まったらしい吟遊詩人フルーダーなる人物を発見する。

縛り付けられたその吟遊詩人を助けようとしたエロウィ姫とターランだったが、自分が逃げ出したとの荒くれ者たちの声が聞こえて来たので、あわてて部屋を飛び出そうとしたターランは、エロウィ姫とはぐれてしまう。

通路で大男の一人に見つかったターランだったが、持っていた剣が急に光り出し、大男が斬り掛かって来た斧を簡単に溶かしてしまったので、急に勇気づく。

大男は、驚いて逃げて行ってしまい、その後、エロウィ姫と再会したターランは、おいで、逃がしてあげると言い、迫って来た追っ手たちと光る剣で戦い始める。

逃げ遅れたらしき吟遊詩人のフルーダーは、番犬に追われていた。

ターランは、巨大なワイン樽が並んだ場所に来ると、剣で樽に穴をあけ、大量のワインを流出させ、追っ手の荒くれ者たちの足を止める。

しかし、門が閉まっていたので、それ以上進めなくなるが、エロウィ姫の助言で門を吊り上げている鎖を剣で断ち切ると、降りた門を伝って外へと脱出する。

追いついたフルーダーも番犬を振り切り、何とか城から逃げ出すことに成功する。

クリーパーは、恐る恐るホーンド・キングの部屋に来ると、小僧たちが逃げたことを報告するが、罰を受けることを予期し、自分で自分の首を絞め始める。

しかし、ホーンド・キングは、豚を追わせろと命じただけだったので、部屋を出たクリーパーは喜ぶ。

何とか、森の中で落ち着いたエロウィ姫は、番犬に食いちぎられたフルーダーのズボンの尻の部分を、慣れぬ手つきで繕ってやっていた。

その間、フルーダーはのんきに唄っていた。

ターランはすっかり勇者気取りになっていたが、エロウィ姫が、魔法の健之おかげでしょう?と嫌みを言われると、つい口喧嘩を始めてしまうのだった。

怒ってその場を立ち去ったエロウィ姫だったが、つまらぬ言い争いをしてしまったことにちょっぴり哀しげだった。

ターランの方もけんかをしたことを反省し、エロウィ姫に近づくと、牢から逃がしてくれてありがとうと素直に感謝するのだった。

姫も謝罪し、二人の仲直りするが、その時、フルーダーが、見慣れぬ動物に絡まれていることに気づく。

ガーギはターランの帰還を喜んでいるようだったが、ターランの方はガーギを友達じゃない。ただの臆病者だと言い放ちシカトする。

名誉を挽回しようとしたのか、ガーギは豚の足跡を観たと報告する。

半信半疑で、その場所だと言う沼の側に来た3人だったが、確かに、ガーギの言う通り、豚の新しい足跡を見つける。

ガーギは得意げに沼の中の岩を渡っていたが、その岩が急に水の中に沈み出し、渦巻く水に飲み込まれそうになる。

それを助けようと手を伸ばしたターランたちも、全員、沼の水の中に引き込まれてしまう。

気絶したターランたちの側に、4人の妖精が出現し、ドーリの渦が壊れたんだと話し合う。

一人の妖精が、修理完了と報告したのを受けたアイデリックと言う妖精の王が、気づいた4人に挨拶して来る。

沼の底は妖精の国だったらしく、たくさんの妖精たちが4人の周りに集まって来る。

豚を探しているのだとターランが説明すると、保護してあると言い、ヘン・ウェンを連れて来させる。

アイデリック王は、ターランの話を聞くと、ホーンド・キングを倒さないのかと聞いて来る。

ブラック・コルドロンのある場所が分からないとターランが言うと、モーヴァの中に隠してあるとアイデリック王が言うではないか。

先ほど、沼の底を修理していた妖精ドーリが詳しい場所を知っているらしい。

それを知ったターランは、コルドロンさえ壊せば悪を倒せると喜び、エロウィ姫にも一緒について来て欲しいと頼む。

アイデリック王は、では出発だ!と声を上げ、妖精たちが集まって、光の固まりになり、4人を地上に持ち上げて行く。

ヘン・ウェンは痕で運ぶとアイデリック王は約束してくれる。

妖精ドーリの案内でモーヴァの沼にやって来たターラン、エロウィ姫、フルーダー、そしてガーギだったが、穴の底に落ちてしまう。

しかし、そこに目指すコルドロンのある家があった。

恐る恐る中に入ってみた一行だったが、中に隠れていた多くのカエルが飛び出して来てみんなを脅かす。

ドーリが言うには、今のカエルたちは、全員人間が姿を変えられた物らしい。

その時、ガーギがコルドロンを見つけたと言うので、そちらに行ってみると、そこには無数の鉄釜が置かれており、どれがブラック・コルドロンか見分けがつかなかった。

その時、泥棒だ!カエルが盗まれたと言う声を共に、三人の魔女が出現する。

その中の、一人の太った魔女は、フルーダーに魅力を感じたらしく、抱きつこうとする。

しかし、別の魔女がフルーダーをその場でカエルに変えてしまったので、怒った太った魔女は、又人間の姿に魔法で戻してやるが、又、カエルにされ、又元に戻すと言うドタバタを演ずる。

ターランは魔法の剣を突き出しながら、ブラック・コルドロンを出せと魔女たちに迫るが、魔女たちは、他の物じゃダメかい?と言いながら、家の中に置いてあった無数の鉄釜を空中に飛ばし始める。

しかし、ターランが持った魔法の剣は勝手にその鉄釜を次々に切断して行く。

それを観ていた魔女は、あの剣が欲しいと言い出し、どうせ人間には使いこなせないだろうからと相談し合うと、ターランに、ブラック・コルドロンとその魔法の剣を交換しようと提案する。

悩んだターランだったが、決意すると、魔法の剣を差し出す。

それを観た魔女たちは、この剣さえあれば、世界一の剣士になれたのに…と笑いながら消えて行く。

後に残されたターランたちは、魔女たちが消えてしまったので、騙されたと疑うが、次の瞬間、地震が起き地面が盛り上がったかと思うと、そこから大きな黒い鉄釜が出現する。

それこそ、探し求めていた「ブラック・コルドロン」だった。

雲の中に姿を現した魔女たちは、その「ブラック・コルドロン」は誰にも壊せない。悪霊の力を止めるには、その中に飛び込むしかないが、飛び込んだが最後、出て来れんと忠告し、今度は本当に消え去って行く。

妖精のドーリは、魔法の剣を失ってしまったターランの判断を責め、人間の考えることは分からんと言い残して消えてしまう。

その言葉を聞いたターランも反省し、確かに今の自分には何も出来ないし、これまで協力してもらったみんなに感謝している、みんな友達だとエロウィ姫たちに伝える。

その時、ガーギが何かに怯えたように逃げ出したかと思うと、龍が出現し、ターランたちは、やって来た荒くれ者たちに、「ブラック・コルドロン」と一緒に捕まってしまう。

城に連れて来られたターラン、エロウィ姫、フルーダーの3人は縛られてしまい、そこに「ブラック・コルドロン」が運ばれて来る。

「ブラック・コルドロン」に近づいて来たホーンド・キングは、今から、死の軍団を蘇らせると宣言したかと思うと、鎧を付けた兵士の白骨死体を釜に投げ込む。

すると、「ブラック・コルドロン」の中から、緑色の不気味な気体が溢れ出て来て、城の中に置いてあった無数の鎧兵士の遺体の目の中に入り込んで行く。

その頃、ガーギは、勇気を振り絞って、城の中に潜入していた。

みどりの気体が入った白骨兵士たちは起き上がり始める。

ホーンド・キングが、不死身の兵士、進め!と命じると、城中の白骨兵士が、緑色の気体と共に門から外に行進して出て行く。

ガーギに気づいたターランが喜ぶと、ガーギは、反省した。いつも逃げてばかり…と言い、縛られていた三人の紐を解いてやる。

しかし、ターランだけは逃げようとせず、自分は決めたと言いながら、「ブラック・コルドロン」の上部にある柱に登り始める。

自ら、釜の中に飛び込み、悪霊を止めるつもりだと察したガーギはターランを止め、ターラン友達多い。ガーギいない…と言ったかと思うと、自ら、「ブラック・コルドロン」の中に身を落とす。

ターランは悲鳴を上げるが、ガーギの身体が「ブラック・コルドロン」の中に落ち込んだ途端、門の外に出て行きかけていた白骨兵士たちは次々に倒れて行く。

その異変に気づいたクリーパーは、他の以外が必要なのかもとホーンド・キングに進言するが、すると、王はにわかに、お前のかもな…と言いながら、クリーパーの身体を掴んで、「ブラック・コルドロン」の方へ向かう。

しかし、緑色の気体は急速に釜の中に吸収されており、その勢いに、ホーンド・キングも吸い込まれそうになり、柱に付いた飾りの輪っかに捕まり、何とか身体を持ちこたえさせる。

その時、ターランの姿を発見クリーパーが、奴のせいです!と叫び、ホーンド・キングは、片手でターランの顔を掴もうとするが、コルドロンの餓えをお前が満たすのだ!と叫ぶターランに蹴られてしまう。

バランスを失ったホーンド・キングは、そのまま「ブラック・コルドロン」の中に吸い込まれてしまう。

クリーパーは、王様が死んだ!と驚くが、次の瞬間、自分をいじめる存在がいなくなったことに気づくと大喜びする。

「ブラック・コルドロン」は沸騰したかのように全体が熱く熱せられると、そのまま床に沈み始める。

同時に城全体も崩壊し始めたので、フルーダーとエロウィ姫を詠んだターランは、小舟を見つけ、それに一緒に乗って川伝いに脱出しようとする。

しかし、外への扉には鉄格子がはまっていることに気づいたので、自ら川に入り、その格子の鍵を開けると、大きな柱が水の中に倒れ込んで来たので、水があふれ、何とか船にしがみついたターランと共に、3人は外の湖に押し出される。

城全体が崩壊し、3人は転覆した小舟にしがみついて助かるが、その上空を、龍に乗ったクリーパーが逃げ去って行く。

その時、「ブラック・コルドロン」が湖に水面に浮かび上がって来る。

ターランは、自己犠牲で消えてしまったガーギを思い哀しむ。

そこへ、あの3人の魔女が出現したかと思うと、英雄はガーギだよと言い、「ブラック・コルドロン」は自分たちが引き取ってやるとターランたちに告げる。

その時、吟遊詩人のフルーダーが、何かを思いついたように、ただではやらん、取引だと言い出す。

前回のこともあるし、フルーダーのことを憎からず思っていた太った魔女が、魔法の剣を出してやると承知する。

しかし、それを聞いたターランは、僕はピッグボーイだ。剣はいらない。ガーギと交換しようと言い出す。

それにかぶせるようにフルーダーも、お嬢さんたちには、そんな力ないらしいと魔女をからかう。

怒った魔女たちは、取引に従ったよと言ったかと思うと、渦巻きと共に消えて行く。

気がつくと、あのガーギが横たわっていた。

それを観たターランは、死体が戻って来ただけだと知り、泣きながら抱き上げてやる。

しばらくそうやっていると、「この辺にごちそうが…」と言いながら、ガーギの手がターランの胸元に忍び込んで来たではないか。

それを観たエロウィ姫は、生きているわ!と喜ぶ。

目を開けたガーギは、寄って来たエロウィ姫とターランの頭を掴み、引き寄せてキスをさせる。

ターランは、おいで、家に帰ろうとガーギを誘い、ガーギも幸せ!と喜ぶ。

それを観ていたフルーダーは、何とすばらしいと感激するのだった。

ドルベンの待つ家では、先に戻っていた豚のヘン・ウェンが、水を張った器に鼻先を付け、みんなで帰還するターランたちの姿を映し出していた。

それを観たドルベンは、良くやったと、妖精のドーリと共にターランの勇気を褒め讃えていた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「美女と野獣」(1991)で再評価を受けるまでのしばらくの間、ディズニーアニメは興行的に不審な時代が続いていたが、この作品は、その低迷していた時期のディズニーアニメの一本である。

光る剣やじゃじゃ馬なお姫様など、どことなく「スター・ウォーズ」(1977)や「ジェダイの復讐」(1983)などの影響を感じる内容になっている。

あまり日本では馴染みのない話であることから、いわゆる古典ではなく、創作ファンタジーなのかも知れないが、何となくありふれた展開であるのに加え、クライマックスもあっけない感じで、盛り上がりに欠ける所があり、特に際立った印象を受けない所が人気を得なかった一因だったのかも知れない。

登場する妖精たちも、皆、つり目気味のキャラクターで、かわいらしくない。

背景画は水彩画風のタッチだし、色トレースなども懐かしく、全体的に丁寧に作っている感じはするが、いかんせん、おとなしいと言うか、地味な印象は拭えない。

特に、派手なアクションアニメなどを見慣れていた当時の日本の子供たちには物足りない内容に写ったのではないか。

安心して観ていられるディズニーアニメのもう一つの側面でもあるが、毒にもならないけれど、特に薬にもならない、凡庸なファンタジーと言った所だろうか?

最後に、自己犠牲などと言う描写が出て来る所は、多少、日本のアニメの影響なのかも知れない。