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里見八犬伝('83)

1983年、角川春樹事務所、鎌田敏夫原作+脚本、深作欣二脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

玉梓(夏木マリ)は、その息子、蟇田素藤(目黒祐樹)と、落城した里見の城にやって来て、司祭の幻人(汐路章)が差し出した、里見重義とその一族の首を前にして、「一つ足らん!静姫はどうした!」と叫ぶ。

どうやら、落城寸前に逃げたらしい事が判る。

石に手を置くと城の扉を開き、中に入った玉梓は、6つの首を並べ、「御霊様」と呼びかけ、素藤共々帰って参りましたと、壁に刻まれた魔像に対して報告する。

幻人から血の入った壺を受け取ると、それを、石の凹みに流し込んだ玉梓は、あますは静姫ただ一人。それも近々、捧げ参らせましょうと「御霊様」の魔像に約束する。

その頃、静姫は、お供のものと一緒に、伯父上に当る の城を目指して逃避行を続けていた。

食べるものもないので、共の爺が差し出した得体の知れない肉を、何の肉か判らぬものを口にする訳には行かぬと拒絶した静姫だったが、言えば、食べて頂けますか?それは青大将でございますと言われると、それ以上拒否する事は出来ず、無理に口に入れる。

その後、静姫の影武者役として、小萩に静姫の着物を着せ、静姫の方は男に化けて旅を続ける事にする。

しかし、すぐに玉梓の追っ手に追いつかれたので、爺は静姫を、道端に突き落とす。

静姫に化けた小萩が馬上の武士に連れ去られたので、刀を付いてその後を追おうとした静姫は、既に斬られていた爺から必死に止められる。

その爺は、静姫をかばいながら、槍に突かれて死んでしまう。

追っ手が去った後、一人になった静姫は、素藤、いずれ必ず、討ってやるぞ!と誓うのだった。

百年前、蟇田一族は、静姫の先祖里見義実に負かされ、素藤は顔を焼かれてしまったため、長年、高貴な姫の皮で火傷の痕を繕って来た。

しかし、右目の周囲と言う肝心な部分だけが残っていた。

その頃、とある村に、馬に乗った若者が乱入して来て暴れ回っていた。

若者は、犬江親兵衛(真田広之)と言い、武士になりたくて村を出て行った男だったが、今、戻って来たのだ。

知り合いの彦爺(殿山泰司)に、戦に行って来たと誇らし気に語りかけた親兵衛だったが、捨て子のお前を拾って育ててくれた源爺は死んだと聞かされると、さすがに顔色を変えた。

源爺の墓前に佇んだ親兵衛は、雑兵は、戦い終わればお払い箱…と呟いていたが、その時、炭焼き小屋に人影を見つけ近づいていると、見知らぬ子供が部屋の中をあさっていた。

食い物を探していると察した親兵衛は、持っていた焼き米を与えるが、相手は、食べ方も知らないらしく、むせてしまう。

しかし、小屋から去りかけた子供の様子に違和感を感じた親兵衛は、追って行き、取り押さえると、相手が男に化けた娘である事に気づく。

娘は、一人で彷徨っていた静姫だったのだ。

親兵衛は、そんな成りをしている静姫に襲いかかろうとするが、その時、出現した謎の男に杖で打たれて気絶してしまう。

見知らぬ加勢の出現に警戒した静姫だったが、加勢の二人は、犬村大角(寺田農)、犬山道節(千葉真一)、共に、家に奉公していた子孫であると告げる。

そこに、蟇田の追ってが迫り、爆弾を投げつけて来たので、三人はその場を逃れる。

その様子を、親兵衛は、木の上からじっと監視していた。

静姫が里見の姫である事を知った親兵衛は、恩賞をもらえる望みがある事に気づく。

追っ手から逃れ、落ち着いた所で、道節は一本の巻物を静姫に見せ、昔、里見義実に負けた蟇田の先祖は、玉梓の色香に迷い、里見の子孫を滅ぼしてやると云う呪いの言葉を残したのだと説明する。

一方、義実は、飼犬の八房に、敵将の首を捕って来たら、姫を与えると戯れ言を言ったのだが、その後、本当に、八房が敵の大将の首を捕って来たので狼狽してしまう。

しかし、伏姫は、例え相手が犬であっても約束は約束と、八房と共に城を去って行く事になるのだが、これこそ、玉梓の呪いだったのである。

その伏姫を取り戻そうと、山に戻った犬山八郎が率いた鉄砲隊が、八房を殺そうと放った弾が、あろう事か伏姫に当ってしまう。

その時、伏姫の身体から、「仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌」の文字が入った八つの珠が飛び散ったと言う。

その八つの珠は、百年の後、八人の天使となって、玉梓を滅ぼすだろうと言いながら、道節は、自分たちの証しとして、持っていた伏姫の笛と、「忠」「義」の二つの珠を見せるのだった。

二人を信じた静姫は、自分を武蔵の伯父上に所に連れて行って欲しいと頼む。

道節は、武力だけでは適わない。城に巣食っているのは妖怪共だと教え、自分の命は後一月しか持たない、日ごとに身体が崩れて行く業病なのだとも告白する。

その頃、城の中では、玉梓が、「八つの珠を持った天使が来るぞ!」と怯えた声を上げていた。

その狼狽ぶりを見た素藤は、母である玉梓とキスをすると、捕らえて参れ!と部下たちに命ずるのだった。

玉梓は、この世で、自分が一番強いと思ったときから、滅びへの道が始まるのだよと、素藤に言い聞かす。

その頃、とある屋敷では、犬塚信乃(京本政樹)は、愛する妹、浜路(岡田奈々)の代官との政略結婚の席で、顔を曇らせていた。

そうした庭先で踊っていた一人の女、犬坂毛野(志穂美悦子)はなぜかにやりと笑う。

婚礼の席に列席していたのは、蟇田素藤の配下、妖之介(萩原流行)と幻人。

その時、鴨居を伝って来た一匹の蛇が、浜路の側に落ちて来たので、浜路が驚いて飛び退った瞬間、座敷に上がり込んで来た毛野が、代官の首を跳ね飛ばして逃げて行く。

婚礼の席を汚された犬塚信乃は、毛野と戦い始める。

そんな信乃に浜路は、私を連れて逃げて兄さん!とすがりついて来る。

しかし、信乃の側にやって来た伯父(遠藤太津朗)は、あの女を連れ込んだのはそちの仕業かと因縁をつけ、斬り掛かろうとして、誤って浜路の方を斬ってしまう。

大切な妹を失った信乃は、逆上して暴れ回り、伯父たちを全員惨殺して行くが、気がつくと、いつの間にか、浜路の死体は消えていた。

そして、庭にある手水鉢の中から「孝」の文字が入った光る珠を見つけるのだった。

浜路の死体を抱いていたのは幻人だった。

一方、毛野は、無人の墓場にやって来ると、報償として、打ち合わせ通り隠してあった小判を取り出す。

そこに出現した妖之介は、「蛇に好かれる性分か?」と笑いながら近づいて来ると、強引に毛野に口づけをするが、その時、毛野は持っていた小判が落ち、「礼」の字が書かれた珠が光り出す。

毛野は、その珠を妖之介に見せながら、昔から敵が近づくと光り出すのだと説明する。

そこに、船虫が近づいて来るのだった。

その頃、山の中で、静姫を捕らえる罠を仕掛けていた親兵衛は、見知らぬ女が自分の行動を眺めていたことに気づき、警戒する。

その女は玉梓で、「お前は、母の顔を覚えているか?」と、親兵衛に問いかけて来る。

驚いて逃げ出した親兵衛は、山の中で死んでいた老婆の遺骸に遭遇する。

老婆の目から、ムカデがはい出していた。

その近くの一軒家に、休息を願いに訪ねて来たのが毛野。

しかし、先客として信乃がいたので、互いに婚礼の席で斬りあった同士と気づいた二人は「何故の狼藉!」「宿命の成り行き!」と、ぶつかりあう。

そこにやって来たのが、静姫と大角、道節一行。

ここは、大角の家だったのであった。

家人の到着を見た毛野と信乃は、一旦、争いを収める。

大角は、母親の姿が見えないので、山菜でも採りに行ったのだろうと言い、その直後、母親が、目が痛くなったと言いながら、目元を隠しながら戻って来る。

やがて、風呂の用意が出来たので、静姫に入ってもらう事になるが、風呂に近づいた母親は、入浴中の静姫の姿を見て、不気味に笑う。

そこに、玉梓がやって来る。

風呂から上がった静姫に近づいた母親は、そなたの目が欲しいと言いながら襲いかかると、巨大なムカデの姿に変身する。

それに気づいた、道節、大角、毛野、信乃の四人は、ムカデと戦い始める。

ムカデに絡み付かれた静姫だったが、その時、戦う四人の身体から四つの光る珠が飛び出して来る。

すると、ムカデは母親の姿に戻るが、そのまま溶けてしまう。

それは船虫の化けた姿だったのだ。

「忠、義、礼、義」の四つの珠を見た道節は、毛野と信乃に向かい、お主たちは、私達が探していた同士だと告げるが、それを聞いた毛野と信乃は、なぜ、自分たちは仇同士なのだ?と疑問を口にする。

道節は、私達は、今、皆孤独だ…と説明する。

静姫が、その四つの珠を見ようとすると、珠は強烈な光を放ち、家の外で様子をうかがっていた玉梓の顔が崩れ始める。

静姫は、自分は道節たちに付いて行くので、あなた方も行って下さいと毛野と信乃に頼む。

城に戻った玉梓は、血の池の中に身を沈める。

すると、又、若々しい姿を取り戻すのだった。

その母親玉梓を迎えた素藤は、捕らえた女たちに細工を施したと言い、浜路たち、さらって来た女たちを紹介する。

幻人が、一頭の蝶を放つと、浜路がその蝶に息を吹きかける。

するとたちまち、蝶は死んでしまう。

幻人は、この者たちの、吐息、汗、血、全てが毒でござりますると説明する。

その頃、旅を続けていた静姫は、山中に仕掛けてあった親兵衛の罠にかかり、捕らえられてしまう。

しかし、その親兵衛の手を逃れた静姫は一人逃げ出し、これ以上近づくと、舌を噛んで死ぬと叫ぶ。

親兵衛の方も、お前を城に連れて行くと、一国一城の主になれると譲らない。

紐に繋がれ連行される静姫は、崖の側に来た時、親兵衛の身体を突き落とす。

しかし、紐で繋がっているため、静姫の方も落ち、二人は、一本の紐で崖の途中に引っかかってしまう。

何とか、親兵衛が静姫を救出し、とある村の所まで来ると、そこは村全体が焼かれており、虫の息だった老婆が、「一人の姫を守ろうとしたら、殺された…」と言い残して息絶える。

自分のために、こんなに犠牲者が出たと知った静姫は泣き出すが、その時、近くから子供の声が聞こえる。

その声をの方へ行ってみると、素藤の家臣の騎馬兵たちが、幼い男女の子供を追いかけ回していた。

それを助けようと、飛び出しかけた静姫を押さえた親兵衛は、取りあえず、静姫を機に縛り付ける。

その時、子供たちをからかっていた騎馬兵の一人に、「信」の字が書かれた珠がぶつかる。

怪訝そうに、その珠を見つめた騎馬兵犬飼現八(大葉健二)だったが、そのまま城に戻って行く。

自分で紐を解いて、親兵衛の元に駆けつけた静姫だったが、すでに、子供二人は、泥まみれになって死んでいた。

親兵衛は、その子供二人の身体を抱いて、身体を洗った後、墓を作ってやる。

静姫は、これから自分は城に出向く。これ以上、自分のために、人を死なせる訳にはいかないと呟く。

そこに、大勢の農民たちが、木を打ち鳴らしながら近づいて来る。

報償にありつく事しか考えていないのだった。

そこに、騎馬兵たちも引き返して来る。

親兵衛と静姫は逃げ出し、ほろ穴の中に入り込む。

不思議な事に、ほろ穴の中には誰も追って来なかった。

静姫の左足の怪我を手当てし始めた親兵衛に、なぜ助けた?と静姫は問いかけるが、親兵衛は判らないと答える。

今度は、なぜ俺について来た?と親兵衛が聞くと、静姫もわからないと答えるしかなかった。

その時、穴の奥に不気味な人影が多数出現する。

彼らは皆、異様な外見をしていたが、静姫が、道節から譲り受けた伏姫の横笛を吹くと、大男の肩に乗った子供が「静姫ではありませんか?」と問いかけて来る。

奥から、道節や大角らが姿を見せる。

大男は犬田小文吾(苅谷俊介)、子供は犬川荘助(福原拓也)と名乗り、二人とも、持っていた光る珠を差し出す。

このほろ穴に住むものは、見かけだけで村人たちから恐れられている者共で、ここに入ると生きて帰れないなどと、村人たちには思われていると荘助は説明する。

そして、自分たちが持っている光る珠は、盗まれた八大王子の宝玉なのだとも。

それを聞いてた親兵衛は、自分だけが、珠を持つ仲間ではない事が判り、他の戦士たちから冷たいまなざしで見つめられたので、「俺だって、珠、二つ、ぶら下げているんだぜ!」などとおどけてみせるが、道節から、これ以上、静姫に付きまとうなと一喝されてしまう。

静姫は、無念そうにほろ穴から立ち去る親兵衛に、「お別れです」と言いながら、伏姫の横笛を手渡すのだった。

しかし、その後も、7人の後を、親兵衛はしつこく付いて来る。

それに気づいた大角は、信乃と共に、親兵衛を隠れて待ち受けると、銃で撃つ。

その音に気づいて駈け戻って来た静姫に、大角は、谷に落ちましたと冷静に報告する。

谷底で気がついた親兵衛は、持っていた横笛を悔しまぎれに投げ捨てるが、思い直して、又拾い上げた所で、近づいて来た素藤配下の騎馬兵たちに捕らえられ、城に連れて行かれる。

玉梓の前に引き立てられて来た親兵衛は、その右手に黒い炎の痣があるのを暴かれ、玉梓の胸と素藤の左手にも、同じ炎の痣がある事を見せられ、お前は、私の怨念が転生した姿で、素藤はお前の兄だと言われる。

親兵衛は、仰天して否定するが、お前の心は、御霊様と同じ調子で打っていると玉梓に指摘される。

その後、血の池の前に連れて来られた親兵衛は、思わず、持っていた横笛を吹き始める。

すると、苦しみ出した玉梓たち。

素藤は、思わず親兵衛を斬り殺し、女の柔肌に張替えてやれと命ずる。

その頃、八大童子が壁に彫られた洞窟で休んでいた静姫は、笛の音を聞いたような気がして目覚めていた。

それに気づいた道節は、自分たちが元に戻した八大童子の珠はまだ6つであると確認する。

城の中では、幻人が、親兵衛の遺体をいじろうとしていたが、そこに配下の一人犬飼現八が入って来て、幻人を気絶させると、親兵衛の遺体を部屋から運び出す。

しかし、仲間たちに、その不穏な行動を発見されたので、馬に乗って城から脱出する。

幻人は、気がついて起き上がるが、もう手遅れじゃと不気味に笑う。

現八は、珠に導かれて来たと言い、道節たちが隠れていた洞窟にやって来ると、連れて来た親兵衛を、素藤の弟だと教える。

親兵衛が戻って来たと喜んで近づいた静姫だったが、突如、覚醒した親兵衛は、鎌を持って構えると、お前は俺を殺せと命じた!と静姫を睨みつけて来る。

静姫を守ろうとする7人の勇者たちと戦い始める親兵衛。

静姫は、お前に会いたいと、ただそれだけを思っていた。私を許して!と謝罪する。

しかし、そんな静姫に「死ね!」と飛びかかった親兵衛だったが、空中で落雷のような光に打たれ、地上に落下する。

そんな親兵衛の胸に耳を当てた静姫は、生きている!良かったと呟くと、親兵衛の唇にキスをする。

7人の勇士たちは、二人きりにしてやるため、自分たちは、洞窟の外に出る。

目が開いた親兵衛は、いつの間にか、右手に「仁」の字が入った珠を握りしめていた事を知る。

「仁」とは、人を愛する心…と、静姫が説明すると、いつの間にか、親兵衛の腕にあった痣も消え失せてる事に気づく。

抱き合って喜んだ二人だったが、そこに突如、巨大な蛇が出現、静姫に巻き付くと消えてしまう。

八大童子の残りの二つの空洞に、親兵衛と現八が、それぞれ持っていた珠を埋め込むと、八つそろった珠は輝き出し、そこから光線が発射され、一カ所に集中すると、そこに矢を持った如来菩薩像が出現し、この矢を姫に与えよと声がする。

受け取った道節が、その弓を引こうとするが動かない。

静姫でなければ引けないのだと気づいた道節は、それを親兵衛に渡し、何としてでもお前は生き延び、これを姫に手渡せと命じる。

その頃、城の中では、静姫が台の上に縛られており、その柔肌をはごうと、幻人が刀を研いでいる所だった。

八人の勇士たちは、親兵衛の漕ぐ船で海を渡り、秘かに城に近づいていた。

城の中に侵入した八剣士に気づいた素藤は、浜路たち、改造美女たちを差し向け、八剣士のうち、何人がここまでたどり着くかとあざ笑う。

城の下に到着した八剣士の船に、突如出現した大蛇が襲いかかり、毛野が蛇に巻かれてしまう。

それを振りほどいた毛野が、奥へと進むと、そこには大蛇と妖之介が待ち受けていた。

さらに、廊下の扉が上から降りて来て閉まろうとしたので、犬田小文吾と犬川荘助が、その下で支え、みんなに通れと叫ぶ。

やがて、二人の姿は石に変身してしまう。

毛野は、大蛇と妖之介に剣を突き刺すが、自分も胸に剣を刺されていた。

毛野は、「誰からも愛されず、誰の愛せず…」と寂し気に呟いて事切れる。

先に進もうとする剣士たちの前に立ちふさがったのは、改造美女軍団であった。

その中に、死んだはずの妹、浜路の姿を見つけた信乃は驚きながらも戦い、毒の血を浴びながらも浜路を斬ると、「離れぬぞ!お前の望み通り、どこへでも行こう」と抱きしめ、息絶える。

敵に囲まれ、これ以上先に進めぬと覚悟した大角は、その場で敵兵諸共自爆して果てる。

かろうじて王宮の間に到達した道節と親兵衛。

道節は巨大な扉が閉ざし、後続の攻撃を防ごうとするが、背後から槍で串刺しにされ、虫の息になるが、持っていた巻物を空中に放ると、ほどけた巻物が光を放ち、次々に敵兵に襲いかかって行く。

王宮の巨大な柱が崩壊を始める中、親兵衛は素藤を鎌で斬りつけるが、相手は死なない。

素藤は、この世の剣では死なんと笑う。

そこで、台上に縛られていた静姫の綱を斬り助け出すと、二人で素藤に立ち向かう。

素藤が、転んだ親兵衛の背中に斬りつけると、背負っていた矢が光を放つ。

その矢で、素藤に斬り掛かると、素藤は倒れ、その場でミイラ化して果てる。

親兵衛は静姫に矢を渡すと、「あの神像を射て!」と命じる。

その言葉を聞き、狼狽した玉梓が、御霊様の像の前で手を広げて阻止しようとするが、その玉梓諸共、静姫が放った神の矢が貫く。

城全体が崩壊を始め、巨像の首が転がりながら、逃げる親兵衛と静姫に迫る。

大爆発が起き、城は崩壊して行く。

親兵衛と静姫は、かろうじて海に逃げ延びていた。

静姫は、みんな死んでしまったのですねと哀しむ。

その後、武蔵の伯父(成田三樹夫)の城に静姫を連れて来た親兵衛は、俺の役目は終わりました。あなたは、もう、誰か一人の者ではないと告げ、門前で二人は別れる。

静姫を迎え入れた伯父が、誰に助けてもらった?と聞くと、もう、この世にはいない7人と、もう1人…と答える静姫。

従兄弟の雅治が、城を再建するため、館山に大工を差し向けましょうと語りかけるが、静姫は何かを思い詰めたように「親兵衛!」と叫ぶと、城を飛び出して行く。

山の中に立てられた7つの石像に水をかけていた親兵衛は、馬に乗って近づいて来る静姫の姿を見つける。

親兵衛と再会した静姫は、もう私は城へは戻らぬ。あなたと生きる!と言う。

それを聞いて黙っている親兵衛だったが、その耳に、「何を迷っておる?」「どこまでも行け!」「我らは死なん、姫と共にいつまでも生きろ!」と言う、亡き七剣士の声が響いて来る。

その声に勇気づけられ、互いに馬に乗った二人は、手を取り合って走り去るのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

人気絶頂だった薬師丸ひろ子と真田広之を主役に、新たな解釈で角川が映画化した「里見八犬伝」。

本来長大な物語をコンパクトにまとめているため、やや駆け足気味な展開と、大作特有の大味な印象もないではないが、子供には十分楽しめる娯楽時代劇になっていると思う。

アイドル映画の要素も強いだけに、当時の薬師丸ひろ子を魅力的に感じるかどうかで、この映画全体の印象も少し違って来るかも知れない。

この映画の見所は、浜路を演ずる岡田奈々と、その兄信乃を演じている京本政樹と言う、まさに、少女向けコミックにでも出てきそうな美男美女同士の禁断の愛の姿ではないだろうか?

他にも、蛇使い同士、妖之介を演じている萩原流行と毛野役の志穂美悦子の愛とも憎しみとも付かない関係とか、蟇田素藤と玉梓との近親相姦的愛情の表現とか、禁断の愛の姿が描かれており、興味深いが、大人同士のアブノーマルな愛情表現には、それほどインパクトを感じない。

やはり、子供観客の目を意識して、そうしたドロドロとした部分に踏み込んで描かれてないからだろう。

同じように、薬師丸ひろ子と真田広之の愛情表現も、いかにも「子供の恋愛ごっこ」と言った感じで、ただ面映いだけ。

あくまでも、子供を中心としたファミリー映画として受け止めるべき作品のような気がする。