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神火101 殺しの用心棒

1966年、松竹大船、蘆森葆+アン・カー原作、国弘威雄脚本、石井輝男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

香港…

セントラルホテルの一室で電話を受けている男が、「良し判った!」と電話を切ると、他の仲間たちが、何事かとその男に注目するが、男は「しっ!」と制して、紙に「神火がこの部屋に隠れている。盗聴機も仕掛けられている」と書いてみせる。

そこに、ウィスキーをボーイが運んで来る。

先ほど、電話を受けたボスらしい男が、そのボーイに向かい、胸に手を入れると、ボーイの方も同じように胸に手を入れたので、ボスは、「ボーイもチップをくれるのか?」と苦笑しながらチップを取り出すと、ボーイの方も「おタバコの火を」と言いながら、ライターを出すが、あまりにも怪しいと言う事でその場にいた男たちから一斉に殴り掛かられる。

その騒ぎの最中、部屋の中央に置いてあった水槽が倒れるが、その中の飾りの部分に盗聴気がしかけられていたのが判り、ボーイは射殺される。

別の部屋でその音を盗聴していた連中が、バレたらしいと気づき、部屋を飛び出すと、マシンガンで相手の部屋のドアを破壊する。

ボスは、部屋の奥から手榴弾を投げつけ、入り口に侵入して来た一団を全滅させようとするが、生き残った男が、死んだボーイが握りしめていたライターとテープを奪い取ると、窓から外に投げ捨てる。

それを、下で拾った男が、車で逃走すると、テープを取り返そうと追って来たグループも車で追跡を開始、途中、互いに銃撃戦となり、テープを持っていた男は路地に追いつめられ、射殺されてしまう。

しかし、そこに警察が到着したので、追っていた連中は全員逃げ出すが、逃げていた男が持っていたテープは、路上に置いてあった植木鉢の植物の茎の部分に引っかかっていた。

一人の青年が、車を走らせていた。

その車と、町で横付けになった別の車に乗った女が、青年に親し気に話しかけて来る。

どうやら、青年はその女と付き合った事があるらしいが、軽くかわして、車を走らせる。

キャバレー「銀星」で働くバニーガール阿蘭(吉村実子)は、やって来た青年に、昼間の事件に興味を惹かれてやって来たの?とからかう。

青年は、そう言う事件に興味を持っている鄧雷(竹脇無我)だった。

店が終わり、店の裏側から帰りかけていた阿蘭は、ストッキングを直そうと立ち止まったとき、道ばたに置かれた鉢植えの茎に挟まっていたテープを発見する。

阿蘭は自宅アパートから、鄧雷(タンレイ)に電話を入れる。

鄧雷は、車のアクセサリーとして付けていた人形にコードを付け話し始めるが、又、女からの誘いと思っている彼は、すぐに切ろうとするが、変なものを店の前で見つけたと言う阿蘭の話を聞くと、すぐに、彼女のアパートへ駆けつける。

そのテープには、政府は、神火101を高楼閣に送り込んで来た…と云うような会話が録音されていた。

それを聞いた鄧雷は、これは殺人の予告のようだから、高楼閣へ行ってみると言い出し、甘えかかって来る阿蘭を振り払い部屋を出る。

高楼閣でも、受付の女に、甘い言葉をささやきかけ、最近宿泊した人物の部屋を聞き出した鄧雷は、すぐさま13号室に向かうが、そこに入った途端、逃げ出そうとしていた男ともみ合いになる。

しかし、男は逃げ去り、部屋の中にはライターと、胸を撃ち抜かれた男の死体だけが残されていた。

鄧雷は、素早くライターを拾い上げると、死体の様子を調べかけるが、その時、後頭部に突きつけられた拳銃の気配に気づき振り向くと、そこには、顔なじみの麦警部補(高松英郎)が立っていた。

鄧雷は、あの窓から弾が飛んで来たと証言し、麦警部が、窓から外に期を取られた隙に逃げ出す。

その高楼閣の前の海に停泊していた船上では、ライフルを持った男と、双眼鏡を持った女が、入り口から外で飛び出して来た鄧雷の姿を確認しながら、あの男、始末しなければいけないのではないかと話し合っていた。

鄧雷は、追って来る麦警部ら警察隊から逃げ続け、とうとうアバ・ディーン地区に入り込むと、船の上を飛び越えていたが、一隻の小舟に乗った蛋民(水上生活者)の老人(嵐寛寿郎)から、声をかけられる。

老人がくわえている煙草に火をつけてやろうと、先ほど拾ったライターを差し出した鄧雷だったが、老人から、なぜ、俺の写真などを撮る?と聞かれたので、初めて、そのライターにカメラが仕込んである事に気づく。

鄧雷は、その訳ありそうな老人に、写真屋を紹介してくれと頼む。

ライターの中に入っていたフィルムを現像してみると、そこには、公楼閣の窓から見えた船が写っていた。

鄧雷は老人に、この船の持ち主を探してくれと頼むと、自分は恋人のコンパルビルの6Aにしばらくいると教える。

その後、阿蘭のベッドから麦警部に電話をかけた鄧雷は、高楼閣では、なぜあんなに早く現場に到着した?と聞く。

麦警部は直ちに逆探をかける。

阿蘭は、勇敢やラジオで高楼閣の事件は報道されており大丈夫かと心配しながらも、二人は抱き合い、鄧雷が眠った間に、阿蘭は、店に出かけようとするが、その時、鄧雷のライターを見つけ、それを持って行く。

キャバレー「銀星」で、いつものようにバニーガールになりタバコを売っていると、一人のお女客から声をかけられたので、タバコを売り、サービスのつもりで、部屋から持って来たライターで火をつけてやろうとすると、その女客は、すごい目つきで阿蘭を睨みながら、良いライターを持っているわねと言葉をかけられる。

すぐさま、アパートにいる鄧雷に電話を入れ、今の事を知らせ、怖いので店に来て欲しいと頼む。

そんな阿蘭の様子を、ジッと観察している男がいた。

やって来た鄧雷に、女は今ルーレットをやっていると、教えながらも心配する阿蘭。

鄧雷は、ボクは不死身さと冗談を言って、ルーレット場に向かい、勝って手にしたチップを持ち、問題の美女の背後に回ると、わざとチップの数枚を、女のドレスの胸元に落とした後、現金に換え、女に服の中のチップを返して頂けないかと頼む。

すると、その美女は、こんな所では服を脱げないから、部屋を取っているスターホテルに来てくれと鄧雷を誘う。

鄧雷は、すぐに美女と共にスターホテルへと向かうが、先ほど来、鄧雷の動きを監視していた男も後を付けて行く。

ホテルの部屋に入った美女は、すぐさまドレスを脱ぎ、そこからこぼれ落ちた3枚のチップを鄧雷は拾い上げるが、美女は、あのバニーガールはあなたの何?と聞いて来る。

鄧雷は、その美女が、高楼閣から出て行った所を目撃したと言うと、ベッドの下に隠れていたサングラス姿の男が銃を突きつけながら出て来る。

男は、ライターを渡せと迫ったので、鄧雷は素直にライターを美女に渡す。

美女は、なぜ、自分が高楼閣にいた事を知っているのかと聞いて来る。

しかし、鄧雷は、テープをこちらが押さえてる以上、俺を殺せないはずだと笑う。

男は、鄧雷に殴り掛かって来るが、テープはどこにあるのかと聴く美女に、二人きりで取引したいと言う鄧雷は、女を車で外に連れ出す。

車中、鄧雷は、ヨットから、神火101を射殺したなと告げると、美女は、明日の3時にリベルスベイの1号ブイで会おうと答える。

鄧雷は、車を停めると、君を囮に釣りをやってみたんだと言いながら、車を降り、待ち受けていたサングラスの男をかわしてその場を逃げ出す。

そんな鄧雷を、先ほど来付けて来たなぞの男が追跡して来る。

タイガーバーム公園で追いつかれた鄧雷は、謎の男と殴り合いを始める。

男は拳銃を取り出すが、鄧雷はたたき落とす。

そこに警官隊が駆けつけて来て、麦警部は鄧雷と男をその場で逮捕する。

警察に連れて来られた鄧雷は、麦警部からさんざん絞られるが、そこに、あの男が、手錠もないままふらりと入って来たので、鄧雷が唖然としていると、麦警部は、これから、この人に同行して、ある人に会ってくれと言い出す。

言う通りに、男の後に付いて行った鄧雷は、マカオ領事館の中に連れて来られる。

そこで、鄧雷を待ち受けていたのは、郭総領事(大木実)だった。

郭総領事は、鄧雷の事を調査期間に調べあげさせ、1945年以前の国籍が不明である事や、1946年中南半島の争乱の時、ミサイルをアメリカに売却したりした過去があるが、一度も悪に組した事がない国際冒険家とでも言うべき人物だと理解していると言われると、さすがの鄧雷も、シャッポを脱ぐしかなかった。

郭総領事は、今、マカオには麻薬や宝石の類いが大量に流入しており、偽札まで蔓延しているので、特務機関の神火を使って、セントラルホテルに忍んでいた5人組の首領格の人物の同行を盗聴器を仕掛けて探っていたのだと話し出す。

しかし、その録音テープを確保しようとしているうちに「銀星」と言うキャバレーの前で射殺されてしまったと言うのだ。

神火101は、高楼閣で射殺されたはずだが?と鄧雷が聞き返すと、郭総領事は愉快そうに神火101なら、今目の前にいると言い出す。

テーブルで、鄧雷の横に座り、郭総領事からジョセフ(吉田輝雄)と呼ばれたその男こそ、以前から鄧雷を付け回し、今ここへ連れて来た男だった。

ジョセフは、香港に到着と同時に高楼閣へ行ったが、一足遅れで、仲間を狙撃されてしまい、ライターに付いたカメラで、窓から船上の狙撃者を撮影していた時に君が現れたのだと言う。

郭総領事は、君が接触している女と敵の首領は繋がっていると聞かされた鄧雷だったが、自分は心底納得しないと動かないたちなんだと言いおいて立ち去る事になる。

翌日、リバルス・ベイの1号ブイの上で、ビキニ姿で寝そべっていた美女の元にやって来た鄧雷。

美女が、テープはどこかと聞いて来たので、条件はどうしようかな?とジラし始めた鄧雷だったが、美女はそんな鄧雷にキスをして来て、あの島影でどう?などと色気で攻めて来ると、鄧雷が海水パンツの中に忍ばせていたテープを抜き取り、海に飛び込む。

鄧雷も、落ち着いてその後に飛び込み、美女に追いつこうとするが、突如、水の中に潜んでいた、あのサングラス男に襲撃される。

その男をやっつけた鄧雷だったが、今度は、どこからともなく、モーターボートが迫って来る。

何度か、潜ってかわした鄧雷は、埠頭の陰に隠れて難を逃れるが、その頃、自宅アパートにいた阿蘭の方も、怪しい男たちに部屋の周囲を囲まれ、何度も鄧雷に電話をしていたが繋がらなかった。

店に電話すると、支配人が出たので、安心した阿蘭は、何度も脅しの電話がかかって来たり、変な男が周囲にいるので怖いと連絡する。

その頃、鄧雷から船の依頼主探しを依頼されていた老人は、仲間から、写真そっくりの秘宝号と言う船が入って来たと報告を受けていた。

阿蘭は、いつの間にか、電話線自体が切断されている事に気づき、救援を求めるため、紙事情を書いて警察に連絡してくれと書き、それを紙飛行機にして窓から下に落とすが、ことごとく、下で待機していた怪し気な男たちに拾われてしまう。

見ると、道路の向こう側のビルの屋上には、全て、怪し気な男たちが立っており、阿蘭の部屋を監視している事が判る。

そこに支配人の洪(大村文武)がやって来たので、安心した阿蘭だったが、その後ろから、怪し気な男たちが付いて入って来たので、支配人の事を信じていた事が間違いだったと気づく。

その直後、コンパルビルの鄧雷に知らせに来た老人だったが、行李を大勢の男たちがトラックに乗せて運び出すのを目撃する。

さらに、電線に引っかかっていた紙飛行機が落ちて来たので、それを拾って中に書かれた文章を読んだ老人は、事情を察知する。

その後、洪に率いられた子分たちが、行李を運んで港にやって来たのを目撃した老人は、行李の中身を怪しむ。

その行李を含め、秘宝号へ運び込む荷物の依頼を受けたのは、老人の配下の蛋民たちだった。

秘宝号に運び込まれた行李の中には、阿蘭が縛られて詰め込まれていたのだが、そんな阿蘭に、高(藤木孝)と言う男が言いよって来る。

アンリと言う美女(林翠)は、母親が人質になっているのだとも教え、俺の女になれと迫って来て、阿蘭の猿ぐつわを外してやるが、勝ち気な阿蘭は、あんたみたいな下品な人は嫌いだと拒絶する。

すると、高は、海に沈むより苦しい死に方を考えてやろうかと脅しながら、ナイフを取り出すが、そこにアンリがやって来て諌めたので止めて立ち去る。

そんな秘宝号に乗り込んで来た老人は、船に乗っていた超(菅原文太)から、すぐに船を降りろと言われるが、どうしてももらって行かなくてはならないものがあるので…と、老人は頑として動こうとはしない。

お前、蛋民(水上生活者)だろう?とバカにして来た超らを、蛋民と言うのは治外法権の民衆なので、何でも出来るんだと啖呵を切るった老人は、あっという間に超たちをねじ伏せてしまう。

そこに、銃を構えた洪がやってくるが、老人はなをも動じようとせず、自分は今まで、一度も心臓に弾を食らった事はないので試してみてくれと胸をはだける。

すると、その老人の胸には、いくつもの銃痕があったので、洪は引き金を引けなくなる。

さらに、老人は、自分が死んだら、荷物が届かなくなり、サツのランチが代わりにやって来るぞ。あっし型折れた瞬間、あの旗が倒れ…と、近くの小舟に乗った配下が持っている旗を示しながら、それを合図に何百隻ものジャンクがこの船を取り囲む事になるがそれでも良いのか?と凄む。

さすがに気後れした洪が、いくら欲しいと尋ねると、老人は、コンパルビルから運び出して来た行李だけもらって行きたい。その代わり、荷物が最後まで届くまで自分がここに残ると言い出す。

行李から出された阿蘭は、老人が乗って来た小舟に乗り、秘宝号を離れて行く。

阿蘭は、今の老人は誰かと小舟を操っていた蛋民に聞くが、あれはリーと言う水上生活者たちの神様と呼ばれている人物だと聞かされる。

港にやって来た鄧雷は、荷物を船に積み込んでいた蛋民たちに、老人はどこかと聞き、秘宝号だと知ると、自分も連れて行ってくれと船に乗る。

すると、その後から、付けて来たジョセフも乗り込んで来る。

船で秘宝号に向かう鄧雷は、リーからの置き手紙で、恋人があの船に乗せられている事を知ったのだとジョセフに教える。

そんな鄧雷とジョセフが乗った小舟は、秘宝号へ荷物を運んでいる船に乗った敵の子分たちに進路を妨害されたので、応戦した鄧雷は、さっきのボーターボートの件で腹が立っているんだと言い放つ。

そして、近くの水上教会に立ち寄り、秘宝号に運んでいる木箱の中身を確認してみた鄧雷とジョセフは、その中に大量の偽札が詰まっている事を見つけ、秘宝号に乗っている連中が偽札作りのグループだと言う事を知る。

印刷機を海上に運び出されてはもう手遅れになるので、自分が乗り込むと言い出した鄧雷とジョセフは、荷箱に自分たちが入り、秘宝号へ乗り込む事にする。

その様子を、近づいて来た小舟の上から目撃した阿蘭は、鄧雷らが秘宝号へ行く事に気づくと、自分も一緒に行く。もう、あの人とはなれるのは嫌、死ぬのは一緒よと言い出す。

水上教会の所にやって来た阿蘭は、そこにいた蛋民から偽札の事を説明されるが、その男は、横で聞いていた敵の子分からナイフで刺されてしまう。

その騒ぎの隙に、阿蘭は荷箱の中に入り込み、小舟に乗せられ、再び秘宝号へ戻る事にする。

近づいて来る2艘の小舟を見ていた超は、手下のサイが乗っていない事に気づくが、荷物の数は3つで合っていたので、不機嫌なまま、待つ事にする。

箱は3つとも秘宝号に積み込まれるが、アンリは、運び込まれた箱の隙間から、先ほど逃げたはずの阿蘭の見覚えのある服の一部が覗いているのに気づき、驚く。

一方、帰りの小舟に乗り込んで秘宝号から離れたリー老人は、出発した秘宝号のスピードから、後30分もすれば、領海外に出てしまうだろうと推測する。

アンリは、箱のふたを開けると、あなたを自分のような不幸な女にしたくない。死んだ妹が、ちょうどあなたと同じくらいの年だったのだと阿蘭に打ち明ける。

洪は、領海外の小島の海岸に荷箱を全て運ぶ。

そこん、アクアラングを使ってやって来たのは郭総領事だった。

彼こそ、偽札偽造団のボスだったのだ。

洪は、郭総領事に奪い取ったテープを再生してみせ、郭総領事を臭わすような言葉は何も入っていなかったと安心させる。

郭総領事は、そこに積み上げた荷箱を全部燃やしてしまえ、特務機関のジョセフも、上司である俺をも疑い出したようだからと命ずる。

ただちに、積まれた荷物にガソリンがかけられ、郭総領事自らが火を放つ。

その瞬間、箱から飛び出したジョセフと鄧雷は、岩陰に飛び込み、銃を発射し始める。

洪や超たちも応戦し始める。

そこに、近づいて来た一機のセスナが、島まで洪たちが乗って来たボートを破壊してしまう。

ボスは、アクアラングで自分だけ秘宝号に向かう。

洪や超たちは見捨てられたのだった。

秘宝号に到着した郭総領事は、アンリに出発を命ずるが、こんな事をして集めた金で幸せになれるとは思わないとアンリは嘆く。

郭総領事は、集めるだけ集めた宝石だ…と言いながら、一つだけ船に残っていた箱に近づくが、中に入っていたのは、銃を向けた阿蘭だった。

アンリは、自首しようと勧めるが、郭総領事は、最後の土壇場で裏切られたか…と嘆息する。

アンリは、人質になっていた母親が亡くなったと連絡が来たのだと言う。

そんな秘宝号に近づいて来たセスナが、アンリの銃撃する。

アンリが倒れた隙を狙い、阿蘭から銃を奪い取った郭総領事は、阿蘭を撃とうとするが、瀕死のアンリは、私を愛しているのなら、そんな事はしないでと頼む。

阿蘭は、アンリの傷の手当をし始める。

郭総領事は、セスナにロープを下ろすように叫び、降ろされたロープにアンリと共にしがみつこうとするが、アンリは、あなただけ逃げてと頼み、自分は海に落ちる。

セスナに乗り込んだ郭総領事は、島に舞い戻ると、爆弾を投下し始める。

島に残っていた鄧雷、ジョセフと、洪、超は、まだ互いに銃撃戦を続けていた。

鄧雷は、海に浮かんだアンリを救出するために海に飛び込むが、セスナが撃って来る。

しかし、そのセスナのエンジンの調子が悪くなる。

鄧雷は、セスナ機から垂れていたロープにしがみつき、空に飛び上がる。

それに気づいた郭総領事が、操縦席から銃撃して来る。

さらにセスナ機の高度を下げ、鄧雷を水面に付けると、引きづり始める。

結局、鄧雷は海に落ちてしまうが、セスナ機の方もますます調子が悪くなったと言うので、操縦士だけ陸に帰れと命じ、自分は、海に飛び込んで死亡する。

そんな秘宝号に近づいて来た船に乗っていたのは、リー老人と麦警部だった。

どうしてあの青年の手助けをするのかと麦警部から聞かれたリー老人は、彼の国を調べたら、自分と同国人だったからだと答える。

鄧雷もリー老人は、元々日本人なのだと言う。

リー老人は、A級戦犯だったので、もう母国には30年も帰っていないのだと言う。

秘宝号で、リー老人と麦警部と合流した阿蘭は、姿が見えなくなった恋人鄧雷のなを呼んでいた。

リー老人は、奴は不死身なので心配ないと言い、その言葉を証明するように、鄧雷がこちらに向かって泳いで来る姿が見えた。

それを見た阿蘭は、今度捕まえたら絶対話さないわよと叫びながら、海に飛び込んだ阿蘭に、その格好でかい?とからかう鄧雷。

ヌードでよ!と答えながら、海の中の鄧雷に抱きついた阿蘭は、そのままキスをして海に沈んでは、海面に出て来るのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「007」か「ルパン三世」でも連想したくなるような、荒唐無稽な痛快活劇。

松竹映画としては異色だが、正直な感想を言うと、松竹にこの手の映画に向いた俳優がいないな…と云う事。

アクション映画の主役が竹脇無我と言うのが、まずピンと来ない。

確かに、竹脇無我は甘いマスクだし、当時は身体も引き締まっており、これが70年代くらいの作品で、007も甘いマスクのロジャー・ムーアが演じている頃だったらぴったりなのかも知れないが、60年代半ばでこの内容と言うと、どう考えても観客の大半は男性だったはず。

男性客が、竹脇無我を(アクションスターとして)魅力的と感じるかと言うと微妙な所だろう。

アクションも、冒頭からたくさん出て来るが、走ったり殴り合ったり銃撃戦をしたりと、全体的に平凡と言うか、単調な印象で、特にハラハラもしないし、印象に残るアイデアもない。

ただ、これは、70年代以降派手になった、ハリウッド映画などをさんざん見慣れた今の感覚での感想であり、当時としては、かなり挑戦的な内容だったのかも知れない。

とは言え、悪役も魅力不足で、まだ若い菅原文太なども、ほんのチンピラと言った感じで登場シーンも少ない。

唯一見所と言えば、アラカンこと嵐寛寿郎が、かなり目立つ役で登場している所だろう。

どう見ても老人で、それが、菅原文太などをあっという間にやっつけてしまうと言うシーンなどは、見ていて不自然きわまりないのだが、当時のアラカンのポジションとしては、こう云うヒーロー仕立てにするしかなかったんだろう。

どことなく、1965年から始まった「網走番外地」シリーズでの、主人公を助ける渋い脇役に近いキャラクターである。

ボンドガール風と言うか、峰不二子みたいなキュートなキャラクターを明るく演じている吉村実子も、なかなか魅力的。

高松英郎の渋い刑事もなかなか。