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SPACE BATTLESHIP ヤマト

2010年、「Space Battleship ヤマト」製作委員会、西崎義展原作、 佐藤嗣麻子脚本、山崎貴監督作品。

※この作品は、現在公開中の新作ですが、最後まで詳細にストーリーを記載していますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

2199年、火星聖域に突如出現し、地球に遊星爆弾を送り込み始めた謎のガミラス軍との戦闘で、森雪(黒木メイサ)は、戦闘パイロットして、果敢に参戦していた。

しかし、敵ガミラスは、再攻撃してくるたびに強くなっており、地球軍は立ち向かう術無く、その火星空域での戦いも敗戦の色が濃かった。

その時.地球防衛軍宇宙艦隊旗艦に乗り込んでいた沖田艦長(山崎努)の元に、駆逐艦「ゆきかぜ」の艦長古代守( 堤真一 )から入電があり、自分が敵の盾になるので、その間に退却してくれと通達してくる。

沖田は、無謀にも、一隻で敵軍の中に突入してゆく「ゆきかぜ」の映像を見つめながら、心臓を押さえていた。

無限に広がる大宇宙、生まれくる星もあれば、死にゆく星もある。

そんな中、今まさに、滅びようとしている惑星があった。

地球である。

2199年、ガミラスの攻撃を受けた地球の地表は干上がり、放射能に汚染され、生き残った人類たちは地下に逃げてひっそり避難生活を送っていた。

そんな中、一人の男が、防護服を着て地表に出ようとしていたが、同室の二人の男から因縁をつけられる。

防護服を着た男は、地表にレアメタルを採集しに行っていることは知っていたが、一人の男が、その男は、軍隊にいる兄から物資をいろいろ横流ししてもらっているらしいと言い出したので、もう一人がたかり始めたのだ。

しかし、防護服の男は、無言で言い寄ってきた男を殴り倒すと、共同部屋を出てゆく。

防護服の男は、スマートフォンタイプの「アナライザー」の指示に従って、レアメタルの位置を確認していたが、そのそばに、巨大な大昔の廃船が埋もれているのを何気なく観ていた。

その時突如、アナライザーが飛行物体が飛来してくると警告したが、男の数十メートルの所に、何かが墜落して男は気絶してしまう。

気づいた男は、防護服のマスクが取れていることに気づき愕然とする。

とりあえず立ち上がった男は、先ほど墜落したらしい謎のカプセルを拾い上げるが、次の瞬間、また気絶してしまう。

その上空に、地球軍の軍艦が飛来する。

真田(柳葉敏郎)は、沖田艦長の前で、今回収し終わったカプセルに入っていた謎のデータについて説明していた。

そこに、高濃度の放射能に汚染されて医務室に運び込まれていたはずの民間のサルベージ男が何か怒鳴りながら近づいてくる。

どうやら、診察をした女医の佐渡先生(高島礼子)から何かを聞かされ、制止を振り切り、沖田艦長に文句を言いにきたらしい。

その男は、その場にいた沖田艦長に向かい、「あんた、ゆきかぜ」を盾にして逃げたんだってな!恥ずかしくないのか!と怒鳴り始めるが、沖田艦長は、冷静に「恥ずかしい。だが、なぜだ?」と答える。

その様子を入り口で見ていた森雪が、近づいてきて、興奮した男を殴りながら、あなたはあの戦いに参加していなかったので分からないのだとなじる。

雪から古代さん!(木村拓哉)と呼ばれたその男は、目の前に立つ女が、かつて自分の知る森雪だと知り、愕然とする。

古代の名前に怪訝そうだった沖田艦長は、つい、火星戦域での戦いのことをしゃべってしまったと謝る佐渡先生をねぎらいながらも、連れ去られる古代進が「ゆきかぜ」の艦長だった古代守の弟だと知る。

しかし、沖田にとっては、どうして致死量の放射能を浴びたはずの古代がまだ生きているのかの方が不思議だった。

その後、地下で、避難船として秘密の改造軍艦を建造中だった地球防衛軍藤堂平九郎司令長官の元を訪れた(橋爪功)沖田艦長は、この船を自分にくれと申し出る。

このまま希望もなく逃げ出すよりも、この船を使えば、人類は希望を持ったまま死んでゆくことができるというのだ。

藤堂司令長官は、避難している日本人全体に向かって、改造中の戦艦を、宇宙から飛来したカプセル内に入っていたメッセージの発信元であり、放射能除去する意思があるらしき大マゼラン星雲にあるイスカンダルへ差し向けると発表する。

イスカンダルは、自分たちにとって最後の希望であり、今、その船に乗ってイスカンダルへ向かう志願兵を募っているというメッセージを、避難民の後ろで、古代進も聞いていた。

後日、その志願兵の列に並んだ古代と再会した佐渡先生は、てっきり死んだと思い込んでいた古代がまだ生存していることを知り驚愕する。

戦闘班班長に任じられた古代は、支給されようとした制服を断り、自分は復隊したのでもはや民間人ではなく、なじみの制服を持っていると見せる。

新造戦艦の船内で、制服姿の古代と再会した森雪は、沖田艦長の船に乗ろうとする古代が、何か企んでいるのではな いかと驚くが、その時、敵の接近を知らせるサイレンが鳴り響いたので、すぐさま、戦闘班班長として古代は、ブラックタイガーパイロットである雪に戦闘準備 にかかるよう命ずる。

敵にこの改造艦のことを知られたくない沖田艦長は、ただちにヤマトを始動させる。

埋もれていた地表から、その全貌を表した艦の姿を目の当たりにした古代は驚く。

「これは!」

「そうだ。ヤマトだ」と沖田艦長が答える。

接近する惑星間ミサイルを撃滅するために、沖田艦長は、発進後直ちに波動砲の実験を試みると言い出し、マニュアルを読んだばかりの古代が、その引き金を引くことになる。

失敗は許されなかった。

沖田の指示により、対ショック、対閃光防御用のアイマスクを全員装着後、古代は、波動砲を発射する。

波動砲の破壊力は凄まじく、惑星間ミサイルは大爆発を起こすが、その映像を見守っていた地下指令室内では、ヤマトも一緒に蒸発したのではないかと緊張感が高まる。

藤堂長官が見つめるスクリーンの中、やがて、ゆっくりヤマトが煙の中から姿を現す。

安心した藤堂長官に、スクリーン上に出現した沖田艦長は、このまま出発すると告げる。

それを聞いた藤堂もうなずき、「ヤマト、出撃せよ!」と命ずる。

地球圏外を出たヤマトの艦橋で、沖田艦長は24時間後にワープを行うと全員に伝える。

その後、休憩室で、先ほど艦橋の操縦席で航海士として再会した、かつての戦友だった島大介( 緒形直人)とゆっくり話し合う古代。

島は、息子の二郎は、もう5歳になったと話す。

その時、かつて、古代の下で「チーム古代」として一緒に戦っていたブラックタイガー隊の面々、加藤(波岡一喜)や山本(斎藤工)、そして訛が抜けない古屋 (三浦貴大)などが、古代との再会をうれしそうに近づいてくる。

しかし、そうした旧友同士の盛り上がりに冷や水をさしたのが、独り別のテーブルで酒を飲んでいた森雪。

立ち上がった森雪は古代に近づくと、火星空域での戦いの時、なぜいなかったのか?怖くなって逃げていたのではないか?自分はあなたを認めないと詰め寄る。

その火星が接近した時、ヤマトはワープテストを行うことにする。

雪は、一人、安全ベルトがあるブラックタイガー機に乗り込み、待機する。

佐渡先生は、ワープの知識がなく、通りかかりの女性兵士に質問するが、空間を飛ぶらしいと聞かされる。

ワープは、無事何事もなく成功したかに思えたが、レーダー係の相原(マイコ)が、ガミラス艦の出現を報告、沖田艦長は波動砲の準備をさせようとするが、真田が、波動砲は、ワープと同じエネルギーを使っているので、ワープ直後の今は使えないと進言する。

機関長の徳川(西田敏行)に、どのくらいエネルギー充填に時間がかかると沖田艦長が聞くと、約20分だと言う。

ブラックタイガー部隊に出機命令が下りるが、すでに乗り込んでいた森雪機だけが発進する。

古代は、お手並み拝見と、通信でからかうが、雪は、これでも火星戦の生き残りですよとむっとする。

雪は一人でガミラス軍と戦っていたが、そこに、仲間のブラックタイガー隊も駆けつけてくる。

ヤマトは主砲を発射し敵空母を撃沈するが、その直後、雪のブラックタイガー機が敵弾にやられる。

島が、波動砲のエネルギー充填まで後5分と告げるが、戻ってくるはずの雪から連絡が途絶えていた。

無線で呼びかけた古代は、雪から、エンジンがやられ、操縦席内の酸素が減少していることを知ると、救出に向かうと立ち上がる。

それを観た沖田艦長は持ち場に戻れと諭すが、古代は、また見捨てるんですか?兄貴を見捨てたみたいにと反論して艦橋を後にする。
その姿を見ていた沖田艦長は「馬鹿め…」とつぶやく。

その直後、ガミラス艦の生き残り機が、ヤマトに体当たりしてくる。

さらに、その直後、ガミラスの大編隊が接近していた。

古代は、雪に話しかけ、脱出ボタンを押させると、自らが乗って接近していたコスモゼロを変形させ、ロボットの義手のような形で、雪の体を確保する。

その雪を乗せた古代のコスモゼロを、着艦ゲートに収納した直後、沖田艦長はワープを命ずる。

着艦ゲートに降り立った古代は、心肺停止状態の雪を蘇生させようと人工呼吸を試みるが、佐渡先生が到着した直後、雪は目覚める。

安堵した古代だったが、近くに沖田艦長が警備班と共に立っていることに気づく。

沖田は、古代の勝手な行動でヤマトが危険にさらされたと言うので、古代は、これが俺のやり方ですと反抗する。

しかし、古代は、営巣に入れられることになる。

一人営巣でくすぶっていた古代の元にやってきた徳川機関長は、君は、沖田艦長の若い頃に似て、熱くて、無茶もやるが、冷静さも兼ね備えているので、艦長に向いていると話しかける。

そこに、太った猫と一升瓶を手にした佐渡先生もやってきて、三人で酒盛りしながら、沖田艦長も、火星戦で、息子が乗った駆逐艦「ふゆづき」を失ったのだと打ち明ける。

その直後、沖田艦長は、太陽系から分かれるので、乗組員全員、地球との交信を許すとのアナウンスがある。

交信は、一人一分と規制されていた。

島は、息子の二郎と文字交信するが、必ず、放射能除去装置を持ってくると約束した直後、通信は切れる。

空間騎兵隊隊長斉藤始(池内博之)は、老いた母親(藤田弓子)と交信していたが、お守りは持っているかと心配する母に、身につけていたお守りを出してみせた瞬間交信が切れる。

牢に入っていた古代にも通信が許されると、外に連れ出されるが、その時、第三艦橋勤務で、昔から知る安藤(が声をかけてくる。

通信質の前で、ちょうど出てきた雪と顔を合わせるが、気の強い雪は、助けられても感謝はしない。自分のためにヤマトが危険にさらされるくらいなら死んだ方がよかったと強がるので、古代は、もっと楽に生きたらどうだとからかう。

休憩室で一人酒を飲み始めた雪に、近づいて来た島は、古代には通信する家族が既に地球にはいないことを話し始める。
自分と古代は、かつてコスモゼロの同期だったが、自分たちが進路を変えた遊星爆弾が、自分の嫁と、古代の両親が乗っていた第二宇宙ステーションを破壊してしまったのだと打ち明ける。

その時、なんとか息子は生まれたが、未だに口がきけないとも。

その頃、沖田艦長も、自室で写真を見入っていた。

二度目のワープが成功した直後、ワープに巻き込まれたらしいガミラス機が一機浮遊しているのが発見される。

沖田艦長は、敵の情報を知るために、そのガミラス機を回収するよう命じた後、突然倒れ込む。

医務質で佐渡先生の診断を受けた沖田艦長は、既に症状が悪化しており、今飲んでいる薬でも押さえきれない状態だと聞かされ、「間に合いますかね?」と、窓から見えるマゼラン星雲に向かって問いかける。

技師長真田や斉藤らは、回収したガミラス機に生命反応がないことを確認していたが、突然、その中から人間体が飛び出してきたので、その場にいた全員が発砲する。

すばやく、格納庫内を逃げ回っていたガミラス人は、銃撃を受けると倒れるが、その体から浮き上がった結晶体のようなものが、近くにいた斉藤の体に乗り移る。

驚いた古代は、佐渡先生を呼びに行かせる一方、目が青く光り、別人のようになった斉藤の姿に驚く。

憑依された斉藤の口から、聞いたこともない声が「ヤマトの諸君!」としゃべりだす。

自分はデスラー、お前たちがガミラスと呼んでいるものだと名乗った斉藤は、我々は子であり全体である。アルファでもありオメガでもあるとも言うので、聞いていた真田たちは目を丸くしながらも、なぜ、地球を攻撃する?と問いかけると、斉藤に乗り移ったデスラーは、改良しているのだよと答える。

その時、佐渡先生が駆けつけてくるが、古代は迷わず、斉藤の体をレベルを2にしたパルスガンで撃つ。

元の状態に戻った斉藤だったが、あまりと言えばあまりな古代のやり方に、休憩室で愚痴をこぼす。

古代は、これで、一つ貸しな?とからかう。

その後、自室ベッドで寝ている沖田艦長に呼ばれた古代は、お前は兄の資質を受け継いでいるので、人の上に立つことができる。艦長代理をしないかと持ちかけられるが、即座に断る。

その返事を聞いた沖田艦長は、では、命令という形をとることにするとつぶやき、マイクを取り上げると、その場から艦内中に、古代が艦長代理になったと伝える。

その直後、ヤマトの後方部位が攻撃を受ける。

先ほど回収したガミラス艦が、自分たちの位置をガミラスに送り込んでいると知った真田たちは、すぐに、回収艦を宇宙に廃棄し破壊する。

ヤマトは今の被弾で、第三艦橋がやられ、安藤をはじめとする6人の乗組員たちが閉じ込められていると知った古代は、ただちに救援を差し向けるが、その直後、またもや、飛来したガミラス大型艦に襲撃される。

敵の位置を探ろうとしていた古代たちは、突如その大型艦が姿を消したことを知りあぜんとするが、ガミラス艦が第三艦橋にへばりついていると知りさらに驚愕する。

へばりついた敵艦は、そのまま自爆するようで、エネルギー波が増大している。

このままでは、ヤマトは破壊されてしまうと悟った古代は、宇宙空間に出ていた雪に連絡を取り、ただちに、第三艦橋とヤマトとの接合部を攻撃し、第三艦橋を切り離せと命じる。

雪は、一瞬ためらいながらも命令に従い、離脱した第三艦橋は、6人の仲間とともに敵艦もろとも大爆発を起こす。

そのつらい報告を沖田艦長にしに行った古代は、自分には艦長としての刺客がないと悔やむ。

しかし、それを黙って聞いていた沖田艦長は、ならば、なぜここに戻ってきたと問いかける。

古代は、艦長がどんな人間か知りたかった。それと、もう一度、緑の地球を観たかったと答える。

艦長代理としての教えを請う古代に、過ぎ去った過去にこだわらず、今現在を生き抜くのだと答え、自分だって、君と同じ思いをしていた。指揮をやったものに しかその重圧は分からないと慰め、その後、私は君に話さなければ行けないことがある…と、立ち去りかけた古代を呼び止めるのだった。

古代はその後、自室で思い悩んでいた雪の元にやってくると、さっきは嫌な命令をしてすまなかったと詫びる。

雪は気丈にも、謝る必要はない。あなたは艦長代理としてやるべきことをやっただけですと答えるが、その暗い表情を観ていた古代は、いきなり雪を抱きしめると、耳元ですまなかったと言いながら、取り乱してすみませんと謝る雪にキスをする。

その時、ヤマトはワープを開始する中、二人は抱き合ったまま部屋に倒れ込む。

ワープが終了した直後、ヤマトの眼前には、目的地であるイスカンダルがあることに気づく。

喜んだ古代たちだったが、なぜか、そのイスカンダルからミサイルが発射されてくる。

ミサイルは、ヤマトの全方向に分かれたので、ヤマト側も全砲筒で迎撃するよう古代は命ずる。

前方から迫ってきたミサイルを破壊したと思った瞬間、そのミサイルから発射された新たなメカが、ヤマトの波動砲の穴を塞いでしまう。

逃げ場がないと悟った古代は、ワープで逃げろと命ずるが、目標値を選ばずワープすれば、ヤマトが破壊される危険性があると真田が警告する。

島もまた、操縦桿を手放さそうとしない。

そんな島から操縦桿を無理に奪い取った古代は、強引なワープを試み、なんとかミサイル攻撃をかわすが、出現した空間の近くには、イスカンダルの裏側が見えた。

それは、今の地球にそっくりだった。

それを観た真田は、なぜ、自分たちを呼び寄せたイスカンダルが攻撃してくるのか?と疑問を口にする。

斉藤も、自分たちは最初からだまされていたのではないかと言い出す。

真田は、地球に送られてきたカプセルには、実は、ヤマトの波動エンジンの設計図とイスカンダルの場所しかデータが入っていなかったはずで、放射能除去装置などという話は、後から誰かが付け加えた可能性があると打ち明ける。

それを知った斉藤は、沖田艦長から直に事情を聞こうと部屋を飛び出しかけるが、黙って会話を聞いていた古代は、上陸の準備をしろと言い出す。

罠だとしたら、どうして今頃攻撃してくる?敵にとっては、どうしてもたどり着かせたくない理由があるということではないのか?それを確かめるべきだというのだ。

沖田艦長の地球を思う気持ちに嘘はなかったはずだ!今、俺たちは誰の船に乗っている?という古代の説得に皆黙り込む。

真田は、旧式のコスモゼロならステルス機能があるので、大気中に迎撃装置が多数仕掛けているあの星の地表にたどり着けるはずだと全員に説明し始める。

古代は、エンジンを切り、自由落下させれば、相手に気づかれないと補足する。

かくして、ブラックタイガー隊が空間機動隊を警備することになる。

古代は全員に向かい、1945年、戦艦大和は絶望の中出撃した。今回も同じだと演説を始める。

今回の話は、ガミラスの罠かもしれない。

しかし、少しでも可能性があるのなら、我々は前に進まなければならない。それが、このヤマトの任務なのだ!この戦いに勝とう!と、今は空席となった、沖田艦長の席に向かい敬礼する。

全員もそれに習い、沖田艦長席に向かい敬礼をする。

その声をスピーカー越しに聞いていた沖田艦長は、ベッドの中で仕方なさそうに敬礼を返すのだった。

自ら、コスモゼロに乗り込むことになった古代は、アナライザーの端末を、コスモゼロの期待に装着する。

その古代を先頭に、イスカンダル星の大気内に落下し始める。

大気中には、無数の機雷のような防御装置が浮遊していた。

地表に近づいた古代だったが、とうとう相手に気づかれたらしく、地上の空洞の周囲に設置されていた砲身が古代のコスモゼロの方に向きをかける。

やられる!と古代が観念した瞬間、コスモゼロのそばに落下してきた巨大なヤマトが、地上砲を破壊し、その直後、ワープして脱出する。

古代とブラックタイガー部隊は、空洞からイスカンダルの地下に潜入する。

そこには、無数の敵機が待ち構えていた。

古代の目の前で、古屋機がやられる。

山本もまた、古代に向かい、操縦席から敬礼をした後、地表に激突して果てる。

空間騎兵隊の地上車が出撃するが、無数のガミラス人が襲いかかってくる。

それを地上に降り迎撃する古代は、何かを思いつくと、アナライザーに向かい、独立体になって戦えと命じる。

すると、コスモゼロに装着していたアナライザーが、ロボットの体に変形し、ガミラス軍に立ち向かってゆく。

しかし、多勢に無勢、間もなく、アナライザーの体は、ガミラス人に捕まり、破壊されてしまう。

その間、先に向かっていた古代たちは、空間に浮かぶ、不思議な光に遭遇する。

すると、急に雪がその光に近づいてゆく。

そして、光が、雪の体に憑依する。

そのとたん、雪の宇宙服は剥がれ、下着姿になる。

雪の口からは、かつてデスラーに乗り移られた斉藤と同じように、別人の声が聞こえてくる。

ここはイスカンダルか?と聞く古代たちに、謎の女性は、それは起きたという人がつけた名前だと意外なことを言い出す。

古代は、ヤマトの沖田艦長に打ち明けられていた事実を思い出す。

放射能除去装置というのは嘘だと、自室で寝ていた沖田艦長から打ち明けられていたのだ。

そんな情報は、カプセルには入っていなかったが、君の体が、高濃度の放射能を浴びながら、未だに生きていることから思いついた一つの可能性だったと沖田は打ち明ける。

カプセルを送ってくれた相手には、その力があるに違いないと賭けたのだという。

可能性や希望はゼロではないという沖田の言葉を聞いた古代は、その事実を受け入れたのだった。

今目の前にいる、雪の体を借りた女性は、自分たちとガミラスとは、コインの裏表みたいな存在だと言う。

ガミラスは地球を侵略しようとし、それを反対する、もう一つの一面である自分をここに封じ込めたのだとも。

放射能除去装置はないのかと聞く真田に、そのような装置はないが、自分自身にその役目を果たすことができるという。

古代が確証が欲しいと迫ると、雪の体から飛び出た気体が広がり、このエリア全体の放射能を除去したと女の声は言う。

おそるおそる宇宙マスクを取り外した古代は、息ができると気づき、それを観ていた真田や斉藤もマスクを取り去る。

次の瞬間、雪は倒れ、正気を取り戻す。

先を進んだ4人は、ガミラスの中核部を発見する。

真田は古代に、自分がここを破壊するので、お前と雪はヤマトに帰れと言い出す。

死ぬつもりだと気づいた古代は嫌がるが、真田は弟に言い聞かせるように、ずっとお前のことは弟のように思っていた。ヤマトは艦長がいないと動かない。立派な艦長になるんだぞと伝える。

二丁の機銃を持った斉藤も、これで借りを返したぜと古代に笑いかける。

古代と雪は、二人の意思を尊重し、その場から脱出し始める。

コスモゼロの着陸地点に戻っていた古代は、そのコスモゼロが破壊され、仲間たちも全員死んでいるのを目撃する。

雪は、古代とともに、亡くなった戦友たちに敬礼をしながら、自分のブラックタイガーがあると励ます。

一人、迫りくるガミラス人を迎撃する斉藤は、爆弾を仕掛ける真田に向かって「慌てて急いで正確に」と、いつも、真田から言われている言葉を逆に投げかける。

何発か撃たれながらも、胸元からお守りを取り出した斉藤は、後もうちょっと守ってくれと額につける。

真田が爆薬を装着し終えた後、斉藤の方を振り返ると、斉藤は、無数の敵弾を浴び、立ち往生していた。

倒れた斉藤に近づこうとした真田も、腕を撃たれ、さらに体にも銃弾を浴びたので、持っていたスイッチをにやりを笑いながら押す。

イスカンダルを離脱したブラックターガー機の背後で、イスカンダル、またの名をガミラス星は大爆発を起こす。

無事ヤマトに帰還した古代は、事の次第を沖田艦長に報告する。

聞いていた沖田艦長は、そうか、あったか…、そうか…と、感無量の表情だった。

その後、沖田艦長は、心して生きろと古代に告げる。

その時、間もなくワープを開始するという島のアナウンスが艦内に響く。

肉眼で地球が確認できる空間に出るというのだ。

古代たちは艦橋に集まる。

そんな中、佐渡先生に、これから死神と人勝負するか…、しばらく一人にさせてくれないかと頼んだ沖田は、何もかも承知で部屋を後にしようとする佐渡先生に感謝の言葉をかける。

ワープが完了し、地球から、藤堂司令長官の連絡が入る。

古代は、自分以下37名が生存して、放射能除去装置を手にすることができたと誇らしげに報告すると、藤堂司令長官も、本当に存在していたか…、沖田艦長は賭けに勝ったか…と感激する。

その沖田艦長は、窓から赤茶けた地球を観ながら、「地球か…、何もかも懐かしい…」とつぶやいた後、息子と写った写真から手が離れる。

間もなく地球だと安心した古代たちだったが、突然、巨大ガミラス艦から攻撃を受ける。

エンジン部の被害状況を問いただす古代に、瀕死の徳川機関長は、航行に支障なし…と答えた後、息絶える。

その時、艦橋に「勝ったとでも思っているのか?ヤマトの諸君」と、聞き覚えのあるガミラス人の声が響く。

部屋中から集結した気体が液状化し、人間の姿のように集結してゆく。

「デスラー!」と、古代たちは一斉に、その液体人間に銃を向けるが、我々は地球をお前たちにも渡さない。地球は間もなく消滅するだろう。お前たちは、我々を怒らせすぎた。我々は、屈辱を忘れない種族なのだと言い残して、デスラーの液体は消える。

地球とヤマトの間に広がったガミラス艦は、とてつもなく威力のある時限爆弾だと気づいた古代は、戦闘班副班長南部康雄 (矢柴俊博)に、波動砲で破壊できないのか?と聞くが、砲口が塞がれている以上、発射するとヤマトごと大爆発を起こすと言う。

沖田艦長に指示を仰ぎに行こうとした古代は、エレベーターの入り口付近にいた佐渡先生が首を振るのを観てしまう。
「そんな…」と信じられない様子の古代だったが、しばらく考えた後、もう一度、南部には同胞のエネルギー残量を確認した後、全員退去するよう命ずる。

南部も島も、すぐに、古代の考えを見抜き、特に島は、操縦桿は渡瀬んと我を張る。

しかし、脱出用カーゴは重量オーバーのため不安定になるので、お前の操縦技術が必要だと古代に説き伏せられると、最後に納得して、操縦桿から手を離す。

しかし、森雪だけは退去しようとしなかった。

古代さんのいない世界なんか、生きていても何の意味もないというのだ。

それを聞いていた古代は、俺にはもう、家族はない。でも、この船で君と会えた。そして、雪を守りたくて戦ってきた。
この戦いに負けたら、今までやってきたことが何の意味もなさなくなる!

これで地球が助かるのなら、俺が地球になるってことだ…と言いながら、雪を抱きしめた古代は、パルスガンのメモリを青にして、背後から雪を撃って気絶させる。

雪の体をテーブルの上に老いた古代は、何かをその胸元に差し入れる。

その時、島が戻ってきたので、雪を頼むと託す。

承知した島は、良い船だ、無駄にするなと言い残し、雪を抱いて退去する。

その島が操縦する脱出カーゴがヤマトから離脱する。

そのカーゴの中で気がついた雪は、艦橋で一人残っている古代の姿を窓から確認し、嘆くが、それを、そばにいた佐渡先生が優しく慰める。

古代は、「ターゲットスコープオープン!」と声を出していたが、その時、死んで行った沖田艦長や真田、斉藤らの姿が窓の外に並んでいた。

「エネルギー充填120%!」

近づくガミラスの巨大ミサイル。

間もなく、地球の近くで壮大な大爆発が起こる。

それから数年後、緑を取り戻した地球では、古代からもらった守と進兄弟の写真を、森雪が観ていた。

その雪に、「ママ!」と声をかけたのは、まだ幼い男の子だった。

その声に、優しく微笑み返す雪。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

70年代後半、大ブームを巻き起こした「宇宙戦艦ヤマト」の実写版。

「K-20 怪人20面相・伝」で、小気味よい痛快ヒーローアクションを世に送り出した佐藤嗣麻子が、それなりにそつなく話をまとめたな…という印象。

VFXを担当した白組も、ハリウッド映画に遜色がない映像を生み出しているが、「ジュブナイル」や「リターナー」などで、そのメカ表現には慣れている目からすると、今回、それほど驚くような新味はない。

全般的に、どこかで見覚えのあるハリウッド映画を連想させるようなシーンばかりのようにも見える。

話の展開も早く、良く言えば「テンポが早い」のだが、悪く言えば、2〜3日程度でイスカンダルに到着してしまい、1日程度で地球に近くまで戻ってきたような唐突感がある。

テレビシリーズのアニメを劇場版に編集し直した、最初の劇場版「宇宙戦艦ヤマト」に近い、何となく、「総集編」もしくは「ダイジェスト版」を観ているような感じと言えば良いのかもしれない。

決して、ひどく出来が悪いとか、退屈するとかと言った感じではないが、かといって、特に感動するとか、新たな刺激を受けたというような感じもない。

最初は、テレビとは違う印象で登場し、後半はおなじみの姿に近い形態になるというロボット「アナライザー」は、「ロスト・イン・スペース(宇宙家族ロビンソン)」のフライデーの趣向をまねたものか?

戦争ものであるはずに、敵に魅力がない点も、今ひとつ乗り切れない要因。

ヤマトが地球を発進するあたりまでは、結構、東宝特撮風で乗れるのだが、敵の正体が分かってくると急激に緊張感がなくなってゆく。

ガミラスを、メイクした役者にやらすのも限界があるし、今の日本のCGIで、それなりに説得力を持って表現するのも難しいということで、こういった手段になったのだろうが、何とも惜しまれる判断ではある。

とはいえ、このレベルまで日本のVFXが来ると、次にどんな映像が見れるのだろうと、特撮好きとしては若干期待感が膨らんでくる。

この作品は、そういった「次のステップにつながる作品」としては、意義があったのではないかと感じる。