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昭和元禄ハレンチ節

1968年、松竹大船、田波靖男脚本、市村泰一+長谷部利朗監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

海辺で遊ぶビキニ姿の女性たちを望遠鏡で覗いて喜んでいるのは、慰安旅行へ向かう京浜急行バスの途中休憩時間に降りた日宝製薬の社員上村、中尾、下山(トリオ・スカイライン)の面々だった。

真田課長(人見清)に注意され、再びバスに乗り込み目的地のホテルに着いてみると、ライバル会社の「東洋製薬」も慰安旅行で泊っている事が判明する。

その東洋製薬の社員たち(ドンキー・カルテット)は男風呂に入っており、互いに肩車をして、壁の上の隙間から隣りの女風呂を覗こうとしていた。

一人の女が入浴していたが、振り返ったその女と思っていた人物は、ウィッグをかぶった東洋製薬慰安旅行幹事の吉村唯(立川談志)だった。

いよいよ宴会が始まるが、芸者がいない東洋製薬の座は盛り上がらない。

女子社員らにお酌をしてくれないかと頼んでも、浜子(久里千春)らは冗談じゃないわよとむくれるだけ。

その時、隣りの部屋からにぎやかな歌声が聞こえて来たので、ふすまを少し開けて覗いてみると、何と隣りは日宝製薬で、しかも芸者が歌って踊っているではないか。

この差は何なんだ?課長の給料の差か?などと愚痴が飛び交い、氏家課長(牟田悌三)を腐らせるが、隣りの座敷で歌っていた芸者が振り返ると、それは日宝製薬慰安旅行幹事森本千吉(牧伸二)だった。

やがて、東洋製薬の社員の重みに絶えかねた襖が倒れ、東洋製薬の社員たちは一斉に隣りの日宝製薬の座敷になだれ込んでしまう。

それを見た日宝製薬の社員たちは、何のまねだと気色ばみ、双方入り乱れての大げんかが始まってしまう。

両者の幹事、森本と吉村は、それぞれ会社に戻って来た後、この不祥事の責任を上司から追及され、始末書を書く。

怪我人も多数出ているし、旅館への損害賠償も含め、金をどちらが払うか相談して来いと言われた二人は、喫茶店で落ち合う事になる。

最初は、相手に金を出させようと敬遠しあっていたが、夜になると、互いに屋台で意気投合し、折半で行こうと意見がまとまる。

酔った二人は、裏道で客引き二人(春乃チック・タック)に誘われ、お座敷ストリップの店に入る。

ところが、肝心のストリッパートン子がごねているので、なかなか舞台に上がらない。

客引き二人が懸命に怒る客をなだめていたが、やがて、トン子がいなくなってしまう。

一計を案じた客引き二人は、警官の格好をして客たちの前に現れ、手入れだと脅すと、森本と吉村ら客はあわてて店から逃げ出してしまう。

これで、入場料は返さなくて良くなったと客引き二人が喜んでいると、そこに本物の警官(毒蝮三太夫)が乱入して来て、「公然わいせつ陳列罪」と「官名詐称」で、二人に客引きを逮捕する。

東洋製薬では、松平部長(藤村有弘)が吉村を呼びつけると、大阪の富山商店と以前から取引をしたいと思っていたが、先代まではチャンスがなかった。しかし、三代目の若旦那はバカなので、接待攻めにして取引が出来るようにしてくれと指示される。

さっそく、富山が宿泊しているホテルに向かった吉村だったが、そこに、森本もいる事に気づく。

日宝製薬も同じように富山と取引したがっていたのだ。

そこに当の富山(藤山寛美)がやって来たので、二人は競うように名刺を渡し挨拶する。

食事を誘った二人だが、腹は空いてないので、自分が行きたい所へ着いて来てくれと云った富山は、二人を競馬場に誘う。

森本と吉村は、富山の為に馬券を次々に購入するが、その間、富山は、客席にいる美人に目を止めていた。

結局、吉村と森本は、全部外れてスッカラカン状態になるが、がっちり穴狙いしていた富山はしっかり当てて稼いでいた。

そんな富山に、先ほどの美人が声をかけて来て、自分は馬は得意ではなく、普段は麻雀を楽しんでいるのでと云うのを聞いた富山は、それではメンバーがいるのでと、吉村と森本も誘い、近くの旅館で麻雀を始める。

ここでも富山の一人勝ち状態になるが、絹子(北あけみ)と名乗ったその美女は、途中から賭けるものがなくなったので、自分の身体をカタに勝負をしても良いかと言い出す。

これには、他の三人は乗り気になるが、結果は富山の勝ち。

最後には下着だけになった絹子と富山が、露骨にいちゃつき出し、森本と吉村は邪魔者扱いされ、仕事の話は明日の10時にホテルに来てくれと言われただけで部屋から追い出される。

日宝製薬の方では、研究所員の大沢博士(伴淳三郎)が、ガンの特効薬などと言う個人的な研究は止めて、依頼している秋のドリンク剤の試作を作ってくれなくちゃ困ると、安達部長(石井均)と真田課長に言い渡されて激高していた。

そこにやって来た森本は、ライバルの東洋製薬も富山と契約したがっていると報告すると、安達部長は、だったら負けずに接待費をつぎ込んでも良いと了承する。

ところが、約束の時間にホテルに真田課長と行ってみると、吉村も氏家課長を伴って来ており、そこへ富山が昨日の絹子を伴って現れ、これから彼女と出かけると言い出す。

高橋絹子は、自分が世界製薬の営業部の人間である事を吉村や森本らに明かす。

森本と吉村は、昨日自腹を切った金の請求書をそれぞれの課長に提出するが、領収書を持って来いと言われたり、給料からさっ引くと言われ、二人ともがっかりする。

落ち込む吉村を見かねたのか、浜子が自分に付き合ってくれたら、一杯くらいはおごってやると誘うので、その夜付いて行くと、そこはサイケバーだった。

ふて腐れて踊っていた吉村に声をかけ来たのは可愛い娘(小山ルミ)。

鼻の下を伸ばして奥の部屋に付いて行くと、そこではポディペインティングをやっており、吉村は、自分が裸の女の子に絵が描けるのかと思い気や、画家(大泉滉)から無理矢理服を脱ぐように言われると、自分の方が絵の具を塗られるはめになる。

森本の方は、飲み屋で飲みながら「あ~あ、いやんなっちゃった、あ~あ驚いた…」と一人漫談をやっていたが、同じ店で大沢博士も飲んでいた事に気づく。

女将は、泥酔している大沢博士に、あまり飲むとガンになるわよと注意するが、博士はガンなど怖くない、今特効薬を作っているからと反論する。

そんな大沢博士を自宅まで送って行った森本がチャイムを押すと、横に立っていた大沢が俺だと家の中に声をかける。

ところが、玄関ドアの一部はマジックミラーになっていた為、開けようとやって来た娘の晴美(沢知美)は、そこに立っていた見知らぬ森本も姿を見て、父親の声色を使った泥棒だと勘違いしてしまう。

そこで、晴美はドアを開けると見せかけて、バットで森本の頭を殴りつけてしまう。

しかし、横に父親が立っていた事に気づくと自分の勘違いに気づき、気絶した森本を一階の部屋に寝かせると、もう電車もないし、この辺はタクシーも停まらないので、今夜はお泊りになったら?と勧める。

森本は、可愛い晴美に看病され、すっかり彼女に参ってしまう。

深夜、トイレに降りて来た大沢博士の足音を、晴美と思い込んだ森本は、二階の、ちょうど自分が寝ている真上に足音が聞こえたので、そこに晴美が寝ていると思い込み、こっそり二階に上ると、彼女に触ろうとするが、それは大沢博士だったので、目覚めた大沢博士は泥棒だと大声を上げ始める。

玄関から逃げ出そとした森本だったが、晴美が泥棒よけとして、玄関の上に仕掛けていた大きな重しが頭に落ちて来て、又気絶してしまうのだった。

翌日出社した森本は、小売店廻りを命じられる。

最初に森本がやって来た薬局では、ちょうど肥満体の女性が便秘薬を買いに来ていたので、日宝製薬の「クダール」を勧め、その場で店主の老婆(堺駿二)と一緒に飲んでもらう。

しかし、老婆の店主は、メーカーの指導なんておかしい、こっちはお得意さんなのだし、普段は東洋製薬の「クダリン」しか取り扱っていないと森本を追い返そうとするが、そこに、精力剤を求めるヤクザ風の客(玉川良一)が来る。

森本は、今まで、東洋製薬の「パパホルモ」を飲んでいたがどうも効かないと言うその客に、自社製品の「ピンシャン」を取り出し、その場で飲ませる。

その時、先ほどの肥満体の女が戻って来てトイレを貸してくれと言うが、老婆の方も催して来たらしく、トイレの奪い合いになる。

その後、町を歩いていた森本は、新規店を見つけたので中に入るが、そこの店員(鳳啓介)も、うちでは東洋薬品の商品しか扱わない事になっていると断る。

そこに、女主人(京唄子)が顔を出したので、森本は、うちと契約して頂ければ何から何まで面倒見ますと頭を下げる。

すると、欲求不満気味らしき女主人は、森本を二階にあげ、ビールを飲ませ始める。

森本が独身だと知った女主人は、最近、うちの人もダメで、「パパホルモ」を飲んでもさっぱりだと誘惑して来る。

森本は「ピンシャン」を勧めるが、女主人はそんな森本に抱きついて来る。

そこへ、店員が電気料金の集金人が来たと声をかけに来たので、女主人は怒って追い返す。

女主人は、抱いてくれたら、特約店になっても良いと言い出すが、そこへ又店員が上がって来て、旦那がやって来たと言うではないか。

慌てた女主人は、森本を隣りのベッドルームへ押し込み隠れていろと命ずる。

上がって来た旦那とは、さっき森本が「ピンシャン」を飲ませたヤクザ風の男だった。

男は、ビールのコップが二つ置いてある事を怪しむが、陰膳相手に一人で飲んでいたと言う女主人の言葉を信じ、そのまま彼女をベッドルームに連れて行く。

森本は、そのベッドの下に隠れていたのだが、情事が始まると、隙を見て隣りの部屋に逃げようとする。

女主人も、そんな森本を助けようと、男を振り浮かせないようにするが、森本がふすまを開けた音で男は気づく。

しかし、森本は急に向きを変え、今上がって来た所のように見せかけると、「ピンシャン」の効き目はいかがでしょうか?と営業スマイルを浮かべ、もう一瓶、「ピンシャン」を手渡す。

男は、すっかり森本を信用してしまい、女主人はほっとして、早く帰れと森本に目で合図する。

次に森本がやって来た店は、外国製の薬しか取り扱っていないと断って来るが、そう言いながら振り向いた女店員は大沢晴美だった。

さらに、派遣社員として、吉村がその店で働いているではないか。

そこに、ミスター・フォードが呼んでいると晴美は呼ばれる。

吉村が言うには、フォードとは、外資系製薬会社の極東宣伝担当らしい。

大沢博士の家の近所では、スイカ売り(萩本欽一)がリヤカーに積んだスイカを路上販売をしていたが、そこにやって来た一人のガキ(坂上二郎)が、母ちゃんが入院しているなどと可哀想な事を言いながらスイカを欲しがる。

そこに、別の子供(車ダン吉)がスイカを買いに来たので、スイカ売りがその子の家にスイカを運んでいる間、残ったガキは、リヤカーのスイカを次々に割って食べ始める。

そん後頃に通りかかったのが森本で、スイカを買うと立ち寄ると、スイカ売りの振りをしていたガキは、味見をさせた上で2個1000円だと言う。

高いんじゃないかと文句を言うと、それじゃあ2個500円で良いと言うので、森本はそれを買って大沢家に向かう。

その直後、スイカ屋がリヤカーの所へ戻って来るが、売り物のスイカが何個も割れているのでビックリ!

ガキは、知らないおじさんがまずいと言って割ったと人のせいにし、お母ちゃんを呼んで来て拾ってもらうと逃げ出そうとしたので、お前の母ちゃんは入院してたんじゃないか?とスイカ売りは逆上する。

森本は、大沢家のチャイムを割らすが、出て来たのは晴美ではなくて大沢博士だった。

晴美はアルバイトの写真のモデルをしに出かけていると云うので、森本はがっかりするが、仕方がないので、お土産のスイカを渡して一応上がらせてもらう。

しばらくすると、玄関チャイムが鳴ったので、森本が行ってみると、ドアのマジックミラーの向こうに立っていたのは吉村だった。

この前、自分が引っかかった泥棒よけの仕掛けを落としてやろうとスイッチを引っ張るが、故障しているのか落ちない。

仕方がないのでドアを開け、吉村が持って来た花束を受け取っていると、奥の大沢博士の部屋が大爆発を起こし、そのショックで、またもや重しが森本の頭に落ちて来る。

部屋に行ってみると、中はめちゃめちゃに壊れており、大沢博士は、退職金で買った機会もこれでパーだとがっかりする。

帰宅していた森本は、先ほどの悪ガキに罰としてリヤカーを曳かせているスイカ売りに出会うが、悪ガキは、このおじさんが、スイカを割ったおじさんだと急に言い出したので、スイカ売りは森本を呼び止めて詰問する。

森本は、ちゃんと金を払って買ったと弁解、どうやら悪ガキの嘘を分かったので、スイカ売りは、そのまま悪ガキにリヤカーを曳かせて坂道を上るが、どんどん残っていたスイカも路上に落ちて割れてしまったので、スイカ売りはやけになって、自分で割りながらスイカを食べ始める。

翌日、東洋製薬では、松平部長が吉村を呼び、郡山方面の販売に力を入れろと出張を命じる。

同席していた氏家課長も、上手くいったら係長にしてやっても良いと言うではないか。

東洋製薬では、新薬として「ビタホルン」と云うドリンク剤を売り出したいので、別所と言う販売担当に話をつけろと指示を受けた吉村は、さっそく郡山に向かう。

郡山に到着した吉村は、ホテル川島に向かうと、一番安い四畳半の部屋を予約し、さっそく別所の薬局に向かうが、主人は出かけており、妻(桜京美)だけが店番をしていたので、名刺を渡した後、出直して来る事にする。

時間を潰すため、近くにあったストリップ劇場に入り込んだ吉村だったが、隣りに座っていた男が、踊っているストリッパー、メリー・ローズ(春川ますみ)に夢中らしく、やたら声をかけてうるさいので注意する。

それでも相手は言う事を聞かず、あげくの果てに、メリーが投げたパンティを受け取った吉村から、そのパンティを横取りしようとしたので喧嘩になってしまう。

ストリップ小屋を出た吉村は、又、別所に薬局に行くが、そこで出て来た別所理事長(財津一郎)と云うのは、さっき、ストリップ小屋で隣りに座っていた男だった。

そこにやって来たのが森本で、財津は吉村を追い出すと、森本と商談を始める。

その後、料亭「鈴伊」に別所を招待し接待を始めた森本は、別所がすっかり芸者(松岡きっこ)を気に入った様子なので満足していた。

そうした部屋の中の様子を庭先から見ていたのが、チャンスを逃した吉村。

何とか名誉挽回のアイデアを考えていたが、その時良い事を思いついたので、ストリップ小屋に戻る。

楽屋にいたメリー・ローズの所に、支配人(南洲太郎)がハワイの二世があんたを気に入ったので、ちょっと付き合ってくれとやって来たと伝える。

メリーは、自分は偽外人なので、相手が二世だとバレるじゃないと心配するが、ベースで踊っていた事があるので、少しはスラングはしゃべれるから大丈夫か…と承知する。

「クラブスマイル」で落ち合ったハワイの二世とは、実は吉村の事だったが、メリーは気がつかない。

その頃、森本は芸者に耳打ちすると、自分は気を効かせて別の部屋に引き下がる。

ところが、その時、別所に電話がかかって来る。

相手は吉村からで、今、メリー・ローズがここにいると伝えると、別所は上機嫌になり、すぐに行くと言い出す。

別所がいなくなったので、相手を失った芸者は森本の部屋に来ると、私をどうにかしてくれと言いながら、着物を脱いで下着になったので、森本は這々の体で逃げ出す。

一方、「クラブスマイル」で憧れのメリー・ローズに会った別所は大感激で、吉村に感謝するのだった。

メリーと別所は、一夜をホテルで過ごし、翌朝は両者うきうきの様子。

それを遠目で確認した吉村は、上手くいってると悦にいっており、その場から森本に電話を入れた別所は、昨日の話は白紙に戻してくれと伝える。

しかし、そこにやってきたのが別所の妻で、日頃から仕事の鬼とか行ってたくせに、これはどう言う事よ!と別所に迫る。

交渉に失敗したと悟った森本の方は、やけになり、酒でも飲もうと、部屋の冷蔵庫の中からビールを取り出すが、その時、名案が浮かぶ。

旅館組合の理事長(由利徹)を招くと、今後、この地域の旅館の全部の冷蔵庫に、日宝製薬の「ホルビタン」を入れてもらえないかと切り出すと、相手はすぐに承知して来る。

すると相手は、森本が芸者を袖にしたと云う話を聞いていたらしく、私も女嫌いなのよと言いながら迫って来たから、森本は慌てる。

旅館内を逃げ回りながら、ある部屋の中に逃げ込むと、中から施錠してしまうが、追って来た理事長は、帳場から合鍵を取って来る。

しかし、鍵を開けて入って来た理事長が見たのは、鏡台の前に座った芸者だけだったので、失礼を詫びて退散するが、その芸者とは、森本が変装したものだった。

東京の本社にようやく戻って来た森本だったが、いきなり安達部長から会社を辞めろと言われる。

何と、東洋製薬と日宝製薬は近々合併する事になったので、ハレンチな社員などいらなくなったと云うのだ。

それを聞いた森本は、あんたたちの方がよっぽどハレンチじゃないかと怒鳴りつけ会社を後にする。

その頃、吉村の方も会社を首になっていた。

二人は偶然、大沢博士の屋敷にやって来るが、中から破裂音がしたので、又実験に失敗したのかと乗り込むと、何と、それはシャンパンを抜く音で、ついにガンの特効薬が完成したと大沢が喜んでいる所だった。

森本と吉村は、大沢博士が発明したガンの特効薬の交渉係となり、日宝製薬と東洋製薬の部長、課長から、料亭に招かれる事になる。

かつての上司たちから頭を下げられていた二人だったが、社長はまだかと威張り、両者の社長がやって来てうちと契約をしてくれと頼まれても、態度が大きいと叱りつける。

仕方なく、全員土下座をして二人に頭を下げるが、二人はパテントは誰にも譲らない。僕たち自分で会社を作って売る事にしたと、得意げに言い渡す。

しかし、二人が始めた会社に融資をしてくれる銀行はどこにもなかった。

全部の銀行に、東洋製薬と日宝製薬から通達が廻っていたのだ。

さらに、よほど偉い先生が発明されたものでもないと…と、無名の大沢博士が発明したものには金は出せないと銀行側は言う。

がっかりして、晴美とフォードの海水浴に付き合った吉村と森本だったが、二人が資金繰りに困っていると云う話を聞いた晴美は、外資を導入したらどうかと、フォードを紹介する。

実はフォードは、大きな会社の跡取り息子であり、晴美は結婚を考えていると言うではないか。

晴美の事ではショックを受けた二人だったが、取りあえず、フォードからの支援で会社が出来、二人は共に重役になる。

しかし、そんな二人にも安楽な日々は来なかった。

連日のように、フォードと晴美が、仕事をしろと発破をかけに来るのだ。

仕方なく二人は、部長(柳沢真一)ら、部下たち全員を呼び集めて、もっと販売を伸ばすようにと指示を出す。

すると、若い社員三人(フォーク・クルセダース)が進みでて、その場から、毎朝新聞をはじめとするマスコミ各社に電話を入れると、キャンペーン・イベントを開くと知らせる。

やがて、各社の記者たちが会社に押し掛けた為、守衛(中村是好)は大慌て。

吉村と森本も、訳が分からずあっけにとられていたが、やって来た記者や社員たちの前で、若い社員トリオはフォークソングを披露し出す。

呆れた森本と吉村は、聞き惚れていた社員たちを仕事に戻らせて、これのどこが仕事なんだと三人に文句を言うが、これからはキャンペーンの時代、これを考えたアイデアを認め、月給をアップしてくれと言うではないか。

あげくの果てに、あんたたちはそれでも重役ですか!と迫って来たので、これは溜まらんと部屋を抜け出した二人は、屋上まで逃げて行き、行き止まりだと知ると、彼奴ら俺たちより上手だ。新手のハレンチ野郎が出てきやがった…と互いに嘆息するのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

往年の人気番組「大正テレビ寄席」の司会やウクレレ漫談で人気があった牧伸二と、若手の人気落語家だった立川談志がダブル主演するサラリーマン喜劇。

松竹本来の下町人情ものと云うより、東宝のクレージー映画に雰囲気は近いように感じるが、いかんせん、談志も牧伸二も、歌って踊れておふざけが出来てと万能振りを発揮した植木等に比べると小粒な印象は否めず、キャラクターとしてのインパクトは弱い。

もちろんこれは、二人の資質云々の問題ではなく、発想自体に「他社の二番煎じ風」なイメージがあるためである。

植木の「C調、無責任」に対し、こちらは「ハレンチ」と云う言葉で、二人の社員の性格付けをしているが、展開を観る限り、特に「ハレンチな印象」はなく、むしろ二人とも真面目一方の普通のサラリーマンに見える。

「ハレンチ」と言うからには、もう少し二人に大胆な事をやって欲しかった。

特に後半、ガンの新薬のパテントを握ってからの展開がつまらなすぎ。

それまでのしがないサラリーマン生活から大転換する大きなアイデアが欲しい所だが、結局、外資を導入した事で、又、人から指図されるばかりの惨めな生活にも戻ってしまうと云うのでは、クレージー映画にあるような痛快感、爽快感が何もない事になる。

主役二人は正直生彩がないのだが、見所がない訳ではない。

コント55号は、残念ながら、映画ではあまり面白さが発揮出来ない人気者だったのだが、この作品での二人は、かなりテレビの面白さに近いものが出ている。

北山修、はしだのりひこ、加藤和彦らフォーク・クルセダースが最後に登場したりしているのも、今観ると大変貴重な映像である。