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スチャラカ社員

1966年、松竹大船、香川登志緒原作、若井基成+沢田隆治脚色、前田陽一脚色+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

大阪、阪急百貨店前の陸橋を、あんぱんと牛乳を飲み食いしながら出社する都田物産部長長門(長門勇)、交差点で飛び出そうとする歩行者たちに交通整理を始めていたのは都田物産社員新一(ルーキー新一)、大勢の出勤者たちの間を縫って会社に到着したのは、都田物産社員中田ダイマル(中田ダイマル)、ラケット(中田ラケット)の二人、4人は会社ビルの玄関で合流、エレベーターに同時に乗り込むと屋上まで上がる。

屋上には小さな小屋が建っており、そこが彼らが勤める「都田物産」の会社だったのだ。

4人は屋上で肩を組み合い、今日も一日張り切ってやろう!と声を合わせるが、小さな社内に入ると、そこには返品の山が積まれていたのでびっくり。

先に出社していた恵美(新藤恵美)に社長は来ているかと部長が聞くと、既に来ていると言う。

恐縮して部長が社長室に入って挨拶すると、都田社長(ミヤコ蝶々)は、長い事、留守にしていて済まなんだと謝る。

社長が金策に駆けずり廻っていた事を知っている部長は、社長の落ち込んだ様子を見て、ダメだった事に気づく。

社長は一大決心をしたと言い出し、社員全員を集めると、もう手形も切れんようになったし、ここの家賃も払えんようになった。都田物産もこれまでなので、返品して来た鍋釜や按摩機を退職金代わりに受け取ってくれと言い出す。

それを聞いていた部長は、死んだ気になったら何でも出来るはずです。この連中は、今更どこが雇ってくれるでしょう?どうか会社を続けてくれと土下座する。

そうまでされた社長は、三日三晩考えた決心やったけど、もういっぺんやってみよう。再建しましょう。自分は明日から、日本中のかつての取引先を廻ってみると勇気を奮い起こすのだった。

社員たちはそれに答えようと、空元気を出すが、すぐにへばってしゃがみ込んでしまう。

タイトル

ラケットが、売れ残っていた自動マッサージ機にかかっていると、部長が売るんじゃ!と檄を飛ばす。

早速ダイラケ(ダイマル&ラケット)の二人は、自動マッサージ機をとある家に持ち込んで売り込みを始めるが、そこはマッサージ師が集まる家だったので、二人は逆に家に上げられ、手もみの按摩を施されてしまう。

新一は、路上で既に疲れてしまったので、電柱から電気を盗んで、その場で売り物の自動マッサージ機を自分で使い始めるが、電柱の上にいた工事人(若井はんじ、けんじ)から、電気泥棒と怒鳴りつけられてしまう。

床屋にやって来た長門部長は、店主(上方柳次)と客(上方柳太)に自動マッサージ機に座らせ売ろうとするが、性能には気に入った店主も、値段が5万円もすると聞いては買う気にならず、貸してくれないか、月々5000円出すからと言う。

それを聞いた部長は、アイデアがひらめく。

会社に戻った部長は他の社員たちに、自動マッサージ椅子の売れ行きを聞くが、全員、一台も売れなかったと言う。

部長は?と聞かれた長門は、10台持って行き一台も売れなかったが、全部貸して来た。これからは貸す時代だ。みんな、自分の家にあるものを何でも持って来て、それを貸す商売を始めようと提案する。

翌朝、会社の前の屋上は、古道具屋のような状態になる。

部長は、自家用車まで持って来て、これも貸すと言う。

さっそく、全員外に出て、この新商売の宣伝の為にサンドイッチマンになったり、車からビラ撒き等をするが、なかなか注文は入って来なかった。

ようやく、ビルの下に入っているバレエ教室の先生がやって来て、プレイヤーが壊れたので貸して欲しいと言う。

新一が、それならあると探し出し、自分も付いて行くと、一緒にバレエ教室まで付いて行く。

レコードプレーヤーは、無事回転し出したかに思えたが、途中で、回転スピードが速くなり、それに合わせて踊っていた生徒たちの動きも、フィルムの早回しのように早くなる。

その頃、社長は…

熊本で、とある社長(佐々十郎)から、大量の札束を受け取って喜んでいたが、良く確認すると、上下二枚以外は全部白紙の見せ金だと判りがっくり。

そんなある日、一人の青年(藤岡弘)が都田物産の前でうろうろしていたので、長門部長が何が欲しいのか、うちは金と女房以外何でも貸すよと声をかけると、これから都祭りを一緒に観に行く恋人を貸して欲しいと言い出したので、そんなものは置いてないと言うと、そこにいるじゃないかと、会社内に座っていた恵美を指す。

貸せないものがあったら腹を斬ると今見栄を張ったばかりじゃないかと、その青年から迫られた部長が躊躇っていると、恵美の方から、2時間だけだったら貸してあげると返事をする。

その後、恵美と東と言うその青年は、祭りを見物していたが、とあるビルの中の喫茶店に恵美が付いて行くと、そこに嫌らしそうなデブが座っており、本当の依頼人はこいつであり、僕は代理に過ぎないと青年は、デブから金を受け取って帰って行く。

怒った恵美はすぐに帰ろうとするが、デブは下手に出て静かな場所へ誘い込む。

しかし、そこはホテル街で、明らかに恵美をホテルに連れ込もうとしたので、デブにビンタした恵美はそのまま会社に帰ってしまう。

夜、会社でダイラケが寝ていると、サングラス姿の怪し気な男二人と女の3人組が懐中電灯を持って近づいて来たので、すわ強盗かとダイラケは怯えるが、その3人は、自分たちは怪しいものではない。

本物そっくりの日本刀、拳銃、目の空いた白覆面、戦車などを貸して欲しいのだと言うではないか。

翌日、覆面をミシンで作る恵美の横で、夕べの連中、千成瓢箪の旗と大阪独立がどうだとか言うてたな。どうやら、東京と戦うつもりらしいとラケットが思い出す。

テレビニュースでは、大阪で始まったクーデターが瀬戸内海まで広がり、関ヶ原を分岐点として、日本は東西に分裂した。ただし、九州は、関東側に加わったので、輸送などは船で行われていると報じられる。

ダイラケの二人は、そう云えば、大阪は日本の中心やのに、オリンピックも東京にしか来ないし不公平や。今こそ大阪は東京と手を切って独立するちゅうことやな…と話し合う。

そんな中、又会社にやって来た東は、恵美に向かって、この前のデートは途中で帰ったのだから貸し賃を返せと言うが、恵美は、あんな変な所でデートやなんて聞いてなかったので契約違反よと言い返す。

東は、実は自分の会社は、このビルの下にあるし、君の事も嫌いじゃないんだと告白して来る。

その頃、大阪城では、恵美が作った白覆面をかぶった怪し気な集団が片手を掲げて「オーイ!」と叫ぶと云う不思議なパフォーマンスを始める。

大阪城でその様子を見ていたダイラケは、石垣の途中にある大きな穴から紐をよじ上って来る一人の覆面男を発見、あの穴の中に何か秘密があるに違いないと気づき、ラケットは警察に電話しに走り、ダイマルは一人穴の中に侵入してみる事にする。

穴の中に入ったダイマルは、大量の小判を発見、慌てふためくが、そこに警官隊を連れたラケットが駆けつけて来る。

しかし、そこにやって来た夕べの怪し気な依頼人の二人(夢路いとし、喜味こいし)が、これはテレビ映画の小道具なんだ!と説明し、ダイラケは自分たちの勘違いにはじめて気づく。

大阪独立を描くそのテレビ映画は、依頼人の二人が監督と云う変則な演出方法が祟り、さっぱり進行していなかった。

その頃、社長は…

阿波踊りをしているかしまし娘たち(正司歌江、照江、花江)に話しかけようとしていたが、全く相手にされなかった。

その頃、長門部長は、会社ビルの玄関で「テキサス・リース」と云う新会社が入った事に気づき愕然とする。

「リース会社」と云う事は、都田物産がやっている「何でも貸します」と云う商売と同じと云う事だからだ。

アメリカに本社がある「テキサス・リース」の18番目の支社に当る日本支店の開店パーティでは、日本支社長(ビンボー・ダナオ)が来賓客に愛想を振りまき、東が、マスコミや来賓たちに、1億5000満点にも及ぶ商品の品揃えの豊富さを紹介していた。

66年ニュータイプの自動車、ペットからジェット機まで用意していると言う。

屋上に上がって来た長門部長は、マネキン人形と一緒に裸になって日光浴をしていたダイラケや新一を叱りつけると、この事態を教え、全員総出でチンドン屋に繰り出す。

しかし、結果は歴然としており、「テキサス・リース」社の方は、大勢の電話担当が一人も休む暇もないくらい注文が殺到しているのに対し、「都田物産」の方は、間違い電話以外、依頼の電話は一本もかかって来なかった。

「都田物産」では、新一がヘタな算盤で苦戦している最中にも、「テキサス・リース」の方では、最新式の電子計算機で注文をさばいていた。

その頃、社長は…

農民(茶川一郎)と交渉していたが、牛を持って行ってはどうかと言われ呆れていた。

都田物産の長門部長と「テキサス・リース」の荒牧部長は、「ミナミ産業」の南社長(南道郎)に呼び出され、今度、大きな催し物をするので、両社にプレゼン用のアイデアを出して欲しい。気に入った方には、億単位の注文を出すつもりだと伝えられていた。

荒牧部長は、すぐに、巨大水槽の中で水着の美女が乱舞する水中ショーと言うアイデアを出す。

それを聞いた長門部長は、「うちは都田物産というくらいですから、ミヤコ…、都はるみショーをやります」と、思わず口を滑らせてしまう。

その頃、ダイラケの二人は、会社ビルの電話線をいじり、「テキサス・リース」と「ミヤコ田物産」の電話線を繋ぎ直してしまっていた。

そこへ帰って来た長門部長は、もののはずみで「都はるみショー」をやるなどと言ってしまったがどうしたら良いのだろうと、新一や恵美に打ち明けていた。

そんな所に、次々に電話が入って来て、カラーテレビ10台とかジェット機など、とんでもない注文が入って来たので、部長は目を白黒させる。

一方、「テキサス・リース」の方の電話は、ぴたりと鳴り止んでしまう。

そんな「テキサス・リース」にやって来た三人の男に応対したのが東だったが、彼らが言う普通の鍋や釜は置いてなかった。

彼ら三人は、一昨日の台風で、停電になってしまい、困っている被災者だったのだが、電気釜しかない「テキサス・リース」では役に立たないと、「都田物産」にやって来ると説明する。

そこに、ダイラケの二人も戻って来て、普通の鍋釜ならたくさんあるので、すぐに貸してやると、彼らは大喜びして帰って行く。

長門部長は、後は、都はるみのそっくりさんを見つける事だと、社員たちに檄を飛ばす。

その頃、「テキサス・リース」の「水中ショー」のプレゼンを見ていた南は大喜びしていた。

その会場に忍び込んでいた新一が、必死に電話をかけまくり、都はるみに似た人を探していた長門部長の元に帰って来て報告する。

そんな部長に、テレビ局の前で、そっくりショーに出ていた都はるみのそっくりさんを見つけたと言うラケットからの電話が入る。

喜んだ部長は、早速会場を用意し、控え室で困ったを連発しているそっくりさんに、歌はテープで流すから、君は口パクをしていれば良いのだと安心させる。

新一が舞台で紹介し、舞台にそっくりさんが登場すると、予定通り、恵美がテープレコーダーで「さよなら列車」をかける。

南社長も見学に来ていたが、舞台上のそっくりさんは見事に歌っているように見えた。

しかし、恵美が気がつくと、テープはいつの間にか切れてしまっており、歌は流れていないはずなのに、舞台上のそっくりさんは普通に歌っていた。

舞台袖にいた長門部長たちは、今歌っているのは都はるみ本人だと気づく。

後日、両方のパフォーマンスを気に入った南社長は、「テキサス・リース」「都田物産」両社と契約し、両方の会社から品物を借りると約束する。

その頃、社長は…

疲れてベッドに寝ようとしていた。

「都田物産」のある屋上では、東が恵美に何か話したそうにしていたが、恵美に1分間で話せと言われ、急いで、「都田物産」の社員たちに、うちの会社に来いと伝えてくれないかと話す。

新一は運転手、ダイラケの二人は守衛、長門部長は、そのまま営業部長にしてやるからと云う条件を提示するが、恵美は、そんな不公正な話には承知しなかった。

同じ頃、長門部長の方は、「テキサス・リース」の秘書(西岡慶子)に誘われ、大好きな「近鉄、南海戦」のナイター見物に来ていたが、贔屓の近鉄が負けてしまったので、不機嫌になりさっさと帰ってしまう。

その秘書も、とても色仕掛けが成功するようなタイプでもなかったので、仕方ない事だったが。

その頃、社長は…

アイヌの酋長に話をすると、その酋長(南都雄二)は、社長が自分の92になる祖母にそっくりだと言い出し、金を貸すと言ってくれる。

ミナミ産業から指定された倉庫に品物を搬入していたダイラケたちだったが、人相の悪い男(ミスター珍)から、お前の会社からは義理で借りているだけだと邪険にされたので、この会社は何か怪しいと感じる。

新一が一計を案じ、ソファーの中に忍び込むと、倉庫に入り込み様子をうかがう事にする。

しかし、翌日になっても、新一が戻って来ないのを心配した恵美は、オープンカーでやって来た東を路上で見つけると、同乗させてもらい、件の倉庫に出かけてみる事にする。

最初は、考え過ぎだと笑っていた東も、倉庫の中が空っぽになっていた事を知ると、だまされた事に気づく。

その頃、新一はソファーから出て様子をうかがうが、トラックの荷台に乗せられ、どこかに運ばれている最中だった。

この事態を知った「テキサス・リース」の社長は、日本支店長にしてやると約束していた荒牧を、その場で首にする。

一方、東の方は、絶好の出世のチャンスと言い出し、恵美を乗せたまま、詐欺犯の追跡を始める。

その頃、都田社長が北海道で金策に成功したと会社に戻って来るが、ラケットが包みを開けてみると、その中には札束ではなく、石の貨幣が入っていたので愕然とする。

そこに長門部長がやって来て、新一君が行方不明になったと言い出したので、社長は帰って来るなり、ショックな事ばかりと椅子に沈み込む。

その頃、南社長と用心棒は、とあるドライブインの「レストランちゃら」と云う店でビールを飲んでいた。

トラックの荷台から降りた新一は、公衆電話から会社に電話をしようとするが、10円玉を持っていない事に気づきがっかり。

近くでコーラを買っていた女の子に声をかけ、公衆電話の掛け方を教えてくれと頼むと、その女の子が親切にも、自分が持っていた10円玉を入れてくれたので会社に電話をかけ、今、山崎街道のドライブインにいると長門部長に教える。

部長は、ダイラケの二人を自家用車に乗せると、さっそく会社を出発する。

南と用心棒は、宮川左近ショーを聞きながらスパゲティーを大量に注文して食べ始めるが、自分の皿にたぐって、さて食べようとすると、スパゲティが消えている。

実は、ウェイターに化けて、スパゲティをテーブルに運んで来た新一が、ショーに夢中になっている二人の目を盗んで皿を交換していたのだが、それに気づかない二人は、互いの勢にしあい、もめ事が始まる。

さらに、先ほど、新一にだまされ、公衆電話に十円を透過した女の子がコーラを新一に向け噴射、他の客たちも入り乱れて、食べ物の投げ合いが始まる。

そのドライブインに向かっていた長門部長は、東が運転するオープンカーと合流、山崎街道のドライブインだと恵美に教える。

先に店に到着した東は、トラックの荷台に積まれている自社製品を発見し喜ぶが、荷台に残っていた見張りに頭を殴られる。

しかし、すぐに立ち直り、見張りを倒すと、店の中に入ろうとするが、中で待ち構えていた女性店員に、悪人と間違われ、フライパンで又しても頭を殴られてしまう。

それでも、店の中で暴れていた用心棒たちを全員叩きのめしてしまう。

その強さに感心した恵美だったが、店の中にいるはずの新一の姿が見えないので冷蔵庫を開けると、中にコチンコチンに凍り付いた新一が入っていた。

その頃、長門部長の自家用車の方は、走りながら煙を噴き、車体がバラバラになって行き、ドライブインに到着した頃は、ぼろぼろの状態になっていたが、降り立った長門部長は、すでに犯人グループが全員東に手に酔って掴まった事を知ると、自分の空手を見せたかったなどと、近くにあった郵便ポストを殴り、虚勢を張ってみせる。

すると、そのポストが二つに割れ、中から、拳銃を持ったまま気絶した南社長が転がり出て来たので、長門部長は肝をつぶしてしまう。

危うく盗まれる所だった製品が無事戻り、「テキサス・リース」の社長は、都田社長に感謝すると同時に、これを機会に合併してくれないかと話しかける。

しかし、都田社長は、うちの会社はこのまま続けたいと、合併話を断る。

そんな中、屋上で身を寄せあっていた東と恵美の側にあった、いつもは夕方を知らせるメロディが鳴るはずのスピーカーから、突然「骨まで愛して」のメロディが鳴り始めたので、二人も、周囲の大阪市民も皆驚く。

その後、都田物産の社員たちは、みんなで、琵琶湖に慰安旅行に出かけるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

往年のテレビの人気番組だった「スチャラカ社員」(1961~1967)の映画化。

かなり古いテレビ作品で記憶があいまいなため、テレビ版とのはっきりした差異は指摘出来ないが、テレビ版では「海山物産」だった社名が「都田物産」になっている点、テレビでは藤純子(現:冨司純子)などが演じていたらしい事務員を新藤恵美が演じていたり、藤田まことや白木みのるの代わりにルーキー新一が出ていたりと、微妙な違いがあるようだ。

この映画版で注目すべきは、やはり、若き藤岡弘、が準主役のような立場で登場している所だろう。

まだ、セリフなどにはたどたどしさも感じるが、その抜群のルックスとスタイルの良さは際立っており、この当時からスターとしての片鱗があった事がうかがえる。

新藤恵美や都はるみも、まだ幼さが残る少女顔で愛くるしい。

怪し気な三人組が深夜現れ、日本刀や拳銃や覆面などを欲しがり、それが、大阪発信の西日本独立運動ではないかとダイラケの二人が妄想する所など、奇想振りが期待出来る部分もあるのだが、やはり金をかけない松竹らしく、大掛かりな空想話になる事もなく、単純なオチに持って行ってしまっている所が残念。

どこまでが現実の描写で、どこまでがダイラケ二人の妄想なのか、判別出来ないような描き方になっている所も不満が残る。

全体としては、可もなく不可もなく、特にパンチもない他愛無い喜劇と云った印象で、あくまでも暇つぶしに観るプログラムピクチャーの添え物と言った所か。

新商売としてリース業が出て来たり、食べ物の投げ合いなど、今のテレビでは出来なくなったような古典的なドタバタが出て来たり、往年の人気ものたちの姿や、懐かしギャグなどは、今観ると時代を感じさせる部分かもしれないが貴重。

さすがにダイラケは盛りを過ぎた感が伝わって来るが、この当時の長門勇のはつらつとした活躍が観れるだけでもうれしい作品かもしれない。