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踊る大捜査線 THE MOVIE 2

レインボーブリッジを封鎖せよ!

2003年、フジテレビ、君塚良一脚本、本広克行監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

お台場の紹介をする湾岸太郎の映像。

ここは、廻りを海に囲まれたウォターフロント。

臨海線、東京湾トンネル、ゆりかもめ、湾岸道路、レインボーブリッジなど、いくつもの動脈が流れる場所である。

そんなお台場上空に接近したヘリコプターから、SATが降下する。

客船「FUJIMARU」でハイジャック事件が起こったと言う模擬訓練であった。

特殊急襲部隊の草壁中隊長(高杉亘)が指揮する中、SAT隊員たちは、客船の側面から中に侵入を試みる。

シージャック犯役を仰せつかったのは湾岸署員で、リーダー役の青島は「警視庁の諸君!この船はお台場の付きが乗っ取った」とレシーバーで知らせて来たので、客船の横に列席し、訓練の様子を見学していた警視庁の幹部たちは「真面目にやらせろ!」と叱る。

草壁中隊長がリーダーは誰だと問いかけると、「青島俊作です」と答えて来たので、実弾を使うので、本物の犯人のつもりでかかって来いと檄を飛ばす。

それを聞いていた和久さん(いかりや長介)は、こうまで言われて黙っているのか?思いっきり抵抗してやろうじゃないかと言い出す。

操舵室をクリアしたSAT隊員たちだったが、その内、一人、又一人と、犯人役の湾岸署員たちによって確保されて行く。

一人立っていた和久さんに近づいて来たSAT隊員も、難なく、隠れていた湾岸署員に捕まり、「犯人に共感する人質もいるんだ。気を抜くんじゃない」と和久さんに皮肉られる。

そこに、閃光弾が投げ込まれ、隊長自らが乗り込んで来るが、煙の中から現れた青島は、その隊長のこめかみに銃を突きつけ「パン!」とおどけてみせる。

全員確保したSAT隊員を先頭に、タラップを降りて来た青島は「すいません、勝っちゃいました」と幹部たちに向かい苦笑いする。

タイトル

朝、街頭で配っているチラシをもらいながら出勤する青島は、湾岸署の受付で、最近は観光案内ばかりですと云う婦警の愚痴を聞かされる。

刑事課にやって来た青島は、40分前トイレの前で婦女暴行にあったと言う女の子が泣いているので、事情を聞こうとすると、その子の首筋に、まるで吸血鬼にでも買われたような二個の傷跡を見つける。

すみれの方は、連続多発盗難事件が起こっているので手伝ってくれと青島に声をかける。

被疑者は、絵に描いたようにアットホームな家族らしいと言う。

しかし、青島は、これ、俺の仕事じゃねえな。もっとシャキッとした事件ないんですか?とぼやく。

そんな青島に、袴田健吾課長が「この前、君がSATをやっつけたから、署員全員、税員減俸になったんでしょう?」と愚痴をぶつける。

柏木雪乃(水野美紀)は、真下君は今、何やっているんだか判らないとこぼす。

そんな中、一人、ミニパトで現場に駆けつけた青島は、俺の待っていた事件って、これだったんだねと喜ぶ。

しかし、被害者の様子を観た青島は、死んでるの?と一瞬引く。

その被害者の姿は異様だった。

花畑の中に、蜘蛛の巣のように張り巡らせた赤い紐で縛られていたからだ。

思わず青島は「事件、起き過ぎ…」と顔を引き攣らせる。

検察庁では、この殺人事件の担当は、沖田仁美管理官(真矢みき)にやってもらうと云う事が発表される。

新城賢太郎(筧利夫)は室井慎次管理官(柳葉敏郎)に、そのサポートを依頼する。

沖田管理官ははじめてなので、上層部も期待していると言うのだ。

湾岸署内では、スリーアミーゴズの3人、神田署長(北村総一朗)、秋山副署長(斉藤暁)、そして袴田警部が、先日の訓練の時、閃光弾が青島には効かなかったんだってと不思議がりながらも、特別合同捜査本部が立ち上がるので、全員浮き足立つ。

袴田警部は、青島と恩田すみれ(深津絵里)に、この男を確保しろと一枚の写真を手渡し、他の婦警たちには、本店の人たちが来たら、観光案内しろと命ずる。

魚住警部補(佐戸井けん太)は、本庁の仮眠用に、布団を敷いて準備をする。

雪乃たちは、飲み会の準備や土産の選別までさせられる始末。

青島とすみれは、写真の男である、気まぐれな寿司屋の店主(六平直政)を見つけ出し、店を開けてくれと頼んでいた。

スリーアミーゴズは、近隣の弁当屋を集め、どこに弁当を注文するか悩んでいたが、それとなく談合を持ちかけるような話し方だったので、どの店からも賄賂を渡される。

刑事課に戻って来た青島とすみれに、又一人やられた被疑者は20代の男だと和久さんが伝える。

家族でのスリの新情報ももたらされるが、そこにやって来たのだ、室井と沖田だった。

沖田は青島に気づくと、「先に言っとくけど、事件は現場で起こっているんじゃなくて、会議室で起こっているの。勘違いしないで」と釘を刺す。

二人の管理官が部屋を出て行った後、刑事課の連中は、署長のメールがネットで所員全員に流れているが、その内容は、今日もいつもの所で待っていると言う、ラブメールだった。

それを知った青島は、このメールの送り先は?と目を光らせたので、これがお前の待っていた事件か?と和久さんが冷やかす。

しかし、青島は、絶対に見つけてやるからな!と、妙に張り切る。

その後、捜査会議が始まる。

沖田仁美管理官が紹介され、被害者の身元、安達ヒロノブ、アポロ産業の重役だとの報告がされる。

現場での遺留品は、コンビニ帰りだったのか、レジ袋に入った梨と牛乳。それに帽子とスニーカーと多かった。

目撃者は4人。

沖田はすぐに、SMの縛りに詳しいものを中心に探させ、所轄は朝まで、艦内の職質を命じる。

その直後、新城は室井に、所轄の何人か引き抜いてくれ。口の堅いの…と耳打ちする。

青島が自販機置き場でカップ麺を食べていると、室井がやって来てたので、潜水艦事件以来ですよねと声をかけ、自販機入れてもらってありがとうございますと礼を言う。

まだ管理官なんですか?と聞いた青島は、俺が暴れたせい?と不安がるが、人のせいにする程落ちぶれていないと答えた室井は、今回の沖田管理官の起用は、警察に男女差がない事を世に知らしめるためだと教える。

政治ですか?と聞いた青島は、現場との風通しを良くしてくれるんですよねと確認するが、まだ痛いのか?と前の事件の傷の事を心配した室井は、俺と一緒に来てくれと呼びかけ、すみれも一緒にと誘う。

歩きながら室井は、彼女は自分から広報に利用するよう申し出たと説明する。

青島とすみれが連れて来られたのは、湾岸署の近隣各所に取り付けられたカメラと盗聴器によるモニターが並んだ部屋だった。

新しい監視システムらしく、その場にいた新城は、これで警察が市民を封鎖したも同じだと自慢する。

そのシステムのオペレーターらしき小池茂(小泉孝太郎)が装置の説明をする。

そこに連れて来られた意味を悟った青島は、室井の胸につかみ掛かるが、それ以上の事は出来なかった。

その頃、噛み付き魔の似顔絵が出来たと刑事部屋に戻って来た和久さんは、青島とすみれの姿が見えない事に気づく。

青島とすみれは、カップ麺をすすりながら、モニター監視を続けていたが、後ろの小池は、ちゃんと本庁用の弁当を食べているのを知り頭に来る。

すみれは、一度くらいはキャビアのおいしい店に連れて行ってよねと青島に頼む。

そんな中、青島は置き引きの現場を目撃するが、捕まえる事が出来ない。

さらに、現場でさぼっている魚住係長や、寿司屋で本庁の連中を接待している様子なども目撃し、うんざりする。

その時、警視庁から連絡が入り、台場3丁目のインターナショナル第二ビルで、首から血を流した女性が発見されたと言う。

被害者は会社役員だとの報告も。

室井は、所轄の連中に拳銃を携帯させてくれと頼むが、勝手に撃たれたら自分の責任になるので、発令出来ないと沖田管理官は拒否する。

青島とすみれは、早朝、刑事課の部屋に戻って来るが、事情を知らない他の刑事たちは朝帰りか?などと二人を冷やかす。

魚住係長は、神田署長が最近、警務課に顔を出さなくなったと云うので、不倫相手は警務課にいるのか!と青島たちの顔が輝く。

そこに沖田と室井がやって来て、モニターで監視をしていたのに、なぜ、夕べの事件を見逃したのかと青島らに詰問し、今度から室井にモニタリングしてくれと言い出す。

青島は呆然とするが、室井は観念したかのように自分がやると答える。

そこに犯人から電話が入ったと言う。

あんたか?リーダーは?と聞こえて来た犯人は、俺ら、観られたのかな?あの女、どこまで観たのかな?とあれこれ聞くので、沖田が厳しく問い返すと、お前、偉そうでむかつくな、又かけると言って、犯人は電話を切ってしまう。

逆探の結果、相手は、この建物の中からかけて来た事が判るが、青島たちが公衆電話付近に駆けつけた時にはもう犯人の姿はなかった。

嫌われたねあんた…と和久さんが嫌みを言うと、沖田管理官は、子供が親の心配をしなくていいのとあしらわれてしまう。

沖田はすぐに、ネゴシエーターを呼んで!と言う。

湾岸署にやって来たネゴシエーターとは、真下正義の事だった。

その姿を観た雪乃は目を丸くするが、ロス市警でプログラミングを受けて来たと自慢げに真下は言う。

相変わらず、無神経な態度で雪乃に接する真下は、土産を出した途端、署員たちにもみくちゃにされてしまう。

その真下のアシスタントに指名された雪乃は、自分の写真をケースに入れて持ち歩いてる真下を観て凍り付いてしまう。

第二の事件の目撃者江戸りつ子(小西真奈美)は、沖田の事情聴取に対し、パーティの準備で残業していたのだが、男たちが3人「かめだ」がどうしたとか言っていたと証言する。

今日は仕事をする気分じゃないのでと言うりつ子に対し、沖田は、仕事やりなさい。そんな事だから女はバカにされるの。殺された女性重役はなんて言うかしらと言い、青島たちには彼女のガードをするように命じる。

パーティ会場にりつ子と一緒にやって来た青島だったが、そのコートはこの場にそぐわないとりつ子に注意され、脱ぐ事になる。

捜査本部に又犯人から電話が入るが、真下は受話器を取ろうとせず、電話が切れるまでの時間を計っていた。

結果は20秒。

真下は、相手はこちらに連絡したがっているのだから、必ず又かけて来ると言い、その言葉通り、又、電話が鳴り出すが、その電話の声は、先ほどかけて来た犯人とは別人のようだった。

真下が、どうして花の中に捨てたの?と聞くと、綱しか観てないの?と相手は馬鹿にしたように答える。

電話を終えた真下は、相手は仕事をしていない。声にストレスがないから。少なくとも、数ヶ月、仕事に縛られていない人間だと分析する。

それを聞いた沖田は、綱以外のメッセージを探すように捜査員たちに指示を出す。

雪乃は、真下の見事な仕事ぶりにすっかり感心してしまう。

一方、パーティ会場にいた青島は、一緒に見張っていたすみれに、自分のコートは、警官になった最初の日に買ったものだと説明していたが、その頃、モニタリングをしていた室井は、りつ子を見張っている不審な男二人がいると本部に報告する。

その時、青島は、絵に描いたような家族を見つけ、すみれの方は、異常に歯が出ている20代の男性を目にしていた。

秋田は、男たちを包囲するよう指示。

青島は室井に携帯をかけ、自分たちが追っている被疑者が目の前にいると教える。

室井はそれを沖田に知らせるが、所轄の事件なんてどうだっていいでしょうと沖田は切り捨てる。

男二人の声を拾った所「かめだ」と言っている。

その時、本部に犯人から電話が入り、何してるんだ、早く俺たちの事見つけてよと挑戦して来る。

又、別人の声だったので、リーダーを出してくれないかと真下は話しかけるが、そんなものはいない。俺たち捕まえたって、悲劇は続くよ、次々湧いて来るから…と犯人は言い、電話を切る。

捜査陣たちは、何なんだ、こいつら?と困惑する。

その時、パーティ会場内で爆発音が響く。

アトラクション用の花火だったが、その隙を突かれ、男たちを見失ってしまう。

沖田は、緊急配備を命ずる。

青島とすみれは、会場から飛び出すが、青島の方はトイレ付近でしゃがんで泣いている女の子を見つけ近づくが、隠れていた吸血魔に鉄棒で殴られ昏倒してしまう。

すぐにすみれが駆けつけて来て、こっちも家族に逃げられたと言う。

刑事課に戻った二人は、袴田警部に、犯人を目の前にしながら逃げられろとは…と叱られるが、そこにりつ子を連れた室井と沖田がやって来る。

室井は、さらなるりつ子のガードを二人に頼み、沖田は、良く動かなかったわねと褒める。

しかし、すみれは、私たちは事件の大きさで仕事をしないと言い返し、室井も、それが所轄の仕事なんだと説明するが、沖田は、そんな仕事なんかしなくて良いと言い放つ。

それを聞いた青島はコートを投げ捨て、やってられっか!と怒る。

沖田はそんな青島に、感情的ね。組織に感情は必要ないのと冷たく言い聞かす。

その頃、自販機のある休憩室では、和久さんと吉田敏明副総監(神山繁)が久々に再会し、旧交を温めあっていた。

自販機の所に来た室井は、偶然、二人の会話を聞いてしまう。

本庁の官僚主義を変える事は出来なかったと反省する吉田副総監に、和久さんは、まだまだ期待しているぜと声をかけるが、吉田は近々退官する事になったと寂し気に応じる。

俺たちの思いは実現せずか…。俺もそろそろ潮時かな?若いものに何一つしてやれなかったと悔いる和久さん。

同じ頃、スリーアミーゴズに呼ばれたすみれは、神田署長らから、メールは老人のジョーク、秋山副署長からぼけ老人の戯言だと言ってくれと頼まれるが、そんな上司に向かって、すみれは、私達の仕事はやらなきゃ良いと言われるような、そんな仕事なんですか?と問いかける。

すっかりやる気を失った青島は、捜査会議にも出席せず、自分の机でくすぶっていた。

室井も又、モニター室で悶々としていた。

捜査会議に出ていた和久さんは、遺留品はどれも量産品で、そこから被疑者にたどるのは難しいと云う捜査員たちの報告を聞き、わざと遺留品を置いて行ったなと呟く。

沖田は、町中の公衆電話を全て監視させると言い出す。

そうした中、密輸で押収した拳銃が1丁なくなったと云う報告があるが、事件に関係ないとして無視される。

遺留品には必ず、犯人からのメッセージとして、何か意味があるはずと言う真下に対し、手をあげた和久さんだったが、沖田は、所轄は報告書で上げろと無視しようとする。

しかし、そう言うのは苦手なんだ。今言いたいんだと前に出て来た和久さんは、要するに、残っていたのは洋梨、「ようなし」って事だと言う。

一倉管理官は「笑点じゃあるまいし…」とバカにするが、2番目の被害者の側にも、洋梨が置いてあった事に気づくと、犯人は、リストラされたサラリーマンで、30代半ばくらいだろうと真下が推理する。

沖田は、時分と同じバブル世代の子供だろうと聞くと、「負け組ね」と吐き捨てる。

最近リストラされた人間のリストを取り寄せると、2000人以上いると言う。

自販機の所にいた真下に近づいた雪乃は、探して下さいと頼むが、真下は、犯人グループにはリーダーがいない。どうしてなんだろう?あいつらにボクらの常識は通用しないと考える。

その頃、デスクでくすぶっていた青島に近づいたすみれは「どうして、SATの閃光弾攻撃が効かなかったの?」と尋ねるが、青島は答えない。

そこに江戸りつ子が挨拶に来て、護衛してもらったお礼にと、真新しいコートを持って来て、そのコートには何か思い出でも?と青島に聞く。

青島は、このコートは、上京して来た時、親切におまわりさんから道を教えてもらったおじさんが、安く売ってくれたものだと説明し、俺たちの仕事にやらなくて良いなんて言われる仕事なんてないよな…と自分に言い聞かすと、やるか!捜査本部の仕事!と元気を出す。

キャビアを食べたいと言っている人がいるので、その人と出かける時に着ていきますと、新しいコートを受け取ると、さっさと出かけてしまう。

そのデスクの下にあった紙袋の中から「耳栓」を見つけたすみれは、青島に閃光弾が効かなかった理由を理解する。

外は雨が降っていたが、署員たちが町に散って行く。

本部には、また被疑者からの電話が入る。

沖田は直ちに、公衆電話に注視するよう命ずる。

俺たちの事、捕まえる気ある訳?電話の主はそうバカにしたように話し始める。

君たち、リストラされ、世の中に怒っているんだねと真下が聞くと、おじさん、どこ?と相手は聞いて来る。

君たちにリーダーはいないんだね?と聞くと、会社じゃない。上も下もないと相手は言う。

公衆電話の位置が特定され、間もなく、所轄が到着すると云う連絡が入る。

室井は、公衆電話から出て行く被疑者の姿を観ていたが、その相手が出た直後に。雪乃がやって来て、携帯が聞き取れないと言い出す。

室井は、近くにいる!後ろだ!柏木君!とマイクに向かって叫ぶが、相手には通じていないらしく、雪乃は、犯人らしき男に拉致されてしまう。

室井は、捜査員が拉致された!相手は拳銃を持っていると本部に通達。

その拳銃とは、税関で盗まれた密輸品ではないかとの声があがる。

青島は、雨の中、必死に雪乃を探すが見つからない。

すみれは、スリの一家を見つけるが、その父親は、リカ子がいないとうろたえていた。

連れていた娘が行方不明になったようだった。

沖田は、広域捜査配備発令と沖田が叫ぶと、新城が室井はどこだとやって来る。

必要ありません。被疑者をこの町に閉じ込めますと言い切る沖田。

すぐに、お台場周辺の地図が持ち込まれるが、7つ目のルートが乗っていないと、モニター室で同じ地図を確認した室井が指摘する。

すぐに、一番新しい地図が持ち込まれるが、この町はまだ未完成で、地図に乗っていない道が多数あると捜査員が気づく。

しかも、今日は、人での多い祝日だった。

沖田は、町を封鎖して!と叫ぶ。

水上バス乗り場やトンネルが次々に封鎖されて行くが、レインボーブリッジを封鎖しようとしていると、東京都公安局交通局の人間や国土交通省の人間が次々とやって来て、うちの許可を取らないと封鎖は出来ないと言い出す。

それを聞いていた青島は、無線で「レインボーブリッジ、封鎖出来ません!」と報告する。

リストラされた人間のリストをチェックしていた捜査員は、2009人のうち5名が現在行方不明と報告する。

スリ一家を確保していたすみれは、息子におむすびなど食べさせながら、その家族の父親もリストラされていた事を知る。

そこにやって来た真下は、雪乃の安否を心配するが、あんた、ネゴシエーターなんでしょう?早く見つけなさいよと叱りつける。

真下は、相手は一人一人が横に繋がって、目的だけが共通している新しいグループだと説明し、それを聞いたすみれは、軍隊みたいな私達が勝てる訳ないよねと嘆息する。

「カマタトンネル」の表示を目にした真下は、何かを思いついたように、捜査員の中に東北出身者がいますか?と本部に問い合わせる。

室井管理官がそうだと知ると、「かまた」って、東北弁で言って下さいと頼む。

室井管理官が言った「かまだ」は「カメダ」にも聞こえた。

それを聞いていたすみれは、「砂の器」?と呟く。

沖田は、勝手な事しないで!と真下たちの動きを封じると、SATを向かわせるよう指示を出す。

しかし、青島は、独断で蒲田トンネルに到着していた。

そこに、草壁中隊長以下SATメンバーたちも集結する。

本部にいたすみれも出かけようとするので、沖田は、待ちなさい!所轄はじっとしてなさいと制するが、すみれは言う事を聞かず飛び出して行く。

青島は、トンネル内に張られていた警報に繋がる紐をまたいで、中に侵入し、SATも後に続く。

それを繰り返しながら、トンネルを抜けた青島たちは、自由の女神像の場所へ出る。

すみれも、その近くに駆けつけていたが、ばったり雪乃を連れた男二人に遭遇してしまう。

対峙するすみれと犯人二人の所に、青島とSATも駆けつけて来る。

草壁は本部長沖田に対し、発砲許可を申請するが、沖田は、発砲なんかダメよ。何かあったらどうするの?と許可を出さない。

その時、すみれは、すぐ近くで一人で泣いている女の子を発見、リカ子ちゃん?と呼びかけると、リカ子をかばおうと、そちらに走る。

人に囲まれ、狼狽していた銃を持った男は、そんなすみれを背後から撃つ。

犯人二人は逃亡し、SATがリカ子を保護、倒れたすみれの元に駆け寄った青島は思わず抱き起こす。

捜査員が撃たれた!救急車をとの申請を受けた沖田は、被疑者は確保したの?と問いかけ、SATは戻って!と命じる。

沖田は明らかに狼狽し照り、捜査を立て直すと言いながらも、みんな勝手な事ばかりやるから…と独り言を言っていた。

そうした様子をジッと観察していた和久さんは、「もう、お前の命令なんか聞けるか!俺たちはな、お前たちが大理石の階段を上っている間んも、地べた這いずり回ってるんだ!」と言い放ち、周囲の捜査員から押さえられる。

「これ以上、若いもんを傷つけないでくれてん」と和久さんは頼む。

すみれは救急車で病院に運ばれる。

捜査本部では、沖田が、所轄はここから出て行きなさいと怒鳴っていた。

そこに、袴田課長が、「私の部下はどうなりましたか?」と心配そうにやって来る。

そんな袴田に対し、沖田は、使えなくなったら補充しなさい。みんな首にして!含む違反で首にされたいの?と半狂乱状態になる。

青島は無線で室井に呼びかける。

室井さん!聞こえるか?仲間が撃たれた!どうして、現場に血が流れなきゃいけないんだ?

電話を受けていた新城は、沖田に本部に帰ろうと声をかける。

沖田は、それは私が決める事ですと抵抗するが、上からの命令だ!と新城は制す。

それまで、沖田の様子を録画していたビデオ班はカメラを降ろす。

室井が走って来る。

その室井に対し、新城は、ここを頼みますと言いおき、沖田と共に去って行く。

沖田は少し立ち止まると、本部の方を見つめていた。

捜査本部に到着した室井は、捜査を立て直す!犯人たちが隠れそうな、地図に書かれてない場所を教えて下さい。捜査に関わっているものなら、役職や階級も関係ない。誰でも知っている事を発言してくれと呼びかける。

それを聞いていた青島は、僕たちを必要としている。みんな、知っている事を教えてくれと仲間たちに声をかけると、それまで萎縮していた所轄の捜査員や婦警たちまでもが、次々に、自分だけが知っている秘密の場所を教え始める。

そんな中、交通課の山下圭子(星野有香)が、一つのビルの部屋を上げ、ここから見える夕日がきれいだって言ってました、署長が…と、思わず口を滑らせてしまったので、その場にいた全員は、神田署長の不倫相手を知る事になる。

そこへ、何も知らない神田署長がやって来てしまう。

室井は、青島に、被疑者は見つけ次第確保と言うと、捜査員全員に拳銃携帯命令を発し、みんな、自分の判断で動いてくれ。ただし、連絡は忘れるな!と釘を刺す。

その頃、病院ではすみれの手術が始まろうとしていた。

その外では、和久が哀しそうな表情で立ち尽くしていた。

真下と袴田は、赤い紐が蜘蛛の巣のように張られたマネキン人形置き場のような場所で、縛られていた雪乃を発見。

青島は、蒲田トンネルに張られていたのと同じ、蛍光色の紐が張られたビルの一室を発見、犯人がいた気配があると本部に報告する。

犯人グループの一人、中島たかしを確保!の報が入る。

レインボーブリッジに向かった青島だったが、検問は行われていなかった。

そこに一台のライトバンが通りかかる。

その運転席に、見覚えのある犯人の顔を発見した青島は、走って後を追いかけるが、それに気づいたのか、途中で止まったライトバンから降りて来た男が、「お前の組織は、橋一つ封鎖出来ないのか?リーダーなんかいると、個人が死んでしまう」と嘲って来る。

それに対し、青島は、「リーダーが優秀なら、組織も悪くない」と答えたので、犯人たちは呆れたように「んな訳ねえだろ、バカ!」と罵倒して車に乗り込むと去って行く。

その車を目で追っていた青島は、突如、閃光を観る。

ヘリが上空に到着し、そこから降下して来たSATの連中が、停車した車を固め、犯人たちに銃を向ける。

青島の横に停まった車に乗っていた草壁中隊長が「俺たちも自分の判断で来た」と騙りかけるが、青島は「はぁ?」と耳栓を外したので、草壁は肩すかしを食ったような顔になる。

ブリッジ閉鎖!残りの3人確保しましたと云う報告が本部に届く。

一倉捜査一課長は、これからが大変だなと室井に話しかけるが、室井は、責任を取るのが私の仕事だと言い切る。

マスコミ陣が青島を取り囲むが、青島は、捜査員が撃たれて、今手術中ですが、血がたりません。お願いです!、皆さんの血を下さい!仲間を助けて下さい!とカメラに向かって呼びかける。

湾岸署の前に停まった輸血車の前で、人員整理をしていた魚住係長は、大勢の人たちがやって来て列を作っているのを観て感激する。

青島が病院に駆けつけると、待っていた和久さんが、安心しろ、生きようとする奴は死なねえよ。お前がそうだったじゃねえかと言う。

ストレッチャーに乗ったすみれが出て来て青島の前で停まると、やっぱり愛してる…仕事を…とすみれが言ったので、「ああ…、仕事ね」と青島は少しがっくりするが「男の人にあんなに強く抱きしめられたのははじめてだった」と云うすみれに対し、青島も照れて、「あれは出血を止めるため」とごまかす。

「生きて帰って来て、蹴ってやる」というすみれに、「キャビア、喰いに行くんだろ?待ってる」と声をかける青島だった。

湾岸署の刑事課にいた雪乃は、病院からの電話を受け、すみれの命に別状がない事を知ると喜ぶ。

そんな雪乃に、真下が、一緒になろう、結婚して子供を作ろうと突然プロポーズして来たので、雪乃は、考えさせて下さいと躊躇った後、どうしてこう云う時に、交渉術使わないんですかと尋ねる。

その頃、玄関前の輸血の列を整理していた魚住係長は、近づいて来た怪し気な男から腕をかまれる。

そいつこそ、かねてより追っていた噛み付き魔、増田喜一 (岡村隆史)だった。

もちろん、その口から伸びていた吸血鬼のような長い歯は、作り物の歯だった。

こんなすばらしい署員がいる湾岸署のためなら、すみれ君は死んでも悔いはないだろうと、悪い冗談を言っていた神田署長の元に、本庁から監察官と名乗る男が近づいて来て、婦警との不適切な行為に付いて話が聞きたいと言って来る。

何とか、ごまかそうとする神田署長だったが、側にいた真下や緒方刑事(甲本雅裕)は、「行きなさい」と冷たく言い放つ。

部屋から連れて行かれる神田署長は「若いって良いじゃない!」との言葉を残し消えて行く。

室井がすみれが入院している病院にやって来たので、しびれるような命令をありがとうございましたと礼を言う青島。

室井はそんな青島に、良くやってくれたと礼を言い返す。

そんな二人に近づいて来た和久さんは、俺と吉田総監は、お前たちに託したぞ。こいつはあんたを信じる…と青島を指し、この人は世渡りはヘタだが、上に立ったらやる男だ…と室井の顔を見、頼んだぞ、警察を…なんてな…と話しかけ、病院を立ち去る。

その後ろ姿を見送る青島と室井。

数ヶ月後、警視総監賞の授賞式が行われていた。

室井慎次警視正が表彰状を受け取った後、青島俊作巡査長の名が呼ばれるが、青島は出席していなかった。

それを知った室井は、「かだぱりこいて…」と席に着くと呟く。

その頃青島は、雪乃らと共に、草むらで、犯人が捨てたと証言していた証拠品を探していた。

湯を盗まれたと言う大江戸温泉では、元気になったすみれが捜査していた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

劇場版「踊る大捜査線」シリーズ第二弾。

冒頭から、ハリウッド映画を観るようなスケール感のあるビジュアルと、テンポの良さでぐいぐいと物語に惹き込んで行く手腕は見事。

新キャラクターとして登場する、女性管理官沖田の悪役としての存在感もすばらしい。

吸血鬼風の連続婦女襲撃犯や家族そろってのスリなど、あれこれ小ネタ風の設定はそれなりに面白く、観客の興味を惹く要素となっているが、本筋の事件そのものは、今風の要素を感じる半面、現実感には乏しく、リストラされたからと言う理由で、重役を殺すような奴はまずいないと思う。

リーダーのいない犯行グループと云うのも、判るような判らないような、今ひとつピンと来ない部分もあるが、その辺もひっくるめて、強引にクライマックスに持って行く力技は、やはりただものではない。

多くの観客が詰めかけたのも当然だと思える、娯楽映画の見本のような作品である。