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カッレくんの冒険

1996年、スウェーデン、アストリッド・リンドグレーン原作、ヨーラン・カームバック+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

探偵癖があるカッレくん(マルテ・フォースベリィ)は、花柄のワンピースを着た赤毛の中年女性が大量の食料を買い込んでいる様子を、近くから観察していた。

靴屋の息子アンデス(トッテ・ステンビー)は、二階から綱を伝って降りて来る。

パン屋の娘エーヴァ・ロッタ(ジョセフィン・オーリング)は、夕食は5時よと念を押す母親と父親に約束して家を飛び出す。

カッレくんが、木の下で名探偵ブルムクヴィストになった夢想をしている所に、アンデスとエーヴァ・ロッタが合流する。

その仲良し3人組に向かって、ライバルグループである「紅バラ団」の連中が、メッセージを書いた紙が付いた石を投げて来る。

「戦争だ 紅バラ団 シックステン」と書かれてある宣戦布告の内容だった。

アンデスは、聖像を隠そうと提案する。

さっそく、聖像を持ち出そうと駆け出した三人だったが、エーヴァ・ロッタが巡回中だったビョルク巡査(クラース・マルムベリィ)とぶつかってしまう。

いつも元気な三人組の事を良く知っているビョルク巡査は、橋の欄干には登るなと注意するが、巡査と別れた三人組は、その後すぐに、橋の欄干に登って遊ぶ。

その時、片足が悪い高利貸のグレーンが橋を渡って来る姿を見かける。

高利貸って何?とカッレくんが聞くと、10クローネ貸して、一ヶ月以内に20クローネ返させる仕事だとエーヴァ・ロッタが教える。

三人はその後、子供戦争用の宝物となる聖像を、とある納屋の中に置くと、林の中を抜けて、紅バラ団が潜んでいそうな空き屋敷に向かう。

2階にいる気配がしたので、落ちていた棒を拾い、それぞれが持って階段に向かうと、案の定、上に紅バラ団トリオが待ち構えていた。

チャンバラごっこが始まり、カッレくんとエーヴァ・ロッタは、二階の部屋に閉じ込められてしまう。

紅バラ団の三人は、白バラ軍隊長がいるはずだ、探せ!と屋敷中を探索し始める。

アンデスは、屋根裏部屋の柱の上に乗っていたが、紅バラ団の3人がやって来た時、ホコリで思わずくしゃみしてしまい、その弾みでバランスも崩し、柱から落っこちたので、あっけなく捕まってしまう。

その頃、閉じ込められたカッレくんは、新聞紙がないかと探していたが、なかったので、壁紙を破くと、それをドアの下の隙間から外に突き出し、ナイフを使って、鍵穴に反対側からささったままになっていた鍵を押し出すと、鍵は下の壁紙の上に落ちる。

それを静かに、部屋の中に引き込んで、鍵を手にしたカッレくんは、鍵を開けて部屋を出ると、ドアに「白バラ軍は壁くらい通り抜けられるのさ」と書いた紙を貼っておくが、その直後、アンデスのナイフで刺された「ユンテの家」と書かれた紙を発見する。

カッレくんとエーヴァ・ロッタは、ユンテの家の向かいにあるグレーンの家から、様子を覗こうと、梯子をかけて登り始めるが、その時、グレーンの部屋から話し声が聞こえて来たので、来客中だと判る。

何だか「借金証書」の事でもめているらしかった。

それでも、紅バラ団に捕まったアンデスの事の方が心配だったので、そのまま屋根に登った二人は、ユンテ(ヨハン・スタティン)の家の二階の部屋を盗み見る。

どうやら、シックステン(ビクター・サンドベリィ)が、アンデスを尋問しているようだったが、アンデスは何も答えようとはしなかった。

しかし、敵のくすぐり作戦に破れたアンデスは、屋敷の納屋の中だと教えてしまう。

その時、カッレくんは、持っていたパチンコで、小石をユンテの家の電灯に当て、停電させる。

その隙に乗じて、アンデスは逃げ出す。

急いで梯子を降りていたカッレくんは、グレーンの部屋の中から、「水曜日にいつもの場所に借金証書を持って来い。金は返してやる」と云う声が聞こえて来たのを聞くが、下に降りると、逃げて来たアンデスと合流し、追跡して来た紅バラ団の連中から逃げ出す。

アンドレとエーヴァ・ロッタは物陰に隠れ、カッレくんだけが囮として逃げる事になるが、逃げ込んだ先は、赤毛のフレードリックの小母さんの家だった。

その家の二階では、ユンデの父親が、風邪をひいたフレードリックの往診をしていた。

フレードリックは、逃げて来たカッレくんを見ると、部屋の角のロッカーに隠れろと目で合図をし、カッレくんはロッカーに隠れる。

その直後に、ユンデやシックステンたちが入って来たので、フレードリックは、カッレは窓から逃げたと嘘をつく。

その言葉を真に受けた紅バラ団の3人は、勢い良く窓から飛び出すが、そのまま下のプールに落ちてしまう。

その後、エーヴァ・ロッタの家の屋根裏部屋に集まったカッレくんとアンデスは、聖像の新しい隠し場所を給水塔にしようと話し合う。

翌朝、右手の甲に碇の入れ墨がある男が拳銃を手にしていた。

聖像を取りに納屋にやって来たエーヴァ・ロッタは、グレーンと見知らぬ男が納屋に入って行くのを目撃する。

雨が降って来たので、しばらく空き屋敷の中で雨宿りをしていたエーヴァ・ロッタだったが。雨がやんだので外に出た所で、見知らぬ男とぶつかってしまう。

今、何時と聞くと、男は暗い表情で1時45分と腕時計を見て教えると、すぐに立ち去ってしまう。

その時、男が何か落として行ったので呼び止めようとするが、気づかずに行ってしまったので、落とし物を拾うと、それは借金証書だった。

それを持って、納屋の中に入ったエーヴァ・ロッタは、聖像の横で死んでいるグレーンの死体を発見したんで、夢中で逃げ出すと、自宅で父親に知らせる。

フレードリックの母親が、港で殺人事件の噂を広めていた。

この事件でショックを受けたカッレくんは、もう、妄想なんてするなと自分に言い聞かせていたし、エーヴァ・ロッタは、もう遊ばない、二度と殺人の事を茶化したりしないと反省していた。

心配した母親からミルクを飲まされたエーヴァ・ロッタは、これから女の子らしくなる。喧嘩もバラ戦争もおしまいにする。すごく年を取った。12歳になった気分…としょげ返る。

カッレくんは、事件の事をアンデスに教えに行く。

靴屋の店番をしていたアンデスは驚き、「殺人事件に付き休業」の札を出して店じまいをすると、カッレくんと捜査が行われている現場に走る。

ビョルク巡査がいたので、名探偵としてカッレくんを紹介したアンドレだったが、無視されてしまう。

そんなカッレくんたちは、同じく現場に来ていた紅バラ団の3人と会ったので、みんな一緒に、エーヴァ・ロッタのお見舞いに行こうと言い出す。

お土産に、花の鉢植えを持っていたカッレくんは、それを応対したエーヴァ・ロッタの母親に渡す。

バラ戦争は終結だと、全員、意気消沈する。

ビョルク巡査と共にエーヴァ・ロッタを訪ねて来たストランド警部は、両親に促されて表に出て来たエーヴァ・ロッタに話を聞く。

水曜日に現場にいたけど、理由は話せないと言うエーヴァ・ロッタ。

さらに、白バラが紅バラ団から奪った聖像を取りに行ったのだとエーヴァ・ロッタは説明するが、ストランド警部たちは意味が分からない。

現場に行ったのは1時半、15分後に犯人に時間を聞いたのとエーヴァ・ロッタが答えたので、ストランド警部がその男の人相を聞くと、緑色のスーツに黒シャツ、手に入れ墨をしていたと答える。

顔は見たか?と聞くストランド警部に、帽子をかぶっていたので見えなかったけど、怯えていたと答えたエーヴァ・ロッタは、その男が落とした物を拾ったけど、中身は忘れたと嘘をつく。

他に覚えている事は?と聞かれたエーヴァ・ロッタは、ズボンは覚えている、ブラインドの下から、グレーンの家で見たから。今時、緑色のズボンの男なんて、何人もいる?と逆に問いかけて来る。

そんなエーヴァ・ロッタの元に、それまで、近くで聞き耳を立てていたカッレくんとアンデスが近づいて来る。

エーヴァ・ロッタが犯人を目撃したと云う記事が新聞にでかでかと載る。

その新聞社では、男二人が、少女の住所まで載せるのは問題があるのではないかと言い争っていた。

後に、ビョルク巡査が、納屋にあった聖像をカッレくんたちの元に返しに来る。

それを手にしたアンデスは、新しい隠し場所は、シックステンの家が良いと思いつく。

誰かが、チョコレートに毒を混入していた。

アンデスとカッレくんは、シックステンの家に宣戦布告を告げに行く。

シックステンの家には、ペットのシェパード、ベッポと、見知らぬ小母さんがいた。

アーダ小母さんと云う男好きの女らしく、アンデスを見ると、ちょっかいを出して来る。

給水塔が見えると言う二階のシックステンの部屋に案内してもらったアンデスとカッレくんは、そこに地球儀が置いてあったので、互いに暗号言葉で「地球儀の中」と伝えあう。

アンデスは、部屋の扉がきしむと指摘すると、油をさしておくとシックステンは何も気づかずに答える。

その頃、エーヴァ・ロッタの家には、新聞で事件を知ったらしき人たちから多数励ましの郵便物が届いており、その中に、チョコレートが入った封筒が混ぜっていたので、エーヴァ・ロッタはそのチョコを割って、カッレくんとアンデスにも分けてやる。

その夜、聖像を持ったアンデスは、再びシックステンの家に一人で来ると、窓から中に忍び込む。

すると、部屋の中にいたベッポが吠えたので、アンデスはポケットの中に入れていたチョコレートを食べさして黙らせる。

しかし、そのベッポの吠える声に気づいたシックステンの父親が二階から降りて来たので、アンデスは物陰に隠れる。

父親は、ベッポに餌をやろうとするが、ベッポは食べない。

そのまま、父親は戻って行ったので、二階に上がったアンデスは、シックステンの部屋に入る。

昼間の言いつけを守ったらしく、ドアには油がさしてあったので、開く音はしなかった。

その後、地球儀を二つに割ると、聖像を中に入れるが、その時、指に付いていたチョコレートをちょっと嘗める。

この部屋に来た記念に、シックステンの髪の毛を切ってやろうと思いついたアンデスは、ベッドで寝ていたシックステンの髪の毛を少しハサミで切るが、その時、寝ていた人物が起きて「泥棒よ!」と叫び出したので、アンデスは慌てて逃げ出す。

シックステンだとばかり思っていたのは、しばらく居候をしているアーダ小母さんだったのだ。

アンデスは、持っていた髪の毛を橋から川に捨ててしまう。

アーダ小母さんの悲鳴で駆けつけたシックステンや父親たちは、何も取られていないのでそのまま帰ってしまうが、髪の毛を切られていた事に気づいたアーダ小母さんは、珍しい泥棒もあったものだと愉快そうだった。

翌日、カッレくんの元にやって来たアンデスは、ゆでたタラを食ったせいで、夕べは一晩中吐いてしまったと言う。

そこに、紅バラ団の三人がやって来たので、カッレくんたちは、「地球の中を探せ」などと意味ありげなヒントを出す。

その後、白バラ団がシックステンの家に行くと、ベッポが横たわっており、「猫いらずを食べたらしい」と言いながら、シックステンが心配そうになでているではないか。

それを見たアンデスは、夕べ11時半までは元気だったと口にするが、誰もその証言に付いて不思議がらなかった。

カッレくんは、夕べ、ベッポにチョコテートをやっただろう?と聞く。

アンデスが頷くと、家に戻ったカッレくんは、実験道具を使って、自分が持っていたチョコレートを検査してみる。

その後、警察に出かけて、エーヴァ・ロッタに送られて来たチョコレートにヒ素が入っていたと話したカッレくんだが、ストランド警部は、事件から一週間経っているし、チョコの証拠も残ってないと困惑する。

カッレくんは、アンドレが夕べ触った聖像についているかも知れないと思いつく。

ビョルクが、地球儀の中にあった聖像を取りに来たので、白バラ団の仕掛けをはじめて知ったシックステンは悔しがり、仕返しをしようと紅バラ団の仲間たちと話し合う。

後日、宝の箱がなくなっている事に気づいた白バラ団は、紅バラ団の置き手紙を発見する。

屋敷に取りに行くと、雨樋の中に隠してあった新たな書き置きを見つける。

そこには、殺人現場に宝の箱を置いたと記してあった。

三人であの納屋の近くまで来るが、事件を思い出したくないエーヴァ・ロッタだけは、屋敷の中で待つ事にする。

一人で、部屋の中でくるくる回っていたエーヴァ・ロッタは、いつの間にか、入り口のドアの所に、あの犯人の男が立っている事に気づく。

エーヴァ・ロッタは、大切な紙を捜しに来たのと答えながら、その男の右手の甲に、碇の入れ墨がある事に気づく。

そこにカッレくんとアンデスが戻って来たので、窓から2人を見ながらエーヴァ・ロッタは、自分と一緒にいる男が犯人だと、秘密の言葉で伝える。

犯人の男は、カッレくんたちに、金儲けしないか?と声をかけて来る。

カッレくんは、ちょっとトイレに行って来ると走り出すが、すぐに2人そろて部屋に入って来る。

そんな彼らに犯人は「紙を出せ」と言うので、カッレくんは、「2階に置いて来た」と嘘を言う。

すると、犯人は拳銃を取り出して突きつけて来る。

犯人に脅されながら2階に上がる途中、カッレくんは「もうすぐ警察が来る。ボクがくしゃみをしたら逃げろ」と、白バラ団だけに通じる言葉で話し、アンデスは犯人に無関係な地図を手渡す。

次の瞬間、カッレくんがくしゃみのまねをし、3人は一斉に部屋を飛び出すと、犯人の銃を奪い、窓から外に捨てると、自分たちは部屋の外に出て扉を閉め、鍵をかけて閉じ込めてしまう。

下に降りて、外に落ちた拳銃を拾おうと近づいた3人だったが、2階から犯人が飛び降りて来る。

しかし、パトカーのサイレン音が近づいて来た事を知った犯人は森の中に逃げ込む。

それを追う警官たち。

犯人は途中で、拳銃を川の中に捨てて、自分の車の所まで来るが、なぜかタイヤがパンクしており、そこに駆けつけて来た警官たちによって捕まってしまう。

カッレくんは、知らせに行こうと思ったら、途中で紅バラ団の連中と会ったので、警察に知らせてもらったのだと打ち明ける。

車をパンクさせておいたのは自分だと、シックステンが自慢そうに言う。

エーヴァ・ロッタは、それまで持っていた借金証書を捨てようとするが、そこにストランド警部が近づいて来て感謝する。

カッレくんは、ビョルク巡査に聖像を返してと頼むが、ビョルクは愉快そうに「高い所にある。飛ぶ鳥に方向を聞けば良い」と謎をかけて来たので、白バラ団と紅バラ団の6人は、うれしくなって一斉に探しに行くのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

有名な子供向け小説の映画化作品。

探偵好きなカッレくんは、お転婆娘のエーヴァ・ロッタとアンデスと共に、「白バラ団」を結成しており、シックステンをリーダーとする「紅バラ団」を名乗る3人組と、いつも、宝物の聖像の奪い合いをすると云う遊びを続けている…と云う基本設定があるらしい。

本作では、その戦争ごっこの最中に、子供たちが本当の殺人事件に巻き込まれてしまうと言うサスペンスフルな展開になっている。

新聞にエーヴァ・ロッタの家の住所が書かれてあるのは、警察が仕掛けた罠かと思うとそうでもなく、エーヴァ・ロッタも、見知らぬ相手から送られて来たチョコレートを、何の疑いもなく友達に分けてしまったり、カッレくんが、自分用のチョコレートを全部実験用に使ってしまったりなど、不自然に思える部分もあるのだが、そこは子供だからと云う事なのだろう。

同じ世代の子供が観ると、楽しい冒険に夢中になりそうだし、大人が観ても、甘酸っぱい子供時代に思いを馳せる事が出来る、素朴で楽しい作品になっている。