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女王蜂の怒り

1958年、新東宝、牧源太郎原作、内田弘三脚本、石井輝男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

横浜の港祭り、舞台ではチャイナドレスの女性たちが踊りを披露していた。

そこに、「龍神組」と書かれた花環を持って来た龍神組の下っ端たちが、それを舞台上に持ち込むと、主催者が、謝礼として、金一封を手渡す。

しかし、その中身を見た子分は、けたが一けた違うんじゃないかと難癖を付け、封を投げつけると、主催者に詰め寄る。

そこに駆けつけて来たのが、この辺一帯をシマとする海堂組の海堂ゆり(久保菜穂子)と子分たちだったので、舞台上は緊張感が走る。

そこに客席から一人飛び乗って来たのが、北から風に乗ってやって来た「ハリケーンの政」と名乗る生きの良い若者(宇津井健)、たちまち、やくざたちを投げとましてしまう。

龍神組に戻って来た子分たちは、いきなり飛び込んで来たフーテンに邪魔されたと、剛田組長(天知茂)に謝る。

剛田は、譲次(菅原文太)に、二、三人差し出さないと収まらないだろうから、サツに詫びを行ってくれと頼み、自分はホールの方に行くと出かけようとするが、一応、子分たちに、そのフーテンの名前を確認する。

その頃、港を歩いていた政に、いきなり飛びついて来たのは、若くて屈託のないアケミ(星輝美)と言う娘だった。

さっきの喧嘩騒ぎから、ずっと後を付いて来たのだと言うアケミは、さっき、政が喧嘩をしていた相手はうちのパパの子分だと言うではないか。

そのパパはそんなに悪人じゃないんだけど、今身体を壊しており、その代理として、剛田と言う組長が切り回しているのだと言う。

そんなアケミは、うちはキャバレーもやっているので来ない?と誘って来る。

政が、躊躇っていると、あんた、仕返しを怖がっているんでしょう?とアケミは愉快そうに笑いながら去って行く。

キャバレーでは、アケミと嬢次が踊っていたが、そこに、白いスーツに着替えて来た政がやって来て、俺の方が先約だと譲次を押しのけると、アケミと得意げに踊り出す。

それを横で忌々しそうに見ていた譲次は、いきなり政に殴り掛かって来る。

倒れた政は、ネクタイを外し、それを左手に巻くと、譲次と戦い始める。

さらに政は、店にいた他の子分たちまで殴り始めたので、それを見ていたアケミは大喜び。

そこに止めに入った剛田は、政がアケミの招待客だと聞くと、お嬢さんのお客さんなら歓待せねば…と言い出し、酒を振る舞い出す。

政が、港祭りで子分たちを痛めつけた「ハリケーンの政」だと知った剛田は、興味を持ったようで、自分の所でわらじを脱ぐつもりはないかと切り出す。

ただし、腕次第だが…と云うのを聞いた政は、いきなり懐からピストルを取り出すと、棚に並んだ酒瓶の口の部分を次々に撃って壊し始める。

それを見て気に入った剛田は、客分として、私の警備でもしてもらおうと言いながら、当座の小遣いとして金も手渡す。

それを受け取った政は、用心棒って訳ですねと承知する。

翌日、政は、アケミと二人で、モーターボートに乗り、横浜の港を乗り回していた。

政は、この辺には海賊が出るそうじゃないかと愉快そうに言う。

やがて、「山菊丸」と言う船で、荷下ろしの仕事を指示していた海堂ゆりの姿を見つけると、懐かしそうに呼びかける。

ゆりの方も、面白そうに政を見る。

アケミは、ゆりさんと海堂組は、この辺一帯の人夫たちの元締めなのと説明する。

そのゆりと海堂組の面々が、仕事を終えて岸に上がって来ると、以前は組の重鎮だったが、今は堅気になっている彦太郎(佐々木孝丸)が、ゆりに挨拶をする。

娘の道代が、この近くのレストランで働いているので会いに来たのだと言う。

その名前を懐かしがったゆりは、自分も会いたいと言い出し、彦太郎と一緒に、レストランに向かう。

すると、子分の一人、宏(中山昭二)も又、後は頼むと仲間たちに頼むと、一人先を急ぐ。

レストランでは、小沢(近衛敏明)と言う地元の実力者が、道代(高倉みゆき)に、店を持たせてやると口説きかかっていたが、道代は、父が来ていますのでと言いながら、席を立ってしまう。

一方、レストランでゆりと二人になった彦太郎は、親父さんの看板を継いでもらうのはありがたいが、正直、足を洗ってくれないかと頼んでいた。

その頃、宏は、料亭「千虎」の仲居をしている恋人の京子(三原葉子)と落ち合っていた。

そんな京子から、今日は、うちの店で三軒一家の襲名式が行われると聞いた宏は驚く。

そんなチラシは、海堂組には届いていなかったからだ。

自分の組をのけ者にされたと知った宏は激怒し、今から、話をつけに行くと言い出したので、京子は止めるが、お前も俺のバシタになる女だ。俺の命は海堂組に預けてある。その海堂組が、親分衆の集まりから外されようとしているのを、黙ってみていられるかと言うと、肝を据えた京子も、男らしい駆け引きをしてきておくれ…と見送るしかなかった。

「千虎」で、式の準備を進めていた剛田に、頭を下げ頼んでいた宏だったが、女子供が率いているような組は呼べないと拒絶したので、いきなり立ち上がり、飛びかかって来た子分たちと喧嘩を始めるが、火鉢の灰で目つぶしを浴びせられ、ひるんだ隙に、譲次からドスで腹を刺されてしまう。

そこに駆けつけて来た京子は、気丈にも、自分はれっきとしたこの男の女房だと名乗り、挨拶は改めてうかがいますと啖呵を切ると、宏を抱きかかえて、病院へ連れて行こうとするが、子分の一人が邪魔をしようとする。

その子分を、ヤクザ道に外れるぜと突き飛ばしたのが、政だった。

宏が龍神組に刺されて入院したと子分が知らせに駆け込んで来た海堂組では、代貸の留吉(国創典)を始め、いきり立った子分たちが出入りの準備を始めるが、「無理はすれども、非道はせず」とそれを止めたのはゆりだった。

宏に会って話を聞くと言い出したゆりは、血の気の多い子分は避け、一番頼りなさそうなサブ(大江満彦)を一人付けて行く事にする。

その頃、料亭「千虎」では、関東一円から集まった親分衆を前に、中央に座った剛田が襲名披露の盃を取る儀式を初めていたが、その時、「その盃を配るのは、待っておくんなさい!」と止める声が響いた。

駆けつけて来たゆりだった。

ゆりは、海堂鉄之助の二代目ゆりですと、居並ぶ親分衆の前にも動じず、仁義を切る。

それを聞いた一番上座に座っていた、千葉の箱屋勇造(林寛)が、親し気に挨拶を返すが、この襲名式に海堂組だけお招きがないのは納得いかないとゆりから聞くと、それじゃあ、チラシが行かなかったのか?と怪訝そうに、取り持ちを依頼した剛田を睨みつける。

そして、早く、ゆりさんお席を作らないかとせかされた剛田が、客席の一角を開けてゆりを誘うが、そこには座布団がなかったので、ゆりは動こうとはしなかった。

箱屋もそれに気づき剛田を叱りつけたので、剛田は忌々しそうに、座布団の手配を子分に目で合図する。

そんな中、海堂組が引き受けていた荷物が、突然現れた謎の集団に奪い取られると言う事件が起こる。

最近、この辺で噂になっている海上ギャングによる海賊行為だった。

海賊をやっていたのは、龍神組だった。

盗んで来た荷物を安く買い取っていたのは、小沢だった。

その後、素知らぬ顔で、用心棒の政を連れ、被害を受けたオリエント商事社長(岡竜弘)に会いに来た剛田は、事件からもう半月になるので、そろそろ自分の組に委任状を書いてくれと迫っていた。

そこに、ゆりと留吉が訪ねて来て、社長に会うと、盗まれた荷物の保証金の一部にしてくれと50万を差し出すが、そこに現れた剛田が、今、自分たちが委任状を受けたので、今後、賠償金はに関しては、自分が任されたので、延期の期限を3日間にし、違約した時は、それ相応の覚悟をしてくれと無理難題を押し付けて来る。

それを聞いて思わず立ち上がった留吉を制したゆりは、その場は黙って帰る事にする。

明後日、賭場が開かれるので、それで金を作りましょうと提案する留吉を先に帰したゆりに、政が近づいて来て、あんたに今自殺でもされてはいけないと、親分から言われたので付いて来たのだと言うと、ヤクザなんか足を洗ったらどうだ?剛田が欲しいのはあんたたちのシマだけ。あんたが承知しさえすれば、オリエント商事の方はどうにでも話しはつくと言って来る。

バカにされたと感じたゆりは、その後も一人で港を歩いていたが、そんな寂し気な姿を目撃したのが道代だった。

道代は、小沢から金を用立てて来て、それを父親の彦太郎に渡そうとする。

彦太郎が、ここの所、オリエント商事への賠償金返済に困っているゆりのために、金策に走り回っていた事を知っていたからだ。

しかし、彦太郎は、まさかお前、小沢とどうにかなったのではないだろうな?と娘の身体を案ずると、道代は、あの方はそんな方ではないし、そう言う関係でもないと否定する。

そんな道代に、彦太郎は、お前が赤ん坊だった頃、母親を亡くし、もらい乳をして歩いた事もあり、一時期は又ヤクザに戻ろうと考えた時期もあったが、じっとがんばって、今は、堅気の倉庫番になっているんだと苦労話を聞かせる。

その後、金を持って、海堂組の事務所に来た彦太郎だったが、ゆりも代貸の留吉を不在だと知り、どこへ行ったのだと子分に聞くと、滝川一家で賭場が開かれているのでそちらへ行ったと聞くと、しまった!と焦る。

賭場では、ゆりが、博打に負けており窮地に陥っていた。

それを見ていた剛田は、少しご用立てしましょうかなどと嫌みを言うが、ゆりは、自分の身体をカタに500万でどうだ。高利貸の手代みたいなあんたには払えないだろうと言い返したので、肝に据えかねた剛田は、1本で勝負しようと言い出す。

ゆりは片肌を脱ぎ勝負に挑むが、剛田は、金属製のライターを台の上にさりげなく起き、その上を通過させるように札を配り始めたため、札の表がライターに反射して剛田には丸見えだった。

そのいかさま行為を、剛田の背後にいた政も気づいていた。

結果、ゆりは見事に破れ、剛田の子分たちがゆりの身体に手を賭けるが、その時、彦太郎がやって来て、ゆりの身体と取り替えてもらいたいものがあると、剛田に頭を下げる。

剛田が、それは何かと聞くと、海堂組のシマだと彦太郎は答え、言葉に二言はないとまで言い切ったので、承知した剛田は、そのまま帰って行く。

その時、台の上に忘れて行ったライターを素早く手に取った政は、彦太郎を呼び寄せると、500万の用立てのためのライターだ、お大切にと言って手渡す。

それを受け取った彦太郎は、瞬時にライターの意味を悟るのだった。

キャバレーでは、歌手(高島忠夫)が「結婚しましょう♪」と歌っていた。

別室では、小沢が道代に身体を迫っていた。

道代はそんなつもりはなかったと拒否するが、伊達や酔狂で金を貸す訳がないだろうと脅しつけ、道代をベッドルームに押し倒す。

その時、ドアを執拗にノックする男が聞こえて来たので、道代に襲いかかっていた小沢は不機嫌そうに開けてみると、そこには政が立っており、用があると言う。

小沢は激高し、お前なんかにものを頼まれる筋合いはない。剛田も俺には頭が上がらないんだと凄むが、そんな小沢を部屋の中に押し倒して入って来た政は、銃を取り出すと、その娘の借りた金を全部フイにしろと言い出す。

小沢は驚いてそんな事は出来ない。せめて半分くらいは返してもらわないと…と抵抗するが、俺が言っているんじゃない。この拳銃が言っているんだと笑う政は、こいつは信用ならないから、証文ももらっておけ?と拳銃と相談をするように呟く。

証文は、事務所に置いてあるんだと抵抗する小沢だったが、鞄の中に入っている?と、又しても政は、拳銃と相談するように呟いたので、諦めた小沢は、持っていた鞄の中から証文を取り出して渡す。

政は、それをその場で焼き捨てると、道代に逃げるように勧める。

さらに政は、どうせまともな金じゃないようだから、小遣いでもたっぷりもらっておこうかと言い出し、小沢は仕方なく札束を差し出すと、笑いながら、それを小沢の顔にぶちまけて、政は去って行く。

一方、彦太郎は、ライターを持って、剛田の元に来ていた。

いかさま賭博は、ヤクザの御法度、指を詰めるくらいじゃすまねえぜと、入れ墨を見せて凄む彦太郎は、海堂組のシマを500万で買ってくれないかと持ちかけ、そうしてもらえれば、賠償金を解決して、自分たち海堂組はヤクザを辞めると約束する。

料亭「千虎」で、その話し合いがもたれる事になるが、その席に酒を運んでいた女中(浜野佳子)は、途中、譲次に呼び止められ、何か小細工をされた後、剛田と彦太郎、ゆりの三者がいる部屋に酒を持って来る。

話し合いが済み、帰ろうとするゆりと彦太郎に、酒を勧める剛田。

ゆりは辞退するが、彦太郎は、剛田の顔を立てるために、一杯だけ口に含み、ゆりも仕方なく、一杯だけ付き合う。

その直後、立ち上がった彦太郎はふらつき倒れ、驚いて駆け寄ろうとしたゆりも又倒れ、すぐに、駆け込んで来た子分たちが彦太郎の身体を外へ運んで行く。

そこに入って来た譲次は、彦太郎が持って帰ろうとした500万の風呂敷包みを取り戻すと、じゃあ、親分、ごゆっくりと、倒れているゆりの方に目配せして笑う。

剛田は、気絶しているゆりの身体を寝室に運び入れる。

雷鳴の音で目覚めたゆりは、自分が見知らぬ部屋の布団の中にいる事を知る。

もう、剛田の姿はなかったが、自分が何をされたのか気づいたゆりは、浴室へ向かうと、シャワーを浴びる。

その時、廊下ですれ違った京子は、ゆりのただならぬ気配に、異常を感じ、女の直感で、ゆりの身に何が起きたかを薄々悟るのだった。

その頃、キャバレーの地下にある秘密の倉庫の扉を何とかこじ開けようとしていた政を発見したアケミが、愉快そうに近づいて来てからかう。

その時、子分が政を呼びに来たので、一瞬アケミと政は、仲良く抱き合っているように見せかけ、呼びかけに応ずる。

剛田の部屋には小沢が来ており、政がやって来ると銃を取り上げられた上で、この前の仕返しとして、その場でめちゃくちゃに殴りつけて来る。

そんな政に、剛田は、海堂組へ使いに行き、ゆりをあしらって来いと命ずる。

その時、ゆりが一人で銃を持って、剛田の元にやって来るが、その前に立ちふさがった政は、そんなゆりを表に連れ出すと、海堂組のたくさんの子分たちが頼っている自分に巻けちゃダメだと言い聞かす。

一方、道代は、家に帰って来ない父親彦太郎を心配し、海堂組の事務所に来るが、対応した宏たちは、こちらには来ていないと言うしかなかった。

その後、表で京子と会っていた宏は、シマ荒らしだ!と子分が知らせに来たので、驚いて港に向かうと、龍神組の子分たちが、今日から、海堂のシマは龍神組のものだと言うので、殴り合いを始める。

龍神組の子分たちは、夕べ、お前の所の女親分とうちの親分は懇ろになったんだと聞かされた宏は愕然とするが、側で聞いていた京子も宏に昨日の料亭でのゆりの様子を耳打ちしたので、事務所に帰って、留吉に事情をいく。

留吉は、仕方なく事情を説明しかけるが、それを制したゆりが二階から降りて来ると、宏はいきなり、盃を返してくれとゆりに言い出す。

剛田に会って、きっぱり話をつけたいと言う宏の覚悟を悟ったゆりは、お前を死なせる訳にはいかないと止めるが、そこにやって来た京子が、言う通りにさせてやってくれと頼む。

戦災孤児だったこの人は、面倒見てもらったあなたの親父さんの事を忘れられないといつも言っているくらいですからと説得する。

濃い霧の中、剛田の乗った車の前に独り立ちはだかった宏は、降りて来た剛田と譲に、匕首を振りかざし、傷を付ける。

しかし、これを、海堂組に出入りをする良い理由が出来たと考えた剛田は、事務所に戻って来ると、出入りの準備をさせ、政はどうした?と聞く。

その政は、地下の倉庫の所で、アケミが持って来た鍵を受け取っていた。

その鍵で扉を開け、中に入った政は、そこに積まれていた、海で盗まれた荷物の箱と、奥に縛られていた彦太郎を発見するが、アケミが入って来たので、ひとまず外に出る。

そこに、譲次が呼びに来る。

政はその後、剛田から命じられ、海堂組に向かうと、果たし状をゆりに手渡す。

ゆりは、第三埠頭に恋と言う内容を読むと、承知したと伝えてくれと政に答えると、一家を集め、自ら先頭に立って埠頭に向かう。

途中、宏も連れて行ってくれと合流して来たので、ゆりは喜び、力一杯働いてくれと頼む。

そんな宏に、付いて来た京子は、お守りを手渡す。

先に待っていた剛田と龍神組に対し、やって来たゆりは、「ゆり以下30名、拳銃一丁、日本刀15本、匕首15本!」と名乗りを上げる。

譲次も銃を取り出し、狙いをつけようとした瞬間、警官姿になった政が現れ「止めろ!」と声をかけて来る。

そんな政を撃とうとした譲次だったが、政の発砲で銃を弾き飛ばされてしまう。

ゆりは、逃げながら発砲して来た剛田を、勇敢にも追いかけて来る。

やがて、剛田の銃も弾が切れてしまう。

そんな剛田に、「卑劣な男は死ぬんだ!」と銃を向けたゆりだったが、駆けつけて来た政によって止められる。

政は、オリエント商事海上事件の犯人として逮捕する!と言いながら、剛田に手錠をかける。

譲次も、駆けつけて来た警官隊によって逮捕されていた。

政は、ゆりに対しても、世間を騒がせた罪を償わなければならないと言いながら同行を求める。

1年後…

又、横浜の港祭りの日がやって来た。

舞台で踊る女性たちを観ているのは、堅気になったゆり、宏、京子、そしてアケミ、そして政だった。

政は、会社を始めたゆりに、おめでとうと祝福し、あなたの活躍をいつも見守っていますよと励ますのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

後年のヤクザ映画の原型ともなるような通俗アクションもの。

多少の不自然さをごまかしてしまうような畳み掛けるようなテンポの良い演出で、最後まで一気に見せてくれる。

襲名披露、博打、喧嘩、出入り…と、ヤクザものの基本は全て網羅されていると言って良く、この時代に既に、ヤクザ映画は完成していたと考えても良いかも知れない。

有名な出演者たちは、当然ながら全員若く、マッチョと言うより小太りの宇津井健が、相撲風のアクションを見せたり、天知茂が髪を白く塗り、老け役として登場している所などが興味深い。

菅原文太演じるヤクザの譲次は、まだ、板についていると言う感じではないが、二枚目役などよりは、まだ似合っていると感じるのは、後年のヤクザ映画のイメージからか?

久保菜穂子のきりっとした女親分はなかなか魅力的だが、宇津井健のヤクザ演技は、かっこいいと言うより、ややコミカル。

しきりに、拳銃をくるくる回してみせたり、キャバレーでアケミと踊ってみせたりと、西部劇やジャームズ・ボンド張りの見せ場があるが、いかにも、不器用ながら一生懸命、習った通りをやっていますと云った優等生の雰囲気しか伝わって来ず、その辺がどうも、今の感覚からするとピンと来ないが、当時の宇津井健と言えば、誰が観ても悪役のイメージが、みじんもない人だったので、仕方ない所だろう。

三原葉子が珍しく、お色気シーンもなく、気丈なヤクザの情婦を演じているのも、見所かも知れない。