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白線秘密地帯

1958年、新東宝、内田弘三脚本、石井輝男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

上野の「新トルコ温泉」では、トルコ嬢のトミ(三原葉子)が、帰る客を見送っていると、同僚のトルコ嬢お時(筑紫あけみ)が、人の客を取りやがってと罵声を浴びせる。

しかし、トミは平気な顔で、そんなに大事な客なら、紐でも付けとけば良いじゃないかと言い返す。

そこに、みどりを指名する新顔の客がやって来たので、呼ばれたみどり(吉田昌代)が浴室に案内する。

みどりは、スチームバスの準備をしながら、君、ここのナンバーワンだってと聞いて来た客に、どこで私の名前を?と聞くが、客は、ボクは特別会員だよと言いながら、券をちらつかせる。

待合室で待っていたトルコ嬢たちは、支配人と、トニー・カーチスみたいな客が来ない頭などと無駄話に花を咲かせていたが、トミは、その支配人に耳打ちすると、さっとと帰ってしまう。

支配人は、「お馴染みさんか?」と、迷惑そうな顔をして送り出す。

その頃、スチームバスから出た客は、いきなりみどりに抱きついて来たので、みどりが拒絶すると、怒って、みどりの首を締めて行く。

みどりは床に倒れ、「SSS」と印刷された券が床に落ちる。

客は慌てた様子で店を出て行ったので、浴室の様子を見に行った同僚が、床に倒れていたみどりの死体を発見し悲鳴を上げる。

すぐに警視庁捜査一課が出動し、現場検証が始まる。

田代刑事(宇津井健)は、床に落ちていた券を主任に見せる。

支配人は、みどりに最後に会ったのは初めて来た客で、みどりの方も一週間くらい前に店に来たばかりだったと話す。

謎の切符を見せると、支配人は知らないと言う。

その逃げた客松崎(九重京司)は、伍東(菅原文太)とフックの鉄(佐伯一彦)の二人の男に車に乗せられ、人気のない鉄橋の下に連れて来られていた。

松崎はものの弾みだったんだと必死に謝るが、俺たちの仕事がヤバくなったと言いながら、拳銃を取り出した伍東が、列車の通過する音に合わせて発砲する。

松崎の死体が発見され、現場で、被害者のものらしいカンカン帽を拾った田代刑事は、その帽子に記されていた帽子屋を訪ねる。

帽子屋(岡竜弘)は、その帽子は世田谷の松崎さんに売ったものだと指摘する。

松崎の妻は、夫の死を知らされると、涙ながらに、夕べは10時頃帰宅し、今日は、6時半に大阪に出張すると言い残して家を出たと証言する。

その時、松崎の子供が、郵便が来ていたと母親に渡したので、田代刑事がそれを見せてもらえないかと頼むと、手塚鉄工所と言う差出人から松崎宛のその封筒の中身は、エロ写真と会員券だった。

その券は、トルコ温泉事件の現場に残されていたものと同じ「SSS」と印刷されたものだった。

田代刑事は、手塚鉄工所の在処を突き止めようと、封筒に記されていた住所を探し回っていたが、通りかかったアイスキャンデー屋(三宅実)に聞くと、そこは火葬場だった。

松崎の遺体から取り出された弾は、38口径のコルトの自動拳銃だと判明する。

部長は、徹底的にやるんだと部下たちに発破をかける。

刑事たちは、トミを尾行し始め、トルコ温泉の常連3人を突き止める。

田代は、別のトルコ温泉で働いていたトミから、上野で殺されたみどりの前に勤めていた店について話を聞こうとするが、トミが挑発して来たので、本部に連行し、事情を聞こうとする。

しかし、トミは黙秘権を使うと言い出したので、田代は、「どうぞ、一晩でも二晩でも…」と言ってさっさと出かける素振りを見せ、結局、みどりの勤めていた前の店は、州崎の「赤玉」と云う店だと聞き出すことに成功する。

さっそく「赤玉」に向かうと、応対に出て来た主人須藤(近衛敏明)が、彼女は売春防止法に殺されたようなものだと切り出し、国に帰って結婚すると言って辞めたのだが、トルコ嬢になっていたと云うことは、その後も何をやっていたことか…。うちもあの子には貸しがあったのだなどと話す。

江東区区役所の福祉課でみどりの足跡を追った所、6月13日に就職の相談に来たので、常盤荘と言う旅館を紹介してやったと判る。

常盤荘に行ってみると、出て来たおかみ(万代裕子)が、ある日訪ねて来たマダム風の女と連れ立って出て行ったきり、戻って来なかったと話す。

その女の特徴は?と刑事が聞くと、ちょうど廊下の拭き掃除をしていた女中(沢恵子)が、日の丸の付いた外国のタバコを吸っていたと思い出す。

その日の丸の付いた「ラッキーストライク」を吸っている女が、職業安定所の前で、出て来る女の品定めをしていた。

前科3犯の「ころがしの政子(荒川さつき)」であった。

お時は、職安から出て来た一人の娘に目をつけると、近づいて話しかける。

今努めている向上の仕事が辛いと言うその娘に、ドライブクラブの事務員の仕事があるんだけど…と政子は勧め、娘もすぐに乗って来る。

警察に連れて来られた常盤荘のおかみと女中は、警察が保管してあった大量の写真の中から、みどりを連れ去った女を見つけていたが、やがて、政子と判ったので、売春取締課の宮本刑事(国創典)が呼ばれ、この女が動き出したと云うことは、相当大きな組織がバックにあること、政子の巣は、三河島にあることを知る。

田代刑事たちは、すぐさま三河島に行き、あちこち聞き込みを続けるうちに、近所の畳屋の口から、政子なら松村不動産の前に良く来るとの情報を得る。

その頃、とあるバーで、支配人の久保木(天知茂)が、ホステスとして入ったばかりの女を部屋に呼び寄せる。

秋田出身だと言うその娘が、国で男に捨てられたので東京に来たのだろうと呼んだ久保木は、部屋の鍵をかけ、ボリュームを上げて音楽をかけると、嫌がる娘を無理矢理ベッドに押し倒すのだった。

一方、「ミヤコドライブクラブ」では、複数の娘が営業所の中で控えており、客が来ると、控えていた娘のうち、山崎志津江(葉山由紀子)が、その客を助手席に乗せると、志津江が運転をしてドライブに出かける。

人気のない所で車を停めると、客は、持っていた券を志津江に渡し、さらに小遣いとして現金を握らせる。

そして、客は車内で志津江に抱きつこうとしていたが、そこに突然、一人の刑事が現れて、車検と免許証の提示を娘に求める。

後日、「ミヤコドライブクラブ」に玉川署の刑事がやって来て志津江の同行を求める。

先日、志津江が刑事から金を巻き上げられた事件の容疑者の偽刑事(浅見比呂志)が見つかったからだった。

刑事が、偽刑事の確認をさせた後、志津江に当日の事情を聞くと、刑事に巻き上げられた金は客が払ったと言う。

あなたは、ドライブクラブの何ですか?と聞かれた志津江は、客のガイドだと答える。

その場で、志津江のバッグの中身を改めると、中から「SSS」の文字が印刷された券が出て来たので、これは警視庁から手配書が廻って来ている券と同一のものだと云うことが判る。

すぐさま、「ミヤコドライブクラブ」に警察が急行する。

その頃、競馬場に客を引きに来ていたトミは、政子に声をかけられていた。

又、良い店があるから支度金を渡すと言われ、札束を数えるトミは喜んでいた。

その後、支払場に来たトミは、当って札束を手にした男を見つけると、客席に近づいて声をかけるが、その時、お時とゆうちゃん(佐伯一彦)がトミを呼びかける。

競馬場の隅で、トミは、お時とゆうから、こんな所で商売をやりやがってと脅かされ、焼きを入れられるが、負けん気の強いトミは必死に抵抗する。

そこに警官がやって来たので、お時とゆうは逃げるが、倒れていたトミは、警察に連れて行かれて事情を聞かれることになる。

どうやら、政子のことを知っているらしいと所轄から連絡を受けた田代刑事は、所轄書で再びトミと対面する。

大金を持っていたので、ころがしの政子にもらったんだろう?と聞くと、又しても黙秘権だと言う。

田代はトミをわざと釈放すると、泳がせて尾行を開始する。

案の定、トミは再び競馬場にやって来ると、政子と接触するが、人ごみに阻まれて、二人の姿を見失ってしまう。

田代は直ちに、場内警備員に、入り口を固めさせる。

本庁からも、応援が競馬場に駆けつけて来る。

間もなく田代は、一人でいたトミを発見、政子の所在を聞くが、知らないと言う。

なかなか政子の姿は発見出来なかったが、やがて、競馬場の裏手で射殺されているのを発見する。

近くに焼けこげたタオルが落ちていたことから、それを消音代わりに使ったものと察せられた。

政子のバッグの中を改めると、鍵が出て来たので、その場に同行して来たトミに、これは何の鍵かと聞くが、トミは知らないと言う。

しかし、やがて、その鍵は、郵便局の私書箱15号用のものだと云うことが判る。

使用者は「手塚鉄工所趣味の会」だと言う。

捜査陣は、私書箱の中を見せて欲しいと願い出、郵便局長は、捜索令状をお持ちか?と確認した上で、15号私書箱を開ける。

中には一通、手紙が入っており、宛名は「関口」とあった。

その手紙を中に再び入れ、客が取りに来るのを待っていると、間もなく、関口(菊川大二郎)が取りに来たので、事情を聞く。

関口の証言から、最初はエロ写真を囮に会員を集める組織で、特別会員となり券を使うと、新宿のバー「ファンタジアファンタジア」、上野の「新トルコ温泉」、月島の「ミヤコドライブクラブ」で使用出来る仕掛けになっていたのだと言う。

警察は、ただちにバー「ファンタジアファンタジア」に乗り込む。

子分が一人、銃で応戦をして必死に抵抗するが、支配人の久保木は部屋に閉じこもり、呼びかける子分も中に入れようとはしなかった。

弾が切れた子分が捕まると、支配人室の中から銃声が響く。

久保木は自殺したのだった。

郵便局では、まだ私書箱15号を刑事が張っていた。

間もなく、二人の男が手紙を取りに来る。

フックの鉄と伍東だった。

田代刑事は、同僚と共に、二人を尾行して、列車の操作場まで来る。

同僚に、応援の電話を頼み、一人で二人を追おうとした田代だったが、途中、列車の通行に邪魔され、見失ってしまう。

気がつくと、二人が田代を待ち構えていた。

伍東は拳銃を突きつけ、「あの世で、ころがしの政子が、あんたの来るのを待ってるぜ」と脅す。

二人に銃を突きつけられ、連れて来られた埠頭では、須藤が待ち構えていた。

黒幕は須藤だったのだ。

そこに、同僚が駆けつけて来たので、田代は伍東たちと戦い始める。

須藤は、銃を撃ちながら逃げるが、田代がその後を追う。

間もなく、須藤の拳銃の弾が切れたので、田代は飛びかかって行く。

伍東の弾も切れた所に、パトカーのサイレン音が近づいて来る。

石炭集積場で、取っ組み合いになるが、結局、田代は須藤の身柄を確保するのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

売春防止法が出来た直後、裏に潜った秘密組織の暗躍を暴く捜査もの。

トルコ風呂が風俗営業の場となったのは、この頃からだったのかも知れない。

「ドライブクラブ」と云うのは、初めて知った。

この映画を観る限り、女性がドライバーとなって、客を乗せて人気のない場所まで案内し、カーセックスをする商売らしい。

この作品で意外だったのは、菅原文太がギャング役を演じていること。

この時期にしては珍しいのではないだろうか?

二枚目宇津井健、お色気担当悪女三原葉子、悪役天知茂などは、この当時の定番通りの役柄だろう。

かなりフィルムが失われているらしく、途中、ブツブツ場面が飛んでいる印象があるが、大筋は理解出来る。

昔の典型的な刑事ものと言った感じで、文芸もののような人間性の掘り下げなどはないが、テンポの良い風俗ものとしては楽しめる一本である。