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真田風雲録

1963年の東映映画だが、公開時、とにかく不評で、大阪の劇場では、何と6日で早々と打ち切られたという曰く付きの問題作。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

時は16世紀、後に真田十勇士になる面々が子供時代、戦場で「飛び猿の佐助」(後の猿飛佐助)に出会う所から物語は始まる。

その佐助(中村錦之助)は、不思議な術を使う。
錦ちゃんの目が青く光ると、相手を自在に操ったり、心が読めたり(サトリですね)、催眠術をかけたり、姿を消す事ができる…、何の事はない、完全に「フォース」を身につけた訳である。

何でも、信州戸隠の里で生まれた彼が赤ん坊時代、空から落ちてきた流れ星(画面上では、地中に半分埋まった状態の、青く光るガラダマとして描かれている)の放射能の影響で特殊な能力が身に付いたと(字幕で)説明されている。
60年代SF?

時は流れて、彼等は全員若者になり、ポルトガル人のような衣装を身につけ、ギターを持って歌う奇妙な男、由利鎌之助(ミッキー・カーチス)や、とぼけたおっさん真田幸村(千秋実)と出会い、豊臣方に付く。
ミッキーが歌う歌はロカビリー(?)調歌謡曲、十勇士(ジェリー藤尾や常田富士男ら)も全員陽気に歌い出す。
ミュージカル?

彼等が戦場で見せた戦い振りは…。
まず、お霧(後の霧隠才蔵!実は女性だったという設定=渡辺美佐子)が吹く横笛に佐助が青い光線を目から当てると、その音色を聞いた敵の見張りが突然眠りこけ、次に、ミッキーの奏でるギターに青い光線を当てると、敵の侍達は身体が勝手に動きだし、全員、湖に突き進まされ、そのまま溺れさせられるのだった…。
真田幸村は、巨大な鯨の作り物みたいなものに乗って、空を飛んでくる。
ハーメルンの笛吹き?

そこに突如出現するのは、服部半蔵率いる影の軍団!
彼等は全員「ウエスト・サイド物語」(1961)みたいに、華麗なステップを踏みながら接近して来る。(汗)
パロディ?

後半、大阪城の天守閣の上で、佐助と服部半蔵が戦っている。
その下では、ウエスタンに出て来る女性のような扮装をした千姫(本間千代子)が、十勇士や大勢の若者達とどんちゃん騒ぎしている(日劇ウエスタンカーニバル風?)情景などは、シュールという他ない。
ドタバタコメディ?

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

この作品、もともとは舞台劇だったものらしく、破天荒なビジュアルとは裏腹に、中心となるテーマは真面目なもので、いってみれば「青春の野望と蹉跌」だろう。(どう考えても60年代では早すぎたテーマで、70年代になって、ショーケンと桃井かおりあたりでやっていれば…、やっぱりダメか?)
錦ちゃんは「孤独な超能力者」として、最初から最後までシリアスな演技をしていますが、悩む役柄は正直似合わない。(風貌はすでに、萬屋錦之助顔に近付いているが…)

劇中、唯一、佐助が心を読めない侍役の佐藤慶(はまり役!)、松竹版「八つ墓村」と全く同じ扮装の落武者役でチラリ登場する田中邦衛、豊臣秀頼役の「忍者部隊月光」こと水木襄など、多才な顔ぶれも興味深い作品なのだが…。

松方弘樹が主演した「真田幸村の謀略」(1979)は、完全にこの作品を焼き直したものだと思われる。