QLOOKアクセス解析

TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

人情紙風船

1937年、前進座&P.C.L.作品、監督、山中貞雄。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

良く晴れた日、江戸の貧乏長家に浪人の首吊りが発生、役人が調査に訪れる所から物語は始まる。

どこか落語の登場人物を思わせる長家の連中、大家を焚き付けて酒を確保、通夜でおおいに盛り上がる。

そんな長家に住んでいる、これまた貧乏浪人の海野又十郎は妻にせかされ、毎日、江戸勤めになったかつての父の知人に近付こうとするが、いつも体よくあしらわれてしまう。
毎日のように接近を試みるが、ある雨の日、とうとう、二度と姿を見せるなと引導を渡されてしまう。

一方、又十郎の隣に住む髪結いの新三は、やくざの源七に睨まれながらも、懲りずに自分の賭場を開いていたが、気付いた源七の子分達に賭場を潰されたため、金に困り、髪結いの道具を質屋の白木屋に持ち込むが相手にしてもらえない。

又十郎が引導を渡された同じ雨の日、傘を持たず一人雨宿りをしていた白木屋のまな娘、おこまと出会った新三、彼女を自分の長家に連れて帰ってしまう。
そんな事情を知った白木屋、源七らを使って、長家におこまを引き取りにくるが、当のおこまは、妻が外出中だった隣の又十郎の部屋に隠されており、新三は啖呵を切って源七らを追い返してしまう。

その後、大家の計らいで、おこまは無事、白木屋へ帰され、大家と新七は50両の大金を得、その夜、またまた長家仲間と共に祝宴をあげる事に…。

一見、のどかな物語に見えるが、その背後には、暗く貧しく、先がない民衆の絶望感が見えかくれする。

ラスト、飲めない酒を飲んで帰宅した叉十郎がかどわかし事件に加担した事や仕官に失敗した事を知った妻がとった行動は…。

また、酒宴が盛り上がる中、源七に呼び出された新七に待ち受けていた運命は…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

全体が、どこか明るいタッチで描かれているだけに、この救いのないラストは強烈である。
夭折した監督が残した、現存する3本の作品の中の一本。

どこか、現在の閉息的状況とダブる内容が哀しい。