QLOOKアクセス解析

TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

高校大パニック

1978年、にっかつ映画。
原作は石井聰互の同名8mm自主映画。
監督、沢田幸弘&石井聰互。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

九州、博多の名門進学校、中州高校(もちろん、架空の学校)の生徒が、受験ノイローゼのためビルから投身自殺をはかる。

しかし、当の学校内では、何事もなかったかのようにいつもの受験勉強が進行しようとしていた。
特に、数学の教師の徹底したスパルタ教育は生徒に対し容赦がなく、屈辱の日々を送っていた劣等生の一人、城野は、そういう学校や級友達の態度にキレ、学校を抜け出し銃砲店に入り込むと、ライフルと銃弾を奪って学校に舞い戻る。

自らの教室に戻った城野は、授業中だった数学の教師をその場で射殺する。
学校内はいきなりパニック状態になる。
連絡を受けて、現場に急行した警官達も手出しが出来ず、負傷者は増える一方。

県警が乗り出してきて、警官、教師、やがて呼ばれてきた城野の両親などが次々に説得を試みるが、頑として城野は聞き入れず、数人の生徒を人質に図書館に閉じこもる。
特捜課長の栗田(青木義朗)は、密かに「特殊銃隊」の出動を県警に要請するのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

鬱屈した青春時代の閉息感を、70年代らしい、怨念と復讐感覚でストレートに表現した作品。

地味な配役陣ながら、地方都市の限定された舞台をフルに生かした、きちんとしたパニックものになっている。

建て前ばかりの学校側の態度、きれいごとを並べ立てるだけのマスコミの論調。
犯人や人質になった生徒らの両親のうろたえ振り、サスペンスフルな緊張感の中に、ときおり挿入される、野次馬達や教師の、どこか無責任でとぼけた言動などがリアルであると同時に観客の笑いを誘う。

作者の冷静な視線と地方都市特有のどこか緩やかな感覚が、陰鬱になりがちなドラマを救っている。

最後まで犯人の人質になる、こちらも受験体質から外れた、不思議な雰囲気の女生徒を、若き日の浅野温子が演じており、そのキャラクターは印象に残る。

石井監督のフレッシュで素直な感性がうまく生かされた佳作といえよう。