1974年、日活作品。
監督、藤田敏八。
▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼
深夜、麦わら帽子にいかにも少女趣味の服を着、一人で兄の住む実家に帰ってきた妹、小島ねり(秋吉久美子)。
どうやら彼女は、鎌倉で同居していたらしき男、コースケと喧嘩別れしてきた様子。
一方、兄の秋夫(林隆三)もいまだ独り身で、母親が生前切り盛りしていた大衆食堂にそのまま一人住み続け、地上げ屋の嫌がらせに刃向かいながらも、個人の引っ越し屋として生計を立てていた。
その日から、共にどこか淫蕩な血の流れる兄妹の、何となく不自然な生活が始まる。
秋夫は女にだらしなく、ねりを連れ戻そうと、鎌倉から訪ねてきたコースケの妹に惹かれていく。
一方、コースケの兄弟たちから逃れるため、秋夫の女友達(吉田日出子)から紹介された焼き鳥屋に一時住まわせてもらう事になったねりは、そこの娘に「コースケは、自分が殺害した」と告白する…。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
かぐや姫のヒット曲「妹」をベースにした、いかにも低予算のドラマ。
だが、登場人物が面白く、特に、一見全員気ままに生きているような、コースケの兄弟を演ずる伊丹十三、村野武範、藤田弓子(痩せている!)らの濃いキャラクターが印象に残る。
伊丹十三は、グラフィックデザイナーという設定で、イラストを描いているシーンがあるが、実際に、生前の伊丹はそちらの才能でも有名で、劇中に登場する絵は、本当に彼の作品かも…と想像させる。
その伊丹は、劇中で不可解な自殺をする…。
劇中に挿入されるユーミン(荒井由美)の歌や、登場人物達の髪型、ファッション、例えば、
引っ越し代を浮かそうと秋夫を誘うちゃっかり娘役、ひし美ゆり子がはいている、ひらひらのミニスカートが、強烈に70年代を臭わせる!
ねりのキャラクターは、いかにも「男が潜在的に願望する、理想的な妹像」なのだが、それが秋吉久美子自身のキャラクターと同化し、忘れがたい存在になっている。
どこか、甘酸っぱい余韻が残る佳作。
