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大怪獣空中戦
ガメラ対ギャオス

平成ガメラシリーズでも復活した、シリーズ最大の人気キャラクター、ギャオスが登場した旧シリーズ三作目。
高速道路の工事を巡って、それに反対する土地の所有者たちと工事関係者たちとのもめ事が、物語の背景になっているのが、時代を感じさせる。
富士山の爆発に飛来したガメラを調査するため、現地を訪れたヘリコプターが、突然怪光線によって、まっぷたつに切り裂かれる強烈なシーンが、まず印象深い。
実物大のヘリセットから、乗り組んでいた調査団の一行がこぼれ落ちる凝った演出などは、まだ、当時の大映が、予算をそれなりに注ぎ込めた証拠でもあろう。
大地主(上田吉次郎!)の孫が、やがて、事件の中心的存在となって、自衛隊の活動に参加(?)したりする部分が、今でも賛否両論に意見が別れる所であるが、ガメラの背中に乗って、子供が空を飛ぶ…といったアイデアに、夢中になった子供達も多いはずである。
やがて出現したギャオスが、人間を食べたり、血を流したり…という生々しい描写は、そうした表現を極力避けていた東宝とは、はっきり色合いが違う点で、注目すべき部分であろう。
どこか鋭角的で、子供にも簡単にシルエットが描き易いギャオスの特異なデザインは、この後も、バイラス、ギロンなどに受け継がれ、当時の特に年少層に喝采を受ける事になる。
名古屋上空での両怪獣の空中戦や、自衛隊との攻防戦は、相変わらずのアイデアとスピード感に溢れ、全編楽しめる事請け合いである。
前作「ガメラ対バルゴン」と並び、昭和ガメラシリーズを代表する傑作と言えよう。
若くして亡くなった丸井太郎が、本郷功次郎の部下役で出ているのにも注目したい。