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エノケンの猿飛佐助

戦前の東宝東京作品(1937〜38)で、脚本は山本嘉次郎と岡田敬、監督は岡田敬。

「ありゃりゃの巻」と「どろんどろんの巻」の2巻構成。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

猿飛佐助(エノケン)は山奥の仙人(エノケン二役)の元で忍術の修行をしている。
忍術といっても、画面上では完全に魔法である。

仙人が朝起きて(ハンモックに寝ている)、「窓よ開け!」というと、小屋の窓が独りでに開き、「火よ燃えろ!」というと、竈に突然火がおこる。

朝食として、仙人が霞を食べるところが面白い。
長い竹筒を口に加えると、突如、空間に雲のようなものが現れ、それが竹筒に吸い込まれていく。(何の事はない、竹筒から煙を周囲に吹き出すのを逆回転しているだけなのだが、演技のうまさもあって、ちゃんとそれらしく見える)

佐助が片手で印を結ぶとひょいと空に飛び上がり(ワイヤーワーク)、薪割りも、片手で薪を指差すと、自動的に薪は二つに割れる。

今でいう特撮というほどの凝った技術ではないが、細部に渡って、初歩的なトリック撮影の工夫がふんだんに仕掛けられており、ボーっと観ていると、「えっ!?」と驚かされるシーンが続出!

さて、佐助は修行を終え、免許皆伝の巻き物と、仙人の身替わりとして大きなシャモジを譲り受け、里へ降りる事を許さる。

さっそく、佐助は術で透明になり、町で悪戯を始める。
町娘たちの身体を触ったり(透明人間コントの定番?)、飯屋で人が注文したうどんを勝手に食べたり(この部分の特撮は秀逸!うどんを箸がひとりでに摘まみ上げ、空中にうどんが消えていく)。
やがて、初対面で惚れた娘を酔漢たちから守ってやっているところ(ここも凝っていて、酔漢の一人が佐助を殴ろうとすると、佐助が大きな石に変身!酔漢のゲンコツは巨大に腫れ上がります。さらに、その腫れた手を水桶に突っ込むと、ジュ〜っと湯気が立ち上り、もとの手に戻る…、完全にアニメのギャグを実写でやっている!)。
ここで、真田十勇士の穴山小助と三好清海入道と出会う。

その頃、真田幸村はお城で、天文学者と空の星を見ながら運勢を占っている。
星空の中に、突然、UFOのような動きをする奇妙な星が出現する。
天文学者はその星(ここでは、ほうき星と表現)を、「優れた能力を持っているが、たよりない人物が出現する」と占うのでした…。つまり、これが佐助の事。

隣国の城主が派遣した間諜(スパイ)や暗殺団に混じり、好奇心から、自ら間諜のまねごとを始めた瀧姫が、佐助と恋に落ち…というのが、後半のお話。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

トリック映画としても良く出来ているし、エノケンの身軽なアクションや、お馴染みの濁声の歌も楽しめる、良質の娯楽作品になっている。