TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

曉の脱走

1950年、新東宝、原作、田村泰次郎、脚本、黒澤明&谷口千吉、監督、谷口千吉。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

昭和20年、華北戦線の某町に一人の女を伴った部隊が帰って来る。

女は慰問に訪れたものの、道が破壊された事を理由に、そのまま帰国を延期されていた歌手一行の一人で、小泉春美であった。

物語は、彼女と共に戻ってきた一人の捕虜、三上上等兵の調査書を作る形で、過去が語られていく。

部隊の中隊長である成田中尉(小澤栄太郎)はその身分を利用し、春美に執拗に男女関係を迫っていたが、その当の春美は、成田の下で伝令を勤めていた三上に激しい愛情を感じていた。

最初は頑として春美を受け入れようとはしなかった三上であったが、いつしか情熱的な春美の愛を受け止めていく事になるのだが、その関係が周囲の知る所になり、三上は攻撃してきた中国軍との戦いの最前線に送り込まれ瀕死の重傷を受ける。

そんな三上の元に無謀にもひとり近づき、一緒に死のうと、軍刀を自らの首に当てたまま横たわる春美であったが、自決の寸前に中国軍に捕らえられる。

中国軍は、三上を病院に収容し、親切に傷を癒してくれるが、生きて捕虜になった事に恥辱を感じる三上は懊悩する。日本軍に帰れば、軍法会議の末、処刑されると説く中国軍や、このまま一緒にこちらで暮らそうと懇願する春美の願いも届かず、結局、三上は春美と共に日本軍に合流する事になる。

そこで彼等を待っていたものは…。

明日をも知れぬ運命に、酒で狂乱する軍人達。
人間らしく生きたいと願う、一女性の目から見た愚劣な戦争と日本軍の実体。
その考えに徐々に共感していき、最後は一緒に街から脱出しようとする三上。

救いのないラストが、胸に突き刺さる。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

反戦映画の秀作。