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正義だ!味方だ!全員集合!!

1975年、渡辺プロダクション+松竹、加瀬高之脚本、 瀬川昌治脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

横浜に近い伊勢浜…

そこにある日、怪し気な男がやって来る…(ここまで、マンガで表現)

トレンチコートを来たその男は、近づいて来たもう一人の男から、この近所にはキャバレーもパチンコ屋もないと聞かされ、印刷屋を捜せば、営業用の名簿があるのではないかと教え、さっさと歩き始める。

その後を慌てて付いて行こうとしたもう一人の男は、波止場の鎖に足を取られ転んだ拍子に、持っていた二つのトランクを落として、中身をぶちまけてしまう。

この二人、広告屋、チンドン屋であった。

タイトル

二人のチンドン屋、錨長太郎(いかりや長介)と中西弘次(仲本工事)は、近所で見つけた高井印刷と云う店を見つけるが、その店の主人らしき男が、暴力団風の数人の男たちから袋叩きに会っている現場を目撃する。

リーダーらしき男(潮健児)が言うには、この土地は、熊田組から自分たち大神組が任されている所なので、さっさと立ち退けと言っている。

見かねた碇は、持っていた小道具の赤色灯を頭に乗せ、中西がクラリネットでパトカーのサイレン音を鳴らしたので、それをパトカーが来たと勘違いした大神組の連中は引き上げて行く。

助けてもらった印刷所の主人高井風太(高木ブー)は、ぜひ、今、暴力団追放をテーマに会合を開いている自分たちの商店会会長に会ってくれと二人に頭を下げる。

二人が連れて行かれたのは、伊勢浜商店会の会長ミヤコ(ミヤコ蝶々)ママが経営する「クラブ蝶々」だった。

大神組の立ち退き要求に悩まされる商店街の連中が集まって、善後策を練っている所だったが、良いアイデアが浮かばない。

新聞社に訴えたらどうかと云う提案も、そんな事をしても、前に担当をしてくれた小島と云う記者は、結局新聞社を首になって、今ではトップ屋に落ちぶれているくらいだと誰かが否定する。

そんな会話を途中から聞いていた碇は、自分たちで新聞を作りませんか?と提案する。

そんな事できる訳がないと困惑するミヤコママに、碇は、今はミニコミの時代ですよと付け加え、実は自分は広告業、言わばジャーナリストの端くれですと自己紹介する。

しかし、そこに、大神(伊東四朗)率いる大神組が又現れたので、ミヤコママは、この人は正義の味方、一流のジャーナリストですよと碇を紹介する。

それがどうしたとビール瓶を割り、凄んでみせた大神だったが、とっさに手帳を取り出した碇が見よう見まねでインタビューを始め、大神組の店での行動を逐一記事に書く振りをし始めたので、形勢不利と感じ、仕方なくその場を立ち去る事にする。

それを見ていたミヤコママは、すっかり碇を信じ込み、50軒の商店が一軒2万ずつ、計100万円を自分たちが出資するので新聞を作ってくれと依頼する。

喜んだ碇は、前金で20万程…と要求するが、ミヤコママは注文として、今流行の「劇画」を載せてくれと言い出す。

ある日、伊勢浜商店街にある交番勤務の志田けん(志村けん)が自転車で巡回していると、熊田めぐみ(榊原るみ)を中心とした人形劇グループが、幼稚園児たちを前に、動物村にはゴリレンジャーと云うヒーローがいると云う人形劇を披露していた。

そんな人形劇団で唯一の男、加藤ヒデオ(加藤茶)は、その日の劇が終了しても、何か悩み事があるようでぼーっとしていた。

心配しためぐみが加藤を呼び、訳を聞くと、広島の母親から手紙が来て、なかなか警官になれない事をきつく叱られたのだと云う。

一方、ミヤコママから資金を調達した碇と中西は、「ダウンタウン」と云うミニコミ紙の編集室をビルの一室にかまえていた。

外出先から戻って来た碇は、昼寝をしてさぼっていた中西に、大神組の調査をしていたはずの小島は見つかったのか?と叱りつけるが、中西はこの仕事に乗り気がしないようで、100万受け取ったら、さっさととんずらしましょうと持ちかける。

碇は、その前に、何とか劇画のアイデアを考えろと怒鳴るが、中西は小道具の中から怪人二十面相の衣装を取り出すと、それを碇に着せ、これで町中を散策すればきっと良いアイデアが浮かぶのでは?とごまかす。

その頃、港に車で乗り付けた大神一味は、泥酔した記者の小島(笑福亭鶴光)を車から降ろすと、さらにウィスキーを無理矢理飲まして、水死させようとしていた。

そこに突如、怪人二十面相の格好をした碇が倉庫の屋根に登場、滑車を使い、ロープを滑って地上に降り立つと、地面に落ちていた拳銃を拾い上げ、いきなり大神らに突きつけて来る。

大神組一味は全員怯えて手をあげるが、ひとしきり拳銃を振り回しながら怪人二十面相ごっこをやっていた碇は、そこで何が行われていたかには全く無頓着に、急に一人芝居に飽きたのか、そのままドラム缶の上に拳銃を置いて帰ってしまう。

あっけにとられながらも、ほっとした大神一味は、いよいよ、小島を海に落とそうと抱えるが、そこへ今度はうつろな目をした加藤がやって来たので又邪魔される。

加藤は、一旦、先ほど、碇が降りて来たロープに付いていた綱の輪を見つけると、それに首を突っ込もうとするが途中で諦め、ドラム缶の上に置いてあった拳銃に気づくと、それを一旦、ドラム缶の陰に身を隠していた大神たちに向けるかと思い気や、いきなり自分のこめかみに突きつけて拳銃自殺を計ろうとする。

それでも、引き金を引けなかった加藤は、又、先ほどのロープの輪っかに首を突っ込み首つり自殺をしようとするが、滑車で身体を滑らせ、ロープを繋いである支柱にぶつかっただけだった。

その頃、「ダウンタウン編集室」では、二十面相の格好で戻って来た碇が良いアイデアが浮かばなかったと脱ぎ捨てたので、今度はこれで…と、幽霊の衣装を渡そうとし、そんなものはダメだと拒絶する碇に、窓の外に首つり自殺の遺体がぶら下がっている怪談を話し始める。

それを聞いていた碇は、実際に窓の外に、こちらを向いている首つり遺体のようなものが見えたので、慌ててドアを開けると、首にロープの輪を付け窓の外に立っていた加藤を部屋の中に連れて来る。

もうろうとしていた加藤に水を飲ませるが、一旦気がついた加藤は、碇の顔を見るなり、「あ!ゴリレンジャー!」とおかしな事を言い出す。

正気ではないと気づいた碇と中西は、その後もべらべらと独り言を言う加藤をロッカーの中に入れてしまうが、中から相変わらず、伊勢浜の村にはたくさんの動物さんが住んでいましたと云う童話のような独り言が響いて来た。

その話に興味を持った碇が、まだもうろう状態の加藤を外に出すと、加藤は「動物たちはみんな、ゴリレンジャーを頼りにしていました…」と言いながら、机の上にあった紙に、マンガを描き始める。

それは、ゴリレンジャーの絵らしかったが、一目見て気に入った碇は、さらに、もうろう状態の加藤の前に紙を差し出す。

すると、加藤は、次々とゴリレンジャーの劇画を描き始める。

翌朝、「ダウンタウン編集室」で目を覚ました加藤は、一瞬、自分がどこにいるのか分からない様子。

一方、夕べ、睡眠薬のせいか、もうろう状態の中で加藤が描き上げた劇画の原稿を手にした碇は上機嫌だったが、加藤が目覚めたのに気づくと、その原稿を隠してしまう。

起きて来た加藤は、自分は何で生きているんだろう?と不思議がり、碇に命を助けてもらったと気づくと、急に恐縮して、すっかり迷惑をかけたと謝罪する。

しかし、碇の方は、そんな加藤の出現を渡りに船と喜んでいた為、ずっとここにいてくれて良いと丁重に応対する。

そこに、高井印刷に行かせていた中西から電話が入り、ここの工員がごねていると云う。

替わって電話に出た工員石毛( 鈴木ヒロミツ)は、2000円じゃ合わないと文句を言う。

話が面倒になりそうだったので、印刷所へ出かけようとする碇に、加藤が自分も手伝いをさせてくれと無理に頼み込み、一緒に出かける事になる。

高井印刷所で中西と合流した碇は、加藤にマンガの原稿を見せるなと耳打ちする。

そうして印刷が始まるが、加藤が何を印刷しているのか覗き込もうとしても、中西が妨害して見せないようにする。

その時、母屋から高井がやって来る気配がしたので、慌てた四人は、部屋の電気を消して物陰に隠れる。

加藤は、なぜ隠れるのか?と疑問を口にするが、その口を中西が押さえる。

高井は、作業場に忘れ物をしていたらしく、目的の品物を見つけるとすぐに帰って行く。

ほっとした碇だったが、いつの間にか、加藤がマンガの印刷物を見つけ、しっかりその内容を見ていた。

加藤が描いた「ゴリレンジャー」の劇画が載ったミニコミ紙発行を祝し、伊勢浜商店連合パレードが繰り広げられる。

ミヤコママも、西洋のお姫様の扮装をしてオープンカーの上から愛想を振りまく。

熊田商事や熊田不動産が入った「熊田ビル」に来ていた大神は、社長の熊田卓造(金子信雄)に、あの商店の土地はみんな社長の土地でしょう?さっさとレジャー施設を作っときゃ良かったんだと愚痴をこぼしていた。

一方、熊田の方は、埋め立て地の一件を嗅ぎ付けられた記者の小島を殺してしまった大神のやり方を非難していた。

「ダウンタウン編集室」では、加藤が、勝手に自分が描いたマンガを印刷して商売に利用した碇のやり方に抗議していた。

しかし、中西から、そう言うけど、君はこの碇さんに命を助けてもらったんじゃないか?と言われると、加藤の態度も軟化するしかなかった。

碇は「崖から真っ逆さまに落ちたゴリレンジャー、その下には鮫のジョーズが口を開いて待っていた」と云う、最初の話のラストの続きはどうなるんだとやきもきしている。

やがて「描きましょう!」と決意し、棚にあった赤いスプレー缶で、二話目は「真っ赤な太陽」から始まります…と、描き始めた加藤だったが、すぐに「やっぱりダメだ…」とくじけてしまう。

そこにミヤコママと高井がやって来たので、碇は、加藤を「ゴリレンジャー」の漫画家だと紹介する。

ミヤコママは、今警察に行って来た所で、溺死体で発見されたトップ屋は、やはり大神組の仕業らしいと云う。

ふてくされていた加藤の足をテーブルの下で蹴り、痛がって頭を下げる様子を会釈しているように見せかける碇だったが、ミヤコママが二号目の予算として金を差し出すと、加藤が何か言いだしそうな素振りを見せたので、やむなく中西がトイレに連れて行く振りをして、強引に加藤を部屋の外に連れ出してしまう。

不思議がるミヤコママと高井も、慇懃無礼な態度で追い返して厄介払いをする碇。

すると、ぐったりした加藤を中西が部屋の中に連れて来る。

さっき、ラーメンの中に睡眠薬を入れておいたので、又、夕べのようにマンガを描くようになるかもしれないと云うのだ。

それは妙案と、イスに座らせ様子を見ていたが、加藤はぐっすり寝込んでしまい一向に目を覚ます気配がない。

それで、碇は中西に、クラリネットでヒントになるような曲を吹いてみろと命ずる。

中西がインド風の曲を吹き始めると、急に立ち上がった加藤はコブラのまねをしだす。

別の曲を拭くと、こんどは「ちょっとだけよ」のポーズをとろうとする。

これではらちがあかないと感じた碇は、ショック療法を試してみようと言い出し、洗面器で加藤の頭をぶん殴ると、「夕焼け小焼け」の曲を、自分は玩具のピアノで、中西はクラリネットで吹いてみる。

すると、ムクリと立ち上がった加藤が「週刊新潮は明日発売です」とテレビのコマーシャルみたいな事を言って又眠るのだった。

そんな加藤の懐から、中西が手帳を見つけて碇に差し出したので見ると、何とそこには警官の格好をした加藤の写真が入っているではないか。

サツのスパイだったのか…と呆れた碇は、その手帳に書かれていた住所を元に、めぐみが人形劇をやっていた所に一人でやって来る。

碇から「明るい町作り顧問…」と云う肩書き付き名刺をもらっためぐみは、碇を信用し、加藤と共同生活しているアパート「富士見荘」に案内してやる。

その部屋の中には「真心」「正直」…など「五つの大切」なる言葉が貼られており、広島の中学で教頭をやっている加藤の母親の厳しい言いつけなのだとめぐみは教える。

碇が警官姿の加藤の訳を聞くと、それは、めぐみが撮ってやったものだと云う。

碇は、めぐみと加藤の仲を邪推してからかうが、半年前に引っ越して来て以来の友達に過ぎないとめぐみは否定する。

そこにやって来たのが、警官の志田で、めぐみが碇を「明るい町作り顧問」と紹介すると、感謝しますと敬礼する。

「ゴリレンジャー」は、元々、めぐみが考えた人形劇のストーリーだった事を知った碇は、加藤から無理矢理「ゴリレンジャー」を売り込まれて…などと嘘をつきながら、めぐみを「ダウンタウン編集室」へ連れて行く。

その様子を、物陰に隠れていた加藤は目撃する。

編集室の奥の部屋には、中西が縛られていた。

加藤に逃げられたと云う。

碇は、そんな中西に、「ゴリレンジャー」の本当の作者だとめぐみを紹介する。

そこへ加藤が入って来て、その手に乗っては行けないとめぐみに注意する。

慌てた碇は、加藤を縛り付け、口にガムテープを貼って隣の部屋に連れ込むと、偽警官の写真の事を聞いたぞと脅しつける。

かくして、めぐみがストーリーを話し、加藤が劇画を描くと云う役割分担が決まるが、加藤はなかなかペンを動かそうとせず、めぐみに付き添っている碇の邪魔をしたりする。

悪い大熊に困っていた動物たちの話しをしていためぐみは、ゴリレンジャーに殺してもらいましょうか?と続きをせがむ碇の前で、急に涙ぐむと、表に飛び出す。

碇が後を追い分けを聞くと、大熊が可哀想になったので、ストーリーを変えて良いかとめぐみは言い出す。

力持ちの大熊は、昔は草相撲の横綱でした。

明るく朗らかで、足の悪いきつねを背負ってやった事もありました。

大熊はカレーが大好きでした…

その頃、熊田卓造は、お手伝いのおたみ(浦辺粂子)が作ったカレーを自宅で食べていた。

部屋には、昔、草相撲の横綱時代の熊田の写真も飾られていた。

おたみは、いなくなったお嬢様を御捜しになったらどうか?なくなられた奥様も御心配なさっているはずですと口添えするが、熊田は無視する。

めぐみはすっかり碇を信用してしまったようで、自分の才能も、加藤のように引き出してくれなどと甘えかかる。

その時、中西が碇の事を、つい「親方」と昔の呼び方で呼んでしまったのを聞いためぐみは、自分の父親も、沖仲仕をやっていた頃は「親方」と呼ばれていたので懐かしいと云う。

そこに、高井は電話をもらったので来たとやって来たので、碇が不審がるが、呼び出したのは加藤で、これからは丁寧な仕上がりの印刷でマンガを作りたいと言い出す。

それを聞いた碇は、それでは採算が取れなくなると文句を言うと、足りなかったら自分の原稿料から引いてくれ。残りはめぐみさんに、福祉のお手伝い用に渡してくれと加藤は申し出たので、碇は嫌々ながらも承知するしかなかった。

めぐみと加藤、そして碇と中西たちは、「老人と人形劇を楽しもう会」を催する。

最初は、キャンディーズが「ハートのエースが出て来ない」を歌い、その後で、碇と中西の伴奏で人形が登場すると云う趣向だった。

その間、めぐみと加藤は、老人たちにミニコミ紙「ダウンタウン」を配布していた。

しかし、編集室に戻って来た碇は、不機嫌丸出しで、4時の博多行きの切符を買って来いと中西に命じる。

加藤が戻って来ると、精算書を見てくれ、差し引き5000円の赤字だと文句を言う碇だったが、そこにミヤコママから電話が入り、「ゴリレンジャー」を雑誌に掲載したいと、週刊春秋から連絡があったと聞くと、急に態度が急変する。

浮かれながら部屋を出て行った碇を不思議そうに見送りながら、編集室にやって来た警官の志田は、「ダウンタウン」は現代の瓦版と警察署内でも評判だと褒め、アパートに君宛の手紙が来ていたと加藤に母からの手紙を渡す。

「週刊春秋」の編集室にやって来た碇は、編集長津川(財津一郎)と、契約金の事について話し合う。

20万と聞いた碇はがっかりするが、それは一回の掲載料で、1年分だと1000万だと云うので舞い上がってしまう。

うきうき気分で編集室に帰って来た碇は、すでに切符を買って来たと云う中西に、そんなものはどうでも良い、払い戻して来いと怒鳴るが、頼りの加藤の姿が見えない事に気づく。

碇と中西を連れ、「富士見荘」へやって来ためぐみは、そこに置かれていた加藤の母親からの手紙に気づき中を読むと、明日、上京して来ると書かれているではないか。

これまで嘘をついて来たのがバレそうになって…と碇が加藤の気持を想像していると、案の定、窓の外に、首つりしている加藤の姿があった。

取りあえず、落ち込んでいた加藤を編集室へ連れ戻して来た三人は訳を聞くが、加藤は奥歯にものの挟まったような言い方しかしない。

さらに追求すると、実は自分はめぐみと結婚している事になっており、そのめぐみの父親は学校の校長で、めぐみはすでに妊娠五ヶ月の身重の状態と云う事になっていると云うではないか。

仰天しためぐみだったが、一日だけだったら、芝居をしてやると云いだし、碇たちも協力すると助け舟を出す。

翌日、駅にやって来た加藤の母親敏江(園佳也子)は、「正直」「真心」「礼儀」「無欲」…などと書いたプラカードを手にした女性ひろ子を目にする。

聞けば、加藤のアパートまで案内すると云うではないか。

その頃、「富士見荘」の加藤の部屋の中では、めぐみの父親役になる碇や妊娠中のめぐみたちが、衣装に着替えていた。加藤は既に警官の衣装を着ていた。

人形劇の仲間たちも、部屋の模様替えに懸命だった。

そこに、ひろ子が敏江を連れて来たと報告に来る。

慌てて、仲間たちは退散、残った加藤、めぐみ、碇が敏江を迎え、芝居を始める。

何とか、芝居は上手くいきかけていたが、部屋の中を見回していた敏江が「碇宣伝社」と書かれたチンドン屋の太鼓を発見し不思議がる。

そこにどかどかと、見知らぬ一行が乱入して来る。

それは、週刊春秋の女性記者(塩沢とき)とカメラマン、モデルたちだった。

彼女たちは、加藤を見つけると、グラビア用の写真を撮るので、すぐに着替えてくれと隣の部屋に連れ込む。

出て来た加藤は、ゴリレンジャーの格好をさせられており、その周囲を、動物のかぶり物をかぶり、ビキニ姿のモデルたちが取り囲む。

その様子を見ていた敏江は、どう言う事かと加藤を叱りつける。

取りあえず、記者たちに帰ってもらった碇だったが、この芝居の首謀者が碇と知った敏江から抗議を受けると、逆に、枠にはめようとするあなたの教えが窮屈すぎるから、耐えきれなくなった加藤君は首つり自殺までしたんじゃないですかと反論する。

そこに、事情を知らない中西が、警官の格好をしてやって来て、芝居の続きをしようとしたので、耐えきれなくなった敏江は部屋を飛び出して行く。

その後を追った加藤は、帰る敏江にすがりつき謝るが、むしろ敏江はさばさばとした顔つきで、さっきのゴリラは良いことを言った。世の中には二種類の人間しかいないと思い込んでいた自分の考え方が間違っていたと素直に反省する。

お父さんみたいに、一升貧乏な平警官で終わって欲しくなくて、お前には早く偉くなって欲しかったのだが、お前はもう、一度死んだ身なのだから、これからは自分の好きなように生きなさい。ただし、中途半端はいかんよと言い聞かせるのだった。

富士見荘の方では、今記者が持って来た契約書を読んだめぐみが、自分に無断で雑誌社と契約をした碇たちの行為に怒り、出版社に断りの電話をしようとしていた。

それを止めた碇は、自分と中西は、最初から金目当てで始めた事だと本音を打ち明ける。

めぐみは怒って部屋を飛び出してしまう。

前金の100万でももらって逃げるかと中西と碇が相談している所に戻って来た加藤は、吹っ切れたような顔つきで、これからはがっぽり銭儲けしよう。分け前は7:3でどうかと切り出して来る。

てっきり、7分をもらえると思い込んだ二人は喜ぶが、加藤の方が7分だと云うので呆れてしまう。

その頃、いつものように自宅で一人カレーを食べていた卓造は、いつの間にか戻って来ためぐみがソースを持って、おたみと一緒にいるのに気づく。

卓造は、「1年も、家を空けよって…」と言いながら、「ダウンタウン」に載った大熊の絵を指しながら、「親をなぶりものにしおって、出て行け!」と、気持とは裏腹な言葉を投げつけるのだった。

しかし、めぐみはくじけず、大神と手を切って、商店会の人たちと仲良くしてと願い出る。

週刊春秋の編集部で、津川から500万の小切手を受け取った碇たちは、これから2時のひかりで博多に発とうと話し合いながら編集室に戻って来るが、そこにはミヤコママと商店街の面々が集合しており、熊田から土地の権利を返すと申し出があったと喜んでいるではないか。

めぐみが熊田の娘だった事も教えられる。

その頃、富士見荘に戻って来ためぐみは、大神組の連中の待ち伏せに気づく。

クラブ蝶々で、商店会の祝賀会に参加させられていた碇は、めぐみの姿が見えないと云う高井の報告を聞いて心配するが、ミヤコママたちの上機嫌の前に何も言えなくなってしまう。

卓造も、大神に呼び出され、めぐみが拉致されていた倉庫へ連れて来られる。

クラブで酔っていた加藤は、狼一派は、大熊さんと動物たちが仲良くなるのを嫌って、大熊さんの娘を誘拐する…と劇画の続きを話し合っていたが、だんだん、それが現実に起こっているのではないかと気づきだす。

碇と中西、加藤の三人は、祝賀会をそっと抜け出してタクシーを拾い、駅に向かっていたが、やはりめぐみたちの事が気にかかり、途中でタクシーを富士見荘へと向けさせる。

その頃、ミヤコママは、拉致された卓造から電話を受け、そう急に契約を結びたいので、契約書を誰か一人で倉庫まで持って来てくれと言われる。

富士見荘に戻って来た加藤たちは、人形劇仲間の女の子たちから、さっき大神組の連中の姿を見かけたと聞き、想像が当っていたと知る。

ちょうどそこに、駐在の志田が通りかかったので、大神のアジトを聞く。

倉庫に契約書を持って来たのは高井だった。

すっかり酔っていた高井は、倉庫内に入り、卓造の姿を認めると、喉が渇いたと水道の方へ行く。

そこに、大神組の連中が立っている事に気づいた高井は、契約書を簡単に奪われてしまう。

高井は簀巻きに巻かれ、海に投げ込まれそうになるが、その時、大神たちは、倉庫の上に立っている奇妙な格好の男に気づく。

碇が変装した「ゴリレンジャー」、そして、加藤が扮装した「ゴリレンジャー2」だった。

大神たちがその姿に目を奪われている隙に、志田がクレーンを操って、高井の簀巻きを他の場所に移動させる。

さらに、中西が扮装した「ゴリレンジャー3」まで登場したので、大神たちは、拉致していた卓造とめぐみを連れて、倉庫街から脱出しようとする。

すると、志田が拳銃をかまえて前に立ちふさがる。

大神たちは、車で逃走し始める。

それを見たゴリレンジャーこと碇は、近くにあったポンコツ車を改造して追いかけようと提案し、近くで恋人が乗っていた車や、たまたま通りかかった車の部品を勝手に取り去り、それを付けたポンコツ車に乗って追跡を始める。

大神たちは、人質を連れ、倉庫街の屋根の上に逃げ込んでいたが、それをゴリレンジャーたちも追跡して来る。

ゴリレンジャー2こと加藤と、ゴリレンジャー3こと中西は、電線に触れ感電するが、そのおかげか帯電体質になり、大神組の連中一人一人を、握手して感電させながら、下へ落として行く。

その様子を、電柱に登っていた工事人(すわかんじ)が見て、甲高い声で笑う。

大神組の連中を全員下に落としたので、喜んだゴリレンジャーこと碇やめぐみは喜んで手をつなぎあうが、その途端、全員感電して下に落ちてしまう。

倉庫の中に落ちた一行は、段ボールをかぶって逃げていた大神組の連中に、白い粉をかぶせて攻撃をする。

真っ白になった大神組の連中は、外に逃げ出すが、そこに警察のパトカーや機動隊が集結して来たので、慌てて、倉庫街を逃げ回る。

白くなった外見を利用し、白い扉の所で身を隠したり、ドラム缶の列の中に潜り込んだりするが、結局全員発見され、逮捕されてしまう。

志田は、やって来た刑事に、この方達のおかげで逮捕出来ましたと、ゴリレンジャーの三人を紹介する。

ゴリレンジャー三人は、得意そうにポーズを決めるが、その拍子に後ろに積んであった段ボールが落っこちて来る。

20年後

広島の中学校の校長になっていた敏江が、正月早々、学校の校庭に日の丸を揚げていると、そこにやって来た郵便屋(立原博)が年賀状を手渡す。

その中には、息子ヒデオのものもあり、今年から教育事業を始めると記してあった。

塾の事務局長になっていた碇の元に集まった、加藤、中西、高井、志田らが、あんたの息子の給料が200万円と法外なので、すっかり赤字経営になっていると文句を言っていた。

しかし、碇は、自分の息子長一郎はハワイ帰りのエリートなので、そのくらいの報酬は当たり前だ。むしろ、お前たちの息子たちが頭が悪すぎるのだと反論する。

その塾の教室では、加藤たちそっくりの子供太郎(加藤茶-二役)が机を並べていた。

そこに入って来たアフロヘアの碇長一郎(いかりや長介-二役)が、英語の授業を始めだす。

めぐみそっくりの娘も交えた子供たちは、「英語の歌」を歌い始めるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「男はつらいよ 葛飾立志篇」の併映作であり、ドリフターズ主演の「全員集合シリーズ」、そして松竹ドリフ映画最後の作品。

志村けんの出演場面が若干多くなっている印象はあるが、基本的には、従来通り、いかりや長介と加藤茶中心のドラマになっている。

当時流行っていた「ゴレンジャー」や「ミニコミ紙」などを取り入れているが、全体的に感覚が古く、笑いどころもほとんどない。

改めて、当時のテレビの「全員集合!」などの方が、はるかに大掛かりな仕掛けやアイデアを絞っていたのだと云う事が分かるくらい。

チンドン屋が主役とか、チャップリン風の格好をした伊東四朗扮する大神とか、怪人二十面相に扮するいかりや長介などのアイデアなども、いかにも時代錯誤。

添え物映画の宿命とは言え、予算がない事が如実に画面に出てしまっているのがつらい。

後半の早回しになるドタバタ劇のシーンも凡庸だが、電線に触れ、帯電体質になるゴリレンジャーと言うアイデアは「キングコング対ゴジラ」のアイデアから思いついたのだろうか?

見所と云えば、ゲスト的にキャンディーズが登場する所と、石森プロの漫画家が描く本当のマンガのスケッチやキャラクターくらい。

ゴリレンジャーのイメージは、色使いなど、どことなく初代「仮面ライダー」に似ているのが興味深い。

身体は仮面ライダー風のコスチュームで、それに「ゴレンジャー」風のマントを着ている印象である。

松竹のドリフ映画は、ナベプロ先輩格の「東宝クレージー映画」などとは違い、全体的に「添え物映画」以上のものではなく、映画としての面白さが十分出ているとは言いがたい気がするが、最終作である本作は、特に「シリーズ最終作にふさわしいと云うか、終わって当然」みたいな力のなさを感じる。