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金田一耕助の冒険

1979年、角川春樹事務所、横溝正史原作、斎藤耕一+中野顕彰脚本、大林宣彦監督作品。

※この作品はミステリであり、後半に謎解きがありますが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

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列車に乗って旅する金田一耕助(古谷一行)は、通路を挟んだ反対側の席に座る女性(檀ふみ)がやっているクロスワードパズルが気になって仕方がない。

やがて、備前一宮駅に到着すると、女性がその本を閉じて降りようとするので、思わず金田一は、そのクロスワードパズルを最後まで完成させませんか、私は答えを知っていますと声をかける。

女性はさほど興味なさそうだったが、一応本を開き直したので、金田一は「インディアンライラック、さるすべりです」と、得意げに答えを教える。

女性は感心し名前を聞いて来たので、金田一が名乗ると、「ああ、あの有名な…」と女性は驚き、「言語学者の!」と続けたので、一瞬喜びかけた金田一は白けてしまい、「取るに足らぬ男です…」と自嘲する。

タイトル

東京に戻って来た金田一を待ち受けていたのは、派手な黄色のRX7にタキシード姿で決めた等々力警部(田中邦衛)だった。

二人はそのままスタジオに移動、スチール撮影のモデルになるが、マグネシウムを焚きすぎたのか、危うく黒こげになりそうになる。

その仕事の後、等々力は今、泥棒騒ぎで忙しいのだと金田一に打ち明ける。

3月18日、東京、中央署では、夕日に向かって吠える角刈りにサングラス姿の刑事で溢れていた。

そんな状況を嘆きながら戻って来た等々力は、リムジンを盗まれたと云う電話を受ける。

さっそく、町に出た刑事たちが、停まっていたリムジンの後部座席で接吻中のカップルに声をかけると、その花婿の方はドラキュラ(岸田森)だった。

中央署でビールを飲んでいた等々力は、金田一のために、何かゴミ箱をあさって、怨念絡みの未解決事件でも与えてやれと部下にわめいていた。

しかし金田一は、ホルマリン付けになった三本指の片腕を見つけ、嬉しそうになる。

しかし、それは単なる石膏像だったので、呆れた等々力は、あんたが頭をかいて解決した事件が一つでもあるかと皮肉る。

さらにその石膏像は、南米の航空会社の飛行機が房総沖に墜落した時の残留物で、乗務員が6名死んだが、あくまでも事故であって殺人事件ではないので、あんたはアメリカへでも行って休んだらどうかと助言する。

金田一は、美しい日本も美しい事件もどんどんなくなってしまった…、又アメリカに行ってみようかな…などと嘆きながら「病院坂」を歩いていた。

すると、突然、顔に化粧をし、ローラースケートを履いた若者の一団が坂道を降りて来て、金田一を掴まえると、自分もローラースケートくらい出来ると言う金田一にローラー付きの下駄を無理矢理履かせると、一緒に町に繰り出す。

彼らローラー軍団が通り過ぎた映画のセットでは、次々に服をはぎ取られて行く役者やスタッフが続出する。

ローラー軍団のアジトまで付いて来た金田一は、君たちは今評判の美術窃盗団だろうと言い当てる。

すると、仮面をかぶっていたリーダー格の娘マリア(熊谷美由紀)が顔を表し、名探偵と言っても、一つだけ解決していない事件があるじゃないかと「金田一耕助の冒険」の中の「瞳の中の女」と云う作品がある事を指摘する。

部屋に映し出されている映像は、片岡千恵蔵版の「金田一映画」の一部だった。

マリアは、一個の石膏像の頭部を金田一に見せる。

それは、まさしく、金田一が見覚えがある「不二子像」だった。

さらに、マリアが上映してみせた20年前の映画では、一人の男(峰岸徹)が頭部を殴られ死亡する事件に等々力警部(三橋達矢)と共に遭遇した11代目金田一耕助(三船敏郎)が、薄くなった頭をかくシーンが映ったので、金田一は笑い転げる。

マリアは金田一に、この事件を解決して欲しいと依頼する。

そこに、等々力を始め、警察が乗り込んで来たので、窃盗団グループはあっという間に姿をくらませてしまい、部屋に残っていたのは金田一だけだった。

東京、中央署

等々力警部は、いつまでも金田一でもなかろうと、金田一を見限るような言葉を吐いていた。

一方、その金田一は、風呂敷に包んだ不二子像の頭部を持って床屋(小島三児)でひげを剃っていたが、そこに突然現れた高木彬光が、「金田一耕助の推理は間違いだらけ」と云う本が最近売れているそうですなと皮肉を言う。

その時、テーブルの上に置いておいたふろしき包みが盗まれたので、驚いて振り向いた金田一は、鼻を床屋が持っていたカミソリで切ってしまう。

その後、マリアから電話を受けた金田一は、又君が盗ったのかと疑うが、マリアは盗ってないと言う。

その後、ファンからもらったR2-D2の玩具の中から出て来たのは「金田一耕助の冒険」の文庫本だった。

都電で古垣和哉邸に金田一と向かっていた等々力警部は、刑事が情熱を持って事件を解決したのは昭和の初期までだと独白していた。

その屋敷は古風な洋館で、それを見た金田一も等々力も、何だか事件が起きそうな雰囲気だと喜ぶ。

庭で水をまいていた女中のたね(樹木希林)は、二人に気づくと、庭ばさみをチョキチョキ言わせながら近づいて来る。

金田一が、最近お宅で盗難事件はなかったかと聞くが、たねはないと言う。

地下室に灰田先生の石膏像がないかと聞くとあると云うので、付いて行くと、石膏像の首だけがなくなっていた。

美術商の明智小十郎(東千代之介)は、モーテルで愛人の綾香(小川亜佐美)と一緒にいた所に電話を受け、自分の美術店に戻る。

そこに、萬古物商の石田五右衛門(坂上二郎)が、不二子像を持ち込んで来たので喜んで「夢じゃ、夢じゃ、夢でござる店」と「柳生一族の陰謀」のまねをする。

その頃、金田一事務所の近くにある銭湯に等々力と一緒に入り、事務所に戻って来た金田一は、近々、緑が丘にある緑が丘荘に引っ越そうかと思っているなどと世間話をしていたが、そこにマリアから電話が入ったので、等々力には無断で待ち合わせの場所である富士急アイランドに向かう。

しかし、勘の良い等々力が付いて来てしまったので、彼を回転ハウスに誘い込み、マリアはその隙に、明智美術店の地図を金田一に渡すのだった。

マリアと別れた金田一は、等々力のRX7に乗せてもらい東京に舞い戻る。

明智美術店に向かった金田一と等々力は、「首の事で話がある」と、応対した店員に伝えるが、勤続15年と言うその店員は、自分が首になるはずがないと勘違いする。

そこに出て来たのが、秘書の高木(草野大悟)で、小十郎は不在で、妻の文江(吉田日出子)になら連絡が取れると云うので呼んでもらう事にする。

文江は、コーラス隊と一緒に楽しく唄を歌っていた所に電話を受けたので不機嫌だったが、有名な金田一が会いたがっていると聞くと、スーパーマンションの方で会うと伝える。

そのスーパーマンションで3時間も待たされた金田一と等々力は、ようやく美容院から戻って来た文江を会う事が出来る。

文江は、金田一の側に寄ると愛想を振りまきコーヒーを勧める。

金田一も悪のりして、文江の胸を指先で弾くまねをする。

隣りの部屋へ向かうドアを等々力が開けると、そこから、頭に斧が突き刺さった女の死体が転がり出て来る。

その死体は主人の妾の綾香で、私が殺したのだと文江は平然と言うので、等々力は呆れて先に帰ってしまう。

3付き29日、東京中央署

綾香の旦那である明智小十郎にはアリバイがある事が分かったので、文江が収監される事になるが、文江は嬉しそうに食事をしていた。

金田一は、小十郎に、不二子像の首を綾香に預けたのですねと聞いてみるが、小十郎は何も知らないと高笑いするだけだった。

八甲商事にやって来た女は、「狼は生きろ、ブスは死ね」と電話に怒鳴っていた隈田光一(夏八木勲)に不二子像の在処を聞くと、金庫を開け始める。

するとそこに突然、コレラが発生したと言いながら、保健所の人間らしき三人組が乱入して来る。

隈田光一は、さらにやって来たサラ金大王に焼き殺される。

そのサラ金大王から金庫を盗んで来た美術品窃盗団だったが、金庫の中に入ってたのは、隈田光一の首だった。

4月1日、東京中央署

金田一は、窃盗団が良く利用するクラブを嗅ぎ付けそこにいたマリアと会うと、不二子像はどうしたと聞くが、マリアはすまして、今度殺される人の所にあると答える。

マリアと踊っていた金田一の姿を見つけたスチールカメラマンは、その姿を撮影する。

事務所に戻った金田一の元にやって来た高木は、サラ金大王から持って来たと不二子像を差出し、自分が殺したと自白した後、又、不二子像を持って逃亡してしまう。

4月4日 東京中央署から、証拠不十分で文江が釈放される。

その後、八つ墓村で高木が首を切断され殺されると云う事件が発生する。

その頃、テレビに出演していた進行美術協会会長古垣和哉(仲谷昇)に会いに出かけた金田一は、最近脅迫を受けていませんかと聞くが、古垣は知らないと言う。

古垣とは、灰田克彦の弟子同士で「三羽烏」と言われていた片桐五郎と森友吉の消息に付いても聞いてみる。

金田一は、かつて片桐と密通していた、灰田の妻不二子は、湖に身を投げて死んだが、その二人の関係を灰田に告げ口をしたのが古垣だったと指摘する。

古垣は、森は老人ホームにいるらしいと答える。

その老人ホームでは、文江率いるコーラス隊が唄を披露していた。

歌い終わった文江は車に戻ろうとして、後部トランクから出て来た金田一と対面する。

再会を喜んだ文江は、金田一をみんなに紹介したいと、又老人ホームに戻る。

シャーロック・ホームズファンの老人(大泉滉)や、昔「HORSE ホース」と云う映画を撮っていた映画監督など紹介された後、金田一は、粘土をこねている老人を紹介される。

その頃、古垣は、自分の所に来た大量の脅迫状を焼いていた。

たねは、警察に届けた方が良くはないかと心配するが、古垣は無視する。

古垣は、部屋の外を通る白い人影を見ると怯え、地下室に降りて行く。

その後、等々力警部は、首がない石膏像が逆さまに埋められている現場に到着し、美術品窃盗団の少年一人を逮捕していた。

4月9日 東京中央署

工事のせいか、署内は雨が降っていた。

等々力警部は、傘を畳んで署内にあった街灯に飛びつくと「お楽しみはこれからだ!」と叫ぶ。

海辺にある石田五右衛門の家に事情聴取に出かけた等々力らだったが、石田とその大勢の子供たちは、「この子たちは私の命だ!」などと叫び、突然振って来た吹雪の中、「聖職の碑」や「八甲田山」ごっこを始める。

その後、マリアは金田一に接触してくるが、その金田一は、化けていた等々力警部だったので、その場で手錠をかけられてしまう。

クラブにやって来た金田一は、自分と同じ格好をしてマリアを尋問している等々力警部に「12代目ですか?」と愉快がり、連中を掴まえるより、もっと泳がせましょう。自分に窃盗団の本当の首領の心当たりがあるのだと耳打ちする。

金田一と等々力は、その場で「サタデー・ナイト・フィーバー」のトラボルタを気取って踊り始める。

文江は、石田五右衛門から電話を受けるが、主人はいないと答え電話を切るが、その直後、今度は金田一から電話を受けたので上機嫌になる。

金田一とほぼ同時間に、明智邸にやって来た石田は、チャイムを鳴らしてみるが誰も出て来ないので不思議がり、玄関ドアを開けると、そこに切腹衣装で首が落ちた明智小十郎の姿を発見する。

主人の棺の前で泣く文江を見ながら、金田一は、連続殺人のつじつま合わせをするのが生き甲斐だと、等々力警部に言い放っていた。

その夜、金田一は、とある団地の部屋に忍び込み、ここに開かずの間があるでしょうと?あなた方の血は汚れているなどと、その部屋の住人に聞いている夢を見る。

その部屋に住む夫婦()は、共にO型だが、子供はB型だと言っている。

翌日、老人ホームを再び訪れた金田一は、粘土で頭部をこしらえていた老人に、「森友吉さんですね?片桐さんについて話してくれ」と語りかける。

老人は、片桐は不二子さんを愛してしまったが、古垣はそれを灰田先生に告げ口し、先生の死期を早めただけではなく、新興美術協会そのものも手中に収めてしまった。

灰田先生は、不二子さんが入水自殺した後。不二子像を造り、毎晩、その像に口づけをしていたと話す。

その頃、その古垣は、地下室で、石膏像に口づけをする灰田勝彦の姿を目撃し、恐怖のあまり逃げ出す途中、壁にぶつかりペッチャンコになっていた。

その死を知って駆けつけた等々力警部に、書生(南州太郎)は、古垣先生は最近ノイローゼ状態だったと告げる。

一方、港周辺を疾走していた美術品窃盗団グループは、次々と、不二子像を見つけアジトに持ち込んでいたが、同じ像がいくつもある事を知り呆然としていた。

その後、窃盗団グループは、古垣邸にやって来ると、屋敷ごと盗んでしまう。

老人ホームに三たびやって来た金田一は、老人を別の棟に車いすで連れて行くと、そこに古垣邸がそっくり再現されており、あろう事か、死んだはずの古垣本人が座って待っていた。

その姿を見た老人は車いすから立ち上がると、古垣につかみ掛かり、お前のせいで人生がめちゃめちゃになったと責め始める。

古垣が、自業自得だ!と反論すると、わしには不二子の愛さえあれば良かった…と老人は口走る。

それを聞いた古垣が、不二子像の唇にヒ素を塗って先生の命を縮めてしまったと言い出したので、老人が驚くと、目の前にいたはずの古垣は変装を解き、金田一の姿に戻る。

あなたが変装した灰田の姿に驚いてショックを受けた古垣は、今朝方死んだと金田一が告げ、老人に「片桐五郎さん!」と呼びかける。

あなたが口づけしていたのが作りかけの不二子像だったのですね。

あなたは灰田先生の才能に嫉妬して、不二子さんを奪った。

しかし、皮肉な事に、灰田先生は、不二子さんを失った事で「不二子像」と云う傑作をものにしてしまった。

あなたは海外へ逃亡をし、不二子さんは「湖に君は身を投げた~♪」と金田一は、テンプターズの「エメラルドの伝説」を歌い始める。

その時、片桐老人がトラックで逃げ出したので、等々力たちはパトカーで、その後を、美術品窃盗団と金田一がローラースケートで追いかける。

トラックを海岸に追いつめた窃盗団たちは、荷台を開けてみて驚く。

中に入っていたのは、自分たちがこれまで盗んで来た窃盗品ばかりだったからだ。

その盗品の奥から姿を表したのが文江だった。

遅れてトラックに追いついて来た金田一は、奥さんが美術窃盗団の首領ですと指摘し、等々力に連れていかける文江に向かって「不二子さん」と呼びかける。

振り向いた文江の頭から麦わら帽子が風に飛ばされ、谷底に落ちて行く。

「♪ママ~ドゥユウリメンバ~♪」のメロディがかかり、文江は「先生、今、何とお呼びになりました?」と聞き返す。

谷底に落ちた麦わら帽子は、下のテーブルでカレーを食べていた女優岡田茉莉子の頭に乗り、岡田茉莉子は「古い事は忘れましょう」と呟く。

金田一は説明を始める。

自殺に失敗したあなたは、明智小十郎夫人となり、片桐の帰国を待っていた。

しかし、帰って来た片桐はすっかり人が変わり、厭世家に成り果てていたので、老人ホームに入れ、あなたはなじり続け、不二子像そっくりの像を何個も造らせていたのでしょう。

片桐にとって、その行為は、自分の貧しい才能に向き合わされる拷問のような毎日だったはず。

それを聞いていた文江こと不二子は、片桐が愛してたのは私ではなく芸術だったので、私は全ての芸術に復讐する事にしたのと答える。

金田一はさらに、その場にいた老人ホームの園長(山本麟一)に「森さん」と呼びかけ、「あなたは、不二子さんと、不二子像を共に奪おうとした」と突きつける。

「面白きなき世を面白く…」と呟いていた文江は、「私の帽子、どこへ行ってしまったんでしょうね?」と続ける。

横溝正史(本人)宅を訪れた角川春樹(本人)は、原作料5億をトランクで持ち込み札束を見せるが、「中身は薄いね」と皮肉った横溝正史は「私はこんな映画に出たくはなかった」と悔やむ。

事件が落着した後、又、スタジオでスチール撮りをするため来ていた金田一と等々力に、撮影の準備をするスタッフたちは、本物の首はどうなった?などと事件が未解決だと云う事を口々に話し合っていた。

そうしたあからさまな批判を耳にしていた金田一は、安楽椅子に座り直すと、大体、1から10まできっちり収まる所に収まる事件などない。必ず矛盾が残ると、誰に向かってでもなく言い訳を始める。

家長制度や血が絡んで来る事件と云うのは、日本の貧しさなんですよ。

探偵は一つの事件に憤りを持ってはいけない。

一つの事件が次の事件を誘発する、そう云う連鎖が楽しいのであり、むやみに犯行を止めてはいけない。温かく見守ってやるべきです。犯罪は成長しますからね。

日本の犯罪は、過去の魑魅魍魎を払いのける殺人なんです。

世界中で私だけですよ。他人の気持を思いやる探偵なんて…。

私は満足出来ないですからね。等々力さん,私はあなたを犯人に仕立てますよ。

そうぼやきながら、撮影ポジションに戻った金田一だったが、マグネシウムを焚いた直後、金田一の姿はスタジオから消える。

石田五右衛門の子供たちは、海岸で不二子像に石を投げつけて遊んでいた。

その近くの砂浜では、金田一が、風鈴や釣り鐘、日本刀などを、片桐五郎の死体の側に飾り付けていた。

等々力は、RX7で海岸に向かっていた。

連れの刑事は、あなた、何もかも知っていたんじゃないでしょうね?と等々力に聞いて来るが、それには答えず、車を降り立った等々力は、片桐の遺体をのこぎりで切断している金田一に向かい、銃を向けると発砲するのだった。

それと同時に、写真用のマグネシウムも焚かれる。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

一応、横溝正史の「瞳の中の女」が原作であるが、内容は、パロディ満載のハチャメチャ劇になっている。

当時流行っていた映画やテレビコマーシャルネタなどが多いので、当時の時代背景を知らない世代が観ると、何が何だか分からないのではないだろうか?

ストーリーを書こうと思っても、なかなか脈絡が繋がりにくく、書いている本人も良く分からないくらいだからだ。

ゲスト出演も多岐に渡り、かなり慎重に見ていないとつい見落としてしまうくらい。

東映配給作品だけに、東映にゆかりの深いパロディネタが多いのも特長。

「片岡千恵蔵版金田一耕助」や「人間の証明」「蘇る金狼」「白昼の死角」など東映配給の角川映画など、今観ると、懐かしさを感じるものばかり。

他にもや「スーパーマン」「スター・ウォーズ」など、洋画のヒット作パロディも出て来るし、大林監督自身の「HOUSE ハウス」や「瞳の中の訪問者」ネタなども混じっている。

コーヒー「マキシム」のCFや、岡田茉莉子が食べる「ハウスデリッシュカレー」など、大林演出CFも、当時を知らないとピンと来ない部分だろう。

お遊び要素満載ながら、作品として思い白いかどうかは、今観ても疑問が残る。