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2010年、アメリカ映画、アーネスト・クライン+アダム・F・ゴールドバーグ脚本、カイル・ニューマン監督作品。

※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ちょっと前、そう遠くない銀河系で…

「スター・ウォーズ」初期三部作が終わった後、スター・ウォーズファンは、15年間、雌伏の時期を過ごしていた。

そこに、「エピソード1」が公開されると云う噂が流れる。

ファンたちの期待は、嫌が応にも高まらずにはいられなかった…

この文章は、i phoneで送信した…(…と、「スター・ウォーズ」の冒頭のテロップと同じスタイルで流れる)

宇宙空間からカメラが下にパンダウンして行くと、夜空からアメリカのバンガロー風一軒家に。

1998年

地元大学の同窓会が3年振りに行われていた。

そこに、ダース・ベイダーとストーム・トゥルーパーのコスプレで乱入して来たのは、ライナス(クリス・マークエット)、ハッチ(ダン・フォグラー)、ウィンドウズ(ジェイ・バルチェル)のオタクトリオ。

同じ会場で、エリック(サム・ハンティントン)は、タンポンをピカソの「青の時代」のイメージであしらったと云う奇抜なファッションの女性ゾーイ(クリスティン・ベル)に挨拶する。

大学時代は、エリックもオタク仲間で、将来はコミック作家になることを誓い合っていたものだが、今は、父親の経営する中古車店で、まじめなセールスマンとして働いていた。

外では、相変わらず、ライナス、ハッチ、ウィンドウズらが、スター・ウォーズオタクらしい討論をし合っていた。

そんなライナスたちと顔を合わせたエリック・ボトラー(サム・ハティントン)は、1年振り?と話しかけるが、3年振りだよと答えたライナスの表情は冷たかった。

最近、自分たちオタク仲間と距離を置いてしまったエリックのことを、三人は快く思っていなかったのだ。

ウィンドウズは、今、コミック店で働いていおり、ハッチは車の修理、ライナスはピザの宅配をやっていると云う。

そんな会話の中、突然、ダース・ベイダーのコスプレをしていたウィンドウズが、パソコンはないかと部屋の中を捜し始める。

いつも連絡を取り合っているログ・リーダーとコンタクトを取る時間なのだと言う。

何でも、そのログ・リーダーは、ものすごく「スター・ウォーズ」に詳しい女性で、ルーカスのスカイウォーカー・ランチに入る方法も知っているらしいのだと云う。

それを横で聞いているオタクトリオは、スカイウォーカーランチに侵入して、完成しているはずの「エピソード1」を盗み出せるのではと目論んでいたのだ。

とても、公開日までの半年間も待てないと云う。

さすがに、横で聞いていたゾーイも、スカイウォーカーランチのあるカリフォルニア州マリンカウンティは、ここから3200kmも離れているのよ…と呆れてしまう。

エリックには、もはや付いて行けない感覚だった。

オタクトリオたちも、そんなエリックを「裏切り者」として、今では敬遠していた。

エリックは、いつもの「ボトラーズ・モーターズ」での仕事に戻っていた。

そんなエリックを迎えに来たと云う二人がいた。

ハッチとウィンドウズだった。

二人はエリックに、ライナスは実は末期がんで、余命は3、4ヶ月しかないんだと唐突に打ち明ける。

にわかには信じられないエリックだったが、ライナスとは小学生時代からの旧友だったのに、ここ数年、疎遠になっていた引け目もあり、何とか旧交を温めることが出来ないものかと心にわだかまりがあった彼にとっては、ショックだった。

ライナスは今家にいるのでお前も来い。ただし、彼の病気のことは一切触れるなと誘われると、嫌とは言えなかった。

ライナスは、家のベッドに寝ていた。

しかし、訪ねて来たエリックに良い顔はしなかった。

かねてより、エリックがコミック作家としてデビューすると云う夢を捨てたからだ。

一旦店に帰ったエリックだったが、ある日父親から呼ばれると、この店をお前に譲ると突然、言い渡され、いつも父親がトレードマークとしてかぶっていたテンガロンハットを譲ってくれる。

シアトルまでに15店舗作ると、将来の夢を語って聞かせる父親は、火曜日には必ず日焼けサロンに行けと家訓を言い渡す。

ウィンドウズが働いているコミック書店「壁の穴」に来ていたハッチは、隣でコミックブックを捜していた女性に「服を脱げ」と言葉に出して念じ続けるが、フォースは効かなかった。

一方、ウィンドウズは、入って来た男性客二人が、ショーケースの中に置いてあったフェイザー中を見せてくれと云うと、売り物ではないと断る。

では、何の為においてあるのかと客が反論すると、お前たちトレッキーを見分ける為だと云うので、二人のトレッキーは呆れて帰ってしまう。

エリックは、コツコツ、コミックを書き貯めるようになる。

後日エリックは、自分が書き貯めていたコミック原稿と、スカイ・ウォーカーランチの平面図解をライナスに見せる。

自分も、スカイウォーカーランチに侵入する計画に参加したいと云う意思表示だった。

エリックは、ログ・リーダーとやらにコネがあるんだろう?と確認するが、ハッチは会ったこもないとにべもない。

どこまで真剣なのか、理解しかねる連中だった。

ライナスは、エリックの作った図解を気に入り、スカイウォーカーランチへ侵入計画に参加することは許すが、仲直りはしないぞと釘を刺す。

かくして、かつてのスター・ウォーズオタク4人は、ハッチのオンボロライトバンに乗って、カリフォルニアを目指す旅に出発することになる。

ハッチの車の中は、アイオワ州リヴァーサイドに到着する。

テキサスへ向かっていたはずなのに?と他のメンバーは不思議がるが、ハッチは愉快そうに「トレッキーを潰せ!」と叫ぶ。

そう、ここは、スター・ウォーズオタクたちの天敵である「スター・トレック」カーク船長の生誕の地として有名な所だったのだ。

案の定、アホなトレッキーたちが、カーンの像の前に集まっていた。

カーンの下手な物真似をしている奴が、そのグループのリーダーらしかった。

ハッチたちは、トレッキーを装い、そのグループの中に紛れ込むと、「童貞で死ねをクリンゴン後で言うと?」「ピカードはゲイだよね?」とか、トレッキーをからかう質問をし出す。

最初は、まじめに(?)答えていたリーダーだったが、どうやら、目の前にいるのが、スター・ウォーズマニアだと分かると「ハン・ソロはホモだ!」と逆襲に転じる。

それを聞いたハッチは烈火の如く怒りだし、両グループはつかみ合いの喧嘩になりそうな気配。

一人、ライトバンの中で待っていたエリックは、ハン・ソロのミレニアム・ファルコンが救援に来たかのように、グループたちの中に車を乗り入れると、三人の仲間を乗せ、その場を離れようとする。

「ドロイドを殺せ!」と叫ぶリーダーの言葉に従い、ライトバンに飛びかかって来るトレッキーたち。

しかし「ハン・ソロはホモだ!」と再びリーダーが言った言葉を聞いたエリックは、ライトバンをバックすると、カーン像を破壊して逃げ去る。

トレッキーリーダーは、転がったカーンの首を拾い上げると「カ〜〜〜ン!」と叫び続ける。

テキサスへ向かっていたハッチのバンは、突然パンクをしてしまう。

タイヤ交換をしようにも、スペアタイヤを、侵入用のフックを乗せるために置いて来てしまったと云うので、どうしようもなかった。

しかたなくとぼとぼと歩き始めた四人は、灯りが点いた一軒のバーを見つけたので、そこに入り込む。

見知らぬ店に警戒した彼らは、精一杯見栄を張り、近くで車がパンクしたのだが、修理出来る人物はいないかと聞くが、バーテンは即座にいないと答える。

さらに水を頼むと、バーテンは自分で水を飲んでみせて100ドルを要求して来る。

完全に嘗められていると感じたハッチは、自分は、ムショではお前よりでかい奴のカマを掘ってやったんだぞと凄んでみせるが、それを聞いた他の三人は、この店ではヤバいとハッチを止める。

落ち着いて「マンティーナ」の店内を見回すと、そこは明らかに「ホモバー」だった。

屈強のハード芸風の客たちに脅された四人は、その場でストリップを演じさせられる事になる。

やけになったハッチは、ブリーフまで脱ぎ捨て全裸になるが、彼の抗がんが一つしかない事に気づいた客たちは、瞬時に引いてしまう。

ハッチは、子供の頃、ライトセーバーごっこをやった時、睾丸の一つを失っていたのだった。

すっかり白けて意気消沈した四人だったが、そんな彼らに、一人の大男が「タイヤはチーフが直してくれる」と声をかけて来る。

すっかり嬉しくなった四人は、その大男と共に車の所まで来ると、大男が勧めてくれたワカモレ(メキシコ料理のサルサの一種)の入ったサンドウィッチを食べる。

しかし、そのワカモレには、何か麻薬が入っていたらしく、四人は目の前にイウォークが見えたり幻覚を見始める。

エリックは、父親をダース・ベイダーと混合した夢を見る。

いつの間にか全員、車の側で寝ており、目覚めると朝だった。

ライトバンは、大男のおかげでパンクが直っていた。

「あんたが、チーフだったのか?」と聞くが、大男は答えようとしない。

大男の親切に感謝して車に乗り込む四人だったが、大男は、土産として、夕べの残りのワカモレ入りサンドイッチを渡してくれる。

一路テキサスに向かう彼らの車は、途中、女の子二人乗りのオープンカーと並走する形になったので、ウィンドウズが助手席から「おっぱい見せて!」と書いた紙を出してみせると、相手の助手席に乗った女の子は、言う事を聞くと見せかけて、中指を立てて来る。

車の四人は、ハリソン・フォードの偉業を讃えていた。

彼の出演作に駄作なしと云うのが共通認識だった。

そんな彼らのライトバンは「6デイズ7ナイツ」の映画看板の横を通り過ぎていた。

ウィンドウズは、メガネを外し、精一杯めかしこんだつもりのシャツを着て、初めて会うログ・リーダーのいる「ジャバ・ザ・ハット」と言う店に入る。

ところが、そのログ・リーダーとは、まだ10歳の女の子だった。

慌てて店を飛び出して来たウィンドウズだったが、そんなウィンドウズに近づいて来た大男がいた。

その大男は、ウィンドウズの胸ぐらを掴むと、二度と姪にメールを送るなと脅しつけて来る。

どうやら、ログ・リーダーのおじさんらしかったので、何とか自分たちを助けてくれと四人は頼む。

そのおじさんは、四人が本当にスター・ウォーズマニアなのかどうか、色々難問を出して試して来る。

最後に捕まったエリックは、「チューバッカの生まれた星の名前は?」と云う何問中の難問を突きつけられてしまうが、苦し紛れに「キャシーク星だ!」と答えたら、当ってしまった。

ログ・リーダーのおじさんは、「べガスであの人に会える。合い言葉はオタンコナスだ」と教えてくれる。

安心して、ラスベガスに向かった四人だったが、途中、パトカーに停止を求められる。

エリックは、すぐさま指示に従え、車を停めろとハッチに言ってみたが、彼らは大男からもらった麻薬入りのサンドイッチを所有していたので、停まれない。

ライナスは、赤いボタンを押せとハッチに命じる。

そのボタンは、出発する時、ハッチが絶対触るなと他のメンバーたちに釘を押していた謎のボタンだった。

ハッチはそのボタンを押すが、何事も起こらない。

故障か?と頭に来たハッチが頭突きを食らわすと、ライトバンの上に飾ってあったR2-D2人形の後部から、突然バーナーが吹き出し、ライトバンはワープしたミレニアム・ファルコンのように猛スピードでパトカーを振り切る。

しかし、運転も操縦不能になり、そのまま迫って来た巨大看板を避けきれず、突っ込んでしまう。

その看板は大きなダース・ベイダーの写真に「フォースに突入しよう!」と書かれた、警察への勧誘看板だった。

あえなく捕まった彼らは、牢にぶち込まれ、翌朝、警官からはハムチーズサンドの朝食を憎々しげに投げつけられる。

その直後、便意を催したハッチは、そのハムチーズサンドを全部寄越せと言い出す。

牢の中にあるトイレの便座が不潔で、直接尻を載せられないと、ハムやチーズを便座の上に並べ始めたのだ。

その時、警官がやって来て、面会人が来たと知らせる。

面会人とはゾーイだった。

連絡を受け、飛行機とバスを乗り継ぎ、ここまでやって来たのだと言う。

その友情に感激したウィンドウズだったが、ゾーイは、その費用として、ウィンドウズの貯金を全部使ったと云うので愕然とする。

四人は、ジャッジ・ホライランド(ビリー・ディー・ウィリアムス)と言う奇妙な名前の判事の前に連れて行かれる。

判事は、エリックに父親からの手紙を渡すと、全員を釈放してくれる。

エリックが受け取った父親からの手紙には「帰るか、首か」と書かれてあった。

このまま旅を続けるか否かエリックは一人悩んでいたが、そんな中、ハッチは、ゾーイも付いて行くと言い出したので、これは男の旅だと断ろうとする。

しかし、ゾーイが、私に勝てたら帰ってやると言い、いきなり、ハッチの背中に飛び乗ると首を絞め始める。

ハッチは、どうする事も出来ず、ゾーイの同行を認めるしかなかったが、「運の良い女だ」と負け惜しみを言う事だけは忘れなかった。

ハッチやウィンドウズたちは、一人黄昏れていたエリックを慰め、再びみんなで旅を続ける事にする。

かくしてラスベガスに到着した彼らは、予定していた行動にでる。

ホテルの部屋でビデオを観る事。

さすがに、このオタク行動にはゾーイは付いて行けなかった。

特に、何日もシャワーを浴びてないハッチの身体から、うんこの臭いがするとゾーが注意すると、ハッチはわざとTシャツを脱いで見せる。

その毛むくじゃらの身体を見たゾーイは、アルフの上に乗っかったの?と皮肉を言う。

ようやくギャンブル場に降りて来たハッチとウィンドウズは、二人きりで遊んでいた女の子を発見、早速声をかけてみる。

すると、意外にも女の子たちは付いて来るではないか!

そのホテル内には、何故か、あのアイオワで出会ったトレッキーたちも集合していた。

ハッチは、二人の女を確保して部屋に戻ると、ベッドの上で、いつものように「服を脱ぎたくなる」と念じるが、不思議な事に、今回はあっさりフォースが効き、女の方からハッチに伸しかかって来る。

その頃、エリックとライナスは約束の時間になったので、ホテル内の予定の場所に向かっていたが、何とそこには、トレッキーの長い列が出来ていた。

クリンゴンのコスプレをしている男に「薄汚いオタンコナス」と相言葉を言ってみるが、予想通り、二人はトレッキーたちに捕まり、奥に連れて行かれる。

ウィンドウズは、部屋に付いて来た女の子に、ゾーイとの仲が上手くいかない悩みを打ち明けていた。

そんな初心なウィンドウズに、相手の女の子は、自分はコールガールである事を明かす。

一方、ギャンブル場の裏手の方に連れて行かれたエリックとライナスは、ゲーム機の影からでて来た人物の姿を見て驚愕する。

何と、スカイウォーカーランチの内部地図を渡してくれたのは、ウィリアム・シャトナー本人だったのだ!

シャトナーは、驚いている二人に「スター・トレック入門」の本もプレゼントしてくれる。

ウィンドウズは、いよいよ女二人と盛り上がろうとしていたハッチの部屋に入り込むと、怒り来るうハッチに、この女の子たちはコールガールだと冷静に教える。

ハッチは愕然とするが、女たちは1000ドル要求して来る。

ハッチが拒否すると、ローチと話してくれと云い出し、突然、全身入れ墨をした大男が部屋に入って来る。

大男に捕まっておどかされ始めたハッチだったが、その大男の入れ墨を見ているうちに、それが、「スター・ウォーズ」の反乱軍のマークである事に気づく。

大男も「スター・ウォーズ」マニアだったのだ。

それを指摘し、自分たちも同じマニアだとハッチが言うと、大男は、左腕に入れたヨーダの入れ墨、左腕に入れた反乱軍のマークの入れ墨だけではなく、背中一杯に掘ったジャージャー・ビンクスの入れ墨を「重要人物だ」と自慢げに見せびらかすが、それで許してくれた訳ではなかった。

ハッチは、そんなローチの背後から花瓶で頭を殴りつけ、ウィンドウズと共に部屋から飛び出す。

彼らを追って一階まで追って来たローチは二人を掴まえるが、そこであのトレッキーたちと遭遇、ハッチを見つけたリーダーが「ハン・ソロはホモだ」と又言ったので、今度はそれを聞いたローチが怒り始める。

ローチがトレッキーたちと戦っている隙に逃げ出した二人は、駐車場から出発しようとしていたエリックとライナス、ゾーイが先に乗ったライトバンに飛び乗って逃げる。

ローチは、ライトバンの前に立ちふさがり車を止めようとするが、何とか振り払って逃げ出したハッチは、あれを見せてやれとゾーイに言い、ゾーイはその言葉通り、後ろの窓に尻を出してみせる。

しかし、良く車内を見渡すと、エリックとライナスの姿がないではないか!

出発して間もなく、開いたドアから振り落として来たものらしい。

そのライナスは、地元の病院で手当を受けていた。

それを知って連れ戻しに出かけた彼らは、出迎えた女医(キャリー・フィッシャー)から、彼は病気だと伝えられる。

車いすに乗せられたサイラスと再開した三人は「夢を叶えるんだ」と説得し、病院から連れ出そうとする。

その前に立ちふさがった女医は「これを3時間ごとに飲むのよ」と薬をライナスに手渡してくれる。

感激したライナスは、目の前の女医にキスすると「 I love you! 」と伝え、それに女医も「I know」と答える。

とうとう、彼ら四人は、カリフォルニア州に入る。

又、女の子二人連れの車と並走する事になったので、「ブラジャー見せて」のカードをウィンドウズが出すと、今度は成功する。

かくして、四人が乗ったライトバンは、マリンカウンティにあるルーカス・フィルムの本拠地、スカイウォーカーランチに到着する。

ライトバンの中で最後の作戦会議を開いた彼ら四人は、持って来たフックを正面扉の上に引っ掻け、中から鍵を開けて全員を入れる。

ウィリアム・シャトナーからもらった暗証番号の入ったカードを入れてみると、本当に、コレクションルームの扉が開くではないか。

その中は、彼らスター・ウォーズマニアにとっては聖域とも言うべき夢の世界だった。

正面に立っているのは、ダース・ベイダー卿だった。

他にも、インディ•ジョーンズの帽子やルーカス作品の小道具の数々が所狭しと陳列されていた。

ウィンドウズは、「ウィロー」に登場した魔法の本を見て感激するが、他の誰の支持も得られなかった。

しかし、そうした彼らの姿は、監視カメラを通して、しっかりガードマンに目撃されていた。

コレクションルームにやって来たのは「THX-1138」のコスプレをしたガードマン3人だった。

どうやらリーダーの趣味で勝手にやっているらしい。

逃げ出した四人は、逃げ場を失い、ダストシュートに身を投げる。

彼らが落ちた場所は、どこかで見たような巨大なゴミ収集室だった。

四人はまさかと思いながらも、壁が接近して来るなんて事はないよな?と一抹の不安を覚える。

その時、聞き覚えのある始動スイッチの音が響いたので、パニクる四人。

しかし、それは、単なる空調の音で、部屋には普通にドアが付いていたので、四人はそこから普通に抜け出す事が出来た。

やがて、彼らがたどり着いた部屋は、どうやらルーカスの個室らしかった。

机の上のパソコンを押してみると、「ラフカット」と書かれた文字と、ジャージャー・ビンクスのマークが描かれた画面がでて来る。

彼らが求めていた「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」だった。

感激したウィンドウズとゾーイは、ソファの上でキスをし合う。

他の三人も、すっかり満足していた。

しかし、そこにあのガードマンたちがやって来る。

窮地に立ったハッチは、思わずミレニアム・ファルコンの模型を掴むと、「近づくと壊すぞ!」と脅すが、ガードマンは平気な様子でヨーダの模型を掴み、これを壊してやろうかと逆に脅しつけて来る。

ゾーイもイウォーク人形を燃やすよと脅し、三すくみの体勢になるが、何とガードマンのリーダーは「どうぞ、俺はトレッキーだ」と言うではないか。

結局、四人はガードマンに捕まり、別室に通される。

ガードマンのリーダーは、机に座らせた四人を前に、裁判に訴えれば3〜5年はかかるぞと脅し付け、さらに驚いた事に、ハッチの身元調査までしっかりしている事を明かす。

どうやって身元を知ったとハッチが聞くと、そのティシャツで分かったと云う。

限定販売のプレミアム商品なので、一人一人の名前はチャック済みだとガードマンは答える。

そして、ガードマンのリーダーが携帯で連絡を取ったのは、どうやらジョージ・ルーカス本人らしい。

携帯から燃え聞こえて来る神の声を聞いた四人は感激する。

電話を終えたガードマンは、信じられない事に、会長は感激されている。告訴はしないと云うではないか。

ただし、君たちが本当に見た目通りファンボーイズであればだが…と条件を付ける。

かくして、四人は一人一人、ガードマンリーダーの前に座らせられると、スター・ウォーズカルトクイズを出される。

しかし、意地悪なガードマンは、途中から、スター・ウォーズとは全く関係ない、むしろ、オタクが一番苦手とするセックス関連の質問を始める。

窮地に陥った男たちだったが、そのカルトクイズの結果、何と、ライナス一人だけに「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」を今から見せるとガードマンは伝える。

他の三人は、それで十分だった。

その後、一人部屋に残されたライナスは、一人で「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」を観る。

それを外で待っていた三人は、スカイウォーカーランチから出て来たライナスを、暖かい目で迎えてやる。

ライナスも淡々と仲間たちの元に合流する。

そんなライナスにエリックは、取り戻したい、3年間の空白を…と話しかける。

それから半年が過ぎ、「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」封切館の前には、コスプレをした大勢のマニアたちが徹夜で並んでいた。

先に列に並んでいたウィンドウズとエリックは、ハッチはまだかとやきもきして、携帯をかける。

その電話を受けたハッチは、車の修理屋の看板を「ハッチタッチ」と云う新しい名前のものに付け替えた後、映画館に向かう。

エリックの元には、ボバ・フェットのコスプレをした二人組がやって来て、このコミックは君が描いたのか?と出たばかりのエリックの処女コミックを出して来る。

エリックがファンだと思い、そうだと答えると、これはサイテーだ!パクリだと文句を言い出す二人。

その二人の首根っこを掴まえたのは、同じく、スター・ウォーズファンで、列に並んでいたエリックの会社の同僚だった。

ハッチも合流し、ようやく彼らは会場内で、待ちに待った「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」を見始めるが、その時ふとエリックが呟く。

「あのさ…、駄作だったら…?」

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

オタクの生態と、そのばかばかしくも熱い行動力をロードムービー風に描いたインディーズ映画。

余命幾ばくもない友人の為に、友人たちが、夢にまで憧れた「スター・ウォーズ」の新作を、いち早く、ジョージ・ルーカスの会社スカイウォーカーランチに忍び込んでまで見てやろうと云うストーリーだけ聞くと、何だか「臭いお涙頂戴物」になるのでは?と予想してしまうが、全くそう云う「めそめそした描写」はない。

ただただ「スター・ウォーズ」だけに夢中になり、女には全くモテない、典型的なオタクたちの姿がユーモラスに描かれている。

天敵である「スター・トレック」マニア、通称「トレッキー」たちとの低レベルの戦いも下らなく、楽しいし、随所に登場するゲストたちも嬉しい。

こうした映画を観るにつけ、うらやましく思えるのは、随所にちりばめられた映画ネタ。

こうした映画のパロディと言うか、洒落が通じる国と云うのがうらやましいのだ。

それだけ、観客の方も、映画に対する知識が豊富でなければ成立しない作り方である。

日本映画で、こんな(日本映画全体ネタも含んだ)パロディ映画が作れるかと云うと、きわめて難しいと思う。

それだけ、日本人が自国の映画に幅広く触れているとは思えないからだ。

ジャンルオタクも、一般的な娯楽映画は観ない人が多い。

そんな日本人でも、この映画は十分楽しめると思う。

「スター・ウォーズ」をはじめ、この作品に出て来る映画は、マニアならずともきわめて馴染みがあるものばかりだから。

それだけ、平均的日本人と言うのは、ハリウッド映画には馴染んでいると云う事かも知れない。

もちろん、スター・ウォーズをはじめとしたルーカス作品やハリウッド映画一般に詳しければ詳しい程、小ネタが楽しめる仕掛けになっている事も確か。

特にスター・ウォーズにこだわりがなくても、映画ファンなら誰にでも通ずる所がある「映画ファンの映画ファンによる、映画ファンの為の映画」ではないかと思う。