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2008年、アメリカ+イギリス映画、ジョナサン・ノーラン脚本、クリストファー・ノーラン脚本+監督作品。

※この作品は比較的最近の作品ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ゴッサム・シティのとあるビルの窓が内側から割られる。

部屋の中にいたピロの面をかぶった賊の一人は、ガラスを割った窓から向かいのビルに向けて、ケーブルを打ち込もうとしていた。

一方、同じくピエロの面をかぶった賊3人が車で銀行の前に乗り付けて来る。

銀行内に侵入した賊たちは、ショットガンを発砲すると、金を出せと脅す。

警報機が作動した音に気づいた賊たちは遮断するが、警察に繋がっていない事を不思議がる。

行員の一人には、手榴弾を握らせる。

そうこうしているうちに、いきなり賊の一人が背中から撃たれる。

銀行支店長(ウィリアム・フィクナー)がショットガンで撃ったのだ。

しかし、その支店長も賊から撃たれて倒れる。

不思議な事に、賊たちも用済みの奴は消せとボスから言われていると、次々に役目を終えたものはその場で射殺されて行く。

金庫から大量の札束をつめた鞄を持ち出そうとした二人の賊の内一人は、銃を取り出すと、殺すのはバスの運転手だと言う。

もう一人がバスなんてどこにあると云うと、突然、スクールバスがバックして銀行の入り口に突っ込んで来て、一人が轢かれてしまう。

その運転手が降りて来た時、残っていた賊の一人は、その運転手を撃ち、死ぬような目に遭った奴はいかれると言いながらピエロの仮面を脱ぐ。

その下には、化粧をした本物のピエロのような不気味な素顔があった。

ジョーカー(ヒース・レジャー)だった。

バスに鞄をつめていたジョーカーは、まだ息のあった支配人が罵倒して来たのを聞くと、そこに近づき、手榴弾を口にくわえさせ、バスの運転席に乗り込むと、外を走っていた同じスクールバスの一団の中に紛れ込んで走り去る。

支配人の口にあった手榴弾は煙を吐いただけだった。

夜、視聴は犯罪撲滅を約束していた。

ジェームズ・ゴードン刑事(ゲイリー・オールドマン)は、警察の屋上からバットシグナルを空に向けて投光していた。

そんなゴッサム・シティの一角で、今夜も犯罪グループが裏切り者を見つけたと連れて来てた。

そこにバットマンらしき男が猟銃を持って近づいて来る。

そんな犯罪現場の近くにバットモビールで接近したバットマンは、車内モニターで現場の様子を確認した後、威嚇射撃をする。

モビールを降りたバットマンは、犯人グループが放った犬に襲われるが、ひるまず、偽物バットマンを殴りつける。

犯人グループが乗ったバンが走り出したので、その側面に掴まり、中に入ろうと車体を切断しようとするが、振り切られてしまう。

バットマンは、螺旋状の通路の側面から下を通過するバンに向かって飛び降り、運転手を気絶させた後、偽物バットマンに二度とまねをするなと釘を刺す。

襲撃された銀行で、ゴードンと合流したバットマンは、すでに5カ所も銀行をやられており、今度、検事も新任が来ると教えられる。

ウエイン産業ビルの一角に、バットマンの基地があった。

執事のアルフレッド・ペニーワース(マイケル・ケイン)は、一人でいぬにかまれたきうを縫合していたブルース・ウエイン(クリスチャン・ベール)に呆れていた。

ウエインは、バットスーツが重すぎると不満を口にしながらも、テレビに裁判所に入る新地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)と、幼なじみで元恋人のレイチェル・ドーズ(マギー・ギレンホール)が、仲睦まじく一緒に写っているのを見つめていた。

サルバトーレ・マローニ(エリック・ロバーツ)を追求するため、証人席に近づいたデントは、いきなりマローニから銃口を向けられるが、落ち着いて銃を奪い取ると、それが中国製の粗悪品だとジョークを飛ばす。

付き添っていた女刑事のアンナ・ラミレス(モニーク・ガブリエラ・カーネン)は、ゴッサム・シティの地方検事は命がけだと注意する。

その後デントは、ゴードン警部からマローニが無罪になったと教えられるが、奴がやっているような資金洗浄はなくならないし、君の部下も腐敗している事を調べてあるが、令状は出すと伝える。

ゴードン警部は、そんな高潔なデントの事を「光の戦士だ」と賞賛する。

ウエイン産業と提携したいと重役会に参加していた中国のラウ・ファンド社の社長ラウ(チン・ハン)は、肝心のブルースが眠りこけているのを見る。

ルーシャス・フォックス社長(モーガン・フリーマン)は、会計士のコールマン・リース(ジョシュア・ハート)に、どうも気になるので、ラウ・ファンド社をもう一度再調査しろと命ずる。

フォックス社長から、後で事情を聞いたブルースは、ラウ・ファンド社との提携は中止だと告げる。

その夜、ロシアバレエ団のプリマドンナ、ナターシャを同伴してレストランに出かけたブルースは、デント検事とレイチェルがいる事に気づき、互いに紹介しあって同じテーブルで食事をする事にする。

その場の話題の中心は、謎のヒーローバットマンの話だった。

デントは、ヒーローとして死ぬか、生き延びて悪に染まるかと、自らの生き方について論じ始める。

その話を聞いていたブルースは、君の後援会を作ってやろうと申し出る。

とある日中、ラウは、モニターを通じて、地元のマフィアに指示を出していた。

6800万ドル盗まれたので、紙幣から銀行を特定される恐れがある。それで残りの資金は投資ファンドに移し、自分は香港へ飛ぶと伝える。

そこへジョーカーが入って来て、1年前はあんたらは強かったのに、なぜ今は、こんな昼間にセラピーを開いていると皮肉る。

バットマンのせいだ。今にそのテレビだって、バットマンは見破ると嘲り、俺がバットマンを殺すと宣言する。

条件をマフィアが聞くと、全資金の半分だというので、マフィアのボスは怒ってジョーカーに詰め寄ろうとする。

しかし、ジョーカーが上着の片方をめくると、その内側に爆弾が多数仕掛けてあったので、何も手出し出来ず、ジョーカーは、決まったら連絡をくれと、スペードのエースのカードを置いてその場を立ち去って行く。

その夜、バットマンとデントを呼び、互いを会わせたゴードンは、ラウが香港に飛んだと伝える。

会社の秘密の部屋に戻ったブルースは、飛行機から飛び降りる方法や、又、飛行機に飛び乗る方法に付いてフォックスと相談する。

執事のアルフレッドが、香港まで飛ぶ飛行機はアリゾナに一機あるとブルースに伝えると、韓国人パイロットを頼もうとブルースは指示する。

後日、豪華ヨットでクルージングしていると見せかけたブルースは、近くに水上機が着水すると、海に飛び込んで近づく。

その頃、マフィアの黒人ボスの所に、ジョーカーを殺したと死体を袋に入れて持っていた男たちがいた。

フルロのチャックを開けさせたボスは、中にジョーカーが入っているのを確認すると、一人50万ドルずつだと、持って来た二人の男に向き直るが、その瞬間、袋の中で死んでいたはずのジョーカーが起き上がり、ボスの口の中にナイフを差し込み、自分の思い出話を始める。

たえず酔っていた自分の父親は、いつも暴力を振るっていたが、ある日耐えかねた母親が包丁を持って立ち向かうと、笑いながらその包丁で母親を殺した。その後、子供だった自分に、何だそのしかめっ面は?俺が笑わせてやると、包丁を口の中に入れられた…と語り終えると、すっかり怯えたボスを殺害する。

さらに、マフィアの二人の部下に対し、俺のグループは少数しかいらないと言いながら、ビリヤードのスティックを折って、二人の前に「始めろ!」と云いながら投げるのだった。

香港

ラウの会社で面会したフォックス社長は、提携はしない旨を伝える。

そんな事なら電話だけで良かったのに…と不快感をあらわにするラウの前で、フォックス社長の携帯電話がなる。

携帯禁止とラウが言うので、フォックスは素直にスイッチを切って、帰り際、ガードマンに手渡して、ビルを後にする。

その後、秘密裏に現地に前乗りしていたブルースと出会ったフォックスは、携帯に付いたソナー機能で、ラウの会社の中の様子を探ったと教える。

その夜、バットマンになったブルースは、別のビルから、ラウのビルへ飛び移る。

昼間フォックスがガードマンに渡しておいた携帯が作動し、ビル中の電気が落ちる。

仕事中だったラウは、異常を感じ、すぐさま警察を呼ぶように部下に命ずると、自分も用心の為拳銃を手にする。

次の瞬間、バットマンが窓ガラスを破ってラウの室内に侵入する。

知らせを受けた警察が、ラウのビルに侵入した時、バットマンは部下たちを倒し、ラウを羽交い締めにすると、窓の外に向かってライト付きのロープを打ち上げる。

そこに警官隊が到着するが、その目の前から、ラウを抱えたバットマンは空へ飛び立つ。

上空を飛んでいた飛行機の先に、バットマンが放ったロープが引っかかり、魚釣りの要領で、バットマンとラウをビルから釣り上げたのだった。

翌日の朝、ラウは縛られて、ゴッサムシティの警察署の前に置かれていた。

さっそく、ラミレス刑事による尋問が始められ、ラウは、自分は計算が得意であり、金は渡せないが顧客を売ろうと言い出す。

それを隣で聞いていたゴードンとデントは、RICO法が適用出来るので、ラウも共謀罪で引っ張れると気づく。

ゴードンは、刑務所は危険なので、ラウの身はここに留置しようとデントを説得する。

その頃、ラウが掴まったニュースをテレビで見ながらレストランで食事をしていたマフィアたちは、ジョーカーを雇おうと話していたが、そこへゴードンが部下を引き連れ乗り込んで来て全員逮捕してしまう。

彼らはすぐに裁判にかけられるが、判決文を読みあげていた女性裁判長は、書類の中に
ジョーカーのカードが挟み込まれている事に気づく。

デントは、アンソニー・ガルシア市長(ネスター・カーボネル)に、18ヶ月で町は平和になると伝えるが、市長は、すぐに、政治家、ジャーナリズム、警察など、(賄賂がもらえず)財布が軽くなった連中の報復が始まると悲観的な返事をしていた。

その部屋の窓の外に、突如、首を吊った偽バットマンが落ちて来る。

マスクをかぶっていた死体の顔は、ジョーカーのようにメイクされており、「バットマン、名乗り出ろ」と書かれた紙が添えられていた。

そのニュースをブルースもモニターで観ていたが、突然、ジョーカーからのメッセージが映し出され、今夜から毎日、人を殺すと宣言する。

その後、ウェインのビルの中で、デントを応援する集会が行われていた。

そこに、専用ヘリに乗り、ブルースが登場する。

ブルースは、デントと共に出席していたレイチャルを幼なじみだと紹介し、デントを信じる。ゴッサムの新しい未来の顔だと、出席者たちに太鼓判を押す。

その後、テラスでブルースと二人きりになったレイチェルは、あんなことを言うと、彼が本気にするわと注意するが、彼こそ本当のヒーローだとブルースは答える。

その頃、ゴードンは、裁判所の書類に挟まれていたジョーカーのカードから、裁判長の他に、デントとローブ市警本部長のDNAが発見されたので、それはジョーカーのターゲット予告だと気づき、三人の身辺警備を命ずる。

ギリアン・B・ローブ市警本部長(コリン・マクファーレン)は、その報告をゴードンから受けても、慌てる様子を見せず、いつも飲んでいるウィスキー瓶を取り出すと、その場で一杯飲もうとする。

ゴードンはそれを止めようとするが、一瞬遅く、ローブ市警本部長は、その場に突っ伏す。ウィスキーの中に毒がしこまれていたのだ。

女性裁判長も、警察に保護され、車の中で封筒の中の書類を取り出してみていたが、書類には「上へ」と書かれており、次の瞬間、車の天井に仕掛けられていた爆弾が爆発する。

そして、ウェインのペントハウスで行われていたデントの講演会パーティにジョーカーが出現する。

ブルースは、廊下の壁面に仕掛けていた秘密の扉から脱出する。

ジョーカーの脅しに完全に立ち向かったのはレイチェルだったが、ジョーカーは面白がり、レイチェルにナイフを突きつけて脅す。

それでも、レイチェルはジョーカーを蹴り、笑って反撃しようとするジョーカーを殴りつけたのはバットマンだった。

ジョーカーは、靴の先から尖った刃物を飛び出させると、いきなり、背後の窓ガラスを撃ち抜くと、レイチェルを外に突き落とす。

バットマンはその後に飛び降り、空中でレイチェルをキャッチすると、タクシーの上に落下する。

何とか、二人は無事だった。

その頃、デントはゴードンの所に来ていた。

執事のアルフレッドは、ブルースに、自分が昔、ビルマに雇われている時、ルビーの原石を山賊に盗まれたので、その捜索にかり出された話をしだす。

結局、山賊は原石を捨てて行ったのだと云う。ジョーカーのような連中は、金が目的なのではなく、世界が燃えるのを見て喜んでいる奴らなのだという例え話だった。

その夜、R.デントっとP.ハービーと云う二人の人物が殺害された現場にやって来たバットマンは、それが、ハービー・デントへの挑戦状だと気づくと、壁に付いた弾痕の周囲を切り取り、指紋を採取するとラミレス刑事に告げて持ち帰る。

秘密の部屋でフォックスと共に、弾痕の分析をするブルース。

そんなある日、フォックスの元にやって来た会計士のリースは、会社の会計の査定をしているうちに、応用化学部の予算というのがそっくりなくなっている事に気づいたと報告に来る。

その予算で、バットモビールなどを作っている事が分かったというのだ。

リースは口止め料として、年間1000万ドル、それを生涯払えと脅して来る。

それを聞いたフォックスは、あの人はこの町を犯罪から守ってくれているのだが、そんな人物から強請ろうと?と逆襲したので、リースは黙らざるを得なかった。

その後、秘密の部屋に向かったフォクスは、弾痕の分析結果から、銃弾に付着していた親指の指紋を特定する。

その指紋を元に、ジョーカーが今いる場所を四カ所に絞ったブルースは、バイクで町に出かける。

町ではちょうど、市長も参加するパレードが行われたいた。

ブルースは、裸にされ柱に縛られている数人の男たちを発見する。

口に貼られたガムテープを取り事情を聞くと、銃と制服を奪われたと云う。

パレードが終了した市長は、市民を前に挨拶を初めようとしていたが、その前に、儀仗兵たちによる祝砲が鳴らされる。

しかし、次の瞬間、その儀仗兵たちは、一斉に銃を市長の方に向け発砲する。

ジョーカーたちが儀仗兵に変装していたのだ。

すぐに気づいたゴードンは、とっさに市長をかばって突き飛ばすが、自分が被弾し倒れてしまう。

夫の死を知らされたゴードンの妻バーバラ・ゴードン(メリンダ・マックグロウ)はバットマンのせいだとなじる。

そして泣き出した母親の様子を、息子のジェームズ・ゴードン・Jr(ネイサン・ギャンブル)が心配そうに覗き込んでいた。

バットマンは、いくらバットシグナルを照らしても現れなかった。

デントはレイチェルに、次のジョーカーの標的は君だと電話で知らせる。

レイチェルは、ブルースのペントハウスに避難すると答えたので、デントもそこで合流すると伝える。

バットマンは、マフィアの一人をビルの上に連れて来ると、ジョーカーはどこだと迫る。

しかし、相手も悪人で、脅すつもりならもっと高い所でやれ、こんな高さでは落ちても死なないと笑うので、それで良いのだと云ったバットマンは、無造作に男を突き落とす。

地面に落ち、足を骨折した相手に、さらにバットマンは口を割らせようとするが、相手は、お前がマスクを脱げば、奴は現れると答えるのみだった。

デントも、マフィアの一人を掴まえ、その額に銃を突きつけてジョーカーの事を聞き出そうとしていた。

いつものように、コインを投げて、引き金を引くかどうか占おうとしていたが、バットマンがやって来て、それを止めると、ジョーカーは妄想型の奴だと諭す。

デントは、次のターゲットはレイチェルなんだと言うので、バットマンは、明日の朝記者会見を開いて、バットマンの正体を明かすと伝えろと言う。

それを聞いたデントは、マスクを脱ぐな!奴に屈服するなと止める。

その後、ペントハウスに戻って来たブルースに会ったレイチェルは、マスクを脱ぐと聞いたわと伝えるが、ブルースは彼女に、息はいつか、僕がバットマンを止めたら結婚すると云ったねと確認し、二人はキスをするが、レイチェルは、正体を明かせば、もう結婚など無理よと答える。

ブルースはその後、自分とレイチェルとの関連性に繋がる資料類を破棄するようアルフレッドに命ずる。

アルフレッドは、自分も共犯として掴まるでしょうな…と嘆息し、いつもの口癖である「だから言ったでしょう」と付け加える。

翌朝、記者会見を開いたデントは、バットマンがマスクを脱ぐが、ジョーカーを恐れて彼を差し出すのか?夜明け前は最も暗いが、約束しよう、夜明けはきっと来ると宣言するが、後ろで聞いていた警官たちが「もう、警官殺しはたくさんだ!」と抗議の声を上げる。

ブルースは名乗り出ようと、記者たちの中を移動しようとしたが、その時デントが、バットマンはここにいる。私がそうだと言い出し、警官から手錠をかけられてしまう。

それを知ったレイチェルは、アルフレッドに、身代わりを立てるなんてヒーローじゃない!卑怯だと、その場で誤解を解かなかったブルースの行為を責める。

そして、時が来たら彼に渡してとアルフレッドに手紙を託すと、ペントハウスから去って行く。

輸送されるデントの前に来たレイチェルはみんなに真実を話して!コインに任せないで、自分で運命を引寄せてと迫るが、デントは何も言わず輸送車に乗り込む。

デントの輸送部隊は、間もなく、謎のトラック軍団から襲撃を受ける。

デントの輸送車に並走し始めたトラックの側面が開き、そこに乗っていたジョーカーが、バズーカ砲で、警護していたパトカーを次々に爆破して行く。

いよいよデントの輸送車にバズーカが向けられた時、突如現れたバットモービルがデントの輸送車の上にジャンプして自ら被弾する事で輸送車を防御する。

大破したバットモービルは、自らシステムスキャンし、安全システムが稼働すると、背後からバットマンが乗ったバットポッドが飛び出し、モービル自体は自爆装置が作動する。

そこに、警察のヘリも接近して来るが、ジョーカー一味が、ビルの谷間にワイヤーを張っていたので、それに引っかかり路上に墜落する。

バットポッドは、ジョーカーが乗ったトラックの下に潜り込み、タイヤにワイヤーを絡ませて通過する。

トラックは大きく転倒し、そこから降りて来たジョーカーが接近して来るバットポッドにマシンガンを連射する。

バットマンは、そんなジョーカーを迂回し、転倒してしまう。

倒れたバットマンに近づいたジョーカーは愉快そうにそのマスクをはがそうとするが、そんなジョーカーの頭の銃を突きつけたのは、死んだはずのゴードンだった。

死んだ事になっていたのは、ジョーカーをだます為に仕組んだ芝居だったのだ。

襲撃後の記者会見で、デントは彼を信じていたと発表する。

ジョーカーは掴まり、弁護士がやって来る。

ジョーカーは、いくら調べても全く身元を明かすものが見つからなかった。

同じ牢に、ジョーカーの手下が二人入れられるが、その内の一人は腹が痛いと訴えていた。

しかし、とにかくジョーカーを逮捕したゴードンは、その功績を認められ、市警本部長に昇格する事は確実だった。

牢の中のジョーカーも、そんなゴードンをからかうように拍手する。

自宅に久々に帰ったゴードンは、妻のバーバラから頬を叩かれる。

家族もだましていたからだ。

ベッドで眠る息子を見ていたゴードンだったが、又携帯が鳴り、警察本部に戻る事になる。

デントが帰宅していないというのだ。

警護の警官は付けたはずだったが、もはや信用出来る部下などほとんどいなかった。

ゴードンは。ジョーカーを閉じ込めている部屋に来ると、手錠を外してやる。

次は怖い警官か?とジョーカーが笑うと、甘いなとゴードンは呟く。

ジョーカーに接見したのはバットマンだった。

バットマンは、ジョーカーを締め上げ口を割らせようとするが、ジョーカーはどんなに痛めつけられても平然としていた。

マフィアはお前さえ殺せば元に戻ると思い込んでいるが、もう戻れない。お前は化けものだ。俺と同じだ。見せてやるぜ、いざという時、文明人とやらがどう変貌するか…、真実を知りたければルールを破れとジョーカーは減らず口を叩き続ける。

バットマンは、ジョーカーがレイチェルの事に触れると、急に怒り出し、ジョーカーに拷問をくわえ出す。

ジョーカーは、デントとレイチェルはそれぞれ別の倉庫の時限爆弾の前に縛られていると口を割る。

ゴードンとバットマンが出て行った後、ジョーカーは電話をかけさせろと呟く。

その頃、牢の中にいた子分の一人が腹が痛い、ボスが何かを腹の中に埋めたんだと訴えていた。

その頃、一方の倉庫で縛られていたレイチェルは、生き残れるのは一人だと言っていたと呟く。

デントの方は、何とか脱出しようとしていたが、ドラム缶を倒して、ガソリンが流れだしただけだった。

ジョーカーが残っていた部屋には、一人の刑事が見張りとして残されていたが、ジョーカーが、今までにお前の仲間は何人殺された?と聞くと、6人だと答えて、腕まくりをしながら近づいて来る。

その部屋に他の警官たちが駆けつけると、あっさり見張りの刑事はジョーカーから頭に銃を突きつけられており、電話をかけさせろと言うジョーカーの申し出を受けるしかなかった。

携帯を受け取ったジョーカーはその場から番号を押す。

すると、警察署内の牢に入っていた部下の一人が苦しみ出す。

警官たちがその男を押さえて、腹を見ると、皮膚の下に携帯が埋め込まれており、それがジョーカーの呼び出しに応じて光っていた。

次の瞬間、部下の身体は大爆発を起こす。

レイチェルは、「あなたと生きたい…」と呟いていた。

しかし、バットマンが先に救出したのはデントの方だった。

レイチェルは「これで良いの…、いつか…」と言いかけた瞬間、大爆発に巻き込まれる。

ゴードンが倉庫の前に到着した瞬間だった。

その頃、爆発で大混乱の警察本部のラウの牢の前に来たのはジョーカーだった。

レイチェルが残した手紙には、私はハービーを愛している。バットマンがマスクを捨て去れる日は来ないと記されていた。

バットマンは「すまない…」と心から詫びていた。

ハービーは、バットマンによって建物の外にかろうじて連れ出されたが、大爆発の炎に半身を焼かれてしまう。

執事のアルフレッドの元に戻って来たブルースは、僕が彼女を殺したのかと聞く。

アルフレッドは、平和は混乱の後に訪れます。あなたが必要です。しばらく、あなたで我慢ですと、彼一流のジョークを交え慰める。

ブルースが、ビルマの山賊はその後掴まえたのかと聞くと、アルフレッドはあっさりと、山を焼きましたと答える。

テレビでは、コンサルタント会社が、バットマンのマスクを脱がします。今夜5時にと報道番組で流していた。

ゴードンは、痛み止めの薬すら飲もうしないデントの病室を見舞っていた。

半身をガーゼで覆われたデントは、昔、俺の事を何と呼んでいた?と問いかける。

ゴードンは口ごもるが、デントが激しく答えろ!と怒鳴ると、仕方なく、「トゥーフェイス」と答える。

ゴードンは裏切った部下のワーツの名を教え、反省していると告げるが、すかり人が変わったデントは、否まだ足りないとうめく。

ゴードンは、今日、サルバトーレ・マローニは、ある場所に行くと報告する。

ジョーカーは、山のように積まれた札束の上にいたが、マフィアが来ると、山を崩しながら下に降り、部下たちにガソリンを任せる。

そして、俺は金なんかに興味はないと言いながら、マフィアが口にくわえていた葉巻を取り上げると、札束の方に投げる。

札束の山はあっという間に燃え上がる。

その後、ジョーカーは、テレビ局に電話を入れ、バットマンの正体を暴くな。リースを60分以内に殺せと命じる。

ブルースは、ランボルギーニに乗って、テレビ局に向かう。

テレビ局の前には市民たちが集まっており、バットマンの正体を暴こうとしたリースを襲撃しようと殺気立っていた。

ブルースは、デントを護衛している警官たちの名前を一人ずつ確認して行く。

オブライエン、リチャーズ、デイビス、バーンズ、ザッカレー…

デイビスは、病院内に避難に遅れた患者や関係者がいないか確認していたが、一人看護婦が残っていたので逃げるよう声をかけるが、振り向いた顔はジョーカーで、いきなり発砲して来る。

看護婦に化けたジョーカーは、デントが寝ていた病室にやって来ると、自分はレイチェルを殺す気はなかった。護衛のワーツは妻が入院中だったので金が必要だったなどと説明しながら、デントの手に拳銃を握らせ、銃口を自分の額に突きつけて、引き金を引くように仕向ける。

デントはいつものように、コインを投げて運命を決める。

ブルースは、テレビ局から護衛付きで脱出しようとしていたリースの車に体当たりしようとしていた車を発見、自らランボルギーニをその車にぶつけてリースを助ける。

総合病院から出て来た看護婦姿のジョーカーは、持っていたリモコンスイッチを押すと、病院が次々と爆発をする。

しかし、何か気に入らなかった様子のジョーカーが、もう一度リモコンスイッチを押すと、総合病院は大爆発を起こし、壊滅してしまう。

その焼け跡にやって来たゴードンは、バスが一台とデントがいなくなっていると報告を受け、もはや、州兵が必要だと感じる。

その頃、ウェイン社では、フォックスが研究室に侵入者があるとの警告を受け、その場に向かうと、大量のモニターが連結して、全部稼働していた。

その日非番だった警官のワーツは一人でバーに来ていたが、店主がちょっと席を外した直後、カウンターの中に現れたデント、いまやトゥーフェースは、驚くワーツに銃口を向けると、躊躇わずに発砲する。

フォクスは、目の前のモニターが、町中の携帯電話を盗聴しているのだと理解する。

モニターの背後から現れたバットマンは、データーベースを暗号化し、いつでも特定の電話の場所を発見出来るようにしてくれと頼む。

フォックスは、動機的に問題があるし、一人でやるには仕事量が膨大すぎると躊躇するが、バットマンの態度を見ると、これが最後の仕事ですと引き受けるしかなかった。

バットマンは、全員の電話番号を入力し終えたら、最後に君の名前を打ち込めと頼む。

ゴードンは、囚人をフェリーで脱出させたいと市長に願い出ていた。

マローニは、乗り込んだ車に、いつの間にかトゥーフェイスことデントが乗っている事に気づく。

トゥーフェイスは、ジョーカーは狂犬だ。放った奴が悪いと銃を突きつける。

マローニは怯えて、裏切ったのは女刑事のラミレスだと教える。

トゥーフェイスはコインを投げる。

しかし、コインは撃つなという方に出たらしく、もう一度放り投げたトゥーフェイスは、運が悪かったのは運転手の方だと云いながら、安全ベルトをし、運転手を背後から射殺する。

車は横転する。

囚人たちを乗せたフェリーリバティ号とスピリット号は、港を出てしばらくすると、両船ともエンジンが止まってしまう。

様子を見に行った船員は、船底に100個もの爆弾が仕掛けられており、互いの船には起爆装置が置かれていた。

訳が分からない乗務員や客たちに、ジョーカーからの声が響き始める。

互いに吹き飛ばせと言う。

つまり、二人の船に置いてあった起爆装置は、もう一隻の爆薬を爆発させる起爆装置で、先に押さないと、相手が自分の船を爆発させるぞと云う脅しだった。

秘密の研究室で、携帯からの送信を監視し続けていたフォックスは、ジョーカーの携帯の発信元をブルケットビルだと確定する。

その頃、ラミレス刑事は、トゥーフェイスから脅されて、ゴードンの妻バーバラに、家にいたのでは危険なので、迎えに行く警察と一緒に、息子のジミー共々別の場所に避難してくれと電話を入れていた。

電話を終えたラミレスは、母親の入院費がかさんでいたのだと裏切った言い訳をする。

トゥーフェイスはまたもやコインを投げ、お前は生きて悪と戦えと言うなり、殴って気絶させる。

二隻のフェリーの中では、起爆装置を押すべきか否かに付いて乗客たちが投票を行っていた。

バットマンは、ブルケットビルに忍び込んでいた。

ゴードンの元にはバーバラから「大変よ!」と電話がかかって来る。

バットマンは、ソナー視力でビル内を検索、敵の位置を確認していた。

トゥーフェイスは、バーバラからゴードンへの電話を替わると、お前の子供は俺の家族が死んだ場所にいると伝える。

バットマンは、マシンガンを構えているピエロの一人を掴まえ、仮面をはぎ取るが、中には、口をガムテープで塞がれた男の顔があった。

近くのピエロたちも皆震えているのを見たバットマンは、ピエロの仮面をかぶって銃を持っている連中は、皆人質だとフォックスに伝える。

しかし、そこに警察隊が一斉に突入する。

バットマンはソナーで、上の階に、エレベーターで上がって来る警官隊を待ち受けている敵の一団がいる事を知る。

フェリーの投票結果が出、爆破に賛成の票の方が多かったので、一部、賛成派が早く押せと、起爆装置を持った船長と警官に詰め寄るが、二人とも押す勇気がない。

バットマンは、警官に取り囲まれ、ホバリングするヘリからも警告を受けるが、警官たちの足にロープを絡め、次々と窓の外に放り出し、難を逃れた後、ビル内に侵入した警官たちに、医者の格好をしている連中の方が手下だと教える。

待ち受けていたジョーカーは、近づいて来たバットマンに犬をけしかける。

一方、フェリーの中では、囚人の一人が警官に静かに近づくと、その起爆装置を渡せ。俺から奪われた事にしろと説得し、警官から起爆装置を受け取ると、すぐさま窓から外に放り投げてしまう。

もう一方のフェリーでは、船長から起爆装置を受け取った乗客の一人が、やはり、最後の決断が出来ず、又、起爆装置を船長に戻してしまう。

ブルケットビルでは、バットマンがジョーカーを窓際に追いつめていた。

ジョーカーは、花火を見ようぜと、フェリーが爆発するのを楽しみにしている様子。

バットマンは、何を証明したい?誰しも心の奥底は醜いと?と嘲る。

時間になってもフェリーが爆発しない事を知ったジョーカーは、自分でやるさと言いながら、起爆装置のスイッチを入れようとしたので、バットマンは、ジョーカーの身体を窓の外に放り投げる。

ジョーカーは、バットマンが足に絡ませたロープで逆さ吊りの状態になる。

ジョーカーは、お前に俺は殺せない。正義漢が邪魔をして。どうやら俺たちは、永遠に戦う運命らしい。デントが復讐をしている真実を見ろ。自分は、デントを光の騎士から俺たちのレベルに落としてやったとせせら笑うのだった。

その頃、ゴードンは、レウチェルが爆死した倉庫に来ていた。

そこには、妻バーバラと息子のジミーに銃を突きつけたトゥーフェイスことデントが待ち受けていた。

ゴードンは、俺の家族に手を出すな!と止めるが、トゥーフェイスは俺が殺すのは一人だ。妻か子か?と迫る。

ゴードンは、今までの事を全て謝罪する。

倉庫の周辺に警官犬の吠える犬の声を聞いたトゥーフェイスは、仲間を連れて来たのか?と気色ばむが、今はどこも非常警戒体制なのだ、逃げ道はないとゴードンは答える。

そこに、バットマンも駆けつけて来る。

トゥーフェイスは、この世で生き残るのは「運」だ。三人で戦って来たのに、なぜ、俺だけが犠牲を受けた?

憎しみの銃は悪に向けろとバットマンは説得するが、トゥーフェイスはバットマンに発砲する。

自分の番だと言いながらコインを投げたトゥーフェイスは助かる。

次に、ジミーに銃を向けたので、ゴードンは俺を殺してくれと頼む。

しかし、トゥーフェイスがコインを投げたので、その身体にバットマンはぶつかり、床に開いた穴から両者一緒に墜落して行く。

ゴードンは、割れ目に駆け寄り、落ちかけていた息子のジミーを引き上げる。

ゴードンは、急いで下に降り、バットマンの様子を調べるが、バットマンはかろうじて起き上がったので、感謝するが、バットマンはレイなど言うなと答える。

トゥーフェイスことデントは墜落死していた。

バットマンは、このデントの復讐劇の事をマスコミに伏せろと説得するが、ゴードンはすでに5人が死んでおり、その内の2人は警官だ、隠せないと否定しながらも、ゴッサムシティにはヒーローが必要だと呟く。

ヒーローとして生きるか、生き残って悪に染まるか…と、かつてデントが言っていた言葉を引用しながら、私はヒーローではない。ゴッサムの為だ、私が5人を殺した事にしろとバットマンは答え、翌日、ゴードンは記者会見でバットマンが犯人だったと発表する。

ジョーカーは、バットシグナルを破戒していた。

秘密の研究室の中では、携帯の暗号化を全て完了し終えたフォックスが、自分の名前を最後に入力していた。

警察は、バットマンを追いつめていた。

ジミーは父親に聞く。「バットマンはなぜ逃げるの?何も悪くないのに…」

父、ゴードンは答える。

「彼は町に必要なのだ。今は時が違っている。彼はヒーローではない。沈黙の守護者『ダーク・ナイト』だ」…と。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「バットマン」シリーズの6作目であり、「バットマン ビギンズ」(2005)に次ぐ、新シリーズの二作目。

子供向けの単純明快なヒーローものではなく、悪の論理の矛盾、正義の論理の矛盾をついた、かなり大人向けの内容になっている。

その分、全体的に陰鬱な暗いトーンが覆い、「バットマン」のクライムストーリー的側面は強調されているが、逆に、痛快で明るく分かりやすい、ハリウッド型のヒーローものを求める層には、今ひとつピンと来ない内容になっているのではないかと思う。

所詮、「正義」は理想であり、「悪」は現実だからだ。

ヒーローものと云うのは本来、理想を現実より優位に立たせるに、ご都合主義でごまかしている部分があるのだが、この作品では、意図的に理想(正義)の「もろさ」を強調しているため、普通のヒーローものを求める客には、釈然としなかったり、後味の悪さを感じる人もいるはず。

全体的に、従来のハリウッドタッチとは少し違った渋いタッチでまとめられているように感じるのは、イギリスが製作に協力している背景もあると思う。

香港から脱出する際の、飛行機の先端に付いたフックに空中に浮かせたロープを引っ掛けさせ、魚釣りのように釣り上げる手法は、「007/サンダーボール作戦」のラストでお馴染みだし、パーティに乱入したジョーカーが、出現したバットマンに対し、靴の先から尖った刃物を突き出すシーンは「007/ロシアより愛をこめて」のスペクターの幹部でソビエト情報局のクレッブ大佐(ロッテ・レーニャ)が使う小道具として有名なアイデア。

しかし、そうした引用が気にならないくらい、全編に渡ってアイデアが良く考え抜かれており、見応えのあるアクション映画になっている。

デントが、恋人を失った後、急に人が変わり、トゥーフェイスに変貌してしまう後半部分は、ジョーカーの他にもう一人、マンガでお馴染みのキャラクターを登場させるためとは言え、やや唐突すぎ、説得力に欠けるような気がする。

同じように、犯罪捜査を急展開させる為だろうが、町中の携帯をモニターしたり、ソナー機能を発展させ、あらゆるものを透過してしまう新装置などは、コミック的面白さの一つとは言え、あまりにバットマンをスーパー能力だらけにしてしまっており、リアルタッチの犯罪劇とは相容れないご都合主義的小道具のように感じる人もいるのではないだろうか?

ただ、スーパー機能を持っていても、決してそれで、ヒーローの楽勝にならないように考えられているのはさすがである。

普通は、あまりヒーローが無敵すぎると、敵の力とのバランスが崩れ、サスペンスも爽快さもなくなり、子供向けになってしまう事も多いのだが、この監督はその辺を良く心得ているようだ。

個人的には十分堪能出来る内容だったが、一般向けとは言いがたいかな?と感じたもの事実。

日本で受けなかったのも仕方ないと感じた。