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宇宙戦艦ヤマト 復活篇

2009年、「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」製作委員会、石原武龍+冨岡淳広脚本、西崎義展脚本+監督作品。

※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

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無限に広がる大宇宙…

地球がある太陽系は、銀河系の中心部から約300万光年離れた所にあると言う。

そんな宇宙の中で、何もかも飲み込むブラックホールと呼ばれるものが存在する。

ある日、カスケードブラックホールと呼ばれる移動性のブラックホールが、地球目がけて移動し始めた事に誰も気づかなかった。

タイトル

西暦2220年

地球からアマールへ向かうの第一次移民船団を守る護衛艦「ブルーノア」が、突如、宇宙空間に待ち伏せされていたように、謎の船団の襲撃を受ける。

船長古代雪(声 - 由愛典子)は危機回避のためワープを命じるが、その瞬間、敵の攻撃を受けて、消滅してしまう。

地球から1万6000光年離れた辺境の星に到着していた、貨物船「ゆき」の船長古代守(声 - 山寺宏一)は、妻雪からの手紙を遅ればせながら受け取っていた。

そこには、宇宙はあなたにとって海、娘の美雪と共に待っていますと書かれていた。

そんな古代に、150宇宙kmの地点に難破船を発見したとの報告が入り、早速、副長大村耕作(声 - 茶風林)やナビゲーター桜井洋一(声 - 野島健児)らと共にその地点に向かってみると、確かに、大破した地球の護衛艦「ブルーノア」の姿があった。

中に入ってみた古代は、唯一の生存者上条了(声 - 伊藤健太郎)を発見、彼から、残っていた雪の帽子だけを手渡される。

彼と共に「ブルーノア」の操縦席に向かい動かそうとした古代だったが、その時、敵艦に遭遇する。

古代は上条に主砲を発射させた後、大至急、地球に帰還する事にする。

その頃、地球の地球連邦科学局長官になっていた真田志郎(声 - 青野武)は、第一次移民船団が、謎の船団から、虐殺同然の攻撃を受けた映像を見ながら戦慄していた。

まるで待ち伏せされているかのように見えたが、かと言って、ブラックホールが迫っている今、大三次移民船の出発を遅らせる訳にはいかなかったからだ。

真田は、古代の帰りを待ちわびていた。

今の地球を救えるのは、古代しかいないと信じていたからだ。

そんな真田の元に、貨物船「ゆき」がワープアウトしたとの報告が入る。

真田は、古代が3年振りに戻って来た事を喜ぶのだった。

地球に接近した「ゆき」の中から、古代は、かつてヤマトが沈没した惑星アクエリアスの残骸を見つめていた。

今も、その残骸は、地球からも観られるのだった。

地球連邦科学局に帰還した古代は、真田から「カスケードブラックホール」なるものが地球に接近しており、後三ヶ月ほどで地球がそれに飲み込まれて消滅の危機を迎えている事を知らされる。

3年ほど前に発見され、対策会議が行われた結果、島次郎(声 - 置鮎龍太郎)は、地球連邦移民船団本部長に選ばれたとも教えられる。

移住先として選ばれたのは、アマール星の月だった。

真田は、古代に第三次移民団の護衛艦の指令になって欲しいと依頼する。

雪も、第一次移民団の護衛艦に乗っていたのだとも。

自宅に戻った古代は、窓から海を見ながら、又、雪からの最後の手紙を読み返していた。

そこに深雪が戻って来るが、父親の帰還を喜ぶでもなく、空に浮かぶアクエリアスを指しながら、お父さんはヤマトの縛られている。お母さんの笑顔はいつも寂しそうだったと言い放つ。

そんな深雪に、俺は、お母さんの事を諦めていないと、持ち帰って来た雪の帽子を深雪に手渡すのだった。

その時、真田から電話が入り、第二次移民船団が行方不明になったと言うではないか。

行けば?と云う、冷たい深雪の言葉に送られて、地球連邦科学局に戻った古代は、第二次移民船団が敵船団に襲撃されている映像を観る。

又しても、待ち伏せされているかのようだったが、敵船団の様子を見た古代は、自分が遭遇した船とはあまりにもフォルムが違いすぎると指摘、大きな力が背後にあるような気がすると意見を述べ、自分が、第三次移民船団の護衛を引き受けると言い出す。

その返事を聞いた真田は、乗る船は用意してある、ヤマトだ。ヤマトがお前の帰りを待っているのだよと告げる。

それを聞いた古代は、アクエリアスに一人特攻して散った沖田艦長の事を思い出す。

「地球よ、息子たちを頼みます」、そう云い残して、沖田艦長は逝ったのだ。

古代は、沖田に連れられ、アクエリアスのヤマト再建基地に向かい、新生宇宙戦艦ヤマトと対面する。

乗船した古代は、宇宙戦艦ヤマト航海長兼コスモパルサーのチーフパイロット小林淳(声 - 浪川大輔)、機関長徳川太助(声 - 古谷徹)らに出会う。

さらに、機関部制御担当の双子の兄弟、天馬走、天馬翔(声 - 阪口大助)から、6連発が可能なトランジッション波動砲を紹介される。

ただし、6連発を一挙に使えば、エンジンは空になってしまう。

電算室に向かった古代は、かつて一度だけアマール星に行った経験がある桜井洋一、さらに、地球連邦科学局で会ったチーフナビゲーター折原真帆(声 - 柚木涼香)らと再会する。

上条は、新戦闘班長として乗り込んでいた。

いよいよ第三次移民団が出発し、ヤマトも発進する。

それを見送る真田は、「頼むぞヤマト、任せたぞ古代…」と呟いていた。

古代は、作戦司令室で、アマールまでの進路を隊員たちに説明していたが、そこに同席していた医師の佐々木美晴(声 - 大浦冬華)が、パイロットも兼ねていると知らされる。

移民船団とヤマトは、最初のワープに入る。

その頃、大ウルップ星間国家連合軍作戦会議では、地球が動き始めた事が、SUS軍第7艦隊司令長官メッツラー総督(声 - 家中宏)に通達されていた。

他の参加星代表たちは、地球が本格的な侵略を開始したと警戒し、地球を殲滅するしかないと結論づけていた。

一方、ヤマトの電算室では、折原真帆が、進行方向に巨大なプローブ(探り針)を発見していた。

今までの移民団は、これに引っかかって、敵の攻撃を受けたに違いなかった。

この巨大プローブに引っかからずに、移民船全体が前進するのは不可能だった。

その時、折原真帆が、近くにあるブラックホールの周辺に船団を接近させ、そこからワープすれば、可能なのではないかとアイデアを出す。

一歩間違えれば、ブラックホールに飲み込まれてしまうだけに、危険な賭けだったが、他に道はなかった。

移民船団は、ブラックホールの周辺に移動し始めるが、その時、二つの敵船団が出現する。

古代は、護衛艦全体を船団の後尾に移動させ、ヤマトも最後尾へ移動する。

その時、さらに別の敵艦隊も出現したので、古代は、護衛艦を二手に分け、ヤマトは中央の敵に立ち向かう事にする。

小林はコスモパルサーに乗る事になり、真帆に外からヤマトを守ってやると連絡して出かけて行く。

ヤマトは砲撃を開始し、敵艦も反撃して来る。

ヤマトは、煙突ミサイル、艦首ミサイルを発射させ、重爆撃機も出撃させる。

敵艦は、ヤマトを潰さんと、一斉攻撃を仕掛けて来る。

上条は思わず波動砲を発射しようとするが、古代に殴られ諌められる。

ヤマトの自己犠牲的動きを監視していたエトス星艦隊司令長官ゴルイ提督(声 - 伊武雅刀)は、あれが侵略者の取る行動だろうかと疑問に感じ始めていた。

ヤマトは、移民船が攻撃されているのを見て、自ら、その盾になる為、移民船の横に移動し、攻撃を受ける。

ゴルイ提督は、SUSに脅かされて手を貸している自分たちの行動を恥じ、自分たちも誇りを取り戻そうとシーガル艦長(声 - 子安武人)に全速前進を命じる。

ゴルイ提督は、ヤマトに通信を送り、艦長古代の名前を尋ねると、大ウルップ星間国家連合の一員として戦闘に参加したが、ヤマトの活躍に感服したので撤退すると通告し、その場から立ち去る。

古代は感謝し、ヤマトも、その場からワープするのだった。

このゴルイ提督の裏切りを知ったメッツラー総督は、エトス星の殲滅を命ずる。

移民船団とヤマトは、無事、アマールへ到着する。

艦を降りた古代は、島から、雪が乗っていた艦は、無人でこちらへワープして来たと説明を受ける。

アマールへ降り立った小林や折原真帆たちは、そこから見える月を見ながら、あれをこれからは地球と呼ぶようになるのかと、複雑な気持ちになる。

古代は、地球の真田に、無事到着した事、そして、今度は6隻の帰還船を連れて地球に戻ると報告を入れる。

その頃、地球の佐渡動物病院では、深雪が佐渡酒造(声 - 永井一郎)の下で働いていた。

そこには、アナライザー(声 - 緒方賢一)もいた。

深雪は、母一人助けられなかった父親の事をまだ恨んでいるようだった。

その頃、カスケードブラックホールは、刻々と地球を含む太陽系に近づいていた。

アマールのイリヤ女王(声 - 田中敦子)は、アマールも参加している大ウルップ星間国家連合と云うのは、実はSUSの非道な力の支配による、平和の名を借りた支配であり、アマールが平和でいられるのは、この星でだけ取れる貴重な資源をSUSに提供しているので、庇護をされているだけなのだと古代に説明する。

そんな古代は、宮殿の廊下で、アマール軍司令官のパスカル将軍(声 - 井上和彦)から、即刻我が国から出て行ってくれと警告を受ける。

我が国が地球の移民を受入れれば、やがてSUSに国を滅ぼされてしまうと云うのだ。

しかし、その言葉が終わらぬうちに、外から空爆の音が響いて来る。

パスカル将軍の危惧が本当になったのだった。

古代は、ヤマトに戻って来るが、自分たちが戦乱の原因になっている以上、うかつな手出しは出来なかった。

逸る部下たちを押さえ、戦闘配備のまま待機を命ずる。

大ウルップ星間国家連合によるアマール市街地への第一次空爆が終わった後、第二次攻撃が始まる。

その様子をモニターで見ていたゴルイ提督は、これは虐殺だと憤るのだった。

「豚に仕えて、豚に成り下がりたくない」ゴルイ提督はそう告げ、シーガル艦長も同調して、メッツラー総督が乗る艦に突っ込んで行く。

その頃、イリヤ女王も、城に集まって来る民衆の姿を見ながら、この声をどう聞きますか?と、横にいたパスカル将軍に問いかける。

ヤマトの中で待機していた古代も又、どう行動すべきか苦悩していた。

しかし、雪の言葉を聞いたような気がし、古代は戦う事を決意すると、イリヤ女王にその旨を伝える。

その連絡を受けたイリヤ女王も、自分たちも同じ結論に到達した所だと答えるのだった。

かくして、ヤマトの砲撃が開始され、ヤマトは、アマールの海面から発進する。

それに対し、大ウルップ星間国家連合軍も動き出す。

その連合軍に立ち向かうアマール戦艦からヤマトの古代に連絡が入る。

パスカル将軍だった。

自分の考えの間違いを恥じ、一緒に戦うと云う内容だった。

連合軍には、メッツラー総督の元に援軍が勢揃いしていた。

ヤマトからは、コスモパルサー、重爆撃機が発進し、本格的な攻防戦が開始される。

ヤマトは、敵船団への中央突破を仕掛けるが、その前に、巨大要塞が出現する。

メッツラー総督は、ハイパーニュートロンビーム砲の発射を命じる。

巨大要塞を取り囲む砦型の砲身がヤマトに照準を合わせた時、パスカルの船団が、ヤマトを守る為にその前方に集結する。

ハイパーニュートロンビーム砲が発射され、その強大なエネルギーに、アマール船団は全滅してし、パスカル将軍も名誉の殉死を遂げる。

アマール軍の盾のおかげで生き延びたヤマトは、全砲門を開く。

しかし、ヤマトの攻撃は、ことごとく、敵巨大要塞のシールドに跳ね返されてしまう。

折原真帆が解析してみた所、巨大要塞の砲身自体がシールドを形成している事が判明。

これでは、ヤマトの攻撃は無力だった。

絶望感がヤマト隊員たちの中に広がる中、大村副艦長が、「信濃」を貸してくれないかと古代に申し出る。

「信濃」で敵要塞の大砲身近くまで接近し、搭載ミサイルを集中されれば、破壊出来る可能性があるはずだと云うのだった。

しかし、「信濃」のミサイルは、まだ実験段階だった。

古代は躊躇するが、大村の決意は変えられないと判断、発進を許可する。

「信濃」に単身乗り込んだ大村は、「独り身の俺には、怖いものは何一つない!!あなたと過ごした三年間は最高の時間でした」と古代に感謝し、「地球を嘗めるな!」と絶叫しながら、敵砲身に特攻して行くのだった。

そのおかげで、敵砲身の一基が破壊され、巨大要塞を守っていたシールドが消える。

古代はすかさず、トランジット波動砲5門開けと命じる。

6門全て開くと、ヤマトがその後、運行出来なくなってしまうからだった。

「ターゲットスコープオープン!対閃光、対ショック防御用意!」

波動砲は、敵要塞に命中し、要塞は宇宙空間に沈んだに見えた。

しかし、次の瞬間、全然別の場所から、敵要塞が出現し、ヤマトに攻撃を仕掛けて来た。

潜水艦ならぬ、潜宙艦攻撃だった。

古代は、慌てず、太陽に迎えと指示を出す。

隊員たちは意味が分からなかったが、古代は、先ほどからの敵の動きから推測し、目前にある太陽は、敵のエネルギー供給源となっている「偽装太陽」と見抜いたのだった。

敵艦は、ヤマトを挟み撃ちにして、進路を防ごうとするが、古代は最後のトランジット波動砲を太陽に向けて発射し、破壊する。

すると、ヤマトの艦橋に、メッツラー総督の巨大なホログラムが出現する。

メッツラー総督の姿は、異形のものに変化していた。

その異形のものは、自分は別空間からやって来たものだと名乗り、SUSなど、この世界を支配する為に姿を借りたに過ぎないと言い出す。

この世はお前たちにくれてやる…と言いながら、異形のものは消え去る。

勝利を収めたアマール女王は、民衆を前に、真の独立を勝ち取ったので、この自由を永遠に守り通さねばなりませんと演説をする。

ヤマトは、そんなアマールを後にし、6隻の移民船と共に地球へと帰還する。

ワープを重ね、地球に接近するヤマト。

その間にも、カスケードブラックホールは、刻々と地球に接近しつつあり、ついに、冥王星が飲み込まれる。

地球では、最後の移民船団が出発の準備をしていた。

嵐の中、佐渡フィールドパークから飛び立とうとする輸送機を前に、このまま地球と運命を共にすると云う佐渡先生とアナライザーを、何とか説得しようとする美雪だったが、とうとう、アナライザーの手によって、美雪だけ輸送機に乗せられてしまう。

その頃、ヤマトはようやく、地球の近くにワープアウトしていた。

一方、美雪を乗せた輸送機は、途中、操縦機能を失い、森の中に墜落してしまう。

地球連邦科学局では、最後の輸送船出発を前に、真田が地球に残ると決意していた。

島は、帰還した古代に、美雪が行方不明になっていると知らせる。

しかし、古代が動こうとしないのを見た小林たちは、自分たちで美雪を探しに行こうとするが、それを発見した古代は、離艦は許さんと怒鳴りつける。

その数分後、ヤマトを離脱する飛行機の姿があった。

古代自らが乗り込んでいたのだ。

最後の移民船出発まで、後42分しか残されていなかった。

古代は、森の中に墜落している輸送機を発見、近くに着陸すると、輸送機の残骸の中から、行きていた娘の美雪を救出する。

古代は、美雪に、母親、雪の帽子を手渡すと、命を粗末にするなと釘を刺し、ヤマトに向かう。

その頃、沖田は、今は亡き、沖田艦長像の前に佇んでいた。

佐渡先生は、古代たちとヤマトで出会った頃の事を思い出していた。

刻々と迫る地球消滅を予感してか、世界中の動物たちは、不思議な静けさの中にいた。

そうした中、6隻の移民船が地球を離脱して行く。

それに続くヤマトの中から、古代も地球を見ながら、人間は今、大切なものを失おうとしていると呟いていた。

地球を守る事が出来なかった今となっては、ヤマトは負けたに等しかった。

そんな船橋に、またもや、あの異形のものが姿を現す。

地球が我が世界となるのを待っていたと、異形のものはあざ笑う。

あのカスケードブラックホールは、自分たちの次元内の資源を使い果たした異次元人が、この宇宙の資源を略奪する為に送り込んだ次元転位装置なのだと云うではないか。

それを聞いた古代は、人が作ったものなら破壊出来ると気づき、急いで、次元転位装置の中心点を計算させる。

その結果、ブラックホール内にある事が判明。

古代は、六連発波動砲の準備を命ずる。

しかし、天馬兄弟は、ヤマトの船体が持ちこたえるかどうか自信がなかったし、第一、これまで、六連発を起動しようとすると必ず故障していたので心配するが、その時は何故か、プログラムが問題なく立ち上がったので、真田があらかじめ、こうした事を予期して、簡単に六連発に出来ないように制御していた事を悟るのだった。

ヤマトは、ブラックホールの中に突っ込んで行く。

波動砲のスイッチは、古代自らが握る事にし、全員に目をつぶらせる。

トランジット波動砲6連発が発射に、ブラックホールは消滅する。

ヤマトも、かなりの損傷を受けたが、何とか生き残る事が出来た。

地球も、ヤマトのおかげで、消滅の危機を免れるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「復活篇」となっているように、本編は、ヤマトがアクエリアスの海に沈没した「宇宙戦艦ヤマト 完結編」(1983)のエピソードから繋がっているような話になっている。

メカ表現や戦闘シーンの大半は3DCG表現ながら、汚しや質感などの設定はあえてせず、人物など2D表現部分と違和感がないように作られている。

善くも悪くも「ヤマト」と言った感じで、戦闘シーンが多い割に、話は単調で、全体的にかなり長く感じられる。

部分部分にアイデアは感じるのだが、そのアイデアを十分膨らませきらないまま繋げてしまった感じで、十分、サスペンスを醸造しないまま提供してしまったような印象。

例えば、後半、巨大要塞が登場するのはお馴染みのパターンだが、その巨大要塞が「潜水艦攻撃」を仕掛けて来る件は、ちょっとアイデア的に面白いと思ったのだが、その後の展開はあっけなく、サスペンスやピンチ感は希薄。

もう少し、ヤマト対潜水巨大要塞の戦いの部分を、粘って見せても良かったのではないかと言う気がする。

尺が長くなると云うのなら、どこかの部分を省略すれば良かったのだ。

地球上の表現なども、感傷的なだけであまり面白いとは言えず、地球壊滅を待つ絶望感の表現なども不十分だったような気がする。

やはり、ヤマト関連のキャラクターばかり描こうとして、地球を失う庶民側の表現がほとんどないのため、大きなサスペンスが、観る側に迫って来ないのだ。

「パックス・アメリカーナ(アメリカの支配による平和)」をそのままテーマとしたような内容になっているのも、分かりやすいと言えば言えるのだが、ファンタジー作品としてはちょっと興ざめ。

古代と娘美雪との対立などもステレオタイプで、全般的にアナクロ感が漂っているのは否定しようがない。

しかし、そう云う特長は、昔からあったものなので、特に本作だけの不満点と云う訳ではない。

あくまでも「ヤマト」と云うのは、こう云う世界感の作品なのだ。