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嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊

1977年、日活、どおくまんプロ原作、田中陽造脚本、曾根中生監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

南河内大応援団一回生富山一美(川畑信三)と北口良一(深見博)たちは、応援団OB薬痴寺(なぎらけんいち)の花見接待をする為に、桜の造花を、既に散った桜の木に付けたり、席の用意をさせられていた。

南河内大は運動部が弱いので、花見の良い時期には他の大学に場所を占領されてしまい、季節外れのこの時期にひっそりと花見をするしかなかったのだ。

応援団に入ると、まず二ヶ月、エロ小説の朗読を「発声訓練」と称して学校内の歩道でやらされ、それがすむと、リーダー部と親衛隊に分けられる。

タイトル

薬痴寺を招いての「花見接待」が始まろうとしていたが、部室から、ジョニ黒を運び出そうとしていた二回生の小林は、それを床に落として割り、中の酒をこぼしてしまったので、四回生の幹部で副団長下村(坂田金太郎)から、又も説教を食らっていたが、そこに電話が入り、浪花大応援部主将から、そちらの部員から喧嘩を売られたので、詫びを入れろと要求される。

その頃、花見の席では、親衛隊たちが、ピンクレディの「渚のシンドバッド」を唄い披露していた。

その席に出席していた下村は、団長の木村(沢田情児 )と、浪速大応援部は団員だけでも100人、親衛隊を入れると200人もいるので、喧嘩をしたら勝ち目はないが、かと言って、詫びを入れるのも嫌だと耳打ちしていた。

一方、薬痴寺は、一回生三人が木の枝にしがみつき、蝉のまねをしている座興が今ひとつ気に食わない様子で、蝉なんだから、飛んでみろと言い出す。

むちゃくちゃな要求だったが、OBの命令とあっては従わざるを得ず、蝉役を担当していた北口と富山は、木の上から地面に飛び降り、気絶してしまう。

もう一人の蝉役前田(檀喧太)は、すでに、大量の小便を漏らしていたが、蝉は飛ぶ時に小便をするものだと下村から怒鳴られ、やむなく飛び降りるしかなかった。

翌日、部室に集合させられた応援団は、幹部たちから、浪速大に喧嘩を売った奴は誰かと問いつめられ、誰も名乗り出ないと、殴りつけられると云う理不尽な扱いを受けていた。

そこに遅れてやって来たのが、応援団の問題児で親衛隊長の青田赤道(本間進 )だった。

赤道は、部室内の険悪な空気も気にせず、「ぼくちん、お見合いするのよね」と言い出す。

同郷の山口県出身で、昨年のミス日本が相手なのだと云う。

その知らせは、父親からの手紙で知らされた赤道だったが、相手方が雇った私立探偵が、お前の素行調査をしているらしいから、日頃の行動には気をつけるようにと書いて寄越したので、赤道は、最近、自分を尾行しているマスク姿の怪し気な男がその私立探偵に違いないと警戒する事になる。

赤道は、それまで持っていたエロ雑誌を、悔しがりながらも焼く事にする。

その頃、応援団の幹部四人は、浪速大への警戒心でイライラ状態が募っていた。

特に臆病な下村などはノイローゼ状態になる始末。

そこに、いつものように靴磨きとして小林がやって来たので、下村は、自分は昨日2万円もする靴を買ったばかりなので、靴磨きなんか必要ないと自慢し出す。

すると、他の二人も自分の靴は2万5千円だった、俺は3万円だったとさらに見栄を張り合い、結局、残った統制部長小川(堀礼文)が小林を呼びつけた事が判明する。

小川の靴は、先に穴が開いたボロ靴だった。

メンツを潰された小川は、小林に当り散らす。

その後、団員たちが腕立て伏せをやらされていた河原にやって来た小川は、10万円の雪駄だと云いながら、下級生たちに威張り始める。

しかし、小川が履いていた雪駄は、どう見ても普通の雪駄にしか見えなかったが、小川に云わせると「鼻緒は、虎の金●の皮で作ってある」そうだ。

その後、肩で風を切って大阪の町を歩いていた小川は、通りかかった車を怒鳴りつけるが、運悪く、その車に乗っていたのはチンピラたちで、降りて来た彼らから小川はぼこぼこにされてしまう。

そのチンピラたちは、小川がはいていた雪駄を奪い取り、そのまま、近くのキャバレーに乗り込むと、学ランを叩きのめしたが大した事なかったななどと話題にしながら、その雪駄を放り投げる。

その雪駄が当ったのが、カウンターで飲んでいた応援団OBの剛田と赤道の二人だった。

赤道は、近くに、あのマスク姿の男がいる事を知っていたので、剛田に、その男に横を向かせておいてくれと頼むと、チンピラたちをその場で叩きのめしてしまう。

その間、剛田に、首を横に向けさせられていたマスク男は、カーテンを歩いていたゴキブリを掴むと、素手で握りつぶしていた。

そこいよれよれになりながらも乗り込んで来た小川は、雪駄を履き直し、自分も飲みに連れて行ってくれと剛田にせがむが、お前は病院に行けといなされてしまう。

それでも諦め切らない小川は、剛田と赤道の後に着いて行くが、二人が入ったサロン「夢の国」に付いて入ろうとすると、ボーイに「雪駄では困ります」と断られてしまう。

逆上した小川は、そのボーイを殴りつけるが、それに気づいた支配人が店の前に出て来て、小川をこてんぱんに伸してしまう。

その際、脱げた雪駄は、近づいて来たブルドーザーのキャタピラの下敷きになってしまう。

この件以来、すっかり機嫌を悪くした小川は、三回生の小林に事ある事に辛く当るようになる。

電車の座席に座った小川は、自分の前に直立不動で立っていた小林に、ミミズを取って来いと急に言い出す。

困惑した小林だったが、先輩命令とあっては逆らう訳に行かず、その場ではちまきをすると、「ミミズちゃん♩ミミズちゃん♩」と踊り始める。

小林は、唄い踊りながら、車内にいた女性客たちのスカートをめくり始める。

車内は騒然となるが、さすがに小林も、一人の女性お前に来ると動きを止めてしまう。

かねてより、車内で見かけて憧れていた女性だったからだ。

しかし、それを見た小川が、なぜ止めると怒り出したので、小林は「命令聞けまへん!」と断るしかなかった。

小川は、そんな小林を車内でぼこぼこに殴り出し、鶴井駅のホームに引きずり降ろすが、気絶しかかった小林を自ら背負うと、「あのミミズちゃんに惚れとったんか?」と聞き、「押忍!」と何とか返事をした小林を運んでやるのだった。

その頃、赤道は、自宅アパートで、額と股間を氷嚢で冷やして寝込んでいた。

私立探偵に常時見張られているので、一ヶ月間女を抱くのを我慢し続けていたのだ。

今日も、アパートの窓から、あのマスク男が覗き込んでいる。

精力の我慢の限界に至った赤道は、大事に持っていた見合い相手の写真をその場で引き裂いてしまう。

その時、表から「降りんか!」と怒鳴り声が聞こえる。

赤道のアパート「えびす荘」に梯子をかけ、二階の赤道の部屋を覗き込んでいたマスク男を白衣の男たちが引きづり降ろして救急車に乗せている。

聞けば、マスク男は、精神病院から抜け出してしまった「醜悪人間愛好家」なのだそうだった。

それを私立探偵と思い込んで、身を慎んでいた事を知った赤道は、今破ったばかりの見合い写真を繋ぎ合わそうとしていた。

その後、父親から、見合い話は全て間違いだったとの手紙が届いたので、赤道は、アパートの部屋の中で暴れまくるのだった。

一方、浪速大応援部は、トラックに乗り、一路、南河内大目指して向かっていた。

その頃、南河内大応援部の部室では、セーラー服売春の男女が、町で商売を邪魔されたと下村相手に因縁をつけている最中だった。

そこにやって来たのが、邪魔した当の本人赤道、彼は、セーラー服姿の女を部室で発見すると、すぐさま興奮し、抱きつく。

そこに、突っ込んで来たのが、浪速大応援部を乗せたトラックだった。

部室内は大乱闘状態になったので、下村は外に停まっていたトラックの下に逃げ込もうとするが、そこでは、赤道がのんきにセーラー服女を抱いていた。

赤道は、下村から追い出されたので、仕方なく、女を抱いたまま、トラックの二台に登って行為を続ける。

それを見つけた浪速大団長角木 (神戸誠)は、荷台に上がり込んで赤道との勝負を挑む。

荷台は、上がり始め、女はその上に取り残されるが、赤道と角木は、荷台から滑り落ち、そこにバックして来たトラックと校舎の壁との間に挟まれてしまう。

そんな騒ぎを他所に、南河内大学にやって来たのは、五十嵐教授(坂本長利)と新しい助手石部(河原崎長一郎 )の二人。

南河内大の内情に疎い石部は、清潔第一の学校にしてみせると意気込んでいたが、めちゃくちゃに壊れた応援部の部室の様子を見て唖然となる。

その石部、応援部の部室付近から採取した女性用パンティをホルマリン瓶から出してみせ、木村団長たちから事情を聞き出そうとするが、五十嵐教授は、あまり深入りしない方が良いのではないかと忠告する。

その頃、小林は、電車で恋をした相手の住所を突き止め、そのアパートへ花束を持って訪ねていた。

小林は、今日こそ、自分の気持を彼女に打ち明けようと練習を重ねていた。

部屋から出て来た女性(岡尚美)は、小林が、彼女がこの間の騒ぎの時車内で落とした定期券を持って来た事を知ると喜ぶ。

小林は、勇気を振り絞って「僕、愛しています!」と告白するが、その時、部屋の奥から、一人の男が出て来る。

何と、OBの剛田ではないか!

良子は、剛田の恋人だったのだ。

剛田は、小林を見ると、上がって一緒に飯でも食って行けと誘うが、愕然とした小林はそのまま走るように逃げ帰ると、部室の前で「OBが何や!」と暴れまくる。

しかし、そこにやって来た赤道から、うるさいと怒鳴られてしまう。

その赤道、親衛隊の面々を部室に呼び込むと、明後日から年度末試験が始まるが、諸君らの中からピンチヒッターを選びたいと言い出す。

北口や富山、小池(中尾繁 )、中島(蔵内秀樹)らは、それぞれ科目別に、赤道の代理で試験を受ける事を承知させられてしまう。

赤道にさえ、頭の悪さを理由に、一人だけ免除させられた前田は、屈辱感から、小林の面前で泣き始める。

いよいよ、年度末試験が始まり、担当教官となった石部は、不正行為を働くものを見つけたら、その人物の全科目を零点とすると釘を刺し、問題用紙を配り始める。

木村や下村ら幹部連中は、教室内を見回っている石部の目をかいくぐり、何とかカンニングをしようとしていたが、結局、石部に見つかってしまい、即刻、全員退室を命じられてしまう。

幹部たちは、石部を取り囲むと凄み始めるが、石部は、柔道、剣道、空手の有段者であると打ち明けたので、幹部たちは、すごすごと教室を出て行かざるを得なかった。

三年生の試験の部屋では、赤道に変装した北口が、代理で試験を受けていたが、机の上に置いてある身分証明署の写真と、北口の変装が明らかに別人なので、石部は北口を殴りつけ、お前は誰だと問いただす。

それを見ていた五十嵐教授は、青田で良いのじゃない、まけときなさいとなだめようとするが、正義感に燃える石部は承知しない。

その様子を廊下で見ていた幹部四人は、教室内に入って来ると、青田赤道なら、女子便所には行る所を見たと、石部に告げ口をする。

石部が女子便所に行ってみると、その個室内で、赤道が女を抱いている所だった。

感極まった女が「来てぇ〜!」と叫んだのを、呼ばれたと勘違いした石部は、思わず、その個室の扉を開いて中に入ってしまう。

試験をしている教室で待っていた五十嵐教授は、帰りが遅い石部の事を案じていたが、そこに、ぼろぼろの状態になった石部と赤道がやって来る。

赤道は、この先生は何か勘違いなさっていたで、訂正してやりましたと言い、石部も又、先ほどの学生は、青田に間違いありませんでしたと言いざま、気絶してしまう。

ある日、アパートに帰った赤道は、3月3日、午後2時、大阪に行くので駅まで迎えに来てくれと書かれた父親からの手紙を読み、それは今日ではないかと、慌てて駅に駆けつける。

一方、赤道の父親青田玄道(陶隆司)は、大阪駅の新幹線入り口に到着していたが、誰も迎えに来ていないと知り怒っていた。

その頃、当の赤道は、北口と富山を従えて、普通線の改札口の前で待ち受けていたのだった。

玄道は、階段を下りる所で、持っていた槍が、登って来た女性のスカートに触ってしまい、あたかも痴漢であるかのように文句を言われたので、開き直って、本当に相手のスカートをまくり上げてしまう。

その様子を見ていた学生たちが、玄道を取り囲む。

それは、浪速大応援部の角木だった。

その日の夕方、道頓堀に遊びに来た薬痴寺が、一軒の屋台の中に入ると、そこで玄道と角木が、すっかり意気投合し、酒を酌み交わしていた。

すっかり上機嫌になった玄道が、大阪にはアルサロと云う面白い所があるらしいから、これからそこに行こうと言い出したのを横で聞いていた薬痴寺は、自分も、現道に調子を合わせ、付いて行こうとする。

すると、先に席を立った玄道は、その屋台の代金2000円を、はじめて出会った薬痴寺に払えと云う。

三人が向かったアルサロの二階では、誰かがホステス相手にやりたい放題していた。

その下のボックス席で飲み始めた三人だったが、薬痴寺が自分は南河内大のOBじゃ、酌をせいと学ランを来ていた角木に言ったものだから、相手の正体を知った角木は立ち上がり睨みつける。

そこに二階から下りて来たのが、今まで騒いでいた赤道だった。

それを発見した玄道は、持っていた槍を突き出すと、今日はわしを迎えにも来ないで、こんな所で遊んでいたとは!と、実は、夕方まで、赤道が普通線の改札でずっと待っていたとも知らず怒り出す。

父、玄道が突き出した槍を、赤道は見事に真剣白刃取りで交したかに見えたので、玄道は一応感心してそのまま店を後にする。

後に残った角木は、今度こそ一対一の勝負をしようと赤道に挑むが、当の赤道は、額に今の槍の付き傷がはっきり残っており、救急車を呼んでくれと弱々しく訴えたかと思うと、その場に昏倒してしまう。

翌日から、赤道は、子供時代のように、父親玄道と一緒に、鍛錬の毎日が始まる。

竹刀の素振りをしながら走る玄道に付いて、町内を走り回った後は、自宅アパートで父親用の食事の準備までしなければならず、その父親には、鯛の塩焼きを出しても、自分は白菜の漬物で我慢するしかなかった。

ある日、玄道が外で素振りの練習を繰り返していたので、北口と富山を呼んで、すき焼きの用意を、勝手に食べ、酒も飲み始めた赤道は、「あんな、アナクロ気●い親父を持って恥ずかしい」と、溜まりに溜っていた父親の悪口を、北口らに向かって並べ立てる。

そこに戻って来た玄道は、赤道が言っていた悪口を聞いてしまい、お前の気持は良く分かった。今日限り、親子の縁を切ると言い渡し、さらばじゃ、赤道と云い残し、部屋を出て行く。

翌日、これで厄介払いが出来たと、開放感に浸って喜んでいた赤道の部屋を訪れたのは、お新さんこと新子(宮下順子)だった。

その新子に誘われ、料亭に向かった赤道は、玄道は、今度の全日本剣道大会の山口県代表になったのだと教えられる。

槍の名人だった玄道は、31年前、千道と言う剣の名手の若者に勝負を挑み破れたので、それ以来、自分も剣道の練習をし始め、今度の大会で、その鬼道との再試合に挑むのだと言う。

赤道は、それを聞いても呆れるばかりだったが、新子は、執念です。旦那はんは、死ぬ覚悟を決めていると云う。

しかし、素直になれない赤道は、くたばればええのやと吐き捨てるだけ。

それよりも赤道は、目の前にいる新子との故郷での出会いと、一度だけの抱擁を思い出していた。

そして、思わず、その場でも抱きつこうとするが、新子は、私は旦那はんの女ですと、きっぱり拒否し、襖で迫り来る赤道を押さえつける。

そして、新子は、そのまま裸足のまま店を出て行ってしまう。

その頃、玄道の剣道大会出場を知った角木は、きっと応援に会場に来るに違いない赤道を、そこでやるんやと喫茶店で相談していたが、偶然、その店に逃げ込んでいた新子はその計画を聞いてしまう。

いよいよ、昭和52年度全日本剣道大会が開催される。

新子に甘味所に呼び出された赤道は、大阪にはデラックスなホテルがあるんやてな、一度、そう云う所に行ってみたいと誘いかける。

新子は、赤道が会場に行くのを、何とか防ごうと必死だった。

一方、北口、富山、前田らは、食堂のテレビに映し出された玄道の姿を発見するが、浪速大の角木が会場にいる事を見ると、応援に駆けつけるかどうか迷うのだった。

新子の真意に気づかない赤道は、喜んでホテルに向かうが、赤道はホテルのテレビで、玄道が決勝戦に進んだのを見ていた。

新子は、会場に行かせまいと、風呂の湯加減を見ながら赤道を誘いかけるが、その入り口で、赤道はじっと新子を見つめながら、「お新さんはおふくろや」と言うなり、部屋を出て行く。

青田玄道五段の決勝戦での対戦相手は、予想通り、31年前に破れた千藤七段だった。

100人を超す弟子を持つ千藤七段には、浪速大の応援団を始め、大勢の弟子たちが応援席を埋め尽くしていたが、対する青田側の席には、山口県から誰も来ていなかった。

ただ一人、剛田だけが玄道の試合を見守っていた。

会場にやって来た北口、富山、前田らは、会場内で待ち構えていた大勢の浪速大応援団の姿を見るなり怖じ気づいていた。

前半飛ばしすぎた玄道は、71歳と云う高齢も重なり、明らかに疲れが見えていたが、それでも何とか延長戦に持ち込む。

その後は、先に一本を取った方の勝ちであった。

千藤に押し切られ、場外に押し出されてしまった玄道は、場外反則として1点を相手に与えてしまうが、その場に倒れた玄道にもう立ち上がる消えよくは残されていなかった。

「負けた…」そうつぶやいた玄道は、目に前に翻るピンクの「南河内大応援団旗」を片手で支えて立つ赤道の姿を見る。

赤道は「そんな意気地のない親父を持った覚えはない」と言い切る。

それを聞いた玄道は、最後の負けじ魂を奮い起こし、難とか立ち上がり場内に戻ると、急に竹刀を、槍のように持ち替えたかと思うと、そのまま、相手ののど元に突き進み、見事一本を奪ってしまう。

思わず「勝った〜!」と叫ぶ玄道。

その試合を見ていた角木たち浪速大応援団は会場を後にする。

玄道に近づいた赤道は、父親の身体を抱え上げると、そのまま会場を後にする。

玄道は、まだ表彰式が残っていると赤道の肩の上で抵抗するが、もはやそれ以上の体力は残っていなかった。

会場の外に整列した浪速大応援団、その前に現れた赤道は、一旦、玄道の身体を降ろすと、防具をその場で外してやる。

その様子を遠くから眺める新子。

赤道は、すでに気絶状態にある父玄道の身体を再び肩に背負うと、浪速大応援団の居並ぶ方へ進んで来る。

それと対峙した角木は、「大した親父よのぉ」と感心した言葉をかけると、自らの学ランの詰め襟を閉めると、白手袋をはめて、自ら「青田玄道選手の優勝を祝して〜!」とエールを送り始める。

その応援団の間を通り抜けて歩き始めた赤道に、玄道が「どこに連れて行くのじゃ」と聞くと、赤道は「病院」とだけ答えて歩き去るのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

どおくまんプロの人気マンガの実写化シリーズ第三弾。

このシリーズ、主人公青田赤道は、毎回、一般から募集されていたはずで、今回も新人が扮しているが、正直、一番雰囲気が違う。

ちょっと「可愛い系」が入っており、今ひとつ「強面感」や「迫力」が希薄なのだ。

そんなちょっと可愛い赤道が、全編、下品な下ネタ過激シーンを演じているので、ちょっと無理矢理感が鼻に付き、可哀想な気もするくらい。

前半の見所は、初恋の相手に告りながら、あっさり夢破れる小林の失恋話だろう。

後半の見所は、父子の相克と和解。

ラストの漢(おとこ)臭さがなかなかなので、映画としての後味は悪くないが、全体としては、すでにマンネリ感は否めず、一作目ほどのインパクトはない。

喧嘩シーンなども、トラックの荷台が上がる趣向が、せいぜいのアクションの見せ場と言う辺りが、当時のプログラムピクチャーの「限界」と云うか「安さ」を感じさせ、ちょっと寒々強い気持にさせる。

河原崎長一郎のおとぼけ演技とか、薬痴寺役のなぎらけんいちのハマり振りなど、細かいマニアックな見所はあるが、全体としては、これでシリーズが終わりになったのも当然かな…と云った印象の出来になっている。