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可愛い悪女 殺しの前にくちづけを

1972年、松竹大船、井上梅次脚本+監督作品。

※この作品はミステリ要素があり、後半、意外な展開になりますが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

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歌手リル・丘野(范文雀)と、ジャック・レモンに憧れるドラマー、レモン(岡田光弘)、チャールズ・ブロンソンに「ヒゲ」だけ似ていると云われるブロンソン(仲子大介)、アラン・ドロンに似ていると自称しているドロン(山村圭二)、ジャン・ポール・ベルモンドに憧れるベル(朝倉宏二)、スティーブ・マックイーンに憧れるマッキー(伊原洋一)ら5人のバックバンド「5(ファイブ)メンズ」は、クラブでその日も「可愛い悪女」の唄を演奏していた。

そこに、赤いコートを着たリルの友人加藤花絵(槙摩耶)がやって来たので、リルは、楽屋で待つように目で合図をする。

演奏が終わり、楽屋に戻って来た5メンズとリルが見たのは、首つりをしている花絵の姿だった。

慌てて花絵の首を紐から外し助ける面々。

リルが事情を聞くと、父親から強引に経営コンサルタントで太陽化学工業社長松村と結婚しろと言われたので、死ぬ前にリルに会いたかったのだと云う。

恋人の達郎さんと結婚出来なければ死んだ方がマシだと云う花絵の悲観振りを目にしたリルは、義憤に駆られ、自分がカメラマニアである事を利用し、クラブハウスなどに入り浸っていると云う松村に接近して、その正体を暴いてみせるわと意気込む。

その夜、元妻でホステスをやっているアケミ(赤座美代子)から、若い娘と結婚するんですって?5000万の半分寄越せば別れてあげると皮肉られながらクラブハウスで飲んでいた松村隆三(巽千太郎)は、他の客席からこちらに向かってウィンクをして来るリルに気づくと、誘いかけられていると解釈近づく。

リルが、「あなたって素敵」と言葉をかけて来たので、すっかりその気になった松村は、彼女を自分のマンションに連れて行く。

マンションのエレベーターに乗り込む時、酔った住人に絡まれる二人。

5階の松村の部屋に入ったリルは、部屋の中にあった振り子時計が4時前を指している事に気づき、正確な時間は深夜の1時だったので、その時計が狂っていると思う。

リルは松村にシャワーを勧め、その隙に、ベッド横の棚の上に持参して来たカメラを設置し、レリーズを枕の下に隠す。

やがて、シャワーを浴びた松村が出て来て、ベッドで待っていたリルに覆いかぶさる。

リルは、シャッターチャンスとばかり、片手で枕下のレリーズを押す。

いよいよ、松村がリルの下着に手をかけた時、急に抵抗し始めたリルは、私、セックスに興味なかったの。だから、みんな私の事を可愛い悪女と云うのよと言い出し、あっけにとられる松村を残して部屋を出て行く。

その時、狂った柱時計がちょうど4時の時報を奏でていた。

自宅マンションに帰り着いたリルは、花絵に電話し、計画通り写真が撮れたので、明日見せると約束する。

その電話を受けた花絵は、恋人達郎に電話を入れるが何故か繋がらなかった。

翌朝、リルのマンションにやって来た花絵は、私、松村を殺してくれとは頼まなかったと意外な事を言い出す。

朝のニュースで報道していたと云う。

リルは呆然となり、すぐさま、夕べの松村のマンションに様子を観に行く事にする。

すると、リルの持ち歌「可愛い悪女」を口ずさみながら、表をうろついている奇妙な青年に出会う。

青年は、世田谷警察署の旗と言う新米刑事(森次晃嗣)らしく、すぐにリルに気づくと、自分はゴーゴー好きで、あなたのファンなんですと馴れ馴れしくして来る。

推理マニアと言う名目で、旗刑事に現場の部屋に連れて行ってもらったリルは、松村は明け方、石膏像で撲殺されたらしく、石膏像が壊れていたと説明を受ける。

部屋の振り子時計は、6時2分前を指していた。

そこに、安本警部(藤村有弘)がやって来て、部外者を勝手に現場に連れて来た旗刑事を叱りつける。

その後、花絵と恋人の清水達郎(加島潤)に会ったリルは、自分は犯行時刻には、自室から花絵に電話を入れているのだからアリバイがあると主張するが、花絵は、あの電話がリルの部屋からかけて来たものかどうかは分からないと、冷たい返事をする。

達郎も、明らかにリルを怪しむような口調で責めるので、頭に来たリルは二人を追い出す。

安本警部と旗刑事は、マンションの住民で、夕べ酔っぱらってエレベーターに乗る時、松村と一緒だった若い娘を見たと云う証言を聞いていた。

さらに、管理人から、松村の部屋には時々、アケミと云う子が出入りしていたと云う証言も得たので、早速アケミに話を聞きに行った旗刑事は、夕べ松村とマンションに行ったのはリルだったと云う事に気づく。

リルは、自宅の暗室で、夕べ写した松村とのベッドシーンの写真を現像していたが、そこに安本警部と共にやって来た旗刑事が、その写真を発見してしまい、「これはモーレツだね」と皮肉る。

警察の事情聴取でも、花絵は、夕べのリルからの電話は、自宅からだったどうか分からないと友人らしからぬ証言をし、完全に不利な状況に置かれたリルは、写真に写った振り子時計が4時を指している事を刑事たちから指摘され、ますます窮地に陥る。

リルが、その時計は狂っているといくら主張しても聞き入れられなかった。

かくして、リルが殺人事件の容疑者になった事がニュースで大きく報じられる。

世田谷警察から安本警部と旗刑事と共に車で出て来た花絵と達郎は、5メンズのメンバーに取り囲まれ、「君は友人を裏切ったんだ!」と責められる。

その後、5メンズと共に花江のマンションに帰って来た達郎は、夕べ、確かに自分は、松村を殺そうと思ってマンションへ行ったと認めたので、聞いていた花絵も、夕べ電話した時不在だったのはその為だったと知る。

そこに、花絵の父親である加藤博士(土紀洋児)がやって来て、皆さん、帰って下さいと頼む。

花絵は、何もかも、無理に結婚させようとしたパパが悪いと博士を責める。

旗刑事と安本警部はリルを、犯行現場に連れて来て、凶器の石膏像は、リルがカメラを置いた棚の横に会ったと教える。

その時、振り子時計は11時35分を指していたが、実際の時間は11時20分だったので、確かに狂っていると云う事に旗刑事は気づく。

そんな中、マンション内に忍び込んでいた5メイツが、火事騒ぎの芝居を始める。

その騒ぎに乗じ、5メイツはリルをマンションから連れ出す事に成功する。

慌てて、リルの後を追跡する安本警部と旗刑事だったが、まんまと逃げられてしまう。

そんな騒ぎを、近くに停めた車の中から冷静に見ていた二人組があった。

一人逃げていたリルは、急に横に止まった車の運転手から声をかけられ、その車に乗り込む。

車の運転手は、自分は「新世紀探偵社」の沼野一郎(入川保則)と云うものだと自己紹介したので、信用したリルは、そのまま彼の事務所へと付いて行く。

事務所の中では、客が一人待っており、沼野に「書類は?」と聞くが、一緒に入って来た知っていたリルの顔を見ると、ニュースで知っていたのか驚く。

沼野から、客は、ペリカン制約の渉外課長友丘(村上不二夫)だと紹介される。

加藤博士は制がん剤の研究を進めていたが、達郎の父親で副所長の清水太郎と対立したので、ペリカン制約が松村を通じて加藤博士に働きかけ、5000万円でその研究結果を買ったのだと云う。

ところが、仲介した松村が途中から、もう5000万円出さなければ書類は渡せないと言い出したのだと沼野は説明し、僕たち共同で、その書類を探しませんか?とリルに持ちかけて来る。

承知したリルは、当座の隠れ場所として、沼野の知り合いがやっているストリップ小屋の楽屋に連れて来られる。

沼野が支配人に話をつけに行っている間、一人楽屋に取り残されたリルは、その場にいたストリッパーたちから、新人だと勘違いされ、身体を見てやるから脱ぎなと、危うく服を脱がされかかる。

そこに、支配人(柳沢真一 )が入って来て説明したので、リルはかろうじて難を逃れる。

そのストリップ小屋から、いつも歌っているクラブに電話したリルは、マネージャー(小田草之助)から、5メイツが警察に捕まった事、そしてアケミが引っ越した事を教えられる。

松村のマンション「ヴィラスカイタウン」を張っていた旗刑事は、予想通り、アケミの引っ越し先は松村の部屋だった事を知る。

部屋で家捜しをしていたアケミの元にリルがやって来て、「あったの?書類、松村を強請っていたのね」と皮肉る。

アケミはその場で警察に電話を仕掛けるが、自分の立場も不利になる事を悟ると受話器を置くしかなかった。

リルは帰りかけるが、その時振り子時計が5時の時報を鳴らし始める。実際の時間は8時だった。

玄関扉を開けたリルは、そこに旗刑事が立っているのを知り、慌てて、トイレに行かせてくれと頼み、トイレの窓から外に逃げ出す。

ベランダを乗り越え、雨樋伝いに何とかしたまで降りたリルだったが、先回りしていた旗刑事に腕を掴まれてしまう。

しかし、手錠をかけようとしてまたもやもたつく旗刑事の間抜け振りを知ったリルは、自分が手錠の掛け方を教えてやると、旗刑事から手錠を受け取ると、旗刑事の片腕とベランダの柵に手錠を連結させ、まんまと表の道に逃亡する。

旗刑事は、ちょうど道を通りかかった巡査(財津一郎 )を呼び止め、彼女を掴まえるよう声をかけるが、機転を利かせたリルが「痴漢よ!」と叫んだため、逆に警官は旗刑事を不審者と思い込み、手錠でベランダに繋がれている旗刑事の方へ来てしまう。

旗刑事は身分を明かし、手錠を外してくれと懇願するが、鍵は?と聞かれたので、ないと答えると、巡査は「さびしい〜!」と叫ぶのだった。

ストリップ小屋に戻ったリルは、突如楽屋に侵入して来た謎の二人組に「書類の在処、知っているだろう?」と、ナイフを突きつけられる。

そこにやって来たのが沼野探偵で、彼は暴漢二人をあっさり追い払ってくれる。

リルは、アケミが松村を強請っていたと教える。

沼野探偵は、リルの為に、食料や下着、化粧品などを差し入れに来たのだった。

感激したリルは、その場で沼野と熱いキスを交すのだった。

翌日、単身、加藤博士の家に向かったリルは、屋敷から出て来た友岡とすれ違う。

友岡は、博士に5000万円返してくれと交渉に来たのだがとここへ来た理由を説明し、気をつけた方が良いですよ。あいつは悪い奴だからと忠告して帰って行く。

そうした様子を近くで監視していた謎の二人組は、近くの公衆電話から誰かに電話を入れる。

加藤博士に面会したリルは、犯人は、アケミか花絵か達郎さんの誰かだと指摘するが、加藤博士は信じようとしなかった。

その頃、世田谷警察署では、安本警部が、5メイツの弁護士が来たと知ると、泳がしてみるので、出してやれと旗刑事に命じていた。

5メイツはその足で、リルのいるストリップ小屋にやって来るが、それを尾行していた旗刑事はリルを見つけ、逮捕しようとする。

慌てた5メイツらは、リルを何とか逃がそうと、劇場中を逃げ回る。

そうこうしているうちに、リルはいつの間にか舞台に立っていた。

客は新顔だと勘違いし、声援を送り始めるし、旗刑事も客席に入り込み辺りを見回しているので、逃げる事が出来ない。

リルは、先に踊っていたストリッパーたちから「早く脱がないと怪しまれる」と小声で促されるまま、服を脱ぎ始める。

やがて、旗刑事が出て行ったので、かろうじて裸にならずにすんだリルは、5メイツに連れられ、無事小屋から抜け出しかけるが、そこに待っていた安本警部に捕まってしまう。

安本警部は、二度と逃げられないように、旗刑事がリルの後ろから掴まえた形に手錠で繋いでしまう。

そのままパトカーに乗せられたリルは、旗刑事の膝の上に座る形になってしまう。

リルは、お尻に何か当っていると騒ぎ出し、隣に座っていた安本警部は旗刑事を叱りつけるが、尻の下にあったのは、座席に置き忘れられていた懐中電灯だった。

ところが、世田谷署に戻ってみると、たった今、清水達郎が自首して来たと次長(フランキー堺)が安本に告げる。

それを聞かされた花絵も、警察署にやって来るが、その直後、加藤博士までやって来て、「わしが殺った」と自供するではないか。

博士が言うには、あの夜、金を返すから書類を返してくれと松村の部屋に行ったと云う。

しかし、達郎の方も、じぶんが殺ったと自供を取り下げようとしない。

とにかく、リルの無罪は証明され、無事釈放と云う事になり、沼野探偵が会いに来る。

警察署を後にしようとしたリルは、旗刑事から、「僕、君に惚れちゃったんだ」と告白されるが、リルはビンタでお返しをする。

5メイツたちと再会したリルは、二人とも真犯人だと自供しているが、本当の死因は絞殺なのでおかしい。アケミが鍵を握っているのではないかと推理を披露する。

そのアケミに会いに行こうと、松村の部屋に向かったリルは、近づいて来る足音に気づく。

ちょうど、振り子時計が5時の時報を告げたときだった。

慌てたリルは、近くにあった衣装ケースの中に身を潜めるが、気がつくと、その衣装ケースの中に、もう一人立っているではないか!

胸にナイフを突き立てたアケミの死体だった。

リルは悲鳴を上げ、その瞬間、部屋に倒れ出したアケミの死体に驚いた旗刑事も叫ぶ。

安本警部も来ていたのだ。

警部は、君がいる所にいつも死体があるのはどう言う事だと皮肉りながらも、清水達郎が自供したと教える。

あの夜、松村のマンションの廊下で様子を見ていた達郎は、夜の二時頃、松村が加藤博士を部屋から追い出すのを見たと云う。

その後、自分が松村の部屋に入り、口論の末、石膏像で殴りつけてしまったと云う。

リルは、ストリップ小屋で謎の二人組に襲われた事を打ち明けると、安本警部は直ちに、それは黒部(園田健二)と染谷だと指摘する。

その後、沼野探偵事務所に行き、沼野にそれまでの事情を説明するリル。

沼野は、友岡が怪しいので、制がん剤と犯人の名前を交換すると云う条件で、罠を仕掛けようと提案する。

リルは、友岡に電話して会う時間を決めると、それに8時に会う約束をしたと沼野にも電話で教える。

その夜、友岡は飲み屋で8時まで時間を潰していた。

そのカウンターには、黒部と染谷もおり、友岡が店を出ると、その後を尾行し始める。

そうした様子を、同じくカウンターで張り込んでいた旗刑事が見張っていた。

沼野探偵は、先に、リルのクラブの楽屋に来ていた。

ステージでは、リルと5メイツが演奏していた。

そこに、約束通り、友岡が、その後、黒部と染谷も店にやって来る。

すでに、沼野と旗も客席に座って見張っていた。

歌い終えたリルは、友岡の席に座ると、書類はエレクトーンの中に入れてあると嘘を言う。

友岡は、あの夜、自分と松村は一緒に部屋にいたと話し始めるが、その時突然、店内が停電で真っ暗になる。

その後、電気が点灯してみると友岡の姿がなかった。

楽屋に戻りながらリルは旗刑事に、この計画は沼野探偵が考えた事だと説明する。

その時、ロッカーを開けようとしたレモンが、中を見て仰天する。

他のメンバーも何事かとロッカーの中を覗くが、同じように顔を引き攣らせる。

何と、ロッカーの中に、胸にナイフを突き立てられた友岡の遺体が入っていた。

又、リルの周囲で死体が出た事に、捜査に楽屋を訪れた安本警部が文句を言い始めたので、リルも負けじと言い返す。

その後、リルのマンションにやって来た旗刑事は、ガード下にうまいもつ焼き屋があるから行かないかと、プレゼントを渡しながら誘いかけるが、リルは趣味が合わないと追い返す。

しかし、旗刑事からもらったプレゼントが小さな振り子時計だった事に気づいたリルは、松村の部屋にあった振り子時計がしょっちゅう狂っていた理由を考え始める。

振り子時計の時間調節は、振り子の長さで行う事に気づいたリルは、あの振り子の中に書類が入っていたため、いつもあの時計が狂っていた事に気づく。

そこへ、沼野探偵から電話が入ったので、事情を説明すると、沼野探偵はすぐに行こうと誘って来る、

二人で、松村のマンションに向かうが、出迎えた管理人は、村松の兄と名乗った男二人がやって来て、村松の部屋から荷物を全て運び出して行ったと云う。

実は、マンションを張っていた旗刑事が、その荷物と一緒にトラックに荷台に忍び込んでいた。

その二人と云うのは黒部と染谷だとリルは気づく。

荷物と旗刑事を積んだトラックは、雪山の中に入って行く。

次長室からリルのマンションに電話をして来た安本警部は、旗刑事の姿を見かけなくなったが知らないかと云う。

しかし、その電話を交代した次長は、自分はリルの大ファンだとはしゃぎ出す。

すると、隣の所長室から、うるさいと注意する電話が次長に入る。

その後、当の旗刑事からリルに電話が入る。

今、大雪山にいると言うので、リルは帰って来たらデートしてあげると励ますのだった。

すぐに、沼野探偵に電話するが不在で繋がらなかった。

単身、旗刑事の元へ向かったリルは、黒部と染谷がいる別荘の部屋の中に置いてある振り子時計を発見すると、こっそり潜入する。

想像通り、振り子の中に書類は入っていた。

そんな二人を発見したのは、ベランダに小便を死に出て来た犯人グループの一人だった。

黒部や染谷たちは、それを聞くと、リルと旗刑事がいる部屋に乱入して来て、銃を突きつける。

そこに、沼野探偵がやって来る。

リルは助かったと安心するが、沼野は、そいつらは僕の部下なんだと意外な事を言い出す。

松村も私の部下だったと説明し始めた沼野は、友岡と二人であの夜、松村に会いに行ったが、話がこじれ、思わずカッとなって首を絞めて殺してしまったと云う。

リルを助けたのも、書類の在処を知る為だったと云う。

旗刑事とリルは、別荘の中で縛られ、その周囲に灯油をまかれる。

その頃、5メイツもライトバンで別荘に向かっていたが、途中でエンストを起こしてしまう。

犯人グループが部屋を出た後、旗刑事は、捕縄術を習う時、一緒に学んだ抜け方を披露し、紐から脱出すると、リルを連れ、別荘に置いてあったスキー靴を履くと、別荘の裏口から抜け出す事に成功する。

別荘に火をつけようとしていた沼野は、リルを背負い、スキーで逃走し始めた旗刑事に気づくと、部下たちと共に、スキーで後を追跡し始める。

旗刑事は、国体で優勝した事もあると云うスキーの腕前で、リルを背負ったまま、雪山の急斜面を滑り降りる。

それに追いつこうとする沼野たち犯人たちグループ。

途中で転倒してしまった旗刑事とリルは、犯人グループに追いつかれてしまう。

沼野は拳銃を二人に突きつけ引き金を引こうとするが、その時、雪上モービルに乗った5メイツが到着し、雪玉を犯人たちに投げつけて来る。

相手の隙を付いた旗刑事は、空手三段、柔道4段の腕前で、犯人グループと戦い始める。

5メイツも、その乱闘に参加する。

その後、傷だらけになった5メイツと一緒に、リルは再び店で唄を歌う生活に戻る。

そこへ、達郎と花絵、加藤博士らが嬉しそうにやって来る。

旗刑事もやって来て、ステージ上のリルにウィンクをする。

一緒に店にやって来た安本警部は、今回の活躍で、旗刑事は警部に昇進したと告げると、喜んだリルは、旗刑事にキスをしてあげるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

テレビの人気子供向け番組「サインはV」のジュン・サンダース役でブレイクした范文雀を主役にした「可愛い悪女」シリーズ第二弾。

ミステリや音楽映画の経験がある井上梅次監督が脚本も担当している。

当時流行った「グループ・サウンズ」や、そのメンバーたちのニックネームの由来などが時代を感じさせる。

70年代の作品らしく、当時の松竹作品ではお馴染みのストリップ小屋が登場し、お色気サービスも入っているが、さすがに范文雀は脱がない。

この作品のもう一つの見所は、同じくテレビの人気子供向け番組「ウルトラセブン」の主役モロボシダンでお馴染みの森次晃嗣が活躍している事。

C調で頼りない新人刑事をコミカルに演じているのが珍しい。

事件そのものは二時間サスペンスでも観ているようなレベルで、いかにも安上がりに作られたプログラムピクチャーと云った所。

入川保則が登場して来た段階で怪しく感じてしまうキャスティングもどうかと思う。

別荘に火をつけようとして、結局火をつけない所など、いかにも金がなく、派手な見せ場の一つも作れない当時の松竹映画らしい。

フランキー堺や財津一郎、柳沢真一と云った面々がゲストとして登場している。

こう云うシリーズ映画もあったのか?と云う事を知っただけでも貴重だったかも知れない。